撮像装置
【課題】切り替え動作可能なミラーユニットに着目して異物を捕獲するようにして、撮像素子を含む撮像部に異物が付着するのを抑える。
【解決手段】ミラーアップ動作によって生じる気流に乗って、主ミラーユニット1のミラー部材11に付着していた異物14は、ミラー部材11の中心側から端に向かって移動する。この場合に、移動してきた異物14は塀部材13の内側に衝突して、粘着部材13aにより捕獲される。したがって、ミラー部材11に付着していた異物14が飛散するのを防止することができ、ミラーアップ動作中やミラーアップ動作後、主ミラーユニット1の下側に回り込むことがない。
【解決手段】ミラーアップ動作によって生じる気流に乗って、主ミラーユニット1のミラー部材11に付着していた異物14は、ミラー部材11の中心側から端に向かって移動する。この場合に、移動してきた異物14は塀部材13の内側に衝突して、粘着部材13aにより捕獲される。したがって、ミラー部材11に付着していた異物14が飛散するのを防止することができ、ミラーアップ動作中やミラーアップ動作後、主ミラーユニット1の下側に回り込むことがない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーユニットを切り替え動作可能とした撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムカメラは、被写体像として入射する光をフィルムに露光するものであるのに対して、デジタルカメラは、光のエネルギーを電気信号に変換する固体撮像素子に露光することによって画像を記録するものである。デジタルカメラの代表例として、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ100(以下、D-SLR100と略す)の基本的な概略構成を図17に示す。
【0003】
図17(a)は交換レンズ102から入った被写体像をファインダ103で確認することのできる撮像待機状態を示し、図17(b)は撮像状態を示す。
【0004】
101は撮像部であり、交換レンズ102からの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子を含む。102は交換レンズであり、被写体からの反射光を捉え、撮像部101に結像させるための複数のレンズ(102a、102b等)、及び、絞り102cを備える。
【0005】
103は光学ファインダであり、フォーカシングスクリーン107と、プリズム108と、接眼レンズ109とにより構成される。フォーカシングスクリーン107には、主ミラーユニット106により上部に反射した光束が結像する。プリズム108は、フォーカシングスクリーン107に結像した像を正立実像にするために内部で像を反射させる。接眼レンズ109は、プリズム108から射出された像を適正な倍率で使用者が確認できるようにする。
【0006】
104は交換レンズ102を装着するためのマウント部である。106は主ミラーユニットであり、ミラーボックス105と呼ばれる空間内で交換レンズ102と撮像部101の光軸上に配置されている。
【0007】
110はサブミラーユニットであり、交換レンズ102から入射した光束のうち主ミラーユニット106を透過した光束を反射してAFユニット111に導く。111はAF(オートフォーカス)ユニットであり、被写体との距離を測定する。
【0008】
112は複数のシャッタ羽根からなるフォーカルプレーンシャッタであり、入射した光束を所望時間だけ撮像部101に照射させる。
【0009】
撮像待機状態では、図17(a)に示すように、光軸上に設置された主ミラーユニット106により光束の一部が上部に垂直に反射し、使用者はファインダ103を介して被写体像を確認することができる。これにより、使用者はファインダ103により交換レンズ102から入射した被写体像の構図を決定することができる。また、主ミラーユニットを透過した残りの光束がサブミラーユニット106により反射してAFユニット111に導かれる。
【0010】
撮像状態では、図17(b)に示すように、交換レンズ102から入射した光束を撮像部101に入射させるために主ミラーユニット106及びサブミラーユニット110を跳ね上げて光軸上から退避させる。その状態で、フォーカルプレーンシャッタ112のシャッタ羽根を開くことにより光束が撮像部101に入射する。
【0011】
ところで、フィルムカメラでは、フィルムに塵埃等の異物が付着しても、フィルムを巻き上げれば次のコマに影響を与えることがない。しかしながら、D-SLR100では、フィルムカメラと異なり撮像部101で撮像するために、撮像部101に異物が付着すると、その付着した異物がある箇所は、撮像部101に光が届かないために撮影画像に影として写り込み続けてしまう。
【0012】
異物が発生する原因として、以下のことが考えられる。第1に、フォーカルプレーンシャッタ112を備えたカメラでは、シャッタ羽根がシャッタ動作時に擦れることによってシャッタ羽根の塗装が剥がれ、異物としてカメラ内部に残留してしまう。
【0013】
第2に、レンズ交換式のカメラでは、交換レンズ102非装着時にマウント部104を保護する不図示のマウントキャップを装着する。そのときに、マウントキャップとマウント部104の擦れによりマウントキャップが削れ、その削れ片が異物として侵入してしまう。
【0014】
第3に、交換レンズ102の交換時に、マウント部104を介してカメラ内部が外界にさらされ、カメラ内部へ異物が侵入してしまう。
【0015】
上記第2、第3の理由でミラーボックス105内に侵入した異物は、撮像部101に直接付着することはほとんどなく、まずミラーボックス105内に付着し、その異物がなんらかの原因で撮像部101に付着する。なぜなら、撮影中以外では撮像部101に光が入射しないように、撮像部101の前面にフォーカルプレーンシャッタ112があり、シャッタ羽根が撮像部101を完全に覆っているからである。
【0016】
ところで、ミラーアップ動作時に、ミラーボックス105内では主ミラーユニット106やサブミラーユニット110が移動することによって空気の対流が生じる。例えば、主ミラーユニット106上方の空間は、主ミラーユニット106がアップ動作することにより容積が小さくなるので、主ミラーユニット106上方の空間に存在していた空気が主ミラーユニット106の下側に流れる。この気流により、ミラーボックス105内に進入した異物のうち、主ミラーユニット106に付着した異物は付着位置から離れて移動し、主ミラーユニット106の下側に回り込んで、撮像部101に向かってしまう。
【0017】
撮像部101に向かう異物を捕獲する対策として、フォーカルプレーンシャッタ内に粘着部を設ける技術が知られている(特許文献1を参照)。これは、フォーカルプレーンシャッタ内のシャッタ羽根が接触しない箇所に粘着部を設け、フォーカルプレーンシャッタから発生した異物を捕獲するというものである。
【0018】
