説明

撮像装置

【課題】
開閉時の衝撃から表示パネルを保護する。
【解決手段】
下カバー44と上カバー45の間に、液晶表示パネル41、バックライト42、基板43及びキーパッド本体46が収容される。キーパッド本体46は、衝撃吸収効果が高いゴム状弾性材料などから成型される。キーパッド本体46は、下カバー44に設けられた枠44aに収納保持される。キーパッド本体46には枠状の収納部46aが設けられ、液晶表示パネル41及びバックライト42が、収納部46aに嵌入固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に対し開閉可能な画像表示部を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ本体に対し、液晶表示パネルを用いた画像表示部を、2軸ヒンジ機構により、本体から開いた位置に回動可能であって、開いた状態で画面を背面方向から前面方向に回転可能に支持する構成が知られている(例えば、特許文献1)。即ち、2軸ヒンジ機構は、互いに直交する第1及び第2の回転中心軸を具備する。画像表示部は、第1の回転中心軸を中心に本体の側面に収納した状態から開いた位置に回動可能である。画像表示部はまた、開いた状態で、第2の回転中心軸を中心に、画面を背面方向から前面方向に回転可能である。画像表示部の画面の向きを適宜に調節することで、撮像時の大型ファインダとして利用できる。
【0003】
また、操作時の利便性を高めるために、ビデオカメラ本体に対して開閉可能な画像表示部に操作部を配置した構成も知られている(例えば、特許文献2)。
【0004】
図9及び図10を参照して、液晶表示パネルを用いた画像表示部を2軸ヒンジ機構を介して本体に結合した従来のビデオカメラの構成を説明する。図9は、従来のビデオカメラで画像表示部を閉じた状態の斜視図を示す。図10は、従来のビデオカメラで画像表示部を開いた状態の斜視図である。
【0005】
ビデオカメラ本体100に対して、撮影画像や再生画像を表示可能な画像表示部200が、ヒンジ機構300により開閉可能及び回転可能に結合されている。画像表示部200は、例えば、2.5インチ程度の液晶パネルなどからなる。画像表示部200に設けられた操作ボタン201,202,203,204により、再生/一時停止、停止、早送り及び巻き戻し等の再生操作を行うことができる。
【0006】
ヒンジ機構300の構成を詳しく説明する。図11は、ヒンジ機構300をビデオカメラ本体100に取り付けた状態を示す。図12は、ヒンジ機構300の分解斜視図である。
【0007】
ヒンジ機構300は、図11に示すように、ビデオカメラ本体100の側壁に取り付けられ、その自由端側に画像表示部200が取り付けられている。ヒンジ機構300は、本体取付け部301,302でビデオカメラ本体100に取り付けられる。開閉支軸303,304は、画像表示部200をビデオカメラ本体100に対して、図11のY軸を回転中心として開閉させるための回転中心軸となる。開閉ストッパ305,306は、開閉支軸303,304による画像表示部200の開きを90度に規制する。固定カム307は本体取付け部301に固定され、可動カム308は、開閉支軸303の軸方向に移動自在に挿入される。コイルバネ309が、可動カム308を固定カム307の方向に常時付勢する。表示取付け部310に画像表示部200が取り付けられる。
【0008】
回動軸311は、画像表示部200をビデオカメラ本体100に対して、図11のX軸を回転中心として回動させる際の回転中心軸となる。板バネ312が、回動軸311に所定の回動トルクは与える。回動ストッパ313は、回動軸311を中心とする画像表示部200の回転を一定範囲に規制する。開閉支軸303,304はそれぞれの一端でベース板金314に固定される。ベース板金314は、回動軸311を回動自在に支持する。外装カバー315,316が、ヒンジ機構300を被う。
【0009】
画像表示部200の開閉時のヒンジ機構300の動作を説明する。図13(a)は、画像表示部200がビデオカメラ本体100に対して閉じたときのヒンジ機構300側面図を示す。図13(b)は、画像表示部200がビデオカメラ本体100に対して45度開いたときのヒンジ機構300の側面図を示す。図13(c)は、画像表示部200がビデオカメラ本体100に対して90度開いたときのヒンジ機構300の側面図を示す。
【0010】
図13(a)に示すように、画像表示部200がビデオカメラ本体100に対して閉じているとき、固定カム307のカム面に可動カム308の面が係合する。コイルバネ309が、固定カム307と可動カム308を互いに軸方向に圧接すると共に、画像表示部200を閉じる方向に回転付勢する。これにより、画像表示部200が、ビデオカメラ本体100の側面に密着する方向に付勢され、保持される。
