説明

撮像装置及び撮像装置の制御方法

【課題】高輝度領域が存在している画像が撮影される場合にも、合焦制御の精度が低下することを抑制する。
【解決手段】撮像素子によって時系列に撮像されたN(N≧2)枚の画像のうち最大輝度が設定値以上の画像がM(M<N)枚以上か否かに基づいて、N枚の画像に高輝度領域が連続的に存在しているか否かを繰り返し判定し(100,102)、位相差検出方式で合焦位置を検出し、位相差検出方式で合焦可能か否か判定する(106,108)。位相差検出方式で合焦可能であれば、検出された合焦位置付近までレンズを駆動した後、画像に高輝度領域が存在していれば位相差検出方式で、存在していなければコントラスト検出方式で合焦制御を行う(108〜116)。位相差検出方式で合焦不可であれば、コントラスト検出方式で合焦位置検出と合焦制御を行い(118,120)、画像に高輝度領域が存在していれば位相差検出方式で合焦可能か再判定を行う(122,124)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及び撮像装置の制御方法に係り、特に、光学系の合焦位置を位相差検出方式で検出する第1検出部と光学系の合焦位置をコントラスト検出方式で検出する第2検出部を備えた撮像装置、及び、当該撮像装置に適用可能な撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像装置のオートフォーカス機構における合焦位置の検出方式として位相差検出方式とコントラスト検出方式が知られている。位相差検出方式は、撮影レンズを透過した光からセパレータレンズによって生成した2つの像の間隔を専用のセンサで検出することで、合焦位置に対する焦点位置のずれ量及び方向を検出するものであり、合焦位置の検出にあたって撮影レンズの焦点位置を移動させる必要がないので、合焦位置を比較的短時間で検出することができる。一方、コントラスト検出方式は、撮影レンズの焦点位置を移動させながら、撮像素子によって撮像される画像のコントラストに関連する評価値が最大となる焦点位置(合焦位置)を探索するものであり、専用のセンサが不要で、合焦精度が比較的高い。
【0003】
このように、位相差検出方式とコントラスト検出方式は異なる特徴を備えているので、両方式で合焦位置を検出する機能を各々設け、合焦に用いる方式を選択する技術が提案されている。例えば特許文献1には、位相差画素と通常画素を備えた撮像装置において、位相差AF(オートフォーカス)での測距が可能な否かを評価する評価関数の値を閾値と比較することで位相差AFの信頼性を判定し、判定した信頼性が高いときには、位相差AFで検出された合焦位置方向にフォーカスレンズを駆動し、位相差AFの信頼性が低いときには、コントラストAFで検出した合焦位置の方向にフォーカスを駆動し、合焦位置付近では精度の高いコントラストAFによる合焦位置へフォーカスレンズを駆動する技術が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、被写体の低周波帯域がコントラスト検出可能かどうかを示す評価値、被写体の高周波帯域がコントラスト検出可能かどうかを示す評価値、及び、被写体の周波数分布が位相差検出方式による焦点検出が可能かどうかを示す評価値を各々演算して、位相差AFとコントラストAFの信頼性を比較し、信頼性の高いAF方式で焦点を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−139942号公報
【特許文献2】特開2010−204294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば夜景を撮影した場合には、撮影した夜景に含まれるネオンサイン等が高輝度の領域として画像に写り込むことがあり、晴天下で水面を含む被写体を撮影した場合には、水面のうち自然光を撮影装置側へ反射している部分が高輝度の領域として画像に写り込むことがある。このように、撮影される画像中に高輝度領域が存在していた場合、画像のコントラストに関連する評価値(以下、コントラスト評価値という)は高輝度領域からの影響が支配的となり、例えば高輝度領域に輝度変化があればそれに応じてコントラスト評価値が変動するので、コントラスト検出方式では合焦位置を正確に検出することが困難になる、という課題がある。
【0007】
これに対し、前述した特許文献1に記載の技術では、位相差AFでの測距が可能な否かを評価する評価関数の値(AFライン上で隣り合う画素の画素出力の差を積算した値)を閾値と比較することで位相差AFの信頼性を判定し、判定結果に応じて位相差AF又はコントラストAFを選択しており、特許文献2に記載の技術では、被写体の周波数分布に基づいて位相差AFとコントラストAFの信頼性を評価・選択している。このため、これらの技術では、画像上で高輝度領域として写り込む物体が撮影範囲内に存在するか否かに拘わらずコントラストAFが選択される可能性があり、高輝度領域が存在する画像が撮影される状況でコントラストAFが選択された場合、合焦位置を検出できなかったり、誤検出された合焦位置に基づいて合焦制御が行われる、という問題がある。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、高輝度領域が存在している画像が撮影される場合にも、合焦制御の精度が低下することを抑制できる撮像装置及び撮像装置の制御方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明に係る撮像装置は、焦点位置を移動可能な光学系を介して受光部に入射された光により被写体を繰り返し撮像する撮像手段と、被写体が前記受光部に結像される合焦位置を位相差検出方式で検出する第1検出部と、前記合焦位置をコントラスト検出方式で検出する第2検出部と、前記撮像手段によって時系列に撮像された複数の画像中に高輝度領域が連続的又は断続的に存在しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、前記第1検出部によって検出された合焦位置又は前記第2検出部によって検出された合焦位置を選択し、選択した合焦位置を用いて前記光学系の合焦制御を行う制御手段と、を含んで構成されている。
【0010】
請求項1記載の発明は、焦点位置を移動可能な光学系を介して受光部に入射された光により被写体を繰り返し撮像する撮像手段が設けられており、第1検出部は被写体が撮像手段の受光部に結像される合焦位置を位相差検出方式で検出し、第2検出部は前記合焦位置をコントラスト検出方式で検出する。ここで、判定手段は、撮像手段によって時系列に撮像された複数の画像中に高輝度領域が連続的又は断続的に存在しているか否かを判定する。
【0011】
例えば撮影対象の夜景に含まれるネオンサイン等が点滅している等の場合、撮影される画像には高輝度領域が断続的に存在することになり、合焦位置を探索するために複数の画像を用いるコントラスト検出方式ではこのような画像でも検出精度が低下するが、高輝度領域が一時的に存在していない状態の画像を用いて高輝度領域の有無を判定した場合、高輝度領域が存在していないと誤判定する可能性もある。これに対し、上記の判定手段は撮像手段によって時系列に撮像された複数の画像を対象として高輝度領域の存在を判定するので、画像中に高輝度領域が連続的に存在している場合も断続的に存在している場合も正確に判定することができる。
【0012】
そして制御手段は、判定手段による判定結果に基づいて、光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、第1検出部によって検出された合焦位置又は第2検出部によって検出された合焦位置を選択し、選択した合焦位置を用いて光学系の合焦制御を行うので、請求項1記載の発明によれば、高輝度領域が存在している画像が撮影される場合にも、合焦制御の精度が低下することを抑制することが可能となる。
【0013】
なお、請求項1記載の発明において、制御手段は、より詳しくは、例えば請求項2に記載したように、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定された場合に、光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、第1検出部によって検出された合焦位置を選択し、判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定された場合に、光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、第2検出部によって検出された合焦位置を選択するように構成することができる。これにより、高輝度領域が存在している画像が撮影される場合にも、合焦制御の精度が低下することを抑制することができる。
【0014】
また、請求項1又は請求項2記載の発明において、例えば請求項3に記載したように、撮像手段が撮像を繰り返し、判定手段は、撮像手段によって時系列に撮像された最新の複数の画像を対象として前記判定を繰り返し、制御手段は、指示手段を介して合焦が指示されると、判定手段による最新の判定結果に基づいて、光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、第1検出部によって検出された合焦位置又は第2検出部によって検出された合焦位置を選択するように構成することが好ましい。
【0015】
本発明において、判定手段は時系列に撮像された複数の画像を用いて高輝度領域が連続的又は断続的に存在しているか否かを判定するので、判定には多少の時間が掛かるが、上記のように、撮像手段が撮像を、判定手段が判定を繰り返し、制御手段が指示手段を介して合焦が指示されると、判定手段による最新の判定結果に基づいて合焦位置(検出方式)の選択を行うように構成することで、合焦が指示されてから合焦制御が完了する迄の時間を短縮することができる。