また、フォーカルプレーンシャッタと撮像部の間に粘着部材を設ける技術が知られている(特許文献2を参照)。これは、フォーカルプレーンシャッタと撮像部の間を密閉し、その壁の部分を粘着部材にすることで侵入してきた異物を捕獲するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2002−350926号公報(第9頁、図1)
【特許文献2】特開2004−85942号公報(第7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献1にあるように、フォーカルプレーンシャッタ内に粘着部を設ける場合、フォーカルプレーンシャッタから発生した異物のうち、粘着部に衝突するもののみが捕獲可能である。しかしながら、主ミラーユニットやミラーボックス内壁に付着していて、気流に乗る等してフォーカルプレーンシャッタの開口に飛んでくる異物に対しては効果がないという問題があった。
【0021】
また、特許文献2にあるように、フォーカルプレーンシャッタと撮像部の間を密閉し、その壁の部分を粘着部材にしたときも、特許文献1の課題と同様に、主ミラーユニットやミラーボックス内壁に付着していて、気流に乗る等してフォーカルプレーンシャッタの開口に飛んでくる異物に対しては効果がないという問題があった。さらに、粘着部が固定されているため、異物の付着状況や時間の経過により異物の捕獲能力が低下するという問題があった。
【0022】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、切り替え動作可能なミラーユニットに着目して異物を捕獲するようにして、撮像素子を含む撮像部に異物が付着するのを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の撮像装置は、撮像レンズからの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記被写体像を観察するための光学ファインダと、少なくとも一部の領域で光束を透過するハーフミラーを有するメインミラーユニットと、全反射のミラーを有するサブミラーユニットと、前記撮像レンズの結像状態を検出するためのAFユニットとを備え、前記撮像レンズからの光束の一部を前記メインミラーユニットにて前記光学ファインダに反射し、透過した残りの光束を前記サブミラーユニットにて反射して前記AFユニットに導く第1の状態と、前記メインミラーユニット及び前記サブミラーユニットで反射及び透過させることなく、前記撮像レンズからの光束の全てを前記撮像素子に導く第2の状態とに切り替え動作可能とした撮像装置であって、前記サブミラーユニットの反射面とは反対側の面に、前記ミラーユニットの切り替え動作によって飛散する異物を捕獲する異物捕獲部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、切り替え動作可能なミラーユニットに付着した異物が飛散するのを防止したり、ミラーユニットの切り替え動作を利用してミラーユニットのまわりに浮遊する異物を捕獲したりすることができ、撮像素子を含む撮像部に異物が付着するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る主ミラーユニットを交換レンズ側から見た前方斜視図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】ミラーアップ動作中のミラーボックス内を交換レンズ側から見た正面図である。
【図5】第2の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る主ミラーユニットを交換レンズ側から見た前方斜視図である。
【図7】図6のX-X線断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る主ミラーユニットを交換レンズ側から見た前方斜視図である。
【図10】ミラーアップ動作中のミラーボックス内を交換レンズ側から見た正面図である。
【図11】ミラーアップ動作中のミラーボックス内を交換レンズ側から見た側面図である。
【図12】ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニットとミラーボックスとの関係を示す正面図である。
【図13】ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニットとミラーボックスとの関係を示す側面図である。
【図14】第4の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図15】第4の実施形態に係る主ミラーユニット及びサブミラーユニットをフォーカルプレーンシャッタ側から見た後方斜視図である。
【図16】ミラーダウン動作時の主ミラーユニット及びサブミラーユニットの側面図である。
【図17】レンズ交換式デジタル一眼レフカメラの基本的な概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1には、第1の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。なお、主ミラーユニット(メインミラーユニット)1以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0027】
図2には、主ミラーユニット1を交換レンズ102側から見た前方斜視図を示す。11はミラー部材、12はミラー部材11を保持する保持部材、13はミラー部材11の外周に位置するように保持部材12に設けられた塀部材である。塀部材13はミラー部材11の反射面よりも一段高くなっている。
【0028】
図3には、図2のA部拡大図を示す。13aは粘着部材であり、塀部材13の内側、すなわちミラー部材11側の全面に貼り付けられている。なお、粘着部材13aとしては、塀部材13に貼り付けるようにしたものだけでなく、例えば粘着剤を塗布するような形態であってもよい。
【0029】
図4には、ミラーアップ動作中のミラーボックス105内を交換レンズ102側から見た正面図を示す。14はミラーアップ動作前にミラー部材11に付着していた異物である。既述したように、ミラーボックス105内では主ミラーユニット1やサブミラーユニット110が移動することによって空気の対流が生じる。特に、主ミラーユニット1上方の空間は、主ミラーユニット1がアップ動作することにより容積が小さくなるので、主ミラーユニット1上方の空間に存在していた空気が主ミラーユニット1の下側に流れる。これにより、異物14はミラーアップ動作によって生じる気流に乗って、矢印Aのように左右方向や矢印Bのように前後方向あるいは斜め方向等、ミラー部材11の中心側から端に向かって移動する。
【0030】
この場合に、ミラー部材11の外周には塀部材13が設けられているので、移動してきた異物14は塀部材13の内側に衝突する。塀部材13の内側には粘着部材13aが設けられているので、塀部材13の内側に衝突した異物14は粘着部材13aにより捕獲される。したがって、ミラー部材11に付着していた異物14が飛散するのを防止することができ、ミラーアップ動作中やミラーアップ動作後、主ミラーユニット1の下側に回り込むことがない。すなわち、異物14がミラーアップ動作中にミラーボックス105内を浮遊するのを防ぐことができる。これにより、異物14がミラーボックス105に付着することもないため、撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【0031】
