撮像装置及び撮像方法
【課題】必要以上に階調を損なうことなく、撮影に応じて最適な画質を簡便に得ることが可能な撮像装置及び撮像方法を提供する。
【解決手段】撮像素子5と、撮像素子5から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部6bと、増幅部6bから出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部7とを備え、AD変換部7は、増幅部6bから出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、撮像素子5から黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御機能、デジタル信号に変換された該複数個の黒画素信号のうちAD変換部7の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算機能、及び該割合に応じてクランプレベルを調整するレベル調整機能を持つシステム制御部11とを備える。
【解決手段】撮像素子5と、撮像素子5から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部6bと、増幅部6bから出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部7とを備え、AD変換部7は、増幅部6bから出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、撮像素子5から黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御機能、デジタル信号に変換された該複数個の黒画素信号のうちAD変換部7の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算機能、及び該割合に応じてクランプレベルを調整するレベル調整機能を持つシステム制御部11とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD型及びCMOS型のイメージセンサ等の撮像素子は、一般に、水平方向に並ぶ多数の光電変換素子からなる光電変換素子ラインを、水平方向に直交する垂直方向に多数並べた構成となっており、各光電変換素子ラインの端部にある複数の光電変換素子は遮光された構成となっている。このような撮像素子を搭載する撮像装置では、撮像素子から出力される水平1ライン分の撮像信号のうち、遮光した光電変換素子から得られた信号である黒画素信号を所定の目標レベル(以下、クランプレベルという)にクランプし、そのクランプレベルを基準として、その後の信号処理を行っている。
【0003】
黒画素信号のクランプ方法としては、各光電変換素子ラインから撮像信号が出力される毎に、その1ライン分の撮像信号に含まれる黒画素信号のデジタル変換後の信号をクランプレベルと比較して、黒画素信号のクランプレベルからの誤差を算出し、この誤差がなくなるような補正量を、デジタル変換前の撮像信号に加算する方法が一般的である。
【0004】
また、撮像装置には、撮像素子から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器とが含まれている。上述したクランプ処理は、AD変換器にて行われる。近年の撮像装置の高感度化に伴い、増幅器で設定可能なゲインの値が上昇してきている。ゲインが高くなると、ランダムノイズによる信号レベルのバラつきが大きくなる。図13は、AD変換器から出力される黒画素信号のヒストグラムの一例を示した図である。図13の横軸はAD変換後の信号値を示している。図13の縦軸は、出力された各信号値の数を示している。
【0005】
図13(a)に示したヒストグラムh1は、ランダムノイズによる信号レベルのバラつきが大きいときのヒストグラムの一例を示している。信号レベルのバラつきが大きいと、ヒストグラムの幅が広くなるため、図13(a)に示すように、特に低輝度部において、出力値がマイナスとなる黒画素信号が発生する。しかし、AD変換器には、出力できる上限値と下限値が存在する。例えば、AD変換出力を符号なし16bitとすると、上限出力と下限出力はそれぞれ65535,0となる。このため、マイナスとなった黒画素信号は下限値である0にクリップされてしまい、ヒストグラムh1は、実際には図13(b)に示すヒストグラムh2のようになる。この結果、低輝度部が実際の信号レベルよりも高めにデジタル変換される現象(以下、この現象を下限クリップと言う)が発生する。
【0006】
AD変換器で行われる上述したクランプ処理は、予め設定したクランプレベル付近に図13に示したヒストグラムh1,h2のピークがくるように、入力される黒画素信号をクランプレベルに固定する処理とも言うことができる。ヒストグラムh1は、クランプレベルを“a”としてクランプ処理したときにAD変換して得られるヒストグラムとなっている。ヒストグラムh1で示される各黒画素信号の平均値を求め、この平均値が、後の黒レベル補正(被写体からの光に応じて光電変換素子で発生した信号から、黒レベルを減算する補正)で用いる黒レベルとなる。AD変換出力がヒストグラムh1のようになっていれば、AD変換後の黒画素信号の平均値とクランプレベルaとの差は小さいため、黒レベル補正を精度良く行うことが可能である。しかし、実際には、図13(b)のように、ヒストグラムはh2のようになるため、ヒストグラムh2で示される各黒画素信号の平均値は、クランプレベルaよりも大きくなってしまう。この結果、黒レベル補正が正確に行われなくなり、画質が劣化する。
【0007】
特許文献1には、下限クリップが発生しやすい露光条件でのみクランプレベルを上昇させることで、下限クリップが発生することによる画質劣化を防止する技術が開示されている。しかし、この技術は、ゲイン、温度、及び露光時間等の露光条件に応じてクランプレベルを上昇させているため、変数が多く、制御が困難になる。また、露光条件や撮像装置の個体差によってクランプレベルを上昇させる条件が異なるため、それらの条件に個別の上昇量を与えるためには制御がさらに複雑化する。あらゆる露光条件で下限クリップが発生しないよう、クランプレベルを予め大きめに設定しておく方法もある。しかし、これでは、クランプレベルを大きくしなくても良い露光条件においても、ヒストグラムの分布がAD変換出力の上限値に近づくため、高輝度部の階調が失われてしまう。
【0008】
特許文献2には、遮光画素から得られるデータの標準偏差を用いることで、黒つぶれを防止する技術が開示されている。しかし、この技術が扱えるデータは、AD変換後のデータが現実的であり、AD変換時の下限クリップの影響を排除することはできない。むしろ、下限クリップが発生したデータを用いて標準偏差を求めることになるため、ゼロにクリップされる信号成分が増加すると、黒レベル補正時に補正不足や過補正が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−110486号公報
【特許文献2】特開2006−67011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、必要以上に階調を損なうことなく、撮影に応じて最適な画質を簡便に得ることが可能な撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部と、前記増幅部から出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部とを備え、前記AD変換部は、前記増幅部から出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部と、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換部の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算部と、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整部及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整部の少なくとも一方とを備える。
【0012】
本発明の撮像方法は、撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅ステップと、前記増幅ステップで増幅後の撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換ステップとを備え、前記AD変換ステップでは、前記増幅後の撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換し、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御ステップと、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換ステップでの出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算ステップと、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整ステップ及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整ステップの少なくとも一方とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、必要以上に階調を損なうことなく、撮影に応じて最適な画質を簡便に得ることが可能な撮像装置及び撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための撮像装置の一例であるデジタルカメラの概略構成を示す図
【図2】図1に示す撮像素子の構成例を示した平面模式図
【図3】クランプレベルを調整することによるAD変換部の出力ヒストグラムの変化を説明するための図
【図4】図1に示すデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャート
【図5】図1のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図6】図1のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図7】図1のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図8】アナログゲインを調整することによるAD変換部の出力ヒストグラムの変化を説明するための図
【図9】変形例のデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャート
【図10】変形例のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図11】変形例のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図12】変形例のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図13】AD変換器から出力される黒画素信号のヒストグラムの一例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に説明する撮像装置は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置、電子内視鏡や携帯電話機等に内臓される撮像ユニットである。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための撮像装置の一例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。
図示するデジタルカメラの撮像系は、撮影レンズ1と、CCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子5と、この両者の間に設けられた絞り2と、赤外線カットフィルタ3と、光学ローパスフィルタ4と、撮影レンズ1の前に配置されたメカニカルシャッタMSとを備える。
【0017】
デジタルカメラの電気制御系全体を統括制御するシステム制御部11は、フラッシュ発光部12及び受光部13を制御し、レンズ駆動部8を制御して撮影レンズ1の位置をフォーカス位置に調整したりズーム調整を行ったりし、絞り駆動部9を介し絞り2の開口量を制御して露光量調整を行う。
【0018】
また、システム制御部11は、シャッタ駆動部Sを制御してメカニカルシャッタMSを開けて撮像素子5に光が入る状態にしたり、メカニカルシャッタMSを閉じて撮像素子5を完全に遮光した状態にしたりする。
【0019】
また、システム制御部11は、撮像素子駆動部10を介して撮像素子5を駆動し、撮影レンズ1を通して撮像した被写体像を撮像信号として出力させる。システム制御部11には、操作部14を通してユーザからの指示信号が入力される。
【0020】
デジタルカメラの電気制御系は、更に、相関二重サンプリング処理部(CDS)6aと、増幅部(PGA)6bと、AD変換部7とを備え、これらはシステム制御部11によって制御される。
【0021】
CDS6aは、撮像素子5から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を行ってリセットノイズを除去する。
【0022】
PGA6bは、CDS6aから出力された撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する。このアナログゲインは、デジタルカメラに設定可能なISO感度に応じて設定される。
【0023】
AD変換部7は、PGA6bから出力されたアナログの撮像信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0024】
更に、このデジタルカメラの電気制御系は、メインメモリ16と、メインメモリ16に接続されたメモリ制御部15と、AD変換部7から出力された撮像信号に対して所定のデジタル信号処理を施して画像データを生成するデジタル信号処理部17と、デジタル信号処理部17で生成された画像データをJPEG形式に圧縮したり圧縮画像データを伸張したりする圧縮伸張処理部18と、測光データを積算しデジタル信号処理部17が行うホワイトバランス補正のゲインを求める積算部19と、着脱自在の記録媒体21が接続される外部メモリ制御部20と、カメラ背面等に搭載された液晶表示部23が接続される表示制御部22とを備える。メモリ制御部15、デジタル信号処理部17、圧縮伸張処理部18、積算部19、外部メモリ制御部20、及び表示制御部22は、制御バス24及びデータバス25によって相互に接続され、システム制御部11からの指令によって制御される。
【0025】
図2は、図1に示す撮像素子の構成例を示した平面模式図である。
【0026】
図2に示す撮像素子5は、光電変換素子51と、黒レベル検出用光電変換素子52と、垂直電荷転送部53と、水平電荷転送部54と、出力部55とを備える。
【0027】
光電変換素子51は、被写体からの光に応じた信号を得るためのものであり、受光面上方に設けられる遮光膜(不図示)には開口が設けられ、この開口から光が入射するようになっている。
【0028】
黒レベル検出用光電変換素子52は、撮像信号の基準となる黒のレベル(以下、黒レベル)を検出するためのものであり、その上方に設けられる遮光膜によって光が入射しないようになっている。
【0029】
光電変換素子51と黒レベル検出用光電変換素子52は、半導体基板の行方向とこれに直交する列方向に二次元状(図2の例では正方格子状)に配設されている。光電変換素子51と黒レベル検出用光電変換素子52を総称して光電変換素子と呼ぶと、図2の例では、行方向に並ぶ複数の光電変換素子からなる光電変換素子行が列方向に複数配列された構成、または、列方向に並ぶ複数の光電変換素子からなる光電変換素子列が行方向に複数配列された構成となっている。
【0030】
光電変換素子行のうち、水平電荷転送部54側から数えてM行目までの光電変換素子行の各光電変換素子は、全て黒レベル検出用光電変換素子52となっている。
【0031】
光電変換素子行のうち、水平電荷転送部54側から数えて(M+1)行目からN行目までの各光電変換素子行には、光電変換素子51と黒レベル検出用光電変換素子52とが含まれている。この各光電変換素子行には複数の黒レベル検出用光電変換素子52が含まれており、この複数の黒レベル検出用光電変換素子52は該各光電変換素子行の端部(水平電荷転送部54の電荷転送方向上流側の端部、図中の右端部)に配置されている。
【0032】
垂直電荷転送部53は、各光電変換素子列に対応して設けられており、対応する光電変換素子列の各光電変換素子で発生した電荷を水平電荷転送部54に向かって列方向に転送する。垂直電荷転送部53は、半導体基板内に列方向に延びて形成された垂直転送チャネル(不図示)と、この垂直転送チャネルの上方に列方向に配列された複数の垂直転送電極53aとで構成されている。
【0033】
垂直転送チャネルと、それに対応する光電変換素子との間には、該光電変換素子から該垂直転送チャネルに電荷を読み出すための電荷読み出し部(不図示)が形成されている。
【0034】
垂直転送電極53aには、配線V1が接続されるものと、配線V2が接続されるものと、配線V3が接続されるものと、配線V4が接続されるものとがある。これら配線V1〜V4に4相のパルスが印加されることで、垂直転送チャネルでの電荷転送動作が制御される。配線V1が接続される垂直転送電極53aは、電荷読み出し部も覆っており、ここに読み出しパルスが印加されることで、光電変換素子から垂直転送チャネルに電荷が読み出される。
【0035】
水平電荷転送部54は、各垂直電荷転送部53で転送されてきた電荷を出力部55に向かって行方向に転送する。水平電荷転送部54は、半導体基板内に行方向に延びて形成された水平転送チャネル(不図示)と、この水平転送チャネル上方に行方向に配列された複数の水平転送電極54aとで構成されている。
【0036】
水平転送電極54aには、配線H1が接続されるものと、配線H2が接続されるものとがある。これら配線H1,H2に2相のパルスが印加されることで、水平転送チャネルでの電荷転送動作が制御される。
【0037】
出力部55は、水平電荷転送部54を転送されてきた電荷を、その電荷量に応じた信号に変換して出力する。
【0038】
システム制御部11は、撮像時に、撮像素子5から黒画素信号をn(nは2以上の自然数)個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部としても機能する。システム制御部11は、操作部14を介して行われる撮像指示に応じて、撮像素子5を3つのモード(第一のモード、第二のモード、第三のモード)のいずれかで駆動して被写体の撮像を実施する。
【0039】
第一のモードは、撮像指示に応じて行う撮像素子5の露光終了後、全ての光電変換素子から電荷を読み出し、これを転送して、被写体からの光によらない信号である黒画素信号(黒レベル検出用光電変換素子52から得られた信号)と、被写体からの光に応じた信号(光電変換素子51から得られた信号)とを含む撮像信号を撮像素子5から出力させる制御である。
【0040】
第二のモードは、撮像指示に応じて行う撮像素子5の露光終了後、全ての光電変換素子から電荷を読み出す前に、全ての光電変換素子から電荷を読み出さずに垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して空転送を行う。そして、この空転送により、被写体からの光によらない撮像信号である黒画素信号のみを撮像素子5から出力させる。その後、全ての光電変換素子から電荷を読み出し、これを転送して撮像信号を撮像素子5から出力させる制御である。
【0041】
第三のモードは、撮像指示に応じて行う撮像素子5の露光開始前に、メカニカルシャッタMSを閉じて撮像素子5を遮光する。そして、この状態で、全ての光電変換素子から電荷を読み出して垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動する。これにより、被写体からの光によらない撮像信号である黒画素信号のみを撮像素子5から出力させる。その後、メカニカルシャッタMSを開けて撮像素子5を露光し、露光終了後に全ての光電変換素子から電荷を読み出し、これを転送して撮像信号を撮像素子5から出力させる制御である。
【0042】
AD変換部7は、PGA6bから出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号については、該黒画素信号を設定レベル(以下、クランプレベルともいう)にクランプしてデジタル信号に変換する。
【0043】
システム制御部11は、AD変換部7でデジタル信号に変換されたn個の黒画素信号のうち、AD変換部7の出力下限値となる信号の占める割合(以下、クリップ確率ともいう)を求める下限値割合演算部としても機能する。このクリップ確率は、n個の黒画素信号のヒストグラムを作成し、{(信号値が“0”となる黒画素信号の数)/n}×100の演算を行うことにより、その単位を%として求めることができる。
【0044】
システム制御部11は、クリップ確率に応じて、AD変換部7のクランプレベルを調整するレベル調整部としても機能する。
【0045】
AD変換部7から出力されたn個の黒画素信号のヒストグラムが図3(a)に示すh2のようになっていた場合、クリップ確率は0%よりも大きくなる。このため、光電変換素子51から得られた撮像信号から減算すべき黒レベルはクランプレベルaよりも大きくなってしまい、黒レベル補正を精度良く行うことが難しい。そこで、システム制御部11は、クランプレベルをaよりも大きいa’にする調整を行う。これにより、図3(b)に示すように、ヒストグラムh2がAD変換出力の上限値側にシフトし、クリップ確率を0%にすることができる。クリップ確率が0%になることで、クランプレベルと黒レベルとがほぼ一致するため、黒レベル補正を精度良く行うことが可能になる。
【0046】
クリップ確率に応じてクランプレベルを調整する具体的方法としては、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の閾値(例えば5%)を設定しておき、クリップ確率がこの閾値を超えていた場合に、クリップ確率がこの閾値以下となるレベルまでクランプレベルを大きくする方法がある。なお、クランプレベルを大きくする場合、クランプレベルを大きくしすぎて階調表現が損なわれる可能性もある。そこで、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の許容範囲(例えば2%〜5%)を設定しておき、クリップ確率が許容範囲外にあった場合に、この許容範囲内にクリップ確率が収まるようにクランプレベルを調整するようにしても良い。例えば、クリップ確率が5%より上のときは、クランプレベルを2%〜5%となるようにクランプレベルを大きくし、クリップ確率が2%より下のときは、クランプレベルを2%〜5%となるようにクランプレベルを小さくする。このようにすることで、黒レベル精度の低下を防ぎながら階調表現を豊かにすることができ、全体的な画質を良好なものにすることができる。
【0047】
調整後のクランプレベルの値は、システム制御部11が演算によって得ても良いし、システム制御部11がテーブルからデータを持ってくることで得ても良い。演算によって求める場合は、クランプレベルを最小単位ずつ変化させていったときの各クランプレベルにおけるクリップ確率のデータを予め求めておき、このデータから、クランプレベルを最小単位で変化させたときのクリップ確率の変化量を求める。そして、この変化量から、クリップ確率を入力して、該クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるようなクランプレベルの調整量を出力する関数を作成して、デジタルカメラに記憶しておけば良い。そして、システム制御部11が、この関数にクリップ確率を入力して、クランプレベルの調整量を得た後、この調整量を、既に設定されているクランプレベルに加算してクランプレベルを調整すれば良い。
【0048】
テーブルによって得る場合は、クリップ確率とクランプレベルとを対応付けたテーブルをデジタルカメラに記憶しておき、システム制御部11が、求めたクリップ確率が閾値を越えていた場合、又は、許容範囲外であった場合に、クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるクランプレベルを該テーブルから読み出してAD変換部7に設定するようにしても良い。
【0049】
次に、デジタルカメラの撮影時の動作について説明する。図4は、図1に示すデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【0050】
撮影モードに設定されると、システム制御部11は、操作部14に含まれるレリーズボタンが押下されて撮影指示がなされた否かを判定する(ステップS1)。撮影指示がなされた場合(ステップS1:YES)、システム制御部11は撮影時にPGA6bで設定するアナログゲインが閾値よりも小さいかどうかを判定する(ステップS2)。
【0051】
アナログゲインが閾値よりも小さかった場合(ステップS2:YES)、システム制御部11は、第一のモードで撮像素子5を駆動して、被写体を撮像する。
【0052】
以下、第一のモードで撮像を行うときの動作を説明する。
【0053】
図5は、図1のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図5において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。
【0054】
まず、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開き、設定された露光条件で撮像素子5の露光を開始する(ステップS3)。次に、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了し、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す。その後、配線V1〜V4に転送パルスを供給して、水平電荷転送部54側から数えて1行目の光電変換素子行の電荷を水平電荷転送部54に転送する。次に、配線H1,H2に転送パルスを供給して、1行目の光電変換素子行の電荷を出力部55まで転送し、その電荷に応じた信号を黒画素信号として撮像素子5から出力させる。システム制御部11は、このような駆動を繰り返し、2行目の光電変換素子行以降の光電変換素子行からも信号を出力させる。
【0055】
1行目の光電変換素子行から得られる黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。AD変換部7では、入力される各黒画素信号をクランプレベルにクランプする処理が行われる。クランプレベルは初期状態では所定値Aに設定される。AD変換部7から出力された1行目の光電変換素子行からの黒画素信号は、メインメモリ16に一時記憶される。
【0056】
次に、1行目の光電変換素子行からの信号がメインメモリ16に記憶されると、システム制御部11は、記憶された信号を読み出した光電変換素子行を参照する。参照した光電変換素子行が1〜M行目の光電変換素子行のいずれかであった場合、つまり、黒レベル検出用光電変換素子52のみで構成される光電変換素子行であった場合(ステップS4:YES)、システム制御部11は、参照した光電変換素子行から得られてメインメモリ16に記憶された1光電変換素子行分の黒画素信号を用いて、図3に示したようなヒストグラムを作成する(ステップS5)。
【0057】
次に、システム制御部11は、作成したヒストグラムから、[{(信号値が0の黒画素信号の数)/(1光電変換素子行分の黒画素信号の総数)}×100]を演算して、クリップ確率を算出する(ステップS6)。
【0058】
次に、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてクランプレベルを調整する。具体的には、クリップ確率から、AD変換部7に設定されているクランプレベルの調整量を算出し(ステップS7)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Aに加算して、AD変換部7に設定するクランプレベルをA’に更新する(ステップS8)。なお、このクランプレベルの更新作業は、次の光電変換素子(2行目の光電変換素子行)から信号が出力されるまでの間に行われる。
【0059】
クランプレベルが調整された後、2行目の光電変換素子行から黒画素信号が出力されると、その黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この黒画素信号は、AD変換部7でクランプレベルA’にクランプされてデジタル信号に変換され、メインメモリ16に記憶される。
【0060】
ステップS8の後、システム制御部11は、参照する光電変換素子行を次の行とし(ステップS9)、ステップS4に処理を戻す。参照する光電変換素子行がM行目までは、ステップS4〜ステップS9までが繰り返し実行される。(M+1)行目が参照行となった時点で、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力される撮像信号)に適用するクランプレベル(このクランプレベルをA’’とする)が確定する。
【0061】
クランプレベルがA’’に確定した後は、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行の撮像信号)が撮像素子5から出力される(ステップS10)。
【0062】
(M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、AD変換部7では、各光電変換素子行のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号がクランプレベルA’’にクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0063】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の値の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号の値から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0064】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第一のモードによる撮像が終了する。
【0065】
ステップS2に戻り、アナログゲインが閾値以上であった場合(ステップS2:NO)、システム制御部11は、撮像素子5で取り込んでいるモニタ表示用の画像データ等に基づいて被写体の輝度を算出する。そして、算出した被写体の輝度が閾値よりも小さいかどうか判定する(ステップS11)。
【0066】
被写体の輝度が閾値よりも小さかった場合(ステップS11:YES)、システム制御部11は第二のモードで撮像素子5を駆動して、被写体を撮像する。
【0067】
以下、第二のモードで撮像を行うときの動作を説明する。
【0068】
図6は、図1のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図6において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0069】
まず、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開いた状態で、設定された露光条件で撮像素子5の露光を開始する(ステップS12)。次に、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了する。
【0070】
露光終了後、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給せずに垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して空転送を行う。この空転送により、露光開始から露光終了までの間に、垂直電荷転送部53の垂直転送チャネルで発生した電荷に応じた信号を黒画素信号として撮像素子5から出力させる(ステップS13)。ここで出力される黒画素信号は、撮像素子5の各光電変換素子の位置から得られたものとして扱う。
【0071】
1行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行の各光電変換素子に対応する黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。AD変換部7では、入力される各黒画素信号をクランプレベルにクランプする処理が行われる。クランプレベルは初期状態では所定値Aに設定される。AD変換部7から出力された黒画素信号は、メインメモリ16に一時記憶される。
【0072】
全ての光電変換素子に対応する黒画素信号がメインメモリ16に記憶されると、システム制御部11は、その黒画素信号から、図3に示したようなヒストグラムを作成する(ステップS14)。
【0073】
次に、システム制御部11は、作成したヒストグラムから、[{(信号値が0の黒画素信号の数)/(全光電変換素子行分の黒画素信号の総数)}×100}]を演算して、クリップ確率を算出する(ステップS15)。
【0074】
次に、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてクランプレベルを調整する。具体的には、クリップ確率から、AD変換部7に設定されているクランプレベルの調整量を算出し(ステップS16)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Aに加算して、AD変換部7に設定するクランプレベルをA’に更新する(ステップS17)。
【0075】
クランプレベルの調整が終わると、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS18)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0076】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号がクランプレベルA’にクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0077】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0078】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第二のモードによる撮像が終了する。
【0079】
ステップS11に戻り、被写体の輝度が閾値以上であった場合(ステップS11:NO)、システム制御部11は第三のモードで撮像素子5を駆動して、被写体を撮像する。
【0080】
以下、第三のモードで撮像を行うときの動作を説明する。
【0081】
図7は、図1のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図7において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0082】
まず、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを閉じて撮像素子5を遮光する(ステップS19)。次に、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、垂直転送チャネルに存在していた不要電荷を高速で掃き出す(ステップS20)。
【0083】
次に、システム制御部11は、半導体基板に高電圧を印加して、各光電変換素子の電荷を半導体基板に引き抜く電子シャッタ動作を行った後、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS21)。
【0084】
その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号を黒画素信号として撮像素子5から出力させる。撮像素子5から出力された黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。クランプレベルは初期状態では所定値Aに設定される。AD変換部7から出力された黒画素信号は、メインメモリ16に一時記憶される。
【0085】
全ての光電変換素子に対応する黒画素信号がメインメモリ16に記憶されると、システム制御部11は、その黒画素信号から、図3に示したようなヒストグラムを作成する(ステップS22)。
【0086】
次に、システム制御部11は、作成したヒストグラムから、[{(信号値が0の黒画素信号の数)/(全光電変換素子行分の黒画素信号の総数)}×100}]を演算して、クリップ確率を算出する(ステップS23)。
【0087】
次に、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてクランプレベルを調整する。具体的には、クリップ確率から、AD変換部7に設定されているクランプレベルの調整量を算出し(ステップS24)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Aに加算して、AD変換部7に設定するクランプレベルをA’に更新する(ステップS25)。
【0088】
クランプレベルの調整が終わると、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開けた後に撮像素子5の露光を開始し、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了する(ステップS26)。
