説明

撮像装置

【課題】フラッシュ等の外部閃光下において発生する白帯状の妨害の有無を検出するために、発生前後の画像の評価値を比較して判断するが、外部閃光は任意のタイミングで発光するため、予め発生箇所を特定して評価値を生成するのは困難である。
【解決手段】撮像装置は、被写体から入射する光信号を電気信号に変換し、第1の撮像信号を出力する撮像部1と、第1の撮像信号の隣接する2ラインの同一水平位置における画素の信号成分を比較し、比較結果が所定の条件を満たす画素の1ラインの有効画素数に対する割合に基づき、外部閃光の影響の有無を判定する判定部5と、を備えることにより、回路規模の増大を招くことなく、どのラインから白帯状の妨害が発生しても検出可能なため、外部閃光の影響の有無を確実に判定できる撮像装置を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチルカメラ等のフラッシュがビデオ用の動画の撮影時に及ぼす白帯状の妨害を緩和できる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小型、低消費電力、高速撮像等の特徴をもつCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)撮像素子を用いた撮像装置が、民生用ビデオカメラ及び業務用ビデオカメラの分野で躍進してきている。
【0003】
CMOS撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device)に比べて種々の特徴をもつが、フォトダイオード(Photo Diode:以降PDと記載)の電荷読み出しがCCDのように全画素で同一タイミングでの読出し(所謂グローバルシャッター)でなく、ライン(画素)単位で読出しタイミングがずれていく(所謂ローリングシャッター)為、CCDにない弊害も発生する。それは読出しタイミングがずれる為、各画素の蓄積期間のタイミングがずれることに起因する。
【0004】
その問題の一つに、スチルカメラ等のフラッシュ光が焚かれている被写体をCMOS撮像素子のビデオカメラで撮像すると、白帯状の妨害が発生するという現象が挙げられる。白帯状の妨害とは、ここでは撮像した画像のあるフレームの一部だけがフラッシュ光の影響を受け、途中のラインから上、または下だけが明るくなる現象を指す。
【0005】
以下その現象について、図6および図7を用いて説明する。
【0006】
図6は、ビデオカメラとスチルカメラが混在する撮影風景、例えば記者会見等の撮影風景を示す図である。
【0007】
図6は、ビデオカメラ100と、その撮像信号を映すモニター101、スチルカメラ102、103、および被写体104より構成される撮影風景を示している。ビデオカメラ100はCMOS撮像素子を用いている。
【0008】
このような撮影風景においてスチルカメラ102、103でフラッシュが焚かれると、ビデオカメラ100の撮像信号を映すモニター101の画面に白帯状の妨害が発生する。以下、その原理を説明する。
【0009】
図7は、ビデオカメラ100の蓄積期間(露光期間)と、読出し、走査期間を模式化した図である。図7において、画面を構成する各走査ラインの電荷蓄積期間およびその電荷を読み出すための走査期間を、時間軸を横軸に取って表している。走査ラインの総数は、HDカメラを想定して1125ラインとする。また、モニター画面0期間とは、フレーム0の撮像信号をモニター画面等に出力する期間であり、ここでは1/60秒とする。モニター画面1期間等も同様である。
【0010】
例えば画面の一番上のラインであるライン1は、ちょうどモニター画面0期間の開始タイミングと共にフレーム1のPD蓄積を開始し、1フレーム期間、すなわちモニター画面0期間の終了タイミングと共にPD蓄積を終了する。蓄積されたライン1のPD信号はこの直後に読み出しの走査が開始されると同時に、次のフレーム2のPD蓄積が開始される。PD信号の読み出し走査の期間は、1フレーム期間(1/60秒)に1125本のラインを走査することから、1/60/1125≒1.48×10-5秒となる。
【0011】
次にライン2は、ライン1のフレーム0に対するPD読み出し走査の期間終了タイミングにあわせてPD蓄積を開始する。すなわち、ライン2はライン1に対してPD読み出し走査期間分遅れてPD蓄積および読み出しの動作を行うことになる。ライン3以降も同様となる。
【0012】
このようにローリングシャッター方式においては、1フレームを構成する各ラインの蓄積期間が図に示すように上から下へと少しずつずれている。これに伴い、各ラインの走査期間、すなわちPD信号の読み出しタイミングも図のように各ラインの蓄積期間の直後となり、ライン1のPD信号を読み出したら次にライン2のPD信号を読み出すというように、順次行われる。