本実施形態において、粘着部材13aを交換可能にしておけば、粘着部材13aの粘着力が弱くなったときに粘着部材13aを交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、塀部材13を保持部材12と別体として着脱可能とし、塀部材13そのものを交換するようにしてもよい。逆に、保持部材12と塀部材13を一体化する場合は、部品点数を削減することができる。
【0032】
また、粘着部材13aの代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0033】
以上説明したように、切り替え動作可能な主ミラーユニット1に付着した異物が飛散するのを防止することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図5には、第2の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例である。なお、主ミラーユニット2以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図6には、主ミラーユニット2を交換レンズ102側から見た前方斜視図を示す。11はミラー部材、12はミラー部材11を保持する保持部材、15はミラー部材の外周に位置するように保持部材12に設けられた塀部材である。塀部材15はミラー部材11の反射面よりも一段高くなっている。
【0036】
15aは粘着部材であり、塀部材15の内側、すなわちミラー部材11側の全面に貼り付けられている。なお、粘着部材15aとしては、塀部材15に貼り付けるようにしたものだけでなく、例えば粘着剤を塗布するような形態であってもよい。
【0037】
図7には、図6のX-X線断面図を示す。同図に示すように、塀部材15が中間位置で内側、すなわちミラー部材11側に折れ曲がっている。これにより、まっすぐに立ち上がる塀部材13と比べて、ミラーアップ動作中にミラー部材11の端に向かって移動する異物14(図7中には不図示)をより確実に粘着部材15aにより捕獲することができる。
【0038】
もちろん、図7に示す断面に限らず、他の外周部においても同様に塀部材15がミラー部材11側に折れ曲がっていれば、さらに効果がある。
【0039】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、粘着部材15aを交換可能にしておけば、粘着部材15aの粘着力が弱くなったときに粘着部材15aを交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、塀部材15を保持部材12と別体として着脱可能とし、塀部材15そのものを交換するようにしてもよい。逆に、保持部材12と塀部材15を一体化する場合は、部品点数を削減することができる。
【0040】
また、粘着部材15aの代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0041】
以上説明したように、切り替え動作可能な主ミラーユニット1に付着した異物が飛散するのを防止することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
図8には、第3の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。なお、主ミラーユニット3以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0043】
図9には、主ミラーユニット3を交換レンズ102側から見た前方斜視図を示す。また、図10には、ミラーアップ動作中のミラーボックス105内を交換レンズ102側から見た正面図を、図11には、ミラーボックス105内の側面図をそれぞれ示す。
【0044】
21はミラー部材11を保持する保持部材である。保持部材21の左右の側面とフォーカルプレーンシャッタ112(すなわち、撮像部101)側の側面には粘着部材21aが貼り付けられている。
【0045】
また、22はミラー部材11の外周のうち交換レンズ102側に位置するように保持部材12に設けられた塀部材である。塀部材22はミラー部材11の反射面よりも一段高くなっている。22aは粘着部材であり、塀部材22の内側、すなわちミラー部材11側に貼り付けられている。
【0046】
また、23は主ミラーユニット3を回転させる回転軸である。
【0047】
ここで、図10、11に示すように、粘着部材21aが貼り付けられている保持部材21の左右の側面とフォーカルプレーンシャッタ112側の側面とは傾斜面となっている。すなわち、ミラー部材11から離れるほど、保持部材21の側面とミラーボックス105の壁面との隙間が小さくなっている。このように保持部材21の側面が傾斜面となっていることにより、ミラーアップ動作中の主ミラーユニット3の空気抵抗が小さくなり、ミラーアップ速度を大きくすることができる。
【0048】
14はミラーアップ動作前にミラー部材11に付着していた異物である。既述したように、異物14はミラーアップ動作によって生じる気流に乗って、矢印Cのように前後方向や矢印Dのように左右方向あるいは斜め方向等、ミラー部材11の中心側から端に向かって移動する。
【0049】
図12は、ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニット3とミラーボックス105との関係を示す正面図である。3aはミラーアップ前の主ミラーユニット3を、3bはミラーアップ動作中の主ミラーユニット3を、3cはミラーアップ後の主ミラーユニット3をそれぞれ表している。
【0050】
また、24a、25aはミラーアップ動作前の主ミラーユニット3aとミラーボックス105との左右の隙間である。24b、25bはミラーアップ動作中の主ミラーユニット3bとミラーボックス105との左右の隙間である。24c、25cはミラーアップ後の主ミラーユニット3cとミラーボックス105との左右の隙間である。
【0051】
図12に示すように、ミラーアップ動作前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後のいずれの状態においても主ミラーユニット3の左右とミラーボックス105との隙間は小さい。
【0052】
図13は、ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニット3とミラーボックス105との関係を示す側面図である。3a、3b、3cはそれぞれ、図12と同じく、ミラーアップ前の主ミラーユニット3、ミラーアップ動作中の主ミラーユニット3、ミラーアップ後の主ミラーユニット3を表している。
【0053】
