説明

撮像装置およびカメラシステム

【課題】光学系の駆動に伴って変化する画角の範囲を超えて撮影画角を設定することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】画角調整が可能な撮影光学系(L)による像を撮像する撮像面を有する撮像部(33)と、撮影画角情報を記憶する記憶部(35)と、ユーザー指示に基づいて記憶部から撮影画角情報を読み出すとともに、撮影画角情報に応じて撮像面の使用範囲(R)を制御する制御部(38)と、を有することを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影画角を設定可能な撮像装置及びカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部に表示された撮像画像に、ズームの操作量に応じた画角サイズを示す表示を重ねて行い、この画角サイズに撮像画像の大きさを合わせるようにズーム動作を行う撮像装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−131224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の撮像装置は、光学系の駆動に伴って変化する画角の範囲内でしか撮影画角を設定することができないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、光学系の駆動に伴って変化する画角の範囲を超えて撮影画角を設定することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、画角調整が可能な撮影光学系(L)による像を撮像する撮像面を有する撮像部(33)と、撮影画角情報を記憶する記憶部(35)と、ユーザー指示に基づいて前記記憶部から前記撮影画角情報を読み出すとともに、前記撮影画角情報に応じて前記撮像面の使用範囲(R)を制御する制御部(38)と、を有することを特徴とする撮像装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記撮影光学系の画角調整範囲(A)を演算し、前記記憶部から読み出した前記撮影画角情報が前記画角調整範囲を超える場合に前記撮像面の前記使用範囲を変更するように制御することを特徴とする撮像装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の撮像装置において、前記制御部は、前記撮影光学系がとり得る最大と最小の焦点距離に基づいて前記画角調整範囲を演算することを特徴とする撮像装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置において、前記撮像部により撮像した画像を表示する表示部(34)と、前記表示部に表示した画像に対して範囲設定枠(X)を表示し、該範囲設定枠の大きさにより撮影画角を設定する設定部(37)とを有し、前記記憶部は、前記設定部へのユーザー指示に基づいて前記撮影画角情報を記憶することを特徴とする撮像装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置において、前記記憶部は、前記撮像部により過去に撮像した画像を用いたユーザー指示に基づいて前記撮影画角情報を記憶することを特徴とする撮像装置である。
【0011】
請求項6の発明は、画角調整が可能な光学系(L)を有する鏡筒(10)と、前記光学系による像を撮像する撮像面を有する撮像部(33)と、撮影画角情報を記憶する記憶部(35)と、ユーザー指示に基づいて前記記憶部から前記撮影画角を読み出すとともに、前記撮影画角情報に応じて前記撮像面の使用範囲(R)を制御する制御部(38)と、を有することを特徴とするカメラシステムである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載のカメラシステムにおいて、前記制御部は、前記光学系の画角調整範囲(A)を演算し、前記記憶部から読み出した前記撮影画角情報が前記画角調整範囲を超える場合に前記撮像面の前記使用範囲を変更するように制御することを特徴とするカメラシステムである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載のカメラシステムにおいて、前記制御部は、前記光学系がとり得る最大と最小の焦点距離に基づいて前記画角調整範囲を演算することを特徴とするカメラシステムである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項6から8のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、前記撮像部により撮像した画像を表示する表示部(34)と、前記表示部に表示した画像に対して範囲設定枠(X)を表示し、該範囲設定枠の大きさにより撮影画角を設定する設定部(37)とを有し、前記記憶部は、前記設定部へのユーザー指示に基づいて前記撮影画角情報を記憶することを特徴とするカメラシステムである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項6から9のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、前記記憶部は、前記撮像部により過去に撮像した画像を用いたユーザー指示に基づいて撮影画角情報を記憶することを特徴とするカメラシステムである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項6から10のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、前記記憶部から読み出した前記撮影画角情報に対応する照射角の光を被写体に照射する発光部(22)を有することを特徴とするカメラシステムである。
【0017】
なお、本発明を分かり易く説明するために一実施形態を表す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、実施形態に開示された構成の少なくとも一部を他の構成物に代替させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るカメラシステムのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る撮像素子の撮像面の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画角設定モードを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る画角設定モードにおいて設定される撮影画角の範囲を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画角記憶動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る画角再現動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る画角設定モードの第1の変形形態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画角設定モードの第2の変形形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るカメラシステムのブロック図である。このカメラシステムは、撮影光学系を有するレンズ鏡筒10と、被写体に光を照射する発光装置20と、レンズ鏡筒10と発光装置20とが着脱可能に設けられたカメラボディ30とで構成されている。なお、レンズ鏡筒10の撮影光学系は、実際には複数のレンズから構成されるが、撮影光学系全体の焦点距離調節に寄与する光学系Lを模式的に示した。
【0020】
レンズ鏡筒10は、不図示のレンズマウントによりカメラボディ30に着脱可能に装着されており、必要に応じて交換可能となっている。このレンズマウントには、カメラボディ30のボディマウント(不図示)に設けられた電気接点31と電気的に接続する電気接点11が設けられており、この電気接点11、31を介してカメラボディ30と通信可能となっている。
【0021】
レンズ鏡筒10は、光学系Lを光軸(O)方向に駆動するレンズモータ12と、光学系Lの位置情報を検出するエンコーダ13と、レンズ鏡筒10の焦点距離や開放F値等のレンズデータが記憶されたレンズメモリ14と、レンズ鏡筒10の動作を統括的に制御するレンズCPU15とを有している。レンズCPU15には、レンズモータ12、エンコーダ13、レンズメモリ14、電気接点11が接続されている。
【0022】
レンズCPU15は、電気接点11,31を介してカメラボディ30から信号を受信し、その信号に基づいてレンズモータ12を制御する。
【0023】
レンズモータ12は、レンズCPU15により制御されて光学系Lを光軸方向に駆動する。これにより、光学系Lの光軸上での位置が変化し、撮影光学系全体の焦点距離が変化する(ズーミング)。
【0024】
エンコーダ13により検出された光学系Lの位置情報は、レンズCPU15に入力される。そして、レンズCPU15がエンコーダ13により検出された位置情報に基づいて光学系Lの焦点距離を演算し、その演算結果をカメラボディ30に出力する。
【0025】
レンズメモリ14に記憶されたレンズデータは、カメラボディ30の要求に応じて電気接点11、31を介してカメラボディ30に出力される。
【0026】
発光装置20は、不図示の取付部を介してカメラボディ30に着脱可能に装着されている。この取付部には、カメラボディ30に設けられた電気接点32と電気的に接続する電気接点21が設けられており、これらの電気接点32、21を介してカメラボディ30と通信可能となっている。
