説明

撮像装置および撮像方法

【課題】夜景などのように点光源が支配的な被写体であっても、精度よく自動焦点処理を行うことができる撮像装置および撮像方法を得る。
【解決手段】撮像レンズを介して取得された被写体像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、撮像レンズを移動させるレンズ移動手段と、画像信号から得た画像データに応じて焦点を決定する自動焦点検出手段と、を有し、画像データに含まれる輝度成分によって被写体像が点光源被写体であるか否かを判定する点光源検出手段と、被写体像が点光源被写体であるとき撮像素子の駆動条件を変更する撮像素子駆動設定手段と、有する撮像装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動焦点機能を備えた撮像装置および同装置における撮像方法に関するものであって、詳しくは、夜景などのように点光源が支配的な被写体であっても、精度よく自動焦点処理を行うことができる撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像素子を介して取得した被写体に係る画像信号から生成された画像データを用いて、合焦位置を自動的に決定するための情報を生成し、撮像レンズを合焦位置に移動させる自動焦点装置(以下「AF装置」という。)を備えるデジタルカメラ(以下「撮像装置」という。)が知られている。
【0003】
AF装置が行うAF処理には複数の方式があるが、一般的な撮像装置に搭載されるAF装置は、山登りAF方式を用いている(例えば、特許文献1を参照)。この山登りAF方式は、被写体像が受光面に結像した撮像素子から出力される画像信号から、近接する画素の輝度差の積分値を算出して、この積分値を用いて合焦位置を判定する方式である。上記の積分値を「AF評価値」という。
【0004】
撮影レンズの位置が、被写体が合焦する位置にあるとき、撮像素子の受光面に結像した被写体像の輪郭部分はハッキリしているため、この被写体像に係る画像信号の近接画素間の輝度差は大きくなる。よって、合焦状態のときAF評価値は大きくなる。逆に、非合焦状態にあるときは被写体の輪郭部分がぼやけるため、近接画素間の輝度差は小さくなり、AF評価値は小さくなる。
【0005】
山登りAF方式は、上記の原理に基づいて、AF評価値のピーク位置を検出することで被写体に対する焦点を自動的に合わせる方式である。当該方式に係るAF装置は、撮像レンズを移動させながら、所定のタイミングないし一定の時間間隔で、画像信号を取得してAF評価値を算出し、AF評価値が最大値(AF評価値のピーク位置)になるレンズ位置を特定する。このAF評価値が最大値を示すレンズ位置に撮像レンズを移動させることで、被写体に対して自動的に焦点を合わせことができる。
【0006】
上記のように山登りAF方式は、一旦、レンズを移動範囲の全般に亘って移動させ、その移動範囲内で最大のAF評価値が得られるレンズ位置を特定し、この特定した位置までレンズを移動させる。
【0007】
より具体的には、AF動作の開始位置をレンズの移動範囲の中央位置として、まずこの位置までレンズを移動させる。次に、この位置から一定の向き、例えば最近接合焦位置に向けて移動させた後、無限遠合焦位置に向けて反転移動させる。この移動している範囲で、所定のタイミング毎にAF評価値を算出し、最大のAF評価値が得られるレンズ位置を特定する。
【0008】
近年の撮像素子は、解像度が増しており、数百メガ画素を有するものも珍しくはない。撮像素子の画素数が増えると、その画素ピッチは細かくなり、感度も鈍くなる。これを解決するために、撮像素子には、受光面に結像した被写体像を構成する各画素から出力される信号を所定の条件で「加算」して輝度を倍にし、感度を上げてから出力する駆動条件(駆動モード)を備えていることが一般的である。
【0009】
撮像素子の駆動モードのうち、上記のように画素を加算するモードは、LCDにおいて被写体像を表示するモニタリング処理においても用いられる。当該モードでは、画素の加算によって全体の画素数から表示データに用いる画素数が減るので、所定の時間間隔で表示処理を行うモニタリング処理に適しているからである。
【0010】
図21において、一般的な撮像素子の画素の配列の例を示す。図21に示すように、撮像素子10が有する画素配列はベイヤ配列である。この撮像素子10の各画素から読み出される信号を、水平方向と垂直方向でそれぞれ加算することで、後段で処理をする信号の数を減らすことができる。例えば、モニタリング処理に用いる画像データを生成するとき、全ての画素から出力された信号を一つ一つの画像信号として処理をするのではなく、一定の規則に基づいて「加算、間引き」をし、画像信号の数を減らすことができる。図17に、水平方向と垂直方向の2画素加算をする駆動モードが設定されているときの、撮像素子10の信号読出し状態の例を示す。
【0011】
上記のように水平方向の画素と垂直方向の画素をそれぞれ加算すると、被写体によってはAF評価値が異常になる事象が発生する。これは、画素の加算によって、もともとあった画像の空間周波数帯域が加算によって減少するからである。
【0012】
この事象は、昼間の撮影か夜の撮影かによって自動合焦処理に与える影響の度合いが異なる。例えば、昼間の撮影であれば、明るい状況での撮影となるため各被写体のコントラストがハッキリしている状態となる。しかしながら、夜の撮影では、被写体周囲の環境が暗くなるために被写体全体が暗く、例えば、被写体に建物が含まれる場合、居室の窓から漏れる光(照明光など)が、被写体をほぼ支配している状態となる。このような建物から漏れる照明光などは、遠くからみると「点」のように見える。このような、点のように見える被写体が支配的な被写体を、点光源被写体とする。
【0013】
