撮像装置
【課題】夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供すること。
【解決手段】赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データをダイナミックレンジ圧縮して赤外波長成分を含む輝度信号を生成し、原画像データから可視波長成分の色差信号を生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【解決手段】赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データをダイナミックレンジ圧縮して赤外波長成分を含む輝度信号を生成し、原画像データから可視波長成分の色差信号を生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に広ダイナミックレンジな原画像データを画像処理してカラー画像を生成する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な線形の光電変換特性を有する撮像素子は、そのダイナミックレンジが狭いために、通常の被写体であっても、暗部あるいは明部の輝度分布が正確に撮像されない。また、対数変換型の光電変換特性を有する撮像素子は、通常の被写体に対しては十分広いダイナミックレンジを有するが、低輝度側の感度に難点がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示すように、入射光量に応じて線形特性と対数特性との2つの光電変換特性(以下、リニアログ特性と言う)を有する、線形対数変換型撮像素子(以下、リニアログセンサと言う)が知られている。リニアログセンサによれば、低輝度側を感度の高い線形特性で撮像し、高輝度側をダイナミックレンジの広い対数特性で撮像することで、感度と広ダイナミックレンジとを両立させることができる。
【0004】
あるいは、例えば特許文献2に示すように、線形の光電変換特性を有する撮像素子を用いて、露出時間を変えて撮像された画像を合成することで、ダイナミックレンジの広い画像を得る方法が知られている。その他に、ニー特性と呼ばれる入射光量によって傾きの異なる折れ線形の線形の光電変換特性を有するセンサも提案されている。
【0005】
一方、例えば非特許文献1に示したように、自動車に近赤外カメラを搭載し、夜間の歩行者や前方車両等をモニタに映し出す所謂ナイトビュー機能が開発されている。しかし、近赤外カメラの画像はモノクロであり、肉眼で見たものとはイメージが異なり、違和感がある。
【0006】
また、夜間のシーンをカラーで撮像する撮像装置が知られている。例えば特許文献3には、R、G、Bの3色のカラーフィルタと赤外光を透過するIrフィルタとを備えた撮像素子で撮像した画像データを用いて、R、G、Bの色成分からなる可視画像データと赤外画像データとを抽出し、可視画像データから得られる輝度情報と赤外画像データから得られる輝度情報とに重み付けを施して輝度情報を生成することで、疑似カラー画像を生成する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−77733号公報
【特許文献2】特開平6−141229号公報
【特許文献3】特開2007−184805号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】トヨタ自動車:企業情報>研究・技術>ナイトビュー(http://www2.toyota.co.jp/jp/tech/safety/technologies/active/night_view.html)2009年12月17日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、夜間はフォトンの量が少ないため、撮像された画像のS/N比が小さくなると言う問題があるが、特許文献3ではこのようなことが考慮されていない。
【0010】
また、非特許文献1では、対向車のヘッドライト等の強い光によって幻惑されて、画像が見にくくなるという問題もある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0013】
1.被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【0014】
2.被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データをダイナミックレンジ圧縮し、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【0015】
3.前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の青色領域と緑色領域とを除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
全可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする前記1または2に記載の撮像装置。
【0016】
4.前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の赤色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする前記1または2に記載の撮像装置。
【0017】
5.前記撮像素子は、
可視波長の赤色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の青色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする前記1または2に記載の撮像装置。
【0018】
6.前記撮像素子は、入射光量に応じて、少なくとも線形特性と対数特性との2つの光電変換特性を有することを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【0019】
7.前記撮像素子は、線形の光電変換特性を有し、
前記画像処理部は、露出時間の異なる少なくとも2枚の連続した原画像データに基づいて、1枚の画像データを生成し、これを原画像データとしてカラー画像を生成することを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【0020】
8.前記撮像素子は、傾きの異なる折れ線形の線形の光電変換特性を有することを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、可視波長成分の色差信号とを生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データをダイナミックレンジ圧縮して赤外波長成分を含む輝度信号を生成し、原画像データから可視波長成分の色差信号を生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における撮像装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】撮像素子の構成および特性を示す模式図である。
【図3】撮像素子の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【図4】画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】画像処理部の画素補正部の動作を示すフローチャートである。
【図6】画像処理部のダイナミックレンジ圧縮部の動作と構成とを示す模式図である。
【図7】画像処理部の色処理部の動作を示すフローチャートである。
【図8】色処理部の偽色抑制部の構成と動作とを示す模式図である。
【図9】画像処理部のカラー画像生成部の動作を示すフローチャートである。
【図10】撮像素子の構成の第2の例を示す模式図である。
【図11】撮像素子の構成の第2の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【図12】撮像素子の構成の第3の例を示す模式図である。
【図13】撮像素子の構成の第3の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【図14】撮像装置の第2の実施の形態に用いられる撮像素子の特性および構成を示す模式図である。
【図15】撮像素子の各フィルタの分光特性の例と、フォトダイオードの分光感度特性の例とを示す模式図である。
【図16】第2の実施の形態における画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図17】撮像装置の第3の実施の形態に用いられる撮像素子の光電変換特性を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限定されない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略することがある。
【0025】
最初に、本発明における撮像装置の第1の実施の形態について、図1を用いて説明する、図1は、本発明における撮像装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【0026】
図1において、撮像装置1は、撮像光学系2、撮像素子3、画像処理部4、制御部5、記憶部6、表示部7およびインターフェース部(以下、I/F部と言う)8等で構成される。
【0027】
撮像光学系2は、レンズ等で構成され、光軸21上に被写体の像を結像させる。
【0028】
撮像素子3は、撮像光学系によって光軸21上に結像された被写体の像を光電変換し、アナログ/デジタル変換(以下、A/D変換と言う)して、デジタルの原画像データとして出力する。撮像素子3については、図2および図3で詳述する。被写体は、少なくとも赤外光によって照明されている、あるいは赤外光を発光していることが望ましい。
【0029】
画像処理部4は、後述する制御部5の制御下で、撮像素子3から出力された原画像データに画像処理を施して、カラー画像を出力する。画像処理部4の構成および動作については、図4から図8で詳述する。
【0030】
制御部5は、例えばCPU等で構成され、後述する記憶部6に格納されたプログラムに従って撮像装置1の動作を制御するとともに、I/F部8を介して、撮像装置1が接続される外部システムと交信を行う。
【0031】
記憶部6は、ROM、RAM等で構成され、制御部5を構成するCPUの動作を規定するプログラムを格納するとともに、制御部5の制御下で、画像処理部から出力されたカラー画像を記憶し出力し、撮像装置1の各部に関する調整データ等を記憶し出力する。
【0032】
表示部7は、制御部5の制御下で、記憶部6に記憶されたカラー画像を表示する。
【0033】
I/F部8は、制御部5の制御下で、撮像装置1と外部システムとの交信を行う。
【0034】
次に、撮像素子3の構成および特性について、図2を用いて説明する。図2は、撮像素子3の構成および特性を示す模式図で、図2(a)は撮像素子3の光学フィルタ構成を示す模式図であり、図2(b)は撮像素子3の光電変換特性を示す模式図である。
【0035】
図2(a)において、撮像素子3は、リニアログセンサであり、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、イェロー(Ye)フィルタ、レッド(Re)フィルタ、赤外透過(IR)フィルタの3種類のフィルタの何れかが設けられた画素31と、フィルタが設けられていない(便宜的にWフィルタが設けられていると言う)画素31との4種類の画素31が規則的に配置されている。
【0036】
図示の例では、ある行に、Reフィルタが設けられた画素31とWフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはIRフィルタが設けられた画素31とYeフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0037】
図3に、撮像素子3の分光特性の例を示す。図3は、撮像素子3の各フィルタの分光特性の例と、フォトダイオードPDの分光感度特性の例とを示す模式図である。
【0038】
図3において、Yeフィルタは、可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Reフィルタは、可視波長の青色領域と緑色領域とを除く波長域と赤外波長域とを透過させる。IRフィルタは、赤外波長域を透過させる。Wフィルタは可視波長域と赤外波長域とを透過させる。便宜上、IRおよびWについても、色と呼ぶ。
【0039】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0040】
従って、撮像素子3のYeフィルタが設けられた画素31(以下、Ye画素と言う。各色とも同じである。)は、可視波長域の緑色から赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、Re画素は可視波長域の赤色から赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、IR画素は赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とし、W画素は300nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0041】
このように、フォトンをなるべく受けられる分光感度を持つフィルタを用いることで、フォトダイオードで発生するショットノイズを低減することができる。
【0042】
図2(b)において、グラフの横軸は撮像素子3の画素31に入射する光の光量Lを対数軸で示してあり、縦軸は画素31の出力のA/D変換後の出力VLを示してある。撮像素子3の各画素31の光電変換特性は、変曲点Ptよりも入射光量Lが少ない低輝度領域A1では線形特性を示し、変曲点Ptよりも入射光量Lが多い高輝度領域A2では対数特性を示すリニアログ特性であり、広いダイナミックレンジ(以下、Dレンジと言う)を有している。
【0043】
ただし、実際には、線形特性と対数特性とは、変曲点を境に完全に切り替わるのではなく、変曲点近傍では、線形でも対数でもない過渡的な特性の領域が存在する。この特性を線形対数特性と呼び、過渡的な領域を線形対数領域と呼ぶ。線形対数領域については、例えば特開2007−251898号公報等に記載されている。また、撮像素子3の画素31の構成や駆動方法、リニアログ特性の変曲点Ptの調整方法等は、上述した特許文献1を始め、多くの文献に詳述されている。
