撮像装置
【課題】外部発光に起因する影を抑えた画像を簡易に取得する撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、被写体に向けて光を照射する発光部103と、被写体を撮像する撮像部101と、被写体までの距離を取得する撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203と、撮像部101を用いて撮影された画像の中から発光部103の光に起因する影403を距離算出部203で算出された距離に基づいて推定する影推定部204と、影推定部204により推定された影403を薄くなるように補正する影補正部205とを備えている。
【解決手段】撮像装置100は、被写体に向けて光を照射する発光部103と、被写体を撮像する撮像部101と、被写体までの距離を取得する撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203と、撮像部101を用いて撮影された画像の中から発光部103の光に起因する影403を距離算出部203で算出された距離に基づいて推定する影推定部204と、影推定部204により推定された影403を薄くなるように補正する影補正部205とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光を被写体に向けて照射する発光部を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に開示された撮像装置は、外部発光(フラッシュ、補助光など)に起因する被写体の影を補正するものである。詳しくは、該撮像装置は、同一被写体に対して、外部発光を伴う撮影と外部発光を伴わない撮影とを合計2回行う。そして、外部発光を伴う撮影によって得られた画像(主に発光の輝度成分の変化により影が発生)の色成分と、外部発光を伴わない撮影によって得られた画像の輝度成分とを1つの画像に合成することで、外部発光に起因する影を含まない画像を生成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Keiichiro SHIRAI, Masaaki IKEHARA, and Masayuki OKAMOTO, “Color and Shadow Replacing of Flash and No-Flash Photos to Create Noiseless Images”, IEICE Transaction (Japanese Edition), Vol. J94-A, No. 4, pp. 275-284, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、外部発光に起因する影を抑えた画像を簡易に取得する撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における撮像装置は、被写体に向けて光を照射する発光部と、被写体を撮像する撮像部と、被写体までの距離を取得する距離取得部と、前記撮像部を用いて撮影された画像の中から前記発光部の光に起因する影を前記距離取得部により取得された距離に基づいて推定する影推定部と、前記影推定部により推定された影を薄く補正する影補正部とを備えるものとする。ここで、「薄く補正する」とは、補正前よりも影の存在を目立たなくさせることを意味し、補正後に薄い影が残存する場合だけでなく、補正後に影を完全に消してしまうことも含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示における撮像装置によれば、外部発光に起因する影を抑えた画像を簡易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】撮像装置の外観を示す斜視図である。
【図2】撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図3】撮像装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】撮像部と発光部と被写体との位置関係の例を示す図である。
【図5】影推定の手順を示すフローチャートである。
【図6】距離算出部により算出した被写体までの距離の一例を示す図である。
【図7】影を含む撮影画像を示す図である。
【図8】推定された影を示す図である。
【図9】補正画像を示す図である。
【図10】2回の撮影で影を補正する場合に得られる画像を示す図である。
【図11】影を漸次補正した場合の補正画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0009】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0010】
[1.撮像装置の構成]
[1−1.概略構成]