【0011】
画像表示部200をビデオカメラ本体100に対して開いた状態にする場合、使用者は、コイルバネ309の付勢力に抗して画像表示部200に開く方向の外力を作用させる。これにより、図13(b)に示すように、固定カム307のカム面と可動カム308の面との係合が外れる状態まで移動したとする。固定カム307と可動カム308の係合が外れた状態から、更に画像表示部200を開く方向に外力を作用させると、固定カム307のカム面と可動カム308の面が再び係合する。この後、画像表示部200は、コイルバネ309の付勢力により、開閉ストッパ305,306によって規制される位置(図13(b)に示す位置)まで自動的に開くと共に、その位置に保持される。
【0012】
画像表示部200をビデオカメラ本体100に対して開いた状態から閉じた状態にする場合、使用者は、コイルバネ309の付勢力に抗して画像表示部200に閉じる方向の外力を作用させる。可動カム308が固定カム307のカム面を越えると、画像表示部200は、コイルバネ309の付勢力により、ビデオカメラ本体100に対して閉じた位置まで付勢され、その位置に保持される。
【0013】
ヒンジ機構300を使用する構成では、画像表示部200を開閉する際に、ヒンジ機構300のコイルバネ309の付勢力により画像表示部200に衝撃が加わる。画像表示部200に一般的に使用される液晶表示パネル等のフラットパネルディスプレイは、ガラス板を使用する。画像表示部200を開閉する際に発生する衝撃によって、ガラス欠け等の破損が発生することがある。
【0014】
また、画像表示部200をビデオカメラ本体100に対して閉じる場合、画像表示部200とビデオカメラ本体100が衝突することによって、衝撃のみならず衝撃音が発生し、品位上も好ましくない。
【0015】
画像表示部200を閉じる際の衝撃及び衝撃音を緩和するために、ビデオカメラ本体100にゴム等の緩衝部材401,402(図10)を両面テープ等で貼り付けた構成が提案されている。
【特許文献1】特開平9−9108号公報
【特許文献2】特開平5−153448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
緩衝部材401,402は、画像表示部200を閉じる際に発生する衝撃をある程度、吸収するが、画像表示部200を開く際に発生する衝撃を吸収できない。画像表示部200を開く際の衝撃が、画像表示部200の内部構成部品である液晶表示パネルに伝わり、ガラス欠けなどの破損が生じる恐れがある。
【0017】
また、緩衝部材401,402を貼り付けることによって、部品点数が増加するので、コストが増大する。
【0018】
緩衝部材401,402を両面テープ等でビデオカメラ本体に貼り付ける構成では、緩衝部材401,402が剥がれ易い。
【0019】
更には、画像表示部200がビデオカメラ本体100に対して閉じた状態から開く際に、ヒンジ機構300の付勢力に抗する外力を作用させる必要があり、画像表示部200を開き難い。
【0020】
本発明は、このような不都合を解消する撮像装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の目的を達成するために、本出願に係る撮像装置は、画像を表示する画像表示部を本体に対して開閉可能に結合するヒンジ機構を具備する撮像装置であって、前記画像表示部が、表示パネルと、前記表示パネルを保持する弾性部材とを具備し、前記弾性部材が、前記画像表示部を前記本体に対して閉じた状態で前記本体に当接するように露出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画像表示部を開閉する際に生じる衝撃から表示パネルを保護でき、画像表示部を閉じる際に発生する好ましくない衝撃音を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る撮像装置の一実施例であるビデオカメラを正面方向(被写体側)から見た斜視図を示す。図2は、本実施例を後方(撮影者側)から見た斜視図を示す。図3は、本実施例の画像表示部を開いた状態を後方(撮影者側)から見た斜視図を示す。
【0025】
ビデオカメラ本体1の長手方向前方(被写体側)には、レンズ部2と、撮影音声を集音するマイク部3が設けられている。撮影画像を確認可能な画像表示部4は、2.5インチ程度の液晶パネルなどからなる。画像表示部4は、ヒンジ機構5によって、カメラ本体1に対して開閉可能に結合されている。ヒンジ機構5の構成は、従来のヒンジ機構300と同じである。画像表示部4はまた、図3に示す開いた状態で、後方向(撮影者方向)から前方向(被写体方向)のほぼ180度以上の範囲で回転可能である。
【0026】