【0013】
ここで図7に示すように、モニター画面1期間の中央付近でフラッシュが焚かれると、フレーム1後半の蓄積期間とフレーム2前半の蓄積期間にフラッシュの明るい光が影響する。モニター画面1の期間に光ったフラッシュは図7に示す様に、ラインXおよびラインYでフレーム1とフレーム2の蓄積、読出しタイミングを跨ぐ。つまりフレーム1ではラインXより前のラインa1の部分はフラッシュ光の影響は受けない(蓄積期間はすでに終わっている)。ラインXとラインYの間の期間のラインa2部分は、フレーム1ではフラッシュ光の影響を受け、徐々に蓄積光量が増える。そしてラインY以降のラインa3の部分ではフラッシュ光の全光量の影響を受ける。フレーム2では逆に、ラインXより前のラインb1の部分では、フラッシュ光の全光量の影響を受け、ラインXとラインYの間の期間のラインb2の部分は徐々にフラッシュ光の影響が小さくなる。そして、ラインY以降のラインb3の部分ではまだ蓄積期間が始まっていないので、フラッシュ光の影響は受けない。
【0014】
故に、フラッシュ光の発光期間が一瞬であり、a2、b2部分のトランジェント期間が存在しないものとするとモニター画面は、概略として図7の下部に示すようにモニター画面1(フレーム1の撮像信号)の下半分が明るく、そしてモニター画面2(フレーム2の撮像信号)の上半分が明るくなり、これが白帯状の妨害として映し出される。CCDによる撮像装置の場合は、CMOSとは異なり1フレームを構成する全ラインの蓄積タイミングが同じであるためにこのような問題は発生せず、フラッシュ発光時には全体が明るくなった自然な画像が映し出されていた。以上のように、CMOS撮像装置では、フラッシュ光等の外部の閃光が入ると、撮像信号に白帯状の妨害が発生するという課題があった。
【0015】
この課題を解決する従来の撮像装置として、特許文献1に記載された撮像装置がある。
【0016】
図8は、従来の撮像装置の構成例を示すブロック図である。この撮像装置は所謂静止画像を主に記録するデジタルスチルカメラである。図8において、撮像装置は、撮像部113、画像処理部114、記録表示処理部116、バッファ117、評価部120、記憶部121および制御部123を備えている。
【0017】
従来の撮像装置では、ユーザの操作に応じて撮像部113により静止画像または動画像が撮像された場合において、撮像された画像は画像処理部114にて所定の画像処理が施された後、記録表示処理部116および評価部120に供給される。記録表示処理部116ではこの画像をバッファ117にバッファリングし、評価部120では検波回路によりこの画像に対する評価値を生成して制御部123に供給し、制御部123はこの評価値を記憶部121に一時的に記憶させる。制御部123の演算回路ではこの評価値と記憶部121に既に記憶されていた評価値、即ち、1フレーム前の画像から生成された評価値との差分値を算出する。そしてこの差分値が予め設定されている基準値以上であれば、外部閃光による悪影響を受けた画像と判断し、基準値未満であれば外部閃光による影響がない画像と判断する。その結果に応じて制御部123は、撮像装置の各部を制御し、外部の閃光による悪影響を受けた画像と判断したらその画像を排除し、外部の閃光による悪影響を受けていない画像であればその画像を出力させることにより、外部の閃光による白帯状の妨害の課題を解決している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2007−306225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記従来の撮像装置では、撮像された画像の評価値として例えば全画面の輝度レベルの平均値を算出する方法が考えられる。その場合、撮像装置は、評価部にて順次フレーム毎に輝度信号を積算して平均化した平均輝度レベル値を、制御部123を介して記憶部121に一時的に記憶させておき、次のフレームの画像が入力されたタイミングで同様に平均輝度レベルを算出して、記憶部121に記憶されている前のフレームの平均輝度レベルと比較することで、外部閃光による影響の有無を判断する。
【0020】
しかしながらこの方法では、画面の下部のわずかな部分、仮に最下位ラインにのみに外部閃光の影響がある場合には、全画面の平均輝度レベルは、外部閃光の影響のないフレームの平均輝度レベルと明確な差異は見られず、外部閃光の影響の判断をするのは困難である。
【0021】