【0089】
露光が終了すると、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS27)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0090】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号がクランプレベルA’にクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0091】
デジタル信号処理部17では、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0092】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第三のモードによる撮像が終了する。
【0093】
以上のように、このデジタルカメラによれば、AD変換部7から出力される複数個の黒画素信号のうち、出力値がゼロとなる黒画素信号の占める割合であるクリップ確率に応じてクランプレベルを調整することができる。
【0094】
一般に、AD変換部7で発生する下限クリップは、アナログゲイン、温度、及び露光時間の組み合わせで程度が変化する。したがって、これら3つの条件に応じてクランプレベルを調整しようとすると、制御が複雑になる。また、温度情報は正確に取得することが難しい。また、これら3つの条件とクリップ確率の相関性はデジタルカメラによって個体差があり、3つの条件からクランプレベル調整量へ変換する構成を個々のデジタルカメラ毎に最適化することは難しい。
【0095】
図1のデジタルカメラによれば、クランプレベルの調整を、クリップ確率だけを入力値として行うため、制御が複雑になることはなく、簡便な構成で画質向上を実現することができる。また、撮像時又は撮像時に近い状態で求めたクリップ確率に応じてクランプレベルを調整しているため、デジタルカメラ毎に個体差があったとしても、クランプレベルを精度良く調整することができる。
【0096】
また、このデジタルカメラによれば、アナログゲインと被写体の輝度とによって、第一のモード、第二のモード、及び第三のモードの3つのパターンにしたがってクランプレベルの調整を行っているため、撮影条件に応じた最適な処理を実施することができる。
【0097】
アナログゲインが閾値よりも低い場合は、PGA6bで増幅後の黒画素信号のバラつきがあまり大きくならない。このため、クリップ確率を求めるために撮像素子5から出力させる黒画素信号の数が少なくても、信頼性の高い計算結果を得ることができる。そこで、このような場合には、1行目からM行目までの光電変換素子行から得られた黒画素信号だけを用いてクリップ確率を求める第一のモードで撮像を実施することとしている。このようにすることで、黒レベル補正精度を向上させながら、撮像の開始から終了までの時間を短縮することができる。
【0098】
また、アナログゲインが閾値以上の場合は、PGA6bで増幅後の黒画素信号のバラつきが大きくなる。このため、信頼性の高い計算結果を得るには、クリップ確率を求めるために撮像素子5から出力させる黒画素信号の数を多くすることが好ましい。そこで、このような場合には、1行目から(M+N)行目までの光電変換素子行から得られた1画面分の黒画素信号を用いてクリップ確率を求める第二のモード又は第三のモードで撮像を実施することとしている。このようにすることで、アナログゲインが高い場合、すなわち高感度撮影の場合でも、黒レベル補正精度を向上させることができる。
【0099】
なお、CCD型の撮像素子5においては、被写体の輝度が閾値よりも高い場合にスミアが発生する可能性がある。第二のモードでは、露光終了後に空転送を行って黒画素信号を得ているため、スミアが発生すると、黒画素信号の値が正確に得られなくなってしまう。そこで、被写体の輝度が閾値よりも高い場合には、露光前に撮像素子5を遮光した状態で1画面分の黒画素信号を取得する第三のモードで撮像を実施することとしている。このようにすることで、スミアの影響を受けることなく、クランプレベルを正確に調整することができる。
【0100】
以上の説明では、撮像素子5をCCD型としたが、MOS型であっても良い。MOS型を用いた場合には、スミアは発生しないため、被写体の輝度に応じて第二のモードと第三のモードを分ける必要はなく、いずれかを実施すれば良い。また、MOS型の撮像素子は、出力読み出し順序の自由度が高く、黒画素信号だけを繰り返し読み出すことも可能であるため、便利である。
【0101】
また、第二のモードと第三のモードのそれぞれにおいて、撮像素子5に含まれる全ての光電変換素子の数分(1画面分)の黒画素信号ではなく、その一部の黒画素信号(例えば半分の光電変換素子行分の信号)を取得し、この黒画素信号からクリップ確率を演算する構成としても良い。その際、クリップ確率の計算に使用しない黒画素信号は、高速掃き出し駆動等で除去しても良い。このようにすることで、撮像終了までの時間を短縮することができる。
【0102】
また、第二のモードと第三のモードでは、読み出しパルスを印加する前に、黒画素信号の取得及びクリップ確率の演算を何度でも実施して良い。クリップ確率を複数回演算することで、黒レベル補正精度をより向上させることができる。
【0103】
次に、上述してきたデジタルカメラの変形例を説明する。
【0104】
この変形例のデジタルカメラの構成は、図1に示したものとほぼ同じである。この変形例のデジタルカメラが図1のデジタルカメラと異なる点は、システム制御部11が、クリップ確率に応じてクランプレベルを調整するクランプレベル調整部として機能する代わりに、クリップ確率に応じてPGA6bのアナログゲインを調整するアナログゲイン調整部として機能する点である。
【0105】
また、この変形例のデジタルカメラでは、システム制御部11がアナログゲインを調整してしまうため、このままでは、トータルのゲインが設定ゲインからずれてしまう。そこで、トータルのゲインを一定にするため、PGA6bのアナログゲインが調整された場合に、デジタル信号処理部17が、AD変換部7から出力されるデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅部としても機能するようにしている。デジタル信号処理部17は、デジタルゲインとシステム制御部11によって調整された後のアナログゲインとの和が一定(撮影時に設定されたトータルゲイン)となるように、デジタルゲインを設定するものとなっている。
【0106】
AD変換部7から出力されたn個の黒画素信号のヒストグラムが図8(a)に示すh2のようになっていた場合、クリップ確率が0%よりも大きくなる。このため、光電変換素子51から得られた撮像信号から減算すべき黒レベルはクランプレベルaよりも大きくなってしまい、黒レベル補正を精度良く行うことが難しい。このような場合、この変形例のデジタルカメラのシステム制御部11は、PGA6bで設定するアナログゲインを、図8(a)のときよりも小さくする調整を行う。これにより、AD変換部7に入力される信号のバラつきが小さくなるため、図8(b)に示すように、ヒストグラムh2の分布幅は狭くなり、クリップ確率を0%にすることができる。クリップ確率が0%になることで、クランプレベルと黒レベルとがほぼ一致するため、黒レベル補正を精度良く行うことが可能になる。
【0107】
クリップ確率に応じてアナログゲインを調整する具体的方法としては、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の閾値(例えば5%)を設定しておき、クリップ確率がこの閾値を超えていた場合に、クリップ確率がこの閾値以下となるレベルまでアナログゲインを小さくする方法がある。なお、アナログゲインを小さくしすぎると、その分、デジタルゲインを大きくする必要があるため、SNが劣化する可能性がある。そこで、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の許容範囲(例えば2%〜5%)を設定しておき、クリップ確率が許容範囲外にあった場合に、この許容範囲内にクリップ確率が収まるようにアナログゲインを調整するようにしても良い。例えば、クリップ確率が5%より上のときは、クリップ確率が2%〜5%となるようにアナログゲインを小さくし、クリップ確率が2%より下のときは、クリップ確率が2%〜5%となるようにアナログゲインを大きくする。このようにすることで、黒レベル精度の低下を防ぎながらノイズを低減することができ、全体的な画質を良好なものにすることができる。
【0108】
調整後のアナログゲインの値は、システム制御部11が演算によって得ても良いし、システム制御部11がテーブルからデータを持ってくることで得ても良い。演算によって求める場合は、アナログゲインを最小単位ずつ変化させていったときの各アナログゲインにおけるクリップ確率のデータを予め求めておく。そして、このデータから、アナログゲインを最小単位で変化させたときのクリップ確率の変化量を求める。そして、この変化量から、クリップ確率を入力して、該クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるようなアナログゲインの調整量を出力する関数を作成して、デジタルカメラに記憶しておけば良い。システム制御部11が、この関数にクリップ確率を入力してアナログゲインの調整量を得た後、この調整量を、既に設定されているアナログゲインに加算してアナログゲインを調整すれば良い。
【0109】
テーブルによって得る場合は、クリップ確率とアナログゲインとを対応付けたテーブルをデジタルカメラに記憶しておく。そして、システム制御部11が、求めたクリップ確率が閾値を越えていた場合、又は、許容範囲外であった場合に、クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるアナログゲインを該テーブルから読み出してPGA6bに設定するようにしても良い。
【0110】
次に、デジタルカメラの撮影時の動作について説明する。図9は、変形例のデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。図9において図4と同様の処理には同一符号を付してある。図9に示すフローチャートは、図4に示したステップS7,S8の代わりにステップS7’,S8’,S9’を実施し、図4に示したステップS16,S17の代わりにステップS16’,S17’,S18’を実施し、図4に示したステップS24,S25をステップS24’,S25’とし、図4に示したステップS26とステップS27の間にステップS26’を追加したものとなっている。以下、変更点について第一のモード、第二のモード、第三のモードのそれぞれに分けて説明する。
【0111】
(第一のモード)
図10は、変形例のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図10において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。
【0112】
ステップS6でクリップ確率を算出した後、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてアナログゲインを調整する。具体的には、クリップ確率から、PGA6bで設定されているアナログゲインの調整量を算出し(ステップS7’)、算出した調整量をアナログゲインの初期値Bに加算して、PGA6bに設定するアナログゲインをB’に更新する(ステップS8’)。なお、このアナログゲインの更新作業は、次の光電変換素子(2行目の光電変換素子行)から信号が出力されるまでの間に行われる。
【0113】
アナログゲインの調整が終わると、デジタル信号処理部17が、アナログゲインの調整量に応じてデジタルゲインを設定する(ステップS9’)。例えば、撮像信号にかけるべきトータルの設定ゲインがXdBであり、調整後のアナログゲインが0.5XdBになっていた場合、デジタル信号処理部17は、トータルゲインがXとなるように、デジタルゲインを0.5XdBに設定する。
【0114】
アナログゲインが調整された後、2行目の光電変換素子行から黒画素信号が出力されると、その黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この黒画素信号は、AD変換部7で所定レベルにクランプされてデジタル信号に変換され、メインメモリ16に記憶される。
【0115】
ステップS9’の後、システム制御部11は、参照する光電変換素子行を次の行とし(ステップS9)、ステップS4に処理を戻す。参照する光電変換素子行がM行目までは、ステップS4〜ステップS9までが繰り返し実行される。(M+1)行目を参照行とした時点で、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力される撮像信号)に適用するアナログゲイン(このアナログゲインをB’’とする)とデジタルゲインが確定する。
【0116】
アナログゲインがB’に確定した後は、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行の撮像信号)が撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0117】
(M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、AD変換部7では、各光電変換素子行のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号が所定のクランプレベルにクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0118】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の値の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号の値から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0119】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、各光電変換素子51から得られた撮像信号をステップS9’で設定したデジタルゲインで増幅する。その後、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第一のモードによる撮像が終了する。
【0120】
(第二のモード)
図11は、変形例のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図11において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0121】
ステップS15でクリップ確率を算出した後、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてアナログゲインを調整する。具体的には、クリップ確率から、PGA6bに設定されているアナログゲインの調整量を算出し(ステップS16’)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Bに加算して、PGA6bに設定するアナログゲインをB’に更新する(ステップS17’)。
【0122】
アナログゲインの調整が終わると、デジタル信号処理部17が、アナログゲインの調整量に応じてデジタルゲインを設定する(ステップS18’)。
【0123】
デジタルゲインの設定が終わると、システム制御部11が、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS18)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0124】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号が所定レベルにクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0125】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0126】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、各光電変換素子51から得られた撮像信号を、ステップS18’で設定したデジタルゲインで増幅する。その後、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第二のモードによる撮像が終了する。
【0127】
(第三のモード)
図12は、変形例のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図12において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0128】
ステップS23でクリップ確率を算出した後、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてアナログゲインを調整する。具体的には、クリップ確率から、PGA6bに設定されているアナログゲインの調整量を算出し(ステップS24’)、算出した調整量をアナログゲインの初期値Bに加算して、PGA6bに設定するアナログゲインをB’に更新する(ステップS25’)。
【0129】
アナログゲインの調整が終わると、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開けて撮像素子5の露光を開始し、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了する(ステップS26)。
【0130】
露光が終了すると、デジタル信号処理部17が、アナログゲインの調整量に応じて、デジタルゲインを設定する(ステップS26’)。
【0131】
デジタルゲインの設定が終了すると、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から電荷を垂直電荷転送部53に読み出す(ステップS27)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0132】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号が所定レベルにクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0133】
デジタル信号処理部17では、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0134】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、各光電変換素子51から得られた撮像信号を、ステップS26’で設定したデジタルゲインで増幅する。その後、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第三のモードによる撮像が終了する。