点光源被写体は、コントラストがほとんどない。そのため、点光源被写体から生成したAF評価値の変位は図22に示すように、ピーク位置が判定できない状態になる。しかも、昼間の撮影であれば合焦位置を示すレンズ位置のAF評価値が一番低くなる。これは見た目上、ピントが合わなくなればなるほど、光が膨張していくことが要因である。
【0014】
そこで、フィルタを掛け合わせながらAF評価値を出力させて低輝度時でも精度よくAFすることが可能な撮像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、特許文献2の撮像装置を用いて点光源被写体を撮影しようとすると、画素の加算によって周波数帯域が狭められた上に、フィルタを掛け合わせることになるため、一層、自動的に合焦させることが困難となる。
【0015】
また、高輝度部分(点光源部分)を除去することで上記の現象を回避してAFの精度を向上させる撮像装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、夜の撮影では点光源を除去してしまうと、その周辺の輝度値が低いため、実際に焦点を検出することが困難となる。
【0016】
点光源が支配的になる(飽和している)被写体はコントラストが小さくなるため、AF評価値のピークが検出されず自動的に合焦させることは困難であると考えられている。しかし、撮像素子の水平方向の画素の加算値を減らすことで、通常ではピークが現れないAF評価値であっても、ピークを検出することができる。
【0017】
図23は、水平画素加算数を1画素・2画素・3画素・4画素としたときのそれぞれのAF評価値の変位を示すグラフである。図23に示すように、「1画素」ではAF評価値のピークが生じなくても、水平方向の画素加算値を減らしていくことで、ピークが現れる。
【0018】
このように、点光源写体のようのコントラストが少ない(小さい)被写体において、AF評価値にピークが生じない要因は、点光源そのものよりも画素加算数によるものといえる。しかし、画素加算数を少なくする(画素加算をしないようにする)と、感度が落ちてしまう。よって、感度を落とすことなく、AF評価値のピークが現れるようにすることが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、夜景などのように点光源が支配的な被写体であっても、精度よく自動焦点処理を行うことができる撮像装置および撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る撮像装置は、撮像レンズを介して取得された被写体像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、撮像レンズを移動させるレンズ移動手段と、画像信号から得た画像データに応じて焦点を決定する自動焦点検出手段と、を有し、画像データに含まれる輝度成分によって被写体像が点光源被写体であるか否かを判定する点光源検出手段と、被写体像が点光源被写体であるとき撮像素子の駆動条件を変更する撮像素子駆動設定手段と、有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、点光源被写体であっても、精度よくAF処理をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る撮像装置であるカメラの例を示す正面図である。
【図2】本発明に係る撮像装置であるカメラの例を示す上面図である。
【図3】本発明に係る撮像装置であるカメラの例を示す背面図である。
【図4】上記撮像装置の電気的制御系統の例を示す機能ブロック図である。
【図5】上記撮像装置の表示部に表示される通常のAF枠を示す図である。
【図6】上記撮像装置におけるAF処理の例を示すフローチャートである。
【図7】上記撮像装置における点光源検出処理の例を示すフローチャートである。
【図8】上記撮像装置における駆動モード設定処理の例を示すフローチャートである。
【図9】上記撮像装置におけるAF処理の別の例を示すフローチャートである。
【図10】上記撮像装置におけるAFスキャン処理の例を示すフローチャートである。
【図11】上記撮像装置における駆動モード設定処理の別の例を示すフローチャートである。
【図12】上記撮像装置における輝度検出エリアの例を示す図である。
【図13】上記撮像装置における被写体の輝度分布の例を示すヒストグラムである。
【図14】上記撮像装置における被写体の輝度分布に対して、点光源検出処理に用いる閾値の例を示したヒストグラムである。
【図15】本発明に係る撮像方法を実行するプログラムの構成例を示すブロック図である。
【図16】撮像素子の各画素からの画像信号の読み出しパターンの例を示す図である。
【図17】撮像素子の各画素からの画像信号の読み出しパターンの別の例を示す図である。
【図18】撮像素子の各画素からの画像信号の読み出しパターンのさらに別の例を示す図である。
【図19】撮像素子の各画素からの画像信号の読み出しパターンのさらに別の例を示す図である。
【図20】本発明に係る撮像装置において、画像データの取り込み時のVD信号、レンズのフォーカス駆動タイミング、電子シャッタの電荷掃き出しパルスタイミング、および露光タイミングを示すタイミングチャートである。
【図21】本発明に係る撮像素子が備える撮像素子の画素配列パターンの例を示す図である。
【図22】点光源被写体に係るAF評価値の変位の例を示グラフである。
【図23】撮像素子の水平画素加算数の違いによるAF評価値の変位の例を示すグラフである。
