説明

撮像装置

【課題】表示用の画像データを含んだ画像ファイルを生成すること。
【解決手段】カメラ100は、被写体像を撮像して主画像データを生成する撮像手段と、主画像データに基づいて、マルチピクチャフォーマットにより規格化されたモニタ表示用の第1の縮小画像データを生成する第1の縮小画像生成手段と、主画像データに基づいて、特定の再生表示機器で表示するための第2の縮小画像データを生成する第2の縮小画像生成手段と、主画像データ、第1の縮小画像データ、および第2の縮小画像データを含む画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次のような撮像装置が知られている。この撮像装置は、撮影時にオリジナル画像データからサムネイルデータ、縮小画像データ(小)、縮小画像データ(大)を生成し、これらを含む画像ファイルを生成する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−120006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の撮像装置では、縮小画像データ(小)と縮小画像データ(大)とを、それぞれ画像の縮小表示、拡大表示を高速に行うことを目的として画像ファイルに含めていた。このため、異なる規格の画像ファイルを再生するための装置では、オリジナル画像データから表示用の画像データを作成してから表示する必要があり、画像を高速に表示できない可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮像装置は、被写体像を撮像して主画像データを生成する撮像手段と、主画像データに基づいて、マルチピクチャフォーマットにより規格化されたモニタ表示用の第1の縮小画像データを生成する第1の縮小画像生成手段と、主画像データに基づいて、特定の再生表示機器で表示するための第2の縮小画像データを生成する第2の縮小画像生成手段と、主画像データ、第1の縮小画像データ、および第2の縮小画像データを含む画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、マルチピクチャフォーマットに対応していない特定の再生表示機器においても、高速に画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】撮影時に実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態におけるカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ100は、レンズ101と、撮像素子102と、AFE(Analog Front End)103と、ASIC104と、フラッシュメモリ105と、CPU106と、操作部材107と、RAM108と、メモリカードI/F109と、表示部110とを備えている。
【0009】
レンズ101は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では代表して1枚のレンズで表している。撮像素子102は、例えばCCDやCMOSなどのイメージセンサーであり、レンズ101により結像した被写体像を撮像する。そして、撮像によって得られた画像信号をAFE103へ出力する。AFE103は、撮像素子102から入力されるアナログ信号に対して種々の処理を施すとともに、アナログ信号をデジタル信号に変換してASIC104へ出力する。ASIC104は、入力されるデジタル信号に対して種々の画像処理、例えば補間処理、階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理、画像圧縮処理、画像伸張処理等を施す。
【0010】
フラッシュメモリ105は、不揮発性のメモリであって、CPU106が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。CPU106は、カメラ100全体を制御する。操作部材107は、使用者によって操作される種々の入力部材、例えば電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタンなどを含んでいる。操作部材107は、各種入力部材からの操作信号をCPU106へ出力し、CPU106は、入力される操作信号に従ってカメラ100を制御する。
【0011】
RAM108は、揮発性のメモリであって、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。メモリカードI/F109は、例えば、SDカード等のメモリカード109aを挿入するためのメモリカードスロットを備え、メモリカードスロットに挿入されたメモリカード109aからデータを読み出したり、メモリカード109aへデータを書き込んだりする。
【0012】