【0135】
以上のように、クランプレベルの代わりにアナログゲインを調整することでも、黒レベル補正の精度を向上させて、画質を向上させることができる。クリップ確率に応じてアナログゲインを調整する方法は、クランプレベルを調整する方法と比べて、ヒストグラムの分布がAD変換部7の上限値側に広がらないため、階調表現を豊かにすることができる。一方、クリップ確率に応じてクランプレベルを調整する方法は、アナログゲインを調整する方法と比べて、デジタルゲインを大きくする必要がないため、SNを向上させることができる。
【0136】
なお、デジタルカメラが、クリップ確率に応じてクランプレベルを調整する方法と、クリップ確率に応じてアナログゲインを調整する方法とを両方実施するようにしても良い。例えば、デジタルカメラに、図4に示すフローで動作するSN優先モードと、図9に示すフローで動作する階調優先モードとを設け、設定されたモードで撮像を行うようにすれば良い。このようにすることで、ユーザの好みにあった画像を得ることができるようになる。
【0137】
これまで説明してきたように、本明細書には次の事項が開示されている。
【0138】
開示された撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部と、前記増幅部から出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部とを備え、前記AD変換部は、前記増幅部から出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部と、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換部の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算部と、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整部及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整部の少なくとも一方とを備える。
【0139】
この構成により、黒画素信号に占めるAD変換部の出力下限値となる信号の割合に応じて設定レベル及びアナログゲインの少なくとも一方が調整されるため、簡便な制御で、黒レベル補正改善、色再現向上、ダイナミックレンジ最適化等を図ることができ、画質を向上させることができる。例えば、設定レベルを大きくすると、AD変換部の出力ヒストグラムが上限値側に移動するため、下限クリップが発生する確率を小さくすることができ、黒レベル補正を精度良く行うことができる。また、アナログゲインを小さくすると、ランダムノイズのバラつきが小さくなるため、AD変換部の出力ヒストグラム幅が狭くなり、下限クリップが発生する確率を小さくすることができ、黒レベル補正を精度良く行うことができる。また、例えば、上記割合が少ない露光条件では、下限クリップによる画質への影響が少ないと考えられるため、設定レベル及びアナログゲインを既定値のままとすることで、階調を損なうことなく、黒レベル補正を精度良く行うことができる。
【0140】
開示された撮像装置は、前記アナログゲイン調整部が、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする。
【0141】
この構成により、黒レベル補正を精度良く行うことができる。
【0142】
開示された撮像装置は、前記アナログゲイン調整部が、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする。
【0143】
この構成により、黒レベル精度をそれほど落とすことなく、階調表現を豊かにすることができる。
【0144】
開示された撮像装置は、前記レベル調整部が、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする。
【0145】
この構成により、黒レベル補正を精度良く行うことができる。
【0146】
開示された撮像装置は、前記レベル調整部が、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする。
【0147】
この構成により、黒レベル精度をそれほど落とすことなく、階調表現を豊かにすることができる。
【0148】
開示された撮像装置は、前記アナログゲイン調整部によって前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換部から出力されるデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅部を備え、前記デジタル信号増幅部は、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整部によって調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する。
【0149】
この構成により、上記割合に応じてアナログゲインが増減されても、その増減分をデジタルゲインで調整することができ、トータルゲインを一定にして信号を増幅することができる。
【0150】
開示された撮像装置は、前記出力下限値割合演算部が、前記AD変換部から出力される前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する。
【0151】
開示された撮像装置は、前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御部が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0152】
開示された撮像装置は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0153】
開示された撮像装置は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【0154】
開示された撮像装置は、前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御部が、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記黒画素信号出力制御部は、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する。
【0155】
開示された撮像装置は、前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出部を備える。
【0156】
開示された撮像方法は、撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅ステップと、前記増幅ステップで増幅後の撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換ステップとを備え、前記AD変換ステップでは、前記増幅後の撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換し、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御ステップと、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換ステップでの出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算ステップと、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整ステップ及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整ステップの少なくとも一方とを備える。
【0157】
開示された撮像方法は、前記アナログゲイン調整ステップでは、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする。
【0158】
開示された撮像方法は、前記アナログゲイン調整ステップでは、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする。
【0159】
開示された撮像方法は、前記レベル調整ステップでは、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする。
【0160】
開示された撮像方法は、前記レベル調整ステップでは、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする。
【0161】
開示された撮像方法は、前記アナログゲイン調整ステップで前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換ステップで変換されたデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅ステップを備え、前記デジタル信号増幅ステップでは、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整ステップで調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する。
【0162】
開示された撮像方法は、前記出力下限値割合演算ステップでは、前記AD変換ステップで変換後の前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する。
【0163】
開示された撮像方法は、前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0164】
開示された撮像方法は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0165】
開示された撮像方法は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0166】
開示された撮像方法は、前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する。
【0167】
開示された撮像方法は、前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出ステップを備える。
【符号の説明】
【0168】
5 撮像素子
6b 増幅部
7 AD変換部
11 システム制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD型及びCMOS型のイメージセンサ等の撮像素子は、一般に、水平方向に並ぶ多数の光電変換素子からなる光電変換素子ラインを、水平方向に直交する垂直方向に多数並べた構成となっており、各光電変換素子ラインの端部にある複数の光電変換素子は遮光された構成となっている。このような撮像素子を搭載する撮像装置では、撮像素子から出力される水平1ライン分の撮像信号のうち、遮光した光電変換素子から得られた信号である黒画素信号を所定の目標レベル(以下、クランプレベルという)にクランプし、そのクランプレベルを基準として、その後の信号処理を行っている。
【0003】
黒画素信号のクランプ方法としては、各光電変換素子ラインから撮像信号が出力される毎に、その1ライン分の撮像信号に含まれる黒画素信号のデジタル変換後の信号をクランプレベルと比較して、黒画素信号のクランプレベルからの誤差を算出し、この誤差がなくなるような補正量を、デジタル変換前の撮像信号に加算する方法が一般的である。
【0004】
また、撮像装置には、撮像素子から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換器とが含まれている。上述したクランプ処理は、AD変換器にて行われる。近年の撮像装置の高感度化に伴い、増幅器で設定可能なゲインの値が上昇してきている。ゲインが高くなると、ランダムノイズによる信号レベルのバラつきが大きくなる。図13は、AD変換器から出力される黒画素信号のヒストグラムの一例を示した図である。図13の横軸はAD変換後の信号値を示している。図13の縦軸は、出力された各信号値の数を示している。
【0005】
図13(a)に示したヒストグラムh1は、ランダムノイズによる信号レベルのバラつきが大きいときのヒストグラムの一例を示している。信号レベルのバラつきが大きいと、ヒストグラムの幅が広くなるため、図13(a)に示すように、特に低輝度部において、出力値がマイナスとなる黒画素信号が発生する。しかし、AD変換器には、出力できる上限値と下限値が存在する。例えば、AD変換出力を符号なし16bitとすると、上限出力と下限出力はそれぞれ65535,0となる。このため、マイナスとなった黒画素信号は下限値である0にクリップされてしまい、ヒストグラムh1は、実際には図13(b)に示すヒストグラムh2のようになる。この結果、低輝度部が実際の信号レベルよりも高めにデジタル変換される現象(以下、この現象を下限クリップと言う)が発生する。
【0006】
AD変換器で行われる上述したクランプ処理は、予め設定したクランプレベル付近に図13に示したヒストグラムh1,h2のピークがくるように、入力される黒画素信号をクランプレベルに固定する処理とも言うことができる。ヒストグラムh1は、クランプレベルを“a”としてクランプ処理したときにAD変換して得られるヒストグラムとなっている。ヒストグラムh1で示される各黒画素信号の平均値を求め、この平均値が、後の黒レベル補正(被写体からの光に応じて光電変換素子で発生した信号から、黒レベルを減算する補正)で用いる黒レベルとなる。AD変換出力がヒストグラムh1のようになっていれば、AD変換後の黒画素信号の平均値とクランプレベルaとの差は小さいため、黒レベル補正を精度良く行うことが可能である。しかし、実際には、図13(b)のように、ヒストグラムはh2のようになるため、ヒストグラムh2で示される各黒画素信号の平均値は、クランプレベルaよりも大きくなってしまう。この結果、黒レベル補正が正確に行われなくなり、画質が劣化する。
【0007】
特許文献1には、下限クリップが発生しやすい露光条件でのみクランプレベルを上昇させることで、下限クリップが発生することによる画質劣化を防止する技術が開示されている。しかし、この技術は、ゲイン、温度、及び露光時間等の露光条件に応じてクランプレベルを上昇させているため、変数が多く、制御が困難になる。また、露光条件や撮像装置の個体差によってクランプレベルを上昇させる条件が異なるため、それらの条件に個別の上昇量を与えるためには制御がさらに複雑化する。あらゆる露光条件で下限クリップが発生しないよう、クランプレベルを予め大きめに設定しておく方法もある。しかし、これでは、クランプレベルを大きくしなくても良い露光条件においても、ヒストグラムの分布がAD変換出力の上限値に近づくため、高輝度部の階調が失われてしまう。
【0008】
特許文献2には、遮光画素から得られるデータの標準偏差を用いることで、黒つぶれを防止する技術が開示されている。しかし、この技術が扱えるデータは、AD変換後のデータが現実的であり、AD変換時の下限クリップの影響を排除することはできない。むしろ、下限クリップが発生したデータを用いて標準偏差を求めることになるため、ゼロにクリップされる信号成分が増加すると、黒レベル補正時に補正不足や過補正が発生する恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−110486号公報
【特許文献2】特開2006−67011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、必要以上に階調を損なうことなく、撮影に応じて最適な画質を簡便に得ることが可能な撮像装置及び撮像方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部と、前記増幅部から出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部とを備え、前記AD変換部は、前記増幅部から出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部と、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換部の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算部と、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整部及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整部の少なくとも一方とを備える。
【0012】
本発明の撮像方法は、撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅ステップと、前記増幅ステップで増幅後の撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換ステップとを備え、前記AD変換ステップでは、前記増幅後の撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換し、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御ステップと、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換ステップでの出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算ステップと、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整ステップ及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整ステップの少なくとも一方とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、必要以上に階調を損なうことなく、撮影に応じて最適な画質を簡便に得ることが可能な撮像装置及び撮像方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための撮像装置の一例であるデジタルカメラの概略構成を示す図
【図2】図1に示す撮像素子の構成例を示した平面模式図
【図3】クランプレベルを調整することによるAD変換部の出力ヒストグラムの変化を説明するための図
【図4】図1に示すデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャート
【図5】図1のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図6】図1のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図7】図1のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図8】アナログゲインを調整することによるAD変換部の出力ヒストグラムの変化を説明するための図
【図9】変形例のデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャート
【図10】変形例のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図11】変形例のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図12】変形例のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャート
【図13】AD変換器から出力される黒画素信号のヒストグラムの一例を示した図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下に説明する撮像装置は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置、電子内視鏡や携帯電話機等に内臓される撮像ユニットである。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態を説明するための撮像装置の一例であるデジタルカメラの概略構成を示す図である。
図示するデジタルカメラの撮像系は、撮影レンズ1と、CCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子5と、この両者の間に設けられた絞り2と、赤外線カットフィルタ3と、光学ローパスフィルタ4と、撮影レンズ1の前に配置されたメカニカルシャッタMSとを備える。
【0017】
デジタルカメラの電気制御系全体を統括制御するシステム制御部11は、フラッシュ発光部12及び受光部13を制御し、レンズ駆動部8を制御して撮影レンズ1の位置をフォーカス位置に調整したりズーム調整を行ったりし、絞り駆動部9を介し絞り2の開口量を制御して露光量調整を行う。
【0018】
また、システム制御部11は、シャッタ駆動部Sを制御してメカニカルシャッタMSを開けて撮像素子5に光が入る状態にしたり、メカニカルシャッタMSを閉じて撮像素子5を完全に遮光した状態にしたりする。
【0019】
また、システム制御部11は、撮像素子駆動部10を介して撮像素子5を駆動し、撮影レンズ1を通して撮像した被写体像を撮像信号として出力させる。システム制御部11には、操作部14を通してユーザからの指示信号が入力される。
【0020】
デジタルカメラの電気制御系は、更に、相関二重サンプリング処理部(CDS)6aと、増幅部(PGA)6bと、AD変換部7とを備え、これらはシステム制御部11によって制御される。
【0021】
CDS6aは、撮像素子5から出力される撮像信号に対して相関二重サンプリング処理を行ってリセットノイズを除去する。
【0022】
PGA6bは、CDS6aから出力された撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する。このアナログゲインは、デジタルカメラに設定可能なISO感度に応じて設定される。
【0023】
AD変換部7は、PGA6bから出力されたアナログの撮像信号をデジタル信号に変換して出力する。
【0024】
更に、このデジタルカメラの電気制御系は、メインメモリ16と、メインメモリ16に接続されたメモリ制御部15と、AD変換部7から出力された撮像信号に対して所定のデジタル信号処理を施して画像データを生成するデジタル信号処理部17と、デジタル信号処理部17で生成された画像データをJPEG形式に圧縮したり圧縮画像データを伸張したりする圧縮伸張処理部18と、測光データを積算しデジタル信号処理部17が行うホワイトバランス補正のゲインを求める積算部19と、着脱自在の記録媒体21が接続される外部メモリ制御部20と、カメラ背面等に搭載された液晶表示部23が接続される表示制御部22とを備える。メモリ制御部15、デジタル信号処理部17、圧縮伸張処理部18、積算部19、外部メモリ制御部20、及び表示制御部22は、制御バス24及びデータバス25によって相互に接続され、システム制御部11からの指令によって制御される。
【0025】
図2は、図1に示す撮像素子の構成例を示した平面模式図である。
【0026】
図2に示す撮像素子5は、光電変換素子51と、黒レベル検出用光電変換素子52と、垂直電荷転送部53と、水平電荷転送部54と、出力部55とを備える。
【0027】
光電変換素子51は、被写体からの光に応じた信号を得るためのものであり、受光面上方に設けられる遮光膜(不図示)には開口が設けられ、この開口から光が入射するようになっている。
【0028】
黒レベル検出用光電変換素子52は、撮像信号の基準となる黒のレベル(以下、黒レベル)を検出するためのものであり、その上方に設けられる遮光膜によって光が入射しないようになっている。
【0029】
光電変換素子51と黒レベル検出用光電変換素子52は、半導体基板の行方向とこれに直交する列方向に二次元状(図2の例では正方格子状)に配設されている。光電変換素子51と黒レベル検出用光電変換素子52を総称して光電変換素子と呼ぶと、図2の例では、行方向に並ぶ複数の光電変換素子からなる光電変換素子行が列方向に複数配列された構成、または、列方向に並ぶ複数の光電変換素子からなる光電変換素子列が行方向に複数配列された構成となっている。
【0030】
光電変換素子行のうち、水平電荷転送部54側から数えてM行目までの光電変換素子行の各光電変換素子は、全て黒レベル検出用光電変換素子52となっている。
【0031】
光電変換素子行のうち、水平電荷転送部54側から数えて(M+1)行目からN行目までの各光電変換素子行には、光電変換素子51と黒レベル検出用光電変換素子52とが含まれている。この各光電変換素子行には複数の黒レベル検出用光電変換素子52が含まれており、この複数の黒レベル検出用光電変換素子52は該各光電変換素子行の端部(水平電荷転送部54の電荷転送方向上流側の端部、図中の右端部)に配置されている。
【0032】
垂直電荷転送部53は、各光電変換素子列に対応して設けられており、対応する光電変換素子列の各光電変換素子で発生した電荷を水平電荷転送部54に向かって列方向に転送する。垂直電荷転送部53は、半導体基板内に列方向に延びて形成された垂直転送チャネル(不図示)と、この垂直転送チャネルの上方に列方向に配列された複数の垂直転送電極53aとで構成されている。
【0033】
垂直転送チャネルと、それに対応する光電変換素子との間には、該光電変換素子から該垂直転送チャネルに電荷を読み出すための電荷読み出し部(不図示)が形成されている。
【0034】
垂直転送電極53aには、配線V1が接続されるものと、配線V2が接続されるものと、配線V3が接続されるものと、配線V4が接続されるものとがある。これら配線V1〜V4に4相のパルスが印加されることで、垂直転送チャネルでの電荷転送動作が制御される。配線V1が接続される垂直転送電極53aは、電荷読み出し部も覆っており、ここに読み出しパルスが印加されることで、光電変換素子から垂直転送チャネルに電荷が読み出される。
【0035】
水平電荷転送部54は、各垂直電荷転送部53で転送されてきた電荷を出力部55に向かって行方向に転送する。水平電荷転送部54は、半導体基板内に行方向に延びて形成された水平転送チャネル(不図示)と、この水平転送チャネル上方に行方向に配列された複数の水平転送電極54aとで構成されている。
【0036】
水平転送電極54aには、配線H1が接続されるものと、配線H2が接続されるものとがある。これら配線H1,H2に2相のパルスが印加されることで、水平転送チャネルでの電荷転送動作が制御される。
【0037】
出力部55は、水平電荷転送部54を転送されてきた電荷を、その電荷量に応じた信号に変換して出力する。
【0038】
システム制御部11は、撮像時に、撮像素子5から黒画素信号をn(nは2以上の自然数)個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部としても機能する。システム制御部11は、操作部14を介して行われる撮像指示に応じて、撮像素子5を3つのモード(第一のモード、第二のモード、第三のモード)のいずれかで駆動して被写体の撮像を実施する。
【0039】
第一のモードは、撮像指示に応じて行う撮像素子5の露光終了後、全ての光電変換素子から電荷を読み出し、これを転送して、被写体からの光によらない信号である黒画素信号(黒レベル検出用光電変換素子52から得られた信号)と、被写体からの光に応じた信号(光電変換素子51から得られた信号)とを含む撮像信号を撮像素子5から出力させる制御である。
【0040】
第二のモードは、撮像指示に応じて行う撮像素子5の露光終了後、全ての光電変換素子から電荷を読み出す前に、全ての光電変換素子から電荷を読み出さずに垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して空転送を行う。そして、この空転送により、被写体からの光によらない撮像信号である黒画素信号のみを撮像素子5から出力させる。その後、全ての光電変換素子から電荷を読み出し、これを転送して撮像信号を撮像素子5から出力させる制御である。
【0041】
第三のモードは、撮像指示に応じて行う撮像素子5の露光開始前に、メカニカルシャッタMSを閉じて撮像素子5を遮光する。そして、この状態で、全ての光電変換素子から電荷を読み出して垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動する。これにより、被写体からの光によらない撮像信号である黒画素信号のみを撮像素子5から出力させる。その後、メカニカルシャッタMSを開けて撮像素子5を露光し、露光終了後に全ての光電変換素子から電荷を読み出し、これを転送して撮像信号を撮像素子5から出力させる制御である。
【0042】
AD変換部7は、PGA6bから出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号については、該黒画素信号を設定レベル(以下、クランプレベルともいう)にクランプしてデジタル信号に変換する。
【0043】
システム制御部11は、AD変換部7でデジタル信号に変換されたn個の黒画素信号のうち、AD変換部7の出力下限値となる信号の占める割合(以下、クリップ確率ともいう)を求める下限値割合演算部としても機能する。このクリップ確率は、n個の黒画素信号のヒストグラムを作成し、{(信号値が“0”となる黒画素信号の数)/n}×100の演算を行うことにより、その単位を%として求めることができる。
【0044】
システム制御部11は、クリップ確率に応じて、AD変換部7のクランプレベルを調整するレベル調整部としても機能する。
【0045】
AD変換部7から出力されたn個の黒画素信号のヒストグラムが図3(a)に示すh2のようになっていた場合、クリップ確率は0%よりも大きくなる。このため、光電変換素子51から得られた撮像信号から減算すべき黒レベルはクランプレベルaよりも大きくなってしまい、黒レベル補正を精度良く行うことが難しい。そこで、システム制御部11は、クランプレベルをaよりも大きいa’にする調整を行う。これにより、図3(b)に示すように、ヒストグラムh2がAD変換出力の上限値側にシフトし、クリップ確率を0%にすることができる。クリップ確率が0%になることで、クランプレベルと黒レベルとがほぼ一致するため、黒レベル補正を精度良く行うことが可能になる。
【0046】
クリップ確率に応じてクランプレベルを調整する具体的方法としては、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の閾値(例えば5%)を設定しておき、クリップ確率がこの閾値を超えていた場合に、クリップ確率がこの閾値以下となるレベルまでクランプレベルを大きくする方法がある。なお、クランプレベルを大きくする場合、クランプレベルを大きくしすぎて階調表現が損なわれる可能性もある。そこで、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の許容範囲(例えば2%〜5%)を設定しておき、クリップ確率が許容範囲外にあった場合に、この許容範囲内にクリップ確率が収まるようにクランプレベルを調整するようにしても良い。例えば、クリップ確率が5%より上のときは、クランプレベルを2%〜5%となるようにクランプレベルを大きくし、クリップ確率が2%より下のときは、クランプレベルを2%〜5%となるようにクランプレベルを小さくする。このようにすることで、黒レベル精度の低下を防ぎながら階調表現を豊かにすることができ、全体的な画質を良好なものにすることができる。
【0047】
調整後のクランプレベルの値は、システム制御部11が演算によって得ても良いし、システム制御部11がテーブルからデータを持ってくることで得ても良い。演算によって求める場合は、クランプレベルを最小単位ずつ変化させていったときの各クランプレベルにおけるクリップ確率のデータを予め求めておき、このデータから、クランプレベルを最小単位で変化させたときのクリップ確率の変化量を求める。そして、この変化量から、クリップ確率を入力して、該クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるようなクランプレベルの調整量を出力する関数を作成して、デジタルカメラに記憶しておけば良い。そして、システム制御部11が、この関数にクリップ確率を入力して、クランプレベルの調整量を得た後、この調整量を、既に設定されているクランプレベルに加算してクランプレベルを調整すれば良い。
【0048】
テーブルによって得る場合は、クリップ確率とクランプレベルとを対応付けたテーブルをデジタルカメラに記憶しておき、システム制御部11が、求めたクリップ確率が閾値を越えていた場合、又は、許容範囲外であった場合に、クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるクランプレベルを該テーブルから読み出してAD変換部7に設定するようにしても良い。
【0049】
次に、デジタルカメラの撮影時の動作について説明する。図4は、図1に示すデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。
【0050】
撮影モードに設定されると、システム制御部11は、操作部14に含まれるレリーズボタンが押下されて撮影指示がなされた否かを判定する(ステップS1)。撮影指示がなされた場合(ステップS1:YES)、システム制御部11は撮影時にPGA6bで設定するアナログゲインが閾値よりも小さいかどうかを判定する(ステップS2)。
【0051】
アナログゲインが閾値よりも小さかった場合(ステップS2:YES)、システム制御部11は、第一のモードで撮像素子5を駆動して、被写体を撮像する。
【0052】
以下、第一のモードで撮像を行うときの動作を説明する。
【0053】
図5は、図1のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図5において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。
【0054】
まず、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開き、設定された露光条件で撮像素子5の露光を開始する(ステップS3)。次に、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了し、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す。その後、配線V1〜V4に転送パルスを供給して、水平電荷転送部54側から数えて1行目の光電変換素子行の電荷を水平電荷転送部54に転送する。次に、配線H1,H2に転送パルスを供給して、1行目の光電変換素子行の電荷を出力部55まで転送し、その電荷に応じた信号を黒画素信号として撮像素子5から出力させる。システム制御部11は、このような駆動を繰り返し、2行目の光電変換素子行以降の光電変換素子行からも信号を出力させる。
【0055】
1行目の光電変換素子行から得られる黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。AD変換部7では、入力される各黒画素信号をクランプレベルにクランプする処理が行われる。クランプレベルは初期状態では所定値Aに設定される。AD変換部7から出力された1行目の光電変換素子行からの黒画素信号は、メインメモリ16に一時記憶される。
【0056】
次に、1行目の光電変換素子行からの信号がメインメモリ16に記憶されると、システム制御部11は、記憶された信号を読み出した光電変換素子行を参照する。参照した光電変換素子行が1〜M行目の光電変換素子行のいずれかであった場合、つまり、黒レベル検出用光電変換素子52のみで構成される光電変換素子行であった場合(ステップS4:YES)、システム制御部11は、参照した光電変換素子行から得られてメインメモリ16に記憶された1光電変換素子行分の黒画素信号を用いて、図3に示したようなヒストグラムを作成する(ステップS5)。
【0057】
次に、システム制御部11は、作成したヒストグラムから、[{(信号値が0の黒画素信号の数)/(1光電変換素子行分の黒画素信号の総数)}×100]を演算して、クリップ確率を算出する(ステップS6)。
【0058】
次に、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてクランプレベルを調整する。具体的には、クリップ確率から、AD変換部7に設定されているクランプレベルの調整量を算出し(ステップS7)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Aに加算して、AD変換部7に設定するクランプレベルをA’に更新する(ステップS8)。なお、このクランプレベルの更新作業は、次の光電変換素子(2行目の光電変換素子行)から信号が出力されるまでの間に行われる。
【0059】
クランプレベルが調整された後、2行目の光電変換素子行から黒画素信号が出力されると、その黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この黒画素信号は、AD変換部7でクランプレベルA’にクランプされてデジタル信号に変換され、メインメモリ16に記憶される。
【0060】
ステップS8の後、システム制御部11は、参照する光電変換素子行を次の行とし(ステップS9)、ステップS4に処理を戻す。参照する光電変換素子行がM行目までは、ステップS4〜ステップS9までが繰り返し実行される。(M+1)行目が参照行となった時点で、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力される撮像信号)に適用するクランプレベル(このクランプレベルをA’’とする)が確定する。
