説明

撮像装置及びその制御方法

【課題】撮影対象の状態に適した多重撮影が行える多重撮影機能の実現。
【解決手段】被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置であって、画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算手段と、撮影ごとに前記第1の演算手段により演算された画像データのヒストグラムを記録する記録手段と、前記記録手段に記録された画像データのヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重撮影機能を備えた撮像技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のデジタルカメラには多重撮影機能を搭載するものが見受けられる。この多重撮影機能は、カメラに搭載された液晶ディスプレイ等に、既に記録済みの画像やこれまでに多重撮影により合成した画像をベース画像として表示し、このベース画像にこれから撮影する被写体の画像を合成して表示する機能である。そして、撮影者は、多重撮影を行う際の被写体の位置決めを目で確かめながら撮影を行える。
【0003】
更に、複数の画像を重ね合わせる方法として、複数の画像に所定の重み付けを行ってから重ね合わせる方法(特許文献1)や、複数の画像を単純に重ね合わせる方法(特許文献2)等がある。特に、特許文献1によれば、それぞれの方法に係るモードを撮影対象の状態(例えば、背景部分の特徴等)に応じて切り替えることにより、撮影対象の状態に適した多重撮影が行える。
【特許文献1】特開2003−298925号公報
【特許文献2】特開2003−125266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、撮影対象の状態に適した多重撮影が行え、特に、2回目以降の多重撮影を、撮影者が意図した露出制御で行える多重撮影機能を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の撮像装置は、被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置であって、画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算手段と、撮影ごとに前記第1の演算手段により演算された画像データのヒストグラムを記録する記録手段と、前記記録手段に記録された画像データのヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算手段と、を備える。
【0006】
また、本発明の撮像装置は、被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置であって、撮影ごとに画像データを合成した画像データを生成し、当該合成画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算手段と、撮影ごとに前記第1の演算手段により演算された前記合成画像データのヒストグラムを記録する記録手段と、前記記録手段に記録されたヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算手段と、を備える。
【0007】
また、本発明の撮像装置の制御方法は、被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置の制御方法であって、画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算ステップと、前記演算された撮影ごとの画像データのヒストグラムを記録部に記録する記録ステップと、前記記録された画像データのヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算ステップと、を備える。
【0008】
また、本発明の撮像装置の制御方法は、被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置の制御方法であって、撮影ごとに画像データを合成した画像データを生成し、当該合成画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算ステップと、撮影ごとに前記演算された合成画像データのヒストグラムを記録部に記録する記録ステップと、前記記録されたヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影画像又はこれらを合成した合成画像のヒストグラムとライブビュー画像のヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算するので、合成ヒストグラムを確認しながら多重撮影を行うことができる。よって、従来のように撮影者の勘に頼ることなく、被写体の露出を確認しながら多重撮影を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0011】
