撮像装置
【課題】 撮像手段で生成された画像情報を有効に利用しつつ、撮像装置の傾きによらず一定の画角で水平な画像を撮影する。
【解決手段】 撮像手段から得られた画像の中から予め決められた大きさの画像切り出し領域を切り出し、画像切り出し領域の画像を画像表示手段に表示させ(S203)、画像切り出し領域が撮像手段の受光面からはみ出さないように、撮像装置の傾きに応じて、水平となるように、画像切り出し領域を回転させ(S205)、撮影指示があった場合は、傾きに応じて撮像手段の受光面からはみ出さない範囲内で画像切り出し領域を拡大し、同時に、その拡大による画角の広角側への変化を打ち消すように光学ズーム手段を作動させた(S207)上で、画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する(S208)。
【解決手段】 撮像手段から得られた画像の中から予め決められた大きさの画像切り出し領域を切り出し、画像切り出し領域の画像を画像表示手段に表示させ(S203)、画像切り出し領域が撮像手段の受光面からはみ出さないように、撮像装置の傾きに応じて、水平となるように、画像切り出し領域を回転させ(S205)、撮影指示があった場合は、傾きに応じて撮像手段の受光面からはみ出さない範囲内で画像切り出し領域を拡大し、同時に、その拡大による画角の広角側への変化を打ち消すように光学ズーム手段を作動させた(S207)上で、画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する(S208)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平な画像の撮影を行うことができる撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀塩カメラやデジタルカメラ等の撮像装置においては、使用者が水平な画像の撮影を企図しているにもかかわらず、撮像装置が傾いているために傾いた画像が撮影されてしまうという問題があった。
【0003】
そうした問題を解決するために、例えば液晶等の表示装置を備えたデジタルカメラにおいてはデジタルカメラの傾きを検出する手段を設け、デジタルカメラの傾き度合いを表示装置に表示し、デジタルカメラの傾き度合いを使用者に知らせるというものが知られている。しかしながら、そうした表示を見ながらデジタルカメラを水平に保持し、動きのある被写体の撮影を行うことは一般に難しかった。従って、簡単に水平な画像の撮影を行うことが出来る技術の確立が課題となっていた。
【0004】
上述した簡単に水平な画像の撮影を行うことが出来る技術に関する発明は多数提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−245726号公報
【特許文献2】特開平6−178190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した従来の技術には以下の様な課題があった。特許文献1においては拡大処理をする場合は、デジタルカメラの傾き角度によって拡大する量が変わるために、生成される画像の画角がデジタルカメラの傾き角度によって変わってしまう。更に撮影操作をするまでどの様な構図で画像が出来るか判らないため、使用者が意図した構図で撮影することが出来ない。一方で、縮小処理をする場合は矩形の画像をそのまま回転した画像が出来るので一般に扱いにくい画像となってしまう。
【0007】
特許文献2においては、傾き角度によらず常に撮像素子よりも小さい一定の範囲を切り出しているため、撮像素子で生成された画像情報を常に一定の量だけ利用していないこととなり、撮像素子で生成された画像情報を有効に利用できていなかった。
【0008】
(発明の目的)
本発明の目的は、撮像手段で生成された画像情報を有効に利用しつつ、撮像装置の傾きによらず一定の画角で水平な画像を撮影することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、被写体の像を受光する受光面を備えた撮像手段と、前記撮像手段から得られる画像を表示する画像表示手段と、撮像光学系の焦点距離を変化させ、変倍動作を行う光学ズーム手段と、前記撮像光学系の光軸周りの傾きを検出する傾き検出手段と、前記撮像手段から得られた画像の中から予め決められた大きさの画像切り出し領域を切り出し、前記画像切り出し領域の画像を前記画像表示手段に表示させ、前記画像切り出し領域が前記撮像手段の受光面からはみ出さないように、前記傾きに応じて、前記画像切り出し領域の画像が水平となるように、前記画像切り出し領域を回転させ、撮影指示があった場合は、前記傾きに応じて前記撮像手段の受光面からはみ出さない範囲内で前記画像切り出し領域を拡大し、同時に、前記画像切り出し領域の拡大による画角の広角側への変化を打ち消すように前記光学ズーム手段を作動させた上で、前記画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する制御手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像手段で生成された画像情報を有効に利用しつつ、撮像装置の傾きによらず一定の画角で水平な画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の撮像装置の実施例1であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1のデジタルカメラの模式図である。
【図3】デジタルカメラの主ルーチンの一部を示すフローチャートである。
【図4】水平補正の概念図である。
【図5】画像切り出し領域の回転処理を行わないときの概念図である。
【図6】画像切り出し領域が撮像素子の受光面からはみ出したときの概念図である。
【図7】静止画撮影のときの概念図である。
【図8】実施例1の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例2の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【図10】画像切り出し領域の大きさをデジタルカメラの傾きに応じて変化させる概念図である。
【図11】実施例3の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【図12】実施例4の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例1ないし4に記載される通りである。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例1による水平画像撮影動作について添付の図面に基づいて詳細に説明を行う。本実施例1では本発明による水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0014】
図1は、本発明の実施例1であるデジタルカメラの構成を示す図である。
【0015】
図1において、デジタルカメラには撮影レンズ10がある。本実施例1では撮影レンズ10は焦点距離を変更可能な所謂ズームレンズとなっている。ズームレンズは複数枚のレンズから構成され、そのレンズ位置を移動させることで焦点距離、即ちズーム倍率を変化させるものである。本実施例1においては、後に詳述する様に水平補正を行う際にこのズームレンズを利用している。
【0016】
撮影レンズ10の前にはバリア102がある。バリア102は撮影レンズ10の非使用時に撮影レンズ10を覆う。バリア102で覆う事で、デジタルカメラの撮影レンズ10を含む撮像部の汚れや破損を防止する。
【0017】
撮影レンズ10の中に絞り機能を備えるシャッタ12がある。複数のレンズで構成する撮影レンズ10中の所定の位置に配置されるが便宜上撮影レンズ10の後ろに示している。撮影レンズ10の結像位置に撮像素子14がある。撮像素子14は受光面で被写体の像を受光し、その光画像を電気信号のアナログ信号に変換する。撮像素子14のアナログ信号出力はA/D変換器16でデジタル信号に変換する。撮像素子14は本発明の撮像手段に相当する。
【0018】
タイミング発生回路18はメモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。そして、タイミング発生回路18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給する。
【0019】
A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータが画像処理回路20に入る。画像処理回路20ではA/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータ対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0020】
また、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果をシステム制御回路50に送る。
【0021】
システム制御回路50は、画像処理回路20の演算結果に基づいて露光制御部40、フォーカス制御部42の制御を行う。
【0022】
撮影レンズ10か取り入れた光の情報を用いてデジタルカメラの焦点合わせと露光を制御するTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。
【0023】
さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0024】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮伸長回路32を制御する。
【0025】
A/D変換器16のデータが画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16のデータがメモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に直接書き込まれる。
【0026】
画像表示メモリ24に書き込まれたデータは表示用の画像データで、D/A変換器26でD/A変換し、アナログ信号とした後、TFTLCD等から成る画像表示部28で画像表示される。
【0027】
画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能(モニタ)を実現することが可能である。
【0028】
また、撮像した画像データの上に、アイコンや文字列などのビットマップを重ねて画像表示部28に表示することも可能である。
【0029】
電子ファインダ機能に加え、撮影情報をアイコンや文字列により表示することができる。撮影情報には、ズーム倍率を視認させる表示領域、画素数、フォーカス方式、露出補正値等がある。この画像表示メモリ24により、本実施の形態の情報表示手段が構成されている。
【0030】
また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能である。表示をOFFにした場合にはデジタルカメラの電力消費を大幅に低減することができる。
【0031】
メモリ30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリである。メモリ30は所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連写撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0032】
圧縮伸張回路32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸張する回路である。圧縮伸張回路32はメモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸張処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
【0033】
露光制御部40は絞り機能を備えるシャッタ12を制御するものであり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。
【0034】
フォーカス制御部42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御し、ズーム制御部44は撮影レンズ10のズーミングを制御する。バリア102の動作の制御はバリア制御部46で行う。
【0035】
フラッシュ48は、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能を行う。露光制御部40、フォーカス制御部42はTTL方式を用いて制御されている。撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50は露光制御部40、フォーカス制御部42に対して制御を行う。
【0036】
デジタルカメラの全体動作の制御は、マイクロコンピュータによって構成されたシステム制御回路50で行う。システム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等は、メモリ52に記憶する。
【0037】
システム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等が、液晶表示装置やスピーカー等の表示部54で表現される。表示部54はデジタルカメラの操作部近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。
【0038】
また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
【0039】
デジタルカメラの撮影光軸を中心とする回転を、ジャイロ300を用いて検出する。
【0040】
図2は本発明を適用出来るデジタルカメラ100の模式図であり、10はデジタルカメラ100の撮影レンズを模式的に表したものである。ジャイロ300は、ジャイロ300を通り、かつ、撮像素子14の受光面に垂直なベクトル302周りのデジタルカメラ100の傾斜角度θを検出可能であり、検出した傾斜角度θに基づいて傾斜角度情報をシステム制御回路50に伝達している。本実施例1では、システム制御回路50はジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づいて水平画像撮影処理を行っている。水平画像撮影処理に関しては後に詳述する。
【0041】
モードダイアルスイッチ60は、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード、パノラマ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを切り替え設定する。
【0042】
シャッタスイッチ62は、2段階に押圧するようになっており、1段目の押圧でSW1がONし、さらに2段目の押圧でSW2がONするような構成になっている。
【0043】
SW1は不図示のシャッタボタンの操作途中でONとなり、ONとなるとAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0044】