【0027】
発光装置20は、照明光を照射する発光部22と、発光部22を駆動して照明光の照射角を変化させるモータ23と、発光装置20の動作を制御するCPU24とを有している。CPU24には、発光部22と、電気接点21と、モータ23とが接続されている。
【0028】
発光装置20のCPU24は、電気接点32、21を介してカメラボディ30から撮影画角情報を受け取り、その撮影画角情報に基づいてモータ23を制御する。これにより、発光部22の照射角が撮影画角に応じて設定される。
【0029】
カメラボディ30は、レンズ鏡筒10の光学系Lを透過した光束による像を撮像する撮像素子33と、撮像素子33により撮像した画像を表示するモニタ34と、撮像素子33により撮像した画像等を記憶するボディメモリ35と、撮影画角をボディメモリ35に記憶する画角記憶ボタン36と、ユーザーが操作する操作ボタン37と、カメラボディ30の動作を統括的に制御するボディCPU38とを有している。ボディCPU38には、電気接点31、32、撮像素子33、モニタ34、ボディメモリ35、画角記憶ボタン36、操作ボタン37が接続されている。
【0030】
撮像素子33は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の受光素子であり、光電変換素子が二次元配置されて撮像面を形成している。この撮像面の有効画素範囲内には、ボディCPU38により後述の使用範囲Rが設定されており、使用範囲R内の光電変換素子による電気信号が画像データの生成に使用される。
【0031】
撮像素子33により撮像された画像はモニタ34に所謂スルー画像として逐次表示される。そして、カメラボディ30に設けられた不図示のレリーズボタンが押下されると、その押下タイミングで撮像された画像がボディメモリ35に記憶される。
【0032】
図2は、撮像素子33の撮像面の斜視図である。図2に示すように、撮像素子33の撮像面には、電気信号の読み出しに使用する範囲を規定した使用範囲Rが設定されている。本実施形態では、初期設定の使用範囲Rとして初期エリアR1が設定されている。
【0033】
この使用範囲RはボディCPU38により制御されており、必要に応じて大きさを連続的に変更可能となっている。これにより、光学系Lを駆動することなく撮影画角を変化させることができる。
【0034】
例えば、初期エリアR1の撮影画角をθ1としたとき、使用範囲Rを初期エリアR1よりも小さいエリアR2とすると、撮影画角がθ1よりも小さいθ2(<θ1)に変化する。また、使用範囲Rを初期エリアR1よりも大きいエリアR3とすると、撮影画角がθ1よりも大きいθ3(>θ1)に変化する。
【0035】
画角記憶ボタン36は、撮影画角をボディメモリ35に記憶させるための部材である。撮影時に、ユーザーが画角記憶ボタン36を押下すると、その押下タイミングにおける撮影光学系の焦点距離と使用範囲Rの大きさとで決まる撮影画角がボディメモリ35に記憶される。
【0036】
図3は、カメラボディ30のモニタ34と操作ボタン37を示す図である。
【0037】
図3(a)に示すように、撮影時には、モニタ34の画面全体に撮像素子33により撮像された画像がスルー画像34aとして逐次表示される。また、モニタ34には、撮影光学系の焦点距離を35mm換算した値Fがスルー画像34aに重畳表示される。これにより、ユーザーは現在の焦点距離で撮影される範囲を認識することができる。
【0038】
なお、35mm換算とは、撮影光学系の実焦点距離を35mmフィルムフォーマットの画面サイズ(24×36mm、所謂フルサイズ)を使用した場合の焦点距離に換算することをいい、次の(1)式により求められる。
【0039】
C=fR×43.2/d (1)
ここで、fCは35mm換算後の焦点距離、fRは撮影光学系の実焦点距離、43.2は35mmフィルムフォーマットの対角線長、dは撮像面の使用範囲Rの対角線長である。
【0040】
また、ユーザーが操作ボタン37を操作することにより、モニタ34の表示を撮影画角の設定を行うモード(以下、画角設定モードと称す)に切り換えることができる。
【0041】
画角設定モードを起動すると、モニタ34には、図3(b)に示すように、スルー画像34aが縮小表示された画像34bと、撮影画角を設定するための矩形の枠Xが表示される。
【0042】
枠Xは、画像34bに対する相対的な撮影範囲を示している。そして、枠Xの大きさは、操作ボタン37の操作により任意に変更することができる。枠Xを任意の大きさにして撮影範囲を指定すると、その撮影範囲に対応する撮影画角が設定される。
【0043】
例えば、図3(b)に示すように、枠Xの大きさを画像34bよりも大きくすると、現在(画像34b)の撮影画角よりも広い撮影画角が設定される。
【0044】
また、図3(c)に示すように、枠Xの大きさを画像34bよりも小さくすると、現在(画像34b)の撮影画角よりも狭い撮影画角が設定される。
