説明

撮像装置支持機構

【課題】構成がコンパクトで、かつ駆動制御を容易にできる撮像装置支持機構を提供する。
【解決手段】ソレノイド5のプランジャ55を退避位置に移動させる。モータ4の出力軸41が回転すると第1傘歯車11と伝達部材45が回転する。接触部48は第2傘歯車12側に付勢されないので第2傘歯車12は回転しない。故に、第3傘歯車13に固定されたカメラ17はチルト回転する。プランジャ55を突出位置に移動させた場合、接触部48は第2傘歯車12側に付勢されるので、第2傘歯車12も回転するので、第3傘歯車13に固定されたカメラ17はパン回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の撮影方向をパン方向及びチルト方向に回転動作させる撮像装置支持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮像装置をパン方向及びチルト方向に回転動作させる駆動源を備えた雲台機能付きクレードルが知られている(例えば、特許文献1参照)。この雲台機能付きクレードルは、デジタルカメラをチルト回転させるチルトモータと、パン回転させるパンモータとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−264435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の雲台機能付きクレードルは、チルトモータとパンモータという2つの駆動源を別々に備えているので、クレードル全体が大きくなってしまうという問題点があった。さらに、デジタルカメラを回転させる場合は、チルトモータとパンモータとを同期させなければならないので、各モータの駆動制御が困難であるという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、構成がコンパクトで、かつ駆動制御を容易にできる撮像装置支持機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る撮像装置支持機構は、撮像装置の撮影方向をパン方向およびチルト方向に回転動作させる撮像装置支持機構であって、回転駆動手段と、当該回転駆動手段の出力軸に設けられ、前記回転駆動手段の回転駆動力を伝達する第1傘歯車と、前記出力軸と同軸上に設けられ、前記第1傘歯車と対向配置した第2傘歯車と、前記第1傘歯車と前記第2傘歯車とを互いに独立して回転可能に連結する連結軸と、当該連結軸に直交して連結する回転軸と、当該回転軸に設けられ、前記第1傘歯車に噛合する第3傘歯車と、当該第3傘歯車、又は前記回転軸に設けられ、前記撮像装置を支持する支持手段と、前記第1傘歯車の回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する伝達機構と、当該伝達機構による前記回転駆動力の伝達、非伝達を切り替える切替手段とを備えている。
【0007】
第1態様に係る撮像装置支持機構では、切替手段は、伝達機構による回転駆動力の伝達、非伝達を切り替える。切替手段が伝達機構を伝達に切り替えた場合、伝達機構は、第1傘歯車の回転駆動力を第2傘歯車に伝達する。この場合、第1傘歯車と2傘歯車とが同一方向に同時回転するので、支持手段に支持された撮像装置は、連結軸と直交する方向を水平方向としたときのパン方向に回転する。切替手段が伝達機構を非伝達に切り替えた場合、伝達機構は、第1傘歯車の回転駆動力を第2傘歯車に伝達しない。この場合、第1傘歯車のみが回転駆動手段の駆動軸によって回転するので、第1傘歯車に噛合する第3傘歯車が回転する。故に、支持手段に支持された撮像装置は、第3傘歯車の回転に伴い、連結軸の軸線方向を上下方向としたときのチルト方向に回転する。従って、1つの回転駆動手段で、支持手段によって支持された撮像装置をパン方向及びチルト方向に回転動作させることができるので、構成をコンパクトにでき、かつ駆動制御を容易にできる。
【0008】
また、第1態様において、前記伝達機構は、前記第1傘歯車に連結され、前記第2傘歯車に接触することによって生ずる摩擦によって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する第1伝達部材を備え、前記切替手段は、前記第1伝達部材を前記第2傘歯車側に付勢することによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する伝達状態と、前記付勢を解除することによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に対して非伝達にする非伝達状態とを切り替える第1切替装置を備え、前記切替手段は、前記第1切替装置を前記伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が互いに同一方向に回転する前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸と直交する方向を水平方向としたときのパン方向に回転動作する状態に切り替えるようにしてもよい。切替手段が、第1切替装置を伝達状態にした場合、第3傘歯車が互いに同一方向に回転する第1傘歯車及び第2傘歯車に追従して回転する。これにより、支持手段によって支持された撮像装置をパン方向に回転することができる。
【0009】
また、第1態様において、前記切替手段は、前記第1切替装置を前記非伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が前記第1傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸の軸線方向を上下方向としたときのチルト方向に回転動作する状態に切り替えるようにしてもよい。これにより、支持手段によって支持された撮像装置をチルト方向に回転することができる。
【0010】