図1は、撮像装置100の外観を示す斜視図であり、図2は、撮像装置100の主要な構成を示すブロック図である。
【0011】
撮像装置100は、本体105と、本体105の内部に設けられ、被写体を撮像する撮像部101と、撮像装置100から被写体までの距離に関する情報を取得する距離情報取得部102と、被写体に向かって発光する発光部103と、これらを制御する制御部104(図2にのみ図示)とを備える。撮像装置100は、いわゆるデジタルカメラである。
【0012】
本体105は、被写体側の面の略中央にレンズ鏡筒106を有している。レンズ鏡筒106は、撮像光学系(図示省略)を有している。撮像光学系は、被写体像を撮像部101に結像させる。
【0013】
撮像部101は、被写体を撮像して、画像を取得する。撮像部101は、イメージセンサであり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等である。撮像装置100は、撮像部101を用いて撮影を行う。
【0014】
距離情報取得部102は、被写体までの距離に関する情報を取得する。距離情報取得部102は、イメージセンサであり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等である。つまり、距離情報取得部102は、被写体を撮像して、画像を取得する。距離情報取得部102は、撮像部101とは異なる位置に設けられている。具体的には、距離情報取得部102は、光軸方向被写体側を向いて見たときに、レンズ鏡筒106の左側に設けられている。そのため、距離情報取得部102で撮影される画像は、撮像部101で撮影される画像とは視差を有する。この視差を有する画像は、詳しくは後述するが、被写体までの距離を算出する際に参照する画像であり、撮像装置100から被写体までの距離に関する情報である。尚、距離情報取得部102は、撮像部101と同じ種類のイメージセンサであっても、異なる種類のイメージセンサであってもよい。また、距離情報取得部102の画素数は、撮像部101の画素数と同じであっても、異なっていてもよい。
【0015】
以下、特に断りがない限り、単に「撮影画像」というときには撮像部101で撮影した画像を意味し、「参照画像」というときには距離情報取得部102により撮影した画像を意味する。
【0016】
発光部103は、撮像部101による撮影時に、被写体に向けて発光を行う。発光部103は、本体105の角部、具体的には、光軸方向被写体側を向いて見たときに本体105の左上に設けられている。発光部103は、発光量を調整可能に構成されている。
【0017】
[1−2.制御部の構成]
制御部104は、撮影制御部201と、画像記録部202と、距離算出部203と、影推定部204と、影補正部205と、輝度算出部206とを備えている。制御部104は、マイクロコンピュータで構成され得る。尚、制御部104は、ハードロジックで実現してもよい。制御部104をハードロジックで実現すれば、処理速度の向上に有効である。制御部104は、1つの素子で構成してもよいし、物理的に複数の素子で構成してもよい。複数の素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を別々の素子で実現してもよい。この場合、それらの複数の素子で一つの制御部104を構成すると考えることができる。また、制御部104と別の機能を有する部材とを1つの素子で構成してもよい。要するに、制御部104は、撮像装置100を制御するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。
【0018】
撮影制御部201は、撮像装置100の主な制御を司るものであり、例えば、撮影時に撮像部101、距離情報取得部102及び発光部103の動作を制御する。すなわち、撮影制御部201は、撮像部101に撮像を行わせたり、撮像部101の出力から測光を行ったり、距離情報取得部102に撮像(即ち、距離に関する情報の取得)を行わせたり、発光部103を作動させたりする。
【0019】
撮影制御部201の制御の1つに発光制御がある。発光部103は、自動モードと手動モードとに設定可能となっている。具体的には、発光部103が自動モードに設定されているときには、撮影制御部201は、撮像部101を用いて被写体の光量を測定し、該光量に基づいて発光部103を作動させるか否かを判定する。撮影制御部201は、光量が所定の閾値以下のときには、撮影時に発光部103を作動させる一方、光量が該閾値よりも大きいときには、撮影時に発光部103を作動させない。尚、測光用のセンサを別途設け、発光部103を作動させるか否かを該センサの出力に基づいて判定してもよい。手動モードには、強制発光モードと発光禁止モードとが含まれる。発光部103が強制発光モードに設定されているときには、撮影制御部201は、撮影時に常に発光部103を作動させる。一方、発光部103が発光禁止モードに設定されている時には、撮影制御部201は、撮影時に常に発光部103を作動させない。さらに、撮影制御部201は、自動モード及び手動モードにおいて発光部103を作動させるときには、被写体の光量及びシャッタスピードに応じて、発光部103の発光量を調整する。つまり、撮影制御部201は、被写体の光量が少ない場合には発光部103の発光量を多くし、被写体の光量が多い場合には発光部103の発光量を少なくする。また、撮影制御部201は、シャッタスピードが速い場合には発光部103の発光量を多くし、シャッタスピードが遅い場合には発光部103の発光量を少なくする。
