説明

撮像装置及び撮像方法

【課題】設置済みの撮像装置の画像から、新しい撮像装置の画角範囲全域をカバーできるようにする。
【解決手段】被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像手段と、変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得手段と、変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得手段と、前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換手段と、前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信手段とを備え、前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を行い、前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及び撮像方法に関し、特に、撮像装置の画角の変換を行うために用いて好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットなどIP(Internet Protocol)ネットワークを利用した配信システムが増加してきており、スキー場や動物園の状況を配信するインターネットサイトや、店舗・ビル監視などにも採用されている。さらに、ネットワークカメラの高解像度化や多様化が進み、すでに購入したユーザが買い替えを行うことが考えられる。
【0003】
しかし、画角の異なる新しいネットワークカメラ(以降、カメラとする)に買い替える場合、今までの撮像画像がどのように変わるか直感的にわからなかった。よって、新しいカメラへスムーズに移行していくために、事前に新しいカメラに置き換えた際にどのような画像が撮像されるのか知りたいという要望があった。これを解決するためには、設置してあるカメラの撮影画像から新しいカメラの撮影画像へ画角を変換する処理が必要である。
【0004】
例えば、特許文献1では魚眼カメラのような超広角から、所望の画角への画角変換法が開示されている。特許文献1では高速の電子回路を用いて数学的に補正することによって、変換を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−83242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示された従来技術では、ユーザもしくは定められた命令によって変換後の画角の指定を行っていた。よって、設置してある新しいカメラの画角を指定することはできなかった。一方、所望の画角の最大値は、設置してあるカメラで撮像した画角であり、それ以上大きな画角への変換、つまり画像の切り抜きしか行えなかった。
【0007】
しかしながら、カメラの置き換えを考えると、新しいカメラの画角が必要であるとともに、設置してあるカメラの画角より、新しいカメラの画角が大きくなる場合の考慮が必要である。
本発明は前述の問題点に鑑み、設置済みの撮像装置の画像から、新しい撮像装置の画角範囲全域をカバーできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像手段と、変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得手段と、変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得手段と、前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換手段と、前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信手段とを備え、前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を行い、前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設置済みの撮像装置が撮影する画像を必要に応じて、新しい撮像装置が撮影できる画角全域をカバーした画像を提供し、画像の変化程度を直感的に分かりやすい形で提供できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】カメラサーバのソフトウェア構成を示す図である。
【図2】監視システムのシステム構成を示す図である。
【図3】カメラサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図4】画角変換を行う場合のクライアント側でのGUIの例を示す図である。
【図5】画角変換のプログラムの手順を説明するフローチャートである。
【図6】画角変換プログラムの詳細を説明するフローチャートである。
【図7】画角処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】画角制御を考慮した画角変換の例を示す図である。
【図9】画角制御を伴う画角処理の詳細を示すフローチャートである。
【図10】画角制御に制限がある画角変換の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、カメラサーバのソフトウェア構成図であり、図2は監視システムのシステム構成を示す図である。
【0012】
カメラサーバ200ならびにクライアント220がネットワーク230を介して相互に接続される。