また、26a、26b、26cはそれぞれミラーアップ動作前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ動作後の主ミラーユニット3a、3b、3cとミラーボックス105のフォーカルプレーンシャッタ112側との隙間を表わしている。
【0054】
また、27a、27b、27cはそれぞれミラーアップ動作前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ動作後の主ミラーユニット3a、3b、3cとミラーボックス105の交換レンズ102側との隙間を表わしている。
【0055】
ところで、主ミラーユニット3の回転軸23a、23b、23cは、主ミラーユニット3のフォーカルプレーンシャッタ112側に配置される。したがって、主ミラーユニット3のフォーカルプレーンシャッタ112側はほとんど移動せず、主ミラーユニット3がミラーアップ動作のどの状態にあっても隙間26a、26b、26cはほとんど変わらず小さいままである。一方、主ミラーユニット3の交換レンズ102側はミラーアップ動作に伴い大きく回転移動し、隙間27aが最大で、ミラーアップ動作を開始すると主ミラーユニット3とミラーボックス105との隙間は小さくなる。
【0056】
以上の点を考慮すると、主ミラーユニット3の上方にある空気は主ミラーユニット3とミラーボックス105の交換レンズ102側との隙間27bに多く流れるということになる。この場合に、ミラー保持部材21のうち隙間が大きくなる部分を傾斜面にすると、異物14を捕獲しきれなくなるおそれがある。そこで、隙間が大きくなる部分では塀部材22を設け、その内側に粘着部材22aを設けるのに対し、隙間が小さい部分では傾斜面にし、そこに粘着部材21aを設けたほうが良い。すなわち、ミラー部材11の交換レンズ102側には塀部材22を設けて、他の周囲は傾斜面にして粘着部21aを設け、異物14が主ミラーユニット3の下側に回り込まないようにする。
【0057】
本実施形態においても、第1、2の実施形態と同様に、粘着部材21aや粘着部材22aを交換可能にしておけば、粘着部材21aや粘着部材22aの粘着力が弱くなったときに粘着部材21aや粘着部材22aを交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、塀部材22を保持部材12と別体として着脱可能とし、塀部材22そのものを交換するようにしてもよい。逆に、保持部材12と塀部材22を一体化する場合は、部品点数を削減することができる。
【0058】
また、粘着部材21aや粘着部材22aの代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0059】
以上説明したように、切り替え動作可能な主ミラーユニット3に付着した異物が飛散するのを防止することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。また、保持部材の全外周に塀部材を設けるよりも簡単な構造とすることができ、特に塀部材22を交換可能にした場合にはその取り付け作業を行いやすくすることができる。
【0060】
(第4の実施形態)
第1〜3の実施形態は、ミラー部材11上に付着した異物が飛散するのを防止するための発明を適用したものである。それに対して、本第4の実施形態は、ミラーボックス105内に浮遊する異物を捕獲するための発明を適用したものである。
【0061】
図14には、第4の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。なお、主ミラーユニット1及びサブミラーユニット5以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図15には、主ミラーユニット1及びサブミラーユニット5をフォーカルプレーンシャッタ112側から見た後方斜視図を示す。12はミラー部材を保持する保持部材であり、第1の実施形態で説明したものと同様のものである。
【0063】
サブミラーユニット5は、ミラー部材(不図示)を保持する保持部材51、保持部材51を回転させるために保持部材51に取り付けられ、ミラーボックス105に設置されたダボ53を中心に回転するアーム52、サブミラーユニット5の反射面とは反対側の面、すなわち保持部材51の裏面に設置された粘着部材54とにより構成されている。
【0064】
図16は、ミラーダウン動作時のミラーユニット1、5の側面図である。図16(a)はミラーダウン動作前、図16(b)はミラーダウン動作中、図16(c)はミラーダウン動作後を表している。これら図16(a)〜16(c)に示すように、ミラーダウン動作によってサブミラーユニット5はミラーボックス105内を大きく移動する。したがって、図15に示すように、サブミラーユニット5に粘着部材54があれば、ミラーダウン動作時に、粘着部材54がミラーボックス105内を移動することによって、ミラーボックス105内を浮遊した異物を捕獲することができる。
【0065】
本実施形態においても、粘着部材54を交換可能にしておけば、粘着部材54の粘着力が弱くなったときに粘着部材54を交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、粘着部材54の代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0066】
以上説明したように、サブミラーユニット5の切り替え動作に伴ってミラーボックス5内に浮遊する異物を捕獲することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0067】
1、2、3、4・・・主ミラーユニット
5・・・サブミラーユニット
11・・・ミラー部材
12、21・・・保持部材
13、15、22・・・塀部材
13a、15a、21a、54・・・粘着部材
14・・・異物
101・・・撮像部
102・・・交換レンズ
105・・・ミラーボックス
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーユニットを切り替え動作可能とした撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムカメラは、被写体像として入射する光をフィルムに露光するものであるのに対して、デジタルカメラは、光のエネルギーを電気信号に変換する固体撮像素子に露光することによって画像を記録するものである。デジタルカメラの代表例として、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ100(以下、D-SLR100と略す)の基本的な概略構成を図17に示す。
【0003】
図17(a)は交換レンズ102から入った被写体像をファインダ103で確認することのできる撮像待機状態を示し、図17(b)は撮像状態を示す。
【0004】
101は撮像部であり、交換レンズ102からの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子を含む。102は交換レンズであり、被写体からの反射光を捉え、撮像部101に結像させるための複数のレンズ(102a、102b等)、及び、絞り102cを備える。