また、第1態様において、前記回転軸、又は前記連結軸に接触することによって、前記連結軸を回転中心とする前記回転軸のパン方向への回転を抑制する抑制部材と、前記抑制部材を、前記切替手段による切り替えに応じて、前記回転軸、又は前記連結軸に対して接離可能に支持する支持部材とをさらに備え、前記切替手段が前記第1切替装置を前記伝達状態にした場合、前記支持部材は、前記抑制部材を前記回転軸、又は前記連結軸から離間させて支持し、前記切替手段が前記第1切替装置を前記非伝達状態にした場合、前記支持部材は、前記抑制部材を前記回転軸、又は前記連結軸に接触させて支持するようにしてもよい。切替手段が第1切替装置を伝達状態にした場合、支持部材は、抑制部材を回転軸又は連結軸から離間させて支持する。この場合、回転軸はパン方向へ回転可能となる。そして、第1切替装置は伝達状態であるので、第3傘歯車は、互いに同一方向に回転する第1傘歯車と第2傘歯車に追従して回転する。従って、支持手段によって支持された撮像装置をパン方向に回転できる。一方、切替手段が第1切替装置を非伝達状態にした場合、支持部材は、抑制部材を回転軸又は連結軸に接触させて支持する。この場合、回転軸はパン方向へ回転不能となる。そして、第1切替装置は非伝達状態であるので、第3傘歯車は、第1傘歯車に追従して回転する。回転軸はパン方向へ回転不能となるので、支持手段によって支持された撮像装置をパン方向に回転することなくチルト方向に確実に回転できる。
【0011】
また、第1態様において、前記伝達機構は、前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車に対して接離可能に設けられ、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する第2伝達部材を備え、前記切替手段は、前記第2伝達部材を前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車から離間する方向に付勢する付勢手段と、前記第2伝達部材を、前記付勢手段による付勢力に抗して、前記第1傘歯車及び前記第2歯車側に付勢して接触させることによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を、前記第2傘歯車に伝達する伝達状態と、前記付勢手段による付勢力によって、前記第2伝達部材を、前記第1傘歯車及び前記第2歯車から離間させることによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に対して非伝達にする非伝達状態とを切り替える第2切替装置とを備え、前記切替手段は、前記第2切替装置を前記伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が互いに同一方向に回転する前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸と直交する方向を水平方向としたときのパン方向に回転動作する状態に切り替えるようにしてもよい。切替手段が、第2切替装置を伝達状態にした場合、第3傘歯車が互いに同一方向に回転する第1傘歯車及び第2傘歯車に追従して回転する。これにより、支持手段によって支持された撮像装置をパン方向に回転することができる。
【0012】
また、第1態様において、前記切替手段は、第2切替装置を前記非伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が前記第1傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸の軸線方向を上下方向としたときのチルト方向に回転動作する状態に切り替えるようにしてもよい。これにより、支持手段によって支持された撮像装置をチルト方向に回転することができる。
【0013】
また、第1態様において、前記第2伝達部材には、前記回転軸、又は前記連結軸に接離可能であって、前記回転軸、又は前記連結軸に接触することによって、前記連結軸を回転中心とする前記回転軸のパン方向への回転を抑制する抑制部が設けられ、前記切替手段が前記第2切替装置を前記伝達状態とした場合、前記抑制部は前記回転軸、又は前記連結軸から離間し、前記切替手段が第2切替装置を前記非伝達状態とした場合、前記抑制部は前記回転軸、又は前記連結軸に接触するようにしてもよい。切替手段が第2切替装置を伝達状態にした場合、抑制部は回転軸、又は連結軸から離間する。この場合、回転軸はパン方向へ回転可能となる。そして、第2切替装置は伝達状態であるので、第3傘歯車は、互いに同一方向に回転する第1傘歯車と第2傘歯車に追従して回転する。従って、支持手段によって支持された撮像装置をパン方向に回転することができる。一方、切替手段が第2切替装置を非伝達状態にした場合、抑制部は回転軸又は連結軸に接触する。この場合、回転軸はパン方向へ回転不能となる。そして、第2切替装置は非伝達状態であるので、第3傘歯車は、第1傘歯車に追従して回転する。回転軸はパン方向へ回転不能となるので、支持手段によって支持された撮像装置をパン方向に回転することなくチルト方向に確実に回転できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】カメラ支持機構1の左斜め前方から見た斜視図である。
【図2】カメラ支持機構1の右斜め前方から見た斜視図である。
【図3】カメラ支持機構1の右斜め後方から見た斜視図である。
【図4】カメラ支持機構1の平面図である。
【図5】カメラ支持機構1の正面図である。
【図6】カメラ支持機構1の右側面図(チルト回転時)である。
【図7】図4に示すI−I線矢視方向断面図である。
【図8】図4に示すII−II線矢視方向断面図である。
【図9】図5に示すIII−III線矢視方向断面図である。
【図10】カメラ17のチルト方向の回転動作を示した図である。
【図11】カメラ支持機構1の右側面図(パン回転時)である。
【図12】図8に示すカメラ支持機構1のパン回転時の断面図である。
【図13】カメラ17のパン方向の回転動作を示した図である。
【図14】カメラ支持機構100の左斜め前方から見た斜視図である。
【図15】カメラ支持機構100の右斜め前方から見た斜視図である。
【図16】カメラ支持機構100の右斜め後方から見た斜視図である。
【図17】カメラ支持機構100の平面図である。
【図18】カメラ支持機構100の正面図である。
【図19】図17に示すIV−IV線矢視方向断面図である。
【図20】図18に示すV−V線矢視方向断面図である。
【図21】カメラ17のチルト方向の回転動作を示した図である。
【図22】図17に示すカメラ支持機構100のパン回転時の断面図である。
【図23】カメラ17のパン方向の回転動作を示した図である。
【図24】第1実施形態の変形例であるカメラ支持機構300の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の撮影装置支持機構を具現化した第1,第2実施形態について、図面を参照して順に説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている機器の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0016】