カメラサーバ200は撮影画角可変、もしくは撮影画角が固定されているカメラを備え、撮影した画像データはネットワーク230を介し、配信される。クライアント220はカメラサーバ200にアクセスし、画像を取得する。それぞれの詳細については後述する。なお、説明の簡略化のためにカメラサーバは1台としているが、2台以上であっても構わない。
【0013】
また、クライアント220以外にもカメラサーバ200にアクセスして画像の受信や蓄積を行う他のクライアントがあっても構わない。また、クライアント220以外にも機種名や画角を蓄積するデータサーバがあっても構わない。
【0014】
ネットワーク230はEthernet(登録商標) 等の通信規格を満足する複数のルータ、スイッチ、ケーブル等から構成される。本実施形態においては各サーバ・クライアント間の通信が支障なく行えるものであればその通信規格、規模、構成を問わない。故にインターネットからLAN (Local Area Network)にまで適用可能である。
【0015】
図3は、カメラサーバ200のハードウェア構成を示すブロック図である。
CPU300、1次記憶装置340、2次記憶装置350、画像キャプチャI/F 320、カメラ制御I/F 360、ネットワークI/F 370が内部バス310を介して相互に接続されている。ここで、1次記憶装置340はRAMに代表される書き込み可能な高速の記憶装置で、OSや各種プログラム及び各種データがロードされる。また、OSや各種プログラムの作業領域としても使用される。
【0016】
2次記憶装置350はFDDやHDD、フラッシュメモリ、CD-ROMドライブ等に代表される不揮発性を持った記憶装置で、OSや各種プログラム及び各種データの永続的な記憶領域として使用される他に、短期的な各種データの記憶領域としても使用される。
カメラサーバ200の1次記憶装置340及び2次記憶装置350に置かれる各種プログラム等の詳細については後述する。
【0017】
画像キャプチャI/F 320には、被写体を撮像して撮像画像を生成するカメラ330が接続される。カメラ330は撮像した画像データを所定のフォーマットに変換・圧縮して変換画像を生成する画角変換処理を行い、変換画像を1次記憶装置340に転送する。カメラ制御I/F 360にはカメラ330が接続され、必要に応じてカメラ330の撮像画角を制御する画角制御を行い、設定されている画角の取得を行う。画角制御とはカメラ330の機械的な制御を伴う光学画角制御でもよいし、機械的な制御を伴わない画像処理による電子的な電子倍率変換制御でも構わない。また、画角とは垂直画角と水平画角でもよいし、対角画角でも構わない。ネットワークI/F370は前述のネットワーク230と接続するためのI/Fであり、Ethernet等の通信媒体を介してクライアント220等との通信を担う。
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施に良好な画角変換システムの第1の構成と動作について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、カメラ330に画角制御を行うことができない固定カメラを用い、新しく設定したいカメラに画角可変機を用いた場合について説明する。
【0019】
図1(a)は、カメラサーバ200のソフトウェア構成を示す図である。
1次記憶装置340上には、OS100、撮像処理プログラム110、画角取得プログラム120、画角変換プログラム130、配信処理プログラム140、及び一時記憶部150がロードされる。
【0020】
OS100は、カメラサーバ全体を制御する基本プログラムである。撮像処理プログラム110は、カメラ330で生成された画像フレームを画像キャプチャI/F 320を経由して取得し符号化して、一時記憶部150に保存する。
【0021】
画角取得プログラム120はカメラ330の設定されている画角をカメラ制御I/F360を経由して取得し、一時記憶部150に保存する。また、画角取得プログラム120は配信処理プログラム140から設定したい撮像装置の画角を取得し、一時記憶部150へ保存する。配信処理プログラム140から画角を取得できなかった場合は、2次記憶装置350に保存されているデフォルトの画角、または現在の画角を保存しても構わない。
【0022】
画角変換プログラム130は一時記憶部150に保存されている現在の画角を利用する。そして、一時記憶部150に保存されている設定する画角が、現在の画角よりも小さい場合は、画像フレームを拡大・切り出しを行い、設定する画角が大きい場合は縮小・枠付加を行って、変換した画像フレームを一時記憶部150へ保存する。
【0023】
配信処理プログラム140は、各種クライアントからのリクエストに応じ、設定したい撮像装置の画角を画角取得プログラム120に送信したり、新しいカメラサーバやデータサーバから、設定したい撮像装置の画角を画角取得プログラム120に送信したりする。また、一時記憶部150に保存されている画像フレームや設定したい撮像装置の画角を、ネットワークI/F370を制御し、ネットワーク230を介して各種クライアントへ送り届ける。各プログラム同士の連携は、必要に応じてOS100が提供する機能を用いることとする。
【0024】
図4は、カメラサーバ200において画角変換を行う場合のクライアント側でのGUIの例を示す図である。
図4において、矢印400は画角の大きさを示しており、上方向に向かうにつれ、画角が小さくなる、すなわちズームインされた状態を表す。また、下方向に向かうと画角が大きくなる、すなわちズームアウトされた状態を表す。カメラ330は画角固定のカメラであり、画像410で表わされる画角で固定されている。一方設置したいカメラの画角は画角の可動範囲420を有している。図4では、設置したいカメラの可動範囲420の内、画像410の画角と一致する画角は450である。
【0025】