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0012】
[図2の説明(ブロック図)]
図2は、本実施形態に係るカメラの内部構成を示すブロック図である。
【0013】
図2において、1はレンズ鏡筒22に設けられた撮影レンズであり、2は撮影光路内に進退可能な遮光羽根を有するシャッタである。
【0014】
3はCCD等で構成された撮像素子であり、撮影レンズ1から入射した被写体像を受光して光電変換により電気信号に変換する素子である。
【0015】
4は撮像素子3から出力された信号に対してガンマ補正等の公知の信号処理を行うプロセス回路である。
【0016】
5はプロセス回路4のアナログ出力をデジタル信号化するA/D変換器である。
【0017】
13は、例えばDRAM等のバッファメモリであり、A/D変換器5でA/D変換されたデジタル信号を一時的に記録する。7は画像処理部(色処理部、画像処理手段)であり、バッファメモリ13から読み出された画素信号に対してオートホワイトバランス、起動、色信号生成その他の色処理を施す。
【0018】
画像処理部7により生成されたカラー画像信号(処理済み画像データ)は、再度バッファメモリ13に蓄えられる。
【0019】
14は表示処理部であり、画像処理部7により画像処理が行われた後、再度バッファメモリ13に蓄えられたカラー画像信号を、後述する背面表示部10にカラー画像として表示させるための処理を行う。
【0020】
10はカラー液晶ディスプレイ等からなる背面表示部であり、表示処理部14で処理されたカラー画像信号の入力を受けてカラー画像を表示する。
【0021】
6は圧縮/伸張処理部であり、画像処理部7により画像処理が行われた後、再度バッファメモリ13に蓄えられたカラー画像信号を圧縮したり、後述するように圧縮されたカラー画像信号を伸張する。
【0022】
15は、圧縮/伸張処理部6で圧縮処理されたカラー画像信号を記録する記録再生処理部(記録手段)である。18はカメラ本体21に設けられたコネクタであり、メモリカード等の記録媒体16とカメラ本体21との電気的接続を行う。
【0023】
記録媒体16は、カード型フラッシュメモリ等の半導体メモリにより構成されたメモリカードが一般的であるが、メモリカードに限られるものではなく、例えばハードディスクや撮像装置本体と接続されたコンピュータの記録媒体等、種々の形態が使用できる。
【0024】
記録媒体16に記録された画像を再生するときは、コネクタ18を介して記録再生処理部15により画像データの再生処理を行い、圧縮/伸張処理部6で伸張処理を行ってからバッファメモリ13に一時的に記録する。そして、撮影時と同様にバッファメモリ13に記録された画像データを表示処理部14で処理して、背面表示部10で画像を表示(再生)する。
【0025】
39はシステム制御回路であり、スイッチ群38からの入力を受けることによって入力に応じた動作を行ったり、カメラ本体21に装着されている記録媒体16の種類及び記録媒体16の状態(残り記録容量等)を検出する。その他、システム制御回路39は、後述するようにカメラ本体21の検出装置(焦点検出回路30や測光回路31等)の入力に応じてカメラの動作を制御する。
【0026】
28はシャッタ駆動回路であり、システム制御回路39からの指示を受けてシャッタ2を駆動する。このシャッタ2の駆動によって遮光羽根が撮影光路内に進退して露出を制御することになる。
【0027】
29はレンズ駆動回路であり、システム制御回路39からの指示を受けて撮影レンズ1内のフォーカシングレンズを駆動する。このフォーカシングレンズの駆動により焦点調節が行われる。
【0028】
30は焦点検出回路であり、システム制御回路39からの指示を受けて撮影光学系の焦点調節状態を検出し、この検出結果をシステム制御回路39に出力する。システム制御回路39は、撮影光学系の焦点調節状態に応じてフォーカシングレンズの駆動を制御する。
【0029】
31は測光回路であり、システム制御回路39からの指示を受けて被写体の明るさを測定(測光)し、この測光結果をシステム制御回路39に出力する。システム制御回路39は、測光結果に基づいて露出値を決定する。
【0030】
32はストロボであり、システム制御回路39からの指示を受けて被写体に照明光を照射する。
【0031】
34は電源制御回路であり、後述する電源部35の状態検出及び制御を行う。
【0032】
35は電源部で、電池、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ等により構成されており、電源制御回路34によって制御される。
【0033】
また、電源制御回路34は、電池装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路39の指示に基づいて電源部35を制御する。
【0034】
36は表示装置であり、システム制御回路39からの指示を受けてカメラの動作状態等を表示する。
【0035】
37はシステム制御回路39の撮影動作用定数、変数等を記録する制御用メモリである。