【0045】
このようにしてユーザーの指示に基づいて設定された撮影画角は、カメラボディ30のボディメモリ35に記憶される。
【0046】
なお、画角設定モードでは、スルー画像34aを縮小表示した画像34bに対して矩形の枠Xを表示して撮影画角を設定するようにしたので、テレ側だけでなくワイド側に対しても撮影画角を設定することができる。
【0047】
また、画角設定モードでは、モニタ34に、現在(画像34b)の撮影画角に対応する焦点距離F1と、枠Xにより設定される撮影画角に対応する焦点距離F2とが表示される。これにより、ユーザーは、焦点距離F2の値を目安にしてレンズ交換することで枠Xの撮影画角を実現することができる。また、ユーザーは、画角設定モードを撮影画角のプレビューとして使用することで、焦点距離F2の値と枠Xとによりユーザーが所有する他の交換レンズの撮影画角をイメージすることができる。
【0048】
ここで、画角設定モードにおいて設定される撮影画角について説明する。
【0049】
図4に示すように、画角設定モードにより設定される撮影画角は、その再現方法によって、
A〜Eの5つの画角範囲に分類される。
【0050】
画角範囲Aは、光学系Lの駆動(ズーミング)のみで再現することができる撮影画角の範囲を示している。すなわち、画角範囲Aは光学系Lの駆動に伴って変化する撮影画角の範囲である。したがって、画角範囲Aの下限は光学系Lのテレ端における撮影画角α1、上限は光学系Lのワイド端における撮影画角β1となる。すなわち、画角範囲Aは、α1≦θ≦β1と表記できる。
【0051】
画角範囲Bは、撮像素子33の使用範囲Rを拡張することにより再現できる撮影画角の範囲を示している。光学系Lをワイド端に移動しても再現することができない大きい撮影画角(すなわち、θ>β1)は、撮像素子33の使用範囲Rを初期エリアR1よりも大きくすることで再現可能となる。また、画角範囲Bの上限は、設定可能な使用範囲Rの最大の大きさと光学系Lのワイド端における焦点距離とで決まる撮影画角β2となる。
【0052】
画角範囲Cは、撮像素子33の使用範囲Rを縮小することにより再現できる撮影画角の範囲を示している。光学系Lをテレ端に移動しても再現することができない小さい撮影画角(θ<α1)は、撮像素子33の使用範囲Rを初期エリアR1よりも小さくすることで再現可能となる。また、画角範囲Cの下限は、設定可能な使用範囲Rの最小の大きさと光学系Lのテレ端における焦点距離とで決まる撮影画角α2となる。したがって、画角範囲Cは、α2≦θ<α1と表記できる。
【0053】
画角範囲Dは、レンズ交換またはワイコン(ワイドコンバージョンレンズ)の装着により再現できる撮影画角の範囲を示している。β2よりも大きい撮影画角は、光学系Lの駆動や撮像素子33の使用範囲Rの拡張では再現することができないため、現在使用しているレンズ鏡筒10よりも焦点距離の短いレンズ鏡筒にレンズ交換するか、現在使用しているレンズ鏡筒10にワイコンを装着することにより再現する。このとき、ワイコン及びレンズ交換後に使用されるレンズ鏡筒は、設定された撮影画角を実現可能なものである必要がある。画角範囲Dは、β2<θと表記できる。
【0054】
画角範囲Eは、レンズ交換またはテレコン(テレコンバージョンレンズ)の装着により再現できる撮影画角の範囲を示している。α2よりも小さい撮影画角は、光学系Lの駆動や撮像素子33の使用範囲Rの縮小では再現することができないため、現在使用しているレンズ鏡筒10よりも焦点距離の長いレンズ鏡筒にレンズ交換するか、現在使用しているレンズ鏡筒10にテレコンを装着することにより再現する。このとき、ワイコン及びレンズ交換後に使用されるレンズ鏡筒は、設定された撮影画角を実現可能なものである必要がある。画角範囲Eは、θ<α2と表記できる。
【0055】
これらの範囲A〜Eを区分する撮影画角α1、α2、β1、β2(以下、画角定数と称す)は、カメラボディ30のボディCPU38によって撮影光学系の焦点距離情報と撮像素子33の撮像面に設定された初期エリアR1の大きさとに基づいて求められる。
【0056】
次に、本実施形態に係るカメラシステムの画角記憶動作について図5を参照して説明する。この画角記憶動作は、カメラボディ30の電源がオンにされた状態で実行可能となっている。
【0057】
まず、ステップS101において、ボディCPU38は、画角記憶ボタン36又は画角設定モードにより撮影画角の設定指示があるか否かを判定する。撮影画角の設定指示が無いと判定された場合には、撮影画角を設定することなく終了する。一方、撮影画角の設定指示が有ると判定した場合には、ステップS102に進む。
【0058】
ステップS102において、ボディCPU38は、ボディメモリ35に撮影画角を記憶する。
【0059】
なお、ボディメモリ35に記憶する撮影画角は、撮影画角そのものでもよいし、撮影画角に対応するデータ(画角情報)でもよい。
