説明

撮像装置

【課題】カメラヘッドを被撮像物の撮像領域の側方に配設した基台にアームにて保持して撮像する際の使い勝手の向上を図る。
【解決手段】撮像領域SAの上端側に配設されていた基台110を撮像領域SAの左方側にその位置を変えて配設する場合には、カメラヘッド150をヘッド側アーム160と共に第2アーム132に対して回動させる。こうした基台移動とカメラヘッド回動とにより、撮像装置100は、第1使用形態から第2使用形態へと推移し、第1使用形態での撮像から第2使用形態での撮像を可能とする。そして、第1使用形態から第2使用形態への推移に際して基台110の配設位置を撮像領域SAの上端側からその左方側に変えても、撮像領域SAの被撮像シートSTをその上方から撮像しているカメラの撮像視野での天地関係をこの被撮像シートSTに対して維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラヘッドに内蔵したカメラを撮像領域の被撮像物に向けて撮像する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の撮像装置は、被撮像物を載置するステージを有する形態と、こうしたステージを有しない形態とに大別され、後者の形態は小型・軽量で取扱が簡便である等の理由で種々提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−194884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献で提案された撮像装置は、被撮像物をテーブルや机等の上面に置き、被撮像物の撮像領域の側方に配設した基台からアームにてカメラヘッドを撮像領域の上方に保持している。こうして保持したカメラヘッドのカメラにて被撮像物を撮像する際、撮像ポイントを被撮像物において変更することがある。例えば、被撮像物の中心を撮像していた場合、その被撮像物の上下端側や側方側を撮像ポイントとするには、被撮像物を左右或いは上下にスライドさせる必要がある。また、大判や長尺のシートの被撮像物では、被撮像物より狭い撮像領域でしか撮像できないので、これら被撮像物にあっても左右或いは上下にスライドさせる必要がある。
【0005】
今、カメラの撮像領域とほぼ同じ大きさの被撮像物、例えばシートを机等の上面に載置した上で基台をシートの上端側に配設したとすると、この基台からアームにて保持されたカメラヘッドの撮像領域は、シートの全域となり、撮像ポイントはシート中心となる。この状態では、シートの左右には基台が位置しないことから、シートを左右にスライドさせることで、撮像ポイントをシート左右に亘って変えながら撮像できる。しかしながら、撮像ポイントをシートの上端側から下端側に掛けて変えながら撮像する場合には、シートはその上端側に配設済みの基台と干渉してスライドが制限されて撮像範囲が限られる。基台をシートの左方或いは右方に配設した場合は、シートは基台と干渉することなく上下にスライドできるので、シート上端側から下端側に掛けての撮像には支障はないものの、左方或いは右方へのスライドが制限されて左右方向での撮像範囲は限られる。大判や長尺のシートを撮像する場合も同様である。
【0006】
本発明は、上記した課題を踏まえ、撮像領域と干渉しない位置の基台にカメラヘッドをアームにて保持して撮像する際の使い勝手の向上を図ることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0008】
カメラヘッドに内蔵したカメラを撮像領域の被撮像物に向けて撮像する撮像装置であって、
前記撮像領域と干渉しない位置に配設される基台と、
該基台から立ち上がり、前記基台の側から前記撮像領域の上方に延びる基台側アームと、
前記カメラヘッドから前記カメラの光軸と交差して延びるヘッド側アームと、
前記基台側アームに前記カメラヘッドを保持するに当たり、前記基台が前記撮像領域と干渉しない異なる位置に配設位置を変えても、前記カメラの撮像視野での天地関係を前記撮像領域の前記被撮像物に対して維持して、前記基台側アームに前記ヘッド側アームを介して前記カメラヘッドを保持するヘッド保持手段とを備える
ことを要旨とする。
【0009】