【0036】
38はシステム制御回路39に対して各種の動作指示を行うためのスイッチ群である。スイッチ群38には、以下に説明するスイッチが含まれる(図4参照)。
【0037】
メインスイッチ51、その操作に応じてON/OFF状態が切り替わり、ON状態でカメラを起動させる。スイッチSW1は、レリーズボタンの半押し操作によりON状態となり、焦点検出回路30による焦点検出動作と測光回路31による測光動作とを開始させる指示を行う。
【0038】
スイッチSW2は、レリーズボタンの全押し操作によりON状態となり、シャッタ2を駆動して露光動作を開始させる指示を行う。メニュースイッチは、ON状態になることで背面表示部10にカメラ設定メニューを表示させる指示を行う。
【0039】
十字キーボタン8(左右上下方向のボタン8r、8l、8u、8dからなる)は、ON状態となるスイッチに応じてメニューの切り替え方向を指示する。
【0040】
設定ボタン98は、ON状態になることで各種設定状態になり、十字キーボタン8の操作又は、電子ダイアル11の操作によってカメラの各種設定が行われる。
【0041】
[図4の説明(背面の外観)]
図4(a)は、本発明に係る実施形態の撮像装置を背面から見た外観図である。
【0042】
本実施形態の撮像装置としてのデジタルカメラは、カメラ本体21と、カメラ本体21に着脱可能なレンズ鏡筒22(図2参照)とからなるカメラシステムを構成している。
【0043】
カメラ本体21には、被写体を光学的に覗くためのファインダー111が設けられている。また、カメラ本体21には、操作部材としてレリーズボタン24、電子ダイアル11、撮影モードダイアル26、メニューボタン25、情報ボタン17、再生ボタン9、消去ボタン27が設けられている。更に、カメラ本体21には、十字キーボタン8(上:8u、下:8d、左:8l、右:8r)、SETボタン12、メインスイッチ51、設定ボタン98、その他のボタン99が設けられている。
【0044】
また、カメラ本体21の背面には撮影画像や撮影情報等を表示する背面表示部10が設けられ、その下部には撮影情報等を表示する表示装置36が設けられている。カメラ本体21の側面には、記録媒体16を収納するための収納室が設けられている。
【0045】
図4(b)は背面表示部10で表示される画像を例示している。背面表示部10には画像の他に、画像データのヒストグラム19、撮影情報20等が表示される。これら表示の種類は情報ボタン17により変更することができる。
【0046】
通常の撮影を行う場合、まずメインスイッチ51を操作(ON状態)した後、撮影モードダイアル26の操作により所望の撮影モードを設定する。ここで、Tv優先AEモードが設定され、シャッタスピード等の設定が必要な場合には、表示装置36に表示される値をみながら電子ダイアル11を操作することによりTv値を設定することができる。
【0047】
レリーズボタン24は2段階の押圧操作が可能であり、半押し操作でONになるSW1スイッチと全押し操作でONになるSW2スイッチからなる。
【0048】
半押し操作すると撮影準備動作(測光動作や焦点調節動作等)が開始され、全押し操作すると撮影動作(撮像素子への露光)が開始される。撮影動作が終了すると、撮像素子から読み出された画像データは、所定の処理が施されてから記録媒体16に書き込まれる。
【0049】
再生ボタン9を押すと、背面表示部10に撮影した画像が表示される。この状態で、十字キーボタン8の左右ボタン(8l、8r)を押すと別の画像を表示することができる。背面表示部10に画像が表示されている状態で消去ボタン27を押すと、表示された画像を消去することが可能である。
【0050】
カメラの設定は、設定ボタン(ボタン99の一部)を押して設定モードに入り、表示装置36の表示を見ながら電子ダイアル11を操作して行う操作がある。その他、メニューボタン25を押して背面表示部10に表示されるメニュー表示を見ながら十字キーボタン8を操作してメニューを選択し、SETボタン12を操作することでメニューの設定を行う操作もある。
【0051】
[図3の説明(電源ON後の動作フロー)]
次に、図3を参照して、本実施形態の撮像装置による電源ON後の動作について説明する。
【0052】
図3は、第1の実施形態の撮像装置による電源ON後の動作を示すフローチャートである。
【0053】
図3において、先ず、S201において、電源が投入されると、S202において撮影のための初期値の設定が行われる。初期値は、前回電源投入時に設定されていた値がメモリ37(図2参照)に保存されており、その値に設定される。
【0054】
S203において、撮影モードか再生モードかの判定が行われ、再生モードであった場合にはS204に進んで再生処理が行われる。撮影モードであった場合にはS205に進む。
【0055】
S205において、設定モードか撮影モードかの判定が行われ、設定モードであった場合にはS206に、そうでない場合にはS207に、夫々進む。
【0056】