表示部110は、例えば、カメラ100の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタ)であり、当該表示部110には、メモリカード109aに記憶されている画像やカメラ100を設定するための設定メニューなどが表示される。また、CPU106は、使用者によってカメラ100のモードが撮影モードに設定されると、撮像素子102から時系列で入力される画像の表示用画像データを表示部110に出力する。これによって表示部110にはスルー画が表示される。
【0013】
本実施の形態では、CPU106は、ASIC104によって画像処理が施された後の画像データに基づいて所定の画像形式、例えばJPEG形式の主画像データ(JPEGデータ)を生成する。また、CPU106は、主画像データに基づいて、表示用の画像データ、例えば画像サイズが180×120画素のサムネイル画像データと画像サイズが600×400画素のViewサムネイル画像データとを生成する。なお、サムネイル画像データはExif規格で定められた表示用の画像データであり、Exif情報内のAPP1内に記録される。このサムネイル画像データは、Exif規格に沿った一般的な再生表示装置で汎用的に表示可能な画像データである。
【0014】
一方で、Viewサムネイル画像データは、上記のサムネイル画像データのように再生表示装置で汎用的に表示可能な画像データではなく、Viewサムネイル画像データの表示に対応した再生表示装置、例えば特定のカメラメーカーが提供する再生表示装置を用いることにより表示が可能な画像データである。Viewサムネイル画像データの表示に対応した再生表示装置を用いた場合には、画像ファイル内から主画像データを読み出して表示するよりも、Viewサムネイル画像データを読み出して表示した方が高速に画像を表示することができる。なお、Viewサムネイル画像データは、Exif情報内のメーカーノートに記録される。
【0015】
CPU106は、生成した主画像データと、サムネイル画像データ、Viewサムネイル画像データとを含み、さらにヘッダ情報を付加した画像ファイル、例えばJPEGファイルを生成してメモリカードI/F109へ出力する。
【0016】
また、本実施の形態では、CPU106は、上述したJPEGファイル、すなわち1つの画像ファイル内に1つの主画像データが記録される画像ファイル以外に、1つの画像ファイル内に複数の主画像データが記録される画像ファイルも生成することができる。本実施の形態では、1つの画像ファイル内に複数の主画像データが記録される画像ファイルとして、MPF規格に沿った画像ファイル(以下、「MPFファイル」と呼ぶ)を生成する。
【0017】
例えば、CPU106は、上述したサムネイル画像データやViewサムネイル画像データとは異なる画素数のモニタ表示用画像データを生成して主画像データとともに記録することにより、1つの画像ファイル内に複数の主画像データを記録することができる。例えば、CPU106は、MPF規格に沿ったモニタ表示用画像データである、VGAサイズ(640×480画素)のモニタ表示用画像データやFull HDサイズ(1920×1080画素)のモニタ表示用画像データを生成してMPFファイル内に含めることができる。また、CPU106は、連写撮影が行われた場合、パノラマ撮影が行われた場合、またはインターバル撮影が行われた場合等、1回の撮影によって複数のJPEGデータが1組として生成される場合には、生成した複数のJPEGデータを1つの画像ファイルにまとめて記録することもできる。
【0018】
上述したように、MPFファイル内にサムネイル画像データやViewサムネイル画像データとは異なる画素数のモニタ表示用画像データを記録した場合には、画像を再生する再生表示機器がMPFファイルの規格に対応していない場合には、該再生表示機器は、MPFファイルからモニタ表示用画像データを読み出して画像を表示することができない。このため、再生表示機器では、画像を表示できずに表示エラーとなるか、MPFファイル内の主画像データに基づいて、上述したサムネイル画像データやViewサムネイル画像データを生成してから画像を表示する必要がある。
【0019】
本実施の形態では、このような問題を解決するために、CPU106は、MPFファイル内に、主画像データと、サムネイル画像データと、Viewサムネイル画像データと、MPF規格に沿ったモニタ表示用画像データとを含めて記録する。これにより、MPF規格に対応した表示再生機器では、MPFファイル内からモニタ表示用画像データを読み出して画像を表示することができる一方で、MPF規格に対応していない表示再生機器では、MPFファイル内からサムネイル画像データやViewサムネイル画像データを読み出して画像を表示することができる。
【0020】
以下、本実施の形態におけるCPU106による処理を図2を用いて説明する。図2は、撮影時に実行される処理の流れを示すフローチャートである。図2に示す処理は、使用者によって操作部材107に含まれるレリーズボタンが操作されることによって撮影が指示されると起動するプログラムとして、CPU106によって実行される。
【0021】