カセットカバー6を開けると、ビデオカメラ本体1の内部に設けられた記録再生装置(不図示)に磁気テープカセットを出し入れすることができる。オープンツマミ7を操作することで、カセットカバー6を開くことが出来る。ズームツマミ8により光学ズーム又は電子ズームを操作できる。フォトボタン9は、静止画の記録に使用される。
【0027】
図2に示すように、ビデオカメラ本体1には、撮影画像を確認するための接眼タイプのファインダ10が設けられている。メニューボタン11により、メニュー表示のオン/オフを切り替えできる。メニューツマミ12により、メニューを選択し、決定する。ホワイトバランス設定ボタン13により、撮影時のホワイトバランスを設定する。フォーカス設定ボタン14により、撮影時のオートフォーカスとマニュアルフォーカスを選択し設定する。露出設定ボタン15により、撮影時に露出を設定する。
【0028】
露出ダイヤル16を回転動作することで、全自動モード、シャッタスピード優先モード又は絞り優先モードなどの、撮影イメージに合わせたプログラム自動露出モードを設定できる。
【0029】
電源ダイヤル17を回転操作することで、電源オフ、撮影モード及び再生モードの何れかに切り替えることできる。トリガーボタン18を押圧操作することで、動画撮影のスタートとストップをビデオカメラに指示する。
【0030】
画像表示部4の構成を詳しく説明する。図4は、画像表示部4の背面から見た分解斜視図を示し、図5は、画像表示部4を前面(画面側)から見た分解斜視図を示す。図6は、画像表示部4の正面図を示す。図7は、図6のA−Aから見た断面図を示す。図8は、画像表示部4の上カバーを取り外した状態の平面図である。
【0031】
図4及び図5に示すように、画像表示部4は、撮影画像及び再生画像等を表示可能な液晶表示パネル41と、液晶表示パネル41の光源となるバックライト42を具備する。液晶表示パネル41は特許請求の範囲の表示パネルに相当する。液晶表示パネル41及びバックライト42は基板43に接続される。下カバー44と上カバー45の間に、液晶表示パネル41、バックライト42、基板43及びキーパッド本体46が収容される。
【0032】
キーパッド本体46は、一般的に外装カバーに使用されるエンジニアリングプラスチックに比べ衝撃吸収効果が高いゴム状弾性材料などから成型され、特許請求の範囲の「表示パネルを保持する弾性部材」として機能する。キーパッド本体46は、下カバー44に設けられた枠44aに収納保持される。キーパッド本体46には枠状の収納部46aが設けられ、液晶表示パネル41及びバックライト42が、図8に示すように、嵌入固定される。画像表示部4の開閉によって生じ液晶表示パネル41に伝わる衝撃は、キーパッド本体46により緩和され、液晶表示パネル41のガラス欠け等の破損を防止できる。
【0033】
キーパッド本体46には、図5に示すように、それぞれ、再生/一時停止、停止、早送り及び巻き戻し等の機能が割り当てられたキートップ46a,46b,46c,46dが設けられている。キートップ46a,46b,46c,46dは、画像表示部4の下カバー44に設けられた孔44a,44b,44c,44dから、図3に示すように外部に露出する。
【0034】
各キートップ46a,46b,46c,46dの裏面の略中央には、図7に示すように、接点46eが底面側に突出して設けられている。接点46eは、キーパッド本体46に導電性インキなどをスクリーン印刷することにより形成される。キートップ46a,46b,46c,46dが押圧力により変形すると、接点46eが基板43に接触し、回路パターンを短絡する。これにより、各キートップ46a,46b,46c,46dの操作が図示しないシステム制御回路に入力され、再生/一時停止、停止、早送り及び巻き戻し等の機能が実行される。
【0035】
さらに、キーパッド本体46には、図5に示すように、画像表示部4を閉じた時に生じる衝撃及び衝撃音を吸収するための緩衝部46f,46gが設けられている。緩衝部46f,46gは例えば、下カバー44を構成するエンジニアリングプラスチックなどの硬質材料より衝撃吸収効果が高いゴム状弾性部材から成型される。緩衝部46f,46gは、画像表示部4の下カバー44に設けられた孔44e,44fを貫通し、図3に示すように、本体1の側に露出する。画像表示部4を閉じる際に下カバー44より先に緩衝部46f,46gがビデオカメラ本体1に当接し、緩衝部46f,46gが衝撃を吸収し、衝撃音を軽減する。また、緩衝部46f,46gをキーパッド本体46と一体に成形することにより、緩衝部46f,46gが剥がれるといった問題を防ぐことができる。
【0036】