S206では、撮影に関する設定が行われる。前述したように、カメラの設定は、設定ボタン、表示装置36、電子ダイアル11もしくは、メニューボタン25、背面表示部10、十字キーボタン8、SETボタン12を操作で行う。
【0057】
多重撮影に関する設定はメニューボタン25を押下し、背面表示部10にメニューを表示して行う。十字キーボタン8を操作し“多重撮影”の項目を選択しSETボタン12を押下すると“多重撮影設定画面”が背面表示部10に表示される。この画面で多重モードのON/OFF及び、多重回数、ゲイン補正方法(手動設定/自動補正)の設定を行う。
【0058】
図3に戻り、S207では、多重撮影モードか通常撮影モードかを判定する。通常撮影モードの場合はS208に進んで撮影を行い、次のS210で電源OFFかを判定し、電源OFFでなければS203に戻り、電源OFFであれば本プログラムを終了する(S211)。
【0059】
一方、S207で多重撮影モードであった場合は、S209に進んで、複数回の撮影を行い、次のS210で電源OFFかを判定し、同様の処理を行う。
【0060】
[図1の説明(多重撮影動作フロー)]
次に、図1を参照して、本実施形態の撮像装置による多重撮影動作について説明する。
【0061】
図1は、第1の実施形態の撮像装置による多重撮影動作を示すフローチャートである。
【0062】
図3のS209からS1000にプログラムが遷移し、1回目の多重撮影であるS1010でライブビュー画像データ(撮影前画像データ)の取り込みを行う。ここでは、レリーズボタン24を半押しすると、撮影レンズ1から入射した被写体光束がシャッタ2を開放することにより、撮像素子3に導かれる。更に、プロセス回路4で撮像素子3から出力された信号に対してガンマ補正等の公知の信号処理を行い、A/D変換器5でアナログ信号をデジタル信号に変換する。A/D変換器5でA/D変換されたデジタル信号をバッファメモリ13に一時的に記録する。
【0063】
次にS1020に進み、画像処理部7で、バッファメモリ13から読み出された信号に対してオートホワイトバランス、輝度、色信号生成その他の色処理(現像処理)を行う。画像処理部7により生成されたカラー画像信号(処理済み画像データ)は、再度バッファメモリ13に蓄えられる。
【0064】
S1030でバッファメモリ13に蓄えられたカラー画像信号から画像データの画素値のヒストグラムを演算する。ここでは、例えば、画像データの画素値として、例えば輝度、R成分,G成分,B成分の少なくともいずれかを用いて、画像全体のヒストグラムを演算する。ヒストグラムはバッファメモリ13に一時的に記録される。このヒストグラムはライブビューを行っている間中、常に新しいものに更新される。
【0065】
ここで、静止画及びライブビューの画像サイズとヒストグラムの演算に使用する画素数について図7を参照して説明する
[図7の説明]
図7は画像サイズ約1244万画素の撮像素子を例示している。この撮像素子を搭載した撮像装置では4320×2880の静止画像を撮影し記録することができる(図7(a)のラージサイズ)
また、記録サイズ設定によりミドルサイズ(3054×2036=約622万画素)やスモールサイズ(2160×1440=311万画素)の静止画を記録することもできる(図7(b)のミドルサイズ、図7(c)のスモールサイズ)。
【0066】
ライブビュー表示を行う場合、撮像素子の全画素を読み出して処理を行うと、表示までタイムラグが長くなったり表示の更新が遅くなったりしてしまう。このため横を1/2に縦を1/3に画素数を間引くことにより処理の高速化を図っている。具体的には横2160画素、縦960画素、トータル約207万画素で処理を行う(図7(d)のライブビュー)。
【0067】
背面表示部10に画像を表示する場合、更にこれら画素数を720×480(=34万画素)に変換する(図7(e)の背面表示)。
【0068】
ライブビュー画像は、上述したように約207万画素なのでヒストグラムもこの画素数で演算する。多重撮影以外の場合ではライブビュー画像のヒストグラムは、撮影後不要になるため記録する必要はないが、多重撮影では合成処理途中のヒストグラムもこの画素数で演算するため、撮影ごとのライブビュー画像のヒストグラムも記録しておく。通常撮影時及び撮影終了後の多重撮影画像の再生時にヒストグラムを表示する場合は、再生画像を全て使用して再演算する。即ち、ラージであれば約1244万画素、ミドルなら約622万画素、スモールなら約311万画素を使用してヒストグラムを演算する。
【0069】
図1のフローに戻り、プログラムはS1040に移行し、これまで多重撮影した画像のヒストグラムとライブビュー画像の合成ヒストグラムを演算する(第2の演算)。ここでは、まだ1回目の多重撮影の露光前であるので単にライブビューだけのヒストグラムで良く、新たな演算をする必要はない。
【0070】
次に、S1050へ進み、背面表示部10にライブビュー画像とヒストグラムの表示を行う。ここで表示される内容は情報ボタン17を操作することにより変更することができる。
【0071】
