説明

撮像装置

【課題】固体撮像素子の受光面等に光透過性を有する電磁シールド層を設けることなく、固体撮像素子の前面から放出される電磁波によるEMIの問題を解決することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】CCD100が取り付けられるレンズホルダ60にシールドプレート106を装着し、このシールドプレート106によってCCD100の受光面を除く前面から放出される電磁波を遮蔽する。また、CCD100の前方を囲うように設置されるフォーカスレンズガイド筒70の外表面をシールド部材72で被覆し、このシールド部材72によってCCD100の受光面から放出される電磁波の外周方向への放射を遮蔽し、撮影レンズの光軸方向に指向性をもたせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に係り、特に電磁波障害(EMI:Electromagnetic Interference)を解消するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を備えたデジタル電子スチルカメラ、デジタルビデオカメラ等のデジタルカメラの需要が急増している。
【0003】
近年のデジタルカメラは、固体撮像素子の高解像度化に伴い、固体撮像素子から画像信号を読み出すためのクロックの周波数を高くし、高速で画像信号を読み出すことが要求されてきている。
【0004】
30MHzのクロック周波数にて固体撮像素子を駆動している従来のデジタルカメラはEMIの問題は発生していなかったが、このクロックの周波数を60MHz以上に上げると、デジタルカメラの撮影レンズを介して基準レベルを越える電磁波が発生するという問題が発生した。
【0005】
ところで、固体撮像素子を駆動するための駆動回路から最も大きな電磁波が発生するが、この電磁波は、駆動回路をシールド部材で囲むことで遮蔽することが可能である。しかし、この駆動回路によって駆動される固体撮像素子の前面から発生する電磁波は、撮影のための光路を確保するためにシールド部材によって遮蔽することができないという問題がある。
【0006】
この問題を解決するために、従来、固体撮像素子の受光面にも光透過性を有する電磁シールド層を設けるようにした内視鏡用固体撮像素子モジュールや撮像装置が提案されている。
【特許文献1】特開平5−56916号公報
【特許文献2】特開平7−38789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2に記載の発明のように固体撮像素子の受光面等に光透過性を有する電磁シールド層を設けると、固体撮像素子への入射光効率が低下し、一方、入射光効率が低下しないように電磁シールド層をより薄くすると、十分なシールド効果が得られなくなるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、固体撮像素子の受光面等に光透過性を有する電磁シールド層を設けることなく、固体撮像素子の前面から放出される電磁波によるEMIの問題を解決することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、固体撮像素子と、前記固体撮像素子の直前に配置されるレンズを収容するレンズ筒を含む撮影レンズとを備えた撮像装置において、前記レンズ筒の外周に前記固体撮像素子の前面から放出される電磁波を遮蔽するためのシールド部材を設け、前記レンズ筒内で電気的に浮遊している金属部材をグランドに接続したことを特徴としている。
【0010】
本発明者は、固体撮像素子の前面から放出される電磁波が、電気的に浮遊している金属部材に入射すると、この金属部材が共振アンテナとなって強い電磁波を放射することを見出した。
【0011】
そこで、まず、前記レンズ筒の外周に固体撮像素子の前面から放出される電磁波を遮蔽するためのシールド部材を設け、これにより、固体撮像素子の前面から放出される電磁波が、撮影レンズの光軸方向にある程度指向性をもって放出されるようにし、固体撮像素子の前方で電気的に浮遊している金属部材に電磁波が入射しないようにしている。また、レンズ筒内で電気的に浮遊している金属部材はグランドに接続し、この金属部材が共振アンテナにならないようにしている。なお、固体撮像素子の前面から放出され、撮影レンズの略光軸方向に直進する電磁波自体は、EMIで問題となるレベルよりも十分に小さい。