まず、第1実施形態であるカメラ支持機構1について、図1〜図13を参照して説明する。以下説明において、図1の右斜め下方、左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方を、カメラ支持機構1の前方、後方、右方、左方とする。図2の左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方をカメラ支持機構1の前方、後方、右方、左方とする。図4の下方、上方、右方、左方を、カメラ支持機構1の前方、後方、右方、左方とする。図5の紙面手前方向、紙面奥行き方向、右方、左方を、カメラ支持機構1の前方、後方、右方、左方とする。
【0017】
図1,図2に示すカメラ支持機構1は、カメラ17を着脱自在に固定しつつ、パン方向(図1中実線で示す矢印Pの方向)及びチルト方向(図1中点線で示す矢印Tの方向)にその撮影方向を自由に変えることができる。本実施形態において、パン方向とは水平方向、チルト方向とは垂直方向を意味する。
【0018】
はじめに、カメラ支持機構1の全体構造について説明する。図1〜図3に示すように、カメラ支持機構1は、側面視逆T字状に形成された土台フレーム2と、該土台フレーム2の上部に固定されたU字溝状の固定部材3と、該固定部材3の下部に固定された駆動源としてのモータ4と、該モータ4から上方に突出する出力軸41の先端部に固定された第1傘歯車11と、当該第1傘歯車11と同軸上に対向配置された第2傘歯車12と、第1傘歯車11と第2傘歯車12をそれぞれ独立して回転可能に連結する連結軸7と、該連結軸7に直交して連結し、略水平に延設された回転軸8と、該回転軸8の一端部に回転可能に設けられ、第1傘歯車11及び第2傘歯車12に各々噛合する第3傘歯車13とを備えている。
【0019】
さらに、カメラ支持機構1は、第1傘歯車11の後端側の側面から上方に折り返して延設され、さらに連結軸7側に略直角に折り返し、第2傘歯車12の後端面に接触することで、第1傘歯車11の回転駆動力を第2傘歯車12に伝達する伝達部材45と、固定部材3の上部に固定され、伝達部材45を第2傘歯車12側に付勢するソレノイド5と、該ソレノイド5のプランジャ55(図5参照)と伝達部材45との間に設けられ、連結軸7を内挿する円筒状のリング部材65と、土台フレーム2の高さ方向の中段位置において上下方向に回動可能に軸支され、自身の先端部を連結軸7に接触させることで、連結軸7の軸周りの回転を抑制する抑制部材97と、プランジャ55とリング部材65との間に一端部が挟持され、かつ他端部が抑制部材97の後端部に接触して設けられ、プランジャ55によって下方に付勢されることで、抑制部材97による連結軸7の回転抑制状態を解除する逆L字状の解除部材95(図3参照)とを備えている。
【0020】
第3傘歯車13の後端側の側面には、凹状に形成されたカメラ台座部88(図9参照)に、カメラ17(本発明の「撮像装置」に相当)が着脱自在に固定されている。
【0021】
次に、カメラ支持機構1の各構成部材について詳細に説明する。まず、土台フレーム2について説明する。図1〜図3に示すように、土台フレーム2は、机上に設置するために水平に延設された板状の水平部21と、該水平部21の略中央を矩形状に切り欠いて略垂直上方に折り返して上方に延設された板状の支持部22とを備え、全体を側面から見た形状が逆T字状である。図9に示すように、支持部22のカメラ支持機構1の前方に対向する前面の上部には、固定部材3を固定するための固定孔29が2ヶ所横方向に並んで設けられている。これら2ヶ所の固定孔29に、支持部22の背面側から螺子92を各々差し込み、固定部材3の後述する固定部31に締結して固定している。このようにして、土台フレーム2に固定部材3が固定されている。また、支持部22の上側領域の左右方向略中央には、抑制部材97を背面側から挿入するための矩形状の挿入孔22Aが設けられている。
【0022】
次に、固定部材3について説明する。図1〜図3に示すように、固定部材3は、正面から見た場合に、略水平に延設され、かつ前方に開口する略U字溝状に形成されている。固定部材3は、土台フレーム2の支持部22に密着して固定された長方形の板状の固定部31と、該固定部31の下端部から前方に向けて略水平に延設された長方形の板状の下側支持部32と、固定部31の上端部から前方に向けて略水平に延設された長方形の板状の上側支持部33とを有する。
【0023】
下側支持部32の略中央には、モータ4の出力軸41を内挿する平面視円形状の貫通孔35が設けられている。図7に示すように、その貫通孔35の左右両側には、螺子孔37が各々設けられている。上側支持部33の略中央には、ソレノイド5のプランジャ55を内挿する平面視円形状の貫通孔36が設けられている。その貫通孔36の左右両側には、螺子孔38が各々設けられている。また、図2に示すように、固定部31の左右方向略中央において、その上部から略中段位置まで略直線状に形成され、解除部材95と抑制部材97とを背面側から挿入するための挿入孔34が設けられている。さらに、固定部31には、土台フレーム2の支持部22に固定するための螺子孔39が2ヶ所(図9参照)設けられている。
【0024】
図8に示すように、挿入孔34の下側において、抑制部材97が略水平に設けられている。図9に示すように、抑制部材97が位置する挿入孔34の互いに対向する一対の内面面には、抑制部材97の後述する被軸支部102を軸支するための軸支孔40が各々設けられている。これにより、抑制部材97は、被軸支部102を中心に上下方向に回動可能となっている。
【0025】
次に、モータ4について説明する。図7に示すように、モータ4は、自身の出力軸41を、固定部材3の下側支持部32の貫通孔35に下側から上方に挿入している。さらにモータ4の台座部14に2ヶ所設けられた螺子孔14Aを、下側支持部32に設けられた2ヶ所の螺子孔37に合わせ、螺子91で各々締結している。これにより、モータ4は、固定部材3の下側支持部32の下面に固定されている。モータ4には、複数の電源ケーブル24が接続されている。
【0026】
次に、ソレノイド5について説明する。図5,図7に示すように、ソレノイド5は、周知のものであり、コイルの通電制御によりプランジャ55を上下方向に出退させるものである。ソレノイド5は、プランジャ55を上側支持部33の貫通孔36に上側から下方に挿入している。図7に示すように、さらにソレノイド5の台座部15に2ヶ所設けられた螺子孔15Aを、上側支持部33に2ヶ所設けられた螺子孔38に合わせ、螺子91で各々締結している。これにより、ソレノイド5は、固定部材3の上側支持部33の上面に固定されている。図5に示すように、モータ4及びソレノイド5を固定部材3に固定した状態において、これら出力軸41及びプランジャ55は、上下方向において互いに同軸上に配置されている。