【0044】
また、撮像素子3にはA/D変換器が内蔵されており、撮像素子3からは、例えば各々14bitのリニアログ特性のYe画像成分、Re画像成分、IR画像成分およびW画像成分の各色の画像成分で構成される原画像データD3が出力される。なお、A/D変換器は、撮像素子3の外部に設けられてもよいし、制御部5に内蔵されてもよい。
【0045】
次に、画像処理部4の構成について、図4を用いて説明する。図4は、画像処理部4の構成を示すブロック図である。
【0046】
図4において、画像処理部4は、画素補正部41、輝度信号生成部43、色処理部45およびカラー画像生成部47等で構成される。各部は、ハードウェアで構成されてもよいし、CPUとソフトウェアとで構成されてもよいし、ハードウェアとCPUおよびソフトウェアとの混成で構成されてもよい。
【0047】
画素補正部41は、撮像素子3から出力された原画像データD3に、黒オフセット補正、変曲点補正、リニアログ特性の対数特性への変換、欠陥画素補正、露出補正等の処理を施して、画素補正画像データD41を出力する。画素補正画像データD41は、各々16bitの対数特性のYe、Re、IRおよびWの各画像成分で構成される。画素補正部41の動作の詳細は図5で説明する。
【0048】
輝度信号生成部43は、画素補正部41から出力された画素補正画像データD41に、Dレンジ圧縮、対数特性の線形特性への変換、色画素補間等の処理を施して、各々12bitの線形特性のYe、Re、IRおよびWの各画像成分で構成される第2補正画像データD43を得、第2補正画像データD43から輝度信号Yaddを生成する。輝度信号Yaddは、12bitの線形データである。輝度信号生成部43の動作の詳細は図6で説明する。
【0049】
色処理部45は、輝度信号生成部43から出力された輝度信号Yaddと、画素補正部41から出力された画素補正画像データD41とを用いて、特許文献4の方法を改良した各処理を行い、色信号D45を出力する。色信号D45は、各々8bitの線形の赤(R)画像成分、緑(G)画像成分、青(B)画像成分の各画像成分で構成される。色処理部45の動作の詳細は図7および図8で説明する。
【0050】
カラー画像生成部47は、色処理部45から出力された色信号D45に対して、ホワイトバランス補正、色補正、ガンマ補正、色空間変換、エッジ強調等の処理を施し、カラー画像D4を出力する。カラー画像D4は、各々8bitの線形の輝度信号Y4と色差信号Cb4、Cr4とで構成される。カラー画像生成部47の動作の詳細は図9で説明する。
【0051】
図5は、画像処理部4の画素補正部41の動作を示すフローチャートである。
【0052】
図5において、ステップS411で、撮像素子3から出力された原画像データD3に、画素単位での黒レベルのオフセット補正が施されて、黒補正原画像データD411(Ye1、Re1、IR1、W1)が生成される。各画素のオフセット値は、予め測定されて、記憶部6に記憶されている。黒オフセット補正については、例えば特開2005−079766号公報等に詳述されている。
【0053】
ステップS413で、ステップS411で黒オフセット補正が施された黒補正原画像データD411の光電変換特性が、リニアログ特性から基準の対数特性に特性変換され、対数原画像データD413(Ye2、Re2、IR2、W2)が生成される。対数原画像データD413は、16bitの対数特性データである。
【0054】
特性変換は、リニアログ特性を、線形特性、変曲点近傍の過渡的な特性である線形対数特性および対数特性の3つのブロックに分けて、各ブロック毎に行われる。特性変換によって、画素毎の変曲点バラツキも補正される。特性変換については、例えば特開2007−074488号公報や特開2007−251898号公報等に詳述されている。
【0055】
また、さらに必要に応じて、対数特性を、傾きの異なる第1対数特性と第2対数特性との2つのブロックに分け、合計4つの領域に分けて特性変換してもよい。
【0056】
ステップS415で、対数原画像データD413の画素欠陥のある位置に、画素欠陥補正が施され、欠陥補正原画像データD415(Ye3、Re3、IR3、W3)が生成される。画素欠陥補正は、隣接の同色の画素のデータを用いて線形補間する等のデジタルカメラ等で周知の方法で行われればよい。
【0057】
ステップS417で、欠陥補正原画像データD415の各データの平均値が所定値になるようなゲインが演算され、欠陥補正原画像データD415に乗算されて、画素補正画像データD41(Ye4、Re4、IR4、W4)が生成される。これによって、画像の暗部が黒ツブレすることなく再現される。
【0058】
図6は、画像処理部4の輝度信号生成部43の動作と構成とを示す模式図で、図6(a)は輝度信号生成部43の動作を示すフローチャートであり、図6(b)は輝度信号生成部43の中の照明成分抽出部および照明成分圧縮部の構成を示すブロック図である。
【0059】
図6(a)において、ステップS431で、画素補正画像データD41の照明成分Lが抽出され、画素補正画像データD41から照明成分Lが減算されることで反射率成分Rが求められる。
【0060】
ステップS433で、照明成分Lが圧縮されて圧縮照明成分L’が生成され、圧縮照明成分L’と反射率成分Rとが加算されることで、照明成分が圧縮された、つまりDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433(Ye5、Re5、IR5、W5)が生成される。
【0061】
ステップS431およびS433の動作は、図6(b)に示す構成によって実現される。図6(b)において、照明成分抽出部431は、例えば階層化ローパスフィルタ等で構成され、入力された画素補正画像データD41の低周波成分が照明成分Lとして抽出される。照明成分圧縮部433は、例えば乗算器等で構成され、所定値Gdrcと照明成分Lとを乗算することで、圧縮照明成分L’を得る。ここに、
L’=L×Gdrc ・・・(1式)
である。
【0062】
一方、減算器432によって、画素補正画像データD41から照明成分Lが減算されることで反射率成分Rが求められる。圧縮照明成分L’と反射率成分Rとが加算器434によって加算されることで、照明成分が圧縮された、つまりDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433が生成される。照明成分を圧縮することで、局所的なコントラストを保存したま全体のDレンジを圧縮することができる。なお、Dレンジ圧縮処理については、例えば特開2001−275015号公報や特開2009−081526号公報等に詳述されている。
【0063】
図6(a)に戻って、ステップS435で、対数特性のDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433が、線形特性の線形Dレンジ圧縮画像データD435(Ye6、Re6、IR6、W6)に変換される。変換は所定の変換テーブルによって行われ、16bitの対数特性のDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433が12bitの線形特性の線形Dレンジ圧縮画像データD435に変換される。
【0064】
ステップS437で、線形Dレンジ圧縮画像データD435の各画素位置に対するYe、Re、IRおよびWの各画像成分の欠損部分が補間処理され、色画素補間画像データD437(Ye7、Re7、IR7、W7)が生成される。補間処理は、例えば隣接する同色の画素データを線形補完する方法等、通常のデジタルカメラ等で行われている周知の方法で行われればよい。
【0065】
ステップS439で、色画素補間画像データD437の各画素での各画像成分を加算平均することで、画像処理の対象となっている原画像データD3の色空間の輝度信号Yaddが生成される。ここに、
Yadd=(Ye7+Re7+IR7+W7)/4 ・・・(2式)
である。
【0066】
輝度信号Yaddは、赤外光を含む原画像データD3に基づいて、Dレンジ圧縮処理を施した信号を加算して得られた輝度信号である。このように、画像表示時に視覚的に目立つ輝度成分を加算のみで生成するために、ノイズを低減することができる。また、可視光に対して赤外光が強い場合には、輝度信号Yaddを用いることで解像度の高い画像を得ることができる。なお、輝度信号生成部43は、ステップS439の動作を実行することで、本発明における輝度信号生成部として機能する。
【0067】
なお、輝度信号Yaddは、色画素補間画像データD437の各画素での各画像成分に重み付けをして加算することで求められてもよい。ここに、
Yadd=(a1×Ye7+a2×Re7+a3×IR7+a4×W7)/4 ・・・(2’式)
である。ただし、a1、a2、a3、a4は重み付け係数で、a1+a2+a3+a4=1である。重み付け係数は、例えば予め決められた値を用いればよい。
【0068】
図7は、画像処理部4の色処理部45の動作を示すフローチャートである。
【0069】
図7において、ステップS451で、画素補正部41で生成された16bitの対数特性の画素補正画像データD41に所定の変換テーブルを適用することで、32bitの線形特性に特性変換が行われ、線形画像データD451(Ye8、Re8、IR8、W8)が得られる。
【0070】
ステップS452で、線形画像データD451の各画素位置に対するYe、Re、IRおよびWの各画像成分の欠損部分が補間処理され、補間画像データD452(Ye9、Re9、IR9、W9)が生成される。補間処理は、例えば隣接する同色の画素データを線形補完する方法等、通常のデジタルカメラ等で行われている周知の方法で行われればよい。
【0071】
ステップS453で、補間画像データD452から、可視光の色信号である、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色信号が演算され、色信号データD453(R、G、B)が得られる。各色信号の演算式は、
R=Re9−IR9 ・・・(3−1式)
G=Ye9−Re9 ・・・(3−2式)
B=W9−Ye9 ・・・(3−3式)
である。ただし、演算結果が負になった場合には、0(ゼロ)に置き換える。
【0072】
色信号データD453は、赤外光を含む原画像データD3から色画素補間された補間画像データD452の可視光成分のみが抽出された信号であり、補間画像データD452には、Dレンジ圧縮は施されていない。
【0073】
これは、ステップS437で生成された色画素補間画像データD437のような赤外光を含んだ原画像データにDレンジ圧縮を施した信号を用いて色信号を生成すると、原画像データ中の可視光成分のDレンジに関係なくDレンジ圧縮された信号に基づいて色信号が生成されるために、色信号の彩度が低下するので、それを防止するためである。
【0074】
ステップS454で、上述した各処理で歪んだ色信号データD453のホワイトバランス(以下、WBと言う)をとるために、色信号データD453(R、G、B)に所定の第1のWBゲイン(gr、gg、gb)が乗算されて、第1WB補正色信号D454(R1、G1、B1)が生成される。ここに、
R1=R×gr ・・・(4−1式)
G1=G×gg ・・・(4−2式)
B1=B×gb ・・・(4−3式)
である。なお、第1のWBゲイン(gr、gg、gb)は、予め求められて記憶部6に記憶されていればよい。
【0075】
ステップS455で、第1WB補正色信号D454から、可視輝度信号Yと色差信号Cb、Crとが演算されて、輝度色差信号D455(Y、Cb、Cr)が生成される。演算式は、
Y=0.299×R1+0.587×G1+0.114×B1 ・・・(5−1式)
Cb=−0.169×R1−0.331×G1+0.500×B1・・・(5−2式)
Cr=0.500×R1−0.419×G1−0.081×G1 ・・・(5−3式)
である。なお、ステップS455は、本発明における色差信号生成部として機能する。
【0076】
ここで、ステップS453で得られた色信号データD453は、可視光成分のみのデータであるので、ステップS453の後にステップS491を設け、色信号データD453に上述したステップS431およびS433と同様のDレンジ圧縮を施して、Dレンジ圧縮色信号を生成してもよい。
【0077】
あるいは、ステップS455で得られた輝度色差信号D455も可視光成分のみのデータであるので、ステップS455の後にステップS492を設け、輝度色差信号D455に上述したステップS431およびS433と同様のDレンジ圧縮を施して、Dレンジ圧縮色差信号を生成してもよい。
【0078】
いずれにしても、Dレンジ圧縮を施すことで、照明成分を圧縮して、局所的なコントラストを保存したま全体のDレンジを圧縮することができ、データサイズを小さくして、以後の演算を容易にすることができる。
【0079】
ステップS456で、輝度色差信号D455の色差信号Cb、Crと、図6のステップS439で求められた輝度信号Yaddとから、原画像のエッジ部に発生する偽色を抑制した色差信号Cb’、Cr’が生成される。詳細は、図8で説明する。
【0080】
図8は、図7のステップS456に相当する色処理部45の偽色抑制部456の構成と動作とを示す模式図で、図8(a)は偽色抑制部456の構成を示すブロック図であり、図8(b)は偽色抑制部456で使用されるフィルタの構成図であり、図8(c)は偽色抑制部456で使用される係数を示すグラフである。
【0081】
図8(a)において、偽色抑制部456は、輝度高周波検出部456aと色差信号変調部456bとの2つのブロックで構成されている。
【0082】
輝度高周波検出部456aは、原画像のエッジ検出を行うために、図6のステップS439で生成された輝度信号Yaddに、図8(b)で示すPrewittフィルタ(水平方向がgHS、垂直方向がgVS)を適用して、エッジ量Yedgeを算出する。ここに、
Yedge=|gHS×Yadd|+|gVS×Yadd| ・・・(6式)
である。
【0083】
次に、エッジ量Yedgeから、輝度高周波信号Y’edgeが算出され、色差信号変調部456bに出力される。ここに、
Y’edge=Yedge/(Yadd×9) ・・・(7式)
である。輝度高周波信号Y’edgeは、1以上となる場合もある。
【0084】
一方、色差信号変調部456bは、輝度高周波検出部456aで生成された輝度高周波信号Y’edgeに基づいて、図8(c)に示す偽色抑制係数kを決定する。ここに、偽色抑制係数kは、
Y’edge<閾値αの時、
k=1
閾値α≦Y’edge≦閾値βの時、
k=−Y’edge/(β−α)−β/(β−α)
閾値β<Y’edgeの時、