SW2は不図示のシャッタボタンの操作完了でONとなり、ONとなると撮像素子12から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データを書き込む露光処理の動作開始を指示する。また、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮伸張回路32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に画像データを書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。
【0045】
画像表示ON/OFFスイッチ64では、画像表示部28のON/OFFを設定することができる。この機能により、光学ファインダ104を用いて撮影を行う際に、TFTLCD等から成る画像表示部28への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0046】
ズームスイッチ66は、少なくともOFFとテレスイッチとワイドスイッチの3つの選択ができるスイッチとなっている。テレスイッチがONになるとテレ側にズームが行われ、ワイドスイッチがONになるとワイド側にズームが行われ、OFFに戻ると停止する。
【0047】
操作部70は各種ボタンやタッチパネル等から構成される。
【0048】
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されている。
【0049】
コネクタ82は、コネクタ84に締結することで、電源86と、電源制御部80を電気的に接続する。
【0050】
インタフェース90及び94はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェースとなる。コネクタ92及び96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200、210と接続を行うコネクタである。記録媒体着脱検知部98は、コネクタ92、96に記録媒体200、210が装着されているか否かを検知する。
【0051】
光学ファインダ104は、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用すること無しに、光学ファインダ104のみを用いて撮影を行うことを可能としている。
【0052】
通信部110は、各種通信機能を有する。コネクタ112は通信部110によりデジタルカメラを他の機器と接続する手段で、コネクタ或いは無線通信の場合はアンテナである。
【0053】
記録媒体200、210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、212、デジタルカメラ100とのインタフェース204、214、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ206、216を備えている。
【0054】
画像表示メモリ24に記録されるLCD表示画像は、メモリ制御部22を介して画像表示部28に表示される。
【0055】
このLCD表示画像は、画像表示部28の画素数と同じ画素数の大きさを有する。撮像素子14からの画像データを順次取り込んで画像表示部28に表示することにより電子ファインダ機能を実現する。
【0056】
次に、実施例1の動作を説明する。図3は、デジタルカメラの主ルーチンのフローチャートを示す。
【0057】
電池交換等の電源投入により、システム制御回路50はフラグや制御変数等を初期化し(ステップS101)、画像表示部28の画像表示をOFF状態に初期設定する(ステップS102)。
【0058】
次に、システム制御回路50は、モードダイアル60の設定位置を判断し(ステップS103)、モードダイアル60が電源OFFに設定されていたならば、各表示部の表示を終了状態に変更し、バリア102を閉じて撮影レンズ10を保護する。同時に、フラグや制御変数等を含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録する。そして、電源制御部80により画像表示部28を含むデジタルカメラ各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行った後(ステップS105)、ステップS103に戻る。
【0059】
モードダイアル60が撮影モードに設定されていたならば(ステップS103)、ステップS106に進む。また、モードダイアル60がその他のモードに設定されていたならば(ステップS103)、システム制御回路50は選択されたモードに応じた処理を実行し(ステップS104)、処理を終えたならばステップS103に戻る。
【0060】
システム制御回路50は、電源制御部80により電池等で構成される電源86の残容量や動作状況がデジタルカメラの動作に問題があるか否かを判定する(ステップS106)。問題があるならば表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(ステップS108)、ステップS103に戻る。
【0061】
一方、ステップS106の判定の結果、電源86に問題が無いならば、システム制御回路50は記録媒体200、210の動作状態がデジタルカメラの動作、特に記録媒体に対する画像データの記録再生動作に問題があるか否かを判定する(ステップS107)。問題があるならば表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(ステップS108)、ステップS103に戻る。
【0062】
一方、ステップS107の判定の結果、記録媒体200、210の動作状態に問題が無いならば、表示部54を用いて画像や音声によりデジタルカメラ100の各種設定状態の表示を行う(ステップS109)。
【0063】
続いて、システム制御回路50は、画像表示ON/OFFスイッチ66が押されたかどうかを判定する(ステップS110)。この判定の結果、画像表示ON/OFFスイッチ66が押されていれば、画像表示フラグのON/OFFを調べる(ステップS111)。画像表示フラグがOFFに設定されていたならば、画像表示フラグをONに設定すると共に(ステップS112)、画像表示部28の画像表示をON状態に設定する(ステップS113)。
【0064】
さらに、撮像した画像データを逐次表示するスルー表示状態に設定し(ステップS114)、スルー表示の上にズーム倍率を視認させる表示領域を重ねて表示(ステップS115)して、ステップS119に進む。ズーム倍率を視認させる表示は、ビットマップの描画・表示により行われる。描画したビットマップを、EVF(電子ファインダ)の上に重ねて表示する。ビットマップをEVFの上に重ねて表示する方法は、広く知られており、ここでは特に説明しない。
【0065】
スルー表示状態に於いては、撮像素子12、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24に逐次書き込まれたデータを、メモリ制御回路22、D/A変換器26を介して画像表示部28により逐次表示する。これにより、電子ファインダ機能を実現している。
【0066】
画像表示フラグがONに設定されていたならば(ステップS111)、画像表示フラグを解除すると共に(ステップS116)、画像表示部28の画像表示をOFF状態に設定して(ステップS117)、ステップS118に進む。
【0067】
画像表示OFFの場合は、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用せず、光学ファインダ104を用いて撮影を行う。
【0068】
この場合、電力消費量の大きい画像表示部28やD/A変換器26等の消費電力を削減することが可能となる。なお、画像表示フラグの状態は、システム制御回路50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。また、起動時においては画像表示フラグがOFFである。
【0069】
続いて、システム制御回路50は、選択されているズームモードに応じたズーム処理(ステップS118)を行う。
【0070】
その後、システム制御回路50は、シャッタスイッチ62、操作部70その他のスイッチの状態がONであるか否かを判別し(ステップS119)、スイッチの状態がONであった場合は、撮影動作など、選択されたスイッチの状態に応じた処理を実行した後(ステップS120)、ステップS103に戻る。一方、スイッチの状態がOFFであった場合は、何もせずにステップS103に戻る。
【0071】
続いて、水平画像撮影方法について詳細な説明を行う。
【0072】
水平画像撮影方法は静止画撮影の場合と動画撮影の場合があるが、本実施例1においては静止画撮影の場合について説明を行う。
【0073】
本実施例1においては、水平な静止画を撮影するために、以下の様な水平補正を行っている。
【0074】
なお、撮影レンズ10の光軸を水平線に対して少し上向き、あるいは下向きに構えて撮影する場合、その仰角をαとすると、ジャイロ300で検出したカメラの光軸回りの回転角がθであった場合、水平の補正はθ×COSαとしなければならない。しかしCOSαが0.9となるのはαが25度以上になる場合なので仰角の影響による過補正が問題となる様な場合はほとんど起こらない。そこで、説明を簡単にするために本実施例1では光軸に直角な二方向の回転量の検出は省略している。
【0075】
図4は本実施例1による水平補正の概念を示した図であり、図4(a)はデジタルカメラ100が傾いていない状態、図4(b)はデジタルカメラ100が図2中のベクトル302周りに重力の方向に垂直な水平面404に対してθだけ回転した場合を示している。図4において、400は撮像素子14の受光面である。本実施例1においては、水平補正を行うために、撮像素子の受光面400の中の一定の範囲402を切り出して、その切り出された領域のみを画像表示部28に表示する。以下、402は画像切り出し領域と呼ぶ。本実施例1においては、撮像素子14の受光面400と画像切り出し領域402は相似形である。また、撮像素子14の受光面400の重心と画像切り出し領域402の重心は一致している。図4(b)に示す様にデジタルカメラ100が図2中のベクトル302周りに重力の方向に垂直な水平面404に対してθだけ回転している場合を述べる。この場合は、画像切り出し領域402を、撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にθだけ回転させる。この様な処理を行うことにより、デジタルカメラ100がθだけ回転した状態であっても、画像表示部28には画像切り出し領域402の辺406が重力の方向に垂直な水平面404と並行となる様な画像切り出し領域402内の画像が表示される。
【0076】
本実施例1においては、図2中のベクトル302周りの重力の方向に垂直な水平面404に対してのデジタルカメラ100の傾きθが限度角以内(θ<=θmax)の場合のみに水平補正を行うこととしている。即ち、デジタルカメラの傾きが限度角以内でない(θ>θmaxである)θであった場合には、図5に示す様に、画像切り出し領域402の回転処理を行わず、デジタルカメラと同じ傾きの画像切り出し領域402内の画像を画像表示部28に表示する。本実施例1においては、限度角θmaxは予め決められた値となっている。
【0077】
次に、画像切り出し領域402の大きさについて説明を行う。画像切り出し領域402の大きさは、デジタルカメラの傾きθがθmax>=θである場合には、回転補正を行った際に画像切り出し領域402が撮像素子14の受光面400からはみ出さない様な大きさとなっていなければならない。図6に示す様に、画像切り出し領域402が撮像素子14の受光面400からはみ出してしまうと、図6中の黒で塗りつぶした部分402Aの画像データがないので、画像表示部28に一部が欠けた画像が表示されてしまうからである。
【0078】
本実施例1においては、画像切り出し領域402内のデータを用いて静止画撮影の際の撮影データを生成している。撮像素子14の受光面400内で生成された情報をより多く使った方が画質は向上するが、撮像素子14の受光面400内で画像切り出し領域402以外の領域で生成された情報は、利用されることはない。従って、撮影データの画質を向上させるためには、静止画撮影の際に画像切り出し領域402の大きさはなるべく大きくすることが有効である。そこで、本実施例1においては、以下の様な処理を行うことにより、静止画の撮影の際に画像切り出し領域402が大きくなる様にしている。
【0079】
図7は静止画撮影時の概念図である。デジタルカメラが或る傾きθのときに、静止画撮影指示があると、画像切り出し領域402は図7に示す様に、撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を拡大する。この様な処理により、画像切り出し領域402が大きくなり、撮影データの画質は向上する。しかし、一方で、撮影者は画像表示部28に表示されている、画像切り出し領域402で切り出された画像を見て画角を決めて撮影指示をデジタルカメラに与える。ところが、先に述べた様な、撮影時に画像切り出し領域402を拡大する処理を行うと、撮影データの画角が広角側に変化してしまい、撮影者が企図した画角とは異なる画角で画像が撮影されてしまう。この問題を解決するために、本実施例1では、画像切り出し領域402の拡大による画角の変化を打ち消す様に、画像切り出し領域402を変化させるのと同時に光学ズームを望遠側に作動させ、撮影動作を行い、画像を記録する。図7中で408は画像切り出し領域402の大きさが変わる前の領域である。図7に示す様に、撮影動作時、画像切り出し領域402は撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲内において、領域408よりも大きくなる。そして同時に、撮影される画像の画角が画像切り出し領域402の大きさが変わる前の領域408の画角と同じとなる様に、光学ズームを望遠側に駆動する。
【0080】
本実施例1においては、上記の様な構成となっているので、水平補正を行うモードにデジタルカメラが設定されている場合は、光学ズームは画像切り出し領域402の大きさの変化によって画角が広角側に変化するのを打ち消すことが出来るだけ、望遠側への変倍余地を残していなければならない。カメラの傾きθがθ=0の場合は、画像切り出し領域402は撮像素子14の受光面400と同じ大きさにまで大きくなることが出来る、つまり、θ=0の場合が撮影時に最も画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化が大きい。従って、光学ズームは、θ=0の時の画像切り出し領域402の大きさの変化による画角変化を打ち消すことが出来るだけの望遠側への変倍の領域を確保していれば良い。θ=0の時の画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化がα倍であった場合、光学ズームを駆動することによりこの変倍を打ち消さなければならないので、光学ズームはβ=1/αであるβ倍の変倍を行わなければならない。従って、デジタルカメラの光学ズームが全体でγ倍迄の変倍を行うことが出来る場合は、γ/β=γ*αであるので、撮影者が手動で変化させることが出来る変倍(光学ズーム倍率)の範囲を1倍からγ*α倍以下までに制限する必要がある。