設置したいカメラの画角がカメラ330の画像410の画角で表わされる画角より小さい領域430に指定されている場合、画角差を算出し、算出した画角差に応じて画像を拡大制御し、配信する画像サイズに合わせて切抜を行う。拡大・切抜を行った画像の例が460である。設置したいカメラの画角がカメラ330の画像410の画角で表わされる画角より大きい領域440に指定されている場合、画角差に応じて画像を縮小制御し、配信する画像サイズになるよう枠の付加を行う。縮小・枠付加を行った画像の例が470である。画像410を縮小した画像と枠の部分の間は塗りつぶしてもよいし、別の画像を重畳してもよい。
【0026】
図5は、画角変換のプログラム130の手順を説明するフローチャートである。
本フローチャートでは、設置されている固定カメラを撮像装置1、新しく置き換えようとしている画角可変のカメラを撮像装置2とする。
【0027】
S500にて画角変換プログラム130が起動されると、一時記憶部150に保存されているカメラ330の現在の画角、画角1(変換前の第1の画角)を取得する第1の画角取得処理を行う(S501)。
次に、一時記憶部150に保存されているカメラ330(撮像装置1)の画角範囲(画角範囲1)を取得する(S502)。
【0028】
本実施形態ではカメラ330は画角固定なため、画角範囲1は0である。次いで、一時記憶部150に保存されている設置したいカメラの画角範囲(画角範囲2)を取得する(S503)。本実施形態では、設置したい画角は可変なため、画角範囲2は最大値(最大画角)と最小値(最小画角)を有する。
【0029】
S504にて終了シグナルを受信しているか確認し、受信した場合、画角変換プログラム130は終了する。終了シグナルが未受信であれば、設置したいカメラの画角、画角2の指定があるか否かの判定を行う(S505)。画角2の指定がある場合、S506にて一時記憶部150から指定された画角2(変換後の第2の画角)を取得する第2の画角取得処理を行い、S508に進む。指定がない場合、S507においてデフォルト値として画角1を画角2として保存する。次いで、メインルーチンS508で画角変換処理を行う。S508のメインルーチンに関しては後述する。メインルーチンが終了したら再度S504の終了判定を行う。
【0030】
図6は、S508の画角変換プログラム130のメインルーチンの詳細を説明するフローチャートである。
S600にてメインルーチンが始まると、S501で取得した画角1とS506もしくはS507で取得した画角2の比率計算を行う(S601)。たとえば、画角2が画角1の半分であったら、画角差、変換比率は1/2倍である。
【0031】
一方、画角2が画角1の3倍であったら、画角差、変換比率は3倍である。S601での計算結果を基にS602で画像処理による画角変換処理を行う。S602の画像処理による画角変換処理については後述する。S602で画角変換処理が終了したら、設置したい画角2を一時記憶部150へ保存し、変換した画像も一時記憶部150へ保存する。
【0032】
図7は、S602の画像処理のみの画角変換処理の詳細を示すフローチャートである。
第1の実施形態ではカメラ330が画角固定であり画角の制御ができないため、画角の変換を画像処理のみで行う。
【0033】
S700にて画像処理が始まると、まず一時記憶部150から画像を取得する(S701)。次いで、画角の判定処理を行う(S702)。画角2が画角1より大きな場合、すなわち設置したいカメラの画角がカメラ330の画角より大きい場合、S601で求めた比率を元に画像フレームに対し縮小処理(S703)と、外枠を付加する外枠付加処理(S704)を行う。
【0034】
S702の判定において画角2が画角1より小さな場合、すなわち、設置したいカメラの画角がカメラ330の画角より小さい場合、S601で求めた比率を元に画像フレームに対し拡大処理(S705)と枠の切抜処理(S706)を行う。画角2と画角1が等しい場合はS705、S706の処理になるが、拡大と切抜処理は伴わない。
なお、本実施形態では画角変換処理では縮小・枠付加、拡大・切抜について説明したが、設置したい撮像装置の画素数が大きくなる場合、拡大・枠付加、縮小・切抜に変えても構わない。
【0035】
(第2の実施形態)
以下、本発明の実施に良好な画角変換システムの第2の構成と動作について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、カメラ330に画角が可変なズームカメラを用い、新しく設定したいカメラにも画角可変なズームカメラを用いた場合について説明する。
【0036】
図1(b)は、画角が可変なカメラサーバ200のソフトウェア構成図である。
1次記憶装置340上には、OS160、撮像処理プログラム161、画角取得プログラム162、画角変換プログラム163、配信処理プログラム164、画角制御プログラム165、及び一時記憶部166がロードされる。
【0037】
OS160は、カメラサーバ全体を制御する基本プログラムである。
撮像処理プログラム161はカメラ330で生成された画像フレームを画像キャプチャI/F 320を経由して取得し符号化して、一時記憶部166に保存する。
【0038】
画角取得プログラム162は、カメラ330の設定されている画角をカメラ制御I/F360を経由して取得し、一時記憶部166に保存する。また、画角取得プログラム162は配信処理プログラム164から設定したい撮像装置の画角を取得し、一時記憶部166へ保存する。配信処理プログラム164から画角を取得できなかった場合は、2次記憶装置350に保存されているデフォルトの画角、または現在の画角を保存しても構わない。
【0039】