【図24】撮像素子の水平画素加算数の違いによるAF評価値の変位の例であって、(a)水平2画素加算の場合、(b)水平4画素加算の場合、(c)加算なしの場合、を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る撮像装置および撮像方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、本発明に係る撮像装置の外観の例について図1から図3を用いて説明する。図1は本実施例に係る撮像装置1の正面図である。図1において、撮像装置1の筐体であるカメラボディCBの正面には、ストロボ発光部3、ファインダ4の対物面、リモコン受光部6および撮像レンズを含む撮像光学系を構成する鏡胴ユニット7が配置されている。カメラボディCBの一方の側面部には、メモリカード装填室および電池装填室の蓋2が設けられている。
【0024】
図2は、本実施例に係る撮像装置1の上面図である。図2において、カメラボディCBの上面には、レリーズスイッチSW1、モードダイヤルSW2およびサブ液晶ディスプレイ(サブLCD)(以下「液晶ディスプレイ」を「LCD」という。)11が配置されている。
【0025】
図3は、本実施例に係る撮像装置1の背面図である。図3において、カメラボディCBの背面には、ファインダ4の接眼部、AF用発光ダイオード(以下発光ダイオードを「LED」という。)8、ストロボLED9、被写体画像と拡大画像および各種設定画面を表示する表示手段であるLCDモニタ10、電源スイッチ13、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定および解除スイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動およびストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動およびマクロスイッチSW10、左移動および画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、クイックアクセススイッチSW13、が配置されている。
【0026】
次に、本発明に係る撮像装置の機能ブロックの例について説明する。図4は、本実施例に係る撮像装置1の機能構成例を示す機能ブロック図である。本発明に係る撮像装置の各種動作(処理)は、デジタル信号処理IC(集積回路)等で構成されるデジタルスチルカメラプロセッサ104(以下、単に「プロセッサ104」という。)と、プロセッサ104において動作する撮像プログラムによって制御される。画像処理手段であるプロセッサ104は、第1のCCD(電荷結合素子)信号処理ブロック104−1と、第2のCCD信号処理ブロック104−2と、CPU(中央処理ユニット)ブロック104−3と、ローカルSRAM(SRAM:スタティックランダムアクセスメモリ)104−4と、USB(ユニバーサルシリアルバス)ブロック104−5と、シリアルブロック104−6と、JPEGコーデック(CODEC)ブロック104−7と、リサイズ(RESIZE)ブロック104−8と、TV信号表示ブロック104−9と、メモリカードコントローラブロック104−10と、を有してなる。これら各ブロックは相互にバスラインで接続されている。
【0027】
プロセッサ104の外部には、RAW−RGB画像データ、YUV画像データおよびJPEG画像データを保存するためのSDRAM(シンクロナスランダムアクセスメモリ)103、RAM107、内蔵メモリ120および撮像プログラムである制御プログラムが格納されているROM108、が配置されており、これらはバスラインを介してプロセッサ104に接続している。ROM108に格納されている制御プログラムには、本発明に係る撮像装置の動作を制御するプログラムが含まれる。
【0028】
鏡胴ユニット7は、ズーム(ZOOM)レンズ7−1aを有するズーム光学系7−1、フォーカス(FOCUS)レンズ7−2aを有するフォーカス光学系7−2、絞り7−3a、を有する絞りユニット7−3、メカニカルシャッタ(メカシャッタ)7−4aを有するメカシャッタユニット7−4、を備えており、これらによって撮像光学系が構成される。
【0029】
ズーム光学系7−1と,フォーカス光学系7−2と、絞りユニット7−3と、メカシャッタユニット7−4は、それぞれズーム(ZOOM)モータ7−1b、フォーカスレンズ移動手段としてのフォーカス(FOCUS)モータ7−2b、絞りモータ7−3bとメカシャッタモータ7−4b、によって駆動される。
【0030】
ズームモータ7−1b、フォーカスモータ7−2b、絞りモータ7−3bおよびメカシャッタモータ7−4bの各モータは、モータドライバ7−5によって駆動される。モータドライバ7−5はプロセッサ104のCPUブロック104−3によって動作が制御される。
【0031】
鏡胴ユニット7を構成するズームレンズ7−1aとフォーカスレンズ7−2aは、撮像素子であるCCD101の受光面上に被写体像を結像させる撮像レンズを構成する。CCD101は、受光面に結像された被写体像を電気的な画像信号に変換してF/E−IC(フロントエンドIC)102に出力する。
【0032】
F/E−IC102は、CDS(相関2重サンプリング部)102−1、AGC(自動利得制御部)102−2およびA/D(アナログ−デジタル)変換部102−3を有し、被写体像から変換された画像信号に対して、所定の処理を施し、デジタル信号に変換する。変換されたデジタル画像信号は、CCD信号処理ブロック104−1に入力される。これらの信号処理動作は、プロセッサ104のCCD信号処理ブロック104−1から出力されるVD信号(垂直駆動信号)とHD信号(水平駆動信号)により、TG(タイミングジェネレータ)102−4を介して制御される。
【0033】
CCD信号処理ブロック104−1は、CCD101からF/E−IC102を経由して入力されたデジタル画像データに対して、ホワイトバランス調整およびγ調整等の信号処理を行うとともに、VD信号およびHD信号を出力する。
【0034】