【0016】
また、請求項2記載の発明において、制御手段は、例えば請求項4に記載したように、指示手段を介して合焦が指示されると、位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、位相差検出方式で合焦が可能と判定した場合は、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されていれば、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されていれば、合焦制御を第1検出部によって検出された合焦位置近傍の位置迄行った後に、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成してもよい。
【0017】
前述のように、コントラスト検出方式では合焦位置の探索を行うので、合焦位置が検出される迄に多少の時間が掛かる可能性があるが、請求項4記載の発明では、高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されている場合にも、合焦制御を第1検出部によって検出された合焦位置近傍の位置迄行った後に、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うので、特に合焦制御を開始したときの光学系の焦点位置が合焦位置と大きく相違していた等の場合に、合焦が指示されてから合焦制御が完了する迄の時間を短縮することができる。
【0018】
また、請求項2記載の発明において、制御手段は、例えば請求項5に記載したように、指示手段を介して合焦が指示されると、位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、位相差検出方式で合焦が可能でないと判定した場合は、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されていれば、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されていれば、合焦制御を第2検出部によって検出された合焦位置迄行った後に、位相差検出方式で合焦が可能か否かを再度判定し、位相差検出方式で合焦が可能と判定した場合は、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成してもよい。
【0019】
位相差検出方式で合焦が可能か否かは被写体に依存し、例えば流し撮り等のように撮影範囲が変更されながら合焦が指示された等の場合、一旦は位相差検出方式で合焦が可能でないと判定された場合にも、再度の判定で位相差検出方式で合焦が可能と判定されることがある。請求項5記載の発明では、位相差検出方式で合焦が可能でないと判定した場合であっても、高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されていれば、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されていれば、合焦制御を第2検出部によって検出された合焦位置迄行った後に、位相差検出方式で合焦が可能か否かを再度判定し、位相差検出方式で合焦が可能と判定した場合は、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うので、上記場合に合焦できない状態に陥る確率を低減することができる。
【0020】
また、請求項2記載の発明において、位相差検出方式及びコントラスト検出方式には優先順位が予め設定されていてもよく、この場合、制御手段は、例えば請求項6に記載したように、コントラスト検出方式の方が位相差検出方式よりも優先順位が上位の場合に、判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定され、かつ、コントラスト検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されているか、コントラスト検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成することができる。
【0021】
また、請求項2記載の発明において、位相差検出方式及びコントラスト検出方式に優先順位が予め設定されている場合、制御手段は、例えば請求項7に記載したように、位相差検出方式の方がコントラスト検出方式よりも優先順位が上位の場合、及び、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されている場合に、位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、位相差検出方式で合焦が可能でないと判定し、かつ、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されているときには、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成することができる。
【0022】
また、請求項6又は請求項7記載の発明において、第1検出部及び第2検出部は、指示手段を介して合焦が指示されると合焦位置の検出を並列に行う構成であってもよく、この場合、制御手段は、例えば請求項8に記載したように、第1検出部の方が第2検出部よりも合焦位置の検出が先に完了した場合には、位相差検出方式で合焦が可能か否か判定し、位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、位相差検出方式の方がコントラスト検出方式よりも優先順位が上位であるか、コントラスト検出方式の方が位相差検出方式よりも優先順位が上位であっても、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されているときには、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、コントラスト検出方式の方が位相差検出方式よりも前記優先順位が上位で、かつ判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されているときには、第2検出部による合焦位置の検出完了後にコントラスト検出方式で合焦が可能か否かを判定し、コントラスト検出方式で合焦が可能と判定したときには、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、コントラスト検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成することができる。
【0023】
請求項8記載の発明では、第1検出部の方が第2検出部よりも合焦位置の検出が先に完了した場合に、位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、位相差検出方式の方がコントラスト検出方式よりも優先順位が上位であるか、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されていれば、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うので、この場合、第2検出部による合焦位置の検出完了を待つことなく合焦制御を開始することができ、合焦が指示されてから合焦制御が完了する迄の時間を短縮することができる。
【0024】
また、請求項8記載の発明において、制御手段は、例えば請求項9に記載したように、位相差検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、第2検出部による合焦位置の検出完了後にコントラスト検出方式で合焦が可能か否かを判定し、コントラスト検出方式で合焦が可能と判定したときには、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成することができる。
【0025】
また、請求項6又は請求項7記載の発明において、第1検出部及び第2検出部が、指示手段を介して合焦が指示されると合焦位置の検出を並列に行う構成である場合、制御手段は、例えば請求項10に記載したように、第2検出部の方が第1検出部よりも合焦位置の検出が先に完了した場合には、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定され、かつコントラスト検出方式で合焦が可能と判定し、かつコントラスト検出方式の方が位相差検出方式よりも優先順位が上位のときには、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行い、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定され、かつコントラスト検出方式で合焦が可能と判定し、かつ位相差検出方式の方がコントラスト検出方式よりも優先順位が上位のときには、第1検出部による合焦位置の検出完了後に位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、第1検出部によって検出された合焦位置を用い、位相差検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成することができる。
【0026】
請求項10記載の発明では、第2検出部の方が第1検出部よりも合焦位置の検出が先に完了した場合に、高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定され、かつコントラスト検出方式で合焦が可能と判定し、かつコントラスト検出方式の方が位相差検出方式よりも優先順位が上位のときには、第2検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うので、この場合、第1検出部による合焦位置の検出完了を待つことなく合焦制御を開始することができ、合焦が指示されてから合焦制御が完了する迄の時間を短縮することができる。