【0012】
請求項2に示すように請求項1に記載の撮像装置において、前記シールド部材は、前記レンズ筒の外周、及び前記レンズ筒の開口を除く前面を覆うように設けられていることを特徴としている。即ち、前記シールド部材によってレンズ筒の開口を除く前面も覆うことにより、固体撮像素子の前面から放出される電磁波の指向性をより強くするようにしている。
【0013】
請求項3に示すように請求項1又は2に記載の撮像装置において、前記固体撮像素子の受光面を除く前面を覆うシールドプレートを更に設け、前記固体撮像素子の受光面を除く前面から放出される電磁波を遮蔽することを特徴としている。即ち、固体撮像素子の前面から放出される電磁波は、固体撮像素子の前面のうちの受光面のみとし、電磁波が放出される面積を最小限にしている。
【0014】
請求項4に示すように請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置において、前記撮影レンズは、変倍のための第1のレンズ群と、前記第1のレンズ群より後方で変倍時の補正及び焦点合わせを行う第2のレンズ群とを有するリアフォーカス式ズームレンズであり、前記レンズ筒は、前記第2のレンズ群を収容するフォーカスレンズガイド筒であることを特徴としている。
【0015】
請求項5に示すように請求項4に記載の撮像装置において、前記金属部材は、前記フォーカスレンズガイド筒内を移動するフォーカスレンズのガイドシャフトであることを特徴としている。
【0016】
即ち、前記フォーカスレンズガイド筒内を移動するフォーカスレンズのガイドシャフトが電気的に浮遊していると、固体撮像素子の前面から放出される電磁波がガイドシャフトに入射し、このガイドシャフトが共振アンテナとなって強い電磁波を放射するが、ガイドシャフトをグランドに接続することにより、ガイドシャフトが共振アンテナにならないようにしている。
【0017】
請求項6に示すように請求項4に記載の撮像装置において、前記金属部材は、前記フォーカスレンズガイド筒内を移動するフォーカスレンズのガイドシャフトであり、このガイドシャフトの一端が前記シールドプレートに当接してグランドに接続されていることを特徴としている。これにより、ガイドシャフトのグランド(シールドプレートは当然にグランドに接続されているが)への接続を部品点数を増やすことなく行うことができる。
【0018】
請求項7に示すように請求項1から6のいずれかに記載の撮像装置において、前記撮影レンズは、フレキシブル配線基板と接続され、前記撮影レンズ内の光学部材を駆動するための駆動手段を有し、前記フレキシブル配線基板は、前記シールド部材に沿うように敷設されるとともに、前記駆動手段と前記シールド部材との間の前記フレキシブル配線基板の長さが最短となるように敷設されることを特徴としている。
【0019】
即ち、フレキシブル配線基板も電磁波が入射すると、ここから電磁波が放射するが、電磁波が入射するフレキシブル配線基板の長さ(即ち、前記駆動手段と前記シールド部材で覆われているレンズ筒の先端との間のフレキシブル配線基板の長さ)を最短になるようにし、これによりフレキシブル配線基板の基板パターンが共振アンテナになって電磁波を放射しないように、又は放射する電磁波が最小限になるようにしている。
【0020】
請求項8に示すように請求項7に記載の撮像装置において、前記駆動手段は、シャッタアクチュエータ、絞りアクチュエータ、手振れ補正アクチュエータ、及びフォーカスアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータであり、この2つ以上のアクチュエータは、前記撮影レンズ内の異なる周方向に配設されていることを特徴としている。これにより、前記フレキシブル配線基板の一端側は、アクチュエータの数に応じて分岐するとともに、各アクチュエータの撮影レンズ内の周方向の位置に応じて前記シールド部材の周囲に沿って巻き付けられるようになる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、撮影レンズ内の電気的に浮遊している金属部材を電磁シールドし、また、電磁シールドできない金属部材についてはグランドに接続するようにしたため、固体撮像素子の前面から電磁波が放出されても前記金属部材が共振アンテナとなって強い電磁波を放射しないようにすることができる。これにより、固体撮像素子を高周波のクロック(例えば、60MHz以上)で駆動してもEMIの問題が生じないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に従って本発明に係る撮像装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0023】