上記構成の撮像装置は、撮像領域と干渉しない位置に配設される基台から基台側アームを立ち上げ、撮像領域の上方に延びた基台側アームに対してヘッド保持手段にてカメラヘッドをヘッド側アームを介して保持する。これにより、カメラヘッド内蔵のカメラは撮像領域にその上方から向い、撮像装置は撮像領域の被撮像物をカメラにてその上方から撮像する。そして、上記構成の撮像装置では、撮像領域の被撮像物をその上方から撮像しているカメラの撮像視野での天地関係を、基台が撮像領域と干渉しない異なる位置にその配設位置を変えても撮像領域の被撮像物に対して維持する。例えば、撮像領域の上端側に配設されている基台を撮像領域の側方側に配設しなおしても、撮像領域の被撮像物に対するカメラの撮像視野での天地関係は、基台が撮像領域上端側に配設されたときのままとなる。この結果、基台が撮像領域の上端側に位置していたために撮像領域の被撮像物の上端側へのスライドは制限されていた場合、基台の配設位置を撮像領域の側方側に変えれば、撮像領域の被撮像物の上端側にはもはや基台が存在しないので、上端側への被撮像物のスライドは制限を受けない。
【0010】
しかも、このように基台の配設位置が変わっても、被撮像物とカメラの撮像視野での天地関係とは元のままであるので、カメラの撮像画像の画像信号をそのまま出力しても撮像画像の天地が変わることはない。つまり、画像信号に回転調整を行うと言った画像処理が一切不要である。これらの結果、上記構成の撮像装置によれば、被撮像物をその上方からカメラで撮像する場合において、被撮像物における撮像ポイントや撮像範囲を種々変更でき、使い勝手の向上を図ることができる。加えて、画像処理を要しないことから、制御器機・回路の簡便化を図ることができる。
【0011】
以上説明した撮像装置では、種々の態様を採ることができる。例えば、前記基台側アームを、前記基台から立ち上がる第1アームと、該第1アームと重なる姿勢と前記撮像領域の上方に延びる姿勢とを取るよう前記第1アームに回動自在に軸支された第2アームとを備えるものとする。そして、前記ヘッド保持手段については、前記第2アームが前記撮像領域の上方に延びる姿勢を取る場合における前記第2アームの先端側上面で、前記ヘッド側アームを前記第2アームに対して回動自在に軸支するアーム軸支軸を備えるものとする。こうすれば、撮像領域の上方に延びる姿勢の第2アームに対して、カメラヘッドは、ヘッド側アームと共にアーム軸支軸の軸回りに回動する。つまり、基台の配設位置を撮像領域の周囲において変更した場合、この配設位置の変更に相当する分だけカメラヘッドをヘッド側アームと共にアーム軸支軸の軸回りに回動することで、撮像領域の被撮像物に対するカメラの撮像視野での天地関係を維持する。
【0012】
例えば、基台が撮像領域の上端側に配設されている場合、第2アームは撮像領域の上方において基台から撮像領域の下端側に向けて延び、カメラヘッドはヘッド側アームが第2アームに対して90度交差するよう保持されているとする。この場合には、既述したように被撮像物の上端側に向けたスライドが制限される。この状態から基台を撮像領域の側方側に配設しなおした場合には、第2アームは、撮像領域の上方において基台から撮像領域の側方側から延びるので、ヘッド側アームが第2アームと連続するようカメラヘッドを90度回動させれば、撮像領域の被撮像物に対するカメラの撮像視野での天地関係は、基台が撮像領域上端側に配設されたときのままとなる。このため、既述したように被撮像物の上端側へのスライドは制限を受けないばかりか、カメラヘッドにおけるカメラと基台との距離は、ヘッド側アームが第2アームに続いてと連続するよう基台から撮像領域の側方側から延びることで長くなる。よって、上記の態様では、被撮像物とその側方との基台との距離が広がる分だけ、被撮像物の左右方向のスライドの制限が広がり、使い勝手が向上する。
【0013】
また、装置未使用の際には、アーム軸支軸の軸回りにヘッド側アームを回動させて、ヘッド側アームを第2アームの上面に重なるようにし、その上で、この第2アームを基台から立ち上がった第1アームに重なるように回動できる。よって、上記各アームの重なりにより、装置未使用時の省スペース化を図ることができる。
【0014】
また、前記アーム軸支軸の軸回りに前記カメラヘッドが前記ヘッド側アームと共に回動する際に生じる摩擦力を調整して、該調整済みの摩擦力を前記ヘッド側アームに及ぼして前記カメラヘッドを前記ヘッド側アームと共に回動後の位置に保持するようにできる。こうすれば、撮像領域の周囲で配設位置を変更した基台に対してのカメラヘッドの位置関係が変わらないように、回動後のカメラヘッドを保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例の撮像装置100を第1使用形態にて表す斜視図である。