【0020】
画像記録部202は、撮像部101で撮影した画像を記録する。画像記録部202は、メモリであり得る。また、画像記録部202は、距離情報取得部102で撮影した画像も記録する。
【0021】
距離算出部203は、撮像部101の撮影画像及び距離情報取得部102の参照画像に基づいて、該撮影画像の各画素に写された被写体の、撮像装置100からの距離を算出する。つまり、距離算出部203は、撮影画像と参照画像との視差に基づいて、被写体までの距離を算出する。尚、参照画像の解像度と撮影画像の解像度とが異なる場合には、Bi−cubicやBi−linear補間法を用いて、各画素の被写体までの距離を算出する。距離算出部203は、算出した距離を影推定部204へ出力する。尚、距離算出部203は、画像記録部202に記録された撮影画像及び参照画像が入力されているが、撮像部101及び距離情報取得部102からそれぞれ撮影画像及び参照画像が直接入力されてもよい。
【0022】
これら撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203は、距離取得部の一例である。
【0023】
影推定部204は、撮像部101及び発光部103の位置関係と距離算出部203で算出された距離とに基づいて、撮影画像において発光部103の発光に起因する影を推定する。撮像部101及び発光部103の位置関係は、予め決まっており、図示省略の記憶部に記憶されている。影の推定方法については後述する。影推定部204は、推定した影(例えば、影に相当する画素の位置情報)を影補正部205へ出力する。
【0024】
輝度算出部206は、撮影画像の輝度を算出する。具体的には、輝度算出部206は、画像記録部202に記録されている撮影画像を読み込み、該撮影画像における各画素の輝度を算出する。輝度算出部206は、算出した輝度を影補正部205へ出力する。
【0025】
影補正部205は、影推定部204が推定した影に対し、影を薄くする(即ち、抑える)画像補正を行う。影の補正方法については後述する。影補正部205は、補正画像を出力する。
【0026】
[2.撮影手順]
図3は、制御部104の撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0027】
まず、ステップS301では、制御部104は、外部発光を行うか否かを判定する。具体的には、制御部104は、まず、発光部103が自動モードに設定されているのか、手動モードに設定されているのかを判定する。次に、自動モードの場合には、制御部104は、撮像部101による測光の結果に基づいて発光部103を作動させるか否かを判定する。手動モードの場合には、制御部104は、強制発光モードか発光禁止モードかを判定する。自動モード及び手動モードの何れであっても、発光部103を作動させた撮影を行う場合(Yes)には、ステップS302へ進む一方、発光部103を作動させずに撮影を行う場合(No)には、ステップS311へ進む。
【0028】
ステップS302では、制御部104は、発光部103を作動させつつ、撮像部101を用いて撮影を行う。この撮影と同時に、制御部104は、距離情報取得部102による距離情報の取得(本実施形態では、距離情報取得部102による撮影)を行う。
【0029】
ステップS303において、制御部104は、撮像部101の撮影画像及び距離情報取得部102の参照画像に基づいて、撮影画像の各画素における被写体の、撮像装置100からの距離を算出する。
【0030】
ステップS304では、制御部104は、算出した距離に基づいて、撮影画像中の発光部103の発光に起因する影を推定する。
【0031】
ステップS305において、制御部104は、推定した影に対して影を薄くする画像補正を行う。その後、ステップS306において、制御部104は、補正画像を出力する。
【0032】
一方、外部発光を行わない場合(ステップS301でNOの場合)は、ステップS311において、制御部104は、発光部103を作動させることなく、撮像部101を用いて撮影を行う。その後、ステップS312において、制御部104は、撮影画像を出力する。
【0033】
[3.影の補正方法]
続いて、影の補正方法について説明する。
【0034】
[3−1.影の発生]