【0060】
次に、本実施形態に係るカメラシステムの画角再現動作について図6を参照して説明する。
【0061】
まず、ステップS201において、カメラボディ30の電源がオンにされるとボディCPU38が、レンズ鏡筒10のレンズメモリ14に格納されたレンズデータを電気接点11、31を介して読み出す。
【0062】
ステップS202において、ボディCPU38は、ステップS201で読み出したレンズデータに含まれる焦点距離情報と撮像素子33の初期エリアR1の大きさ及び使用範囲Rの設定可能な最大と最小の大きさとに基づいて、画角定数α1、α2、β1、β2を演算する。
【0063】
ステップS203において、ボディCPU38は、ボディメモリ35に撮影画角が記憶されているか否かを判定する。ボディメモリ35に撮影画角が記憶されていないと判定された場合は、事前にユーザーによって撮影画角が設定されていないので動作を終了する。一方、ボディメモリ35に撮影画角が記憶されていると判定された場合には、ステップS204に進む。
【0064】
ステップS204において、ボディCPU38は、ボディメモリ35に記憶した撮影画角の読み出し指示の有無を判定する。撮影画角の読み出し指示が無いと判定した場合には、ボディメモリ35から撮影画角を読み出すことなく終了する。一方、撮影画角の読み出し指示が有ると判定した場合には、ステップS205に進む。
【0065】
ステップS205において、ボディCPU38は、ボディメモリ35に記憶した撮影画角を読み出し、この撮影画角が図4に示す画角範囲A(α1≦θ≦β1)に含まれるか否かを判定する。ボディメモリ35から読み出した撮影画角(以下、読み出し画角と称す)が画角範囲Aに含まれないと判定した場合には、ステップS207に進む。この場合、読み出し画角は、画角範囲B、C、D、Eのいずれか(θ<α1またはβ1<θ)に含まれることになる。一方、読み出し画角が画角範囲Aに含まれると判定した場合には、ステップS206に進む。
【0066】
ステップS206において、ボディCPU38は、レンズ鏡筒10のレンズモータ12を制御して光学系Lを光軸方向に駆動する。これにより、光学系Lの焦点距離が読み出し画角に対応する焦点距離に調節される。
【0067】
一方、ステップS207において、ボディCPU38は、読み出し画角が図4に示す画角範囲CまたはE(θ<α1)に含まれるか否かを判定する。読み出し画角が画角範囲CまたはEに含まれないと判定された場合には、ステップS212に進む。この場合、読み出し画角は、画角範囲BまたはD(β1<θ)に含まれることになる。一方、読み出し画角が画角範囲CまたはEに含まれると判定された場合には、ステップS208に進む。
【0068】
ステップS208において、ボディCPU38は、読み出し画角が図4に示す画角範囲C(α2≦θ<α1)に含まれるか否かを判定する。読み出し画角が画角範囲Cに含まれないと判定された場合は、ステップS211に進む。この場合、読み出し画角は画角範囲E(θ<α2)に含まれることになる。一方、読み出し画角が画角範囲Cに含まれると判定された場合には、ステップS209に進む。
【0069】
ステップS209において、ボディCPU38は、レンズ鏡筒10のレンズモータ12を制御するための制御信号を電気接点11、31を介してレンズCPU15に入力する。そして、レンズCPU15は、入力された制御信号に基づいてレンズモータ12を制御して光学系Lをテレ端に移動する。
【0070】
ステップS210において、ボディCPU38は、撮影光学系のテレ端の焦点距離と読み出し画角とに基づいて撮像素子33の使用範囲Rを縮小する。これにより、実際の撮影画角が読み出し画角に合わせられる。
【0071】
一方、ステップS211において、ボディCPU38は、現在使用しているレンズ鏡筒10よりも焦点距離の長いレンズ鏡筒にレンズ交換するか、現在使用しているレンズ鏡筒10にテレコンを装着する必要があることを示す指標をモニタ34に表示してユーザーに認知させる。なお、指標をモニタ34に表示するのに替えて音声等でユーザーに認知させてもよい。
【0072】
一方、ステップS212において、ボディCPU38は、読み出し画角が図4に示す画角範囲B(β1<θ≦β2)に含まれるか否かを判定する。読み出し画角が画角範囲Bに含まれないと判定された場合は、ステップS215に進む。この場合、読み出し画角は、画角範囲D(β2<θ)に含まれることになる。一方、読み出し画角が、画角範囲Bに含まれると判定された場合には、ステップS213に進む。
【0073】
ステップS213において、ボディCPU38は、レンズ鏡筒10のレンズモータ12を制御するための制御信号を電気接点11、31を介してレンズ鏡筒10のレンズCPU15に入力する。そして、レンズ鏡筒10のレンズCPU15は、入力された制御信号に基づいてレンズモータ12を制御して光学系Lをワイド端に移動する。
【0074】