【0027】
次に、第1傘歯車11及び第2傘歯車12について説明する。図5,図7に示すように、第1傘歯車11は、中央に軸孔61(図7参照)を有し、側面に歯部62を備えている。歯部62を上方に向けた状態で、軸孔61の途中までモータ4の出力軸41の先端部が下側から挿入されている。さらに、その軸孔61には、連結軸7の下端部が出力軸41側とは反対の上方から挿入されている。出力軸41の先端部と連結軸7の下端部との間には隙間がある。また、図7に示すように、第1傘歯車11には、軸孔61に直交する螺子孔63が設けられている。軸孔61に出力軸41を挿入した状態で、その螺子孔63に螺子26を締結し、出力軸41の側面に当接させることで、出力軸41の先端部に第1傘歯車11が固定されている。第1傘歯車11と連結軸7とは、互いに独立して回転可能である。
【0028】
他方、図5、図7に示すように、第2傘歯車12も、中央に軸孔71(図7参照)を有し、側面に歯部72を備えている。第2傘歯車12は、歯部72を下方に向けた状態で、軸孔71に連結軸7を下側から内挿している。図7に示すように、第2傘歯車12には、軸孔71に直交する螺子孔73が設けられている。軸孔71に連結軸7を挿入した状態で、螺子孔73に螺子27を締結し、連結軸7の側面に当接させることで、連結軸7に第2傘歯車12が固定されている。
【0029】
次に、連結軸7について説明する。図7,図8に示すように、連結軸7の下端部は、第1傘歯車11の軸孔61に対して上側から遊挿されている。さらに、連結軸7は、その上方で第2傘歯車12の軸孔71に挿入され、螺子27で固定されている。これにより、連結軸7は、第1傘歯車11と第2傘歯車12とを同軸上に位置決めしつつ、互いに独立して回転可能に連結している。また、図2,図6,図8に示すように、連結軸7の長手方向中央部には、連結軸7に直交する一方向の両側が円弧状に膨出する膨出部75が設けられている。図8に示すように、膨出部75には、回転軸8を貫通させて固定するための円形状の貫通孔76が、連結軸7の軸方向に直交して設けられている。
【0030】
膨出部75の径は、連結軸7の両端部の各径よりも大きく、モータ4の出力軸41よりも大きい。それ故、幅広の膨出部75に、回転軸8を貫通させて固定するための貫通孔76を設けることができる。さらに、貫通孔76に回転軸8を貫通させて固定しても、連結軸7の強度を保持できる。また、後述するが、膨出部75の円弧状の側面には、抑制部材97の先端部が当接するようになっている。
【0031】
次に、回転軸8について説明する。図7に示すように、回転軸8は、軸方向中央に位置する円柱状の胴部86と、該胴部86の長手方向一端部に設けられ、胴部86の径よりも縮径して軸方向に延設された円柱状の縮径部87と、胴部86の他端部にフランジ状に設けられた鍔部85とを同軸上に有する。このような形状を有する回転軸8が、縮径部87側から、第3傘歯車13の後述する軸孔81と、連結軸7の膨出部75に設けられた貫通孔76とに挿入されている。貫通孔76の縁部には、胴部86と縮径部87との境界の段部が係止している。貫通孔76の回転軸8を差し込んだ入口とは反対側の出口から回転軸8の先端部が突出している。その先端部にナット93が締結されている。ナット93は、連結軸7の膨出部75の平らな面に密着するので、回転軸8を連結軸7に強固に固定できる。
【0032】
次に、第3傘歯車13について説明する。図2,図7に示すように、第3傘歯車13は、軸孔81(図7参照)を有し、側面に歯部82を備えている。図7に示すように、歯部82を第1傘歯車11及び第2傘歯車12側に向けた状態で、軸孔81に対して回転軸8が左方から挿入されている。回転軸8の鍔部85は、第3傘歯車13の後端面に係止している。これにより、第3傘歯車13が回転軸8の一端部から抜けてしまうのを防止できる。第3傘歯車13の歯部82は、第1傘歯車11の歯部62と、第2傘歯車12の歯部72とに各々噛合している。なお、第1傘歯車11、第2傘歯車12および第3傘歯車13の材質は、POM(ポリアセタール樹脂)が好ましい。
【0033】
次に、伝達部材45について説明する。図2,図3に示すように、本実施形態では、伝達部材45は、第1傘歯車11に一体して設けられている。伝達部材45は、第1傘歯車11の後端側の側面に一端部が連結され、かつ水平方向に延設された角柱状の連結部46と、該連結部46の他端部から上方に延設された角柱状の延設部47と、該延設部47の上端部から連結軸7側に直角に折り返して延設され、第2傘歯車12の後端面に接触すると共に、その先端部に連結軸7を内挿する挿入孔49を有する接触部48とを備えている。
【0034】
図7,図8に示すように、接触部48の挿入孔49の内側には、連結軸7を内挿する円筒状のバネ68が設けられている。バネ68の軸方向長さは、接触部48の高さよりも長く調整されている。故に、バネ68は、解除部材95の後述する挟持部99を常時上方向に付勢している。なお、伝達部材45は、第1傘歯車11と一体でなくてもよく、別体にして固定してもよい。
【0035】
次に、抑制部材97について説明する。図6,図8に示すように、抑制部材97は、棒状に形成されている。抑制部材97の後端部には、球状に膨出する被当接部101が形成されている。被当接部101の近傍には、抑制部材97の軸方向に直交する棒状の被軸支部102(図9参照)が設けられている。図6に示すように、抑制部材97は、固定部材3の固定部31に設けられた挿入孔34の下側において略水平に配置される。図9に示すように、抑制部材97の被軸支部102は、挿入孔34を形成する一対の対向面に各々設けられた2ヶ所の軸支孔40に各々軸支されている。これにより、抑制部材97は、固定部材3の固定部31に設けられた挿入孔34の下側において、被軸支部102を中心に上下方向に回動する。
【0036】
次に、解除部材95について説明する。図3,図6に示すように、解除部材95は、プランジャ55とリング部材65の間に挟持された円盤状の挟持部99と、該挟持部99から略水平に延設された水平部98と、該水平部98から水平に延びる先端部から下方に直角に折り返され、抑制部材97の被当接部101に先端部が当接する当接部96とを備え、全体が逆L字状に形成されている。図7に示すように、挟持部99の下面には、円筒状に形成され、内側に連結軸7の上端部を内挿する筒部105が設けられている。