まず、図4を参照して、外部発光に起因して生じる影について説明する。図4に、撮像部101と発光部103と被写体との位置関係の例を示す。図4は、該位置関係を説明し易くするために、水平面における位置関係を示している。図4の例では、平面被写体402よりも撮像装置側に球形被写体401が存在している。
【0035】
図4の例で撮影を行うと、球形被写体401が平面被写体402を背景にして撮影される。このとき、発光部103が発光すると、球形被写体401の影が平面被写体402及び球形被写体401の一部に生じる。球形被写体401の影は、発光部103と球形被写体401とを結ぶ直線の方向に球形被写体401を投影した位置に生じる。仮に撮像部101が発光部103と同じ位置に位置するとすれば、撮像部101から影を見ることはできず、影403が撮影されることはない。しかし、図4に示すように、撮像装置100では撮像部101と発光部103との位置がずれているため、影403が撮像部101から見えてしまう。つまり、影403は、撮像部101により撮影されてしまう。
【0036】
[3−2.影の推定]
次に、こうして撮影された影403を撮像画像の中から推定する手順を図5を参照しながら説明する。図5は、影推定の手順を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS501において、距離算出部203に算出された被写体の距離が影推定部204に入力される。図4に示す例の場合、距離算出部203が算出する各画素における被写体の距離は、図6に示すようになる。図6は、撮像装置100から被写体までの距離分布(或る高さ位置において水平方向に並ぶ各画素の距離)を示しており、図6の下側に撮像装置100が位置し、図6の上側ほど撮像装置100からの距離が遠いことを表している。図6において、下方に凸な部分407は、球形被写体401までの距離を表しており、平坦な部分408は、平面被写体402までの距離を表している。ただし、この距離分布は、二次元の画像における或る水平線上(即ち、或る高さ位置)の被写体の距離分布である。つまり、各高さ位置における被写体の距離を網羅的に算出することによって、撮影画像全体の距離分布を算出することができる。
【0038】
次に、ステップS502において、影推定部204は、各点(画素)における距離分布(図6に示す線)の接線の傾き(距離の変化量/水平方向の変化量)と発光部103から各点(画素)への光線(即ち、該点(画素)と発光部103とを結ぶ直線)の傾きとを比較し、接線の傾きが光線の傾きよりも大きくなる点(画素)を求める。ここで、「傾き」とは、水平方向の変化量に対する距離の変化量である(傾き=距離の変化量/水平方向の変化量)。図6では、矢印409で示す点(画素)において、接線の傾きが光線の傾きよりも大きくなる。この矢印409で示す点(画素)は、図4の406で示す、発光部103からの光線と被写体401とが接する部分に対応する。図6の矢印409で示す点(画素)が影403の一方の境界となる。
【0039】
続いて、ステップS503において、影推定部204は、発光部103から延びて、矢印409で示す点(画素)を通る直線と該点(画素)よりも背景側の被写体との交点とを求める。図6においては、該直線は、平面被写体402に対応する平坦な部分408と交差する。この平坦な部分408上の交点に対応する、矢印410で示す点(画素)が、影403の他方の境界となる。
【0040】
影推定部204は、こうして求めた矢印409で示す点(画素)と矢印410で示す点(画素)との間の領域を影403と推定する。影推定部204は、ステップS502,S503の処理を各高さ位置における被写体の距離分布に対して行うことによって、撮影画像中の二次元的な影403を推定する。
【0041】
図7に、図4に示す例における撮影画像を示し、図8に、撮影画像から推定した影を示し、図9に、影を補正した補正画像を示す。図7に示す撮影画像においては、被写体401が撮影されており、その背景に外部発光に起因する影403が映っている。影推定部204が前述の方法により撮影画像から影を推定すると、図8に示すように、円の一部を別の円で切り欠いた形状の影403が推定される。
【0042】
[3−3.影の補正]
次に、影の補正方法を説明する。
【0043】
影補正部205は、影403の輝度を補正することによって、影を補正する。具体的には、影補正部205は、影403の外側の領域の輝度を用いて影403の輝度を補正する。例えば、影補正部205は、影403が生じている被写体である平面被写体402における影403と隣接する帯領域411の輝度の平均値(即ち、平均輝度)を求める。この帯領域411は、所定の個数の画素に対応する幅を有し、影403の境界に沿って延びる帯状の領域である。帯状領域の幅に対応する画素の個数は、任意に設定することができる。影補正部205は、影403の輝度を、帯領域411の輝度の平均値に置き換える。その結果、図9に示すように、影が削除された補正画像が得られる。
【0044】