【図2】撮像装置100を第2使用形態にて表す斜視図である。
【図3】カメラヘッド軸支機構140を鉛直に切断して示す断面図である。
【図4】第1使用形態と第2使用形態との間における機器配置推移とカメラの撮像視野での天地関係推移とを関連付けて説明する説明図である。
【図5】装置未使用状態における機器収納の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、その実施例を図面に基づき説明する。図1は実施例の撮像装置100を第1使用形態にて表す斜視図、図2は撮像装置100を第2使用形態にて表す斜視図である。
【0017】
図示するように、撮像装置100は、基台110と、カメラ保持アーム130と、カメラヘッド150とを備える。基台110は、カメラヘッド150の保持状態においても安定するよう、所定の重量を有する筐体として形成されている。なお、この基台110は、本装置のオン・オフスイッチを含む種々のスイッチやメモリカードの装着機構等を有するが、これらは本発明の要旨と直接関係しないので、その説明は省略する。
【0018】
カメラ保持アーム130は、基台110の側の第1アーム131と、カメラヘッド150の側の第2アーム132とを備え、第1アーム131は、基台110から立ち上がって当該基台に固定されている。第2アーム132は、第1アーム131の上端において図示しない回動軸機構にて図中矢印Aで示すように、鉛直面内において回動するよう軸支されている。第2アーム132は、こうした回動により、図示する水平姿勢、即ち後述の撮像領域SAの上方に基台110の側から延びる姿勢と、第1アーム131に重なる姿勢とを取る。
【0019】
カメラヘッド150は、先端側に撮像用のカメラ(図示略)を内蔵し、このカメラの光軸Lと交差して延びるヘッド側アーム160を備える。カメラはズーミング可能なオートフォーカスカメラとして構成され、カメラヘッド150は、ヘッド側アーム160の末端側に、オートフォーカスボタン152とズームダイヤル154とを備える。ズームダイヤル154は、オートフォーカスボタン152を取り囲むよう設置され、使用者による正逆の回動操作に応じて使用者所望のズーム程度を決定する。オートフォーカスボタン152は、押圧スイッチとして構成され、通常はオートフォーカスオフとされており、装置使用者の押圧操作により、オートフォーカス動作が実行される。そして、カメラヘッド150は、図1や図2に示す姿勢(撮像領域の上方に延びた姿勢)の第2アーム132の先端側上面で、ヘッド側アーム160の末端側において軸支されている。図3はカメラヘッド軸支機構140を鉛直に切断して示す断面図である。
【0020】
図示するように、カメラヘッド軸支機構140は、ヘッド側アーム160と第2アーム132との間に介在し、第2アーム132の側にアーム側プレート141を備える。第2アーム132は、図における左右に分割されたカバー142、143を接合して備え、アーム側プレート141は、この両カバーにその上端側で固定されている。ヘッド側アーム160は、図における上下に分割される上カバー161と下カバー162を接合して備え、下カバー162の下端側に、回動補助パーツ163を固定して備える。回動補助パーツ163は、その中心にピンボス164を備え、当該ボスには、軸支軸部材166が位置決め装着され、図示しないボルトにて固定される。軸支軸部材166は、その中央に突出軸168を備え、その先端をナット170のネジ軸172とする。そして、この軸支軸部材166は、突出軸168をアーム側プレート141に形成された軸支穴174に嵌合させた上で、平座金176、皿バネ178、平座金180を介在させ、ナット170にてアーム側プレート141に固定される。これにより、ヘッド側アーム160は、第2アーム132に軸支軸部材166の突出軸168にて回動自在に軸支される。なお、第2アーム132の下端側には、平座金176や皿バネ178の組み込み、およびナット170の締め付けの作業のための開口144が形成されている。
【0021】