【0037】
次に、リング部材65について説明する。図7に示すように、リング部材65は、弾性体(例えば、ゴム、樹脂等)であって、筒部105に外挿されている。リング部材65の下部は、伝達部材45の接触部48の上面に接触している。そして、図8に示すように、ソレノイド5のプランジャ55が上方に引き込まれて退避位置にある場合、リング部材65の上部は、解除部材95の挟持部99の下面から離れている。他方、図12に示すように、ソレノイド5のプランジャ55が下方に押し出されて突出位置にある場合は、リング部材65の上部は、解除部材95の挟持部99の下面に接触している。
【0038】
次に、カメラ17について説明する。図1に示すように、カメラ17はデジタルカメラである。カメラ17は、レンズ18と、フレキシブルケーブル19とを有する。フレキシブルケーブル19の終端には、図示外の操作装置の入力端子に接続するためのコネクタ20が設けられている。図9に示すように、カメラ17は、第3傘歯車13の後端部の側面に凹状に設けられたカメラ台座部88に位置決めされ、螺子(図示外)で固定されている。カメラ17のレンズ18が正面に向いた状態が、カメラ17の原点位置となる。図1に示すように、カメラ支持機構1は、カメラ17を原点位置からパン方向及びチルト方向に回転動作させる。なお、カメラ17の固定方法については、例えば、第3傘歯車13に別体であるカメラ用の台座(図示外)を設け、そのカメラ台座にカメラ17を着脱自在に固定するようにしてもよい。
【0039】
なお、本実施形態では、第1傘歯車11、第2傘歯車12、及び第3傘歯車13は、互いに同一形状であり、ギア比1:1の傘歯車として各々配置されているが、ギアの大きさを異ならせて互いのギア比を変えてもよい。
【0040】
次に、カメラ支持機構1によるカメラ17のチルト方向の回転動作(以下、チルト回転とも呼ぶ)について説明する。カメラ17をチルト回転させる場合、図6乃至図8に示すように、ソレノイド5はプランジャ55を退避位置に移動させる。それ故、伝達部材45の接触部48は第2傘歯車12側に付勢されない。さらに、図8に示すように、解除部材95の挟持部99は下方に付勢されないので、抑制部材97の被当接部101は下方に押し下げられない。故に、抑制部材97は略水平の姿勢を保持するので、その先端部は、連結軸7の膨出部75の側面に接触している。
【0041】
例えば、図10に示すように、この状態で、モータ4の出力軸41が回転すると、第1傘歯車11が右方向に回転する。第1傘歯車11の回転に伴って伝達部材45も右方向に回転する。伝達部材45の接触部48は連結軸7を中心に回転するが、接触部48は第2傘歯車12側に付勢されていない。従って、接触部48と第2傘歯車12との間に大きな摩擦が生じないので、第2傘歯車12は伝達部材45に伴って回転しない。さらに、抑制部材97の先端部は、連結軸7の膨出部75の側面に接触しているので、連結軸7の軸周りへの回転が抑制されている。つまり、回転軸8は連結軸7を中心にパン方向に回転できない。よって、第3傘歯車13は、矢印で示す上方向に回転するので、カメラ17はチルト回転する。チルト回転する角度は、第1傘歯車11を回転させた角度と同一である。
【0042】
次に、カメラ支持機構1によるカメラ17のパン方向の回転動作(以下、パン回転とも呼ぶ)について説明する。図11,図12に示すように、ソレノイド5はプランジャ55を下方の突出位置に移動させる。すると、プランジャ55は、解除部材95の挟持部99を押し下げる。図12に示すように、挟持部99は、筒部105でバネ68を押し下げながら、リング部材65を介して、伝達部材45の接触部48を第2傘歯車12側に付勢する。また、挟持部99が押し下げられるので、解除部材95は下方に移動し、解除部材95の当接部96の下端部は、抑制部材97の被当接部101を下方に押し下げる。すると、抑制部材97は、被軸支部102(図9参照)を中心に回動するので、抑制部材97の先端部は上方に回動する。このとき、抑制部材97の先端部は、連結軸7の膨出部75の側面から離れる。故に、連結軸7の軸周りへの回転の抑制が解除される。
【0043】
例えば、図13に示すように、この状態で、モータ4の出力軸41が回転すると、第1傘歯車11が右方向に回転する。第1傘歯車11の回転に伴って伝達部材45も右方向に回転する。伝達部材45の接触部48は連結軸7を中心に回転する。接触部48は第2傘歯車12側に付勢されている。従って、接触部48と第2傘歯車12との間に大きな摩擦が生じるので、第2傘歯車12も伝達部材45に伴って右方向に、第1傘歯車11と同じ角度だけ回転する。さらに、抑制部材97の先端部は、連結軸7の膨出部75の側面から離れているので、連結軸7は軸周りに回転できる。つまり、回転軸8は連結軸7を中心にパン方向に回転できる。よって、第3傘歯車13は、矢印で示す右方向に回転するので、カメラ17はパン回転する。パン回転する角度は、第1傘歯車11を回転させた角度と同一である。
【0044】
本実施形態では、1つの駆動源であるモータ4で、カメラ17をパン方向及びチルト方向に移動させることができる。これにより、カメラ支持機構1の構成をコンパクトにできる。さらに、モータ4のみを駆動制御すればよいので、複数の駆動源を同期させる複雑な駆動制御が不要となる。また、機械的な機構によって第1傘歯車11の回転駆動力が第2傘歯車12に伝達されるので、第1傘歯車11及び第2傘歯車12の回転を容易に同期させることができる。
【0045】
さらに、図7に示すように、第1傘歯車11と、第2傘歯車12とを、連結軸7によって、同軸上にかつ互いに独立して回転可能に連結している。故に、第1傘歯車11と、第2傘歯車12との互いに位置関係がずれることがないので、第3傘歯車13を良好に回転させることができる。これにより、カメラ17をパン方向及びチルト方向に精度よく、安定して回転させることができる。
【0046】