図1は本発明が適用されたデジタルカメラの一実施形態の外観構成を示す正面斜視図である。
【0024】
同図に示すように、このデジタルカメラ10は、電子ビューファインダを利用した一眼レフタイプのレンズ一体式カメラであり、撮影レンズ12がカメラ本体14の正面に一体的に組み付けられている。
【0025】
カメラ本体14は、左側部がグリップ16を成すようにL字状に形成されており、その正面に撮影レンズ12が一体的に組み付けられている。この撮影レンズ12は、リアフォーカス式のズームレンズで構成されており、光学式の手ブレ補正機能を有している。
【0026】
カメラ本体14の上部には、ポップアップ式のストロボ18、ホットシュー20、モードダイヤル22、コマンドダイヤル24、シャッタボタン26、電源レバー28等が設けられており、図示しないカメラ本体14の背面には、電子ビューファインダ、液晶モニタ、十字ボタン、メニューボタン、OKボタン、キャンセルボタン等が設けられている。
【0027】
図2は、撮影レンズ12の概略構成を示す側面断面図であり、図3は、その背面図である。
【0028】
上記のように、撮影レンズ12は、光学式の手ブレ補正機能を有するリアフォーカス式のズームレンズで構成されており、そのレンズ鏡筒30の内部には、ズームレンズ群32、絞り・シャッタユニット34、手ブレ補正ユニット36、フォーカスレンズ群38が光軸Lに沿ってレンズ鏡筒30の先端側から順に収納配置されている。
【0029】
レンズ鏡筒30は、円筒状に形成された内筒40と、その内筒40の外周に回動自在に設けられた回転筒42と、回転筒42の外周を覆う外筒44とで構成されており、カメラ本体14内に設けられたレンズホルダ60に取り付けられている。外筒44は、その基端部において、内筒40に固定されており、回転筒42は、この内筒40と外筒44との間を回動自在に設けられている。
【0030】
回転筒42の先端部には、ズームリング46が一体的に取り付けられており、外筒44の先端部から張り出して設けられている。回転筒42は、このズームリング46を回転操作することにより、内筒40と外筒44との間を回転する。
【0031】
レンズホルダ60は、板状に形成されており、その中央(光軸L上)にCCD用の開口部60Aが形成されている。このレンズホルダ60の前面には、レンズ鏡筒30を保持するための保持枠62が一体的に形成されている。レンズ鏡筒30は、その内筒40の基端部を保持枠62の内周部に嵌合させることでレンズホルダ60に取り付けられ、その内筒40の基端部を図示しないビスでレンズホルダ60にネジ止めすることにより、レンズホルダ60に一体的に固定される。
【0032】
なお、このレンズホルダ60は、図示しないカメラ本体14の本体フレームに図示しないビスによってネジ止めされている。したがって、このレンズホルダ60にレンズ鏡筒30が取り付けられることにより、レンズ鏡筒30は、カメラ本体14に一体的に固定される。
【0033】
ズームレンズ群32は、撮影レンズ12の変倍調整を行う。このズームレンズ群32は、ズームレンズ枠48に保持されている。
【0034】
ズームレンズ枠48は、円筒状に形成されており、その外周部には、3本のカムピン50が放射状に立設されている。各カムピン50は、内筒40に形成された直進溝52に挿通されており、その先端部は、回転筒42の内周部に形成されたカム溝54に嵌入されている。
【0035】
ズームリング46を回転操作して、回転筒42を回転させると、カムピン50と直進溝52とカム溝54との作用によって、ズームレンズ枠48が光軸Lに沿って前後移動する。この結果、ズームレンズ群32が光軸Lに沿って前後移動し、撮影レンズ12の焦点距離が変化する。