k=0
である。閾値αおよびβは、画像の種類や用途等によって予め決定され、記憶部6に記憶されればよい。
【0085】
この偽色抑制係数kを用いて、図7のステップS455で生成された輝度色差信号D455の色差信号Cb、Crを変調することで、エッジ部の色信号が抑制された変調色差信号D456(Cb1、Cr1)が得られる。ここに、
Cb1=k×Cb ・・・(8−1式)
Cr1=k×Cr ・・・(8−2式)
である。
【0086】
これによって、撮像素子3の光学フィルタ配列に起因して原画像のエッジ部に発生する偽色を抑制することができる。また、後述するステップS458でのスムージング処理の前にステップS456で偽色抑制を行っておくことで、エッジ部に発生する偽色を、より効果的に抑制することができる。
【0087】
図7に戻って、ステップS457で、赤外光成分に比べて可視光成分が少ない場合に画像の彩度が高くなりすぎるのを防止するために、変調色差信号D456に、赤外光に対する可視光の量に応じた所定の係数vb、vrを乗算することで、変調色差信号D456の彩度を赤外光に対する可視光の量に応じて抑圧した彩度抑圧色差信号D457(Cb2、Cr2)が生成される。ここに、
Cb2=Cb1×vb ・・・(9−1式)
Cr2=Cr1×vr ・・・(9−2式)
である。
【0088】
可視光の成分の量は、ステップS452で得られた補間画像データD452のW画像成分とIR画像成分との差(W−IR)や、W画像成分とIR画像成分との比(W/IR)等で算出できる。また、所定の係数(vb、vr)は、例えば、W画像成分とIR画像成分との差や比等に応じて、予めルックアップテーブル(以下、LUTと言う)の形で用意され、記憶部6に記憶されればよい。
【0089】
ステップS458で、画素単位でのノイズ低減のために、ステップS457で得られた彩度抑圧色差信号D457(Cb2、Cr2)に3×3、あるいは5×5程度の比較的小さいサイズのローパスフィルタを適用することでスムージング処理が行われ、ノイズ成分がぼかされてS/N比が向上された色差低周波信号Cbs、Crsが得られる。
【0090】
ステップS453での色信号の演算では減算が用いられているのでノイズが増えるが、ステップS458でのスムージング処理によってノイズが減り、かつ人間の目の視覚特性のために、スムージング処理してもぼけて見えることはない。
【0091】
同様に、ステップS455で得られた可視光の輝度色差信号D455の可視輝度信号Yに、3×3、あるいは5×5程度の比較的小さいサイズのローパスフィルタを適用することでスムージング処理が行われ、可視輝度信号Yの低周波成分が抽出された可視輝度低周波信号Ysが抽出される。
【0092】
ステップS459で、図6のステップS439で生成された色差低周波信号Cbs、Crsが、赤外光領域を含む輝度信号Yaddと可視輝度信号Yとに基づいて補正されて、補正色差信号D459(Cbm、Crm)が生成される。補正に際して、輝度と色との空間周波数帯域を揃えることによって、輝度差の大きいエッジ領域に偽色が発生することを防止する。
【0093】
そこで、単に、
Cbm=Cbs×(Yadd/Y)
として補正するだけでなく、例えば、可視光の輝度の高周波成分と低周波成分とを含む可視輝度信号Yと、低周波成分のみを含む可視輝度低周波信号Ysとの比(Y/Ys)をとることで抽出した高輝度成分を、上述した補正項に重畳することで、輝度と色の空間周波数帯域を揃える。ここに、
Cbm=Cbs×(Yadd/Y)×(Y/Ys) ・・・(10−1式)
である。同様に、
Crm=Crs×(Yadd/Y)×(Y/Ys) ・・・(10−2式)
である。色差低周波信号Cbs、Crsは12ビットの線形特性の信号である。
【0094】
あるいは、(10−1式)および(10−2式)から可視輝度信号Yを約分して消去した、
Cbm=Cbs×(Yadd/Ys) ・・・(10−1’式)
Crm=Crs×(Yadd/Ys) ・・・(10−2’式)
でもよい。
【0095】
このように、赤外光領域を含む輝度信号Yaddと可視輝度信号Y、あるいは輝度低周波信号Yaddsと可視輝度低周波信号Ysとに基づいて補正色差信号D459を求めることで、変換対象となる色空間における色差信号と輝度信号とをバランスよく算出することができる。
【0096】
さらに、補正色差信号D459を求めるのに、輝度成分から抽出した高周波成分を重畳することで、輝度信号と色信号との空間周波数帯域がそろうために、輝度差の大きいエッジ領域等に偽色が発生することが緩和される。
【0097】
ステップS460で、ステップS459で得られた補正色差信号D459(Cbm、Crm)と、図6のステップS439で生成された輝度信号Yaddとから、色信号D45(R2、G2、B2)が演算される。演算式は、
R2=Yadd+1.402×Crm ・・・(11−1式)
G2=Yadd−0.344×Cbm−0.714×Crm・・・(11−2式)
B2=Yadd+1.772×Cbm ・・・(11−3式)
である。色信号D45は、各々8bitの線形特性のデータである。
【0098】
色信号D45(R2、G2、B2)は、上述の処理を経て演算されたものであるため、ステップS453で補間画像データD452から減算処理によって演算された色信号データD453(R、G、B)に比べてはるかに精度の高い色信号となっている。
【0099】
なお、上述した(10−1式)および(10−2式)、あるいは(10−1’式)および(10−2’式)の処理は、赤外光領域を含まない構成であっても成り立つ。赤外光領域を含まない構成とは、通常の原色系あるいは補色系のフィルタと、赤外カットフィルタとの組み合わせであって、例えば、撮像素子のある行にイェロー(Ye)フィルタを設けた画素(Ye画素と言う)とフィルタを設けない画素(W画素と言う)とが交互に配列され、隣接する行にレッド(Re)フィルタを設けた画素(Re画素)とW画素とが交互に配列され、これが行毎に交互に繰り返されている組み合わせの全体に赤外カットフィルタを設けた構成が考えられる。
【0100】
その他に考えられる画素配列としては、
1)撮像素子のある行にYe画素とW画素とが交互に配列され、隣接する行にグリーンフィルタを設けた画素(G画素)とW画素とが交互に配列されたもの
2)撮像素子のある行にシアンフィルタを設けた画素(C画素)とマゼンタフィルタを設けた画素(M画素)とが交互に配列され、隣接する行にYe画素とG画素とが交互に配列されたもの
3)撮像素子のある行にRe画素とG画素とが交互に配列され、隣接する行にG画素とブルー(B)フィルタを設けた画素(B画素)とが交互に配列されたもの
等がある。ただし、画素配列は、これに限定されるものではない。
【0101】
従来の可視補色フィルタを用いた場合、CMY画像からRGB画像を得て、RGB画像から求めた輝度Yを加算輝度Yaddに置き換えることで輝度のS/N向上させることができるが、以降の処理で再度RGBに置換した場合に、輝度Yと加算輝度Yaddとの違いが色の違いとして現れるという問題がある。
【0102】
しかし、上述した(10−1式)および(10−2式)、あるいは(10−1’式)および(10−2’式)の処理を施すことで、RGBの色の比が保存されるので、色再現性が向上する効果がある。
【0103】
図9は、画像処理部4のカラー画像生成部47の動作を示すフローチャートである。
【0104】
図9において、ステップS471で、ステップS454以降の各処理で歪んだWBを補正するために、ステップS460で得られた色信号D45(R2、G2、B2)に所定の第2のWBゲイン(gr2、gg2、gb2)が乗算されて、第2WB補正色信号D471(R3、G3、B3)が得られる。ここに、
R3=R2×gr2 ・・・(12−1式)
G3=G2×gg2 ・・・(12−2式)
B3=B2×gb2 ・・・(12−3式)
である。
【0105】
ステップS473で、第2WB補正色信号D471に所定の行列を用いて色補正が施され、色補正色信号D473(R4、G4、B4)が生成される。ここに、
【0106】
【数1】
【0107】
である。所定の行列は、予め決定されて、記憶部6に記憶されればよい。
【0108】
ステップS475で、例えば表示部7や外部のディスプレイ等のような出力機器のガンマ特性に合わせて、色補正色信号D473にガンマ補正を施し、ガンマ補正色信号D474(R5、G5、B5)が生成される。
【0109】
ガンマ補正は、例えば表示部7のような出力機器のガンマ特性に合わせて予め用意されたガンマ補正LUTを用いて、色補正色信号D473(R4、G4、B4)を変換すればよい。あるいは、例えばIEC 61966−2−1 sRGB規格のような標準的なディスプレイの規格に合わせてガンマ補正してもよい。
【0110】
ステップS477で、ガンマ補正色信号D474(R5、G5、B5)から輝度信号Y3と色差信号Cb3、Cr3とが演算されて、第2輝度色差信号D477(Y3、Cb3、Cr3)が生成される。演算式はステップS455と同様で、
Y3=0.299×R5+0.587×G5+0.114×B5 ・・・(14−1式)
Cb3=−0.169×R5−0.331×G5+0.500×B5・・・(14−2式)
Cr3=0.500×R5−0.419×G5−0.081×G5 ・・・(14−3式)
である。
【0111】
ステップS479で、第2輝度色差信号D477にエッジ強調処理が施されて、カラー画像D4(Y4、Cb4、Cr4)が生成され、画像処理部4から出力される。カラー画像D4は、各々8bitの線形の信号である。
【0112】
上述した第1の実施の形態は、図2に示した例とは異なる構成の撮像素子にも適用できる。そこで、撮像素子の構成の第2の例について、図10および図11を用いて説明する。図10は、撮像素子の構成の第2の例を示す模式図である。
【0113】
図10において、撮像素子3は、図2に示したと同じリニアログセンサであり、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、青(B)フィルタ、緑(G)フィルタ、赤(R)フィルタおよび赤外透過(IR)フィルタの4種類のフィルタの何れかが設けられた画素31が規則的に配置されている。
【0114】
図示の例では、ある行に、Bフィルタが設けられた画素31とRフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはGフィルタが設けられた画素31とIRフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0115】
図11に、撮像素子3の分光特性の一例を示す。図11は、撮像素子の構成の第2の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【0116】
図11において、Bフィルタは可視波長の青色領域を透過させる。Gフィルタは可視波長の緑色領域を透過させる。Rフィルタは可視波長の赤色領域を透過させる。IRフィルタは、赤外波長域を透過させる。便宜上、IRについても色と呼ぶ。
【0117】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0118】
従って、撮像素子3のBフィルタが設けられた画素31(以下、B画素と言う。各色とも同じである。)は、可視波長域の青色を有感度域とし、G画素は可視波長域の緑色を有感度域とし、R画素は可視波長域の赤色を有感度域とし、IR画素は赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0119】
撮像素子3の構成の第2の例を用いる場合には、色フィルタの構成が図2の例とは異なるので、色処理に関するステップS439の(2式)と(2’式)、およびステップS453の(3−1式)、(3−2式)、(3−3式)を以下のように修正する必要がある。ここに、
Yadd=(B7+G7+R7+IR7)/4 ・・・(2式)
Yadd=(a1×B7+a2×G7+a3×R7+a4×IR7)/4 ・・・(2’式)
R=R9 ・・・(3−1式)
G=G9 ・・・(3−2式)
B=B9 ・・・(3−3式)
である。
【0120】
さらに、撮像素子の構成の第3の例について、図12および図13を用いて説明する。図12は、撮像素子の構成の第3の例を示す模式図である。
【0121】
図12において、撮像素子3は、図2に示したと同じリニアログセンサであり、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、青(Bl)フィルタ、緑(Gr)フィルタ、赤(Re)フィルタおよび赤外透過(IR)フィルタの4種類のフィルタの何れかが設けられた画素31が規則的に配置されている。図10の第2の例と記号が異なるのは、図13に示す各フィルタの分光感度が異なるからである。
【0122】
図示の例では、ある行に、Blフィルタが設けられた画素31とReフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはGrフィルタが設けられた画素31とIRフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0123】
図13に、撮像素子3の分光特性の一例を示す。図13は、撮像素子の構成の第3の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【0124】
図13において、Blフィルタは可視波長の青色領域と赤外波長域とを透過させる。Grフィルタは可視波長の緑色領域と赤外波長域とを透過させる。Reフィルタは可視波長の赤色領域と赤外波長域とを透過させる。IRフィルタは、赤外波長域を透過させる。便宜上、IRについても色と呼ぶ。
【0125】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0126】
従って、撮像素子3のBl画素は、可視波長域の青色と赤外波長域の700nmから1100nmまでとを有感度域とし、Gr画素は可視波長域の緑色と赤外波長域の700nmから1100nmまでとを有感度域とし、Re画素は可視波長域の赤色から赤外波長域の1100nmまでとを有感度域とし、IR画素は赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0127】
撮像素子3の構成の第3の例を用いる場合には、色フィルタの構成が図2および図10の例とは異なるので、色処理に関するステップS439の(2式)と(2’式)、およびステップS453の(3−1式)、(3−2式)、(3−3式)を以下のように修正する必要がある。ここに、
Yadd=(Bl7+Gr7+Re7+IR7)/4 ・・・(2式)