プロセッサ104のCPUブロック104−3は、音声記録回路115−1による音声記録動作を制御する。音声記録回路115−1は、マイクロホン(マイク)115−3で変換されマイクロホンアンプ(マイクAMP)115−2によって増幅した音声信号を、CPUブロック104−3の指令に応じて記録する。
【0035】
また、CPUブロック104−3は、音声再生回路116−1の動作も制御する。音声再生回路116−1は、CPUブロック104−3の指令により、適宜なるメモリに記録されている音声信号をオーディオアンプ(オーディオAMP)116−2で増幅してスピーカ116−3に入力し、スピーカ116−3から音声を再生出力する。また、CPUブロック104−3は、ストロボ回路114を制御して動作させることによってストロボ発光部3から照明光を発光させる。
【0036】
さらに、CPUブロック104−3は、プロセッサ104の外部に配置されたサブCPU(SUB−CPU)109にも結合されており、サブCPU109は、LCDドライバ111を介してサブLCD1による表示を制御する。また、サブCPU109は、AF用LED8,ストロボLED9,リモコン受光部6,スイッチSW1からスイッチSW13からなる操作部112およびブザー113にもそれぞれ結合されている。
【0037】
USBブロック104−5は、USBコネクタ122に結合される。シリアルブロック104−6は、シリアルドライバ回路123−1を介してRS−232Cコネクタ123−2に結合される。
【0038】
TV信号表示ブロック104−9は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ10に結合され、また、TV信号表示ブロック104−9は、ビデオアンプ(AMP)118を介してビデオジャック119にも結合される。
【0039】
メモリカードコントローラブロック104−10は、メモリカードスロット191のカード接点に結合されている。メモリカードがこのメモリカードスロット191に装填されると、メモリカードの接点に接触して電気的に接続され、装填されたメモリカードに画像ファイルを記憶する。
【0040】
次に、本発明に係る撮像装置の動作について説明をする。図1から図3に示した撮像装置1において、モードダイヤルSW2を操作し、「記録モード」を選択すると、当該撮像装置1は記録モードでの動作を開始する。より詳しくは、図4に示した操作keyユニット(SW1〜SW13)に含まれるモードダイヤルSW2の状態が記録モード−オンになったことを、サブCPU109を経由してCPUブロック104−3が検知することで、記録モードでの動作が開始する。
【0041】
CPUブロック104−3はモータドライバ7−5を制御し、鏡胴ユニット7を撮像可能な位置に移動させる。さらに、CCD101、F/E−IC102およびLCDモニタ10等の各部に電源が投入されて動作が開始される。各部の電源が投入されると、ファインダモードでの動作が開始する。
【0042】
ファインダモードで動作中の撮像装置1は、撮像レンズを介してCCD101の受光面に結像された被写体像に係る画像信号がCDS102−1に出力される。このアナログRGB信号は、AGC(自動利得制御回路)102−2を介してA/D変換器102−3にてデジタル画像信号に変換される。このデジタル画像信号に含まれるR・G・Bの各信号は、プロセッサ104内の第2のCCD信号処理ブロック104−2が具備するYUV変換手段によって、YUV画像データに変換されて、フレームメモリとしてのSDRAM103に記録される。なお、第2のCCD信号処理ブロック104−2は、RGB画像信号に対してフィルタリング処理等の適切な処理を施してYUV画像データへと変換する。
【0043】
YUV画像データは、CPUブロック104−3によって読み出されて、ビデオ信号表示ブロック104−9を介してビデオアンプ118およびビデオジャック119に送られて、これに接続されたTV(テレビジョン)にて表示される。
【0044】
また、CPUブロック104−3によって読み出されたYUV画像データは、LCDドライバ117を介してLCDモニタ10に送られて表示に供される。この処理が1/30秒間隔で行われて表示が更新され、撮像対象とする被写体をLCDモニタ10の表示によって視認しながら撮像することができるファインダモードでの動作となる。
【0045】
CCD101は複数の駆動モード(駆動条件)を設定することができる。この駆動モードによって、CCD101から出力される画像信号の出力条件を変更することができる。駆動モードには、例えば、『水平画素の「加算と間引き」をせずに、垂直画素の「加算と間引き」もしないモード(以下「モード1」とする。)』、『水平画素を「2画素加算」し、垂直画素を「2画素加算」するモード(以下「モード2」とする。)』、『水平画素を「4画素加算」し、垂直画素を「2画素間引き」するモード(以下「モード3」とする。)』、『水平画素の「加算と間引き」をせず、垂直画素を「4画素加算」とするモード(以下「モード4」とする。)』、がある。
【0046】
モード1は、静止画撮影に使用される。モード1は、全ての画素を出力するので、鮮明な画像をえることができる。しかし、全ての画素からの信号を用いて上記の画像処理を行うことになるので、所定の時間間隔でLCDモニタ10への表示画像データを生成する処理には、不向きである。また、CCD101の全ての画素を一度に(同時に)出力した画像信号を、全部まとめて画像処理をすることができないため、いくつかのフレームに分割して転送をしなければならない。このため、ファインダモードには不向きな動作モードである。
【0047】
そこで、ファインダモードで動作するときのCCD101の駆動モードは、「モード3」に設定する。モード3は、読み出される画素数を減らしつつ、読み出す画素の感度を上げることができるため、ファインダモードには一番適している。なお、モード2とモード4については、後述する。
【0048】