画角変換プログラム163は、一時記憶部166に保存されている画角を利用し、設定したい画角がカメラ330の画角範囲に含まれる場合は画角制御プログラム165を制御する。画角制御プログラム165の制御では、現在の画角よりも設定したい画角が小さい場合は、画角を小さくするズームイン制御を行い、設定したい画角が大きい場合は、画角を大きくするズームアウト制御を行う。
【0040】
設定したい画角がカメラ330の画角範囲に含まれない場合は画角制御プログラム165の制御に加えて、画像処理による画角変換を行う。画像処理の場合は、一時記憶部166に保存されている現在の画角を利用する。そして、一時記憶部166に保存されている設定する画角が、現在の画角よりも小さい場合は、画像フレームを拡大・切り出しを行い、設定する画角が大きい場合は縮小・枠付加を行って、変換した画像フレームを一時記憶部166へ保存する。
【0041】
なお、機械制御が伴う光学画角制御が設置時に限定されているカメラの場合は、初回の画角制御時のみ画角制御プログラム165の画角制御を行っても構わない。なお、初回の画角制御では画角の制御幅が最小になるように制御しても構わない。
【0042】
画角制御プログラム165は、画角変換プログラム163によって制御された命令に基づきズームイン制御とズームアウト制御を行う。
配信処理プログラム164は、各種クライアントからのリクエストに応じ、設定したい撮像装置の画角を画角取得プログラム162に送信したり、新しいカメラサーバやデータサーバから、設定したい撮像装置の画角を画角取得プログラム162に送信したりする。また、一時記憶部166に保存されている画像フレームや設定したい撮像装置の画角を、ネットワークI/F370を制御し、ネットワーク380及び前述のネットワーク230に各種クライアントへ送り届ける。各プログラム同士の連携は、必要に応じてOS160が提供する機能を用いることとする。
【0043】
図8は、画角が可変なカメラサーバ200において画角変換を行う場合のクライアント側でのGUIの例を示す図である。
矢印800は画角の大きさを示しており、上方向に向かうにつれ、画角が小さくなる、すなわちズームインされた状態を表す。また、下方向に向かうと画角が大きくなる、すなわち、ズームアウトされた状態を表す。カメラ330は画角可変のカメラであり、810で示される画角範囲の間で画角の設定変更が可能となっており、カメラ330は画像830で表わされる画角で設定されている。
【0044】
一方、設定したいカメラの画角は可動範囲860を有している。設定したいカメラの画角範囲の内、画像830の画角と一致する画角は880である。本実施形態では、設定したいカメラの画角が、カメラ330の画角可動範囲820内である場合は、画角変換プログラム163は画角制御プログラム165の制御を行う。
【0045】
たとえば、設定したいカメラの画像870の画角はカメラ330の画角可動範囲810の範囲内であるため、画角制御プログラム165の制御で実現する。設定したいカメラの画角が、カメラ330の画角可動範囲820外である場合は、画角変換プログラム163は、カメラ330の画角可動範囲810の上限値892と下限値891まで画角の制御命令を画角制御プログラム165へ送信する。範囲外の部分に関しては、第1の実施形態と同様に画像処理を行うことによって画角の変換を実現する。
【0046】
たとえば、設定したいカメラの画像890の画角の場合、カメラ330の画角可動範囲820の上限値892を上回っている。このため、画角変換プログラム163は画角制御プログラム165に対して、画角を上限値892に制御する命令を送信し、さらに画像処理により縮小と枠の付加を行う。画像830を縮小した画像と枠の部分の間は塗りつぶしてもよいし、別の画像を重畳してもよい。
【0047】
画角変換のプログラム163のフローチャートは図5と同じであるため省略する。画角変換プログラム163のメインルーチンS508のフローチャートの詳細は、同じであるS601までは省略する。
S601での計算結果を基にS602で画角制御と画像処理による画角変換処理を行う。画角制御と画像処理による画角変換については後述する。S602の画角変換処理が終了したら、設置したい画角2を一時記憶部166へ保存し、変換した画像も一時記憶部166へ保存する。
【0048】
図9は、S602の画角制御を伴う画角変換処理の詳細を示すフローチャートである。
本実施形態ではカメラ330が画角可変であるため、画角変換を画角制御と画像処理により実現する。
S900にて画像処理が始まると、まず画角の判定処理を行う(S901)。
画角2が画角1より大きな場合、すなわち設置したいカメラの画角がカメラ330の画角より大きい場合、S601で求めた比率を元に画角制御プログラム165を画角が拡大するように、つまりズームアウト制御する(S902)。
【0049】
画角2が画角1より小さな場合、すなわち、設置したいカメラの画角がカメラ330の画角より小さな場合、S601で求めた比率を元に画角制御プログラム165を画角が縮小するように、つまりズームイン制御する(S903)。画角2と画角1が等しい場合はS903の処理になるが、画角制御は伴わない。
【0050】
設置したいカメラの画角がカメラ330の可動域の上限もしくは下限を超える場合は、上限値もしくは下限値まで制御を行う。設定したいカメラの画角可動域が現在のカメラ330の画角可動範囲に含まれる場合は、設定したいカメラの限界値で制御を止めても構わない。
【0051】
画角制御後、カメラ330の画角1を更新する(S904)。画角の更新後も画角2と画角1が異なる場合は第1の実施形態の画像処理を用いる(S905)ことで、画角変換処理を実現する。なお、画像処理による画角変換処理は第1の実施形態ですでに説明済みのため、今回の説明では省略する。
【0052】
(第3の実施形態)