なお、以上説明において、カメラ支持機構1が本発明の「撮像装置支持機構」に相当し、モータ4が本発明の「回転駆動手段」に相当し、出力軸41が本発明の「出力軸」に相当し、出力軸41が本発明の「出力軸」に相当する。図9に示す第3傘歯車13に設けられたカメラ台座部88が本発明の「支持手段」に相当する。図2に示す伝達部材45が本発明の「第1伝達部材」に相当し、図1に示すソレノイド5が本発明の「第1切替装置」に相当する。図8に示す土台フレーム2と、解除部材95とが本発明の「支持部材」に相当する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態であるカメラ支持機構1は、カメラ17を着脱自在に固定しつつ、モータ4の回転駆動力によって、パン方向及びチルト方向にその撮影方向を自由に変えることができる。駆動源を1つしか持たないので、カメラ支持機構1の構成をコンパクトにできる。さらに、モータ4のみを駆動制御すればよいので、複数の駆動源を同期させる複雑な駆動制御が不要となる。そして、機械的な機構によって第1傘歯車11の回転駆動力が第2傘歯車12に伝達されるので、第1傘歯車11及び第2傘歯車12の回転を容易に同期させることができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態であるカメラ支持機構100について、図14乃至図23を参照して説明する。なお、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。よって、構造を共通とする部分は、同じ符号を付して説明を省略し、構造が異なる部分を中心に説明する。なお、第2実施形態では、ソレノイドの位置を変えることで機構全体をよりコンパクトにしている。さらに、第1傘歯車11の回転駆動力を第2傘歯車12に伝達する機構を変更している。
【0049】
図14〜図16に示すカメラ支持機構100は、第1実施形態のカメラ支持機構1と同様に、カメラ17を着脱自在に固定しつつ、パン方向(図14中実線で示す矢印Pの方向)及びチルト方向(図14中点線で示す矢印Tの方向)にその撮影方向を自由に変えることができる。
【0050】
カメラ支持機構100は、第1実施形態のカメラ支持機構1と同じ土台フレーム2、モータ4、第1傘歯車11、第2傘歯車12、第3傘歯車13、及びカメラ17等を備えている。第1実施形態と異なる部材として、固定部材130、連結軸170、回転軸180、ソレノイド150、伝達部材160、及びソレノイド150等を備えている。以下、これら第1実施形態と異なる部品を中心に説明する。
【0051】
まず、固定部材130について説明する。図14,図15に示すように、固定部材130は、正面から見た場合に、略水平に延設され、かつ前方に開口する略U字溝状に形成されている。固定部材130は、土台フレーム2の支持部22に密着して固定された長方形の板状の固定部131と、該固定部131の下端部から前方に向けて略水平に延設された長方形の板状の下側支持部132と、固定部131の上端部から前方に向けて略水平に延設された長方形の板状の上側支持部133とを有する。
【0052】
そして、固定部131の背面の略中段位置には、後方に向かって略水平に延設された板状のソレノイド固定部135が設けられている。上側支持部133の後端側から固定部131の下部にかけて、縦方向に細長い長方形状の貫通孔134が設けられている。さらに、固定部131の右端部の中央から左側方に向かって略長方形の切り欠き状に設けられ、貫通孔134に連通する切り欠き部136が設けられている。
【0053】
次に、連結軸170について説明する。図14,図15に示すように、連結軸170は、その上端が固定部材3の上側支持部133の中央に設けられた支持孔113(図19参照)に支持されている。図19に示すように、連結軸170は、モータ4の出力軸41と同軸上に位置し、その下端部は第1傘歯車11の軸孔61の途中まで遊挿されている。連結軸170は、第1傘歯車11と第2傘歯車12とを互いに独立して回転可能に連結している。
【0054】
次に、回転軸180について説明する。図20に示すように、回転軸180は、円柱状の軸本体部181と、該軸本体部181の一端部に設けられ、軸本体部181の径よりも大きく形成された断面略円形状の拡径部182とを有する。軸本体部181の他端部には、第3傘歯車13が回転可能に設けられている。拡径部182には、回転軸180の軸方向に直交する軸孔185が設けられている。この軸孔185に対して、連結軸170が挿入されている。
【0055】
次に、ソレノイド150について説明する。図16に示すように、ソレノイド150は、固定部材130の固定部131に設けられた板状のソレノイド固定部135の下面に固定されている。図19に示すように、ソレノイド固定部135の中央に設けられた固定孔115に螺子94を差し込んで、ソレノイド150に設けられた螺子孔155に締結している。図16に示すように、ソレノイド固定部135の下面に固定されたソレノイド150のプランジャ152は、カメラ支持機構100の右側方において出退する。プランジャ152には、伝達部材160の後述する係止部164の先端部が係止する。ソレノイド150の位置に対応する部分に、固定部材130の固定部131に設けられた切り欠き部136(図15参照)が位置している。
【0056】
次に、伝達部材160について説明する。図15に示すように、伝達部材160は、固定部材130の下側支持部132と上側支持部133との間に設けられた支軸141に回動可能に設けられた円筒状の本体部161と、該本体部161の側面に連結され、第1傘歯車11及び第2傘歯車12に接離可能に設けられたローラユニット部162と、本体部161の側面に連結され、回転軸180の拡径部182に接離可能に設けられた断面円形状の抑制部163と、本体部161の側面からソレノイド150側に延設され、プランジャ55の先端部に係止する係止部164とを備えている。
【0057】
ローラユニット部162は、上下方向に延設された軸部121と、該軸部121の下部に一体して設けられた下側ローラ122と、軸部121の上部に一体して設けられた上側ローラ123とを備えている。軸部121は、本体部161に連結されたリング状のユニット支持部124(図14参照)に内挿され、軸周りに回転可能に支持されている。伝達部材160の回動によって、ローラユニット部162が連結軸170側に移動すると、下側ローラ122が第1傘歯車11の後端側の側面に接触し、上側ローラ123が第2傘歯車12の後端側の側面に接触する。この状態で、第1傘歯車11が回動すると、下側ローラ122を介してローラユニット部162全体が回転するので、上側ローラ123に接触する第2傘歯車12が回転する。つまり、伝達部材160は、第1傘歯車11の回転駆動力を第2傘歯車12に伝達できる状態に切り替わる。
【0058】
さらに、図15に示すように、支軸141において、伝達部材160の本体部161と、固定部材130の上側支持部133との間には、コイル状のバネ部材142が外挿されている。バネ部材142の上方に突出する一端部143は、固定部材130の上側支持部133の右端部に係止している。バネ部材142の下方に突出する他端部144は、伝達部材160の本体部161の側面に係止している。これにより、バネ部材142は、平面視で見た場合に、伝達部材160を時計周り(図20参照)に付勢している。