ファインダモードで動作中の撮像装置1において、レリーズボタンSW1が押し下げられると、第1のCCD信号処理ブロック104−1に取り込まれたデジタルRGB画像データを用いて、合焦度合いを示すAF評価値が算出される。AF評価値は、CCD101の受光面に結像した被写体像の合焦度合いを示す指標であって、自動焦点検出手段による焦点検出処理(AF処理)に用いられる。
【0049】
ここで、AF評価値について説明をする。合焦状態にある被写体の画像は、エッジ部分が鮮明になる。そのため、合焦状態にあるときの画像データに含まれる空間周波数の高周波成分は最大になる。AF評価値は、被写体の画像データを用いて算出されるので、例えば、変位量に対する微分値のように、高周波成分の高さを反映した値となる。
【0050】
したがって、AF評価値が極大値となる画像データを取得したフォーカスレンズ7−2aの位置を合焦位置とすることができる。AF評価値の極大点が複数生じることも考慮して、複数の極大点があった場合には、ピーク位置におけるAF評価値の大きさと、その周辺位置のAF評価値の下降度合いまたは上昇度合いも考慮に入れて、最も信頼性があると推定される極大点を合焦位置とすればよい。
【0051】
AF評価値の算出に用いられる画像データには、ハイパスフィルタが適用される。これによって、画像データに含まれる高周波成分を鮮明にすることができる。ハイパスフィルタには、例えば(−1、2、−1)のフィルタを用いる。このフィルタを画像データの水平方向に掛け合わせて積算した値がAF評価値となる。
【0052】
またAF評価値の算出に用いる画像データは、全画素領域のものではなく、デジタルRGB画像データ内の特定の範囲(AF処理エリア)のものを用いればよい。図5はファインダモードで動作しているときのLCDモニタ10に表示される画像面の例を示している。図5において、LCDモニタ10の中心部に表示されている枠内が撮像装置1におけるAF処理エリアである。このAF処理エリアは、例えばRGB画像データの画面内の中央の水平方向の40%および垂直方向の30%を、その範囲として設定している。
【0053】
次に、AF処理時におけるフォーカスレンズ7−2aの駆動タイミングとAF評価値の取得タイミングの関係について説明する。フォーカスレンズ7−2aは、1回のVD信号ごとに移動する。この移動量(フォーカス駆動量)は、例えばフォーカスモータ7−2bがパルスモータである場合は、所定の駆動パルス数に応じた量となる。
【0054】
VD信号パルスの立下りに対応して、所定のパルスレートで所定の駆動パルス数だけフォーカスレンズ7−2aを駆動することで、1回のフォーカスレンズ駆動は終了する。次に出力されるVD信号パルスの立下りに対応して再度、所定のフォーカス駆動を行なう。このようにフォーカス駆動をVD信号(すなわちフレーム周期)に同期させて行う。
【0055】
図20はAF処理時におけるフォーカスレンズ7−2aの移動タイミングとAF評価値の取得タイミングの関係を示すタイミングチャートの例である。図20において、あるフレームレートで画像データの取り込みを行う場合のVD信号を(a)、電子シャッタにおける電荷掃き出しパルス(SUB)のタイミングを(b)、露光タイミングを(c)、フォーカスレンズ7−2aの移動タイミングを(d)、として示している。
【0056】
図20において、1つ目のVD信号(a)が発生すると、それをトリガーとして、フォーカスモータ7−2bを駆動するパルスが2つ生成され(d)、このパルスに応じてフォーカスレンズ7−2aが移動する。また、VD信号(a)をトリガーとして電荷掃き出しパルス(b)が所定数発生し、この電荷掃き出しパルス(b)の数に応じて、CCD101に帯電している電荷の掃き出し処理が行われる。電荷掃き出し処理が終了した後に露光処理(c)が行なわれる。露光処理(c)によって、撮像レンズを介して被写体の映像が画像データとして取り込まれる。取り込まれた画像データを用いて所定の演算によってAF評価値が算出される。
【0057】
上記駆動パルス数は可変であって、焦点距離や、フォーカスレンズ繰り出し量(フォーカス駆動範囲)などに応じて変化する。このように、本実施例におけるAF処理は、VD信号に同期してフォーカスレンズ7−2aの駆動範囲内において行うようになっている。
【0058】
上記にて説明をした自動焦点検出処理(AF処理)の実施形態は、本発明に係る撮像装置が備える制御プログラムによって実行される処理である。この自動焦点検出処理(AF処理)を実行するプログラムは、図4に示したROM108に格納されている。ここで、ROM108に格納される制御プログラムの例について説明する。図15は、ROM108に格納される制御プログラム、すなわち、本発明に係る撮像装置が備える機構を用いて、本発明に係る撮像方法を実行するプログラムの構成例を示す機能ブロック図である。
【0059】
図15において、制御プログラムには、駆動設定処理部(108−1)、点光源検出処理部(108−2)、焦点検出処理部(AFスキャン処理部)(108−3)、合焦位置決定処理部(108−4)、合焦位置移動処理部(108−5)、が含まれる。
【0060】
駆動設定処理部(108−1)は、CCD101の動作モードを変更する処理を行う。
【0061】
点光源検出処理部(108−2)は被写体環境が点光源(が支配的な)環境かどうかを検出する処理を行う。
【0062】
焦点検出処理部(108−3)はフォーカスレンズ7−2aを移動させながら順次算出されるAF評価値のピーク位置を判定する処理を行う。
【0063】
合焦位置決定処理部(108−4)は、焦点位置検出処理部(108−3)において検出されたピーク位置に応じて、最終的な合焦位置を決定する処理を行う。
【0064】
合焦位置移動処理部(108−5)は、合焦位置決定処理部(108−4)において決定された位置へフォーカスレンズ7−2aを移動させるためにフォーカスモータ7―2bを駆動させる処理を行う。