【0036】
絞り・シャッタユニット34は、撮影レンズ12の絞り調整と露光調整を行う。この絞り・シャッタユニット34は、ブラケット56を介して内筒40の内周部に固定されており、図示しない絞りとメカシャッタを備えている。絞りは、絞り・シャッタユニット34に内蔵された図示しない絞りアクチュエータに駆動されて動作し、これにより、撮影レンズ12の絞りが調整される。また、メカシャッタは、絞り・シャッタユニット34に内蔵された図示しないシャッタクチュエータに駆動されて動作し、これにより、CCDの露光が調整される。
【0037】
手ブレ補正ユニット36は、手ブレに基づく結像面での像ブレの補正を行う。この手ブレ補正ユニット36は、ブラケット58を介して内筒40の内周部に固定されており、図示しない補正レンズを備えている。補正レンズは、光軸Lに直交する面内をパン方向及びチルト方向に移動自在に設けられており、手ブレ補正ユニット36に内蔵された図示しない手ブレ補正アクチュエータに駆動されて、ブレを打ち消す方向に駆動される。これにより、手ブレに基づく結像面での像ブレが補正される。
【0038】
フォーカスレンズ群38は、変倍時の補正及び焦点合わせを行う。このフォーカスレンズ群38は、内筒40内に設けられたフォーカスレンズガイド筒70内に収納配置されている。
【0039】
フォーカスレンズガイド筒70は、円筒状に形成されており、その外表面が電磁波を遮蔽可能な金属性のシールド部材72によって被覆されている。尚、シールド部材は、一般的に導電性の金属で構成され、グランドに接続されることによりシールド効果を発揮する。
【0040】
このフォーカスレンズガイド筒70は、光軸Lと同軸上に配置されており、その基端部に一体成形されたフランジ部70Aを図示しないビスによってレンズホルダ60にネジ止めすることにより、レンズホルダ60に一体的に固定されている。
【0041】
フォーカスレンズガイド筒70内に収納されたフォーカスレンズ群38は、フォーカスレンズ枠74に保持されている。このフォーカスレンズ枠74の外周部には、一対のガイド部76が突出して形成されている。各ガイド部76には、光軸Lに沿ってガイド穴78が形成されており、各ガイド穴78にはフォーカスレンズガイド筒70内を光軸Lに沿って配設されたガイドシャフト80が挿通されている。フォーカスレンズ枠74は、このガイドシャフト80に沿って摺動自在に支持されており、これにより、フォーカスレンズ群38が光軸Lに沿って移動自在に支持される。
【0042】
ここで、このフォーカスレンズ枠74を摺動自在に支持するガイドシャフト80は金属によって形成されており、その基端部をレンズホルダ60及びフォーカスレンズ枠74に形成された貫通穴82、84に挿通されて片持ち支持されている。すなわち、この貫通穴82、84の内径は、ガイドシャフト80の外径よりも若干小さく形成されており、貫通穴82、84にガイドシャフト80を挿通することにより、締まり嵌めにより支持される。なお、後述するように、このガイドシャフト80は、その基端部が貫通穴82からレンズホルダ60の背面に露出し、レンズホルダ60に取り付けられた金属性のシールドプレート106に当接する。
【0043】
フォーカスレンズガイド筒70の外周部には、フォーカスモータ86が取り付けられており、その回転軸には、光軸Lに沿って配設されたネジ棒88が連結されている。このネジ棒88には、ナット部材90が螺合されており、ナット部材90は、連結部材91を介してフォーカスレンズ枠74の一方のガイド部76に連結されている。フォーカスモータ86を駆動してネジ棒88を回転させると、その回転に応じてナット部材90がネジ棒88に沿って前後移動し、これにより、フォーカスレンズ枠74に保持されたフォーカスレンズ群38が光軸Lに沿って前後移動する。
【0044】
なお、このフォーカスレンズ群38を駆動するためのフォーカスモータ86への駆動信号の送信及び電力供給等は、カメラ本体14内の図示しないメイン基板に接続されたフレキシブル配線基板92を介して行われる。同様に絞り・シャッタユニット34の絞りを駆動するための絞りアクチュエータやメカシャッタを駆動するためのシャッタクチュエータ、手ブレ補正ユニット36の補正レンズを駆動するための手ブレ補正アクチュエータへの駆動信号の送信及び電力供給等はフレキシブル配線基板92を介して行われる。