【0027】
また、請求項10記載の発明において、制御手段は、例えば請求項11に記載したように、判定手段によって高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されるか、コントラスト検出方式で合焦が可能でないと判定した場合は、第1検出部による合焦位置の検出完了後に前記位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、第1検出部によって検出された合焦位置を用いて合焦制御を行うように構成することができる。
【0028】
また、請求項1〜請求項11の何れか1項記載の発明において、判定手段は、例えば請求項12に記載したように、複数の画像のうち、最大輝度が第1設定値以上、又は、最小輝度に対する最大輝度の比が第2設定値以上、又は、最大輝度と最小輝度との差が第3設定値以上の画像の割合が設定割合以上の場合に、複数の画像中に高輝度領域が連続的に存在していると判定するように構成することができる。
【0029】
また、請求項1〜請求項12の何れか1項記載の発明において、判定手段は、例えば請求項13に記載したように、複数の画像の中に、輝度範囲が、複数の画像の平均輝度に基づいて設定される基準輝度範囲から外れている画像が1つ以上含まれている場合に、複数の画像中に高輝度領域が断続的に存在していると判定するように構成することができる。
【0030】
請求項14記載の発明に係る撮像装置の制御方法は、焦点位置を移動可能な光学系を介して受光部に入射された光により被写体を繰り返し撮像する撮像手段と、被写体が前記受光部に結像される合焦位置を位相差検出方式で検出する第1検出部と、前記合焦位置をコントラスト検出方式で検出する第2検出部と、を備えた撮像装置に適用される撮像装置の制御方法であって、判定手段は、前記撮像手段によって時系列に撮像された複数の画像中に高輝度領域が連続的又は断続的に存在しているか否かを判定し、制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、前記第1検出部によって検出された合焦位置又は前記第2検出部によって検出された合焦位置を選択し、選択した合焦位置を用いて前記光学系の合焦制御を行うので、請求項1記載の発明と同様に、高輝度領域が存在している画像が撮影される場合にも、合焦制御の精度が低下することを抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように本発明は、撮像手段によって時系列に撮像された複数の画像中に高輝度領域が連続的又は断続的に存在しているか否かを判定し、判定結果に基づいて、光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、位相差検出方式で検出された合焦位置又はコントラスト検出方式で検出された合焦位置を選択し、選択した合焦位置を用いて光学系の合焦制御を行うので、高輝度領域が存在している画像が撮影される場合にも、合焦制御の精度が低下することを抑制できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態で説明した撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】撮像素子の受光面を模式的に示す平面図である。
【図3】(A)は位相差検出画素を示す概略図、(B)は位相差検出画素対の検出信号の一例を示す線図である。
【図4】第1実施形態で説明した合焦制御処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態で説明した高輝度領域判定処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態で説明した高輝度領域判定処理を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態で説明した高輝度領域判定処理を示すフローチャートである。
【図8】第4実施形態で説明した合焦制御処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0034】
〔第1実施形態〕
図1には本実施形態に係る撮像装置10が示されている。撮像装置10には撮像系12が設けられており、撮像系12は、焦点位置を移動可能で被写体像を結像させるためのレンズ群を含んで構成された光学ユニット22と、光学ユニット22の当該レンズの光軸後方に配設されたCCD、或いはCMOS型撮像素子等から成る撮像素子24と、入力されたアナログ信号に対して各種のアナログ信号処理を行うアナログ信号処理部26と、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(ADC)28と、入力されたデジタルデータに対して各種のデジタル信号処理を行うデジタル信号処理部30と、主として撮像素子24を駆動させるためのタイミング信号(パルス信号)を生成して撮像素子24に供給するタイミングジェネレータ32と、光学ユニット22に内蔵された各種モータ(焦点調整モータや絞り駆動モータ等)を駆動するモータ駆動部34と、を含んで構成されている。なお、光学ユニット22は本発明における光学系の一例、撮像素子24は本発明における撮像手段の一例である。
【0035】
撮像素子24の信号出力端はアナログ信号処理部26の信号入力端に接続され、アナログ信号処理部26の信号出力端はADC28の信号入力端に接続され、ADC28の信号出力端はデジタル信号処理部30の信号入力端に接続されている。これにより、撮像素子24から出力されたアナログの画像信号はアナログ信号処理部26によって所定のアナログ信号処理が施され、ADC28によってデジタルの画像データに変換された後にデジタル信号処理部30に入力され、所定のデジタル信号処理が行われる。デジタル信号処理部30は所定容量のラインバッファを内蔵しており、デジタル信号処理が行われたデジタル画像データは、デジタル信号処理部30によって後述するメモリ48に記憶される。
【0036】
また撮像装置10は、撮影された画像やメニュー画面等を表示するための液晶ディスプレイ(LCD)38と、撮影された画像やメニュー画面等をLCD38に表示させるための信号を生成してLCD38に供給するLCDインタフェース(I/F)部36と、撮像装置10全体の動作を司るCPU40と、撮影により得られた画像データ等を一時的に記憶する不揮発性のメモリ48と、メモリ48に対するアクセスを制御するメモリインタフェース(I/F)部46と、不揮発性で可搬型のメモリカード52に対するアクセスを制御する外部メモリインタフェース(I/F)部50と、画像データの圧縮処理及び伸張処理を行う圧縮・伸張処理回路54と、を含んで構成されている。
【0037】
デジタル信号処理部30、LCDI/F部36、CPU40、メモリI/F部46、外部メモリI/F部50及び圧縮・伸張処理回路54はシステムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU40は、デジタル信号処理部30及び圧縮・伸張処理回路54の作動制御、LCD38に対するLCDI/F部36を介した各種情報の表示、メモリ48及びメモリカード52へのメモリI/F部46又は外部メモリI/F部50を介したアクセスを各々行うことができる。
【0038】
更に、撮像装置10には操作部56が設けられている。図示は省略するが、操作部56には、撮影を行う際のシャッターボタンの押圧操作を検出するレリーズスイッチ(所謂シャッタースイッチ)、撮像装置10の電源のオン/オフを切り替える際に操作される電源スイッチ、撮像装置10の動作モード(例えば撮影時に選択される撮影モードや、撮影された画像をLCD38に再生表示させる際に選択される再生モード等)を切替える際に操作されるモード切替スイッチ、LCD38にメニュー画面を表示させる際に押圧操作されるメニュースイッチ、それまでの操作内容を確定するときに押圧操作される決定スイッチ、直前の操作内容をキャンセルするときに押圧操作されるキャンセルスイッチ等の各種スイッチ類を含んで構成されている。操作部56はCPU40に接続されており、操作部56に対する操作状態はCPU40によっって常時把握される。
【0039】
なお、操作部56のレリーズスイッチは、シャッターボタンが中間位置まで押下された状態(半押し状態)と、当該中間位置を超えた最終押下位置まで押下された状態(全押し状態)と、の2段階の押圧操作を検出可能に構成されている。撮像装置10では、レリーズスイッチによってシャッターボタンの半押し状態が検出されると、AE(Automatic Exposure:自動露出)機能が動作して露出状態(シャッタースピードや絞り量)が設定された後、AF機能が働いて合焦制御され、その後、引き続き全押し状態にすると露光(撮影)が行われる。
【0040】
また、撮像装置10には、撮影時に必要に応じて被写体に照射する光を発するストロボ44と、ストロボ44とCPU40との間に介在されると共に、CPU40の制御によりストロボ44を発光させるための電力を充電する充電部42と、が備えられている。更に、ストロボ44はCPU40にも接続されており、ストロボ44の発光はCPU40によって制御される。
【0041】
図2に示すように、撮像素子24の受光面60には、各々光電変換素子(本実施形態ではフォトダイオード)が設けられた画素が多数形成されており、各画素列に沿って図示しない垂直電荷転送路が形成され、各垂直電荷転送路の転送方向端部には水平電荷転送路62が形成され、水平電荷転送路62の出力端部には、転送されてきた信号電荷量に応じた電圧値信号を撮像画像信号として出力する増幅器64が設けられている。