尚、影403のうち球形被写体401に生じる部分は、球形被写体401における影403と隣接する所定の範囲の帯領域の輝度の平均値により補正する。ただし、影403のうち球形被写体401に生じる部分は微小なので、補正しなくてもよいし、あるいは、前記帯領域411の輝度の平均値で補正してもよい。
【0045】
影補正部205は、このような影補正を撮像装置100と被写体との距離に応じて行う。具体的には、影補正部205は、距離算出部203からの算出結果に基づいて、撮像装置100から被写体までの距離が所定の閾値以下のときには影補正を行い、該距離が該閾値を越えるときには影補正を行わない。この閾値は、発光部103からの光に起因する影の影響が小さくなる距離に設定され得る。つまり、1つの撮影画像中であっても、撮像装置100からの距離が遠い被写体については影補正を行わず、撮像装置100からの距離が近い被写体については影補正を行う。例えば、平面被写体402までの距離が閾値を超えているときには前記の影補正を行わない。これにより、発光部103の光の影響の小さい被写体に対しては影補正を省略することができ、処理量を低減することができる。その結果、画像取得までの時間を短縮することができると共に、演算回路の消費電力を節約することができる。
【0046】
尚、前記閾値は、発光部103の発光量に応じて変化させてもよい。つまり、発光部103の発光量が多い場合には、該閾値を大きくする一方、発光部103の発光量が少ない場合には、該閾値を小さくしてもよい。つまり、発光部103の光の影響を受ける距離は、発光部103の発光量に応じて変化する。そのため、閾値を発光量に応じて変化させることによって、影補正の有無の切換を実際の補正の必要性に合わせることができる。
【0047】
また、距離による影補正の有無は、影を推定する前に判定してもよいし、影を推定した後に判定してもよい。
【0048】
また、影補正部205は、発光部103の発光量に応じて影補正を行う。具体的には、影補正部205は、発光部103の発光量が所定の閾値以上のときには影補正を行い、発光量が該閾値を下回るときには影補正を行わない。この閾値は、発光部103からの光に起因する影の影響が小さくなる発光量に設定され得る。これにより、発光部103の発光量が少ないために発光部103からの光の影響が小さい場合には影補正を省略することができ、処理量を低減することができる。その結果、画像取得までの時間を短縮することができると共に、演算回路の消費電力を節約することができる。
【0049】
[4.効果]
以上のように、本実施形態においては、撮像装置100は、被写体に向けて光を照射する発光部103と、被写体を撮像する撮像部101と、被写体までの距離を取得する撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203と、前記撮像部101を用いて撮影された画像の中から前記発光部103の光に起因する影403を前記距離算出部203で算出された距離に基づいて推定する影推定部204と、前記影推定部204により推定された影403を薄くなるように補正する影補正部205とを備えている。
【0050】
この構成によれば、1回の撮影で影403を補正できるので、外部発光に起因する影を抑えた画像を簡易に取得することができる。
【0051】
また、この構成によれば、動いている被写体を撮影する場合に特に有効である。例えば、外部発光を伴う撮影と外部発光を伴わない撮影とを合計2回行い、外部発光を伴う撮影による画像の色成分と外部発光を伴わない撮影による画像の輝度成分とを1つの画像に合成する方法の場合、被写体401が図7において右側に移動していたとすると、1回目の撮影と2回目の撮影とで被写体の位置が異なる。そのため、図10に示すように、色成分の像601と輝度成分の像602の位置が移動方向に分離し、不自然な画像が形成される。
【0052】
それに対し、前記撮像装置100によれば、1回の撮影で影の補正を行うことができるため、移動する被写体に対して色成分と輝度成分とがずれた画像が取得されるということを防止することができる。
【0053】
また、前記影補正部205は、少なくとも前記影403の輝度を補正する。
【0054】
影403とそれ以外の部分との大きな違いは輝度である。そのため、輝度を補正することによって影を補正することができる。
【0055】
前記影補正部205は、前記影403の輝度を、該影403が生じている平面被写体402における該影403と隣接する帯領域411の輝度に基づいて補正する。
【0056】
この構成によれば、影403の輝度を自然な輝度に補正することができる。つまり、影403の部分の本来の輝度は、該影403が生じている平面被写体402における該影403と隣接する帯領域411の輝度に近似するはずである。そのため、該隣接する帯領域411の輝度を用いると、影403の輝度を自然な輝度に補正することができる。
【0057】
また、前記影補正部205は、前記影403の輝度を、該影403が生じている平面被写体402における該影403と隣接する所定の範囲の帯領域411の平均輝度に変更する。
