説明

撮像装置と電子機器

【課題】磁性球体から離れた可動枠をベースに吸着保持させることのできる撮像装置と電子機器を提供する。
【解決手段】ベース11と、撮像素子と、撮像素子を追従移動させて被写体像の移動による像振れを防止する補正機構とを備え、補正機構は、撮像素子を保持する可動枠30と、この可動枠30を移動可能に吸着保持する吸着保持手段と、可動枠をX,Y方向へ移動させるX,Y移動手段とを有し、吸着保持手段は、可動枠30に設けた鉄板37〜39と、ベース11に設けた磁石板Mg1〜Mg3と、鉄板37〜39と磁石板Mg1〜Mg3との間の鉄球Q1〜Q3とを有し、鉄板37〜39を鉄球Q1〜Q3を介して磁石板Mg1〜Mg3に吸着させることにより可動枠30をベース11に吸着保持させ、鉄板鉄板37〜39が鉄球31〜39から離間している際、X,Y移動手段により可動枠30を所定方向へ移動させたとき、可動枠30をベース側へ移動させるガイド傾斜面20Gをベース11に、傾斜面36を可動枠30に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手振れによる像振れの補正を行う補正機構を備えた撮像装置と、この撮像装置を搭載した電子機器とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタルスチルカメラに搭載した像振れの補正を行う補正機構が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる補正機構は、撮像素子を保持するとともにカメラ本体のベースに左右(X方向)及び上下(Y方向)に移動可能に取り付けた可動枠と、この可動枠をX,Y方向へ移動させるために可動枠に設けたX,Yコイルなどとを有している。
【0004】
可動枠は、ガタによって光軸(Z軸)方向にずれてしまうことがないように、すなわちベースから離間してしまうことがないように、磁気によってベースに吸着されるようになっているとともに、X,Y方向に移動可能となっている。
【0005】
これは、可動枠に磁性板を設け、この磁性板に対向したベースの位置に非磁性体のボール受板を設け、このボール受板の裏面にマグネットを取り付けるとともに鉄球をボール受板と磁性板との間に介在させ、ボール受板及び鉄球を介して磁性板をマグネットに吸引させることによりベースに可動枠を吸着保持させるとともに、鉄球により可動枠がX,Y方向に移動できるようにしたものである。
【0006】
マグネットの磁気を大きくして吸引力を大きくすると、可動枠のX,Y方向の移動がスムーズに行われず手振れ補正動作の妨げとなるので、マグネットによる吸引力を小さく設定している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、落下などの衝撃を受けると、可動枠が鉄球(磁性球体)から離れてベースに吸着保持されなくなってしまう場合がある。
【0008】
そこで、中心位置矯正係止レバーとこの中心位置矯正係止レバーを駆動させるモータとを設けて、鉄球から離間した可動枠をベースに吸着保持させるようにしている。
【0009】
この発明の目的は、中心位置矯正係止レバーやモータなどを設けずに、磁性球体から離れた可動枠をベースに吸着保持させることのできる撮像装置とこの撮像装置を組み込んだ電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、撮影光学系が装着される本体ケースに設けられたベースと、
前記撮影光学系によって結像される被写体像を受光する撮像素子と、
前記本体ケースに生じた手振れによる前記撮像素子上の被写体像の移動に応じて、前記撮影光学系の光軸をZ軸方向としこれに直交するX−Y平面内で前記撮像素子を追従移動させて前記被写体像の移動による像振れを防止する補正機構とを備えた撮像装置であって、
前記補正機構は、前記撮像素子を保持するとともにベース前面側に配置される可動枠と、この可動枠を前記X−Y平面内で移動可能に吸着保持し且つ3つの頂点を結ぶことで三角形が形成される各頂点位置に配置された吸着保持手段と、前記可動枠をX方向へ移動させるX移動手段と、可動枠をY方向へ移動させるY移動手段とを有し、
前記各吸着保持手段は、前記ベースと可動枠のどちらか一方に設けた磁性受板と、他方に設けた磁石板と、この磁性受板と磁石板との間に介在された磁性球体とを有し、前記磁性受板を磁性球体を介して磁石板に吸着させることにより前記可動枠をベースに吸着保持し、
前記3つの吸着保持手段のうち少なくとも1つの前記磁性受板が磁性球体から離間している際に、前記X,Y移動手段のどちらか一方により前記可動枠を所定方向へ移動させたとき、該可動枠の移動とともに該可動枠をベース側へ移動させて、前記磁性球体から離間した磁性受板を該磁性球体へ吸着させるガイド手段を前記三角形内に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、中心位置矯正係止レバーやモータなどを設けなくても磁性球体から離れた可動枠をベースに吸着保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施例におけるデジタルスチルカメラの外観を示し、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【図2】デジタルカメラのレンズ鏡胴の固定筒を示す正面図である。