【0042】
撮像素子24の受光面60には、受光面60を9等分に分割した各分割エリアの略中央部に測光エリア66が各々設けられており、測光エリア66内には、通常画素(撮像用の画素)と位相差検出画素(位相差検出方式で合焦位置の検出を行うための画素)とが、例えば交互に、或いは周期的に配列形成されている。なお、受光面60のうち測光エリア66以外の領域には通常画素(撮像用の画素)のみが設けられている。
【0043】
本実施形態において、撮像素子24は各画素が所謂ハニカム状に配列されており、奇数行(奇数列)の画素行(画素列)に対して偶数行(偶数列)の画素行(画素列)が1/2画素ピッチづつずらして配置されている。そして、奇数行の画素に対してR,G,B各色のカラーフィルタがベイヤ配列され、偶数行の画素に対してR,G,B各色のカラーフィルタがベイヤ配列されている。これにより、同色のカラーフィルタに対応する画素が斜め方向に隣接することになる。なお、撮像素子24における画素配列はマトリクス状(正方格子配列)であってもよい。
【0044】
図3(A)に示すように、位相差検出画素は、斜め方向に最隣接(最近接)する2つの位相差検出画素1x,1yでペアを形成している。なお、図3(A)は図の錯綜を避けるため、位相差検出画素のみを図示している。また、ペアを形成する位相差検出画素対のうち、図3(A)で左側に位置している位相差検出画素1xは遮光膜開口(白抜きした部分)2xが左側にシフトされており、図3(A)で右側に位置している位相差検出画素1yは遮光膜開口(白抜きした部分)2yを反対側(右側)にシフトされている。
【0045】
以下、位相差検出画素を用いた位相差検出方式での合焦位置の検出について説明する。位相差検出画素1x,1yのうち、遮光膜開口2xが左側にシフトされた位相差検出画素1xの検出信号の分布は、図3(B)に示す特性Iとなり、遮光膜開口2yが右側にシフトされた位相差検出画素1yの検出信号の分布は、図3(B)に示す特性IIとなる。位相差検出画素1x,1yは受光面60上で隣接しており、距離が非常に小さいため、同一被写体からの光を受光していると考えられる。このため、特性Iと特性IIは同一形状になると考えられ、特性Iと特性IIの左右方向(位相差検出方向)のずれが、瞳分割した位相差検出画素対の一方の位相差検出画素1xから見た画像と、他方の位相差検出画素1yから見た画像との位相差量となる。
【0046】
従って、特性Iと特性IIとの相関演算を行うことで、位相差量(合焦位置に対する現在の焦点位置のずれ量)を求めることができる。特性Iと特性IIとの相関量の評価値を求める方法としては、例えば特開2010―8443号公報に記載された方法や特開2010―91991号公報に記載された方法を適用することができ、具体的には、例えば特性I上の各点X(i)と、特性II上の各点Y(i+j)の差分の絶対値の積算値を評価値とし、評価値が最小となるjの値を位相差量(合焦位置に対する現在の焦点位置のずれ量)として検出することができる。
【0047】
なお、1画素当りの受光面積が小さくなるに従い、個々の位相差検出画素の検出信号のレベルが小さくなってノイズの割合が増えるため、相関演算を行っても精度良く位相差量を検出することが困難となる。このため、図2の測光エリア66内において、位相差検出方向に沿った位置が同一の位相差検出画素1xの検出信号を、位相差検出方向に垂直な方向に複数画素分加算すると共に、位相差検出方向に沿った位置が同一の位相差検出画素1yの検出信号を、位相差検出方向に垂直な方向に複数画素分加算することが望ましい。これにより、ノイズの影響が低減され、位相差検出方式における合焦位置の検出精度(AF精度)を向上させることが可能となる。
【0048】
次に本第1実施形態の作用として、撮像装置10の動作モードとして撮影モードが設定されている間、メモリ48に予め記憶されている合焦制御プログラムがCPU40によって実行されることで行われる合焦制御処理について、図4を参照して説明する。
【0049】
合焦制御処理では、まずステップ100で高輝度領域判定処理が行われる。この高輝度領域判定処理の一例について、図5を参照して説明すると、撮像装置10の動作モードが撮影モードの場合、撮像素子24では、レリーズスイッチによって半押し状態や全押し状態が検出されていない期間にも一定周期で被写体の撮像を行っており、高輝度領域判定処理のステップ130では、撮像素子24による被写体の撮像によって得られた単一の画像のうち、予め設定されたAFエリア内の輝度情報を取得し、取得した輝度情報に基づいてAFエリア内の輝度値の最大値を演算する。
【0050】
次のステップ132では、ステップ130で得られた輝度値の最大値を予め設定された閾値と比較し、比較結果を記憶すると共に、今回の輝度情報の取得を含め、時系列に過去N(N≧2)回の輝度情報を取得した際に、得られた輝度値の最大値が前記閾値以上であった回数がM回(但しM<N)以上か否か判定する。この判定が肯定された場合、撮像素子24によって時系列に撮像された、撮影時刻の新しい順にN枚の画像には、輝度値が閾値以上の高輝度領域が定常的(連続的)に存在していると判断できる。このため、ステップ132の判定が肯定された場合はステップ134へ移行し、高輝度領域の判定結果として「高輝度領域有」を意味する情報を設定し、高輝度領域判定処理を終了する。
【0051】
また、ステップ132の判定が否定された場合、撮像素子24によって時系列に撮像された撮影時刻の新しい順にN枚の画像には、輝度値が閾値以上の高輝度領域が定常的(連続的)に存在していないと判断できるので、ステップ136へ移行し、高輝度領域の判定結果として「高輝度領域無」を意味する情報を設定し、高輝度領域判定処理を終了する。なお、図5に示す高輝度領域判定処理は、本発明における判定手段(より詳しくは請求項12に記載の判定手段)による処理の一例である。
【0052】
図4に示す合焦制御処理では、ステップ100で上記の高輝度領域判定処理を行うとステップ102へ移行し、シャッターボタンの半押し状態がレリーズスイッチによって検出されたか否かに基づいて、被写体に対する合焦が指示されたか否か判定する。判定が否定された場合はステップ100に戻り、ステップ102の判定が肯定される迄ステップ100,102を繰り返す。従って、撮像装置10が撮影モードで動作している間、図5に示した高輝度領域判定処理が繰り返され、撮像素子24によって時系列に撮像された、撮影時刻の新しい順にN枚の画像に、輝度値が閾値以上の高輝度領域が定常的(連続的)に存在しているか否かが繰り返し判定され、判定結果が繰り返し設定されることになる。
【0053】
また、シャッターボタンの半押し状態がレリーズスイッチによって検出されると、ステップ102の判定が肯定されてステップ104へ移行し、撮像素子24に設けられた位相差検出画素から出力される検出信号に基づいて前述の相関演算を行うことで、位相差検出方式によって合焦位置の検出(より詳しくは、合焦位置に対する光学ユニット22のレンズ群の現在の焦点位置のずれ量の検出)を行う。このステップ104は本発明における第1検出部による処理の一例である。
【0054】
次のステップ106では、ステップ104における合焦位置検出の結果に基づき、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否か判定する。前述のように、位相差検出方式による合焦位置の検出は、特性Iと特性IIとの相関演算を行って位相差量を演算するものであるが、撮像素子24によって撮像された被写体が、例えば格子状等のように同じパターンが繰り返し並んでいる被写体である等の場合、相関演算の評価値が複数の位置(繰り返しパターンの周期に対応する各位置)で極大又は極小となることで、合焦位置を特定することが困難となる。
【0055】
また、位相差検出方式による合焦位置の検出は、特性Iの波形と特性IIの波形が同一形状であることを前提にしており、例えば位相差検出画素から出力される検出信号にノイズが重畳した等によって一方の波形の形状が崩れた場合には、相関演算の評価値が極大又は極小となる位置が判別できなくなることで合焦位置を特定することが困難となる。従って、ステップ106の判定は、例えばステップ104の位相差検出方式による合焦位置の検出で単一の合焦位置が検出され、かつ検出された合焦位置に対応する評価値が、合焦位置と判断できる値か否か(例えば評価値が特性I上の各点X(i)と特性II上の各点Y(i+j)の差分の絶対値の積算値であれば、評価値が予め設定された閾値以下か否か)を判定することで行うことができる。
【0056】
ステップ106の判定が肯定された場合はステップ108へ移行し、ステップ104で位相差検出方式によって検出された合焦位置(より詳しくは合焦位置に対する光学ユニット22のレンズ群の現在の焦点位置のずれ量)に基づいてモータ駆動部34の焦点調整モータを駆動することで、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置を検出された合焦位置へ移動させる。次のステップ110では、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置が位相差検出方式で検出された合焦位置付近まで移動されたか否か判定し、判定が肯定される迄モータ駆動部34の焦点調整モータの駆動を継続させる。
【0057】
ステップ110の判定が肯定されるとステップ112へ移行し、高輝度領域の最新の判定結果が「高輝度領域有」か否か判定する。この判定が否定された場合、撮像素子24による撮像範囲内には画像中に高輝度領域として写り込む物体は存在しておらず、撮像素子24によって撮像される画像はコントラスト検出方式で合焦位置の検出が可能と判断できる。このため、ステップ112の判定が肯定された場合はステップ114へ移行し、コントラスト検出方式で合焦位置を検出し、検出した合焦位置に基づいて合焦制御を行う。