Yadd=(a1×Bl7+a2×Gr7+a3×Re7+a4×IR7)/4 ・・・(2’式)
R=Re9−IR9 ・・・(3−1式)
G=Gr9−IR9 ・・・(3−2式)
B=Bl9−IR9 ・・・(3−3式)
である。
【0128】
上述したように、第1の実施の形態によれば、撮像光学系と、リニアログ特性の撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる4種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、色差信号とを抽出し、赤外波長成分を含む輝度信号の高周波成分に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止し、夜間のS/N比が高く、Dレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0129】
次に、本発明における撮像装置の第2の実施の形態について、図14から図16を用いて説明する。撮像装置の第2の実施の形態の構成は、図1に示したと同じであるので、説明は省略する。図14は、撮像装置の第2の実施の形態に用いられる撮像素子の特性および構成を示す模式図で、図14(a)は撮像素子の光電変換特性を示す模式図であり、図14(b)は撮像素子のフィルタ構成を示す模式図である。
【0130】
図14(a)において、撮像素子3は、通常の線形特性の光電変換特性を有している。通常の線形特性の光電変換特性を有する撮像素子3を用いて、第1の輝度範囲A1を第1のシャッタ速度SS1で撮像することで、第1の光電変換特性S1が得られる。同様に、第1の輝度範囲A1よりも明るく、第1の輝度範囲A1と重なる輝度領域A3を有する第2の輝度範囲A2を、第1のシャッタ速度SS1よりも早い第2のシャッタ速度SS2で撮像することで、第2の光電変換特性S2が得られる。
【0131】
画像処理部4によって、第1の光電変換特性S1と第2の光電変換特性S2とを、重なる輝度領域A3の部分で連結することで、輝度範囲(A1+A2)をカバーする広いDレンジを有する光電変換特性S3を合成することができる。理論的には重なる輝度領域A3はなくてもよいので、この方法で通常の線形特性の光電変換特性の最大2倍のDレンジを得ることができる。
【0132】
従って、第1の光電変換特性S1および第2の光電変換特性S2が例えば14ビットのデータの場合、光電変換特性S3は最大28ビットのデータとなる。同様にして3つ以上の輝度範囲を連結することも可能である。
【0133】
図14(b)において、撮像素子3は、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、イェロー(Ye)フィルタ、マゼンタ(M)フィルタ、シアン(C)フィルタの3種類の補色フィルタの何れかが設けられた画素31と、フィルタが設けられていない(便宜的にWフィルタが設けられていると言う)画素31とが規則的に配置されている。
【0134】
図示の例では、ある行に、Mフィルタが設けられた画素31とWフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはCフィルタが設けられた画素31とYeフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0135】
図15に、撮像素子3の分光特性の例を示す。図15は、撮像素子3の各フィルタの分光特性の例と、フォトダイオードPDの分光感度特性の例とを示す模式図である。
【0136】
図15において、Yeフィルタは、可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Mフィルタは、可視波長の緑色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Cフィルタは、可視波長の赤色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Wフィルタは可視波長域と赤外波長域とを透過させる。便宜上、Wについても、色と呼ぶ。
【0137】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0138】
従って、撮像素子3のYeフィルタが設けられた画素31(以下、Ye画素と言う。各色とも同じである。)は、可視波長域の緑色から赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、M画素は可視波長域の青色と赤色と赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、C画素は可視波長域の青色と緑色と赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とし、W画素は300nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0139】
図16は、第2の実施の形態における画像処理部4の構成を示すブロック図である。
【0140】
図16において、画像処理部4は、図4に示した第1の実施の形態の画素補正部41の前に、Dレンジ拡大部49を有している。
【0141】
Dレンジ拡大部49は、撮像素子3で第1のシャッタ速度SS1で撮像された原画像データD31(Ye、M、C、W)と、原画像データD31に連続して第2のシャッタ速度SS2で撮像された原画像データD32(Ye、M、C、W)とに基づいて、図14(a)で説明した方法により、Dレンジが拡大された原画像データD3(Ye、M、C、W)を合成する。これ以降は、原画像データD3を用いて画像処理を行う。画素補正部41以降の構成については、図4と同じであるので、説明は省略する。
【0142】
原画像データD3は線形特性のデータであるので、図5から図9に示した画像処理部4の各部の動作の中で、ステップS413(線形対数変換)、ステップS435(対数線形変換)およびステップS451(対数線形変換)は不要であり、画像処理部4の各部の動作は全て線形特性で取り扱うことができる。
【0143】
ただし、上述したように、原画像データD3はビット数の大きいデータであるので、ステップS413(線形対数変換)で対数圧縮することで、ビット数の小さいデータに変換してから、それ以降の演算を行うことでもよい。その場合には、ステップS435(対数線形変換)およびステップS451(対数線形変換)での線形伸張が必要となる。
【0144】
また、第2の実施の形態の撮像素子3は、色フィルタの構成が第1の実施の形態とは異なるので、色処理に関するステップS439の(2式)と(2’式)、およびステップS453の(3−1式)、(3−2式)、(3−3式)を以下のように修正する必要がある。ここに、
Yadd=(Ye7+M7+C7+W7)/4 ・・・(2式)
Yadd=(a1×Ye7+a2×M7+a3×C7+a4×W7)/4 ・・・(2’式)
R=W9−C9 ・・・(3−1式)
G=W9−M9 ・・・(3−2式)
B=W9−Ye9 ・・・(3−3式)
である。
【0145】
第2の実施の形態の画像処理部4の各部のその他の動作は、図5から図9に示したものと同じであるので、説明は省略する。
【0146】
上述したように、第2の実施の形態によれば、撮像光学系と、線形特性の撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる4種類の画素が配列された撮像素子を用いて異なるシャッタ速度で撮像された2枚の画像を合成した原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、色差信号とを抽出し、赤外波長成分を含む輝度信号の高周波成分に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止し、夜間のS/N比が高く、Dレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0147】
次に、本発明における撮像装置の第3の実施の形態について、図17を用いて説明する。撮像装置の第3の実施の形態の構成は、図1に示したと同じであるので、説明は省略する。図17は、撮像装置の第3の実施の形態に用いられる撮像素子の光電変換特性を示す模式図である。
【0148】
図17において、撮像素子3は、ニー特性と呼ばれる折れ線形の線形の光電変換特性を有している。ニー特性は、入射光量が少ない低輝度域A1では傾きの大きい線形の第1の光電変換特性S1を有し、入射光量が多い高輝度域A2では傾きの小さい線形の第2の光電変換特性S2を有している。
【0149】
第2の実施の形態と同様に、図16に示した画像処理部4のDレンジ拡大部49によって、第2の光電変換特性S2を、第1の光電変換特性S1の延長線上に伸張することで、輝度範囲(A1+A2)をカバーする広いDレンジを有する線形の光電変換特性S3を得ることができる。あるいは、第1の光電変換特性S1の傾きを第2の光電変換特性の傾きに合わせて寝かせ、第2の光電変換特性S2と連結することで、輝度範囲(A1+A2)をカバーするビット数の小さい線形の光電変換特性S4を得ることもできる。
【0150】
画素補正部41以降の構成については、図4と同じであるので、説明は省略する。また、得られる原画像データは線形特性であるので、第2の実施の形態と同様に、ステップS413(線形対数変換)、ステップS435(対数線形変換)およびステップS451(対数線形変換)は不要である。さらに、色処理に関しては、用いるフィルタに合わせて、第1の実施の形態の式か第2の実施の形態の式かを使い分ければよい。
【0151】
上述したように、第3の実施の形態によれば、撮像光学系と、ニー特性の撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる4種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、色差信号とを抽出し、赤外波長成分を含む輝度信号の高周波成分に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止し、夜間のS/N比が高く、Dレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0152】
なお、上述した第1から第3の実施の形態では、撮像素子3は4種類の異なるフィルタを備えているとしたが、これに限定されるものではなく、少なくとも3種類のフィルタを備えていればよい。この場合、フィルタの種類として、各フィルタの分光透過特性から赤(R)、緑(G)、青(B)の色信号を生成することができる種類のものを採用すればよい。
【0153】
以上に述べたように、本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、可視波長成分の色差信号とを生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0154】
また、本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データをダイナミックレンジ圧縮して赤外波長成分を含む輝度信号を生成し、原画像データから可視波長成分の色差信号を生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0155】
なお、本発明に係る撮像装置を構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 撮像装置
2撮像光学系
21 光軸
3 撮像素子
31 画素
4 画像処理部
41 画素補正部
43 輝度信号生成部
431 照明成分抽出部
433 照明成分圧縮部
45 色処理部
456 偽色抑制部
456a 輝度高周波検出部
456b 色差信号変調部
47 カラー画像生成部
49 Dレンジ拡大部
5 制御部
6 記憶部
7 表示部
8 インターフェース(I/F)部
L 光量
VL 出力
Pt 変曲点
Yadd 輝度信号
Y 可視輝度信号
Cb、Cr 色差信号
D4 カラー画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に広ダイナミックレンジな原画像データを画像処理してカラー画像を生成する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な線形の光電変換特性を有する撮像素子は、そのダイナミックレンジが狭いために、通常の被写体であっても、暗部あるいは明部の輝度分布が正確に撮像されない。また、対数変換型の光電変換特性を有する撮像素子は、通常の被写体に対しては十分広いダイナミックレンジを有するが、低輝度側の感度に難点がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示すように、入射光量に応じて線形特性と対数特性との2つの光電変換特性(以下、リニアログ特性と言う)を有する、線形対数変換型撮像素子(以下、リニアログセンサと言う)が知られている。リニアログセンサによれば、低輝度側を感度の高い線形特性で撮像し、高輝度側をダイナミックレンジの広い対数特性で撮像することで、感度と広ダイナミックレンジとを両立させることができる。
【0004】
あるいは、例えば特許文献2に示すように、線形の光電変換特性を有する撮像素子を用いて、露出時間を変えて撮像された画像を合成することで、ダイナミックレンジの広い画像を得る方法が知られている。その他に、ニー特性と呼ばれる入射光量によって傾きの異なる折れ線形の線形の光電変換特性を有するセンサも提案されている。
【0005】
一方、例えば非特許文献1に示したように、自動車に近赤外カメラを搭載し、夜間の歩行者や前方車両等をモニタに映し出す所謂ナイトビュー機能が開発されている。しかし、近赤外カメラの画像はモノクロであり、肉眼で見たものとはイメージが異なり、違和感がある。
【0006】
また、夜間のシーンをカラーで撮像する撮像装置が知られている。例えば特許文献3には、R、G、Bの3色のカラーフィルタと赤外光を透過するIrフィルタとを備えた撮像素子で撮像した画像データを用いて、R、G、Bの色成分からなる可視画像データと赤外画像データとを抽出し、可視画像データから得られる輝度情報と赤外画像データから得られる輝度情報とに重み付けを施して輝度情報を生成することで、疑似カラー画像を生成する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−77733号公報
【特許文献2】特開平6−141229号公報