【0061】
クランプレベルがA’’に確定した後は、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行の撮像信号)が撮像素子5から出力される(ステップS10)。
【0062】
(M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、AD変換部7では、各光電変換素子行のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号がクランプレベルA’’にクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0063】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の値の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号の値から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0064】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第一のモードによる撮像が終了する。
【0065】
ステップS2に戻り、アナログゲインが閾値以上であった場合(ステップS2:NO)、システム制御部11は、撮像素子5で取り込んでいるモニタ表示用の画像データ等に基づいて被写体の輝度を算出する。そして、算出した被写体の輝度が閾値よりも小さいかどうか判定する(ステップS11)。
【0066】
被写体の輝度が閾値よりも小さかった場合(ステップS11:YES)、システム制御部11は第二のモードで撮像素子5を駆動して、被写体を撮像する。
【0067】
以下、第二のモードで撮像を行うときの動作を説明する。
【0068】
図6は、図1のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図6において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0069】
まず、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開いた状態で、設定された露光条件で撮像素子5の露光を開始する(ステップS12)。次に、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了する。
【0070】
露光終了後、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給せずに垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して空転送を行う。この空転送により、露光開始から露光終了までの間に、垂直電荷転送部53の垂直転送チャネルで発生した電荷に応じた信号を黒画素信号として撮像素子5から出力させる(ステップS13)。ここで出力される黒画素信号は、撮像素子5の各光電変換素子の位置から得られたものとして扱う。
【0071】
1行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行の各光電変換素子に対応する黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。AD変換部7では、入力される各黒画素信号をクランプレベルにクランプする処理が行われる。クランプレベルは初期状態では所定値Aに設定される。AD変換部7から出力された黒画素信号は、メインメモリ16に一時記憶される。
【0072】
全ての光電変換素子に対応する黒画素信号がメインメモリ16に記憶されると、システム制御部11は、その黒画素信号から、図3に示したようなヒストグラムを作成する(ステップS14)。
【0073】
次に、システム制御部11は、作成したヒストグラムから、[{(信号値が0の黒画素信号の数)/(全光電変換素子行分の黒画素信号の総数)}×100}]を演算して、クリップ確率を算出する(ステップS15)。
【0074】
次に、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてクランプレベルを調整する。具体的には、クリップ確率から、AD変換部7に設定されているクランプレベルの調整量を算出し(ステップS16)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Aに加算して、AD変換部7に設定するクランプレベルをA’に更新する(ステップS17)。
【0075】
クランプレベルの調整が終わると、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS18)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0076】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号がクランプレベルA’にクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0077】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0078】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第二のモードによる撮像が終了する。
【0079】
ステップS11に戻り、被写体の輝度が閾値以上であった場合(ステップS11:NO)、システム制御部11は第三のモードで撮像素子5を駆動して、被写体を撮像する。
【0080】
以下、第三のモードで撮像を行うときの動作を説明する。
【0081】
図7は、図1のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図7において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0082】
まず、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを閉じて撮像素子5を遮光する(ステップS19)。次に、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、垂直転送チャネルに存在していた不要電荷を高速で掃き出す(ステップS20)。
【0083】
次に、システム制御部11は、半導体基板に高電圧を印加して、各光電変換素子の電荷を半導体基板に引き抜く電子シャッタ動作を行った後、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS21)。
【0084】
その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号を黒画素信号として撮像素子5から出力させる。撮像素子5から出力された黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。クランプレベルは初期状態では所定値Aに設定される。AD変換部7から出力された黒画素信号は、メインメモリ16に一時記憶される。
【0085】
全ての光電変換素子に対応する黒画素信号がメインメモリ16に記憶されると、システム制御部11は、その黒画素信号から、図3に示したようなヒストグラムを作成する(ステップS22)。
【0086】
次に、システム制御部11は、作成したヒストグラムから、[{(信号値が0の黒画素信号の数)/(全光電変換素子行分の黒画素信号の総数)}×100}]を演算して、クリップ確率を算出する(ステップS23)。
【0087】
次に、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてクランプレベルを調整する。具体的には、クリップ確率から、AD変換部7に設定されているクランプレベルの調整量を算出し(ステップS24)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Aに加算して、AD変換部7に設定するクランプレベルをA’に更新する(ステップS25)。
【0088】
クランプレベルの調整が終わると、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開けた後に撮像素子5の露光を開始し、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了する(ステップS26)。
【0089】
露光が終了すると、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS27)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0090】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bで増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号がクランプレベルA’にクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0091】
デジタル信号処理部17では、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0092】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第三のモードによる撮像が終了する。
【0093】
以上のように、このデジタルカメラによれば、AD変換部7から出力される複数個の黒画素信号のうち、出力値がゼロとなる黒画素信号の占める割合であるクリップ確率に応じてクランプレベルを調整することができる。
【0094】
一般に、AD変換部7で発生する下限クリップは、アナログゲイン、温度、及び露光時間の組み合わせで程度が変化する。したがって、これら3つの条件に応じてクランプレベルを調整しようとすると、制御が複雑になる。また、温度情報は正確に取得することが難しい。また、これら3つの条件とクリップ確率の相関性はデジタルカメラによって個体差があり、3つの条件からクランプレベル調整量へ変換する構成を個々のデジタルカメラ毎に最適化することは難しい。
【0095】
図1のデジタルカメラによれば、クランプレベルの調整を、クリップ確率だけを入力値として行うため、制御が複雑になることはなく、簡便な構成で画質向上を実現することができる。また、撮像時又は撮像時に近い状態で求めたクリップ確率に応じてクランプレベルを調整しているため、デジタルカメラ毎に個体差があったとしても、クランプレベルを精度良く調整することができる。
【0096】
また、このデジタルカメラによれば、アナログゲインと被写体の輝度とによって、第一のモード、第二のモード、及び第三のモードの3つのパターンにしたがってクランプレベルの調整を行っているため、撮影条件に応じた最適な処理を実施することができる。
【0097】
アナログゲインが閾値よりも低い場合は、PGA6bで増幅後の黒画素信号のバラつきがあまり大きくならない。このため、クリップ確率を求めるために撮像素子5から出力させる黒画素信号の数が少なくても、信頼性の高い計算結果を得ることができる。そこで、このような場合には、1行目からM行目までの光電変換素子行から得られた黒画素信号だけを用いてクリップ確率を求める第一のモードで撮像を実施することとしている。このようにすることで、黒レベル補正精度を向上させながら、撮像の開始から終了までの時間を短縮することができる。
【0098】
また、アナログゲインが閾値以上の場合は、PGA6bで増幅後の黒画素信号のバラつきが大きくなる。このため、信頼性の高い計算結果を得るには、クリップ確率を求めるために撮像素子5から出力させる黒画素信号の数を多くすることが好ましい。そこで、このような場合には、1行目から(M+N)行目までの光電変換素子行から得られた1画面分の黒画素信号を用いてクリップ確率を求める第二のモード又は第三のモードで撮像を実施することとしている。このようにすることで、アナログゲインが高い場合、すなわち高感度撮影の場合でも、黒レベル補正精度を向上させることができる。
【0099】
なお、CCD型の撮像素子5においては、被写体の輝度が閾値よりも高い場合にスミアが発生する可能性がある。第二のモードでは、露光終了後に空転送を行って黒画素信号を得ているため、スミアが発生すると、黒画素信号の値が正確に得られなくなってしまう。そこで、被写体の輝度が閾値よりも高い場合には、露光前に撮像素子5を遮光した状態で1画面分の黒画素信号を取得する第三のモードで撮像を実施することとしている。このようにすることで、スミアの影響を受けることなく、クランプレベルを正確に調整することができる。
【0100】
以上の説明では、撮像素子5をCCD型としたが、MOS型であっても良い。MOS型を用いた場合には、スミアは発生しないため、被写体の輝度に応じて第二のモードと第三のモードを分ける必要はなく、いずれかを実施すれば良い。また、MOS型の撮像素子は、出力読み出し順序の自由度が高く、黒画素信号だけを繰り返し読み出すことも可能であるため、便利である。
【0101】
また、第二のモードと第三のモードのそれぞれにおいて、撮像素子5に含まれる全ての光電変換素子の数分(1画面分)の黒画素信号ではなく、その一部の黒画素信号(例えば半分の光電変換素子行分の信号)を取得し、この黒画素信号からクリップ確率を演算する構成としても良い。その際、クリップ確率の計算に使用しない黒画素信号は、高速掃き出し駆動等で除去しても良い。このようにすることで、撮像終了までの時間を短縮することができる。
【0102】
また、第二のモードと第三のモードでは、読み出しパルスを印加する前に、黒画素信号の取得及びクリップ確率の演算を何度でも実施して良い。クリップ確率を複数回演算することで、黒レベル補正精度をより向上させることができる。
【0103】
次に、上述してきたデジタルカメラの変形例を説明する。
【0104】
この変形例のデジタルカメラの構成は、図1に示したものとほぼ同じである。この変形例のデジタルカメラが図1のデジタルカメラと異なる点は、システム制御部11が、クリップ確率に応じてクランプレベルを調整するクランプレベル調整部として機能する代わりに、クリップ確率に応じてPGA6bのアナログゲインを調整するアナログゲイン調整部として機能する点である。
【0105】
また、この変形例のデジタルカメラでは、システム制御部11がアナログゲインを調整してしまうため、このままでは、トータルのゲインが設定ゲインからずれてしまう。そこで、トータルのゲインを一定にするため、PGA6bのアナログゲインが調整された場合に、デジタル信号処理部17が、AD変換部7から出力されるデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅部としても機能するようにしている。デジタル信号処理部17は、デジタルゲインとシステム制御部11によって調整された後のアナログゲインとの和が一定(撮影時に設定されたトータルゲイン)となるように、デジタルゲインを設定するものとなっている。
【0106】
AD変換部7から出力されたn個の黒画素信号のヒストグラムが図8(a)に示すh2のようになっていた場合、クリップ確率が0%よりも大きくなる。このため、光電変換素子51から得られた撮像信号から減算すべき黒レベルはクランプレベルaよりも大きくなってしまい、黒レベル補正を精度良く行うことが難しい。このような場合、この変形例のデジタルカメラのシステム制御部11は、PGA6bで設定するアナログゲインを、図8(a)のときよりも小さくする調整を行う。これにより、AD変換部7に入力される信号のバラつきが小さくなるため、図8(b)に示すように、ヒストグラムh2の分布幅は狭くなり、クリップ確率を0%にすることができる。クリップ確率が0%になることで、クランプレベルと黒レベルとがほぼ一致するため、黒レベル補正を精度良く行うことが可能になる。
【0107】
クリップ確率に応じてアナログゲインを調整する具体的方法としては、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の閾値(例えば5%)を設定しておき、クリップ確率がこの閾値を超えていた場合に、クリップ確率がこの閾値以下となるレベルまでアナログゲインを小さくする方法がある。なお、アナログゲインを小さくしすぎると、その分、デジタルゲインを大きくする必要があるため、SNが劣化する可能性がある。そこで、黒レベル精度を許容できるクリップ確率の許容範囲(例えば2%〜5%)を設定しておき、クリップ確率が許容範囲外にあった場合に、この許容範囲内にクリップ確率が収まるようにアナログゲインを調整するようにしても良い。例えば、クリップ確率が5%より上のときは、クリップ確率が2%〜5%となるようにアナログゲインを小さくし、クリップ確率が2%より下のときは、クリップ確率が2%〜5%となるようにアナログゲインを大きくする。このようにすることで、黒レベル精度の低下を防ぎながらノイズを低減することができ、全体的な画質を良好なものにすることができる。
【0108】
調整後のアナログゲインの値は、システム制御部11が演算によって得ても良いし、システム制御部11がテーブルからデータを持ってくることで得ても良い。演算によって求める場合は、アナログゲインを最小単位ずつ変化させていったときの各アナログゲインにおけるクリップ確率のデータを予め求めておく。そして、このデータから、アナログゲインを最小単位で変化させたときのクリップ確率の変化量を求める。そして、この変化量から、クリップ確率を入力して、該クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるようなアナログゲインの調整量を出力する関数を作成して、デジタルカメラに記憶しておけば良い。システム制御部11が、この関数にクリップ確率を入力してアナログゲインの調整量を得た後、この調整量を、既に設定されているアナログゲインに加算してアナログゲインを調整すれば良い。
【0109】
テーブルによって得る場合は、クリップ確率とアナログゲインとを対応付けたテーブルをデジタルカメラに記憶しておく。そして、システム制御部11が、求めたクリップ確率が閾値を越えていた場合、又は、許容範囲外であった場合に、クリップ確率が閾値以下又は許容範囲内となるアナログゲインを該テーブルから読み出してPGA6bに設定するようにしても良い。
【0110】
次に、デジタルカメラの撮影時の動作について説明する。図9は、変形例のデジタルカメラの動作を説明するためのフローチャートである。図9において図4と同様の処理には同一符号を付してある。図9に示すフローチャートは、図4に示したステップS7,S8の代わりにステップS7’,S8’,S9’を実施し、図4に示したステップS16,S17の代わりにステップS16’,S17’,S18’を実施し、図4に示したステップS24,S25をステップS24’,S25’とし、図4に示したステップS26とステップS27の間にステップS26’を追加したものとなっている。以下、変更点について第一のモード、第二のモード、第三のモードのそれぞれに分けて説明する。