また、撮像された画像の評価値として例えば画面の一部分のみの輝度レベルの平均値を算出する場合、外部閃光の影響は任意のライン以降に発生するため、どの部分の平均輝度レベルを算出すべきかを事前に特定するのは困難である。また、前のフレームの画像を記憶しておき、外部閃光の影響が発生した時点で平均輝度レベルを算出すべき部分を決定して、前のフレームと現在のフレームで評価値を比較することは可能であるが、その場合は前のフレームを記憶しておくフレームメモリなどが必要となり回路規模の増大を招くことになる。
【0022】
さらに従来の撮像装置では、全画面もしくは画面の一部分のいずれの平均輝度レベルを算出する場合であっても、被写体の動きによる影響を受けやすい。例えば、前のフレームでは存在しなかった高輝度の被写体が現在のフレームに入り込んだ場合にも、全画面もしくは画面の一部分の平均輝度レベルは急激に増加するため、外部閃光の発光があったものと誤検出をする可能性が高い。
【0023】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、回路規模の増大を招くことなく、任意のタイミングで発光される外部閃光による撮像信号への影響の有無を確実に判断することが可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決するために、撮像装置は、被写体から入射する光信号を電気信号に変換し、第1の撮像信号を出力する撮像部と、前記第1の撮像信号の隣接する2ラインの同一水平位置における画素の信号成分を比較し、比較結果が所定の条件を満たす画素の1ラインの有効画素数に対する割合に基づき、外部閃光の影響の有無を判定する判定部と、を備える。
【0025】
これにより、現在のラインと直前のラインの画素の信号成分を比較すれば良いためフレームメモリなどを必要とせず、簡単な回路構成で実現でき、隣接する2ラインの撮像タイミングの時間差は少ないため被写体の種類や動きによる影響を抑えることができ、外部閃光が発光されるタイミングによってどのラインから影響があった場合にも確実に外部閃光の影響の有無を判定することができるという作用を有する。
【発明の効果】
【0026】
以上のように上記の構成の撮像装置は、任意のタイミングで発光される外部閃光に対して、隣接する2ラインを監視するラインメモリなどにより構成することができ、少ない遅延量で外部閃光の影響の有無を判定できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施の形態1における撮像装置の概略構成を説明する図
【図2】実施の形態2における撮像装置の概略構成を説明する図
【図3】CMOS撮像素子を用いた撮像装置における外部閃光による撮像信号への影響を説明する図
【図4】外部閃光により隣接する2ラインの同一水平画素位置の画素の輝度レベルの増加を示す図
【図5】横長の高輝度被写体を外部閃光として誤検出する例を示す図
【図6】外部閃光により撮像信号に妨害が発生し得る撮影シーンを説明する図
【図7】CMOS撮像素子を用いた撮像装置における外部閃光による白帯状の妨害発生原理を説明する図
【図8】従来の撮像装置の概略構成を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における撮像装置の概略構成を示す図である。
【0030】
図1に示す撮像装置は、撮像部1と、ラインメモリ2と、比較部3と、個数カウンタ4と、判定部5とを有する。
【0031】
図3は撮像中にスチルカメラのフラッシュなどの外部閃光が発光された場合の撮像信号および表示画像への影響を示す図である。
【0032】
図3に示すように、M番目のフレームを撮像している途中に外部閃光が発光された場合には、撮像部1から出力される撮像信号にはM−1番目のフレームの画像の下部およびM番目のフレームの画像の上部に白帯状の妨害が発生する。図3においてM−1番目のフレームでは、m−1ライン目までは外部閃光の影響を受けず、mライン目以降は外部閃光の影響を受け、M番目のフレームでは、m−1ライン目までは外部閃光の影響を受け、mライン目以降は外部閃光の影響を受けないものとする。
【0033】
図4は図3においてM−1番目のフレームのラインmの各画素の輝度レベルが、ラインm−1の同じ水平画素位置の画素よりも増加している様子を示す図である。
【0034】
撮像部1はCMOS等の撮像素子で構成され、被写体を撮像して水平画素数N(Nは正整数)の第1の撮像信号を出力する。
【0035】
ラインメモリ2は、第1の撮像信号を入力とし、1水平期間遅延させて第2の撮像信号として出力する。