【0081】
この様な構成をもつ本実施例1のデジタルカメラの、水平補正静止画撮影処理について、図8のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0082】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正静止画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であるかどうかを判定する(ステップS200)。光学ズームの倍率が所定の倍率以下でないと判定された場合(ステップS200でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで広角側に変倍する(ステップS201)。ステップS201の終了後、または、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であると判定された場合(ステップS200でY)は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、広角側の最低倍率(1倍)から予め定められた倍率までの範囲に制限する(S202)。
【0083】
システム制御回路50は撮像素子14の受光面400の内、予め決められた大きさの画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示する(ステップS203)。次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθが限度角θmax以内であるかどうかを判定する(ステップS204)。
【0084】
θ<=θmaxであった場合は画像切り出し領域402を、撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にデジタルカメラ100の傾きθだけ回転させる(ステップS205)。これにより画像切り出し領域402が水平となる。
【0085】
次にステップS206において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS206において撮影指示があると判定された場合(ステップS206においてY)には、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を大きくする。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS207)。そして、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS208)。
【0086】
その後、画像切り出し領域402の大きさを撮影指示がある前の画像切り出し領域402の大きさに戻すと同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS209)、ステップS202に戻る。
【0087】
ステップS206において撮影指示がないと判定された場合(ステップS206においてN)は、ステップS204に戻る。
【0088】
θ>θmaxであった場合(ステップS204でN)は画像切り出し領域402の傾きを、デジタルカメラ100の傾きθと同じにする(ステップS210)。
【0089】
次にステップS211において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS211において撮影指示があると判定された場合(ステップS211においてY)には、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を大きくする。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS212)。そして、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS213)。
【0090】
その後、画像切り出し領域402の大きさを撮影指示がある前の大きさに戻すと同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS214)、ステップS204に戻る。
【0091】
ステップS211において撮影指示がないと判定された場合(ステップS211においてN)は、ステップS204に戻る。
【実施例2】
【0092】
以下、本発明の実施例2による水平画像撮影動作について詳細に説明を行う。実施例1と同じ部材には同じ符号を付して重複した説明を省く。実施例1と同様に、本実施例2では水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0093】
本実施例2においても、実施例1と同様に静止画撮影に適応した場合について説明を行う。
【0094】
実施例1と実施例2はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合には水平補正を行わず、そうでない場合には水平補正を行う点は同じである。しかし、実施例1と実施例2はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合の処理が異なる。
【0095】
実施例1においては、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は画像切り出し領域402の回転を行わないこととしていた。一方、本実施例2においては、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は撮像素子14の受光面400の一部を画像切り出し領域402により切り出すことを行わないことを特徴とする。その他の構成は実施例1と同じである。
【0096】
この様な構成をもつ本実施例2のデジタルカメラの、水平補正静止画撮影処理について、図9のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0097】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正静止画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であるかどうかを判定する(ステップS300)。光学ズームの倍率が所定の倍率以下でないと判定された場合(ステップS300でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで広角側に変倍する(ステップS301)。ステップS301の終了後、または、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であると判定された場合(ステップS300でY)は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、広角側の最低倍率(1倍)から予め定められた倍率までの範囲に制限する(S302)。
【0098】
システム制御回路50は撮像素子14の受光面400の内、予め決められた大きさの画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示する(ステップS303)。次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラ100の傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS304)。
【0099】
θ<=θmaxであった場合(ステップS304でY)は画像切り出し領域402を、撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にデジタルカメラ100の傾きθだけ回転させる(ステップS305)。
【0100】
次にステップS306において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS306において撮影指示があると判定された場合(ステップS306においてY)には、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を大きくする。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS307)。そして、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS308)。
【0101】
その後、画像切り出し領域402の大きさを撮影指示がある前の画像切り出し領域402の大きさに戻す。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS309)、ステップS304に戻る。
【0102】
ステップS306において撮影指示がないと判定された場合(ステップS306においてN)は、ステップS304に戻る。
【0103】
θ>θmaxであった場合(ステップS304でN)は撮像素子14の受光面400の内、予め決められた大きさの画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示することを中止する。そして、撮像素子14の受光面400で生成されたデータ全体による画像を画像表示部28に表示する。同時に、画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示することを中止することによる画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS310)。
【0104】
次にステップS311において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS311において撮影指示があると判定された場合(ステップS311においてY)には、撮像素子14の受光面400全体で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS312)。
【0105】
その後、デジタルカメラ100の傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS313)。
【0106】
θ<=θmaxであった場合(ステップS313でY)は、画像切り出し領域402の切り出し動作中止を解除すると同時に画像切り出し領域402の切り出し動作中止を解除することによる画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS314)、ステップS305に進む。
【0107】
θ>θmaxであった場合(ステップS313でN)は、ステップS311に戻る。
【0108】
ステップS311において撮影指示がないと判定された場合(ステップS311においてN)はステップS313に進む。
【0109】
この様な構成とすることにより、傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は、撮影指示がある際に、画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がなくなる。従って、傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合の撮影時の処理が簡単になる。但し、傾きθが限度角θmaxを超えた後下回る度に画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がある。
【実施例3】
【0110】
以下、本発明の実施例3による水平画像撮影動作について詳細に説明を行う。実施例1と同じ部材には同じ符号を付して重複した説明を省く。実施例1と同様に、本実施例3では水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0111】
本実施例3においても、実施例1および2と同様に静止画撮影に適応した場合について説明を行う。
【0112】
実施例2と実施例3はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合には水平補正を行わず、そうでない場合には水平補正を行う点は同じである。しかし、実施例2と実施例3はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmax以内の場合の処理が異なる。
【0113】
実施例3における、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmax以内の場合の処理について説明を行う。本実施例3においては、画像切り出し領域402の大きさをデジタルカメラの傾きθに応じて逐次変化させる。より詳しくは、デジタルカメラの傾きθと画像切り出し領域402の角度の差が大きくなる程、画像切り出し領域402の大きさを小さくしている。図10は、デジタルカメラの傾きθによって、画像切り出し領域402が変化している様を示す概念図である。図10(a)はデジタルカメラの傾きθが0のとき、図10(b)はデジタルカメラがθ1だけ傾いているとき、図10(c)はデジタルカメラがθ2だけ傾いているときを表している。0<θ1<θ2<θmaxである。図10に示されている様に、デジタルカメラの傾きθが大きくなる程、画像切り出し領域402の大きさが小さくなっている。この様な、処理を行うことにより、画像切り出し領域402が撮像素子14の受光面400からはみ出すことを防ぐことが出来る。しかし、この様な処理を行うとデジタルカメラ100の傾きθが大きくなる程、画像表示部28に表示される画像の画角は望遠側に変化してしまう。このような問題を解決するために、本実施例3においては、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、デジタルカメラ100の傾きθが大きくなる程光学ズームを広角側に変化させることとしている。
【0114】
本実施例3においては、水平補正を行うモードに設定されている場合は、傾きθが大きくなる程に画像表示部28に表示される画角が望遠側に変化するのを打ち消すことが出来るだけ、光学ズームは広角側への変倍余地を残していなければならない。θ=θmaxのときに画像切り出し領域402の大きさは最も小さくなるので、傾きθが0からθmaxへ変化する場合の画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の望遠側への変倍を広角側への変倍によって打ち消すことが出来なくてはならない。傾きθが0からθmaxへ変化するときの画像切り出し領域402の大きさの変化による画像表示部28に表示される画角の望遠側への変倍をδとすると、その変倍を打ち消すために、光学ズームは1/δだけ広角側に変倍できなければならない。光学ズームの変倍は原理上1倍以下の値とはならないので、デジタルカメラ100の傾きθがθ=0の時に、光学ズームはδ倍以上望遠側に変倍していなければならない。
【0115】