【特許文献3】特開2007−184805号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】トヨタ自動車:企業情報>研究・技術>ナイトビュー(http://www2.toyota.co.jp/jp/tech/safety/technologies/active/night_view.html)2009年12月17日検索
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、夜間はフォトンの量が少ないため、撮像された画像のS/N比が小さくなると言う問題があるが、特許文献3ではこのようなことが考慮されていない。
【0010】
また、非特許文献1では、対向車のヘッドライト等の強い光によって幻惑されて、画像が見にくくなるという問題もある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、下記構成により達成することができる。
【0013】
1.被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【0014】
2.被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データをダイナミックレンジ圧縮し、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【0015】
3.前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の青色領域と緑色領域とを除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
全可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする前記1または2に記載の撮像装置。
【0016】
4.前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の赤色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする前記1または2に記載の撮像装置。
【0017】
5.前記撮像素子は、
可視波長の赤色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の青色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする前記1または2に記載の撮像装置。
【0018】
6.前記撮像素子は、入射光量に応じて、少なくとも線形特性と対数特性との2つの光電変換特性を有することを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【0019】
7.前記撮像素子は、線形の光電変換特性を有し、
前記画像処理部は、露出時間の異なる少なくとも2枚の連続した原画像データに基づいて、1枚の画像データを生成し、これを原画像データとしてカラー画像を生成することを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【0020】
8.前記撮像素子は、傾きの異なる折れ線形の線形の光電変換特性を有することを特徴とする前記1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、可視波長成分の色差信号とを生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0022】
また、本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データをダイナミックレンジ圧縮して赤外波長成分を含む輝度信号を生成し、原画像データから可視波長成分の色差信号を生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における撮像装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】撮像素子の構成および特性を示す模式図である。
【図3】撮像素子の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【図4】画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図5】画像処理部の画素補正部の動作を示すフローチャートである。
【図6】画像処理部のダイナミックレンジ圧縮部の動作と構成とを示す模式図である。
【図7】画像処理部の色処理部の動作を示すフローチャートである。
【図8】色処理部の偽色抑制部の構成と動作とを示す模式図である。
【図9】画像処理部のカラー画像生成部の動作を示すフローチャートである。
【図10】撮像素子の構成の第2の例を示す模式図である。
【図11】撮像素子の構成の第2の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【図12】撮像素子の構成の第3の例を示す模式図である。
【図13】撮像素子の構成の第3の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【図14】撮像装置の第2の実施の形態に用いられる撮像素子の特性および構成を示す模式図である。
【図15】撮像素子の各フィルタの分光特性の例と、フォトダイオードの分光感度特性の例とを示す模式図である。
【図16】第2の実施の形態における画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図17】撮像装置の第3の実施の形態に用いられる撮像素子の光電変換特性を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限定されない。なお、図中、同一あるいは同等の部分には同一の番号を付与し、重複する説明は省略することがある。
【0025】
最初に、本発明における撮像装置の第1の実施の形態について、図1を用いて説明する、図1は、本発明における撮像装置の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【0026】
図1において、撮像装置1は、撮像光学系2、撮像素子3、画像処理部4、制御部5、記憶部6、表示部7およびインターフェース部(以下、I/F部と言う)8等で構成される。
【0027】
撮像光学系2は、レンズ等で構成され、光軸21上に被写体の像を結像させる。
【0028】
撮像素子3は、撮像光学系によって光軸21上に結像された被写体の像を光電変換し、アナログ/デジタル変換(以下、A/D変換と言う)して、デジタルの原画像データとして出力する。撮像素子3については、図2および図3で詳述する。被写体は、少なくとも赤外光によって照明されている、あるいは赤外光を発光していることが望ましい。
【0029】
画像処理部4は、後述する制御部5の制御下で、撮像素子3から出力された原画像データに画像処理を施して、カラー画像を出力する。画像処理部4の構成および動作については、図4から図8で詳述する。
【0030】
制御部5は、例えばCPU等で構成され、後述する記憶部6に格納されたプログラムに従って撮像装置1の動作を制御するとともに、I/F部8を介して、撮像装置1が接続される外部システムと交信を行う。
【0031】
記憶部6は、ROM、RAM等で構成され、制御部5を構成するCPUの動作を規定するプログラムを格納するとともに、制御部5の制御下で、画像処理部から出力されたカラー画像を記憶し出力し、撮像装置1の各部に関する調整データ等を記憶し出力する。
【0032】
表示部7は、制御部5の制御下で、記憶部6に記憶されたカラー画像を表示する。
【0033】
I/F部8は、制御部5の制御下で、撮像装置1と外部システムとの交信を行う。
【0034】
次に、撮像素子3の構成および特性について、図2を用いて説明する。図2は、撮像素子3の構成および特性を示す模式図で、図2(a)は撮像素子3の光学フィルタ構成を示す模式図であり、図2(b)は撮像素子3の光電変換特性を示す模式図である。
【0035】
図2(a)において、撮像素子3は、リニアログセンサであり、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、イェロー(Ye)フィルタ、レッド(Re)フィルタ、赤外透過(IR)フィルタの3種類のフィルタの何れかが設けられた画素31と、フィルタが設けられていない(便宜的にWフィルタが設けられていると言う)画素31との4種類の画素31が規則的に配置されている。
【0036】
図示の例では、ある行に、Reフィルタが設けられた画素31とWフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはIRフィルタが設けられた画素31とYeフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0037】
図3に、撮像素子3の分光特性の例を示す。図3は、撮像素子3の各フィルタの分光特性の例と、フォトダイオードPDの分光感度特性の例とを示す模式図である。
【0038】
図3において、Yeフィルタは、可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Reフィルタは、可視波長の青色領域と緑色領域とを除く波長域と赤外波長域とを透過させる。IRフィルタは、赤外波長域を透過させる。Wフィルタは可視波長域と赤外波長域とを透過させる。便宜上、IRおよびWについても、色と呼ぶ。
【0039】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0040】
従って、撮像素子3のYeフィルタが設けられた画素31(以下、Ye画素と言う。各色とも同じである。)は、可視波長域の緑色から赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、Re画素は可視波長域の赤色から赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、IR画素は赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とし、W画素は300nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0041】
このように、フォトンをなるべく受けられる分光感度を持つフィルタを用いることで、フォトダイオードで発生するショットノイズを低減することができる。
【0042】
図2(b)において、グラフの横軸は撮像素子3の画素31に入射する光の光量Lを対数軸で示してあり、縦軸は画素31の出力のA/D変換後の出力VLを示してある。撮像素子3の各画素31の光電変換特性は、変曲点Ptよりも入射光量Lが少ない低輝度領域A1では線形特性を示し、変曲点Ptよりも入射光量Lが多い高輝度領域A2では対数特性を示すリニアログ特性であり、広いダイナミックレンジ(以下、Dレンジと言う)を有している。
【0043】
ただし、実際には、線形特性と対数特性とは、変曲点を境に完全に切り替わるのではなく、変曲点近傍では、線形でも対数でもない過渡的な特性の領域が存在する。この特性を線形対数特性と呼び、過渡的な領域を線形対数領域と呼ぶ。線形対数領域については、例えば特開2007−251898号公報等に記載されている。また、撮像素子3の画素31の構成や駆動方法、リニアログ特性の変曲点Ptの調整方法等は、上述した特許文献1を始め、多くの文献に詳述されている。
【0044】
また、撮像素子3にはA/D変換器が内蔵されており、撮像素子3からは、例えば各々14bitのリニアログ特性のYe画像成分、Re画像成分、IR画像成分およびW画像成分の各色の画像成分で構成される原画像データD3が出力される。なお、A/D変換器は、撮像素子3の外部に設けられてもよいし、制御部5に内蔵されてもよい。
【0045】
次に、画像処理部4の構成について、図4を用いて説明する。図4は、画像処理部4の構成を示すブロック図である。
【0046】
図4において、画像処理部4は、画素補正部41、輝度信号生成部43、色処理部45およびカラー画像生成部47等で構成される。各部は、ハードウェアで構成されてもよいし、CPUとソフトウェアとで構成されてもよいし、ハードウェアとCPUおよびソフトウェアとの混成で構成されてもよい。
【0047】
画素補正部41は、撮像素子3から出力された原画像データD3に、黒オフセット補正、変曲点補正、リニアログ特性の対数特性への変換、欠陥画素補正、露出補正等の処理を施して、画素補正画像データD41を出力する。画素補正画像データD41は、各々16bitの対数特性のYe、Re、IRおよびWの各画像成分で構成される。画素補正部41の動作の詳細は図5で説明する。
【0048】
輝度信号生成部43は、画素補正部41から出力された画素補正画像データD41に、Dレンジ圧縮、対数特性の線形特性への変換、色画素補間等の処理を施して、各々12bitの線形特性のYe、Re、IRおよびWの各画像成分で構成される第2補正画像データD43を得、第2補正画像データD43から輝度信号Yaddを生成する。輝度信号Yaddは、12bitの線形データである。輝度信号生成部43の動作の詳細は図6で説明する。
【0049】
色処理部45は、輝度信号生成部43から出力された輝度信号Yaddと、画素補正部41から出力された画素補正画像データD41とを用いて、特許文献4の方法を改良した各処理を行い、色信号D45を出力する。色信号D45は、各々8bitの線形の赤(R)画像成分、緑(G)画像成分、青(B)画像成分の各画像成分で構成される。色処理部45の動作の詳細は図7および図8で説明する。
【0050】
カラー画像生成部47は、色処理部45から出力された色信号D45に対して、ホワイトバランス補正、色補正、ガンマ補正、色空間変換、エッジ強調等の処理を施し、カラー画像D4を出力する。カラー画像D4は、各々8bitの線形の輝度信号Y4と色差信号Cb4、Cr4とで構成される。カラー画像生成部47の動作の詳細は図9で説明する。
【0051】
図5は、画像処理部4の画素補正部41の動作を示すフローチャートである。
【0052】
図5において、ステップS411で、撮像素子3から出力された原画像データD3に、画素単位での黒レベルのオフセット補正が施されて、黒補正原画像データD411(Ye1、Re1、IR1、W1)が生成される。各画素のオフセット値は、予め測定されて、記憶部6に記憶されている。黒オフセット補正については、例えば特開2005−079766号公報等に詳述されている。
【0053】