【0036】
比較部3は、水平位相が合った第1の撮像信号および1ライン前の第2の撮像信号の各画素を順次入力され、両者の輝度レベルLv,hおよびLv−1,hを順次比較する。ここでvおよびv−1はライン位置、hは水平画素位置を表すものとする。そして、第1の撮像信号の輝度レベルの方が第2の撮像信号よりも大きく、その差が予め設定した所定量THよりも大きい場合、すなわち
(Lv,h)−(Lv−1,h)>TH (1)
を満たす場合には、ラインv、水平画素位置hの画素については垂直方向に輝度レベルの急激な増加があったものとしてトリガパルスを発生させる。この処理を全ての水平画素位置の画素に対して行う。
【0037】
個数カウンタ4は、毎ラインの開始時にリセットされ、比較部3が発生するトリガパルスが入力される毎にカウントアップして、1ラインの中で(1)式の条件を満たす画素数をカウントし、毎ラインの終了時のカウント数CNTを出力する。
【0038】
判定部5は、個数カウンタ4によりカウントされた(1)式を満たす画素数CNTが1ラインの有効画素数に対して占める割合から、外部閃光の影響があるか否かを判定する。1ラインの有効画素数Nは予め分かっているものとして、例えば有効画素数の15/16以上の画素が(1)式を満たすか否かを判定、すなわち、
CNT≧(15/16)N (2)
を満たすか否かを判定し、満たしていれば検出フラグを立てる。
【0039】
本実施の形態の撮像装置の各部は以上のように動作し、図3の場合には、M−1番目のフレームにおいて、mライン目で図4に示すように輝度レベルが急激に増加して(1)式、すなわち、
(Lm,h)−(Lm−1,h)>TH
を満たす画素が大多数を占め、その結果、個数カウンタ4のカウント数CNTが(2)式を満たすことになり、検出フラグを立てることにより外部閃光の影響を示す。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、同一フレーム内の隣接する2ライン間の同一水平位置の画素の輝度レベルを比較し、その差が所定量を超える画素数が、1ラインの有効画素数に対して占める割合が所定の割合を超える場合に、外部閃光の影響があったと判断することにより、遅延を発生させることなく、外部閃光の影響の有無を判断することができる。
【0041】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2における撮像装置の概略構成を示す図である。
【0042】
図2に示す撮像装置は、撮像部1と、ラインメモリ2と、比較部30と、個数カウンタ4と、判定部50とを有する。
【0043】
撮像部1、ラインメモリ2および個数カウンタ4は、実施の形態1の撮像装置における各部と同様であり、説明を省略する。
【0044】
比較部30は、水平位相が合った第1の撮像信号および1ライン前の第2の撮像信号の各画素を順次入力され、両者の輝度レベルLv,hおよびLv−1,hを順次比較する。ここでvおよびv−1はライン位置、hは水平画素位置を表すものとする。そして、第1の撮像信号の輝度レベルの方が第2の撮像信号よりも小さいか、もしくは、大きくてもその差が予め設定した所定量TH以下である場合、すなわち
(Lv,h)−(Lv−1,h)≦TH (3)
を満たす場合には、ラインv、水平画素位置hの画素については垂直方向に輝度レベルの急激な増加が無かったものとしてトリガパルスを発生させる。この処理を全ての水平画素位置の画素に対して行う。
【0045】
判定部50は、個数カウンタ4によりカウントされた(3)式を満たす画素数CNTが1ラインの有効画素数に対して占める割合から、外部閃光の影響があるか否かを判定する。1ラインの有効画素数Nは予め分かっているものとして、例えば有効画素数の1/16以下の画素が(3)式を満たすか否かを判定、すなわち、
CNT≦(1/16)N (4)
を満たすか否かを判定し、満たしていれば大多数の画素については垂直方向に輝度レベルの急激な増加があったものとして検出フラグを立てる。
【0046】
本実施の形態の撮像装置の各部は以上のように動作し、図3の場合には、M−1番目のフレームにおいて、mライン目で図4に示すように輝度レベルが急激に増加して(3)式、すなわち、
(Lm,h)−(Lm−1,h)≦TH
を満たす画素が殆ど存在せず、その結果、個数カウンタ4のカウント数CNTが(4)式を満たすことになり、検出フラグを立てることにより外部閃光の影響を示す。
【0047】
本実施の形態の撮像装置は、実施の形態1の場合と比べると、(4)式の右辺を導出するために1ラインの有効画素数Nをビットシフトするだけでよく、より簡単な回路構成とすることができる。