この様な構成をもつ本実施例3のデジタルカメラの、水平補正静止画撮影処理について、図11のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0116】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正静止画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であるかどうかを判定する(ステップS400)。光学ズームの倍率が所定の倍率以上でないと判定された場合(ステップS400でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで望遠側に変倍する(ステップS401)。ステップS401の終了後、また、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であると判定された場合(ステップS400でY)は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、予め定められた倍率から望遠側の最大変倍までの範囲に制限する(S402)。
【0117】
次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS403)。
【0118】
θ<=θmaxであった場合(ステップS403でY)は画像切り出し領域402をデジタルカメラの傾きθに応じた大きさに連続的に変更する。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変更による画像表示部28に表示される画像の画角の変更を打ち消す様に、光学ズームを駆動する。さらにそれと同時に、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にデジタルカメラ100の傾き角度θだけ連続的に回転させる(ステップS404)。
【0119】
次にステップS405において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS405において撮影指示があると判定された場合(ステップS405においてY)には、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS406)。
【0120】
ステップS406の終了後、或いは、ステップS405において撮影指示がないと判定された場合(ステップS405においてN)には、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS407)。
【0121】
θ<=θmaxであった場合(ステップS407でY)は、ステップS404に戻る。
【0122】
θ>θmaxであった場合(ステップS407でN)は撮像素子14の受光面400の内、画像切り出し領域402を切り出して画像表示部28に表示することを中止する。そして、撮像素子14の受光面400で生成されたデータ全体による画像を画像表示部28に表示する。同時に、画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示することを中止することによる画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS408)。
【0123】
ステップS408の終了後、または、ステップS403においてθ>θmaxであると判定された場合は、ステップS409において撮影指示があるかどうかを判定する。
【0124】
ステップS409において撮影指示があると判定された場合(ステップS409においてY)には、撮像素子14の受光面400全体で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS410)。その後ステップS403に戻る。
【0125】
ステップS409おいて撮影指示がないと判定された場合(ステップS409においてN)はステップS403に戻る。
【0126】
この様な構成とすることにより、撮影指示がある際に、画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がなくなる。従って、撮影時の処理が簡単になる。但し、デジタルカメラ100の傾きθの値が変わる度に逐次画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がある。
【実施例4】
【0127】
以下、本発明の実施例4による水平画像撮影動作について詳細に説明を行う。実施例1と同じ部材には同じ符号を付して重複した説明を省く。実施例1と同様に、本実施例4では水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0128】
実施例1ないし3は静止画撮影に適応した場合の実施例について説明したが、本実施例4は動画撮影に適応した場合の実施例について説明を行う。
【0129】
実施例4は実施例3と同様にデジタルカメラ100の傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合には水平補正を行わず、そうでない場合には水平補正を行う点は同じであるが、実施例4は実施例3と以下の様な相違点がある。実施例3では、水平補正を中止する際に画像表示部28に表示される画像が急にデジタルカメラの傾きθと同じ角度に変化する様な構成となっていた。一方で、本実施例4では、水平補正を中止する際に、画像切り出し領域402の傾きをデジタルカメラの傾きと同じ角度に連続的に変化させることとしたので、画像表示部28に表示される画像の傾きが急に変化することがない。この様な構成となっているので、本実施例4による水平補正を用いて動画撮影を行った場合、生成された動画データ中で水平補正の終了時に画像の傾きが急に変化することを防ぐことが出来る。
【0130】
以下、実施例4のデジタルカメラの水平補正処理について、図12のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0131】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正動画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であるかどうかを判定する(ステップS500)。光学ズームの倍率が所定の倍率以上でないと判定された場合(ステップS500でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで望遠側に変倍する(ステップS501)。ステップS501の終了後、または、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であると判定された場合は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、予め定められた倍率から望遠側の最大変倍までの範囲に制限する(S502)。
【0132】
次にステップS503において、動画撮影開始指示があるかどうかを判定する。動画撮影開始指示がない場合(ステップS503でN)はステップS503に戻る。動画撮影開始指示がある場合は、動画撮影開始処理を開始(ステップS504)し、以降、動画撮影終了処理(ステップS508)が行われるまで、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400により生成されたデータを一定時間ごとに記憶し続ける。
【0133】
次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS505)。
【0134】
θ<=θmaxであった場合(ステップS505でY)は画像切り出し領域402をデジタルカメラの傾きθに応じた大きさに連続的に変更する。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変更による画像表示部28に表示される画像の画角の変更を打ち消す様に、光学ズームを駆動する。さらにそれと同時に、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向に傾きθだけ連続的に回転させる(ステップS506)。
【0135】
次にステップS507において動画撮影終了指示があるかどうかを判定する。ステップS507において動画撮影終了指示があると判定された場合(ステップS507でY)は、動画撮影終了処理を行う(ステップS508)。動画撮影終了処理は画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400により生成されたデータを一定時間ごとに記憶し続けることを中止する。そして、記憶された撮像素子14の受光面400により生成されたデータを用いて所定の動画形式のデータを生成する。
【0136】
動画撮影終了処理が終った後は、ステップS503に戻る。
【0137】
ステップS507において動画撮影終了指示がないと判定された場合(ステップS507でN)は、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS509)。
【0138】
θ<=θmaxであった場合(ステップS509でY)はステップS506に戻る。
【0139】
θ>θmaxであった場合(ステップS509でN)は、画像切り出し領域402の大きさを画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きの角度との差に応じた大きさに連続的に変化させる。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変更を打ち消す様に光学ズームを駆動する。更に同時に、画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きの角度が同じになるまで画像切り出し領域402を連続的に回転させる。つまり、画像切り出し領域402が画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きが一致する方向に向かって回転するに従って、画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きの角度との差が小さくなる。それにつれて、画像切り出し領域402の大きさは大きくなり、画像表示部28に表示される画像、及び、動画撮影処理により一定時間ごとに記憶し続けられている画像切り出し領域402内の撮像素子14のデータによる画像は広角側に変化する。そのため、それを打ち消す様に光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS510)。
【0140】
次にステップS511において動画撮影終了指示があるかどうかを判定する。ステップS511において動画撮影終了指示があると判定された場合(ステップS511でY)は、動画撮影終了処理を行う(ステップS508)。
【0141】
ステップS511において動画撮影終了指示がないと判定された場合(ステップS511でN)は、ステップS505に戻る。
【0142】
ステップS505においてθ>θmaxであった場合(ステップS505でN)は、ステップS511に進む。
【0143】
実施例3と同様に、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は水平補正を行わず、限度角θmax以下であるときは水平補正を行うという点では同じであるが、水平補正終了する際に、画像表示部28に表示される画像、及び、動画撮影処理により一定時間ごとに記憶し続けられている画像切り出し領域402内の撮像素子14のデータによる画像の傾きが連続的に変化するので、生成された動画データ中で水平補正の終了時に画像の傾きが急に変化することを防ぎ、画像の傾きが滑らかに変化するので、より自然な違和感の無い動画データを生成することが出来る。
【0144】
従って、実施例4による水平補正は動画撮影に好適な実施例である。
【0145】
実施例1ないし4においては、限度角θmaxは予め決められた値である場合を例にとり説明を行ったが、撮影者が任意に値を決められるものとしても良い。
【0146】
実施例1ないし4に示されている処理動作の内どの処理動作を用いるか撮影者が選べる様にしても良い。また、水平補正静止画撮影モードのときは実施例1に示されている処理動作を用い、水平補正動画撮影モードのときは実施例4に示されている処理動作を用いる等、予め決められていても良い。
【0147】
実施例1ないし4においてはデジタルカメラを例に取り説明を行ったが、デジタルビデオ等の他の撮像装置であっても勿論良い。
【0148】
尚、上記の実施例は、何れも本発明を実施するに当たっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが出来る。
【符号の説明】
【0149】
14 撮像素子
28 画像表示部
50 システム制御回路
300 ジャイロ
402 画像切り出し領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平な画像の撮影を行うことができる撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀塩カメラやデジタルカメラ等の撮像装置においては、使用者が水平な画像の撮影を企図しているにもかかわらず、撮像装置が傾いているために傾いた画像が撮影されてしまうという問題があった。
【0003】
そうした問題を解決するために、例えば液晶等の表示装置を備えたデジタルカメラにおいてはデジタルカメラの傾きを検出する手段を設け、デジタルカメラの傾き度合いを表示装置に表示し、デジタルカメラの傾き度合いを使用者に知らせるというものが知られている。しかしながら、そうした表示を見ながらデジタルカメラを水平に保持し、動きのある被写体の撮影を行うことは一般に難しかった。従って、簡単に水平な画像の撮影を行うことが出来る技術の確立が課題となっていた。
【0004】
上述した簡単に水平な画像の撮影を行うことが出来る技術に関する発明は多数提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−245726号公報
【特許文献2】特開平6−178190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前述した従来の技術には以下の様な課題があった。特許文献1においては拡大処理をする場合は、デジタルカメラの傾き角度によって拡大する量が変わるために、生成される画像の画角がデジタルカメラの傾き角度によって変わってしまう。更に撮影操作をするまでどの様な構図で画像が出来るか判らないため、使用者が意図した構図で撮影することが出来ない。一方で、縮小処理をする場合は矩形の画像をそのまま回転した画像が出来るので一般に扱いにくい画像となってしまう。
【0007】
特許文献2においては、傾き角度によらず常に撮像素子よりも小さい一定の範囲を切り出しているため、撮像素子で生成された画像情報を常に一定の量だけ利用していないこととなり、撮像素子で生成された画像情報を有効に利用できていなかった。
【0008】
(発明の目的)