【0065】
次に、本発明に係る撮像方法の実施例について説明する。本実施例において説明する撮像方法は、上記の駆動設定処理部(108−1)、点光源検出処理部(108−2)、AFスキャン処理部(108−3)、合焦位置決定処理部(108−4)、合焦位置移動処理部(108−5)によって実行される。
【0066】
まず、図6のフローチャートを用いて、撮像装置1において実行されるAF処理について説明をする。最初にレリーズボタンSW1が押下されているか否かを判定する処理が行なわれる(6−1)。レリーズボタンSW1が押下されている場合は点光源検出処理(6−2)が行なわれる。レリーズボタンSW1が押下されていない場合は、AF処理を終了する。
【0067】
点光源検出処理(6−2)の結果に応じて、CCD101の駆動モードを変更する駆動モード設定処理が行なわれる(6−3)。次に、設定された駆動モードに応じてCCD101からの画像信号読み出し条件に基づき、AFスキャン処理が行なわれる(6−4)。点光源検出処理(6−2)、駆動モード設定処理(6−3)、AFスキャン処理(6−4)の詳細については後述する。
【0068】
AFスキャン処理(6−4)によって判定されたAF評価値のピークの位置に基づいて合焦位置決定処理が行なわれる(6−5)。当該処理は、AFスキャン処理(6−4)において、AF評価値のピークが検出されているときは、そのピーク位置を合焦位置として決定する。また、AFスキャン処理(6−4)において、AF評価値のピーク位置が検出されていなければ、「AFNG」として、予め規定した位置(NG位置)を合焦位置として決定する。NG位置とは、例えば、およそ2.5m程度離れた被写体に合焦するフォーカスレンズ7−2aの位置である。
【0069】
最後に、決定された位置にフォーカスレンズ7−2aを移動させる合焦位置移動処理が行なわれる(6−6)。
【0070】
次に、点光源検出処理(6−2)の詳細について、図7のフローチャートを用いて説明する。当該処理は、被写体が「点光源被写体」であるか否かを、当該被写体の輝度の分布によって判定する処理である。まず、輝度演算処理(7−1)を行う。この処理は、いうなれば被写体の明るさを判定するための処理である。CCD信号処理ブロック104−2のYUV変換手段によって生成されたYUV画像データを、縦16個・横16個の計256エリアに分割する。分割されたYUV画像データの例を図12に示す。
【0071】
輝度演算処理(7−1)は、図12に示すような分割されたエリア(輝度検出エリア)において、各輝度検出エリア内でのY(輝度)値の平均(最大値255で正規化した輝度値)を算出する処理である。Y値の平均が、予め規定する所定の閾値(例えば60)以下であるとき(7−2のYES)、輝度値の分布(ヒストグラム)を作成する(7−3)。
【0072】
図13は、処理7−3によって作成された分布に基づくヒストグラムの例である。横軸が正規化された輝度値を示し、縦軸が画素数を示している。図13は、被写体が点光源被写体であるときの輝度値の分布の例を示している。閾値YOよりも輝度が低い画素が非常に多い。それに比べて輝度が高い画素は少ない。
【0073】
よって、このヒストグラム(図13)を用いて、当該被写体が点光源被写体であるか否かを判定する(7−3)。判定処理は、複数の指標を用いて行われる。図14において、判定処理(7−4から7−6)に用いる指標の例をヒストグラムに重ね合わせた状態で示す。
【0074】
まず、低い輝度を示す画素数がある程度の数以上あるか否かを判定する(7−4)。この処理には、輝度の閾値Y1と画素数の閾値αを用いる。輝度Y1以下の画素数がαパーセント以上あれば(7−4のYes)、続く判定処理に移行する。当該条件を満たさなければ(7−5のNo)、当該被写体は点光源被写体ではないと判定し(7−8)、点光源検出処理を終了する。
【0075】
続く判定処理(7−5)においては、輝度の閾値Y2と画素数の閾値βを用いる。輝度Y2以上の画素数がβパーセント未満であれば(7−5のYes)、続く判定処理に移行する。当該条件を満たさなければ(7−5のNo)、当該被写体は点光源被写体ではないと判定し(7−8)、点光源検出処理を終了する。
【0076】
続く判定処理(7−6)においては、輝度の閾値Y1とY2、画素数の閾値γを用いる。閾値Y1以上閾値Y2以下の輝度の画素数がγパーセント以下であれば(7−6のYes)、当該被写体は点光源被写体であると判定する(7−7)。当該条件を満たさなければ(7−6のNo)、当該被写体は点光源被写体ではないと判定し(7−8)、点光源検出処理を終了する。
【0077】
前述のとおり、被写体のほとんどが点光源になっているとき、当該被写体像全体の輝度値の平均値は低くなる。また、各画素の分布において、輝度が低い画素が多く、輝度が高い画素が「点光源に相当する分だけ」存在する状態となって、中間の輝度の画素がほとんど存在しない状態となる。よって、上記の処理7−4から7−6の条件判定によって、点光源被写体であるか否かを判定することができる。
【0078】
次に、駆動モード設定処理(6−3)の詳細について、図8のフローチャートを用いて説明する。処理6−2において点光源被写体と判定されたときは(8−1のYes)は、CCD101の駆動モードとして「モード2」を選択する(8−2)。処理6−2において点光源被写体と判定されていないときは(8−1のNo)は、CCD101の動作モードとしてデフォルトのモード(モード3)を選択する(8−4)。次に、選択された駆動モードのCCD101に設定し(8−3)、駆動モード設定処理(6−3)を終了する。
【0079】
モード3が設定されたCCD101は、「水平4画素加算・垂直2画素間引き」による画像信号を出力する。一方、モード2が設定されたCCD101は、「水平2画素加算・垂直2画素加算」による画像信号を出力する。モード2が設定されたときは、4画素を1つの画素として画像信号が出力されるので、画像データ上の画素数は、CCD101が有する画素数とは異なる。しかし、撮像素子の感度としては同じになる。