【0005】
103は光学ファインダであり、フォーカシングスクリーン107と、プリズム108と、接眼レンズ109とにより構成される。フォーカシングスクリーン107には、主ミラーユニット106により上部に反射した光束が結像する。プリズム108は、フォーカシングスクリーン107に結像した像を正立実像にするために内部で像を反射させる。接眼レンズ109は、プリズム108から射出された像を適正な倍率で使用者が確認できるようにする。
【0006】
104は交換レンズ102を装着するためのマウント部である。106は主ミラーユニットであり、ミラーボックス105と呼ばれる空間内で交換レンズ102と撮像部101の光軸上に配置されている。
【0007】
110はサブミラーユニットであり、交換レンズ102から入射した光束のうち主ミラーユニット106を透過した光束を反射してAFユニット111に導く。111はAF(オートフォーカス)ユニットであり、被写体との距離を測定する。
【0008】
112は複数のシャッタ羽根からなるフォーカルプレーンシャッタであり、入射した光束を所望時間だけ撮像部101に照射させる。
【0009】
撮像待機状態では、図17(a)に示すように、光軸上に設置された主ミラーユニット106により光束の一部が上部に垂直に反射し、使用者はファインダ103を介して被写体像を確認することができる。これにより、使用者はファインダ103により交換レンズ102から入射した被写体像の構図を決定することができる。また、主ミラーユニットを透過した残りの光束がサブミラーユニット106により反射してAFユニット111に導かれる。
【0010】
撮像状態では、図17(b)に示すように、交換レンズ102から入射した光束を撮像部101に入射させるために主ミラーユニット106及びサブミラーユニット110を跳ね上げて光軸上から退避させる。その状態で、フォーカルプレーンシャッタ112のシャッタ羽根を開くことにより光束が撮像部101に入射する。
【0011】
ところで、フィルムカメラでは、フィルムに塵埃等の異物が付着しても、フィルムを巻き上げれば次のコマに影響を与えることがない。しかしながら、D-SLR100では、フィルムカメラと異なり撮像部101で撮像するために、撮像部101に異物が付着すると、その付着した異物がある箇所は、撮像部101に光が届かないために撮影画像に影として写り込み続けてしまう。
【0012】
異物が発生する原因として、以下のことが考えられる。第1に、フォーカルプレーンシャッタ112を備えたカメラでは、シャッタ羽根がシャッタ動作時に擦れることによってシャッタ羽根の塗装が剥がれ、異物としてカメラ内部に残留してしまう。
【0013】
第2に、レンズ交換式のカメラでは、交換レンズ102非装着時にマウント部104を保護する不図示のマウントキャップを装着する。そのときに、マウントキャップとマウント部104の擦れによりマウントキャップが削れ、その削れ片が異物として侵入してしまう。
【0014】
第3に、交換レンズ102の交換時に、マウント部104を介してカメラ内部が外界にさらされ、カメラ内部へ異物が侵入してしまう。
【0015】
上記第2、第3の理由でミラーボックス105内に侵入した異物は、撮像部101に直接付着することはほとんどなく、まずミラーボックス105内に付着し、その異物がなんらかの原因で撮像部101に付着する。なぜなら、撮影中以外では撮像部101に光が入射しないように、撮像部101の前面にフォーカルプレーンシャッタ112があり、シャッタ羽根が撮像部101を完全に覆っているからである。
【0016】
ところで、ミラーアップ動作時に、ミラーボックス105内では主ミラーユニット106やサブミラーユニット110が移動することによって空気の対流が生じる。例えば、主ミラーユニット106上方の空間は、主ミラーユニット106がアップ動作することにより容積が小さくなるので、主ミラーユニット106上方の空間に存在していた空気が主ミラーユニット106の下側に流れる。この気流により、ミラーボックス105内に進入した異物のうち、主ミラーユニット106に付着した異物は付着位置から離れて移動し、主ミラーユニット106の下側に回り込んで、撮像部101に向かってしまう。
【0017】
撮像部101に向かう異物を捕獲する対策として、フォーカルプレーンシャッタ内に粘着部を設ける技術が知られている(特許文献1を参照)。これは、フォーカルプレーンシャッタ内のシャッタ羽根が接触しない箇所に粘着部を設け、フォーカルプレーンシャッタから発生した異物を捕獲するというものである。
【0018】
また、フォーカルプレーンシャッタと撮像部の間に粘着部材を設ける技術が知られている(特許文献2を参照)。これは、フォーカルプレーンシャッタと撮像部の間を密閉し、その壁の部分を粘着部材にすることで侵入してきた異物を捕獲するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2002−350926号公報(第9頁、図1)
【特許文献2】特開2004−85942号公報(第7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特許文献1にあるように、フォーカルプレーンシャッタ内に粘着部を設ける場合、フォーカルプレーンシャッタから発生した異物のうち、粘着部に衝突するもののみが捕獲可能である。しかしながら、主ミラーユニットやミラーボックス内壁に付着していて、気流に乗る等してフォーカルプレーンシャッタの開口に飛んでくる異物に対しては効果がないという問題があった。
【0021】
また、特許文献2にあるように、フォーカルプレーンシャッタと撮像部の間を密閉し、その壁の部分を粘着部材にしたときも、特許文献1の課題と同様に、主ミラーユニットやミラーボックス内壁に付着していて、気流に乗る等してフォーカルプレーンシャッタの開口に飛んでくる異物に対しては効果がないという問題があった。さらに、粘着部が固定されているため、異物の付着状況や時間の経過により異物の捕獲能力が低下するという問題があった。
【0022】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、切り替え動作可能なミラーユニットに着目して異物を捕獲するようにして、撮像素子を含む撮像部に異物が付着するのを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の撮像装置は、撮像レンズからの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、前記被写体像を観察するための光学ファインダと、少なくとも一部の領域で光束を透過するハーフミラーを有するメインミラーユニットと、全反射のミラーを有するサブミラーユニットと、前記撮像レンズの結像状態を検出するためのAFユニットとを備え、前記撮像レンズからの光束の一部を前記メインミラーユニットにて前記光学ファインダに反射し、透過した残りの光束を前記サブミラーユニットにて反射して前記AFユニットに導く第1の状態と、前記メインミラーユニット及び前記サブミラーユニットで反射及び透過させることなく、前記撮像レンズからの光束の全てを前記撮像素子に導く第2の状態とに切り替え動作可能とした撮像装置であって、前記サブミラーユニットの反射面とは反対側の面に、前記ミラーユニットの切り替え動作によって飛散する異物を捕獲する異物捕獲部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、切り替え動作可能なミラーユニットに付着した異物が飛散するのを防止したり、ミラーユニットの切り替え動作を利用してミラーユニットのまわりに浮遊する異物を捕獲したりすることができ、撮像素子を含む撮像部に異物が付着するのを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る主ミラーユニットを交換レンズ側から見た前方斜視図である。