本発明の目的は、撮像手段で生成された画像情報を有効に利用しつつ、撮像装置の傾きによらず一定の画角で水平な画像を撮影することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、被写体の像を受光する受光面を備えた撮像手段と、前記撮像手段から得られる画像を表示する画像表示手段と、撮像光学系の焦点距離を変化させ、変倍動作を行う光学ズーム手段と、前記撮像光学系の光軸周りの傾きを検出する傾き検出手段と、前記撮像手段から得られた画像の中から予め決められた大きさの画像切り出し領域を切り出し、前記画像切り出し領域の画像を前記画像表示手段に表示させ、前記画像切り出し領域が前記撮像手段の受光面からはみ出さないように、前記傾きに応じて、前記画像切り出し領域の画像が水平となるように、前記画像切り出し領域を回転させ、撮影指示があった場合は、前記傾きに応じて前記撮像手段の受光面からはみ出さない範囲内で前記画像切り出し領域を拡大し、同時に、前記画像切り出し領域の拡大による画角の広角側への変化を打ち消すように前記光学ズーム手段を作動させた上で、前記画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する制御手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像手段で生成された画像情報を有効に利用しつつ、撮像装置の傾きによらず一定の画角で水平な画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の撮像装置の実施例1であるデジタルカメラの概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施例1のデジタルカメラの模式図である。
【図3】デジタルカメラの主ルーチンの一部を示すフローチャートである。
【図4】水平補正の概念図である。
【図5】画像切り出し領域の回転処理を行わないときの概念図である。
【図6】画像切り出し領域が撮像素子の受光面からはみ出したときの概念図である。
【図7】静止画撮影のときの概念図である。
【図8】実施例1の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施例2の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【図10】画像切り出し領域の大きさをデジタルカメラの傾きに応じて変化させる概念図である。
【図11】実施例3の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【図12】実施例4の水平補正処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態は、以下の実施例1ないし4に記載される通りである。
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例1による水平画像撮影動作について添付の図面に基づいて詳細に説明を行う。本実施例1では本発明による水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0014】
図1は、本発明の実施例1であるデジタルカメラの構成を示す図である。
【0015】
図1において、デジタルカメラには撮影レンズ10がある。本実施例1では撮影レンズ10は焦点距離を変更可能な所謂ズームレンズとなっている。ズームレンズは複数枚のレンズから構成され、そのレンズ位置を移動させることで焦点距離、即ちズーム倍率を変化させるものである。本実施例1においては、後に詳述する様に水平補正を行う際にこのズームレンズを利用している。
【0016】
撮影レンズ10の前にはバリア102がある。バリア102は撮影レンズ10の非使用時に撮影レンズ10を覆う。バリア102で覆う事で、デジタルカメラの撮影レンズ10を含む撮像部の汚れや破損を防止する。
【0017】
撮影レンズ10の中に絞り機能を備えるシャッタ12がある。複数のレンズで構成する撮影レンズ10中の所定の位置に配置されるが便宜上撮影レンズ10の後ろに示している。撮影レンズ10の結像位置に撮像素子14がある。撮像素子14は受光面で被写体の像を受光し、その光画像を電気信号のアナログ信号に変換する。撮像素子14のアナログ信号出力はA/D変換器16でデジタル信号に変換する。撮像素子14は本発明の撮像手段に相当する。
【0018】
タイミング発生回路18はメモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。そして、タイミング発生回路18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給する。
【0019】
A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータが画像処理回路20に入る。画像処理回路20ではA/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータ対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0020】
また、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果をシステム制御回路50に送る。
【0021】
システム制御回路50は、画像処理回路20の演算結果に基づいて露光制御部40、フォーカス制御部42の制御を行う。
【0022】
撮影レンズ10か取り入れた光の情報を用いてデジタルカメラの焦点合わせと露光を制御するTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。
【0023】
さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0024】
メモリ制御回路22は、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮伸長回路32を制御する。
【0025】
A/D変換器16のデータが画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16のデータがメモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に直接書き込まれる。
【0026】
画像表示メモリ24に書き込まれたデータは表示用の画像データで、D/A変換器26でD/A変換し、アナログ信号とした後、TFTLCD等から成る画像表示部28で画像表示される。
【0027】
画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能(モニタ)を実現することが可能である。
【0028】
また、撮像した画像データの上に、アイコンや文字列などのビットマップを重ねて画像表示部28に表示することも可能である。
【0029】
電子ファインダ機能に加え、撮影情報をアイコンや文字列により表示することができる。撮影情報には、ズーム倍率を視認させる表示領域、画素数、フォーカス方式、露出補正値等がある。この画像表示メモリ24により、本実施の形態の情報表示手段が構成されている。
【0030】
また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能である。表示をOFFにした場合にはデジタルカメラの電力消費を大幅に低減することができる。
【0031】
メモリ30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリである。メモリ30は所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連写撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0032】
圧縮伸張回路32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸張する回路である。圧縮伸張回路32はメモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸張処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。
【0033】
露光制御部40は絞り機能を備えるシャッタ12を制御するものであり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュ調光機能も有するものである。
【0034】
フォーカス制御部42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御し、ズーム制御部44は撮影レンズ10のズーミングを制御する。バリア102の動作の制御はバリア制御部46で行う。
【0035】
フラッシュ48は、AF補助光の投光機能、フラッシュ調光機能を行う。露光制御部40、フォーカス制御部42はTTL方式を用いて制御されている。撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50は露光制御部40、フォーカス制御部42に対して制御を行う。
【0036】
デジタルカメラの全体動作の制御は、マイクロコンピュータによって構成されたシステム制御回路50で行う。システム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等は、メモリ52に記憶する。
【0037】
システム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等が、液晶表示装置やスピーカー等の表示部54で表現される。表示部54はデジタルカメラの操作部近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。
【0038】
また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
【0039】
デジタルカメラの撮影光軸を中心とする回転を、ジャイロ300を用いて検出する。
【0040】
図2は本発明を適用出来るデジタルカメラ100の模式図であり、10はデジタルカメラ100の撮影レンズを模式的に表したものである。ジャイロ300は、ジャイロ300を通り、かつ、撮像素子14の受光面に垂直なベクトル302周りのデジタルカメラ100の傾斜角度θを検出可能であり、検出した傾斜角度θに基づいて傾斜角度情報をシステム制御回路50に伝達している。本実施例1では、システム制御回路50はジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づいて水平画像撮影処理を行っている。水平画像撮影処理に関しては後に詳述する。
【0041】
モードダイアルスイッチ60は、電源オフ、自動撮影モード、撮影モード、パノラマ撮影モード、再生モード、マルチ画面再生・消去モード、PC接続モード等の各機能モードを切り替え設定する。
【0042】
シャッタスイッチ62は、2段階に押圧するようになっており、1段目の押圧でSW1がONし、さらに2段目の押圧でSW2がONするような構成になっている。
【0043】
SW1は不図示のシャッタボタンの操作途中でONとなり、ONとなるとAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0044】
SW2は不図示のシャッタボタンの操作完了でONとなり、ONとなると撮像素子12から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データを書き込む露光処理の動作開始を指示する。また、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮伸張回路32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に画像データを書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。
【0045】
画像表示ON/OFFスイッチ64では、画像表示部28のON/OFFを設定することができる。この機能により、光学ファインダ104を用いて撮影を行う際に、TFTLCD等から成る画像表示部28への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0046】
ズームスイッチ66は、少なくともOFFとテレスイッチとワイドスイッチの3つの選択ができるスイッチとなっている。テレスイッチがONになるとテレ側にズームが行われ、ワイドスイッチがONになるとワイド側にズームが行われ、OFFに戻ると停止する。
【0047】
操作部70は各種ボタンやタッチパネル等から構成される。
【0048】
電源制御部80は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されている。
【0049】
コネクタ82は、コネクタ84に締結することで、電源86と、電源制御部80を電気的に接続する。
【0050】
インタフェース90及び94はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェースとなる。コネクタ92及び96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200、210と接続を行うコネクタである。記録媒体着脱検知部98は、コネクタ92、96に記録媒体200、210が装着されているか否かを検知する。
【0051】
光学ファインダ104は、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用すること無しに、光学ファインダ104のみを用いて撮影を行うことを可能としている。
【0052】
通信部110は、各種通信機能を有する。コネクタ112は通信部110によりデジタルカメラを他の機器と接続する手段で、コネクタ或いは無線通信の場合はアンテナである。
【0053】
記録媒体200、210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、212、デジタルカメラ100とのインタフェース204、214、デジタルカメラ100と接続を行うコネクタ206、216を備えている。
【0054】
画像表示メモリ24に記録されるLCD表示画像は、メモリ制御部22を介して画像表示部28に表示される。
【0055】
このLCD表示画像は、画像表示部28の画素数と同じ画素数の大きさを有する。撮像素子14からの画像データを順次取り込んで画像表示部28に表示することにより電子ファインダ機能を実現する。
【0056】
次に、実施例1の動作を説明する。図3は、デジタルカメラの主ルーチンのフローチャートを示す。
【0057】
電池交換等の電源投入により、システム制御回路50はフラグや制御変数等を初期化し(ステップS101)、画像表示部28の画像表示をOFF状態に初期設定する(ステップS102)。
【0058】
次に、システム制御回路50は、モードダイアル60の設定位置を判断し(ステップS103)、モードダイアル60が電源OFFに設定されていたならば、各表示部の表示を終了状態に変更し、バリア102を閉じて撮影レンズ10を保護する。同時に、フラグや制御変数等を含む必要なパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録する。そして、電源制御部80により画像表示部28を含むデジタルカメラ各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行った後(ステップS105)、ステップS103に戻る。