【0058】
すなわち、モータ駆動部34の焦点調整モータを駆動して光学ユニット22のレンズ群の焦点位置を移動させながら、撮像素子24によって撮像された画像の輝度情報から高周波成分を抽出・積算して合焦評価値(コントラスト評価値)を演算することを繰り返すことで、前記合焦評価値が最大となる位置(合焦位置)をコントラスト検出方式で検出する。この処理は本発明における第2検出部による処理の一例である。そして、合焦位置の検出が完了すると、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置をコントラスト検出方式で検出した合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。これにより、より高精度な合焦制御を行うことができる。また、ステップ114の処理を行うときには、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置は位相差検出方式によって検出された合焦位置付近迄移動されているので、ステップ114における合焦位置の検出も短時間で完了する。
【0059】
一方、ステップ112の判定が肯定された場合、撮像素子24による撮像範囲内には画像中に高輝度領域として写り込む物体が存在している可能性が高く、撮像素子24によって撮像される画像に対してコントラスト検出方式で合焦位置を検出した場合、画像中の高輝度領域の影響により合焦位置を検出できなかったり、合焦位置の誤検出が発生する可能性が高いと判断できる。このため、ステップ112の判定が肯定された場合はステップ116へ移行し、モータ駆動部34の焦点調整モータの駆動を継続し、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置を位相差検出方式で検出した合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。これにより、画像中の高輝度領域の影響で合焦制御の精度が低下することを回避することができる。
【0060】
また、先のステップ106において、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能でないと判定した場合はステップ106からステップ118へ移行し、先に説明したステップ114と同様に、コントラスト検出方式で合焦位置を検出し、検出した合焦位置に基づいて合焦制御を行う。次のステップ120では、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置がコントラスト検出方式で検出された合焦位置まで移動されたか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ120を繰り返す。
【0061】
ステップ120の判定が肯定されるとステップ122へ移行し、高輝度領域の最新の判定結果が「高輝度領域有」か否か判定する。この判定が否定された場合、撮像素子24による撮像範囲内には画像中に高輝度領域として写り込む物体は存在していないので、先のステップ118におけるコントラスト検出方式での合焦位置の検出における検出精度は高いと判断できる。このため、ステップ122の判定が否定された場合は合焦制御処理を終了する。
【0062】
一方、ステップ122の判定が肯定された場合、撮像素子24による撮像範囲内には画像中に高輝度領域として写り込む物体が存在している可能性が高いので、先のステップ118におけるコントラスト検出方式での合焦位置の検出における検出精度は低いと判断できる。このため、ステップ122の判定が肯定された場合はステップ124へ移行し、位相差検出方式で合焦位置の検出を再度行い、位相差検出方式で合焦位置の検出を再度行った結果に基づき、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否かを再度判定する。
【0063】
例えば、先のステップ106の判定が否定された原因が、位相差検出画素から出力される検出信号へのノイズの一時的な重畳であれば、ステップ124の再判定では、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能と判定される可能性がある。また、先のステップ106の判定が否定された原因が、同じパターンが繰り返し並んでいる被写体が撮像素子24によって撮像されたためであったとしても、被写体自体の変化や撮影範囲の変化に伴い、ステップ124の再判定では、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能と判定される可能性がある。
【0064】
ステップ124の判定が肯定された場合にはステップ126へ移行し、位相差検出方式で検出された合焦位置に基づいてモータ駆動部34の焦点調整モータを駆動することで、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置を位相差検出方式で検出された合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。これにより、画像中に高輝度領域が存在しており、かつ、一時的に、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能でないと判定された場合にも、光学ユニット22のレンズ群を被写体に合焦させることができる。
【0065】
なお、ステップ124の判定が否定された場合は、合焦制御を行うことは困難であるので、ステップ128へ移行し、例えばLCD38にメッセージを表示させたり、撮像装置10に設けられた合焦状態を通知するためのランプを点灯させない等により、非合焦(合焦できない状態)を通知し、合焦制御処理を終了する。
【0066】
なお、上述した合焦制御処理のうち、ステップ100〜ステップ104、ステップ114,118における合焦位置の検出以外の処理は、本発明における制御手段(より詳しくは請求項2〜5に記載の制御手段)による処理の一例である。上述した合焦制御処理が終了し、光学ユニット22が被写体に合焦している状態で、シャッターボタンが全押しされたことがレリーズスイッチによって検出されると、撮像素子24によって撮像された画像がメモリ48又はメモリカード52に書き込まれる。
【0067】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、本第2実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略する。
【0068】
上述した第1実施形態では、高輝度領域判定処理として図5に示す処理を行っていたが、本第2実施形態は、高輝度領域判定処理として、図5に示す処理に代えて図6に示す処理が行われる。以下、本第2実施形態に係る高輝度領域判定処理を説明する。
【0069】
本第2実施形態に係る高輝度領域判定処理では、まずステップ140において、撮像素子24による被写体の撮像によって得られた単一の画像のうち、予め設定されたAFエリア内の輝度情報を取得し、取得した輝度情報に基づいてAFエリア内の最小輝度に対する最大輝度の比率である輝度比PBを演算する。次のステップ142では、ステップ140で取得した輝度比PBを予め設定された閾値と比較し、比較結果を記憶すると共に、今回の輝度情報の取得を含め、時系列に過去N(N≧2)回の輝度情報を取得した際に、得られた輝度比PBが前記閾値以上であった回数がM回(但しM<N)以上か否か判定する。
【0070】
ステップ142の判定が肯定された場合、撮像素子24によって時系列に撮像された撮影時刻の新しい順にN枚の画像には、輝度比PBが閾値以上の高輝度領域が定常的(連続的)に存在していると判断できる。このため、ステップ142の判定が肯定された場合はステップ144へ移行し、高輝度領域の判定結果として「高輝度領域有」を意味する情報を設定し、高輝度領域判定処理を終了する。
【0071】
また、ステップ142の判定が否定された場合、撮像素子24によって時系列に撮像された、撮影時刻の新しい順にN枚の画像には、輝度比PBが閾値以上の高輝度領域が定常的(連続的)に存在していないと判断できるので、ステップ146へ移行し、高輝度領域の判定結果として「高輝度領域無」を意味する情報を設定し、高輝度領域判定処理を終了する。
【0072】
本第2実施形態に係る高輝度領域判定処理は、第1実施形態で説明した高輝度領域判定処理(図5)における輝度値に代えて輝度比PBを用いているので、撮像素子24によって撮像される画像の全体的な輝度の高低の影響を受けることなく、他の領域よりも相対的に輝度の高い高輝度領域が存在しているか否かを判定することができる。なお、図6に示す高輝度領域判定処理も、本発明における判定手段(より詳しくは請求項12に記載の判定手段)による処理の一例である。
【0073】
なお、上記で説明した輝度比PBに代えて、AFエリア内の最大輝度と最小輝度との輝度差を用い、時系列に過去N(N≧2)回の輝度情報を取得した際に、前記輝度差が予め設定された閾値以上であった回数がM回(但しM<N)以上か否かに基づいて、高輝度領域が定常的(連続的)に存在しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0074】
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態を説明する。なお、本第3実施形態は第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略する。
【0075】