以下、本発明の実施に良好な画角変換システムの第3の構成と動作について、図面を参照しながら説明する。本実施形態ではカメラ330に画角が可変なズームカメラを用いるが、機械的なハードウェアの制限などにより、光学画角制御に制限がある設置時ズームカメラを用いる。また、新しく設定したいカメラには画角可変なズームカメラを用いた場合について説明する。
ソフトウェア構成図は、図1(b)と同じであるため、省略する。
【0053】
図10は、画角制御に制限があるカメラサーバ200において画角変換を行う場合のクライアント側でのGUIの例を示す図である。
図10において、矢印1000は画角の大きさを示しており、上方向に向かうにつれ、画角が小さくなる、すなわちズームインされた状態を表す。また、下方向に向かうと画角が大きくなる、すなわちズームアウトされた状態を表す。カメラ330は1010で示される画角範囲で画角の設定変更が可能となっており、画像1030で表わされる画角で設定されている。一方、設定したいカメラは画角可動範囲1050を有している。
【0054】
本実施形態では、設定したいカメラの画角可動範囲1050において、画像1030の画角と一致する画角は存在しない。よって、設定したいカメラの画角可動範囲1050において、現在の画像1030の画角に最も近い画角1070まで光学画角制御によって現在の画角を制御する。画角1070に相当する、カメラ330の制御後の画像が1020で表わされている。光学画角制御を行うのは、カメラ330の現在の画角が設定したいカメラの画角範囲外である場合であり一度のみである。
【0055】
画像1030の画角から画像1020の画角まで光学画角制御を行った後の、設定したいカメラの画角可動範囲1050における画角変換1040は画像処理で行う。画像1060は画像1020から拡大処理と切抜処理を施し、画角変換を行った例である。画角が大きくなる場合で、画像処理を施した場合、縮小した画像と枠の部分の間は塗りつぶしてもよいし、別の画像を重畳してもよい。
【0056】
本実施形態では機械への負荷が少なくなる制御方式、つまり、制御範囲が最も小さくなる制御方式について説明したが、設定したいカメラの画角がカメラ330の画角範囲内であれば、設定したいカメラの画角まで制御しても構わない。また、設定したいカメラの画角がカメラ330の画角範囲外であっても、カメラ330の画角範囲の限界値まで制御しても構わない。
【0057】
画角変換のプログラムのフローチャートは図5、図6と同じであるため省略する。また、画角変換処理(図6のS602)は図7と図9と同じであるため省略する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0058】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0059】
100 OS、110 撮像処理プログラム、120 画角取得プログラム、130 画角変換プログラム、140 配信処理プログラム、150 一時記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像手段と、
変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得手段と、
変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得手段と、
前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換手段と、
前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信手段とを備え、
前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を行い、
前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像手段と、
変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得手段と、
変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得手段と、
撮像画角を制御する画角制御手段と、
前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換手段と、
前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信手段とを備え、
前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合、前記第2の画角に合わせて、前記画角制御手段で縮小制御を行い、前記縮小制御を行った後も前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を行い、
前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合、前記第2の画角に合わせて、前記画角制御手段で拡大制御を行い、前記拡大制御を行った後も前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記第1の画角は、前記撮像装置の設定されている画角と、前記撮像装置の最小画角と前記撮像装置の最大画角とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の画角は、前記第1の画角と、配信したい画角と、前記配信したい画角の最小画角と前記配信したい画角の最大画角とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の画角の取得方法は、撮像装置から取得する手段と、前記配信手段を介して取得する手段とを含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画角制御手段は、撮像手段の制御を伴う光学画角制御と、電子的な電子倍率変換制御とを含むことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記光学画角制御は、光学画角制御に制限がある場合を含むことを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像工程と、