【0045】
この撮影レンズ12内の各駆動アクチュエータに接続されるフレキシブル配線基板92は、内筒40の基端部外周に形成された配線導入口94を介して撮影レンズ12の内部に導入され、図4に示すように、シールド部材72で被覆されたフォーカスレンズガイド筒70の外周を沿うように敷設される。そして、シールド部材72で被覆されたフォーカスレンズガイド筒70の前方に位置する駆動アクチュエータに対しては、そのフォーカスレンズガイド筒70の外周を沿うように敷設されたフレキシブル配線基板92の一部を分岐し、光軸Lに沿って直線状に引き出して敷設されている。すなわち、このフレキシブル配線基板92は、シールド部材72で被覆されたフォーカスレンズガイド筒70の外周に沿って敷設されるベース部92Aと、そのベース部92Aから光軸Lに沿って垂直に引き出される引出部92Bとを有しており、フォーカスレンズガイド筒70の前方に位置する駆動アクチュエータに対しては、この直線状に延びる引出部92Bを介してフレキシブル配線基板92が接続される。
【0046】
これにより、シールド部材72で被覆されたフォーカスレンズガイド筒70の前方に位置する駆動アクチュエータに対して、そのフォーカスレンズガイド筒70の先端から配線接続部までのフレキシブル配線基板の長さを最短に設定することができ、不要輻射の影響を最小限に抑えることができる。
【0047】
なお、本実施の形態では、絞り・シャッタユニット34の絞りアクチュエータとシャッタクチュエータ、及び、手ブレ補正ユニット36の手ブレ補正アクチュエータがシールド部材72で被覆されたフォーカスレンズガイド筒70の前方に位置しているので、これらのアクチュエータの配線接続部34A、36Aに対して直線状に延びる引出部92Bが接続される。
【0048】
また、本実施の形態では、一本のフレキシブル配線基板92を分岐して、各駆動アクチュエータの配線接続部に接続しているが、個別にフレキシブル配線基板を用意して接続するようにしてもよい。
【0049】
撮影レンズ12は、以上のように構成され、この撮影レンズ12が取り付けられたレンズホルダ60にCCD100が取り付けられる。
【0050】
なお、本実施の形態では、固体撮像素子としてCCDを用いているが、CMOS等CCD以外の固体撮像素子を用いる構成としてもよい。
【0051】
CCD100は、CCDホルダ102を介してCCD基板104に一体的に取り付けられており、このCCD基板104がレンズホルダ60の背面所定位置に図示しないビスでネジ止めされることにより、CCD100がレンズホルダ60に取り付けられる。
【0052】
このCCD100が取り付けられるレンズホルダ60の背面には、電磁波を遮蔽可能なシールドプレート106が装着されており、このシールドプレート106によって、CCD100の受光面を除く前面から放出される電磁波が遮蔽されるように構成されている。
【0053】
このシールドプレート106は、金属によって円盤状に形成されており、その外径は少なくともレンズ鏡筒30の内径よりも大きく形成されている。
【0054】
また、このシールドプレート106の中央部には、CCDホルダ102が嵌合可能な凹部106Aが形成されており、その凹部106A内には、CCD100の受光面の大きさとほぼ同じ大きさの開口部106Bが形成されている。
【0055】
シールドプレート106は、この凹部106Aをレンズホルダ60に形成された開口部60Aに嵌合させることにより、レンズホルダ60に装着される。そして、図示しないビスによってレンズホルダ60にネジ止めされることにより、レンズホルダ60に一体的に固定される。
【0056】
このレンズホルダ60に装着された金属性のシールドプレート106には、グランド用のケーブル108を介してカメラ本体14の金属性のフレーム110に接続されている。すなわち、グランドと接続されている。
【0057】
なお、上述したフォーカスレンズガイド筒70の外表面を被覆する金属性のシールド部材72もグランド用のケーブル112を介してこのカメラ本体14の金属性のフレーム110に接続されている。すなわち、グランドと接続されている。
【0058】