キーパッド本体46には更に、図4に示すように、画像表示部4を開くための指掛け部46hが設けられている。指掛け部46hは、画像表示部4の上カバー45の側面に設けられた切り欠き部45aから、図3に示すように、外部に露出する。指掛け部46hは、一般的に外装カバーに使用されるエンジニアリングプラスチックなどよりも摩擦係数の高いゴム状弾性材料で形成される。よって、指掛け部46hに指を掛けることで、指が滑り難くなり、画像表示部4を開くことが容易となる。
【0037】
以上説明したように、本実施例では、ゴム状弾性部材などから成型されたキーパッド本体46に、液晶表示パネル41を収納するための収納部46aを設け、液晶表示パネル41を嵌入固定する構成とした。一般的に外装カバーに使用されるエンジニアリングプラスチックに比べ衝撃吸収効果が高いゴム状弾性部材から成型されたキーパッド本体46が、液晶表示パネル41に伝わる衝撃を緩和する。これにより、液晶表示パネル41のガラス欠けなどの破損を防止できる。
【0038】
また、キーパッド本体46に、表示部4を閉じる時に生じる衝撃及び衝撃音を吸収する緩衝部46f,46gを設けると共に、緩衝部46f,46gを画像表示部4の下カバー44を貫通して外部に露出するようにした。よって、下カバー44より先に緩衝部46f,46gがビデオカメラ本体1に当たるので、緩衝部46f,46gが衝撃を吸収し、衝撃音を軽減する。さらに、緩衝部46f,46gをキーパッド本体46と一体で成形したので、緩衝部46f,46gが剥がれるといった問題を防ぐことができる。
【0039】
また、画像表示部4を開くために、キーパッド本体46に摩擦係数の高いゴム状弾性材料で形成される指掛け部46hを設け、画像表示部4の側面に露出させた。画像表示部4を開く際に指掛け部46hに指を掛けることで指が滑り難くなり、表示部4を開くことが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施例であるビデオカメラの正面方向(被写体側)から見た斜視図である。
【図2】本実施例の後方(撮影者側)から見た斜視図である。
【図3】本実施例の画像表示部を開いた状態を後方(撮影者側)から見た斜視図である。
【図4】本実施例の画像表示部の分解斜視図である。
【図5】別の方向からみた画像表示の分解斜視図である。
【図6】本実施例の画像表示部の表示面から見た平面図である。
【図7】図6におけるA−A断面図である。
【図8】本実施例における画像表示部の上カバーを取り外した状態の平面図である。
【図9】従来のビデオカメラにおける画像表示部を閉じた状態の斜視図である。
【図10】従来のビデオカメラにおける画像表示部を開いた状態の斜視図である。
【図11】従来のビデオカメラにおけるヒンジ機構をビデオカメラ本体に取り付けた状態を示す図である。
【図12】従来のビデオカメラにおけるヒンジ機構の分解斜視図である。
【図13】従来のビデオカメラにおける画像表示部の開閉動作におけるヒンジ機構の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ビデオカメラ本体
2 レンズ部
3 マイク部
4 表示部
5 ヒンジ機構
6 カセットカバー
7 オープンツマミ
8 ズームツマミ
9 フォトボタン
10 ファインダ
11 メニューボタン
12 メニューツマミ
13 ホワイトバランス設定ボタン
14 フォーカス設定ボタン
15 露出設定ボタン
16 露出ダイヤル
17 電源ダイヤル
18 トリガーボタン
41 液晶表示パネル
42 バックライト
43 基板
44 下カバー
45 上カバー
46 キーパッド本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示部を本体に対して開閉可能に結合するヒンジ機構を具備する撮像装置であって、
前記画像表示部が、表示パネルと、前記表示パネルを保持する弾性部材とを具備し、
前記弾性部材が、前記画像表示部を前記本体に対して閉じた状態で前記本体に当接するように露出することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記弾性部材が操作ボタンを形成することを特徴とした請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記弾性部材が、前記画像表示部を前記本体に対して開くための指掛け部を形成することを特徴とした請求項1又は2の何れか記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−270992(P2008−270992A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108815(P2007−108815)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】