【図3】ベースに可動枠が取り付けられた状態を示した正面図である。
【図4】ベースに可動枠が取り付けられた状態を示した側面図である。
【図5】ベースを示した正面図である。
【図6】図5のE−E線に沿う断面図である。
【図7】図5のA−A線に沿う断面図である。
【図8】可動枠を示した正面図である。
【図9】図8に示す可動枠のB−B線に沿う断面図である。
【図10】図3のC−C線に沿う断面図である。
【図11】図3のD−D線に沿う断面図である。
【図12】衝撃を受けたときの可動枠の移動状態を示した説明図である。
【図13】可動枠を移動させたときの状態を示した説明図である。
【図14】可動枠がベースに吸着保持された状態を示した説明図である。
【図15】図13に示すベースと可動枠の位置関係を示した説明図である。
【図16】衝撃を受けたときの可動枠の他の移動状態を示した説明図である。
【図17】図16に示す可動枠を移動させたときの状態を示した説明図である。
【図18】第2実施例の構成を示した説明図である。
【図19】衝撃によって鉄球が壁から飛び出でないことを示す説明図である。
【図20】第2実施例の他の例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明に係る撮像装置を搭載した電子機器であるデジタルスチルカメラの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0014】
[第1実施例]
図1にデジタルスチルカメラを示す。このデジタルスチルカメラのカメラ本体の上面には、レリーズスイッチ(レリーズシャッタ)SW1、モードダイヤルスイッチSW2、およびサブLCD(液晶ディスプレイ)1が配設されている。
【0015】
また、カメラ本体の正面には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット7、光学ファインダ4、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモートコントロール受光部6が設けられている。
【0016】
カメラの背面には、電源スイッチSW13、LCDモニタ1’、AFLED8、ストロボLED9、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定・解除するセルフタイマスイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動・ストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動・マクロスイッチSW10、左移動・画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、手ぶれ補正スイッチSW14が設けられている。カメラ本体の側面にはメモリカード/電池装填室の蓋2が設けられている。
【0017】
デジタルスチルカメラの各部材の機能および作用は公知であるので、その説明は省略する。
【0018】
図1に示す鏡胴ユニット7は、図2に示す固定筒10と、この固定筒10内に光軸方向(紙面に対して垂直方向)に沿って進退可能に設けた可動筒(図示せず)と、可動筒に設けた撮影光学系などとを有している。可動筒は図示しない進退機構によって進退するようになっている。
【0019】
固定筒10はカメラ本体に取り付けられたベース11に固定され、ベース11には、図3および図4に示すように、可動枠30が光軸(Z軸)と直交する面内のX,Y方向に移動可能に装着されている。ベース11には電子部品が搭載される基板部を一体形成しているが、ここでは、基板部を省略したベース11を図3及び図4に概略的に示す。以下、同様にベース11は説明の便宜上概略的に示す。
【0020】
可動枠30には撮像素子31が接着剤Sによって固定され、この可動枠30は手振れによる像振れを防止する補正機構50によってX,Y方向へ移動される。
[ベース]
ベース11は、図5に示すように、四角形状の開口12を有し、この開口12の下縁部12aには上方(Y軸方向)に突出した支持部13が形成され、この支持部13に磁石板Mg1が取り付けられており、磁石板Mg1には磁性球体である鉄球Q1が磁気により吸着保持されている。
【0021】
ベース11の下部11Bには、図6に示すように、光軸方向に突出した突起14が形成され、突起14の先端にはY軸方向に延びた規制部である規制部材15が設けられている。規制部材15とベース11との間は所定距離H1に設定されている。