また、このシールドプレート106がレンズホルダ60に装着されることにより、ガイドシャフト80がシールドプレート106に当接し、ガイドシャフト80もグランドに接続される。
【0059】
CCD100は、このシールドプレート106が装着されたレンズホルダ60に図示しないビスでCCD基板104をネジ止めすることによりレンズホルダ60に取り付けられる。そして、レンズホルダ60に取り付けられたCCD100は、受光面以外の領域がシールドプレート106で覆われた状態で受光面のみがレンズホルダ60の開口部60Aから露出する。これにより、CCD100の受光面を除く前面から放出される電磁波がシールドプレート106によって遮蔽される。
【0060】
CCD100が取り付けられたCCD基板104には、フレキシブル配線基板114を介して回路基板116が接続されており、回路基板116は、図示しないビスを介してレンズホルダ60の背面にネジ止めされている。この回路基板112には、CCD100を駆動するCCD駆動回路やレンズ駆動用CPU、CCD100から出力される撮像信号に相関二重サンプリングを行うとともに、適正ないゲイン増幅を行うアナログ信号処理回路、アナログ信号処理回路で処理された撮像信号をデジタル変換して画像データ(CCD−RAWデータ)とするA/D変換回路、画像データをカメラ本体14へ送信するためのデータ通信回路等が実装されており、フレキシブル配線基板118を介して図示しないカメラ本体14のメイン基板に接続されている。
【0061】
以上のように構成された本実施の形態のデジタルカメラ10の作用は次のとおりである。
【0062】
CCD100が取り付けられたレンズホルダ60には、シールドプレート106が装着されており、CCD100の前面から放出される電磁波は、受光面を除きこのシールドプレート106によって遮蔽される。
【0063】
CCD100の受光面からレンズ鏡筒30内に放出される電磁波は、このシールドプレート106で遮蔽することはできないが、本実施の形態のデジタルカメラ10では、CCD100の前方を囲うようにしてフォーカスレンズガイド筒70が取り付けられており、そのフォーカスレンズガイド筒70の外表面がシールド部材72によって被覆されている。この結果、CCD100の受光面から放出された電磁波は、このシールド部材72によって放射範囲が絞られ、撮影レンズ12の光軸方向にある程度指向性をもって放出されるようになる。
【0064】
そして、このようにCCD100の受光面から放出される電磁波が、撮影レンズ12の光軸方向にある程度指向性をもって放出されることにより、CCD100の前方で電気的に浮遊している金属部材に電磁波が入射されるのを防止することができ、金属部材が共振アンテナになるのを有効に防止することができる。
【0065】
これにより、CCD100を高周波のクロック(例えば、60MHz)で駆動しても、EMIの問題が生じないようにすることができる。また、CCD100の受光面等に光透過性を有する電磁シールド層を設けなくても、CCD100の前面から放出される電磁波によるEMIの問題を解決することができる。
【0066】
なお、フォーカスレンズガイド筒70内に配置されている金属部材に対しては、CCD100の受光面から放出される電磁波の入射を阻止できないが、このようにフォーカスレンズガイド筒70内に配置されている金属部材に対しては、グランドに接続し、共振アンテナにならないように構成する。本実施の形態のデジタルカメラ10では、ガイドシャフト80がこれに対応するが、ガイドシャフト80は、金属性のシールドプレート106に当接されて、グランドに接続されているので、共振アンテナになることはない。
【0067】
なお、本実施の形態では、ガイドシャフト80をシールドプレート106に当接させて、グランドに接続しているが、グランド用のケーブルをガイドシャフト80に接続し、グランドとなるフレーム等に接続するようにしてもよい。本実施の形態のようにガイドシャフト80をシールドプレート106に当接させてグランドに接続することにより、部品点数を削減し、構成を簡素化することができる。
【0068】
また、本実施の形態のデジタルカメラ10では、フォーカスレンズガイド筒70内に配置されている金属部材はガイドシャフト80のみであるが、この他にも金属部材がフォーカスレンズガイド筒70内に配置されている場合は、ガイドシャフト80と同様にシールドプレート106に接続する等して、グランドと接続する構成とする。たとえば、ビスがフォーカスレンズガイド筒70の内部に配置されている場合には、このビスもシールドプレート106に接続する等して、グランドと接続する構成とする。