背面表示部10に表示する画像の種類は、現在のライブビュー画像又はライブビュー画像とこれまで多重撮影を行った画像の合成画像、これまで撮影した個々の多重撮影画像等がある。更に、ヒストグラムは、表示の有無、及び現在のライブビュー画像のみのヒストグラム、ライブビュー画像とこれまで多重撮影を行った画像の合成画像のヒストグラム、これまで撮影した個々の多重撮影画像のヒストグラム等がある。画像の種類、ヒストグラムの種類の組み合わせで多数の表示形態が可能である(撮影前の設定状態や情報ボタンの操作により必要な表示形態を選択できる)。
【0072】
撮影者は、この画像やヒストグラム情報を見ながら露出制御値を設定して撮影を行うことができる。
【0073】
S1060ではレリーズボタン24が全押し状態かの判定を行う。レリーズボタン24が全押しされていなければ、S1010からS1050までを繰り返し実行し、ライブビュー画像やヒストグラム表示の更新を行う。
【0074】
レリーズボタン24が全押しされた場合はS1070に進み、撮影を実行する。ここでは、撮影レンズ1から入射した被写体像を撮像素子3により受光し光電変換して電気信号を得る。プロセス回路4では、撮像素子3から出力されたアナログ電気信号に対してガンマ補正等の公知の信号処理を行い、A/D変換器5でデジタル信号に変換する。A/D変換されたデジタル信号は一時的にバッファメモリ13に記録される。ここでの撮影は撮像素子3の全画素のデータ(4320×2880)を読み込む。
【0075】
次に、S1080に進み、画像処理部7は、バッファメモリ13から読み出した信号に対してオートホワイトバランス、輝度、色信号生成その他の色処理を行い、現像処理した画像データを再びバッファメモリ13に記録する。ここで撮影された画像(1回目の単独画像)を図5(a)に例示する。
【0076】
S1090では、今回撮影した画像データのヒストグラムを演算する(第1の演算)。ヒストグラムの演算はライブビュー画像と同じ画素数、即ち、横を1/2に縦を1/3に画素数を間引いて行う。ここで作成されたヒストグラムを図5(b)に例示する。
【0077】
次にS1095では、S1090で演算したヒストグラムをバッファメモリ13(記録手段又は記録部)に記録する。ここでヒストグラムは撮影画像ごとに演算し記録される。
【0078】
S1100では、画像合成処理を行う。1回目の撮影時には特に何も行わない。合成した画像はバッファメモリ13に格納される。ここで合成した画像の例を図6(a)に示す(1回目なので特に図5(a)と変わらない)。
【0079】
S1110ではS1100で合成した合成画像データのヒストグラムを演算する。ここで演算した合成画像のヒストグラムを図6(b)に例示する(1回目なので特に図5(b)と変わることはない)。
【0080】
S1120では合成画像と合成画像のヒストグラムとをクイックレビュー表示する。
【0081】
S1130で多重撮影の終了判定を行う。多重撮影の設定回数が残っている場合はS1010に戻り次の撮影を行う。
【0082】
[2回目以降の撮影動作]
S1010でレリーズボタン24を半押しするとライブビュー画像の取り込みを行う。
【0083】
次にS1020では、ライブビューの現像処理を行い、現像された画像データはバッファメモリ13に蓄えられる。
【0084】
S1030では、バッファメモリ13に蓄えられた画像データから画像のヒストグラムを演算する(前述したようライブビュー画像の画素数は2160×960なのでヒストグラムもこの画素数で演算する)。
【0085】
S1040では、これまで多重撮影した画像のヒストグラムとライブビュー画像の合成ヒストグラムを演算する(第2の演算)。ここでは、S1095でバッファメモリ13に記録した個々のヒストグラムデータ及びS1030で演算したライブビューのヒストグラムを用いて演算を行う。これまで撮影したヒストグラムは全てライブビュー画像の画素数で処理しているので画像数の変換や正規化等を行う必要がなく、演算可能である。
【0086】
次にS1050では、背面表示部10にライブビュー画像とヒストグラム表示を行う。ここで表示される内容は情報ボタン17を操作することにより変更することができる。すなわちS1030で演算したライブビューヒストグラム表示又はS1040で演算した合成ヒストグラム表示などの切り換えができる。
【0087】
S1060では、レリーズボタン24が全押し状態か判定し、全押しされていなければS1010に戻り、全押しされた場合にはS1070で撮影動作を実行し、S1080で現像処理を行う。ここで2回目に撮影した単独の画像を図5(c)に例示する。
【0088】
その後、S1090でヒストグラム演算を行う、S1095でヒストグラムをバッファメモリ13に記録するのは1回目の撮影と同様である。多重撮影の回数それぞれ別に記録を行う。ここで2回目に撮影した単独の画像のヒストグラムを図5(d)に例示する。
【0089】
S1100では、画像合成処理を行う。バッファメモリ13に記録されたこれまで撮影した画像データと今回撮影した画像データの合成処理を行い、再びバッファメモリ13に合成画像データを記録する。ここで1回目と2回目の撮影画像を合成した画像を図6(c)に例示する。
【0090】