【0080】
ここで各動作モードの違いによって生じるAF評価値の変位について図24を用いて説明する。図24は同じ被写体に対して水平画素の加算数を変化させたときに算出されるAF評価値の変位の例を示すグラフである。図24において、横軸はレンズ位置、縦軸はAF評価値である。図24(a)は2画素加算の例、図24(b)は4画素加算の例、図24(c)加算なしの例、をそれぞれ示している。
【0081】
図24(c)に示すように、レンズ位置のほぼ中央でAF評価値のピークが生じるような状態であっても、図24(b)の4画素加算(モード3相当)では、同じレンズ位置にAF評価値のピークが生じずに、むしろ一番低くなってしまうのに対し、図24(a)に示すように2画素加算においては、AF評価値のピークが同じレンズ位置で生ずる。このように水平画素加算の画素数を可変させることで、点光源被写体であっても精度よくAF処理を行うことができるようになる。
【0082】
モード3、モード4とモード2の違いは加算方式のほか、総画素数が異なる。そのため、モード2はモード3に比べて画像信号の転送処理により時間がかかる。よって、ファインダモード(30fps)はモード3で駆動するので、これに比べてモード2は、フレームレートが遅くなる。しかし、フレームレートが遅くなることに対しては、垂直側の画素を間引くことで対処することができる(同じフレームレートにすることができる)。
【0083】
次に、AFスキャン処理(6−4)の詳細について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、CCD101は、当該処理の前に処理6−3において駆動モードが設定された状態になっている。
【0084】
まず、フォーカスレンズ7−2aをAFスキャン開始位置へと移動する(10−1)。AFスキャン開始位置はAFスキャン処理におけるフォーカス駆動の方向によって異なる。ここでは例えば、至近側から無限遠側に向かう方向をフォーカス駆動方向とする。この場合は、まず、至近側が開始位置となる。至近位置(至近側の開始位置)は焦点距離や、レンズの特性によって差が生じる。例えば、30cmを至近位置とする。
【0085】
つぎに、VD信号の立ち下がりが検出されるまで処理を待つ(10−2)。VD信号の立ち下がりが検出されたとき、所定パルス数に応じてフォーカスモータ7−2bを駆動して、フォーカスレンズ7−2aを移動させる(10−3)。
【0086】
フォーカスレンズ7−2aを移動させたところで画像信号を取得する。ここで取得される画像信号は、駆動モード設定処理(図6の6−3)において設定された駆動モードで駆動するCCD101によるものである。この画像信号に基づく画像データによって、AF評価値を算出する(10−4)。
【0087】
続いて、算出されたAF評価値のピーク位置を検出する処理を行う(10−5)。この処理はAF評価値の極大値を検出する処理である。続いて、AF評価値のピークが検出されたか否かの判定を行う(10−6)。AF評価値のピークが検出されていないときは(10−6のYes)、現在のフォーカスレンズ7−2aの位置が、終了位置であるか否かの判定を行う(10−7)。フォーカスレンズ7−2aの位置が終了位置でなければ(10−7のNO)、処理は「VD信号待ち(10−2)」まで戻って、再度上記の処理を繰り返してAF評価値のピーク検出を行う。ピーク位置検出処理(10−5)においてピーク検出がされている場合(10−6のNo)はAF処理を終了する。
【0088】
以上説明した実施例1によれば、被写体が点光源被写体であると判定されたとき、撮像素子の駆動モードをデフォルトのモードから、より感度がよく輝度が大きくなるモードに変更をしてから、AF処理を行うことができる。これによって、従来のAF処理では、AF評価値のピークを検出できず合焦位置を特定できなかったような点光源被写体であっても、精度よく自動的に合焦することができる。
【0089】
次に、本発明に係る撮像方法の別の実施例について説明する。まず、本実施例に係るAF処理について図9のフローチャートを用いて説明する。レリーズボタンSW1が押下されているか否かを判定する処理が行なわれて(9−1)、レリーズボタンSW1が押下されている場合は(9−1のYES、)点光源検出処理(9−2)が行なわれ、レリーズボタンSW1が押下されていない場合は(9−1のNO)、AF処理を終了する。
【0090】
点光源検出処理(9−2)の結果に応じて、CCD101の駆動モードを変更する駆動モード設定処理が行なわれる(9−3)。次に、設定された駆動モードに応じてCCD101からの画像信号読み出し条件に基づき、AFスキャン処理が行なわれる(9−4)。
【0091】
点光源検出処理(9−2)と、AFスキャン処理(9−4)は、すでに説明をした実施例の点光源検出処理(6−2)、AFスキャン処理(6−4)と同様であるから、説明を省略する。先の実施例とは異なる駆動モード設定処理(9−3)の詳細については後述する。
【0092】
AFスキャン処理(9−4)によってAF評価値のピークが検出されているか、または、駆動モード設定処理(9−3)において設定された駆動モードがモード4の場合は(9−5のYES)、AFスキャン処理(9−4)によって判定されたAF評価値のピークの位置に基づいて合焦位置決定処理が行なわれる(9−6)。当該処理では、AF評価値のピークが検出されている位置を合焦位置と決定する。
【0093】
またAFスキャン処理(9−4)において、AF評価値のピーク位置が検出されていなければ、「AFNG」として、予め規定した位置(NG位置)を合焦位置と決定する。NG位置は例えば、およそ2.5m程度離れた被写体に合焦するフォーカスレンズ7−2aの位置とする。
【0094】