ステップS214において、ボディCPU38は、光学系Lのワイド端の焦点距離と読み出し画角とに基づいて撮像素子33の使用範囲Rを拡大する。これにより、実際の撮影画角が読み出し画角に合わせられる。
【0075】
一方、ステップS215において、ボディCPU38は、現在使用しているレンズ鏡筒10よりも焦点距離の短いレンズ鏡筒にレンズ交換するか、現在使用しているレンズ鏡筒10にワイコンを装着する必要があることを示す指標をモニタ34に表示してユーザーに認知させる。なお、指標をモニタ34に表示するのに替えて音声等でユーザーに認知させてもよい。
【0076】
ステップS216において、ボディCPU38は、発光装置20を使用するか否かを判定する。例えば、被写体の輝度を測定する測光センサ(不図示)の測光結果に基づいて発光装置20の使用の有無を判定する。発光装置20を使用しないと判定した場合には、画角設定動作を終了する。一方、発光装置20を使用すると判定した場合には、ステップS217に進む。
【0077】
ステップS217において、ボディCPU38は、発光装置20のモータ23を制御するための制御信号を電気接点32、31を介して発光装置20のCPU24に入力する。そして、発光装置20のCPU24は、入力された制御信号に基づいてモータ23を制御して発光部22を駆動する。これにより、発光装置20の照射角度が読み出し画角に対応する角度に調節される。
【0078】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るカメラシステムは、画角調整が可能な光学系Lによる像を撮像する撮像面を有する撮像素子33と、撮影画角情報を記憶するボディメモリ35と、ユーザー指示に基づいてボディメモリ35から撮影画角情報を読み出すとともに、撮影画角情報に応じて撮像面の使用範囲Rを制御するボディCPU38と、を有するので光学系Lの駆動に伴って変化する画角の範囲(画角範囲A)を超えて撮影画角を設定することができるという効果を奏する。
【0079】
(変形形態)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく種々の変形や変更が可能である。以下、例を示す。
【0080】
(1)本実施形態において、操作ボタン37を操作することで枠Xの大きさを変化させる例を説明したが、これに限定されることなく、他の方法で枠Xの大きさを変化させてもよい。
【0081】
例えば、図7に示すように、モニタ34をタッチパネルで構成し、モニタ34に表示されたカーソルGをユーザーの手指で触れて左右に移動させることで、カーソルGの移動に連動させて連動させて枠Xの大きさを変化させるようにしてもよい。なお、カーソルGを表示させず、モニタ34の表面に触れるユーザーの手指の動きに応じて枠Xの大きさを変化させるようにしてもよい。
【0082】
または、図8に示すように、モニタ34に表示されたプルダウンメニューPから焦点距離を選択することで、選択した焦点距離に対応させて枠Xの大きさを変化させるようにしてもよい。この場合、プルダウンメニューPに表示する焦点距離は、ユーザーが撮影画角をイメージし易いように35mm換算の焦点距離にしてもよい。
【0083】
(2)本実施形態において、画角記憶ボタン36または画角設定モードにより撮影画角を設定する例を説明したが、これに限定されることなく、他の方法により撮影画角を設定するようにしてもよい。例えば、過去に撮像された画像の画像情報に基づいて撮影画角を設定するようにしてもよい。なお、画像情報として必ずしも撮影画角が含まれている必要はなく、撮影時の焦点距離、撮像素子の使用範囲の大きさ等の撮影画角を決めるために必要な情報が含まれていればよい。
【0084】
(3)本実施形態において、読み出し画角を再現した後に発光装置20の照射角を設定する例を説明したが、撮影画角を再現する前に発光装置20の照射角を設定するようにしてもよい。すなわち、図6において、ステップS204でボディメモリ35から読み出した画角に基づいて発光装置20の照射角を設定し、その後、ステップS205からS215の動作を行うようにしてもよい。
【0085】
(4)本実施形態において、レンズ鏡筒10のレンズCPU15がレンズ鏡筒10の動作を制御する例を説明したが、カメラボディ30のボディCPU38によってレンズ鏡筒10の動作を制御するようにしてもよい。同様に、発光装置20の動作も、発光装置20のCPU24ではなくカメラボディ30のボディCPU38によって制御するようにしてもよい。
【0086】
(5)本実施形態において、撮影画角を記憶する媒体としてカメラボディ30のボディメモリ35を用いる例を説明したが、画像記録用メモリとは異なる記憶媒体に撮影画角を記憶するようにしてもよい。例えば、レンズ鏡筒10のレンズメモリ14に撮影画角を記憶するようにしてもよいし、着脱可能な外部メモリに記憶するようにしてもよい。
【0087】