S1110では、S1100で合成された合成画像のヒストグラムを演算する。即ち、S1090で記録されたそれぞれの画像に対応するヒストグラムデータを合成することにより合成画像のヒストグラムを演算する。
【0091】
S1100で作成した合成画像から新たにヒストグラムを演算することも可能であるが、この場合ライブビュー画像の画素数と同じ画素数に変換した後にヒストグラムを演算する必要がある。ここで演算した合成画像のヒストグラムを図6(d)に例示する。
【0092】
S1120では合成した画像と合成画像のヒストグラムをクイックレビュー表示する。
【0093】
S1130では多重撮影の終了判定を行い、例えば多重撮影回数が3回に設定されていた場合には、更に3回目に図5(e)に示す画像の撮影を行い、図5(f)に示すヒストグラムを演算する。そして、撮影後、図6(e)に示す画像を合成し、図6(f)に示すヒストグラムを演算する。
【0094】
S1130で多重撮影を終了する場合はS1140に進み、バッファメモリ13に記録されている画像データを圧縮/伸張処理部6で圧縮処理し、記録再生処理部15によりカメラ本体21に電気的に接続された記録媒体16に記録される。その後、S1150に進み、本プログラムを終了する。
【0095】
[第2の実施形態(図2、図4、図3、図7)]
カメラの内部構成(図2)、外観(図4)、電源ON後の動作フロー(図3)及び画素数説明(図7)については、第1の実施形態と同様であるので、当該説明は省略又は簡略化して行う。
【0096】
[図8の説明(多重撮影動作フロー)]
次に、図8を参照して、第2の実施形態の撮像装置による多重撮影動作について説明する。
【0097】
図8は、第2の実施形態の撮像装置による多重撮影動作を示すフローチャートである。
【0098】
図3のS209からS3000にプログラムが遷移し、S3010でライブビューの画像取り込みを行う。ライブビューでは全画素データから横を1/2、縦を1/3に間引いた2160×960画素のデータを取り込む。
【0099】
次にS3020に進み、取り込んだ画像の現像処理を行いバッファメモリ13に記録する。
【0100】
S3030では、バッファメモリ13に蓄えられた画像信号から画像のヒストグラムを演算する。ヒストグラムはバッファメモリ13に記録する。
【0101】
S3040では、これまで多重撮影した画像のヒストグラムとライブビュー画像の合成ヒストグラムを演算する(多重撮影した画像のヒストグラムは、後述するS3110で演算し、S3115でバッファメモリ13に記録されている)。
【0102】
次にS3050へ進み、背面表示部10にライブビュー画像とヒストグラム表示を行う。
【0103】
S3060ではレリーズボタン24が全押し状態か判定を行い、全押しされていなければS3010からS3050までを繰り返し、ライブビュー画像やヒストグラム表示の更新を行い、レリーズボタン24が全押しされた場合はS3070に進む。
【0104】
S3070では、撮影を実行する。撮影は撮像素子3の全画素のデータ(4320×2880)を読み込む。
【0105】
次にS3080では、撮像素子3の全画素データの現像処理を行い、再びバッファメモリ13に記録する。
【0106】
S3100では、画像合成処理を行う。合成した画像はバッファメモリ13に記録される。
【0107】
S3110では、S3100で作成した合成画像のヒストグラムを演算する。ヒストグラムの演算はライブビュー画像と同じ画素数、即ち、横を1/2に縦を1/3に画素数を間引いて行う。
【0108】
次にS3115では、S3110で演算したヒストグラムをバッファメモリ13(記録部)に記録する(記録手段)。ここでは撮影画像ごとのヒストグラムではなく合成した画像のヒストグラムのみが記録される。
【0109】
S3120では、合成した画像と合成画像のヒストグラムをクイックレビュー表示する。
【0110】
S3130では、多重撮影の終了判定を行い、多重撮影の回数が残っている場合はS3010に戻り、次の撮影を行う。
【0111】
また、多重撮影を終了する場合はS3140に進み、バッファメモリ13に記録されている画像データを記録媒体16に記録し、S3150に進み、本プログラムを終了する。
【0112】
[他の実施形態]
本発明の目的は次のような方法によっても達成される。即ち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(又は記録媒体)を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、本発明には次のような場合も含まれる。即ち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0113】
更に、次のような場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリーに書込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した手順に対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明に係る第1の本実施形態の多重撮影動作を示すフローチャートである。