こうした構成により、カメラヘッド軸支機構140は、ナット170による皿バネ178の撓み代調整を経て、突出軸168が軸支穴174において回動する際の摩擦力、即ちカメラヘッド150がヘッド側アーム160と共に回動する際の摩擦力を調整する。このため、この調整済み摩擦力に抗する力をカメラヘッド150に及ぼせば、カメラヘッド150は、ヘッド側アーム160と共に第2アーム132の先端上面側において回動し、上記した力を解放した位置に留まり、第2アーム132に対して保持される。本実施例では、カメラヘッド軸支機構140は、第2アーム132に対するカメラヘッド150の回動位置を90度毎に規定するための節度感付与機構(図示略)を備える。この節度感付与機構は、図1に示すカメラヘッド150の回動位置と、図2に示すカメラヘッド150の回動位置と、図1と180度ずれた回動位置と、図2と180度ずれた回動位置の4箇所において、操作者にカメラヘッド150の回動操作の際の節度感を付与する。よって、操作者は、節度感の感知により回動操作を止めることで、上記したいずれの位置にもカメラヘッド150を回動させることができる。そして、カメラヘッド150は、上記したカメラヘッド軸支機構140により、回動後の位置に止め置かれる。
【0022】
以上説明した構成を有する本実施例の撮像装置100では、カメラヘッド軸支機構140によるカメラヘッド150の回動保持により、カメラヘッド150は、図1に示す第1使用形態と図2に示す第2使用形態のいずれをも取り得る。図4は第1使用形態と第2使用形態との間における機器配置推移とカメラの撮像視野での天地関係推移とを関連付けて説明する説明図である。
【0023】
第1使用形態(図4(A)参照)では、カメラヘッド150は、基台110から撮像領域の上方に延びた第2アーム132に対してヘッド側アーム160が90度交差して右方に延び、カメラにてその光軸Lを中心とした撮像領域SAを撮像する。この第1使用形態では、図示するように基台110は撮像領域SAの上端側に位置し、カメラの撮像視野での天地関係は、撮像領域SAに含まれる被撮像シートSTの図柄における上下関係と同じである。この場合、基台110の所定箇所、例えば基台前端からカメラヘッド150の光軸Lまでの距離LK1は撮像領域SAの上下幅の半分より長くなり、こうした距離LK1が確保できるよう、第2アーム132の長さが定められている。そして、この第1使用形態では、撮像領域SAの上端側に位置する基台110に干渉しないよう、被撮像シートSTを下方側、左右方向および斜め左右下方向にスライドさせつつ、撮像ポイントを変更できる。被撮像シートSTが長尺シートであっても同様である。
【0024】
第2使用形態(図4(B)参照)では、カメラヘッド150は、基台110から撮像領域の上方に延びた第2アーム132に対して、ヘッド側アーム160が第2アームから連続して延長するように延び、カメラにてその光軸Lを中心とした撮像領域SAを撮像する。この第2使用形態では、図示するように基台110は撮像領域SAの左方側に位置し、カメラの撮像視野での天地関係にあっては、撮像領域SAや被撮像シートSTに対するカメラヘッド150の位置関係に変更はないことから、第1使用形態と同様、撮像領域SAに含まれる被撮像シートSTの図柄における上下関係と同じである。この場合の基台110の前端からカメラヘッド150の光軸Lまでの距離LK2は、ヘッド側アーム160が第2アームから連続して延びた分だけ第1使用形態のLK1より広くなり、撮像領域SAの左右方向の幅と同じ程度とされている。こうした距離LK2が確保できるよう、第2アーム132およびヘッド側アーム160の長さが定められている。そして、この第2使用形態では、撮像領域SAの左方側に位置する基台110に干渉しないよう、被撮像シートSTを上下方向、右方向および斜め右上下方向にスライドさせつつ、撮像ポイントを変更できる。また、左方向および斜め左上下方向では、基台110と干渉しない範囲でスライドさせつつ、撮像ポイントを変更できる。被撮像シートSTが長尺シートであっても同様である。
【0025】