ステップS10において、CPU106は、撮像素子102から入力される画像データを取得して撮影処理を行う。ここで取得された画像データは、ASIC104によって画像処理が施された後、バッファメモリであるRAM108に一時記録される。その後、ステップS20へ進み、CPU106は、RAM108に記録されている画像データを読み出し、該画像データに基づいて上述した主画像データ(JPEGデータ)を生成する。その後、ステップS30へ進む。
【0022】
ステップS30では、CPU106は、カメラ100のモードがモニタ表示用画像データを生成するためのモニタ表示用画像生成モードに設定されているか否かを判断する。本実施の形態では、使用者は、主画像データ、サムネイル画像データ、およびViewサムネイル画像データとともに、上述したモニタ表示用画像データを記録したMPFファイルを生成するか、主画像データ、サムネイル画像データ、およびViewサムネイル画像データのみを記録したJPEGファイルを生成するかをあらかじめ設定することができる。具体的には、使用者は、上記MPFファイルを生成したい場合には、カメラ100のモードをモニタ表示用画像生成モードに設定し、上記JPEGファイルを作成したい場合には、カメラ100のモードを通常モードに設定する。
【0023】
ステップS30で否定判断した場合には、ステップS40へ進み、CPU106は、ステップS20で生成した主画像データを縮小して従来の表示用画像、すなわちサムネイル画像データおよびViewサムネイル画像データを生成した後、後述するステップS70へ進む。これに対して、ステップS30で肯定判断した場合には、ステップS50へ進む。
【0024】
ステップS50では、CPU106は、ステップS20で生成した主画像データを縮小して上述したモニタ表示用画像データを生成する。その後、ステップS60へ進み、CPU106は、ステップS50で生成したモニタ表示用画像データを縮小して従来の表示用画像、すなわちサムネイル画像データおよびViewサムネイル画像データを生成する。その後、ステップS70へ進む。
【0025】
ステップS70では、CPU106は、上述した処理で生成した画像データを含んだ画像ファイルを生成する。すなわち、カメラ100のモードが通常のモードに設定されている場合には、主画像データとサムネイル画像データとViewサムネイル画像データとを含んだJPEGファイルを生成する。一方、カメラ100のモードがモニタ表示用画像生成モードに設定されている場合には、主画像データとサムネイル画像データとViewサムネイル画像データとモニタ表示用画像データとを含んだMPFファイルを生成する。
【0026】
その後、ステップS80へ進み、CPU106は、ステップS70で生成した画像ファイルをメモリカードI/F109を介してメモリカード109aに記録して、ステップS90へ進む。ステップS90では、CPU106は、メモリカード109aのカード管理情報を更新する。例えば、新たに記録した画像ファイルのファイル名等の情報をカード管理情報に追加して更新する。その後、処理を終了する。
【0027】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)CPU106は、表示用の画像データとして、Viewサムネイル画像データとモニタ表示用画像データとを含むMPFファイルを生成するようにした。これによって、MPF規格に対応した表示再生機器では、MPFファイル内からモニタ表示用画像データを読み出して画像を表示することができる一方で、MPF規格に対応していない表示再生機器では、MPFファイル内からViewサムネイル画像データを読み出して画像を表示することができる。
【0028】
(2)CPU106は、カメラ100のモードがモニタ表示用画像生成モードに設定されている場合には、モニタ表示用画像データの生成を許可してMPFファイルを生成し、カメラ100のモードが通常モードに設定されている場合には、モニタ表示用画像データの生成を禁止してJPEGファイルを生成するようにした。これによって、使用者は、モニタ表示用画像データを含んだMPFファイルを生成するか否かを任意に選択することができる。
【0029】
―変形例―
なお、上述した実施の形態のカメラは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、Viewサムネイル画像データをExif情報のメーカーノートに記録する例について説明した。しかしながら、メーカーノート以外の領域に記録してもよい。例えば、Exif情報のAPP2やAPP3等の領域に記録するようにしてもよい。
【0030】
(2)上述した実施の形態では、カメラ100のモードがモニタ表示用画像生成モードに設定されている場合には、CPU106は、サムネイル画像データやViewサムネイル画像データをモニタ表示用画像データを縮小することによって生成する例について説明した。しかしながら、CPU106は、サムネイル画像データやViewサムネイル画像データを主画像データを縮小することによって生成してもよい。
【0031】