【0059】
次に、カメラ支持機構100によるカメラ17のチルト方向の回転動作(以下、チルト回転とも呼ぶ)について説明する。図15,図16,図20に示すように、ソレノイド150はプランジャ55を右側方の位置に延ばして移動させる。この状態では、伝達部材160は、バネ部材142による付勢により、支軸141を中心に時計回り(図20参照)に回動する。すると、ローラユニット部162は、連結軸170から離間する方向に移動し、抑制部163は、回転軸180の拡径部182側に移動して接触する。
【0060】
例えば、図21に示すように、この状態で、モータ4の出力軸41が回転すると、第1傘歯車11が右方向に回転する。ところが、ローラユニット部162は第1傘歯車11及び第2傘歯車12から離れているので、第1傘歯車11の回転駆動力は第2傘歯車12に伝達されない。抑制部163は、回転軸180の拡径部182の側面に接触しているので、回転軸180はパン方向に回転できない。よって、第3傘歯車13は、矢印で示す上方向に回転するので、カメラ17はチルト回転する。チルト回転する角度は、第1傘歯車11を回転させた角度と同一である。
【0061】
次に、カメラ支持機構100によるカメラ17のパン方向の回転動作(以下、パン回転とも呼ぶ)について説明する。図22に示すように、ソレノイド150は、チルト回転時とは逆に、プランジャ55を左側方に引き込んで退避位置まで移動させる。すると、プランジャ55に係止する係止部164は左側方に引き下げられるので、伝達部材160は、バネ部材142による付勢に抗して、支軸141を中心に反時計回りに回動する(図22参照)。すると、ローラユニット部162は連結軸170側に移動し、抑制部163は、回転軸180の拡径部182から離間する方向に移動する。
【0062】
例えば、図23に示すように、この状態で、モータ4の出力軸41が回転すると、第1傘歯車11が右方向に回転する。そして、ローラユニット部162は連結軸170側に移動し、下側ローラ122は、第1傘歯車11に接触し、上側ローラ123は、第2傘歯車12に接触する。故に、第1傘歯車11の回転駆動力は第2傘歯車12に伝達される状態に切り替わる。第1傘歯車11に接触する下側ローラ122を介して、ローラユニット部162全体が回転するので、上側ローラ123に接触する第2傘歯車12が回転する。抑制部163は、回転軸180の拡径部182の側面から離間しているので、回転軸180はパン方向に回転できる。よって、第3傘歯車13は、矢印で示す右方向に回転するので、カメラ17はパン回転する。パン回転する角度は、第1傘歯車11を回転させた角度と同一である。
【0063】
以上説明において、図14に示すローラユニット部162が本発明の「第2伝達部材」に相当し、バネ部材142が本発明の「付勢手段」に相当し、ソレノイド150が本発明の「第2切替装置」に相当する。
【0064】
以上説明したように、第2実施形態であるカメラ支持機構100は、第1実施形態と同様に、カメラ17を着脱自在に固定しつつ、モータ4の回転駆動力によって、パン方向及びチルト方向にその撮影方向を自由に変えることができる。故に、第1実施形態と同じ効果を得ることができる。そして、第2実施形態では、ソレノイド150を第1実施形態と異なる位置に設けている。つまり、カメラ支持機構100の背面側に設けることで、カメラ支持機構100の構成をさらにコンパクトにできる。また、伝達部材160のローラユニット部162によって、第1傘歯車11の回動駆動力を第2傘歯車12に対してより確実に伝達できる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な変形が可能である。例えば、第1実施形態のカメラ支持機構1では、図7に示すように、連結軸7に対して回転軸8が貫通して連結されている。故に、図8に示すように、抑制部材97の先端部は、連結軸7の膨出部75の側面に接触させている。これに対し、例えば、回転軸に対して連結軸を貫通して連結してもよい。第2実施形態がこの連結構造であるが、具体的に説明する。
【0066】
図24に示すように、変形例であるカメラ支持機構300において、連結軸270は、第1実施形態の連結軸7の貫通孔76(図8参照)に相当する孔を備えていない。連結軸170は、モータ4の出力軸41と同軸上に位置し、その下端部は第1傘歯車11の軸孔61の途中まで遊挿されている。連結軸170は、第1傘歯車11と第2傘歯車12とを互いに独立して回転可能に連結している。
【0067】
一方、回転軸280は、第2実施形態の回転軸180と同じ形状を有する。回転軸180は、円柱状の軸本体部(図示外)と、該軸本体部の一端部に設けられ、軸本体部の径よりも大きく形成された断面略円形状の拡径部282とを有する。軸本体部の他端部には、第3傘歯車13が回転可能に設けられている。拡径部282には、回転軸280の軸方向に直交する軸孔285が設けられている。この軸孔285に対して、連結軸270が挿入されている。このような連結構造の場合、抑制部材97の先端部は、回転軸280の拡径部282の側面に接触させることができる。故に、第1,第2実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0068】
なお、図示しないが、第2実施形態についても上記と同じことがいえる。即ち、第2実施形態では、図20に示すように、回転軸180に対して連結軸170を貫通させて連結しているが、連結軸に対して回転軸を貫通させて連結してもよい(第1実施形態の図7参照)。このような連結構造の場合、図20の伝達部材160の抑制部163を、連結軸の側面に接触させればよい。
【符号の説明】
【0069】
1 カメラ支持機構
4 モータ
5 ソレノイド
7 連結軸
8 回転軸
11 第1傘歯車
12 第2傘歯車
13 第3傘歯車
17 カメラ
41 出力軸
45 伝達部材
46 連結部
47 延設部
48 接触部
49 軸孔
55 プランジャ
88 カメラ台座部
95 解除部材
97 抑制部材
100 カメラ支持機構
121 軸部
122 下側ローラ
123 上側ローラ
142 バネ部材
150 ソレノイド
152 プランジャ
160 伝達部材
162 ローラユニット部
163 抑制部
164 係止部
170 連結軸
180 回転軸
182 拡径部
270 連結軸
280 回転軸
282 拡径部