上記した第1使用形態から第2使用形態への推移は、撮像領域SAの上端側に配設されていた基台110を撮像領域SAの左方側にその位置を変えて配設し、これに伴い、カメラヘッド150をヘッド側アーム160と共に第2アーム132に対して回動させる。こうした基台移動とカメラヘッド回動とにより、撮像装置100は、第1使用形態から第2使用形態へと推移し、第1使用形態での撮像から第2使用形態での撮像を可能とする。そして、本実施例の撮像装置100では、第1使用形態から第2使用形態への推移に際して基台110の配設位置を撮像領域SAの上端側からその左方側に変えても、撮像領域SAの被撮像シートSTをその上方から撮像しているカメラの撮像視野での天地関係をこの被撮像シートSTに対して維持する。この結果、図4(A)に示す第1使用形態では、撮像領域SAの上端側に位置する基台110との干渉から被撮像シートSTを上方側にスライドさせて撮像ポイントを変更できないとしても、図4(B)の第2使用形態への上記した基台配設位置変更とカメラヘッド回動とにより、被撮像シートSTの上方側へのスライドが可能となり撮像ポイントを被撮像シートSTの下端側に容易に変更できる。しかも、この際には被撮像シートSTとカメラの撮像視野での天地関係とは元のままであるので、カメラの撮像画像の画像信号をそのまま出力しても撮像画像の天地が変わることはない。つまり、本実施例の撮像装置100によれば、画像信号に回転調整を行うと言った画像処理が一切不要であるので、撮像領域SAの被撮像シートSTをその上方からカメラで撮像する場合において、撮像ポイントや撮像範囲を種々変更でき、使い勝手が向上する。加えて、画像処理を要しないことから、制御器機・回路の簡便化を図ることができる。
【0026】
また、本実施例の撮像装置100では、被撮像シートSTに対するカメラの撮像視野での天地関係の維持を、基台110の配置変え動作と、カメラヘッド150の回動動作で済ませるので、簡便である。
【0027】
また、本実施例の撮像装置100では、第2アーム132の先端側上面に、ヘッド側アーム160を介してカメラヘッド150を回動自在に軸支したので、図4(B)に示す第2使用形態では、基台前端から光軸Lまでの距離LK2を長くできる。このため、この第2使用形態では、被撮像シートSTの基台側スライド、図4における左方側スライドについては、被撮像シートSTが基台110に干渉するまで許容される。よって、被撮像シートSTの左方側スライド範囲が確保できるため、撮像ポイントも被撮像シートSTの右方側まで広がり、使い勝手が高まる。しかも、本実施例では、第2アーム132とヘッド側アーム160の長さを調整することで、基台前端から光軸Lまでの距離LK2を撮像領域SAの左右幅とほぼ同じにした。よって、光軸Lが被撮像シートSTの右端側に位置するまで撮像ポイントを拡張でき、より好ましい。
【0028】
更に、第2アーム132の先端側上面にヘッド側アーム160を介してカメラヘッド150を回動自在に軸支したことから、次の利点がある。図5は装置未使用状態における機器収納の様子を示す説明図である。本実施例の撮像装置100では、第1アーム131の上端での第2アーム132の軸支、および第2アーム132の先端側上面でのヘッド側アーム160の回動軸支が可能であることから、装置未使用の際には、図5に示すように、ヘッド側アーム160を回動させて第2アーム132の上面に重なるようにし、その上で、この第2アーム132を基台110から立ち上がった第1アーム131に重なるように回動できる。こうすれば、上記各アームの重なりにより、装置未使用時の省スペース化を図ることができる。しかも、カメラヘッド150の内蔵するカメラを第2アーム132にて隠すので、カメラレンズの破損防止の上からも望ましい。
【0029】
また、カメラヘッド軸支機構140によりカメラヘッド150をヘッド側アーム160を介して回動保持するに当たっては、皿バネ178の撓み代調整を経た摩擦力調整により、ヘッド側アーム160の回動および回動後の位置でのカメラヘッド150の保持を容易に行え、利便性が高まる。
【0030】
本発明は上記した実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の態様で実施可能である。例えば、上記説明した第2使用形態では、基台110は撮像領域SAの左方側に配設されるが、基台110を撮像領域SAの下端側とすることもできる。この場合、基台110が撮像領域SAの下端側に配設した形態を、第3使用形態とすることもできる。そして、これら使用形態となるよう基台110の配設位置を撮像領域SAに対して変えても、既述したようにカメラの撮像視野での天地関係を維持できる。
【0031】