【0111】
(第一のモード)
図10は、変形例のデジタルカメラが第一のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図10において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。
【0112】
ステップS6でクリップ確率を算出した後、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてアナログゲインを調整する。具体的には、クリップ確率から、PGA6bで設定されているアナログゲインの調整量を算出し(ステップS7’)、算出した調整量をアナログゲインの初期値Bに加算して、PGA6bに設定するアナログゲインをB’に更新する(ステップS8’)。なお、このアナログゲインの更新作業は、次の光電変換素子(2行目の光電変換素子行)から信号が出力されるまでの間に行われる。
【0113】
アナログゲインの調整が終わると、デジタル信号処理部17が、アナログゲインの調整量に応じてデジタルゲインを設定する(ステップS9’)。例えば、撮像信号にかけるべきトータルの設定ゲインがXdBであり、調整後のアナログゲインが0.5XdBになっていた場合、デジタル信号処理部17は、トータルゲインがXとなるように、デジタルゲインを0.5XdBに設定する。
【0114】
アナログゲインが調整された後、2行目の光電変換素子行から黒画素信号が出力されると、その黒画素信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この黒画素信号は、AD変換部7で所定レベルにクランプされてデジタル信号に変換され、メインメモリ16に記憶される。
【0115】
ステップS9’の後、システム制御部11は、参照する光電変換素子行を次の行とし(ステップS9)、ステップS4に処理を戻す。参照する光電変換素子行がM行目までは、ステップS4〜ステップS9までが繰り返し実行される。(M+1)行目を参照行とした時点で、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力される撮像信号)に適用するアナログゲイン(このアナログゲインをB’’とする)とデジタルゲインが確定する。
【0116】
アナログゲインがB’に確定した後は、画像データの生成に用いる撮像信号((M+1)行目以降の各光電変換素子行の撮像信号)が撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0117】
(M+1)行目以降の各光電変換素子行から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、AD変換部7では、各光電変換素子行のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号が所定のクランプレベルにクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0118】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の値の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号の値から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0119】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、各光電変換素子51から得られた撮像信号をステップS9’で設定したデジタルゲインで増幅する。その後、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第一のモードによる撮像が終了する。
【0120】
(第二のモード)
図11は、変形例のデジタルカメラが第二のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図11において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0121】
ステップS15でクリップ確率を算出した後、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてアナログゲインを調整する。具体的には、クリップ確率から、PGA6bに設定されているアナログゲインの調整量を算出し(ステップS16’)、算出した調整量をクランプレベルの初期値Bに加算して、PGA6bに設定するアナログゲインをB’に更新する(ステップS17’)。
【0122】
アナログゲインの調整が終わると、デジタル信号処理部17が、アナログゲインの調整量に応じてデジタルゲインを設定する(ステップS18’)。
【0123】
デジタルゲインの設定が終わると、システム制御部11が、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から垂直電荷転送部53に電荷を読み出す(ステップS18)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0124】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号が所定レベルにクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0125】
デジタル信号処理部17は、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0126】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、各光電変換素子51から得られた撮像信号を、ステップS18’で設定したデジタルゲインで増幅する。その後、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第二のモードによる撮像が終了する。
【0127】
(第三のモード)
図12は、変形例のデジタルカメラが第三のモードで撮像を行うときのタイミングチャートである。図12において、“V1〜V4”は、配線V1〜V4に供給される信号を示している。“H1,H2”は、配線H1,H2に供給される信号を示している。“CLP”は、システム制御部11からAD変換部7に供給される信号を示し、この信号がハイレベルのときに、AD変換部7ではクランプ処理が行われる。“メカシャッタ”はメカニカルシャッタMSの開閉状態を示している。
【0128】
ステップS23でクリップ確率を算出した後、システム制御部11は、算出したクリップ確率に応じてアナログゲインを調整する。具体的には、クリップ確率から、PGA6bに設定されているアナログゲインの調整量を算出し(ステップS24’)、算出した調整量をアナログゲインの初期値Bに加算して、PGA6bに設定するアナログゲインをB’に更新する(ステップS25’)。
【0129】
アナログゲインの調整が終わると、システム制御部11は、メカニカルシャッタMSを開けて撮像素子5の露光を開始し、メカニカルシャッタMSを閉じて露光を終了する(ステップS26)。
【0130】
露光が終了すると、デジタル信号処理部17が、アナログゲインの調整量に応じて、デジタルゲインを設定する(ステップS26’)。
【0131】
デジタルゲインの設定が終了すると、システム制御部11は、配線V1に読み出しパルスを供給して、撮像素子5の全ての光電変換素子から電荷を垂直電荷転送部53に読み出す(ステップS27)。その後、システム制御部11は、垂直電荷転送部53及び水平電荷転送部54を駆動して、全ての光電変換素子行から読み出された電荷に応じた撮像信号(画像データ生成のために用いる撮像信号)を撮像素子5から出力させる(ステップS10)。
【0132】
撮像素子5から出力された撮像信号は、その出力順にしたがって、CDS6aでリセットノイズが除去され、PGA6bにおいてアナログゲインB’で増幅され、AD変換部7に入力される。そして、この撮像信号のうち、黒レベル検出用光電変換素子52から出力された撮像信号については、その撮像信号が所定レベルにクランプされてデジタル信号に変換される。デジタル変換後の撮像信号はメインメモリ16に記憶される。
【0133】
デジタル信号処理部17では、(M+1)行目〜(M+N)行目までの各光電変換素子行から得られた撮像信号のうち、被写体からの光に応じた撮像信号(光電変換素子51から得られた撮像信号)の黒レベル補正を行う。具体的には、各光電変換素子行の黒レベル検出用光電変換素子52から得られた撮像信号の平均を求めてこれを当該光電変換素子行の黒レベルとする。そして、当該光電変換素子行の各光電変換素子51から得られた撮像信号から該黒レベルを減算して黒レベルを補正する。
【0134】
黒レベル補正後、デジタル信号処理部17は、各光電変換素子51から得られた撮像信号を、ステップS26’で設定したデジタルゲインで増幅する。その後、同時化処理、RGB/YC変換処理等を行って画像データを生成する。生成された画像データは圧縮されて記録媒体21に記録される。以上のような動作により、第三のモードによる撮像が終了する。
【0135】
以上のように、クランプレベルの代わりにアナログゲインを調整することでも、黒レベル補正の精度を向上させて、画質を向上させることができる。クリップ確率に応じてアナログゲインを調整する方法は、クランプレベルを調整する方法と比べて、ヒストグラムの分布がAD変換部7の上限値側に広がらないため、階調表現を豊かにすることができる。一方、クリップ確率に応じてクランプレベルを調整する方法は、アナログゲインを調整する方法と比べて、デジタルゲインを大きくする必要がないため、SNを向上させることができる。
【0136】
なお、デジタルカメラが、クリップ確率に応じてクランプレベルを調整する方法と、クリップ確率に応じてアナログゲインを調整する方法とを両方実施するようにしても良い。例えば、デジタルカメラに、図4に示すフローで動作するSN優先モードと、図9に示すフローで動作する階調優先モードとを設け、設定されたモードで撮像を行うようにすれば良い。このようにすることで、ユーザの好みにあった画像を得ることができるようになる。
【0137】
これまで説明してきたように、本明細書には次の事項が開示されている。
【0138】
開示された撮像装置は、撮像素子と、前記撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部と、前記増幅部から出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部とを備え、前記AD変換部は、前記増幅部から出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部と、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換部の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算部と、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整部及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整部の少なくとも一方とを備える。
【0139】
この構成により、黒画素信号に占めるAD変換部の出力下限値となる信号の割合に応じて設定レベル及びアナログゲインの少なくとも一方が調整されるため、簡便な制御で、黒レベル補正改善、色再現向上、ダイナミックレンジ最適化等を図ることができ、画質を向上させることができる。例えば、設定レベルを大きくすると、AD変換部の出力ヒストグラムが上限値側に移動するため、下限クリップが発生する確率を小さくすることができ、黒レベル補正を精度良く行うことができる。また、アナログゲインを小さくすると、ランダムノイズのバラつきが小さくなるため、AD変換部の出力ヒストグラム幅が狭くなり、下限クリップが発生する確率を小さくすることができ、黒レベル補正を精度良く行うことができる。また、例えば、上記割合が少ない露光条件では、下限クリップによる画質への影響が少ないと考えられるため、設定レベル及びアナログゲインを既定値のままとすることで、階調を損なうことなく、黒レベル補正を精度良く行うことができる。
【0140】
開示された撮像装置は、前記アナログゲイン調整部が、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする。
【0141】
この構成により、黒レベル補正を精度良く行うことができる。
【0142】
開示された撮像装置は、前記アナログゲイン調整部が、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする。
【0143】
この構成により、黒レベル精度をそれほど落とすことなく、階調表現を豊かにすることができる。
【0144】
開示された撮像装置は、前記レベル調整部が、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする。
【0145】
この構成により、黒レベル補正を精度良く行うことができる。
【0146】
開示された撮像装置は、前記レベル調整部が、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする。
【0147】
この構成により、黒レベル精度をそれほど落とすことなく、階調表現を豊かにすることができる。
【0148】
開示された撮像装置は、前記アナログゲイン調整部によって前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換部から出力されるデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅部を備え、前記デジタル信号増幅部は、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整部によって調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する。
【0149】
この構成により、上記割合に応じてアナログゲインが増減されても、その増減分をデジタルゲインで調整することができ、トータルゲインを一定にして信号を増幅することができる。
【0150】
開示された撮像装置は、前記出力下限値割合演算部が、前記AD変換部から出力される前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する。
【0151】
開示された撮像装置は、前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御部が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0152】
開示された撮像装置は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0153】
開示された撮像装置は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【0154】
開示された撮像装置は、前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御部が、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記黒画素信号出力制御部は、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する。
【0155】
開示された撮像装置は、前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出部を備える。
【0156】
開示された撮像方法は、撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅ステップと、前記増幅ステップで増幅後の撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換ステップとを備え、前記AD変換ステップでは、前記増幅後の撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換し、前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御ステップと、前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換ステップでの出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算ステップと、前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整ステップ及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整ステップの少なくとも一方とを備える。
【0157】
開示された撮像方法は、前記アナログゲイン調整ステップでは、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする。
【0158】
開示された撮像方法は、前記アナログゲイン調整ステップでは、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする。
【0159】
開示された撮像方法は、前記レベル調整ステップでは、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする。
【0160】
開示された撮像方法は、前記レベル調整ステップでは、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする。
【0161】
開示された撮像方法は、前記アナログゲイン調整ステップで前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換ステップで変換されたデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅ステップを備え、前記デジタル信号増幅ステップでは、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整ステップで調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する。
【0162】