変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得工程と、
変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得工程と、
前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換工程と、
前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信工程とを実行し、
前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を実行し、
前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を実行することを特徴とする撮像方法。
【請求項9】
被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像工程と、
変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得工程と、
変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得工程と、
撮像画角を制御する画角制御工程と、
前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換工程と、
前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信工程とを実行し、
前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合、前記第2の画角に合わせて、前記画角制御工程で縮小制御を行い、前記縮小制御を行った後も前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を実行し、
前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合、前記第2の画角に合わせて、前記画角制御工程で拡大制御を行い、前記拡大制御を行った後も前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を実行することを特徴とする撮像方法。
【請求項10】
被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像工程と、
変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得工程と、
変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得工程と、
前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換工程と、
前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信工程とをコンピュータに実行させ、
前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を実行させ、
前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を実行させるようコンピュータを制御することを特徴とするプログラム。
【請求項11】
被写体を撮像して撮像画像を生成する撮像工程と、
変換前の第1の画角を取得する第1の画角取得工程と、
変換後の第2の画角を取得する第2の画角取得工程と、
撮像画角を制御する画角制御工程と、
前記第1の画角と前記第2の画角から画角差を算出し、前記撮像画像の画角変換を行って変換画像を生成する画角変換工程と、
前記第2の画角と前記変換画像とを配信する配信工程とをコンピュータに実行させ、
前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合、前記第2の画角に合わせて、前記画角制御工程で縮小制御を行い、前記縮小制御を行った後も前記第2の画角が前記第1の画角より大きい場合、前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に縮小処理と外枠付加処理を実行させ、
前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合、前記第2の画角に合わせて、前記画角制御工程で拡大制御を行い、前記拡大制御を行った後も前記第2の画角が前記第1の画角より小さい場合は前記第2の画角に合わせて、前記撮像画像に拡大処理と切抜処理を実行させるようコンピュータを制御することを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−81086(P2013−81086A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220224(P2011−220224)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】