【0022】
ベース11の開口12の上縁部12bには凹部16(図5参照)が形成され、ベース11の上部11Cには、図6及び図7に示すように、光軸方向に突出した突起18が形成され、この突起18の上部に下方(図5において)へ延びたアーム部119が形成されている。このアーム部19の先端部には、図7に示すように、断面が矩形状のガイド部20が形成され、このガイド部20の右側面(図7において)には凹部16に臨むようにガイド手段であるガイド傾斜面(テーパ面:当接部)20Gが形成されている。
【0023】
また、ベース11の凹部16の両側には、図5に示すように、凹部16を挟むように磁石板Mg2,Mg3が取り付けられており、この磁石板Mg2,Mg3には磁性球体である鉄球Q2,Q3が磁気により吸着保持されている。そして、3つの鉄球Q1〜Q3を結ぶ線で形成される2等辺三角形内にガイド部20が入るようにアーム部19の長さなどが設定されている。
【0024】
ベース11の上部11Cの磁石板Mg2,Mg3の両側には、図7に示すように、光軸方向に突出した突起21,22が形成され、この突起21,22の上部には内方に延びた規制部である規制部材23,24が設けられている。規制部材23,24とベース11との間は所定距離H1に設定されている。
[可動枠]
可動枠30は、図8に示すように、撮像素子31を取り付けた開口30Aを有する矩形状を呈した板状の枠体である。可動枠30の下部(図8において)には下方に突出した突起32が形成され、可動枠30の上部の両側部には側方に突出した突起33,34が形成されている。また、可動枠30の上部には左側(図8において)へ偏った位置に凹部35が形成され、この凹部35の右側(図8において)の縁部35aには、図9に示すように、斜め上方に向くようにガイド手段である傾斜面(テーパ面:当接部)36が縁部35a全体に亘って形成されている。
【0025】
縁部35aの長さすなわち凹部35の深さは可動枠30が移動可能とされる距離より大きく設定されている。
【0026】
可動枠30の下部の後面には、突起32の上方位置(図8において)に磁性受板である鉄板37が取り付けられている。また、可動枠30の上部の裏面には、図9に示すように磁性受板である鉄板38,39が取り付けられている。
【0027】
可動枠30の下部の前面には、可動枠30をX方向へ移動させるためのコイル40と、可動枠30の左側の前面には、可動枠30をY方向へ移動させるためのコイル41とが設けられている。
【0028】
可動枠30の鉄板37〜39は、図3及び図4に示すように、ベース11の磁石板Mg1〜Mg3と対向する位置に設けられており、可動枠30の突起32〜34はベース11の規制部材15,23,24と対向する位置に設けられている。
[可動枠の保持]
可動枠30の突起32〜34は、図3,図4及び図10に示すように、ベース11の規制部材15,23,24の下方(図4において)に配置され、可動枠30の鉄板37〜39が鉄球Q1〜Q3を介して磁石板Mg1〜Mg3に吸着され、可動枠30はベース11に吸着保持された状態となっている。そして、鉄板37〜39と鉄球Q1〜Q3と磁石板Mg1〜Mg3とで3つの吸着保持手段が構成されている。
【0029】
可動枠30は、鉄球Q1〜Q3を介してベース11に保持された状態となっていることにより、X,Y方向へ移動可能となっている。
【0030】
ところで、図11に示す可動枠30の突起33,34と規制部材23,24との間の離間距離はL1に設定され、同様に、可動枠30の突起32と規制部材15(図10参照)との間の離間距離もL1に設定され、この離間距離L1は、ベース11のガイド傾斜面20Gの高さH2より小さく設定されている。そして、H1=磁石板Mgの厚さ+鉄球Qの直径+可動枠30の厚さ+L1であり、離間距離L1は可動枠30の厚さより小さく設定されている。
[補正機構]
可動枠30のX,Y方向への移動は、コイル40,41に電流を流すことによって行うが、これは、コイル40,41を挟む込む位置に一対のX磁石(図示せず)と一対のY磁石(図示せず)が設けられていることによって行われる。一対のX,Y磁石の一方の磁石がベース11に設けたヨーク(図示せず)に設けられ、他方のX,Y磁石が固定筒10側に設けられている。そして、コイル40と一対のX磁石とでX移動手段が構成され、コイル41と一対のY磁石とでY移動手段が構成される。
【0031】
前記ヨークには可動枠30のX,Y位置を検出するためX,Y位置検出用マグネット(図示せず)が固着され、X,Y位置検出用マグネットを検知するX,Y磁気センサ(図示せず)が可動枠30に設けられている。
【0032】
また、カメラ本体側にはジャイロセンサ(図示せず)が設けられており、このジャイロセンサの出力に基づいて、演算制御装置(図示せず)が撮像素子31の目標位置を求め、この目標位置と実際の撮像素子31の原点位置との差がなくなるように演算制御装置はコイル40,41に電流を流し、可動枠30をX,Y方向へ移動させて手振れによる像振れを防止する。