【0059】
モードダイアル60が撮影モードに設定されていたならば(ステップS103)、ステップS106に進む。また、モードダイアル60がその他のモードに設定されていたならば(ステップS103)、システム制御回路50は選択されたモードに応じた処理を実行し(ステップS104)、処理を終えたならばステップS103に戻る。
【0060】
システム制御回路50は、電源制御部80により電池等で構成される電源86の残容量や動作状況がデジタルカメラの動作に問題があるか否かを判定する(ステップS106)。問題があるならば表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(ステップS108)、ステップS103に戻る。
【0061】
一方、ステップS106の判定の結果、電源86に問題が無いならば、システム制御回路50は記録媒体200、210の動作状態がデジタルカメラの動作、特に記録媒体に対する画像データの記録再生動作に問題があるか否かを判定する(ステップS107)。問題があるならば表示部54を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(ステップS108)、ステップS103に戻る。
【0062】
一方、ステップS107の判定の結果、記録媒体200、210の動作状態に問題が無いならば、表示部54を用いて画像や音声によりデジタルカメラ100の各種設定状態の表示を行う(ステップS109)。
【0063】
続いて、システム制御回路50は、画像表示ON/OFFスイッチ66が押されたかどうかを判定する(ステップS110)。この判定の結果、画像表示ON/OFFスイッチ66が押されていれば、画像表示フラグのON/OFFを調べる(ステップS111)。画像表示フラグがOFFに設定されていたならば、画像表示フラグをONに設定すると共に(ステップS112)、画像表示部28の画像表示をON状態に設定する(ステップS113)。
【0064】
さらに、撮像した画像データを逐次表示するスルー表示状態に設定し(ステップS114)、スルー表示の上にズーム倍率を視認させる表示領域を重ねて表示(ステップS115)して、ステップS119に進む。ズーム倍率を視認させる表示は、ビットマップの描画・表示により行われる。描画したビットマップを、EVF(電子ファインダ)の上に重ねて表示する。ビットマップをEVFの上に重ねて表示する方法は、広く知られており、ここでは特に説明しない。
【0065】
スルー表示状態に於いては、撮像素子12、A/D変換器16、画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24に逐次書き込まれたデータを、メモリ制御回路22、D/A変換器26を介して画像表示部28により逐次表示する。これにより、電子ファインダ機能を実現している。
【0066】
画像表示フラグがONに設定されていたならば(ステップS111)、画像表示フラグを解除すると共に(ステップS116)、画像表示部28の画像表示をOFF状態に設定して(ステップS117)、ステップS118に進む。
【0067】
画像表示OFFの場合は、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用せず、光学ファインダ104を用いて撮影を行う。
【0068】
この場合、電力消費量の大きい画像表示部28やD/A変換器26等の消費電力を削減することが可能となる。なお、画像表示フラグの状態は、システム制御回路50の内部メモリ或いはメモリ52に記憶する。また、起動時においては画像表示フラグがOFFである。
【0069】
続いて、システム制御回路50は、選択されているズームモードに応じたズーム処理(ステップS118)を行う。
【0070】
その後、システム制御回路50は、シャッタスイッチ62、操作部70その他のスイッチの状態がONであるか否かを判別し(ステップS119)、スイッチの状態がONであった場合は、撮影動作など、選択されたスイッチの状態に応じた処理を実行した後(ステップS120)、ステップS103に戻る。一方、スイッチの状態がOFFであった場合は、何もせずにステップS103に戻る。
【0071】
続いて、水平画像撮影方法について詳細な説明を行う。
【0072】
水平画像撮影方法は静止画撮影の場合と動画撮影の場合があるが、本実施例1においては静止画撮影の場合について説明を行う。
【0073】
本実施例1においては、水平な静止画を撮影するために、以下の様な水平補正を行っている。
【0074】
なお、撮影レンズ10の光軸を水平線に対して少し上向き、あるいは下向きに構えて撮影する場合、その仰角をαとすると、ジャイロ300で検出したカメラの光軸回りの回転角がθであった場合、水平の補正はθ×COSαとしなければならない。しかしCOSαが0.9となるのはαが25度以上になる場合なので仰角の影響による過補正が問題となる様な場合はほとんど起こらない。そこで、説明を簡単にするために本実施例1では光軸に直角な二方向の回転量の検出は省略している。
【0075】
図4は本実施例1による水平補正の概念を示した図であり、図4(a)はデジタルカメラ100が傾いていない状態、図4(b)はデジタルカメラ100が図2中のベクトル302周りに重力の方向に垂直な水平面404に対してθだけ回転した場合を示している。図4において、400は撮像素子14の受光面である。本実施例1においては、水平補正を行うために、撮像素子の受光面400の中の一定の範囲402を切り出して、その切り出された領域のみを画像表示部28に表示する。以下、402は画像切り出し領域と呼ぶ。本実施例1においては、撮像素子14の受光面400と画像切り出し領域402は相似形である。また、撮像素子14の受光面400の重心と画像切り出し領域402の重心は一致している。図4(b)に示す様にデジタルカメラ100が図2中のベクトル302周りに重力の方向に垂直な水平面404に対してθだけ回転している場合を述べる。この場合は、画像切り出し領域402を、撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にθだけ回転させる。この様な処理を行うことにより、デジタルカメラ100がθだけ回転した状態であっても、画像表示部28には画像切り出し領域402の辺406が重力の方向に垂直な水平面404と並行となる様な画像切り出し領域402内の画像が表示される。
【0076】
本実施例1においては、図2中のベクトル302周りの重力の方向に垂直な水平面404に対してのデジタルカメラ100の傾きθが限度角以内(θ<=θmax)の場合のみに水平補正を行うこととしている。即ち、デジタルカメラの傾きが限度角以内でない(θ>θmaxである)θであった場合には、図5に示す様に、画像切り出し領域402の回転処理を行わず、デジタルカメラと同じ傾きの画像切り出し領域402内の画像を画像表示部28に表示する。本実施例1においては、限度角θmaxは予め決められた値となっている。
【0077】
次に、画像切り出し領域402の大きさについて説明を行う。画像切り出し領域402の大きさは、デジタルカメラの傾きθがθmax>=θである場合には、回転補正を行った際に画像切り出し領域402が撮像素子14の受光面400からはみ出さない様な大きさとなっていなければならない。図6に示す様に、画像切り出し領域402が撮像素子14の受光面400からはみ出してしまうと、図6中の黒で塗りつぶした部分402Aの画像データがないので、画像表示部28に一部が欠けた画像が表示されてしまうからである。
【0078】
本実施例1においては、画像切り出し領域402内のデータを用いて静止画撮影の際の撮影データを生成している。撮像素子14の受光面400内で生成された情報をより多く使った方が画質は向上するが、撮像素子14の受光面400内で画像切り出し領域402以外の領域で生成された情報は、利用されることはない。従って、撮影データの画質を向上させるためには、静止画撮影の際に画像切り出し領域402の大きさはなるべく大きくすることが有効である。そこで、本実施例1においては、以下の様な処理を行うことにより、静止画の撮影の際に画像切り出し領域402が大きくなる様にしている。
【0079】
図7は静止画撮影時の概念図である。デジタルカメラが或る傾きθのときに、静止画撮影指示があると、画像切り出し領域402は図7に示す様に、撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を拡大する。この様な処理により、画像切り出し領域402が大きくなり、撮影データの画質は向上する。しかし、一方で、撮影者は画像表示部28に表示されている、画像切り出し領域402で切り出された画像を見て画角を決めて撮影指示をデジタルカメラに与える。ところが、先に述べた様な、撮影時に画像切り出し領域402を拡大する処理を行うと、撮影データの画角が広角側に変化してしまい、撮影者が企図した画角とは異なる画角で画像が撮影されてしまう。この問題を解決するために、本実施例1では、画像切り出し領域402の拡大による画角の変化を打ち消す様に、画像切り出し領域402を変化させるのと同時に光学ズームを望遠側に作動させ、撮影動作を行い、画像を記録する。図7中で408は画像切り出し領域402の大きさが変わる前の領域である。図7に示す様に、撮影動作時、画像切り出し領域402は撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲内において、領域408よりも大きくなる。そして同時に、撮影される画像の画角が画像切り出し領域402の大きさが変わる前の領域408の画角と同じとなる様に、光学ズームを望遠側に駆動する。
【0080】
本実施例1においては、上記の様な構成となっているので、水平補正を行うモードにデジタルカメラが設定されている場合は、光学ズームは画像切り出し領域402の大きさの変化によって画角が広角側に変化するのを打ち消すことが出来るだけ、望遠側への変倍余地を残していなければならない。カメラの傾きθがθ=0の場合は、画像切り出し領域402は撮像素子14の受光面400と同じ大きさにまで大きくなることが出来る、つまり、θ=0の場合が撮影時に最も画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化が大きい。従って、光学ズームは、θ=0の時の画像切り出し領域402の大きさの変化による画角変化を打ち消すことが出来るだけの望遠側への変倍の領域を確保していれば良い。θ=0の時の画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化がα倍であった場合、光学ズームを駆動することによりこの変倍を打ち消さなければならないので、光学ズームはβ=1/αであるβ倍の変倍を行わなければならない。従って、デジタルカメラの光学ズームが全体でγ倍迄の変倍を行うことが出来る場合は、γ/β=γ*αであるので、撮影者が手動で変化させることが出来る変倍(光学ズーム倍率)の範囲を1倍からγ*α倍以下までに制限する必要がある。
【0081】
この様な構成をもつ本実施例1のデジタルカメラの、水平補正静止画撮影処理について、図8のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0082】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正静止画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であるかどうかを判定する(ステップS200)。光学ズームの倍率が所定の倍率以下でないと判定された場合(ステップS200でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで広角側に変倍する(ステップS201)。ステップS201の終了後、または、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であると判定された場合(ステップS200でY)は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、広角側の最低倍率(1倍)から予め定められた倍率までの範囲に制限する(S202)。
【0083】
システム制御回路50は撮像素子14の受光面400の内、予め決められた大きさの画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示する(ステップS203)。次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθが限度角θmax以内であるかどうかを判定する(ステップS204)。
【0084】
θ<=θmaxであった場合は画像切り出し領域402を、撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にデジタルカメラ100の傾きθだけ回転させる(ステップS205)。これにより画像切り出し領域402が水平となる。
【0085】
次にステップS206において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS206において撮影指示があると判定された場合(ステップS206においてY)には、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を大きくする。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS207)。そして、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS208)。
【0086】
その後、画像切り出し領域402の大きさを撮影指示がある前の画像切り出し領域402の大きさに戻すと同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS209)、ステップS202に戻る。
【0087】
ステップS206において撮影指示がないと判定された場合(ステップS206においてN)は、ステップS204に戻る。
【0088】
θ>θmaxであった場合(ステップS204でN)は画像切り出し領域402の傾きを、デジタルカメラ100の傾きθと同じにする(ステップS210)。
【0089】
次にステップS211において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS211において撮影指示があると判定された場合(ステップS211においてY)には、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を大きくする。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS212)。そして、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS213)。
【0090】
その後、画像切り出し領域402の大きさを撮影指示がある前の大きさに戻すと同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS214)、ステップS204に戻る。
【0091】
ステップS211において撮影指示がないと判定された場合(ステップS211においてN)は、ステップS204に戻る。