【0069】
また、フレキシブル配線基板92も電磁波が入射すると、ここから電磁波が放射されるが、本実施の形態のデジタルカメラ10では、電磁波が入射するフレキシブル配線基板の長さ(すなわち、各駆動アクチュエータの配線接続部とシールド部材72で被覆されたフォーカスレンズガイド筒70の先端との間のフレキシブル配線基板の長さ)が最短になるようにフレキシブル配線基板を敷設しているので、フレキシブル配線基板の基板パターンが共振アンテナになって電磁波を放射するのを効果的に抑制することができる。
【0070】
なお、このような敷設方法は、フレキシブル配線基板の配線導入口と駆動アクチュエータの配線接続部との位置が周方向にズレている場合や、複数の駆動アクチュエータに配線する場合であって、各駆動アクチュエータの配線接続部の位置が周方向に異なる場合に特に有効に作用する。
【0071】
なお、本実施の形態では、フォーカスレンズガイド筒70の外表面をシールド部材72によって被覆する構成としているが、その被覆の態様は特に限定されるものではない。たとえば、フォーカスレンズガイド筒70の外形形状に沿った形状の金属性のカバーをシールド部材とし、これをフォーカスレンズガイド筒70に被せることにより、フォーカスレンズガイド筒70の外表面をシールド部材で被覆するようにしてもよい。また、フォーカスレンズガイド筒70の外表面に金属メッキを施し、この金属メッキをシールド部材としてフォーカスレンズガイド筒70の外表面をシールド部材で被覆するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施の形態では、フォーカスレンズガイド筒70の外表面をシールド部材72で被覆することにより、CCD100の前面から放出される電磁波の外周方向への放射を遮蔽する構成としているが、このシールド部材は、フォーカスレンズガイド筒70とは別に設けるようにしてもよい。たとえば、図5、図6に示すように、円筒状に形成されたシールド部材120でフォーカスレンズガイド筒70の外周を囲い、この円筒状のシールド部材120によってCCD100の受光面から放出される電磁波の外周方向への放射を遮蔽する構成としてもよい。この場合、シールド部材120の先端は蓋部材122で覆い、CCD100の露光に必要最小限な大きさの開口部122Aをその蓋部材122に形成することが好ましい。これにより、CCD100の受光面から放射された電磁波の外周方向への放射を効果的に遮蔽でき、撮影レンズの光軸方向に指向性を持たせて放射させることができる。
【0073】
なお、図5、図6に示す例では、シールド部材120をシールドプレート106に直接接続する構成としている。これにより、グランド用のケーブルの配線等が不要になり、構成をより簡素化することができる。フォーカスレンズ群38をガイドする金属性のガイドシャフト80も同様にシールドプレート106に直接接続されている。更に、フォーカスモータ86によって駆動されるネジ棒88もシールドプレート106に直接接続されている。これにより、フォーカスモータ86及びネジ棒88が共振アンテナにならないようにしている。
【0074】
また、このようにシールド部材120をフォーカスレンズガイド筒70とは別体で設ける場合も、図7、図8に示すように、駆動アクチュエータ用のフレキシブル配線基板92は、シールド部材120の外周を沿うように配設する。また、シールド部材120の前方に位置する駆動アクチュエータに対しては、そのフレキシブル配線基板92の長さが最短になるように敷設する。これにより、フレキシブル配線基板92の基板パターンが共振アンテナになって電磁波を放射するのを効果的に抑制することができる。
【0075】
なお、本実施の形態では、本発明をデジタルカメラに適用した場合を例に説明したが、本発明の適用はこれに限定されるものではなく、この他、ビデオカメラや携帯電話機等に組み込まれたデジタルカメラ等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明が適用されたデジタルカメラの一実施形態の外観構成を示す正面斜視図