【図2】本実施形態の撮像装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の撮像装置による電源ON後の動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の背面の外観図である。
【図5】1回目の多重撮影の画像とヒストグラムを例示する図である。
【図6】多重撮影回数ごとの合成画像と合成画像のヒストグラムを例示する図である。
【図7】本実施形態の撮像装置による撮影画像、ライブビュー画像、及び背面表示部に表示される画像の各画素数を説明する図である。
【図8】第2の実施形態の多重撮影動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1 撮影レンズ
2 シャッタ
3 撮像素子
4 プロセス回路
5 A/D変換器
6 圧縮/伸張処理部
7 画像処理部
8 十字キーボタン8(上:8u、下:8d、左:8l、右:8r)
9 再生ボタン
10 背面表示部
11 電子ダイアル
12 SETボタン
13 バッファメモリ
14 表示処理部
15 記録再生処理部
16 記録媒体
17 情報ボタン
18 コネクタ
19 ヒストグラム表示
20 撮影情報表示
21 カメラ本体
22 レンズ鏡筒
24 レリーズボタン
25 メニューボタン
26 撮影モードダイアル
27 消去ボタン
28 シャッタ駆動回路
29 レンズ駆動回路
30 焦点検出回路
31 測光回路
32 ストロボ
34 電源制御回路
35 電源部
36 表示装置
37 制御用メモリ
38 スイッチ群
39 システム制御回路
51 メインスイッチ
98 設定ボタン
99 その他のボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置であって、
画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算手段と、
撮影ごとに前記第1の演算手段により演算された画像データのヒストグラムを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録された画像データのヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置であって、
撮影ごとに画像データを合成した画像データを生成し、当該合成画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算手段と、
撮影ごとに前記第1の演算手段により演算された前記合成画像データのヒストグラムを記録する記録手段と、
前記記録手段に記録されたヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データと、前記複数の画像データを合成した画像データと、前記第2の演算手段により演算されたヒストグラムとを表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の演算手段は、前記撮像素子により取り込まれる画像データより少ない画素数の画素値を用いてヒストグラムを演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置の制御方法であって、
画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算ステップと、
前記演算された撮影ごとの画像データのヒストグラムを記録部に記録する記録ステップと、
前記記録された画像データのヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算ステップと、を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項6】
被写体像を光電変換することにより画像データを得る撮像素子を備え、複数回の撮影により得られる複数の画像データを合成した画像データを生成する多重撮影モードを有する撮像装置の制御方法であって、
撮影ごとに画像データを合成した画像データを生成し、当該合成画像データの画素値のヒストグラムを演算する第1の演算ステップと、
撮影ごとに前記演算された合成画像データのヒストグラムを記録部に記録する記録ステップと、
前記記録されたヒストグラムと、前記撮像素子により取り込まれた撮影前画像データのヒストグラムとを合成した合成ヒストグラムを演算する第2の演算ステップと、を備えることを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−65566(P2009−65566A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−233374(P2007−233374)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】