【実施例2】
【0092】
以下、本発明の実施例2による水平画像撮影動作について詳細に説明を行う。実施例1と同じ部材には同じ符号を付して重複した説明を省く。実施例1と同様に、本実施例2では水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0093】
本実施例2においても、実施例1と同様に静止画撮影に適応した場合について説明を行う。
【0094】
実施例1と実施例2はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合には水平補正を行わず、そうでない場合には水平補正を行う点は同じである。しかし、実施例1と実施例2はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合の処理が異なる。
【0095】
実施例1においては、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は画像切り出し領域402の回転を行わないこととしていた。一方、本実施例2においては、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は撮像素子14の受光面400の一部を画像切り出し領域402により切り出すことを行わないことを特徴とする。その他の構成は実施例1と同じである。
【0096】
この様な構成をもつ本実施例2のデジタルカメラの、水平補正静止画撮影処理について、図9のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0097】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正静止画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であるかどうかを判定する(ステップS300)。光学ズームの倍率が所定の倍率以下でないと判定された場合(ステップS300でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで広角側に変倍する(ステップS301)。ステップS301の終了後、または、光学ズームの倍率が所定の倍率以下であると判定された場合(ステップS300でY)は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、広角側の最低倍率(1倍)から予め定められた倍率までの範囲に制限する(S302)。
【0098】
システム制御回路50は撮像素子14の受光面400の内、予め決められた大きさの画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示する(ステップS303)。次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラ100の傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS304)。
【0099】
θ<=θmaxであった場合(ステップS304でY)は画像切り出し領域402を、撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にデジタルカメラ100の傾きθだけ回転させる(ステップS305)。
【0100】
次にステップS306において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS306において撮影指示があると判定された場合(ステップS306においてY)には、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400からはみ出さない範囲において、その領域を大きくする。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS307)。そして、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS308)。
【0101】
その後、画像切り出し領域402の大きさを撮影指示がある前の画像切り出し領域402の大きさに戻す。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS309)、ステップS304に戻る。
【0102】
ステップS306において撮影指示がないと判定された場合(ステップS306においてN)は、ステップS304に戻る。
【0103】
θ>θmaxであった場合(ステップS304でN)は撮像素子14の受光面400の内、予め決められた大きさの画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示することを中止する。そして、撮像素子14の受光面400で生成されたデータ全体による画像を画像表示部28に表示する。同時に、画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示することを中止することによる画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS310)。
【0104】
次にステップS311において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS311において撮影指示があると判定された場合(ステップS311においてY)には、撮像素子14の受光面400全体で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS312)。
【0105】
その後、デジタルカメラ100の傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS313)。
【0106】
θ<=θmaxであった場合(ステップS313でY)は、画像切り出し領域402の切り出し動作中止を解除すると同時に画像切り出し領域402の切り出し動作中止を解除することによる画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを広角側に駆動し(ステップS314)、ステップS305に進む。
【0107】
θ>θmaxであった場合(ステップS313でN)は、ステップS311に戻る。
【0108】
ステップS311において撮影指示がないと判定された場合(ステップS311においてN)はステップS313に進む。
【0109】
この様な構成とすることにより、傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は、撮影指示がある際に、画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がなくなる。従って、傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合の撮影時の処理が簡単になる。但し、傾きθが限度角θmaxを超えた後下回る度に画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がある。
【実施例3】
【0110】
以下、本発明の実施例3による水平画像撮影動作について詳細に説明を行う。実施例1と同じ部材には同じ符号を付して重複した説明を省く。実施例1と同様に、本実施例3では水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0111】
本実施例3においても、実施例1および2と同様に静止画撮影に適応した場合について説明を行う。
【0112】
実施例2と実施例3はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合には水平補正を行わず、そうでない場合には水平補正を行う点は同じである。しかし、実施例2と実施例3はデジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmax以内の場合の処理が異なる。
【0113】
実施例3における、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmax以内の場合の処理について説明を行う。本実施例3においては、画像切り出し領域402の大きさをデジタルカメラの傾きθに応じて逐次変化させる。より詳しくは、デジタルカメラの傾きθと画像切り出し領域402の角度の差が大きくなる程、画像切り出し領域402の大きさを小さくしている。図10は、デジタルカメラの傾きθによって、画像切り出し領域402が変化している様を示す概念図である。図10(a)はデジタルカメラの傾きθが0のとき、図10(b)はデジタルカメラがθ1だけ傾いているとき、図10(c)はデジタルカメラがθ2だけ傾いているときを表している。0<θ1<θ2<θmaxである。図10に示されている様に、デジタルカメラの傾きθが大きくなる程、画像切り出し領域402の大きさが小さくなっている。この様な、処理を行うことにより、画像切り出し領域402が撮像素子14の受光面400からはみ出すことを防ぐことが出来る。しかし、この様な処理を行うとデジタルカメラ100の傾きθが大きくなる程、画像表示部28に表示される画像の画角は望遠側に変化してしまう。このような問題を解決するために、本実施例3においては、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変化を打ち消す様に、デジタルカメラ100の傾きθが大きくなる程光学ズームを広角側に変化させることとしている。
【0114】
本実施例3においては、水平補正を行うモードに設定されている場合は、傾きθが大きくなる程に画像表示部28に表示される画角が望遠側に変化するのを打ち消すことが出来るだけ、光学ズームは広角側への変倍余地を残していなければならない。θ=θmaxのときに画像切り出し領域402の大きさは最も小さくなるので、傾きθが0からθmaxへ変化する場合の画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の望遠側への変倍を広角側への変倍によって打ち消すことが出来なくてはならない。傾きθが0からθmaxへ変化するときの画像切り出し領域402の大きさの変化による画像表示部28に表示される画角の望遠側への変倍をδとすると、その変倍を打ち消すために、光学ズームは1/δだけ広角側に変倍できなければならない。光学ズームの変倍は原理上1倍以下の値とはならないので、デジタルカメラ100の傾きθがθ=0の時に、光学ズームはδ倍以上望遠側に変倍していなければならない。
【0115】
この様な構成をもつ本実施例3のデジタルカメラの、水平補正静止画撮影処理について、図11のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0116】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正静止画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であるかどうかを判定する(ステップS400)。光学ズームの倍率が所定の倍率以上でないと判定された場合(ステップS400でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで望遠側に変倍する(ステップS401)。ステップS401の終了後、また、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であると判定された場合(ステップS400でY)は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、予め定められた倍率から望遠側の最大変倍までの範囲に制限する(S402)。
【0117】
次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS403)。
【0118】
θ<=θmaxであった場合(ステップS403でY)は画像切り出し領域402をデジタルカメラの傾きθに応じた大きさに連続的に変更する。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変更による画像表示部28に表示される画像の画角の変更を打ち消す様に、光学ズームを駆動する。さらにそれと同時に、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向にデジタルカメラ100の傾き角度θだけ連続的に回転させる(ステップS404)。
【0119】
次にステップS405において撮影指示があるかどうかを判定する。ステップS405において撮影指示があると判定された場合(ステップS405においてY)には、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS406)。
【0120】
ステップS406の終了後、或いは、ステップS405において撮影指示がないと判定された場合(ステップS405においてN)には、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS407)。
【0121】
θ<=θmaxであった場合(ステップS407でY)は、ステップS404に戻る。
【0122】
θ>θmaxであった場合(ステップS407でN)は撮像素子14の受光面400の内、画像切り出し領域402を切り出して画像表示部28に表示することを中止する。そして、撮像素子14の受光面400で生成されたデータ全体による画像を画像表示部28に表示する。同時に、画像切り出し領域402のみを切り出して画像表示部28に表示することを中止することによる画角の変化を打ち消す様に、光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS408)。
【0123】
ステップS408の終了後、または、ステップS403においてθ>θmaxであると判定された場合は、ステップS409において撮影指示があるかどうかを判定する。
【0124】
ステップS409において撮影指示があると判定された場合(ステップS409においてY)には、撮像素子14の受光面400全体で生成されたデータを用いて画像データを生成し、記録する(ステップS410)。その後ステップS403に戻る。
【0125】
ステップS409おいて撮影指示がないと判定された場合(ステップS409においてN)はステップS403に戻る。
【0126】
この様な構成とすることにより、撮影指示がある際に、画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がなくなる。従って、撮影時の処理が簡単になる。但し、デジタルカメラ100の傾きθの値が変わる度に逐次画像切り出し領域402の大きさの変更と光学ズームの駆動を行う必要がある。
【実施例4】
【0127】
以下、本発明の実施例4による水平画像撮影動作について詳細に説明を行う。実施例1と同じ部材には同じ符号を付して重複した説明を省く。実施例1と同様に、本実施例4では水平画像撮影動作を行う撮像装置としてデジタルカメラを例にとり説明を行う。
【0128】
実施例1ないし3は静止画撮影に適応した場合の実施例について説明したが、本実施例4は動画撮影に適応した場合の実施例について説明を行う。