【0048】
(実施の形態3)
実施の形態3における撮像装置の概略構成は、図1に示す実施の形態1における撮像装置の概略構成と同様である。図1において、撮像部1、ラインメモリ2、比較部3および個数カウンタ4は、実施の形態1の撮像装置における各部と同様であり、説明を省略する。本実施の形態において、判定部5の動作が実施の形態1と異なり、以下相違点について説明する。
【0049】
判定部5は、個数カウンタ4によりカウントされた(1)式を満たす画素数CNTが予め設定した所定値n個より多いか否かにより、外部閃光の影響があるか否かを判定する。すなわち、
CNT≧n (5)
を満たすか否かを判定し、満たしていれば検出フラグを立てる。
【0050】
本実施の形態の撮像装置の各部は以上のように動作し、図3の場合には、M−1番目のフレームにおいて、mライン目で図4に示すように輝度レベルが急激に増加して(1)式、すなわち、
(Lm,h)−(Lm−1,h)>TH
を満たす画素が大多数を占め、その結果、個数カウンタ4のカウント数CNTが(5)式を満たすことになり、検出フラグを立てることにより外部閃光の影響を示す。
【0051】
(実施の形態4)
実施の形態4における撮像装置の概略構成は、図2に示す実施の形態2における撮像装置の概略構成と同様である。図2において、撮像部1、ラインメモリ2、比較部30および個数カウンタ4は、実施の形態2の撮像装置における各部と同様であり、説明を省略する。本実施の形態において、判定部50の動作が実施の形態2と異なり、以下相違点について説明する。
【0052】
判定部50は、個数カウンタ4によりカウントされた(3)式を満たす画素数CNTが予め設定した所定値n個より少ないか否かにより、外部閃光の影響があるか否かを判定する。すなわち、
CNT≦n (6)
を満たすか否かを判定し、満たしていれば検出フラグを立てる。
【0053】
本実施の形態の撮像装置の各部は以上のように動作し、図3の場合には、M−1番目のフレームにおいて、mライン目で図4に示すように輝度レベルが急激に増加して(3)式、すなわち、
(Lm,h)−(Lm−1,h)≦TH
を満たす画素が殆ど存在せず、その結果、個数カウンタ4のカウント数CNTが(6)式を満たすことになり、検出フラグを立てることにより外部閃光の影響を示す。
【0054】
実施の形態1乃至4において、例えば、図5(a)に示すような横長の高輝度被写体が存在する場合に、外部閃光の発光があったものと誤検出する可能性はあるが、これは横長の高輝度被写体のエッジが撮像素子の走査線とほぼ一致する場合であり、図5(b)のように、少しでも走査線に対して傾いている場合には検出されないため、誤検出の可能性は低いと考えられる。
【0055】
以上のように本実施の形態1乃至4によれば、常に隣接する2ラインの水平位置が同じ各画素の輝度レベルを比較するため、フレームメモリなどを必要とせず、簡単な回路構成で実現でき、外部閃光が発光されるタイミングによってどのラインから影響があった場合にも確実に外部閃光の影響の有無を判定することができる。
【0056】
以上のように本実施の形態によれば、同一フレーム内の隣接する2ライン間で外部閃光の影響の有無を判定できるため撮像装置のアイリスなどの設定条件に左右されず、また前のフレームの評価値が不要なことから外部閃光の影響の有無の判定にフレーム遅延が発生しない。
【0057】
なお、撮像装置が原色信号G(緑)、B(青)およびR(赤)の3チャンネルの撮像素子で構成するなど複数の撮像素子を搭載する場合には、各々のチャンネルに対して個別に本実施の形態1乃至4の処理を適用し、全てのチャンネルにおいて同じラインで検出フラグが立った場合のみ外部閃光の影響があったものと判断するようにすれば、より誤検出の可能性を抑制することができる。
【0058】
なお、単発光の外部閃光の影響によりM−1番目のフレームにおいて輝度レベルが増加するラインと、M番目のフレームにおいて輝度レベルが減少するラインは同一であるため、本実施の形態1乃至4のように輝度レベルの増加するラインを検出した上で、同様な方法で次フレームにおける輝度レベルの減少についても検出して、両者のラインの一致を判定することにより、より誤検出の可能性を抑制することができる。
【0059】
なお、本実施の形態1乃至4において、各ラインの評価値を撮像信号の輝度レベルとしたが、外部閃光の影響の有無により変化するものであれば、例えば撮像信号の色成分や周波数成分およびSN比(Signal to Noise Ratio)など、他の信号成分や値を評価値としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本実施の形態にかかる撮像装置は、近年ビデオカメラでも使われるようになってきたCMOS撮像素子を用いた撮像装置に特有の、フラッシュ等が焚かれた被写体を撮影することにより発生する白帯状の妨害を検出して補正する撮像装置として有用である。