300 カメラ支持機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置の撮影方向をパン方向およびチルト方向に回転動作させる撮像装置支持機構であって、
回転駆動手段と、
当該回転駆動手段の出力軸に設けられ、前記回転駆動手段の回転駆動力を伝達する第1傘歯車と、
前記出力軸と同軸上に設けられ、前記第1傘歯車と対向配置した第2傘歯車と、
前記第1傘歯車と前記第2傘歯車とを互いに独立して回転可能に連結する連結軸と、
当該連結軸に直交して連結する回転軸と、
当該回転軸に設けられ、前記第1傘歯車に噛合する第3傘歯車と、
当該第3傘歯車、又は前記回転軸に設けられ、前記撮像装置を支持する支持手段と、
前記第1傘歯車の回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する伝達機構と、
当該伝達機構による前記回転駆動力の伝達、非伝達を切り替える切替手段と
を備えたことを特徴とする撮像装置支持機構。
【請求項2】
前記伝達機構は、
前記第1傘歯車に連結され、前記第2傘歯車に接触することによって生ずる摩擦によって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する第1伝達部材を備え、
前記切替手段は、
前記第1伝達部材を前記第2傘歯車側に付勢することによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する伝達状態と、前記付勢を解除することによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に対して非伝達にする非伝達状態とを切り替える第1切替装置を備え、
前記切替手段は、前記第1切替装置を前記伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が互いに同一方向に回転する前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸と直交する方向を水平方向としたときのパン方向に回転動作する状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置支持機構。
【請求項3】
前記切替手段は、前記第1切替装置を前記非伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が前記第1傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸の軸線方向を上下方向としたときのチルト方向に回転動作する状態に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置支持機構。
【請求項4】
前記回転軸、又は前記連結軸に接触することによって、前記連結軸を回転中心とする前記回転軸のパン方向への回転を抑制する抑制部材と、
前記抑制部材を、前記切替手段による切り替えに応じて、前記回転軸、又は前記連結軸に対して接離可能に支持する支持部材と
をさらに備え、
前記切替手段が前記第1切替装置を前記伝達状態にした場合、前記支持部材は、前記抑制部材を前記回転軸、又は前記連結軸から離間させて支持し、
前記切替手段が前記第1切替装置を前記非伝達状態にした場合、前記支持部材は、前記抑制部材を前記回転軸、又は前記連結軸に接触させて支持することを特徴とする請求項2又は3に記載の撮像装置支持機構。
【請求項5】
前記伝達機構は、
前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車に対して接離可能に設けられ、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に伝達する第2伝達部材を備え、
前記切替手段は、
前記第2伝達部材を前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車から離間する方向に付勢する付勢手段と、
前記第2伝達部材を、前記付勢手段による付勢力に抗して、前記第1傘歯車及び前記第2歯車側に付勢して接触させることによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を、前記第2傘歯車に伝達する伝達状態と、前記付勢手段による付勢力によって、前記第2伝達部材を、前記第1傘歯車及び前記第2歯車から離間させることによって、前記第1傘歯車の前記回転駆動力を前記第2傘歯車に対して非伝達にする非伝達状態とを切り替える第2切替装置と
を備え、
前記切替手段は、前記第2切替装置を前記伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が互いに同一方向に回転する前記第1傘歯車及び前記第2傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸と直交する方向を水平方向としたときのパン方向に回転動作する状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置支持機構。
【請求項6】
前記切替手段は、第2切替装置を前記非伝達状態にした場合、前記第3傘歯車が前記第1傘歯車に追従して回転することによって、前記支持手段を、前記連結軸の軸線方向を上下方向としたときのチルト方向に回転動作する状態に切り替えることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置支持機構。
【請求項7】
前記第2伝達部材には、前記回転軸、又は前記連結軸に接離可能であって、前記回転軸、又は前記連結軸に接触することによって、前記連結軸を回転中心とする前記回転軸のパン方向への回転を抑制する抑制部が設けられ、
前記切替手段が前記第2切替装置を前記伝達状態とした場合、前記抑制部は前記回転軸、又は前記連結軸から離間し、
前記切替手段が第2切替装置を前記非伝達状態とした場合、前記抑制部は前記回転軸、又は前記連結軸に接触することを特徴とする請求項5又は6に記載の撮像装置支持機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−118146(P2012−118146A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265878(P2010−265878)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】