開示された撮像方法は、前記出力下限値割合演算ステップでは、前記AD変換ステップで変換後の前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する。
【0163】
開示された撮像方法は、前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0164】
開示された撮像方法は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0165】
開示された撮像方法は、前記撮像素子がCCD型であり、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる。
【0166】
開示された撮像方法は、前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する。
【0167】
開示された撮像方法は、前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出ステップを備える。
【符号の説明】
【0168】
5 撮像素子
6b 増幅部
7 AD変換部
11 システム制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部と、
前記増幅部から出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部とを備え、
前記AD変換部は、前記増幅部から出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、
前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部と、
前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換部の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算部と、
前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整部及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整部の少なくとも一方とを備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置であって、
前記アナログゲイン調整部が、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置であって、
前記アナログゲイン調整部が、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記レベル調整部が、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の撮像装置であって、
前記レベル調整部が、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記アナログゲイン調整部によって前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換部から出力されるデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅部を備え、
前記デジタル信号増幅部は、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整部によって調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記出力下限値割合演算部が、前記AD変換部から出力される前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御部が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御部が、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、
前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記黒画素信号出力制御部は、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する撮像装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出部を備える撮像装置。
【請求項13】
撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅ステップと、
前記増幅ステップで増幅後の撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換ステップとを備え、
前記AD変換ステップでは、前記増幅後の撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換し、
前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御ステップと、
前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換ステップでの出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算ステップと、
前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整ステップ及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整ステップの少なくとも一方とを備える撮像方法。
【請求項14】
請求項13記載の撮像方法であって、
前記アナログゲイン調整ステップでは、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする撮像方法。
【請求項15】
請求項14記載の撮像方法であって、
前記アナログゲイン調整ステップでは、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする撮像方法。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記レベル調整ステップでは、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする撮像方法。
【請求項17】
請求項16記載の撮像方法であって、
前記レベル調整ステップでは、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする撮像方法。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記アナログゲイン調整ステップで前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換ステップで変換されたデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅ステップを備え、
前記デジタル信号増幅ステップでは、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整ステップで調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する撮像方法。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記出力下限値割合演算ステップでは、前記AD変換ステップで変換後の前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する撮像方法。
【請求項20】
請求項13〜19のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像方法。
【請求項21】
請求項13〜20のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像方法。
【請求項22】
請求項13〜21のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像方法。
【請求項23】
請求項13〜19のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、
前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する撮像方法。
【請求項24】
請求項13〜23のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出ステップを備える撮像方法。
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅部と、
前記増幅部から出力される撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換部とを備え、
前記AD変換部は、前記増幅部から出力される撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換するものであり、
前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御部と、
前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換部の出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算部と、
前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整部及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整部の少なくとも一方とを備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の撮像装置であって、
前記アナログゲイン調整部が、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする撮像装置。
【請求項3】
請求項2記載の撮像装置であって、
前記アナログゲイン調整部が、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記レベル調整部が、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする撮像装置。
【請求項5】
請求項4記載の撮像装置であって、
前記レベル調整部が、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記アナログゲイン調整部によって前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換部から出力されるデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅部を備え、
前記デジタル信号増幅部は、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整部によって調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記出力下限値割合演算部が、前記AD変換部から出力される前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御部が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御部が、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御部が、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、
前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記黒画素信号出力制御部は、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する撮像装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項記載の撮像装置であって、
前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出部を備える撮像装置。
【請求項13】
撮像素子から出力されるアナログの撮像信号を所定のアナログゲインで増幅する増幅ステップと、
前記増幅ステップで増幅後の撮像信号をデジタル信号に変換するAD変換ステップとを備え、
前記AD変換ステップでは、前記増幅後の撮像信号のうち、被写体からの光によらない信号である黒画素信号を設定レベルにクランプしてデジタル信号に変換し、
前記撮像素子から前記黒画素信号を複数個出力させる制御を行う黒画素信号出力制御ステップと、
前記デジタル信号に変換された前記複数個の黒画素信号のうち、前記AD変換ステップでの出力下限値となる信号の占める割合を求める出力下限値割合演算ステップと、
前記割合に応じて前記設定レベルを調整するレベル調整ステップ及び前記割合に応じて前記アナログゲインを調整するアナログゲイン調整ステップの少なくとも一方とを備える撮像方法。
【請求項14】
請求項13記載の撮像方法であって、
前記アナログゲイン調整ステップでは、前記割合が第一の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを小さくする撮像方法。
【請求項15】
請求項14記載の撮像方法であって、
前記アナログゲイン調整ステップでは、前記第一の閾値より小さい第二の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第二の閾値以上前記第一の閾値以下となるレベルまで前記アナログゲインを大きくする撮像方法。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記レベル調整ステップでは、前記割合が第三の閾値よりも大きいときに、前記割合が前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを大きくする撮像方法。
【請求項17】
請求項16記載の撮像方法であって、
前記レベル調整ステップでは、前記第三の閾値より小さい第四の閾値よりも前記割合が小さいときに、前記割合が前記第四の閾値以上前記第三の閾値以下となるレベルまで前記設定レベルを小さくする撮像方法。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記アナログゲイン調整ステップで前記アナログゲインの調整がなされた場合に、前記AD変換ステップで変換されたデジタル信号を所定のデジタルゲインで増幅するデジタル信号増幅ステップを備え、
前記デジタル信号増幅ステップでは、前記デジタルゲインと前記アナログゲイン調整ステップで調整された後の前記アナログゲインとの和が一定となるように、前記デジタルゲインを設定する撮像方法。
【請求項19】
請求項13〜18のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記出力下限値割合演算ステップでは、前記AD変換ステップで変換後の前記複数個の黒画素信号のヒストグラムを求めて、前記割合を演算する撮像方法。
【請求項20】
請求項13〜19のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子が、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像方法。
【請求項21】
請求項13〜20のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像方法。
【請求項22】
請求項13〜21のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子がCCD型であり、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記撮像素子を遮光した状態で、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子及び黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる撮像方法。
【請求項23】
請求項13〜19のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記撮像素子が、CCD型であり、且つ、被写体からの光に応じた信号を得るための光電変換素子と、黒レベルを検出するための黒レベル検出用光電変換素子とを含み、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記黒画素信号を出力させるために、第一の制御と第二の制御と第三の制御を実施可能であり、
前記第一の制御が、前記黒レベル検出用光電変換素子で発生した電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第二の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記撮像素子に含まれる光電変換素子から電荷転送路に電荷を読み出さずに前記電荷転送路に発生している電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記第三の制御が、前記撮像素子を遮光した状態で前記光電変換素子及び前記黒レベル検出用光電変換素子から電荷転送路に読み出した電荷を転送して、該電荷に応じた信号を前記黒画素信号として出力させる制御であり、
前記黒画素信号出力制御ステップでは、前記アナログゲインが閾値よりも小さいときに前記第一の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が所定値よりも小さいときに前記第二の制御を実施し、前記アナログゲインが前記閾値以上で且つ被写体輝度が前記所定値以上のときに前記第三の制御を実施する撮像方法。
【請求項24】
請求項13〜23のいずれか1項記載の撮像方法であって、
前記割合から前記設定ゲイン及び前記アナログゲインの少なくとも一方の調整量を算出する調整量算出ステップを備える撮像方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−9834(P2011−9834A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148659(P2009−148659)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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