【図2】撮影レンズの概略構成を示す側面断面図
【図3】撮影レンズの概略構成を示す背面図
【図4】フレキシブル配線基板の敷設構造を示す斜視図
【図5】撮影レンズの他の実施の形態の概略構成を示す側面断面図
【図6】図5の要部拡大図
【図7】撮影レンズの他の実施の形態の概略構成を示す斜視図
【図8】撮影レンズの他の実施の形態の概略構成を示す側面図
【符号の説明】
【0077】
10…デジタルカメラ、12…撮影レンズ、14…カメラ本体、30…レンズ鏡筒、32…ズームレンズ群、34…絞り・シャッタユニット、36…手ブレ補正ユニット、38…フォーカスレンズ群、40…内筒、42…回転筒、44…外筒、60…レンズホルダ、70…フォーカスレンズガイド筒、72…シールド部材、80…ガイドシャフト、92…フレキシブル配線基板、92A…ベース部、92B…引出部、100…CCD、102…CCDホルダ、104…CCD基板、106…シールドプレート、106A…凹部、106B…開口部、114…フレキシブル配線基板、116…回路基板、118…フレキシブル配線基板、L…光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子と、前記固体撮像素子の直前に配置されるレンズを収容するレンズ筒を含む撮影レンズとを備えた撮像装置において、
前記レンズ筒の外周に前記固体撮像素子の前面から放出される電磁波を遮蔽するためのシールド部材を設け、
前記レンズ筒内で電気的に浮遊している金属部材をグランドに接続したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記シールド部材は、前記レンズ筒の外周、及び前記レンズ筒の開口を除く前面を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記固体撮像素子の受光面を除く前面を覆うシールドプレートを更に設け、前記固体撮像素子の受光面を除く前面から放出される電磁波を遮蔽することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮影レンズは、変倍のための第1のレンズ群と、前記第1のレンズ群より後方で変倍時の補正及び焦点合わせを行う第2のレンズ群とを有するリアフォーカス式ズームレンズであり、
前記レンズ筒は、前記第2のレンズ群を収容するフォーカスレンズガイド筒であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記金属部材は、前記フォーカスレンズガイド筒内を移動するフォーカスレンズのガイドシャフトであることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記金属部材は、前記フォーカスレンズガイド筒内を移動するフォーカスレンズのガイドシャフトであり、このガイドシャフトの一端が前記シールドプレートに当接してグランドに接続されていることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮影レンズは、フレキシブル配線基板と接続され、前記撮影レンズ内の光学部材を駆動するための駆動手段を有し、
前記フレキシブル配線基板は、前記シールド部材に沿うように敷設されるとともに、前記駆動手段と前記シールド部材との間の前記フレキシブル配線基板の長さが最短となるように敷設されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項8】
前記駆動手段は、シャッタアクチュエータ、絞りアクチュエータ、手振れ補正アクチュエータ、及びフォーカスアクチュエータのうちの2つ以上のアクチュエータであり、この2つ以上のアクチュエータは、前記撮影レンズ内の異なる周方向に配設されていることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2008−104037(P2008−104037A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285817(P2006−285817)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】