最後に、フォーカスレンズを合焦位置へ移動させる処理を行う(9−7)。そうでない場合(9−5のNO)の場合は、駆動モードを再設定し(9−3)再度AF処理を実行する。
【0095】
ここで、駆動モード設定処理(9−3)の詳細について、図11のフローチャートを用いて説明する。点光源検出処理(9−2)において点光源被写体と判定されたとき(11−1のYes)、すでにAF処理を実行している状態ではないか否かを判定する(11−2)。すでにAF処理を実行している状態でないときは(11−2のYes)、CCD101の駆動モードとして「モード2」を選択する(11−3)。
【0096】
すでにAF処理を実行しているときは(11−2のNO)、駆動モードを「モード2」に設定しても、AF評価値のピークを検出することができなかったことになる。そこで、すでにAF処理を実行しているときは(11−2のNO)、駆動モードとして「モード4」を選択する(11−5)。点光源検出処理(9−2)において点光源被写体と判定されなかったときは(11−1のNo)は、駆動モードとして「モード3」を選択する(11−6)。選択された駆動モードを設定して(11−4)、駆動モード設定処理(9−3)を終了する。
【0097】
撮像素子であるCCD101の駆動モードは、デフォルトがモード3である。モード3は、水平4画素加算、垂直2画素間引きで動作をさせるモードであり、加算される画素数は4画素である。一方、モード2は「水平2画素加算、垂直2画素加算」であるため、加算される画素数は4画素(2×2)である。また、モード4は「水平画素加算なし、垂直4画素加算」であるため、加算される画素数はモード2とモード4では異なるが、モード2とモード4は、撮像素子の感度としては同じである。
【0098】
すでに説明をしたとおり、CCD101に設定される駆動モードによって、算出されるAF評価値の変位特性は異なる(図24参照)。よって、水平画素加算の画素数を変更することで、点光源被写体であっても、高精度のAF処理をすることができる。
【0099】
以上説明した実施例によれば、点光源が判定された場合に、水平画素加算数を変更してAF処理を行うことで、従来はピーク検出ができなかった点光源被写体に対して精度よくピーク検出することが可能となる。また、その加算数を適宜変更していくことで、ピーク検出が困難な被写体でもより精度よくAF処理を実行することが可能となる。
【0100】
以上のように、本発明に係る撮像装置によれば、コントラストの弱い被写体や、点光源が支配的な被写体であっても、撮像素子の駆動モードを変更して、水平画素加算数を変更することで、精度のよい合焦処理をすることができる。
【符号の説明】
【0101】
101 CCD
108 制御プログラム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特公昭39−5265号公報
【特許文献2】特許第4679179号公報
【特許文献3】特許第4553570号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズを介して取得された被写体像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、
前記撮像レンズを移動させるレンズ移動手段と、
前記画像信号から得た画像データに応じて焦点を決定する自動焦点検出手段と、を有する撮像装置であって、
前記画像データに含まれる輝度成分に基づいて被写体が点光源被写体であるか否かを判定する点光源検出手段と、
前記被写体が点光源被写体であると判定されたとき、前記撮像素子の駆動条件を変更する駆動モード設定手段と、を有する撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子の駆動条件は、前記撮像素子の水平方向と垂直方向に関する画素加算数と画素間引き数であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子の駆動条件は、前記撮像素子の水平方向の画素加算数であることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記駆動モード設定手段は、
前記駆動条件を変更した後に前記自動焦点検出手段が焦点を検出できないとき、前記駆動条件を変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記点光源検出手段は、前記輝度成分の分布を用いて、点光源被写体であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像レンズを介して取得された被写体像に応じた画像信号を出力する撮像素子と、前記撮像レンズを移動させるレンズ移動手段と、前記画像信号から得た画像データに応じて焦点を決定する自動焦点検出手段と、を有する撮像装置において実行される撮像方法であって、
前記画像データに含まれる輝度成分に基づいて被写体が点光源被写体であるか否かを判定するステップと、
前記被写体が点光源被写体であると判定されたとき、前記撮像素子の駆動条件を変更するステップと、を有することを特徴とする撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図14】
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【図17】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−88440(P2013−88440A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225463(P2011−225463)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】