ステップS413で、ステップS411で黒オフセット補正が施された黒補正原画像データD411の光電変換特性が、リニアログ特性から基準の対数特性に特性変換され、対数原画像データD413(Ye2、Re2、IR2、W2)が生成される。対数原画像データD413は、16bitの対数特性データである。
【0054】
特性変換は、リニアログ特性を、線形特性、変曲点近傍の過渡的な特性である線形対数特性および対数特性の3つのブロックに分けて、各ブロック毎に行われる。特性変換によって、画素毎の変曲点バラツキも補正される。特性変換については、例えば特開2007−074488号公報や特開2007−251898号公報等に詳述されている。
【0055】
また、さらに必要に応じて、対数特性を、傾きの異なる第1対数特性と第2対数特性との2つのブロックに分け、合計4つの領域に分けて特性変換してもよい。
【0056】
ステップS415で、対数原画像データD413の画素欠陥のある位置に、画素欠陥補正が施され、欠陥補正原画像データD415(Ye3、Re3、IR3、W3)が生成される。画素欠陥補正は、隣接の同色の画素のデータを用いて線形補間する等のデジタルカメラ等で周知の方法で行われればよい。
【0057】
ステップS417で、欠陥補正原画像データD415の各データの平均値が所定値になるようなゲインが演算され、欠陥補正原画像データD415に乗算されて、画素補正画像データD41(Ye4、Re4、IR4、W4)が生成される。これによって、画像の暗部が黒ツブレすることなく再現される。
【0058】
図6は、画像処理部4の輝度信号生成部43の動作と構成とを示す模式図で、図6(a)は輝度信号生成部43の動作を示すフローチャートであり、図6(b)は輝度信号生成部43の中の照明成分抽出部および照明成分圧縮部の構成を示すブロック図である。
【0059】
図6(a)において、ステップS431で、画素補正画像データD41の照明成分Lが抽出され、画素補正画像データD41から照明成分Lが減算されることで反射率成分Rが求められる。
【0060】
ステップS433で、照明成分Lが圧縮されて圧縮照明成分L’が生成され、圧縮照明成分L’と反射率成分Rとが加算されることで、照明成分が圧縮された、つまりDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433(Ye5、Re5、IR5、W5)が生成される。
【0061】
ステップS431およびS433の動作は、図6(b)に示す構成によって実現される。図6(b)において、照明成分抽出部431は、例えば階層化ローパスフィルタ等で構成され、入力された画素補正画像データD41の低周波成分が照明成分Lとして抽出される。照明成分圧縮部433は、例えば乗算器等で構成され、所定値Gdrcと照明成分Lとを乗算することで、圧縮照明成分L’を得る。ここに、
L’=L×Gdrc ・・・(1式)
である。
【0062】
一方、減算器432によって、画素補正画像データD41から照明成分Lが減算されることで反射率成分Rが求められる。圧縮照明成分L’と反射率成分Rとが加算器434によって加算されることで、照明成分が圧縮された、つまりDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433が生成される。照明成分を圧縮することで、局所的なコントラストを保存したま全体のDレンジを圧縮することができる。なお、Dレンジ圧縮処理については、例えば特開2001−275015号公報や特開2009−081526号公報等に詳述されている。
【0063】
図6(a)に戻って、ステップS435で、対数特性のDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433が、線形特性の線形Dレンジ圧縮画像データD435(Ye6、Re6、IR6、W6)に変換される。変換は所定の変換テーブルによって行われ、16bitの対数特性のDレンジが圧縮されたDレンジ圧縮画像データD433が12bitの線形特性の線形Dレンジ圧縮画像データD435に変換される。
【0064】
ステップS437で、線形Dレンジ圧縮画像データD435の各画素位置に対するYe、Re、IRおよびWの各画像成分の欠損部分が補間処理され、色画素補間画像データD437(Ye7、Re7、IR7、W7)が生成される。補間処理は、例えば隣接する同色の画素データを線形補完する方法等、通常のデジタルカメラ等で行われている周知の方法で行われればよい。
【0065】
ステップS439で、色画素補間画像データD437の各画素での各画像成分を加算平均することで、画像処理の対象となっている原画像データD3の色空間の輝度信号Yaddが生成される。ここに、
Yadd=(Ye7+Re7+IR7+W7)/4 ・・・(2式)
である。
【0066】
輝度信号Yaddは、赤外光を含む原画像データD3に基づいて、Dレンジ圧縮処理を施した信号を加算して得られた輝度信号である。このように、画像表示時に視覚的に目立つ輝度成分を加算のみで生成するために、ノイズを低減することができる。また、可視光に対して赤外光が強い場合には、輝度信号Yaddを用いることで解像度の高い画像を得ることができる。なお、輝度信号生成部43は、ステップS439の動作を実行することで、本発明における輝度信号生成部として機能する。
【0067】
なお、輝度信号Yaddは、色画素補間画像データD437の各画素での各画像成分に重み付けをして加算することで求められてもよい。ここに、
Yadd=(a1×Ye7+a2×Re7+a3×IR7+a4×W7)/4 ・・・(2’式)
である。ただし、a1、a2、a3、a4は重み付け係数で、a1+a2+a3+a4=1である。重み付け係数は、例えば予め決められた値を用いればよい。
【0068】
図7は、画像処理部4の色処理部45の動作を示すフローチャートである。
【0069】
図7において、ステップS451で、画素補正部41で生成された16bitの対数特性の画素補正画像データD41に所定の変換テーブルを適用することで、32bitの線形特性に特性変換が行われ、線形画像データD451(Ye8、Re8、IR8、W8)が得られる。
【0070】
ステップS452で、線形画像データD451の各画素位置に対するYe、Re、IRおよびWの各画像成分の欠損部分が補間処理され、補間画像データD452(Ye9、Re9、IR9、W9)が生成される。補間処理は、例えば隣接する同色の画素データを線形補完する方法等、通常のデジタルカメラ等で行われている周知の方法で行われればよい。
【0071】
ステップS453で、補間画像データD452から、可視光の色信号である、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色信号が演算され、色信号データD453(R、G、B)が得られる。各色信号の演算式は、
R=Re9−IR9 ・・・(3−1式)
G=Ye9−Re9 ・・・(3−2式)
B=W9−Ye9 ・・・(3−3式)
である。ただし、演算結果が負になった場合には、0(ゼロ)に置き換える。
【0072】
色信号データD453は、赤外光を含む原画像データD3から色画素補間された補間画像データD452の可視光成分のみが抽出された信号であり、補間画像データD452には、Dレンジ圧縮は施されていない。
【0073】
これは、ステップS437で生成された色画素補間画像データD437のような赤外光を含んだ原画像データにDレンジ圧縮を施した信号を用いて色信号を生成すると、原画像データ中の可視光成分のDレンジに関係なくDレンジ圧縮された信号に基づいて色信号が生成されるために、色信号の彩度が低下するので、それを防止するためである。
【0074】
ステップS454で、上述した各処理で歪んだ色信号データD453のホワイトバランス(以下、WBと言う)をとるために、色信号データD453(R、G、B)に所定の第1のWBゲイン(gr、gg、gb)が乗算されて、第1WB補正色信号D454(R1、G1、B1)が生成される。ここに、
R1=R×gr ・・・(4−1式)
G1=G×gg ・・・(4−2式)
B1=B×gb ・・・(4−3式)
である。なお、第1のWBゲイン(gr、gg、gb)は、予め求められて記憶部6に記憶されていればよい。
【0075】
ステップS455で、第1WB補正色信号D454から、可視輝度信号Yと色差信号Cb、Crとが演算されて、輝度色差信号D455(Y、Cb、Cr)が生成される。演算式は、
Y=0.299×R1+0.587×G1+0.114×B1 ・・・(5−1式)
Cb=−0.169×R1−0.331×G1+0.500×B1・・・(5−2式)
Cr=0.500×R1−0.419×G1−0.081×G1 ・・・(5−3式)
である。なお、ステップS455は、本発明における色差信号生成部として機能する。
【0076】
ここで、ステップS453で得られた色信号データD453は、可視光成分のみのデータであるので、ステップS453の後にステップS491を設け、色信号データD453に上述したステップS431およびS433と同様のDレンジ圧縮を施して、Dレンジ圧縮色信号を生成してもよい。
【0077】
あるいは、ステップS455で得られた輝度色差信号D455も可視光成分のみのデータであるので、ステップS455の後にステップS492を設け、輝度色差信号D455に上述したステップS431およびS433と同様のDレンジ圧縮を施して、Dレンジ圧縮色差信号を生成してもよい。
【0078】
いずれにしても、Dレンジ圧縮を施すことで、照明成分を圧縮して、局所的なコントラストを保存したま全体のDレンジを圧縮することができ、データサイズを小さくして、以後の演算を容易にすることができる。
【0079】
ステップS456で、輝度色差信号D455の色差信号Cb、Crと、図6のステップS439で求められた輝度信号Yaddとから、原画像のエッジ部に発生する偽色を抑制した色差信号Cb’、Cr’が生成される。詳細は、図8で説明する。
【0080】
図8は、図7のステップS456に相当する色処理部45の偽色抑制部456の構成と動作とを示す模式図で、図8(a)は偽色抑制部456の構成を示すブロック図であり、図8(b)は偽色抑制部456で使用されるフィルタの構成図であり、図8(c)は偽色抑制部456で使用される係数を示すグラフである。
【0081】
図8(a)において、偽色抑制部456は、輝度高周波検出部456aと色差信号変調部456bとの2つのブロックで構成されている。
【0082】
輝度高周波検出部456aは、原画像のエッジ検出を行うために、図6のステップS439で生成された輝度信号Yaddに、図8(b)で示すPrewittフィルタ(水平方向がgHS、垂直方向がgVS)を適用して、エッジ量Yedgeを算出する。ここに、
Yedge=|gHS×Yadd|+|gVS×Yadd| ・・・(6式)
である。
【0083】
次に、エッジ量Yedgeから、輝度高周波信号Y’edgeが算出され、色差信号変調部456bに出力される。ここに、
Y’edge=Yedge/(Yadd×9) ・・・(7式)
である。輝度高周波信号Y’edgeは、1以上となる場合もある。
【0084】
一方、色差信号変調部456bは、輝度高周波検出部456aで生成された輝度高周波信号Y’edgeに基づいて、図8(c)に示す偽色抑制係数kを決定する。ここに、偽色抑制係数kは、
Y’edge<閾値αの時、
k=1
閾値α≦Y’edge≦閾値βの時、
k=−Y’edge/(β−α)−β/(β−α)
閾値β<Y’edgeの時、
k=0
である。閾値αおよびβは、画像の種類や用途等によって予め決定され、記憶部6に記憶されればよい。
【0085】
この偽色抑制係数kを用いて、図7のステップS455で生成された輝度色差信号D455の色差信号Cb、Crを変調することで、エッジ部の色信号が抑制された変調色差信号D456(Cb1、Cr1)が得られる。ここに、
Cb1=k×Cb ・・・(8−1式)
Cr1=k×Cr ・・・(8−2式)
である。
【0086】
これによって、撮像素子3の光学フィルタ配列に起因して原画像のエッジ部に発生する偽色を抑制することができる。また、後述するステップS458でのスムージング処理の前にステップS456で偽色抑制を行っておくことで、エッジ部に発生する偽色を、より効果的に抑制することができる。
【0087】
図7に戻って、ステップS457で、赤外光成分に比べて可視光成分が少ない場合に画像の彩度が高くなりすぎるのを防止するために、変調色差信号D456に、赤外光に対する可視光の量に応じた所定の係数vb、vrを乗算することで、変調色差信号D456の彩度を赤外光に対する可視光の量に応じて抑圧した彩度抑圧色差信号D457(Cb2、Cr2)が生成される。ここに、
Cb2=Cb1×vb ・・・(9−1式)
Cr2=Cr1×vr ・・・(9−2式)
である。
【0088】
可視光の成分の量は、ステップS452で得られた補間画像データD452のW画像成分とIR画像成分との差(W−IR)や、W画像成分とIR画像成分との比(W/IR)等で算出できる。また、所定の係数(vb、vr)は、例えば、W画像成分とIR画像成分との差や比等に応じて、予めルックアップテーブル(以下、LUTと言う)の形で用意され、記憶部6に記憶されればよい。
【0089】
ステップS458で、画素単位でのノイズ低減のために、ステップS457で得られた彩度抑圧色差信号D457(Cb2、Cr2)に3×3、あるいは5×5程度の比較的小さいサイズのローパスフィルタを適用することでスムージング処理が行われ、ノイズ成分がぼかされてS/N比が向上された色差低周波信号Cbs、Crsが得られる。
【0090】
ステップS453での色信号の演算では減算が用いられているのでノイズが増えるが、ステップS458でのスムージング処理によってノイズが減り、かつ人間の目の視覚特性のために、スムージング処理してもぼけて見えることはない。
【0091】
同様に、ステップS455で得られた可視光の輝度色差信号D455の可視輝度信号Yに、3×3、あるいは5×5程度の比較的小さいサイズのローパスフィルタを適用することでスムージング処理が行われ、可視輝度信号Yの低周波成分が抽出された可視輝度低周波信号Ysが抽出される。
【0092】
ステップS459で、図6のステップS439で生成された色差低周波信号Cbs、Crsが、赤外光領域を含む輝度信号Yaddと可視輝度信号Yとに基づいて補正されて、補正色差信号D459(Cbm、Crm)が生成される。補正に際して、輝度と色との空間周波数帯域を揃えることによって、輝度差の大きいエッジ領域に偽色が発生することを防止する。
【0093】
そこで、単に、
Cbm=Cbs×(Yadd/Y)