また、図4(A)では、カメラヘッド150が撮像領域SAの上端側に配設された基台110に対して右側に位置する場合を第1使用形態としたが、図4(A)のカメラヘッド150をこの基台110に対して左側に位置する場合を第1使用形態とすることもできる。この場合には、図4(A)のカメラヘッド150を撮像領域SAの上端側に配設された基台110に対して左側に位置する場合を第1使用形態と仮定した場合において、カメラヘッド150のカメラは、撮像領域SAの被撮像シートSTに対して正対し、この場合におけるカメラの撮像視野での天地関係が撮像領域SAに含まれる被撮像シートSTの図柄における上下関係と同じとなるように、画像出力回路を形成する。こうすれば、図4(A)のカメラヘッド150が撮像領域SAの上端側に配設された基台110に対して左側に位置する第1使用形態と、基台110を撮像領域SAの右方側に配設した使用形態(第2使用形態)と、基台110を撮像領域SAの下端側に配設した使用形態(第2使用形態または第3使用形態)とにおいて、基台110の配設位置が変わってもカメラの撮像視野での天地関係を維持できる。
【0032】
また、上記の実施例では、カメラ保持アーム130に対してカメラヘッド150を保持するに当たり、第2アーム132の上面側にヘッド側アーム160を介してカメラヘッド150を回動自在に軸支したが、第2アーム132の下面側にヘッド側アーム160を介してカメラヘッド150を回動自在に軸支することもできる。
【符号の説明】
【0033】
100…撮像装置
110…基台
130…カメラ保持アーム
131…第1アーム
132…第2アーム
140…カメラヘッド軸支機構
141…アーム側プレート
142…カバー
144…開口
150…カメラヘッド
152…オートフォーカスボタン
154…ズームダイヤル
160…ヘッド側アーム
161…上カバー
162…下カバー
163…回動補助パーツ
164…ピンボス
166…軸支軸部材
168…突出軸
170…ナット
172…ネジ軸
174…軸支穴
176…平座金
178…皿バネ
180…平座金
L…光軸
SA…撮像領域
ST…被撮像シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラヘッドに内蔵したカメラを撮像領域の被撮像物に向けて撮像する撮像装置であって、
前記撮像領域と干渉しない位置に配設される基台と、
該基台から立ち上がり、前記基台の側から前記撮像領域の上方に延びる基台側アームと、
前記カメラヘッドから前記カメラの光軸と交差して延びるヘッド側アームと、
前記基台側アームに前記カメラヘッドを保持するに当たり、前記基台が前記撮像領域と干渉しない異なる位置に配設位置を変えても、前記カメラの撮像視野での天地関係を前記撮像領域の前記被撮像物に対して維持して、前記基台側アームに前記ヘッド側アームを介して前記カメラヘッドを保持するヘッド保持手段とを備える
撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記基台側アームは、前記基台から立ち上がる第1アームと、該第1アームと重なる姿勢と前記撮像領域の上方に延びる姿勢とを取るよう前記第1アームに回動自在に軸支された第2アームとを備え、
前記ヘッド保持手段は、前記第2アームが前記撮像領域の上方に延びる姿勢を取る場合における前記第2アームの先端側で、前記ヘッド側アームを前記第2アームに対して回動自在に軸支するアーム軸支軸を備える
撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置であって、
前記ヘッド保持手段は、
前記アーム軸支軸の軸回りに前記カメラヘッドが前記ヘッド側アームと共に回動する際に生じる摩擦力を調整して、該調整済みの摩擦力を前記ヘッド側アームに及ぼして前記カメラヘッドを前記ヘッド側アームと共に回動後の位置に保持する調整部を備える
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−175809(P2010−175809A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18022(P2009−18022)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000000424)株式会社エルモ社 (104)
【Fターム(参考)】