【符号の説明】
【0061】
1、113 撮像部
2 ラインメモリ
3、30 比較部
4 個数カウンタ
5、50 判定部
100 ビデオカメラ
101 モニター
102、103 スチルカメラ
104 被写体
114 画像処理部
116 記録表示処理部
117 バッファ
120 評価部
121 記憶部
123 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体から入射する光信号を電気信号に変換し、第1の撮像信号を出力する撮像部と、
前記第1の撮像信号の隣接する2ラインの同一水平位置における画素の信号成分を比較し、比較結果が所定の条件を満たす画素の1ラインの有効画素数に対する割合に基づき、外部閃光の影響の有無を判定する判定部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記第1の撮像信号を順次記憶して前記第1の撮像信号の1ライン前の撮像信号を第2の撮像信号として出力するラインメモリと、
前記第1の撮像信号の各画素と同一水平位置の前記第2の撮像信号の各画素との信号成分を各々比較し、所定の条件を満たす前記第1の撮像信号の画素数を1ライン毎にカウントする個数カウンタと、
を備え、
前記判定部は、
前記第1の撮像信号および前記第2の撮像信号がラインmおよびラインm−1であるタイミングで前記個数カウンタのカウント値が1ラインの有効画素数に対して占める割合を算出し、算出した割合に基づき、ラインmから外部閃光の影響があると判定する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記個数カウンタは、
前記第1の撮像信号の各画素と同一水平位置の前記第2の撮像信号の各画素との輝度レベルを各々比較して、前記第2の撮像信号よりも輝度レベルが所定量より大きい前記第1の撮像信号の画素数を1ライン毎にカウントし、
前記判定部は、
前記第1の撮像信号および前記第2の撮像信号がラインmおよびラインm−1であるタイミングで前記個数カウンタのカウント値が1ラインの有効画素数に対して占める割合が所定割合以上である場合にラインmから外部閃光の影響があると判定する
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記個数カウンタは、
前記第1の撮像信号の各画素と同一水平位置の前記第2の撮像信号の各画素との輝度レベルを各々比較して、前記第2の撮像信号よりも輝度レベルが所定量以下の前記第1の撮像信号の画素数を1ライン毎にカウントし、
前記判定部は、
前記第1の撮像信号および前記第2の撮像信号がラインmおよびラインm−1であるタイミングで前記個数カウンタのカウント値が1ラインの有効画素数に対して占める割合が所定割合以下である場合にラインmから外部閃光の影響があると判定する
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記個数カウンタは、
前記第1の撮像信号の各画素と同一水平位置の前記第2の撮像信号の各画素との輝度レベルを各々比較して、前記第2の撮像信号よりも輝度レベルが所定量より大きい前記第1の撮像信号の画素数を1ライン毎にカウントし、
前記判定部は、
前記第1の撮像信号および前記第2の撮像信号がラインmおよびラインm−1であるタイミングで前記個数カウンタのカウント値が所定値以上となる場合にラインmから外部閃光の影響があると判定する
請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記個数カウンタは、
前記第1の撮像信号の各画素と同一水平位置の前記第2の撮像信号の各画素との輝度レベルを各々比較して、前記第2の撮像信号よりも輝度レベルが所定量以下の前記第1の撮像信号の画素数を1ライン毎にカウントし、
前記判定部は、
前記第1の撮像信号および前記第2の撮像信号がラインmおよびラインm−1であるタイミングで前記個数カウンタのカウント値が所定値以下となる場合にラインmから外部閃光の影響があると判定する
請求項1又は2に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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