【図3】図2のA部拡大図である。
【図4】ミラーアップ動作中のミラーボックス内を交換レンズ側から見た正面図である。
【図5】第2の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る主ミラーユニットを交換レンズ側から見た前方斜視図である。
【図7】図6のX-X線断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図9】第3の実施形態に係る主ミラーユニットを交換レンズ側から見た前方斜視図である。
【図10】ミラーアップ動作中のミラーボックス内を交換レンズ側から見た正面図である。
【図11】ミラーアップ動作中のミラーボックス内を交換レンズ側から見た側面図である。
【図12】ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニットとミラーボックスとの関係を示す正面図である。
【図13】ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニットとミラーボックスとの関係を示す側面図である。
【図14】第4の実施形態に係る撮像装置の概略構成を示す図である。
【図15】第4の実施形態に係る主ミラーユニット及びサブミラーユニットをフォーカルプレーンシャッタ側から見た後方斜視図である。
【図16】ミラーダウン動作時の主ミラーユニット及びサブミラーユニットの側面図である。
【図17】レンズ交換式デジタル一眼レフカメラの基本的な概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1には、第1の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。なお、主ミラーユニット(メインミラーユニット)1以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0027】
図2には、主ミラーユニット1を交換レンズ102側から見た前方斜視図を示す。11はミラー部材、12はミラー部材11を保持する保持部材、13はミラー部材11の外周に位置するように保持部材12に設けられた塀部材である。塀部材13はミラー部材11の反射面よりも一段高くなっている。
【0028】
図3には、図2のA部拡大図を示す。13aは粘着部材であり、塀部材13の内側、すなわちミラー部材11側の全面に貼り付けられている。なお、粘着部材13aとしては、塀部材13に貼り付けるようにしたものだけでなく、例えば粘着剤を塗布するような形態であってもよい。
【0029】
図4には、ミラーアップ動作中のミラーボックス105内を交換レンズ102側から見た正面図を示す。14はミラーアップ動作前にミラー部材11に付着していた異物である。既述したように、ミラーボックス105内では主ミラーユニット1やサブミラーユニット110が移動することによって空気の対流が生じる。特に、主ミラーユニット1上方の空間は、主ミラーユニット1がアップ動作することにより容積が小さくなるので、主ミラーユニット1上方の空間に存在していた空気が主ミラーユニット1の下側に流れる。これにより、異物14はミラーアップ動作によって生じる気流に乗って、矢印Aのように左右方向や矢印Bのように前後方向あるいは斜め方向等、ミラー部材11の中心側から端に向かって移動する。
【0030】
この場合に、ミラー部材11の外周には塀部材13が設けられているので、移動してきた異物14は塀部材13の内側に衝突する。塀部材13の内側には粘着部材13aが設けられているので、塀部材13の内側に衝突した異物14は粘着部材13aにより捕獲される。したがって、ミラー部材11に付着していた異物14が飛散するのを防止することができ、ミラーアップ動作中やミラーアップ動作後、主ミラーユニット1の下側に回り込むことがない。すなわち、異物14がミラーアップ動作中にミラーボックス105内を浮遊するのを防ぐことができる。これにより、異物14がミラーボックス105に付着することもないため、撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【0031】
本実施形態において、粘着部材13aを交換可能にしておけば、粘着部材13aの粘着力が弱くなったときに粘着部材13aを交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、塀部材13を保持部材12と別体として着脱可能とし、塀部材13そのものを交換するようにしてもよい。逆に、保持部材12と塀部材13を一体化する場合は、部品点数を削減することができる。
【0032】
また、粘着部材13aの代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0033】
以上説明したように、切り替え動作可能な主ミラーユニット1に付着した異物が飛散するのを防止することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図5には、第2の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例である。なお、主ミラーユニット2以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図6には、主ミラーユニット2を交換レンズ102側から見た前方斜視図を示す。11はミラー部材、12はミラー部材11を保持する保持部材、15はミラー部材の外周に位置するように保持部材12に設けられた塀部材である。塀部材15はミラー部材11の反射面よりも一段高くなっている。
【0036】
15aは粘着部材であり、塀部材15の内側、すなわちミラー部材11側の全面に貼り付けられている。なお、粘着部材15aとしては、塀部材15に貼り付けるようにしたものだけでなく、例えば粘着剤を塗布するような形態であってもよい。
【0037】
図7には、図6のX-X線断面図を示す。同図に示すように、塀部材15が中間位置で内側、すなわちミラー部材11側に折れ曲がっている。これにより、まっすぐに立ち上がる塀部材13と比べて、ミラーアップ動作中にミラー部材11の端に向かって移動する異物14(図7中には不図示)をより確実に粘着部材15aにより捕獲することができる。