として補正するだけでなく、例えば、可視光の輝度の高周波成分と低周波成分とを含む可視輝度信号Yと、低周波成分のみを含む可視輝度低周波信号Ysとの比(Y/Ys)をとることで抽出した高輝度成分を、上述した補正項に重畳することで、輝度と色の空間周波数帯域を揃える。ここに、
Cbm=Cbs×(Yadd/Y)×(Y/Ys) ・・・(10−1式)
である。同様に、
Crm=Crs×(Yadd/Y)×(Y/Ys) ・・・(10−2式)
である。色差低周波信号Cbs、Crsは12ビットの線形特性の信号である。
【0094】
あるいは、(10−1式)および(10−2式)から可視輝度信号Yを約分して消去した、
Cbm=Cbs×(Yadd/Ys) ・・・(10−1’式)
Crm=Crs×(Yadd/Ys) ・・・(10−2’式)
でもよい。
【0095】
このように、赤外光領域を含む輝度信号Yaddと可視輝度信号Y、あるいは輝度低周波信号Yaddsと可視輝度低周波信号Ysとに基づいて補正色差信号D459を求めることで、変換対象となる色空間における色差信号と輝度信号とをバランスよく算出することができる。
【0096】
さらに、補正色差信号D459を求めるのに、輝度成分から抽出した高周波成分を重畳することで、輝度信号と色信号との空間周波数帯域がそろうために、輝度差の大きいエッジ領域等に偽色が発生することが緩和される。
【0097】
ステップS460で、ステップS459で得られた補正色差信号D459(Cbm、Crm)と、図6のステップS439で生成された輝度信号Yaddとから、色信号D45(R2、G2、B2)が演算される。演算式は、
R2=Yadd+1.402×Crm ・・・(11−1式)
G2=Yadd−0.344×Cbm−0.714×Crm・・・(11−2式)
B2=Yadd+1.772×Cbm ・・・(11−3式)
である。色信号D45は、各々8bitの線形特性のデータである。
【0098】
色信号D45(R2、G2、B2)は、上述の処理を経て演算されたものであるため、ステップS453で補間画像データD452から減算処理によって演算された色信号データD453(R、G、B)に比べてはるかに精度の高い色信号となっている。
【0099】
なお、上述した(10−1式)および(10−2式)、あるいは(10−1’式)および(10−2’式)の処理は、赤外光領域を含まない構成であっても成り立つ。赤外光領域を含まない構成とは、通常の原色系あるいは補色系のフィルタと、赤外カットフィルタとの組み合わせであって、例えば、撮像素子のある行にイェロー(Ye)フィルタを設けた画素(Ye画素と言う)とフィルタを設けない画素(W画素と言う)とが交互に配列され、隣接する行にレッド(Re)フィルタを設けた画素(Re画素)とW画素とが交互に配列され、これが行毎に交互に繰り返されている組み合わせの全体に赤外カットフィルタを設けた構成が考えられる。
【0100】
その他に考えられる画素配列としては、
1)撮像素子のある行にYe画素とW画素とが交互に配列され、隣接する行にグリーンフィルタを設けた画素(G画素)とW画素とが交互に配列されたもの
2)撮像素子のある行にシアンフィルタを設けた画素(C画素)とマゼンタフィルタを設けた画素(M画素)とが交互に配列され、隣接する行にYe画素とG画素とが交互に配列されたもの
3)撮像素子のある行にRe画素とG画素とが交互に配列され、隣接する行にG画素とブルー(B)フィルタを設けた画素(B画素)とが交互に配列されたもの
等がある。ただし、画素配列は、これに限定されるものではない。
【0101】
従来の可視補色フィルタを用いた場合、CMY画像からRGB画像を得て、RGB画像から求めた輝度Yを加算輝度Yaddに置き換えることで輝度のS/N向上させることができるが、以降の処理で再度RGBに置換した場合に、輝度Yと加算輝度Yaddとの違いが色の違いとして現れるという問題がある。
【0102】
しかし、上述した(10−1式)および(10−2式)、あるいは(10−1’式)および(10−2’式)の処理を施すことで、RGBの色の比が保存されるので、色再現性が向上する効果がある。
【0103】
図9は、画像処理部4のカラー画像生成部47の動作を示すフローチャートである。
【0104】
図9において、ステップS471で、ステップS454以降の各処理で歪んだWBを補正するために、ステップS460で得られた色信号D45(R2、G2、B2)に所定の第2のWBゲイン(gr2、gg2、gb2)が乗算されて、第2WB補正色信号D471(R3、G3、B3)が得られる。ここに、
R3=R2×gr2 ・・・(12−1式)
G3=G2×gg2 ・・・(12−2式)
B3=B2×gb2 ・・・(12−3式)
である。
【0105】
ステップS473で、第2WB補正色信号D471に所定の行列を用いて色補正が施され、色補正色信号D473(R4、G4、B4)が生成される。ここに、
【0106】
【数1】
【0107】
である。所定の行列は、予め決定されて、記憶部6に記憶されればよい。
【0108】
ステップS475で、例えば表示部7や外部のディスプレイ等のような出力機器のガンマ特性に合わせて、色補正色信号D473にガンマ補正を施し、ガンマ補正色信号D474(R5、G5、B5)が生成される。
【0109】
ガンマ補正は、例えば表示部7のような出力機器のガンマ特性に合わせて予め用意されたガンマ補正LUTを用いて、色補正色信号D473(R4、G4、B4)を変換すればよい。あるいは、例えばIEC 61966−2−1 sRGB規格のような標準的なディスプレイの規格に合わせてガンマ補正してもよい。
【0110】
ステップS477で、ガンマ補正色信号D474(R5、G5、B5)から輝度信号Y3と色差信号Cb3、Cr3とが演算されて、第2輝度色差信号D477(Y3、Cb3、Cr3)が生成される。演算式はステップS455と同様で、
Y3=0.299×R5+0.587×G5+0.114×B5 ・・・(14−1式)
Cb3=−0.169×R5−0.331×G5+0.500×B5・・・(14−2式)
Cr3=0.500×R5−0.419×G5−0.081×G5 ・・・(14−3式)
である。
【0111】
ステップS479で、第2輝度色差信号D477にエッジ強調処理が施されて、カラー画像D4(Y4、Cb4、Cr4)が生成され、画像処理部4から出力される。カラー画像D4は、各々8bitの線形の信号である。
【0112】
上述した第1の実施の形態は、図2に示した例とは異なる構成の撮像素子にも適用できる。そこで、撮像素子の構成の第2の例について、図10および図11を用いて説明する。図10は、撮像素子の構成の第2の例を示す模式図である。
【0113】
図10において、撮像素子3は、図2に示したと同じリニアログセンサであり、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、青(B)フィルタ、緑(G)フィルタ、赤(R)フィルタおよび赤外透過(IR)フィルタの4種類のフィルタの何れかが設けられた画素31が規則的に配置されている。
【0114】
図示の例では、ある行に、Bフィルタが設けられた画素31とRフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはGフィルタが設けられた画素31とIRフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0115】
図11に、撮像素子3の分光特性の一例を示す。図11は、撮像素子の構成の第2の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【0116】
図11において、Bフィルタは可視波長の青色領域を透過させる。Gフィルタは可視波長の緑色領域を透過させる。Rフィルタは可視波長の赤色領域を透過させる。IRフィルタは、赤外波長域を透過させる。便宜上、IRについても色と呼ぶ。
【0117】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0118】
従って、撮像素子3のBフィルタが設けられた画素31(以下、B画素と言う。各色とも同じである。)は、可視波長域の青色を有感度域とし、G画素は可視波長域の緑色を有感度域とし、R画素は可視波長域の赤色を有感度域とし、IR画素は赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0119】
撮像素子3の構成の第2の例を用いる場合には、色フィルタの構成が図2の例とは異なるので、色処理に関するステップS439の(2式)と(2’式)、およびステップS453の(3−1式)、(3−2式)、(3−3式)を以下のように修正する必要がある。ここに、
Yadd=(B7+G7+R7+IR7)/4 ・・・(2式)
Yadd=(a1×B7+a2×G7+a3×R7+a4×IR7)/4 ・・・(2’式)
R=R9 ・・・(3−1式)
G=G9 ・・・(3−2式)
B=B9 ・・・(3−3式)
である。
【0120】
さらに、撮像素子の構成の第3の例について、図12および図13を用いて説明する。図12は、撮像素子の構成の第3の例を示す模式図である。
【0121】
図12において、撮像素子3は、図2に示したと同じリニアログセンサであり、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、青(Bl)フィルタ、緑(Gr)フィルタ、赤(Re)フィルタおよび赤外透過(IR)フィルタの4種類のフィルタの何れかが設けられた画素31が規則的に配置されている。図10の第2の例と記号が異なるのは、図13に示す各フィルタの分光感度が異なるからである。
【0122】
図示の例では、ある行に、Blフィルタが設けられた画素31とReフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはGrフィルタが設けられた画素31とIRフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0123】
図13に、撮像素子3の分光特性の一例を示す。図13は、撮像素子の構成の第3の例の各フィルタの分光特性と、フォトダイオードの分光感度特性とを示す模式図である。
【0124】
図13において、Blフィルタは可視波長の青色領域と赤外波長域とを透過させる。Grフィルタは可視波長の緑色領域と赤外波長域とを透過させる。Reフィルタは可視波長の赤色領域と赤外波長域とを透過させる。IRフィルタは、赤外波長域を透過させる。便宜上、IRについても色と呼ぶ。
【0125】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0126】
従って、撮像素子3のBl画素は、可視波長域の青色と赤外波長域の700nmから1100nmまでとを有感度域とし、Gr画素は可視波長域の緑色と赤外波長域の700nmから1100nmまでとを有感度域とし、Re画素は可視波長域の赤色から赤外波長域の1100nmまでとを有感度域とし、IR画素は赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0127】
撮像素子3の構成の第3の例を用いる場合には、色フィルタの構成が図2および図10の例とは異なるので、色処理に関するステップS439の(2式)と(2’式)、およびステップS453の(3−1式)、(3−2式)、(3−3式)を以下のように修正する必要がある。ここに、
Yadd=(Bl7+Gr7+Re7+IR7)/4 ・・・(2式)
Yadd=(a1×Bl7+a2×Gr7+a3×Re7+a4×IR7)/4 ・・・(2’式)
R=Re9−IR9 ・・・(3−1式)
G=Gr9−IR9 ・・・(3−2式)
B=Bl9−IR9 ・・・(3−3式)
である。
【0128】
上述したように、第1の実施の形態によれば、撮像光学系と、リニアログ特性の撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる4種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、色差信号とを抽出し、赤外波長成分を含む輝度信号の高周波成分に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止し、夜間のS/N比が高く、Dレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0129】
次に、本発明における撮像装置の第2の実施の形態について、図14から図16を用いて説明する。撮像装置の第2の実施の形態の構成は、図1に示したと同じであるので、説明は省略する。図14は、撮像装置の第2の実施の形態に用いられる撮像素子の特性および構成を示す模式図で、図14(a)は撮像素子の光電変換特性を示す模式図であり、図14(b)は撮像素子のフィルタ構成を示す模式図である。
【0130】
図14(a)において、撮像素子3は、通常の線形特性の光電変換特性を有している。通常の線形特性の光電変換特性を有する撮像素子3を用いて、第1の輝度範囲A1を第1のシャッタ速度SS1で撮像することで、第1の光電変換特性S1が得られる。同様に、第1の輝度範囲A1よりも明るく、第1の輝度範囲A1と重なる輝度領域A3を有する第2の輝度範囲A2を、第1のシャッタ速度SS1よりも早い第2のシャッタ速度SS2で撮像することで、第2の光電変換特性S2が得られる。
【0131】
画像処理部4によって、第1の光電変換特性S1と第2の光電変換特性S2とを、重なる輝度領域A3の部分で連結することで、輝度範囲(A1+A2)をカバーする広いDレンジを有する光電変換特性S3を合成することができる。理論的には重なる輝度領域A3はなくてもよいので、この方法で通常の線形特性の光電変換特性の最大2倍のDレンジを得ることができる。
【0132】
従って、第1の光電変換特性S1および第2の光電変換特性S2が例えば14ビットのデータの場合、光電変換特性S3は最大28ビットのデータとなる。同様にして3つ以上の輝度範囲を連結することも可能である。
【0133】
図14(b)において、撮像素子3は、2次元マトリクス状に配置された複数の画素31を有し、イェロー(Ye)フィルタ、マゼンタ(M)フィルタ、シアン(C)フィルタの3種類の補色フィルタの何れかが設けられた画素31と、フィルタが設けられていない(便宜的にWフィルタが設けられていると言う)画素31とが規則的に配置されている。
【0134】
図示の例では、ある行に、Mフィルタが設けられた画素31とWフィルタが設けられた画素31とが交互に配列され、次の行にはCフィルタが設けられた画素31とYeフィルタが設けられた画素31とが交互に配列されて、これが行毎に交互に繰り返されている。ただし、フィルタの配列は、これに限定されるものではない。