【0033】
そして、コイル40,41と、一対のX,Y磁石と、X,Y位置検出用マグネットと、X,Y磁気センサと、演算制御装置などとで補正機構50が構成され、この補正機構50は特開2007−114486号や特開2010−231168号公報にその構成と動作が詳細に記載されているので、ここではその詳細な説明は省略する。
【0034】
また、ベース11と、可動枠30と、撮像素子31と、補正機構50とで撮像装置が構成される。
[動 作]
次に、上記のように構成される撮像装置の動作について説明する。
【0035】
図4及び図11に示すように、可動枠30が磁石板Mg1〜Mg3によりベース11に吸着保持されているとき、撮像装置に所定以上の衝撃が加わり、図12に示すように可動枠30の突起34がベース11の規制部材24に当接した状態にある場合、可動枠30のコイル40に電流を流して可動枠30を左方向(図12において)へ移動させる。
【0036】
可動枠30の左方向への移動により、図13に示すように、ベース11のガイド部20のガイド傾斜面20Gに可動枠30の傾斜面36が当接する。可動枠30がさらに左方向へ移動すると、可動枠30の傾斜面36がベース11のガイド傾斜面20Gに案内されて、可動枠30に矢印P1で示す方向の力が働き、鉄球Q2を支点にして可動枠30は時計回りに回動し、図14に示すように、可動枠30は磁石板Mg1〜Mg3によりベース11に吸着保持されることになる。
【0037】
この場合、ベース11のガイド部20は、図15に示すように、3つの鉄球Q1〜Q3を結ぶ三角形内に入っていることにより、ガイド部20は、可動枠30の三点(Q1〜Q3の位置)をP1方向に押すことになる。このため、可動枠30は磁石板Mg1〜Mg3によって確実にベース11に吸着保持されることになる。
【0038】
可動枠30が図14に示す位置まで移動すると、これ以上可動枠30は左方向へ移動しないことになる。図14に示す可動枠30の原点位置と光軸位置との間のX方向の距離は、手振れによるX方向の像の最大ぶれ量より大きく設定されている。
【0039】
また、可動枠30の撮像素子31の原点位置(中心位置)が光軸からY方向にずれている可能性がある。このため、例えば、可動枠30をY方向へ移動できる位置まで移動させる。すなわち、可動枠30の突起32がベース11の突起14(図10参照)に当接するまで移動させる。
【0040】
つまり、可動枠30の突起32がベース11の突起14に当接する位置を可動枠30のY方向の基準位置とし、図14に示す可動枠30の位置をX方向の基準位置とする。これら基準位置は予め設定することができるので、これら基準位置から可動枠30を右方向(図14において:X方向)に所定距離移動させるとともに、可動枠30を上方(図3において:Y方向)へ所定距離移動させることにより、撮像素子31の原点位置を光軸に一致させることができる。この一致後に補正機構50によって手振れ補正を行うようにする。
【0041】
可動枠30が図4及び図11に示す状態から衝撃によって、図16に示すように可動枠30の突起33がベース11の規制部材23に当接する状態になったとき、上記と同様に、可動枠30のコイル40に電流を流して可動枠30を左方向(図12において)へ移動させる。これにより、上記と同様にベース11のガイド部20のガイド傾斜面20Gに可動枠30の傾斜面36が当接し、さらに可動枠30の左方向への移動により、可動枠30に矢印P2で示す方向の力が働き、鉄球Q3を支点にして可動枠30は反時計回りに回動し、図14に示すように、可動枠30は磁石板Mg1〜Mg3によりベース11に吸着保持されることになる。
【0042】
撮像素子31の原点位置を光軸に一致させるには、上記と全く同様にして行うので、その説明は省略する。
【0043】
このように、像振れの補正を行う補正機構50のコイル40に電流を流して可動枠30をベース11に吸着保持させるようにしたものであるから、従来のように中心位置矯正係止レバーやモータなどを設けなくてもよく、このため、撮像装置の小型化を図ることができる。
【0044】
ところで、可動枠30の左方向への移動は、例えばカメラの背面に設けた離間リセットボタン(図示せず)が押された場合に演算制御装置がコイル40に電流を流して行うようにするものであるが、撮像装置が起動されるごと行うようにしてもよい。
[第2実施例]
図18は第2実施例のベース11の構成を示す。この第2実施例では、べース11の磁石板Mg2の周囲に所定の高さの周囲壁112を設け、他の磁石板Mg1,Mg3の周囲にも同様に所定の高さの周囲壁を設けたものである。
【0045】
これにより、撮像装置に所定以上の衝撃が加わっても、図19に示すように、鉄球Q1〜Q3が周囲壁112の外へ飛び出さないようにしたものである。
【0046】