【0038】
もちろん、図7に示す断面に限らず、他の外周部においても同様に塀部材15がミラー部材11側に折れ曲がっていれば、さらに効果がある。
【0039】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、粘着部材15aを交換可能にしておけば、粘着部材15aの粘着力が弱くなったときに粘着部材15aを交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、塀部材15を保持部材12と別体として着脱可能とし、塀部材15そのものを交換するようにしてもよい。逆に、保持部材12と塀部材15を一体化する場合は、部品点数を削減することができる。
【0040】
また、粘着部材15aの代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0041】
以上説明したように、切り替え動作可能な主ミラーユニット1に付着した異物が飛散するのを防止することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
図8には、第3の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。なお、主ミラーユニット3以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0043】
図9には、主ミラーユニット3を交換レンズ102側から見た前方斜視図を示す。また、図10には、ミラーアップ動作中のミラーボックス105内を交換レンズ102側から見た正面図を、図11には、ミラーボックス105内の側面図をそれぞれ示す。
【0044】
21はミラー部材11を保持する保持部材である。保持部材21の左右の側面とフォーカルプレーンシャッタ112(すなわち、撮像部101)側の側面には粘着部材21aが貼り付けられている。
【0045】
また、22はミラー部材11の外周のうち交換レンズ102側に位置するように保持部材12に設けられた塀部材である。塀部材22はミラー部材11の反射面よりも一段高くなっている。22aは粘着部材であり、塀部材22の内側、すなわちミラー部材11側に貼り付けられている。
【0046】
また、23は主ミラーユニット3を回転させる回転軸である。
【0047】
ここで、図10、11に示すように、粘着部材21aが貼り付けられている保持部材21の左右の側面とフォーカルプレーンシャッタ112側の側面とは傾斜面となっている。すなわち、ミラー部材11から離れるほど、保持部材21の側面とミラーボックス105の壁面との隙間が小さくなっている。このように保持部材21の側面が傾斜面となっていることにより、ミラーアップ動作中の主ミラーユニット3の空気抵抗が小さくなり、ミラーアップ速度を大きくすることができる。
【0048】
14はミラーアップ動作前にミラー部材11に付着していた異物である。既述したように、異物14はミラーアップ動作によって生じる気流に乗って、矢印Cのように前後方向や矢印Dのように左右方向あるいは斜め方向等、ミラー部材11の中心側から端に向かって移動する。
【0049】
図12は、ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニット3とミラーボックス105との関係を示す正面図である。3aはミラーアップ前の主ミラーユニット3を、3bはミラーアップ動作中の主ミラーユニット3を、3cはミラーアップ後の主ミラーユニット3をそれぞれ表している。
【0050】
また、24a、25aはミラーアップ動作前の主ミラーユニット3aとミラーボックス105との左右の隙間である。24b、25bはミラーアップ動作中の主ミラーユニット3bとミラーボックス105との左右の隙間である。24c、25cはミラーアップ後の主ミラーユニット3cとミラーボックス105との左右の隙間である。
【0051】
図12に示すように、ミラーアップ動作前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後のいずれの状態においても主ミラーユニット3の左右とミラーボックス105との隙間は小さい。
【0052】
図13は、ミラーアップ前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ後の主ミラーユニット3とミラーボックス105との関係を示す側面図である。3a、3b、3cはそれぞれ、図12と同じく、ミラーアップ前の主ミラーユニット3、ミラーアップ動作中の主ミラーユニット3、ミラーアップ後の主ミラーユニット3を表している。
【0053】
また、26a、26b、26cはそれぞれミラーアップ動作前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ動作後の主ミラーユニット3a、3b、3cとミラーボックス105のフォーカルプレーンシャッタ112側との隙間を表わしている。
【0054】
また、27a、27b、27cはそれぞれミラーアップ動作前、ミラーアップ動作中、ミラーアップ動作後の主ミラーユニット3a、3b、3cとミラーボックス105の交換レンズ102側との隙間を表わしている。
【0055】
ところで、主ミラーユニット3の回転軸23a、23b、23cは、主ミラーユニット3のフォーカルプレーンシャッタ112側に配置される。したがって、主ミラーユニット3のフォーカルプレーンシャッタ112側はほとんど移動せず、主ミラーユニット3がミラーアップ動作のどの状態にあっても隙間26a、26b、26cはほとんど変わらず小さいままである。一方、主ミラーユニット3の交換レンズ102側はミラーアップ動作に伴い大きく回転移動し、隙間27aが最大で、ミラーアップ動作を開始すると主ミラーユニット3とミラーボックス105との隙間は小さくなる。
【0056】
以上の点を考慮すると、主ミラーユニット3の上方にある空気は主ミラーユニット3とミラーボックス105の交換レンズ102側との隙間27bに多く流れるということになる。この場合に、ミラー保持部材21のうち隙間が大きくなる部分を傾斜面にすると、異物14を捕獲しきれなくなるおそれがある。そこで、隙間が大きくなる部分では塀部材22を設け、その内側に粘着部材22aを設けるのに対し、隙間が小さい部分では傾斜面にし、そこに粘着部材21aを設けたほうが良い。すなわち、ミラー部材11の交換レンズ102側には塀部材22を設けて、他の周囲は傾斜面にして粘着部21aを設け、異物14が主ミラーユニット3の下側に回り込まないようにする。
【0057】
本実施形態においても、第1、2の実施形態と同様に、粘着部材21aや粘着部材22aを交換可能にしておけば、粘着部材21aや粘着部材22aの粘着力が弱くなったときに粘着部材21aや粘着部材22aを交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、塀部材22を保持部材12と別体として着脱可能とし、塀部材22そのものを交換するようにしてもよい。逆に、保持部材12と塀部材22を一体化する場合は、部品点数を削減することができる。
【0058】