本第3実施形態は、高輝度領域判定処理として、図7に示す処理が行われる。以下、本第3実施形態に係る高輝度領域判定処理を説明する。本第3実施形態に係る高輝度領域判定処理では、まずステップ150において、撮像素子24による被写体の撮像によって得られた単一の画像のうち、予め設定されたAFエリア内の輝度情報を取得し、取得した輝度情報に基づいてAFエリア内の最小輝度及び最大輝度を各々求める。
【0076】
次のステップ152では、時系列に取得した過去N(N≧2)回の輝度情報におけるAFエリア内の平均輝度を演算し、演算した平均輝度に対して予め設定された輝度差だけ高い高輝度側基準輝度と、演算した平均輝度に対して予め設定された輝度差だけ低い低輝度側基準輝度と、で区切られた範囲を基準輝度範囲として設定し、今回取得した輝度情報を含め、時系列に過去N(N≧2)回取得した輝度情報の中に、輝度範囲が基準輝度範囲から外れている輝度情報が1つ以上有るか否か判定する。
【0077】
ステップ152の判定が肯定された場合、撮像素子24によって時系列に撮像された、撮影時刻の新しい順にN枚の画像の中には、輝度範囲が基準輝度範囲から外れている画像が1枚以上存在しているので、N枚の画像中に高輝度領域が断続的に出現している可能性が高いと判断できる。このため、ステップ152の判定が肯定された場合はステップ154へ移行し、高輝度領域の判定結果として「断続的に出現する高輝度領域有」を意味する情報を設定し、高輝度領域判定処理を終了する。
【0078】
また、ステップ152の判定が否定された場合、撮像素子24によって時系列に撮像された、撮影時刻の新しい順にN枚の画像の中には、輝度範囲が基準輝度範囲から外れている画像は存在していないので、N枚の画像中に高輝度領域が断続的に出現している可能性は低いと判断できる。このため、ステップ152の判定が否定された場合はステップ156へ移行し、高輝度領域の判定結果として「断続的に出現する高輝度領域無」を意味する情報を設定し、高輝度領域判定処理を終了する。
【0079】
なお、本第3実施形態において、合焦制御処理(図4)のステップ112,122は、高輝度領域の判定結果が「断続的に出現する高輝度領域有」であれば判定が肯定され、高輝度領域の判定結果が「断続的に出現する高輝度領域無」であれば判定が否定される。なお、図7に示す高輝度領域判定処理は、本発明における判定手段(より詳しくは請求項13に記載の判定手段)による処理の一例である。
【0080】
本第3実施形態に係る高輝度領域判定処理は、時系列に過去N(N≧2)回取得した輝度情報の中に、輝度範囲が基準輝度範囲から外れている輝度情報が1つ以上有る場合には、高輝度領域の判定結果を「断続的に出現する高輝度領域有」に設定しているので、例えば撮影対象の被写体が、点滅されているネオンサイン等を含む夜景であり、点滅されているネオンサイン等が高輝度領域として断続的に画像に写り込む等の場合であっても、画像中に高輝度領域が断続的に出現することを検出することができ、画像中に断続的に出現する高輝度領域の影響で、コントラスト検出方式では合焦位置の検出精度が低下することを検知することができる。
【0081】
〔第4実施形態〕
次に本発明の第4実施形態を説明する。なお、本第3実施形態は第1〜第3実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略する。
【0082】
本第4実施形態は、合焦制御処理として図8に示す処理が行われる。以下、本第4実施形態に係る合焦制御処理を説明する。本第4実施形態に係る合焦制御処理では、まずステップ200で高輝度領域判定処理が行われる。この高輝度領域判定処理としては、図5〜図7に示す処理の何れを適用してもよいし、図5〜図7に示す処理を組み合わせた処理(例えば図5のステップ132、図6のステップ142、図7のステップ152の判定を各々行い、何れかの判定が肯定されれば判定結果を「高輝度領域有」に設定し、何れの判定も否定された場合は判定結果を「高輝度領域無」に設定する処理)を適用してもよい。
【0083】
次のステップ202では被写体に対する合焦が指示されたか否か判定する。判定が否定された場合はステップ200に戻り、ステップ202の判定が肯定される迄ステップ200,202を繰り返す。従って、撮像装置10が撮影モードで動作している間、ステップ200の高輝度領域判定処理が繰り返し実行され、撮像素子24によって時系列に撮像された、撮影時刻の新しい順にN枚の画像に、高輝度領域が定常的又は断続的に存在しているか否かが繰り返し判定される。
【0084】
また、シャッターボタンの半押し状態がレリーズスイッチによって検出されると、ステップ202の判定が肯定されてステップ204へ移行し、位相差検出方式による合焦位置の検出と、コントラスト検出方式による合焦位置の検出を各々開始する。次のステップ206では、位相差検出方式及びコントラスト検出方式の何れかによる合焦位置の検出が完了する迄待機し、何れかの方式による合焦位置の検出が完了すると、何れか方式による合焦位置の検出が完了したかに応じて分岐する。
【0085】
位相差検出方式による合焦位置の検出が、コントラスト検出方式による合焦位置の検出よりも先に完了した場合には、ステップ206からステップ208へ移行し、位相差検出方式による合焦位置の検出結果に基づき、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否か判定する。ステップ208の判定が肯定された場合はステップ210へ移行する。
【0086】
本第4実施形態では、合焦位置の検出に優先的に用いる方式を利用者が設定可能とされている。本第4実施形態において、合焦位置の検出に優先的に用いる方式の選択肢は「位相差検出方式」「コントラスト検出方式」及び「検出が早く完了した方」の3つであり、ステップ210では合焦位置の検出に優先的に用いる方式を判定し、判定結果に応じて分岐する。
【0087】
ステップ210の判定において、合焦位置の検出に優先的に用いる方式が「位相差検出方式」又は「検出が早く完了した方」であった場合には、ステップ210からステップ218へ移行し、コントラスト検出方式による合焦位置の検出を中止し、位相差検出方式で検出された合焦位置に基づいてモータ駆動部34の焦点調整モータを駆動することで、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置を位相差検出方式で検出された合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。これにより、被写体に対する合焦が指示されてから合焦が完了する迄の時間を短縮することができる。
【0088】
また、ステップ210の判定において、合焦位置の検出に優先的に用いる方式が「コントラスト検出方式」であった場合には、ステップ210からステップ212へ移行し、高輝度領域の最新の判定結果が「高輝度領域有」か否か判定する。この判定が肯定された場合、撮像素子24による撮像された画像中には高輝度領域が連続的又は断続的に存在しており、コントラスト検出方式による合焦位置の検出では、高輝度領域の影響により合焦位置を検出できなかったり、合焦位置の誤検出が発生する可能性が高いと判断できる。このため、ステップ212の判定が肯定された場合もステップ218へ移行し、コントラスト検出方式による合焦位置の検出を中止し、位相差検出方式で検出された合焦位置に基づいて合焦制御を行う。
【0089】
また、高輝度領域の判定結果が「高輝度領域無」の場合は、ステップ212の判定が否定されてステップ214へ移行し、コントラスト検出方式による合焦位置の検出が完了したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ214を繰り返す。コントラスト検出方式による合焦位置の検出が完了すると、ステップ214の判定が肯定されてステップ216へ移行し、コントラスト検出方式による合焦位置検出処理の結果に基づき、コントラスト検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否か判定する。
【0090】
コントラスト検出方式による合焦位置の検出は、レンズの焦点位置の変化に対してコントラスト評価値が山型に変化し、コントラスト評価値が極大となる位置が1個存在していることを前提にしており、例えばレンズの焦点位置の変化に対してコントラスト評価値が極大となる点が複数存在していたり、レンズの焦点位置の変化に対するコントラスト評価値の変化が非常に小さい場合には、合焦位置を特定することが困難となる。従って、ステップ216の判定は、例えばコントラスト検出方式による合焦位置の検出で単一の合焦位置が検出され、かつ検出された合焦位置の前後におけるコントラスト評価値の変化が、検出された合焦位置が正当な合焦位置と判断できる変化か否か(例えば合焦位置から所定距離離れた位置におけるコントラスト評価値の変化の傾きが予め設定された閾値以上か否か等)を判定することで行うことができる。
【0091】
ステップ216の判定が否定された場合も、コントラスト検出方式による合焦位置の検出では合焦位置の検出精度が低いと判断できる。このため、ステップ216の判定が否定された場合もステップ218へ移行し、位相差検出方式で検出された合焦位置に基づいて合焦制御を行う。また、ステップ216の判定が肯定された場合はステップ220へ移行し、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置をコントラスト検出方式で検出した合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。
【0092】