【0129】
実施例4は実施例3と同様にデジタルカメラ100の傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合には水平補正を行わず、そうでない場合には水平補正を行う点は同じであるが、実施例4は実施例3と以下の様な相違点がある。実施例3では、水平補正を中止する際に画像表示部28に表示される画像が急にデジタルカメラの傾きθと同じ角度に変化する様な構成となっていた。一方で、本実施例4では、水平補正を中止する際に、画像切り出し領域402の傾きをデジタルカメラの傾きと同じ角度に連続的に変化させることとしたので、画像表示部28に表示される画像の傾きが急に変化することがない。この様な構成となっているので、本実施例4による水平補正を用いて動画撮影を行った場合、生成された動画データ中で水平補正の終了時に画像の傾きが急に変化することを防ぐことが出来る。
【0130】
以下、実施例4のデジタルカメラの水平補正処理について、図12のフローチャートを用いて更に説明を行う。
【0131】
操作部70の操作によりデジタルカメラが水平補正動画撮影モードに設定されると、システム制御回路50は、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であるかどうかを判定する(ステップS500)。光学ズームの倍率が所定の倍率以上でないと判定された場合(ステップS500でN)は、光学ズームの倍率を予め定められた倍率まで望遠側に変倍する(ステップS501)。ステップS501の終了後、または、光学ズームの倍率が所定の倍率以上であると判定された場合は、撮影者が操作することにより設定できる光学ズームの変倍の範囲を、予め定められた倍率から望遠側の最大変倍までの範囲に制限する(S502)。
【0132】
次にステップS503において、動画撮影開始指示があるかどうかを判定する。動画撮影開始指示がない場合(ステップS503でN)はステップS503に戻る。動画撮影開始指示がある場合は、動画撮影開始処理を開始(ステップS504)し、以降、動画撮影終了処理(ステップS508)が行われるまで、画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400により生成されたデータを一定時間ごとに記憶し続ける。
【0133】
次に、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS505)。
【0134】
θ<=θmaxであった場合(ステップS505でY)は画像切り出し領域402をデジタルカメラの傾きθに応じた大きさに連続的に変更する。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変更による画像表示部28に表示される画像の画角の変更を打ち消す様に、光学ズームを駆動する。さらにそれと同時に、画像切り出し領域402を撮像素子14の受光面400中で、画像切り出し領域402の重心を回転中心としてデジタルカメラ100の傾き方向とは反対方向に傾きθだけ連続的に回転させる(ステップS506)。
【0135】
次にステップS507において動画撮影終了指示があるかどうかを判定する。ステップS507において動画撮影終了指示があると判定された場合(ステップS507でY)は、動画撮影終了処理を行う(ステップS508)。動画撮影終了処理は画像切り出し領域402内の撮像素子14の受光面400により生成されたデータを一定時間ごとに記憶し続けることを中止する。そして、記憶された撮像素子14の受光面400により生成されたデータを用いて所定の動画形式のデータを生成する。
【0136】
動画撮影終了処理が終った後は、ステップS503に戻る。
【0137】
ステップS507において動画撮影終了指示がないと判定された場合(ステップS507でN)は、ジャイロ300により生成された傾斜角度情報に基づき、デジタルカメラの傾きθがθmax以内であるかどうかを判定する(ステップS509)。
【0138】
θ<=θmaxであった場合(ステップS509でY)はステップS506に戻る。
【0139】
θ>θmaxであった場合(ステップS509でN)は、画像切り出し領域402の大きさを画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きの角度との差に応じた大きさに連続的に変化させる。同時に、画像切り出し領域402の大きさの変化による画角の変更を打ち消す様に光学ズームを駆動する。更に同時に、画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きの角度が同じになるまで画像切り出し領域402を連続的に回転させる。つまり、画像切り出し領域402が画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きが一致する方向に向かって回転するに従って、画像切り出し領域402の角度とデジタルカメラの傾きの角度との差が小さくなる。それにつれて、画像切り出し領域402の大きさは大きくなり、画像表示部28に表示される画像、及び、動画撮影処理により一定時間ごとに記憶し続けられている画像切り出し領域402内の撮像素子14のデータによる画像は広角側に変化する。そのため、それを打ち消す様に光学ズームを望遠側に駆動する(ステップS510)。
【0140】
次にステップS511において動画撮影終了指示があるかどうかを判定する。ステップS511において動画撮影終了指示があると判定された場合(ステップS511でY)は、動画撮影終了処理を行う(ステップS508)。
【0141】
ステップS511において動画撮影終了指示がないと判定された場合(ステップS511でN)は、ステップS505に戻る。
【0142】
ステップS505においてθ>θmaxであった場合(ステップS505でN)は、ステップS511に進む。
【0143】
実施例3と同様に、デジタルカメラの傾きθが予め決められた限度角θmaxより大きい場合は水平補正を行わず、限度角θmax以下であるときは水平補正を行うという点では同じであるが、水平補正終了する際に、画像表示部28に表示される画像、及び、動画撮影処理により一定時間ごとに記憶し続けられている画像切り出し領域402内の撮像素子14のデータによる画像の傾きが連続的に変化するので、生成された動画データ中で水平補正の終了時に画像の傾きが急に変化することを防ぎ、画像の傾きが滑らかに変化するので、より自然な違和感の無い動画データを生成することが出来る。
【0144】
従って、実施例4による水平補正は動画撮影に好適な実施例である。
【0145】
実施例1ないし4においては、限度角θmaxは予め決められた値である場合を例にとり説明を行ったが、撮影者が任意に値を決められるものとしても良い。
【0146】
実施例1ないし4に示されている処理動作の内どの処理動作を用いるか撮影者が選べる様にしても良い。また、水平補正静止画撮影モードのときは実施例1に示されている処理動作を用い、水平補正動画撮影モードのときは実施例4に示されている処理動作を用いる等、予め決められていても良い。
【0147】
実施例1ないし4においてはデジタルカメラを例に取り説明を行ったが、デジタルビデオ等の他の撮像装置であっても勿論良い。
【0148】
尚、上記の実施例は、何れも本発明を実施するに当たっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが出来る。
【符号の説明】
【0149】
14 撮像素子
28 画像表示部
50 システム制御回路
300 ジャイロ
402 画像切り出し領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の像を受光する受光面を備えた撮像手段と、
前記撮像手段から得られる画像を表示する画像表示手段と、
撮像光学系の焦点距離を変化させ、変倍動作を行う光学ズーム手段と、
前記撮像光学系の光軸周りの傾きを検出する傾き検出手段と、
前記撮像手段から得られた画像の中から予め決められた大きさの画像切り出し領域を切り出し、前記画像切り出し領域の画像を前記画像表示手段に表示させ、前記画像切り出し領域が前記撮像手段の受光面からはみ出さないように、前記傾きに応じて、前記画像切り出し領域の画像が水平となるように、前記画像切り出し領域を回転させ、撮影指示があった場合は、前記傾きに応じて前記撮像手段の受光面からはみ出さない範囲内で前記画像切り出し領域を拡大し、同時に、前記画像切り出し領域の拡大による画角の広角側への変化を打ち消すように前記光学ズーム手段を作動させた上で、前記画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記傾きが予め決められた限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の傾きが前記撮像装置の傾きと同じになるように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記傾きが前記限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の切り出し動作を中止することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像装置の傾きを検出する傾き検出手段と、
被写体の像を受光する受光面を備えた撮像手段と
前記撮像手段から得られる画像を表示する画像表示手段と、
撮像光学系の焦点距離を変化させ、変倍動作を行う光学ズーム手段と、
前記撮像光学系の光軸周りの傾きを検出する傾き検出手段と、
前記傾きが大きくなるほど、大きさが小さくなる画像切り出し領域を、前記撮像手段から得られた画像の中から切り出し、前記画像切り出し領域の画像を前記画像表示手段に表示させ、前記画像切り出し領域が前記撮像手段の受光面からはみ出さないように、前記傾きに応じて、前記画像切り出し領域の画像が水平となるように、前記画像切り出し領域を回転させ、前記画像切り出す領域の大きさの変化による画角の変化を打ち消すように前記光学ズーム手段を作動させ、前記画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記傾きが前記限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の切り出し動作を中止することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記傾きが前記限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように、かつ変化が連続的になるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の傾きが前記撮像装置の傾きと同じになるように、かつ変化が連続的になるように制御することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記画像切り出し領域の大きさの変更による画角の変化を打ち消すのに必要な前記光学ズーム手段による変倍の領域を確保するように、撮影者が手動により設定できる光学ズーム倍率の範囲を制限することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項1】
被写体の像を受光する受光面を備えた撮像手段と、
前記撮像手段から得られる画像を表示する画像表示手段と、
撮像光学系の焦点距離を変化させ、変倍動作を行う光学ズーム手段と、
前記撮像光学系の光軸周りの傾きを検出する傾き検出手段と、
前記撮像手段から得られた画像の中から予め決められた大きさの画像切り出し領域を切り出し、前記画像切り出し領域の画像を前記画像表示手段に表示させ、前記画像切り出し領域が前記撮像手段の受光面からはみ出さないように、前記傾きに応じて、前記画像切り出し領域の画像が水平となるように、前記画像切り出し領域を回転させ、撮影指示があった場合は、前記傾きに応じて前記撮像手段の受光面からはみ出さない範囲内で前記画像切り出し領域を拡大し、同時に、前記画像切り出し領域の拡大による画角の広角側への変化を打ち消すように前記光学ズーム手段を作動させた上で、前記画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記傾きが予め決められた限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の傾きが前記撮像装置の傾きと同じになるように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記傾きが前記限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の切り出し動作を中止することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
撮像装置の傾きを検出する傾き検出手段と、
被写体の像を受光する受光面を備えた撮像手段と
前記撮像手段から得られる画像を表示する画像表示手段と、
撮像光学系の焦点距離を変化させ、変倍動作を行う光学ズーム手段と、
前記撮像光学系の光軸周りの傾きを検出する傾き検出手段と、
前記傾きが大きくなるほど、大きさが小さくなる画像切り出し領域を、前記撮像手段から得られた画像の中から切り出し、前記画像切り出し領域の画像を前記画像表示手段に表示させ、前記画像切り出し領域が前記撮像手段の受光面からはみ出さないように、前記傾きに応じて、前記画像切り出し領域の画像が水平となるように、前記画像切り出し領域を回転させ、前記画像切り出す領域の大きさの変化による画角の変化を打ち消すように前記光学ズーム手段を作動させ、前記画像切り出し領域の画像を画像データとして生成する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記傾きが前記限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の切り出し動作を中止することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記傾きが前記限度角以内のときは、前記画像切り出し領域が水平となるように、かつ変化が連続的になるように制御し、前記傾きが前記限度角以内でないときは、前記画像切り出し領域の傾きが前記撮像装置の傾きと同じになるように、かつ変化が連続的になるように制御することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記画像切り出し領域の大きさの変更による画角の変化を打ち消すのに必要な前記光学ズーム手段による変倍の領域を確保するように、撮影者が手動により設定できる光学ズーム倍率の範囲を制限することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−46150(P2013−46150A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181537(P2011−181537)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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