また、粘着部材21aや粘着部材22aの代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0059】
以上説明したように、切り替え動作可能な主ミラーユニット3に付着した異物が飛散するのを防止することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。また、保持部材の全外周に塀部材を設けるよりも簡単な構造とすることができ、特に塀部材22を交換可能にした場合にはその取り付け作業を行いやすくすることができる。
【0060】
(第4の実施形態)
第1〜3の実施形態は、ミラー部材11上に付着した異物が飛散するのを防止するための発明を適用したものである。それに対して、本第4の実施形態は、ミラーボックス105内に浮遊する異物を捕獲するための発明を適用したものである。
【0061】
図14には、第4の実施形態に係る撮像装置であるレンズ交換式デジタル一眼レフカメラD-SLRの概略構成を示す。なお、主ミラーユニット1及びサブミラーユニット5以外の構成要素は図17と同様であるので、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図15には、主ミラーユニット1及びサブミラーユニット5をフォーカルプレーンシャッタ112側から見た後方斜視図を示す。12はミラー部材を保持する保持部材であり、第1の実施形態で説明したものと同様のものである。
【0063】
サブミラーユニット5は、ミラー部材(不図示)を保持する保持部材51、保持部材51を回転させるために保持部材51に取り付けられ、ミラーボックス105に設置されたダボ53を中心に回転するアーム52、サブミラーユニット5の反射面とは反対側の面、すなわち保持部材51の裏面に設置された粘着部材54とにより構成されている。
【0064】
図16は、ミラーダウン動作時のミラーユニット1、5の側面図である。図16(a)はミラーダウン動作前、図16(b)はミラーダウン動作中、図16(c)はミラーダウン動作後を表している。これら図16(a)〜16(c)に示すように、ミラーダウン動作によってサブミラーユニット5はミラーボックス105内を大きく移動する。したがって、図15に示すように、サブミラーユニット5に粘着部材54があれば、ミラーダウン動作時に、粘着部材54がミラーボックス105内を移動することによって、ミラーボックス105内を浮遊した異物を捕獲することができる。
【0065】
本実施形態においても、粘着部材54を交換可能にしておけば、粘着部材54の粘着力が弱くなったときに粘着部材54を交換することで、異物捕獲能力を常に維持することができる。また、粘着部材54の代わりに帯電部材を用いれば、帯電部材が持つ静電気力によって帯電部材に衝突した異物14を捕獲し続けることができる。帯電部材としては、例えば集塵機のフィルタに用いられるようなエレクトレット繊維を編んだ物等が考えられる。
【0066】
以上説明したように、サブミラーユニット5の切り替え動作に伴ってミラーボックス5内に浮遊する異物を捕獲することができ、撮像素子を含む撮像部101に異物が付着するのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0067】
1、2、3、4・・・主ミラーユニット
5・・・サブミラーユニット
11・・・ミラー部材
12、21・・・保持部材
13、15、22・・・塀部材
13a、15a、21a、54・・・粘着部材
14・・・異物
101・・・撮像部
102・・・交換レンズ
105・・・ミラーボックス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像レンズからの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記被写体像を観察するための光学ファインダと、
少なくとも一部の領域で光束を透過するハーフミラーを有するメインミラーユニットと、
全反射のミラーを有するサブミラーユニットと、
前記撮像レンズの結像状態を検出するためのAFユニットとを備え、
前記撮像レンズからの光束の一部を前記メインミラーユニットにて前記光学ファインダに反射し、透過した残りの光束を前記サブミラーユニットにて反射して前記AFユニットに導く第1の状態と、前記メインミラーユニット及び前記サブミラーユニットで反射及び透過させることなく、前記撮像レンズからの光束の全てを前記撮像素子に導く第2の状態とに切り替え動作可能とした撮像装置であって、
前記サブミラーユニットの反射面とは反対側の面に、前記ミラーユニットの切り替え動作によって飛散する異物を捕獲する異物捕獲部が設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記異物捕獲部は粘着部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記異物捕獲部は帯電部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項1】
撮像レンズからの光束により形成された被写体像を光電変換する撮像素子と、
前記被写体像を観察するための光学ファインダと、
少なくとも一部の領域で光束を透過するハーフミラーを有するメインミラーユニットと、
全反射のミラーを有するサブミラーユニットと、
前記撮像レンズの結像状態を検出するためのAFユニットとを備え、
前記撮像レンズからの光束の一部を前記メインミラーユニットにて前記光学ファインダに反射し、透過した残りの光束を前記サブミラーユニットにて反射して前記AFユニットに導く第1の状態と、前記メインミラーユニット及び前記サブミラーユニットで反射及び透過させることなく、前記撮像レンズからの光束の全てを前記撮像素子に導く第2の状態とに切り替え動作可能とした撮像装置であって、
前記サブミラーユニットの反射面とは反対側の面に、前記ミラーユニットの切り替え動作によって飛散する異物を捕獲する異物捕獲部が設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記異物捕獲部は粘着部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記異物捕獲部は帯電部材により構成されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−141628(P2012−141628A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50366(P2012−50366)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2006−33985(P2006−33985)の分割
【原出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2006−33985(P2006−33985)の分割
【原出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]