(3)上述した実施の形態では、CPU106は、生成した画像ファイル、すなわちJPEGファイルやMPFファイルをメモリカード109aに記録する例について説明した。しかしながら、カメラ100が外部と通信を行う通信装置を備えている場合には、生成したJPEGファイルやMPFファイルを通信装置を介して接続された外部の機器に送信するようにしてもよい。
【0032】
(4)上述した実施の形態では、使用者は、モニタ表示用画像データを含むMPFファイルを生成するためのモニタ表示用画像生成モードと、モニタ表示用画像データを含まないJPEGファイルを生成するための通常モードとを任意に選択できる例について説明した。しかしながら、使用者は、JPEGファイルやMPFファイルにViewサムネイル画像を含めるか否かを任意に選択できるようにしてもよい。
【0033】
(5)上述した実施の形態では、CPU106は、カメラ100のモードがモニタ表示用画像生成モードに設定されている場合には、主画像データとともにもモニタ表示用画像データを含んだMPFファイルを生成する例について説明した。しかしながら、CPU106は、主画像データを含むJPEGファイルとモニタ表示用画像データを含むJPEGファイルとをそれぞれ生成するようにしてもよい。このようにしても、再生表示機器がMPFファイルに対応していない場合には、主画像データを含むJPEGファイルに基づいて画像を表示することができ、再生表示機器がMPFファイルに対応している場合には、モニタ表示用画像データを含むJPEGファイルに基づいて画像を表示すれば、より高詳細な画像を表示できるため、本発明の目的は達成することができる。なお、この場合には、CPU106は、生成した2つのJPEGファイルを関連付けるようにしてもよい。例えば、CPU106は、2つのJPEGファイルを同じフォルダ内に記録することによって関連付けてもよいし、上述したカード管理情報内に2つのJPEGファイルを関連付けるための情報を記録するようにしてもよい。
【0034】
(6)上述した実施の形態では、本発明をカメラに適用する例について説明した。しかしながら、撮影を行って画像ファイル生成することができる他の機器、例えばビデオカメラやカメラ付き携帯電話等にも本発明は適用可能である。
【0035】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0036】
100 カメラ、101 レンズ、102 撮像素子、103 AFE、104 ASIC、105 フラッシュメモリ、106 CPU、107 操作部材、108 RAM、109 メモリカードI/F、109a メモリカード、110 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して主画像データを生成する撮像手段と、
前記主画像データに基づいて、マルチピクチャフォーマットにより規格化されたモニタ表示用の第1の縮小画像データを生成する第1の縮小画像生成手段と、
前記主画像データに基づいて、特定の再生表示機器で表示するための第2の縮小画像データを生成する第2の縮小画像生成手段と、
前記主画像データ、前記第1の縮小画像データ、および前記第2の縮小画像データを含む画像ファイルを生成する画像ファイル生成手段とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第1の縮小画像生成手段による前記第1の縮小画像データの生成を禁止する第1の禁止手段をさらに備え、
前記画像ファイル生成手段は、前記第1の禁止手段によって前記第1の縮小画像データの生成が禁止された場合には、前記第1の縮小画像データを含めずに前記画像ファイルを生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第2の縮小画像生成手段による前記第2の縮小画像データの生成を禁止する第2の禁止手段をさらに備え、
前記画像ファイル生成手段は、前記第2の禁止手段によって前記第2の縮小画像データの生成が禁止された場合には、前記第2の縮小画像データを含めずに前記画像ファイルを生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
被写体像を撮像して主画像データを生成する撮像手段と、
前記主画像データに基づいて、マルチピクチャフォーマットにより規格化されたモニタ表示用の第1の縮小画像データを生成する第1の縮小画像生成手段と、
前記主画像データに基づいて、特定の再生表示機器で表示するための第2の縮小画像データを生成する第2の縮小画像生成手段と、
前記主画像データと前記第1の縮小画像データとを含む第1の画像ファイルと、前記主画像データと前記第2の縮小画像データとを含む第2の画像ファイルとを生成する画像ファイル生成手段とを備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−15940(P2012−15940A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152842(P2010−152842)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】