鉄球Q1〜Q3は、一時的に磁石板Mg1〜Mg3から離間しても、周囲壁112の外へ飛び出さないことにより、直ちに磁石板Mg1〜Mg3に吸着されることになる。つまり、鉄球Q1〜Q3が衝撃によって磁石板Mg1〜Mg3から外れないようにしたものである。
【0047】
図20は、第2実施例の他の例を示したものであり、この他の例は、可動枠30の鉄板37〜39の周囲に所定の高さの周囲壁130を設けて、衝撃により鉄球Q1〜Q3が磁石板Mg1〜Mg3から外れないようにしたものである。
【0048】
上記実施例は、いずれもベース11のガイド部20にガイド傾斜面20Gと、可動枠30に傾斜面36とを設けているが、そのどちらか一方に傾斜面を設けるだけでもよい。この場合、ガイド傾斜面20Gまたは傾斜面36に当接する他方が当接部となる。
【0049】
また、上記実施例では、いずれもベース11の吸着保持から外れた可動枠30をX方向に移動させてベース11に吸着保持させるようにしているが、可動枠30をY方向に移動させてベース11に吸着保持させるようにしてもよい。
【0050】
上記実施例は、撮像装置をデジタルスチルカメラに搭載したものであるが、これに限らず例えば携帯電話や他の電子機器に搭載してもよい。
【0051】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0052】
11 ベース
20G ガイド傾斜面(ガイド手段)
30 可動枠
31 撮像素子
37〜39 鉄板(磁性受板)
Q1〜Q3 鉄球(磁性球体)
Mg1〜Mg3 磁石板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開2010−231168号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系が装着される本体ケースに設けられたベースと、
前記撮影光学系によって結像される被写体像を受光する撮像素子と、
前記本体ケースに生じた手振れによる前記撮像素子上の被写体像の移動に応じて、前記撮影光学系の光軸をZ軸方向としこれに直交するX−Y平面内で前記撮像素子を追従移動させて前記被写体像の移動による像振れを防止する補正機構とを備えた撮像装置であって、
前記補正機構は、前記撮像素子を保持するとともにベース前面側に配置される可動枠と、この可動枠を前記X−Y平面内で移動可能に吸着保持し且つ3つの頂点を結ぶことで三角形が形成される各頂点位置に配置された吸着保持手段と、前記可動枠をX方向へ移動させるX移動手段と、可動枠をY方向へ移動させるY移動手段とを有し、
前記各吸着保持手段は、前記ベースと可動枠のどちらか一方に設けた磁性受板と、他方に設けた磁石板と、この磁性受板と磁石板との間に介在された磁性球体とを有し、前記磁性受板を磁性球体を介して磁石板に吸着させることにより前記可動枠をベースに吸着保持し、
前記3つの吸着保持手段のうち少なくとも1つの前記磁性受板が磁性球体から離間している際に、前記X,Y移動手段のどちらか一方により前記可動枠を所定方向へ移動させたとき、該可動枠の移動とともに該可動枠をベース側へ移動させて、前記磁性球体から離間した磁性受板を該磁性球体へ吸着させるガイド手段を前記三角形内に設けたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ガイド手段は、前記ベースと可動枠のどちらか一方に形成したテーパ面であり、他方に前記テーパ面に当接する当接部を設け、前記可動枠の移動によって前記テーパ面に当接部を当接させることにより、該可動枠をベース側へ移動させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記当接部にテーパ面を形成したことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記可動枠がベースからZ軸方向へ所定距離以上離間しないように規制する規制部を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記磁性球体が前記磁石板から外れるのを防止する周囲壁を前記可動枠またはべースに設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項6】
前記可動枠は、撮像装置の起動直後に前記所定方向へ移動されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の撮像装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の撮像装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−50500(P2013−50500A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186945(P2011−186945)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】