また、先のステップ208において、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能でないと判定した場合はステップ222へ移行し、コントラスト検出方式による合焦位置の検出が完了したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ222を繰り返す。コントラスト検出方式による合焦位置の検出が完了すると、ステップ222の判定が肯定されてステップ224へ移行し、コントラスト検出方式による合焦位置検出処理の結果に基づき、コントラスト検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否か判定する。
【0093】
この判定が否定された場合はステップ226へ移行し、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置をコントラスト検出方式で検出した合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。また、ステップ224の判定が否定された場合は合焦制御を行うことは困難であるので、ステップ228へ移行し、例えばLCD38にメッセージを表示させたり、撮像装置10に設けられた合焦状態を通知するためのランプを点灯させない等により、非合焦(合焦できない状態)を通知し、合焦制御処理を終了する。
【0094】
一方、先のステップ206において、コントラスト検出方式による合焦位置の検出が、位相差検出方式による合焦位置の検出よりも先に完了した場合には、ステップ206からステップ230へ移行し、高輝度領域の最新の判定結果が「高輝度領域有」か否か判定する。ステップ230の判定が否定された場合はステップ232へ移行し、先に説明したステップ216と同様に、コントラスト検出方式による合焦位置検出処理の結果に基づき、コントラスト検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否か判定する。
【0095】
ステップ232の判定が肯定された場合はステップ234へ移行し、合焦位置の検出に優先的に用いる方式を判定し、判定結果に応じて分岐する。ステップ234の判定において、合焦位置の検出に優先的に用いる方式が「コントラスト検出方式」又は「検出が早く完了した方」であった場合には、ステップ234からステップ240へ移行し、位相差検出方式による合焦位置の検出を中止し、コントラスト検出方式で検出された合焦位置に基づいてモータ駆動部34の焦点調整モータを駆動することで、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置をコントラスト検出方式で検出された合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。これにより、被写体に対する合焦が指示されてから合焦が完了する迄の時間を短縮することができる。
【0096】
また、ステップ234の判定において、合焦位置の検出に優先的に用いる方式が「位相差検出方式」であった場合には、ステップ234からステップ236へ移行し、位相差検出方式による合焦位置の検出が完了したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ236を繰り返す。位相差検出方式による合焦位置の検出が完了すると、ステップ236の判定が肯定されてステップ238へ移行し、先に説明したステップ208と同様に、位相差検出方式による合焦位置検出処理の結果に基づき、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否か判定する。
【0097】
ステップ238の判定が否定された場合、位相差検出方式による合焦位置の検出では合焦位置の検出精度が低いと判断できる。このため、ステップ238の判定が否定された場合もステップ240へ移行し、コントラスト検出方式で検出された合焦位置に基づいて合焦制御を行う。また、ステップ238の判定が肯定された場合はステップ242へ移行し、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置を位相差検出方式で検出した合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。
【0098】
また、高輝度領域の判定結果として「高輝度領域有」が設定されていることでステップ230の判定が肯定されるか、コントラスト検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能でないと判定されてステップ232の判定が否定された場合はステップ244へ移行し、位相差検出方式による合焦位置の検出が完了したか否か判定し、判定が肯定される迄ステップ244を繰り返す。位相差検出方式による合焦位置の検出が完了すると、ステップ244の判定が肯定されてステップ246へ移行し、位相差検出方式による合焦位置検出処理の結果に基づき、位相差検出方式で検出した合焦位置で合焦制御を行うことが可能か否か判定する。
【0099】
ステップ246の判定が肯定された場合はステップ246へ移行し、光学ユニット22のレンズ群の焦点位置を位相差検出方式で検出した合焦位置へ移動させる合焦制御を行う。また、ステップ246の判定が否定された場合はステップ228へ移行し、非合焦(合焦できない状態)を通知して合焦制御処理を終了する。なお、上述した合焦制御処理のうち、ステップ200〜ステップ204以外の処理は、本発明における制御手段(より詳しくは請求項2,3,6〜11に記載の制御手段)による処理の一例である。
【0100】
なお、上記では撮像素子24に設けられた位相差検出画素の検出信号に基づいて、位相差検出方式での合焦位置の検出を行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、位相差検出画素が設けられた撮像素子24を用いることに代えて位相差検出専用のセンサを設け、当該センサの検出信号に基づいて位相差検出方式での合焦位置の検出を行う構成を採用してもよい。
【0101】
また、本発明における判定手段による判定は、図5のステップ132、図6のステップ142及び図7のステップ152の判定に限られるものではなく、例えばN枚の画像における輝度範囲の変動率(例えば輝度範囲が最大の画像と輝度範囲が最小の画像との輝度範囲の比率)を閾値と比較して高輝度領域が断続的に存在しているか否かを判定する等、本発明を逸脱しない範囲で他の判定を採用することも可能である。
【0102】
また、上記では、光学ユニット22及び撮像素子24が1組設けられた単眼の撮像装置10に本発明を適用した態様を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば立体画像の撮影等を目的として光学ユニット及び撮像素子を備えた撮像部が複数組が設けられた撮像装置に本発明を適用し、例えば一方の撮像部で撮影された画像に基づいて位相差検出方式又はコントラスト検出方式を選択して合焦制御を行い、他方の撮像部では、位相差検出方式又はコントラスト検出方式の選択結果を取得し、取得した選択結果に従って合焦制御を行うようにしてもよい。
【0103】
また、上記では静止画像を撮影する撮像装置に本発明を適用した態様を説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は動画像を撮影する撮像装置における合焦位置の検出方式の選択に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0104】
10 撮像装置
22 光学ユニット
24 撮像素子
34 モータ駆動部
40 CPU
60 受光面
66 測光エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点位置を移動可能な光学系を介して受光部に入射された光により被写体を繰り返し撮像する撮像手段と、
被写体が前記受光部に結像される合焦位置を位相差検出方式で検出する第1検出部と、
前記合焦位置をコントラスト検出方式で検出する第2検出部と、
前記撮像手段によって時系列に撮像された複数の画像中に高輝度領域が連続的又は断続的に存在しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、前記第1検出部によって検出された合焦位置又は前記第2検出部によって検出された合焦位置を選択し、選択した合焦位置を用いて前記光学系の合焦制御を行う制御手段と、
を含む撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定された場合に、前記光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、前記第1検出部によって検出された合焦位置を選択し、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定された場合に、前記光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、前記第2検出部によって検出された合焦位置を選択する請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段は被写体の撮像を繰り返し、
前記判定手段は、前記撮像手段によって時系列に撮像された最新の複数の画像を対象として前記判定を繰り返し、