(6)本実施形態において、レンズ鏡筒10がカメラボディ30に着脱可能なカメラシステムを説明したが、レンズ鏡筒10とカメラボディ30とが一体的に構成されたカメラシステムであってもよい。この場合、発光装置20は、カメラボディ30と一体的に構成してもよいし、着脱式であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 レンズ鏡筒
12 レンズモータ
13 エンコーダ
14 レンズメモリ
15 レンズCPU
20 発光装置
22 発光部
23 モータ
24 CPU
30 カメラボディ
33 撮像素子
34 モニタ
35 ボディメモリ
36 画角記憶ボタン
37 操作ボタン
38 ボディCPU
L 光学系
R 使用範囲
X 枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画角調整が可能な撮影光学系による像を撮像する撮像面を有する撮像部と、
撮影画角情報を記憶する記憶部と、
ユーザー指示に基づいて前記記憶部から前記撮影画角情報を読み出すとともに、前記撮影画角情報に応じて前記撮像面の使用範囲を制御する制御部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記撮影光学系の画角調整範囲を演算し、前記記憶部から読み出した前記撮影画角情報が前記画角調整範囲を超える場合に前記撮像面の前記使用範囲を変更するように制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記撮影光学系がとり得る最大と最小の焦点距離に基づいて前記画角調整範囲を演算することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記撮像部により撮像した画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示した画像に対して範囲設定枠を表示し、該範囲設定枠の大きさにより撮影画角を設定する設定部とを有し、
前記記憶部は、前記設定部へのユーザー指示に基づいて前記撮影画角情報を記憶することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記記憶部は、前記撮像部により過去に撮像した画像を用いたユーザー指示に基づいて前記撮影画角情報を記憶することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
画角調整が可能な光学系を有する鏡筒と、
前記光学系による像を撮像する撮像面を有する撮像部と、
撮影画角情報を記憶する記憶部と、
ユーザー指示に基づいて前記記憶部から前記撮影画角を読み出すとともに、前記撮影画角情報に応じて前記撮像面の使用範囲を制御する制御部と、
を有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のカメラシステムにおいて、
前記制御部は、前記光学系の画角調整範囲を演算し、前記記憶部から読み出した前記撮影画角情報が前記画角調整範囲を超える場合に前記撮像面の前記使用範囲を変更するように制御することを特徴とするカメラシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のカメラシステムにおいて、
前記制御部は、前記光学系がとり得る最大と最小の焦点距離に基づいて前記画角調整範囲を演算することを特徴とするカメラシステム。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、
前記撮像部により撮像した画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示した画像に対して範囲設定枠を表示し、該範囲設定枠の大きさにより撮影画角を設定する設定部とを有し、
前記記憶部は、前記設定部へのユーザー指示に基づいて前記撮影画角情報を記憶することを特徴とするカメラシステム。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、
前記記憶部は、前記撮像部により過去に撮像した画像を用いたユーザー指示に基づいて撮影画角情報を記憶することを特徴とするカメラシステム。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか一項に記載のカメラシステムにおいて、
前記記憶部から読み出した前記撮影画角情報に対応する照射角の光を被写体に照射する発光部を有することを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−176474(P2011−176474A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37778(P2010−37778)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】