【0135】
図15に、撮像素子3の分光特性の例を示す。図15は、撮像素子3の各フィルタの分光特性の例と、フォトダイオードPDの分光感度特性の例とを示す模式図である。
【0136】
図15において、Yeフィルタは、可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Mフィルタは、可視波長の緑色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Cフィルタは、可視波長の赤色領域を除く波長域と赤外波長域とを透過させる。Wフィルタは可視波長域と赤外波長域とを透過させる。便宜上、Wについても、色と呼ぶ。
【0137】
一方、撮像素子3のフォトダイオードPDは、概略300nmから1100nmの範囲に感度を有し、650nmから700nmあたりに感度ピークを有する。感度範囲および感度ピークは、フォトダイオードPDの構造や不純物濃度等によって変化する。
【0138】
従って、撮像素子3のYeフィルタが設けられた画素31(以下、Ye画素と言う。各色とも同じである。)は、可視波長域の緑色から赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、M画素は可視波長域の青色と赤色と赤外波長域の1100nmまでを有感度域とし、C画素は可視波長域の青色と緑色と赤外波長域の700nmから1100nmまでを有感度域とし、W画素は300nmから1100nmまでを有感度域とする。
【0139】
図16は、第2の実施の形態における画像処理部4の構成を示すブロック図である。
【0140】
図16において、画像処理部4は、図4に示した第1の実施の形態の画素補正部41の前に、Dレンジ拡大部49を有している。
【0141】
Dレンジ拡大部49は、撮像素子3で第1のシャッタ速度SS1で撮像された原画像データD31(Ye、M、C、W)と、原画像データD31に連続して第2のシャッタ速度SS2で撮像された原画像データD32(Ye、M、C、W)とに基づいて、図14(a)で説明した方法により、Dレンジが拡大された原画像データD3(Ye、M、C、W)を合成する。これ以降は、原画像データD3を用いて画像処理を行う。画素補正部41以降の構成については、図4と同じであるので、説明は省略する。
【0142】
原画像データD3は線形特性のデータであるので、図5から図9に示した画像処理部4の各部の動作の中で、ステップS413(線形対数変換)、ステップS435(対数線形変換)およびステップS451(対数線形変換)は不要であり、画像処理部4の各部の動作は全て線形特性で取り扱うことができる。
【0143】
ただし、上述したように、原画像データD3はビット数の大きいデータであるので、ステップS413(線形対数変換)で対数圧縮することで、ビット数の小さいデータに変換してから、それ以降の演算を行うことでもよい。その場合には、ステップS435(対数線形変換)およびステップS451(対数線形変換)での線形伸張が必要となる。
【0144】
また、第2の実施の形態の撮像素子3は、色フィルタの構成が第1の実施の形態とは異なるので、色処理に関するステップS439の(2式)と(2’式)、およびステップS453の(3−1式)、(3−2式)、(3−3式)を以下のように修正する必要がある。ここに、
Yadd=(Ye7+M7+C7+W7)/4 ・・・(2式)
Yadd=(a1×Ye7+a2×M7+a3×C7+a4×W7)/4 ・・・(2’式)
R=W9−C9 ・・・(3−1式)
G=W9−M9 ・・・(3−2式)
B=W9−Ye9 ・・・(3−3式)
である。
【0145】
第2の実施の形態の画像処理部4の各部のその他の動作は、図5から図9に示したものと同じであるので、説明は省略する。
【0146】
上述したように、第2の実施の形態によれば、撮像光学系と、線形特性の撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる4種類の画素が配列された撮像素子を用いて異なるシャッタ速度で撮像された2枚の画像を合成した原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、色差信号とを抽出し、赤外波長成分を含む輝度信号の高周波成分に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止し、夜間のS/N比が高く、Dレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0147】
次に、本発明における撮像装置の第3の実施の形態について、図17を用いて説明する。撮像装置の第3の実施の形態の構成は、図1に示したと同じであるので、説明は省略する。図17は、撮像装置の第3の実施の形態に用いられる撮像素子の光電変換特性を示す模式図である。
【0148】
図17において、撮像素子3は、ニー特性と呼ばれる折れ線形の線形の光電変換特性を有している。ニー特性は、入射光量が少ない低輝度域A1では傾きの大きい線形の第1の光電変換特性S1を有し、入射光量が多い高輝度域A2では傾きの小さい線形の第2の光電変換特性S2を有している。
【0149】
第2の実施の形態と同様に、図16に示した画像処理部4のDレンジ拡大部49によって、第2の光電変換特性S2を、第1の光電変換特性S1の延長線上に伸張することで、輝度範囲(A1+A2)をカバーする広いDレンジを有する線形の光電変換特性S3を得ることができる。あるいは、第1の光電変換特性S1の傾きを第2の光電変換特性の傾きに合わせて寝かせ、第2の光電変換特性S2と連結することで、輝度範囲(A1+A2)をカバーするビット数の小さい線形の光電変換特性S4を得ることもできる。
【0150】
画素補正部41以降の構成については、図4と同じであるので、説明は省略する。また、得られる原画像データは線形特性であるので、第2の実施の形態と同様に、ステップS413(線形対数変換)、ステップS435(対数線形変換)およびステップS451(対数線形変換)は不要である。さらに、色処理に関しては、用いるフィルタに合わせて、第1の実施の形態の式か第2の実施の形態の式かを使い分ければよい。
【0151】
上述したように、第3の実施の形態によれば、撮像光学系と、ニー特性の撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる4種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、色差信号とを抽出し、赤外波長成分を含む輝度信号の高周波成分に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止し、夜間のS/N比が高く、Dレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0152】
なお、上述した第1から第3の実施の形態では、撮像素子3は4種類の異なるフィルタを備えているとしたが、これに限定されるものではなく、少なくとも3種類のフィルタを備えていればよい。この場合、フィルタの種類として、各フィルタの分光透過特性から赤(R)、緑(G)、青(B)の色信号を生成することができる種類のものを採用すればよい。
【0153】
以上に述べたように、本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号と、可視波長成分の色差信号とを生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0154】
また、本発明によれば、撮像光学系と、撮像素子と、画像処理部とを備えた撮像装置において、赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列された撮像素子を用いて撮像された少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データをダイナミックレンジ圧縮して赤外波長成分を含む輝度信号を生成し、原画像データから可視波長成分の色差信号を生成し、輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成し、輝度高周波信号に基づいて色差信号の変調を行うことで、撮像素子の色フィルタ配列に起因するエッジ部の偽色の発生を防止することができ、夜間のS/N比が高く、ダイナミックレンジの広い、きれいなカラー画像を得ることのできる撮像装置を提供することができる。
【0155】
なお、本発明に係る撮像装置を構成する各構成の細部構成および細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 撮像装置
2撮像光学系
21 光軸
3 撮像素子
31 画素
4 画像処理部
41 画素補正部
43 輝度信号生成部
431 照明成分抽出部
433 照明成分圧縮部
45 色処理部
456 偽色抑制部
456a 輝度高周波検出部
456b 色差信号変調部
47 カラー画像生成部
49 Dレンジ拡大部
5 制御部
6 記憶部
7 表示部
8 インターフェース(I/F)部
L 光量
VL 出力
Pt 変曲点
Yadd 輝度信号
Y 可視輝度信号
Cb、Cr 色差信号
D4 カラー画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データをダイナミックレンジ圧縮し、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の青色領域と緑色領域とを除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
全可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の赤色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子は、
可視波長の赤色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の青色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子は、入射光量に応じて、少なくとも線形特性と対数特性との2つの光電変換特性を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像素子は、線形の光電変換特性を有し、
前記画像処理部は、露出時間の異なる少なくとも2枚の連続した原画像データに基づいて、1枚の画像データを生成し、これを原画像データとしてカラー画像を生成することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子は、傾きの異なる折れ線形の線形の光電変換特性を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項1】
被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データから、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体像を結像させる撮像光学系と、
赤外波長域を含み、可視波長域を選択的に含んだ感度域を有し、分光感度の異なる少なくとも3種類の画素が配列され、前記被写体像を撮像して、前記画素の各々から出力される少なくとも3種類の原画像成分を含んだ原画像データを生成する撮像素子と、
前記原画像データをダイナミックレンジ圧縮し、赤外波長成分を含む輝度信号を生成する輝度信号生成部と、
前記原画像データから、可視波長成分の色差信号を生成する色差信号生成部と、
前記輝度信号のエッジを検出して輝度高周波信号を生成する輝度高周波検出部と、
前記輝度高周波信号に基づいて前記色差信号の変調を行い、変調色差信号を生成する色差信号変調部と、
前記輝度信号と前記変調色差信号とに基づいて、カラー画像を生成するカラー画像生成部とを有する画像処理部とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の青色領域と緑色領域とを除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
全可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子は、
可視波長の青色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の赤色領域を除く波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
可視波長域と赤外波長域とを有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像素子は、
可視波長の赤色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第1の画素と、
可視波長の緑色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第2の画素と、
可視波長の青色領域と赤外波長域とを有感度波長域とする第3の画素と、
赤外波長域を有感度波長域とする第4の画素とが2次元マトリクス状に規則的に配列されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像素子は、入射光量に応じて、少なくとも線形特性と対数特性との2つの光電変換特性を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像素子は、線形の光電変換特性を有し、
前記画像処理部は、露出時間の異なる少なくとも2枚の連続した原画像データに基づいて、1枚の画像データを生成し、これを原画像データとしてカラー画像を生成することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像素子は、傾きの異なる折れ線形の線形の光電変換特性を有することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−259060(P2011−259060A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129727(P2010−129727)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】
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