前記制御手段は、指示手段を介して合焦が指示されると、前記判定手段による最新の判定結果に基づいて、前記光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、前記第1検出部によって検出された合焦位置又は前記第2検出部によって検出された合焦位置を選択する請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、指示手段を介して合焦が指示されると、前記位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、前記位相差検出方式で合焦が可能と判定した場合は、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されていれば、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行い、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されていれば、前記合焦制御を前記第1検出部によって検出された合焦位置近傍の位置迄行った後に、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、指示手段を介して合焦が指示されると、前記位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、前記位相差検出方式で合焦が可能でないと判定した場合は、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されていれば、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行い、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されていれば、前記合焦制御を前記第2検出部によって検出された合焦位置迄行った後に、前記位相差検出方式で合焦が可能か否かを再度判定し、前記位相差検出方式で合焦が可能と判定した場合は、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項2記載の撮像装置。
【請求項6】
前記位相差検出方式及び前記コントラスト検出方式には優先順位が予め設定されており、
前記制御手段は、前記コントラスト検出方式の方が前記位相差検出方式よりも前記優先順位が上位の場合に、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定され、かつ、前記コントラスト検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行い、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されているか、前記コントラスト検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項2記載の撮像装置。
【請求項7】
前記位相差検出方式及び前記コントラスト検出方式には優先順位が予め設定されており、
前記制御手段は、前記位相差検出方式の方が前記コントラスト検出方式よりも前記優先順位が上位の場合、及び、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されている場合に、前記位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行い、前記位相差検出方式で合焦が可能でないと判定し、かつ、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されているときには、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項2記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、指示手段を介して合焦が指示されると、前記合焦位置の検出を並列に行い、
前記制御手段は、前記第1検出部の方が前記第2検出部よりも前記合焦位置の検出が先に完了した場合には、前記位相差検出方式で合焦が可能か否か判定し、前記位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記位相差検出方式の方が前記コントラスト検出方式よりも前記優先順位が上位であるか、前記コントラスト検出方式の方が前記位相差検出方式よりも前記優先順位が上位であっても、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されているときには、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行い、前記コントラスト検出方式の方が前記位相差検出方式よりも前記優先順位が上位で、かつ前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定されているときには、前記第2検出部による前記合焦位置の検出完了後に前記コントラスト検出方式で合焦が可能か否かを判定し、前記コントラスト検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行い、前記コントラスト検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項6又は請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記位相差検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、前記第2検出部による前記合焦位置の検出完了後に前記コントラスト検出方式で合焦が可能か否かを判定し、前記コントラスト検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項8記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、指示手段を介して合焦が指示されると、前記合焦位置の検出を並列に行い、
前記制御手段は、前記第2検出部の方が前記第1検出部よりも前記合焦位置の検出が先に完了した場合には、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定され、かつ前記コントラスト検出方式で合焦が可能と判定し、かつ前記コントラスト検出方式の方が前記位相差検出方式よりも前記優先順位が上位のときには、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行い、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していないと判定され、かつ前記コントラスト検出方式で合焦が可能と判定し、かつ前記位相差検出方式の方が前記コントラスト検出方式よりも前記優先順位が上位のときには、前記第1検出部による前記合焦位置の検出完了後に前記位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、前記位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用い、前記位相差検出方式で合焦が可能でないと判定したときには、前記第2検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項6又は請求項7記載の撮像装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記高輝度領域が連続的又は断続的に存在していると判定されるか、前記コントラスト検出方式で合焦が可能でないと判定した場合は、前記第1検出部による前記合焦位置の検出完了後に前記位相差検出方式で合焦が可能か否かを判定し、前記位相差検出方式で合焦が可能と判定したときには、前記第1検出部によって検出された合焦位置を用いて前記合焦制御を行う請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記複数の画像のうち、最大輝度が第1設定値以上、又は、最小輝度に対する最大輝度の比が第2設定値以上、又は、最大輝度と最小輝度との差が第3設定値以上の画像の割合が設定割合以上の場合に、前記複数の画像中に前記高輝度領域が連続的に存在していると判定する請求項1〜請求項11の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項13】
前記判定手段は、前記複数の画像の中に、輝度範囲が、前記複数の画像の平均輝度に基づいて設定される基準輝度範囲から外れている画像が1つ以上含まれている場合に、前記複数の画像中に前記高輝度領域が断続的に存在していると判定する請求項1〜請求項12の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項14】
焦点位置を移動可能な光学系を介して受光部に入射された光により被写体を繰り返し撮像する撮像手段と、
被写体が前記受光部に結像される合焦位置を位相差検出方式で検出する第1検出部と、
前記合焦位置をコントラスト検出方式で検出する第2検出部と、
を備えた撮像装置に適用される撮像装置の制御方法であって、
判定手段は、前記撮像手段によって時系列に撮像された複数の画像中に高輝度領域が連続的又は断続的に存在しているか否かを判定し、
制御手段は、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記光学系の合焦制御に用いる合焦位置として、前記第1検出部によって検出された合焦位置又は前記第2検出部によって検出された合焦位置を選択し、選択した合焦位置を用いて前記光学系の合焦制御を行う撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−203314(P2012−203314A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69773(P2011−69773)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】