【0058】
この構成によれば、影403の輝度を隣接する領域の或る1つの画素の輝度を用いて補正するのではなく、所定の範囲の帯領域411の平均輝度に補正するので、隣接する帯領域411の輝度と概ね近似した輝度に影403の輝度を補正することができる。
【0059】
また、前記影補正部205は、前記撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203により取得された被写体までの距離が所定の閾値以下であるときには前記影403を補正する一方、該距離が該閾値を超えるときには前記影403を補正しない。
【0060】
この構成によれば、発光部103の発光による影響を受けない、又は、発光部103の発光により影が生じたとしてもその影があまり目立たない程度に距離が離れている被写体に対しては影の補正を行わないようにすることができる。その結果、無駄な処理を省略して、処理時間を短縮することができる。
【0061】
前記発光部103は、発光量を調整可能に構成されており、前記影補正部205は、前記発光部103の発光量が所定の閾値以上であるときには前記影403を補正する一方、該発光量が該閾値未満であるときには前記403影を補正しない。
【0062】
この構成によれば、発光部103の発光による影響を受けない、又は、発光部103の発光により影が生じたとしてもその影があまり目立たない程度に発光量が少ない場合には影の補正を行わないようにすることができる。その結果、無駄な処理を省略して、処理時間を短縮することができる。
【0063】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0064】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0065】
前記撮像装置100は、静止画に対する影補正を行っているが、静止画に限られるものではない。つまり、動画の各フレーム画像に対して影補正を行うことによって、動画に対しても影補正を行うことができる。
【0066】
前記実施形態では、発光部103は、本体105に内蔵されているが、これに限られるものではない。発光部は、被写体に向けて光を照射するものであれば、任意の構成を採用することができる。
【0067】
前記実施形態では、撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203が距離取得部を構成している。しかし、これに限られるものではない。距離情報取得部102はTOF(Time of Flight)センサを距離取得部として用いてもよい。TOFセンサを用いると、被写体までの距離を直接計測することができる。つまり、前記実施形態における撮影画像と参照画像との視差に基づいて被写体までの距離を算出するという処理を省略することができる。
【0068】
また、前記実施形態では、距離情報取得部102を被写体までの距離を算出するためだけに使用しているが、これに限られるものではない。複数の撮像部を備え、ステレオ撮影(又は多眼撮影)を行う撮像装置(例えば、3Dカメラ)において、一方の撮像部を距離情報取得部102として用いてもよい。つまり、一方の撮像部は、通常は、ステレオ撮影のために使用され、影補正を行う場合には、視差を有する参照画像を取得するための距離情報取得部102として使用される。すなわち、3Dカメラは、1回の撮影で視差を有する2つの画像を撮影できるので、影補正を容易に行うことができる。この構成によれば、前述のTOFセンサのような影補正専用の部材を設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。さらには、一方の撮像部で取得した画像を影補正及びステレオ撮影の両方に用いることによって、ステレオ撮影においても発光部に起因する影の影響を抑制することができる。
【0069】
前述の影の補正の方法は一例であって、異なる方法であってもよい。
【0070】
例えば、前記実施形態では、影403の全域を帯領域411の輝度で補正しているが、参照する輝度は帯領域411の輝度に限られない。すなわち、影403の輝度を補正する上で参照する輝度は、影403を、影403が生じている部分本来の輝度に近づけることができる限りは、どの部分の輝度を参照してもよい。例えば、帯領域411の形状は、前記の形状に限られるものではない。
【0071】
また、前記実施形態では、影403の全域を帯領域411の平均値という1つの値で補正しているが、これに限られるものではない。例えば、高さ位置に応じて異なる輝度に補正してもよい。具体的には、影403内の或る高さ位置の全画素を、影403が生じている平面被写体402において影403に対して水平方向外側に隣接する1つの画素の輝度又は所定個数の画素の輝度の平均値に補正してもよい。つまり、影403内の各画素は、同じ高さ位置における影403の外側の画素の輝度に補正される。この方法によれば、影403の画素が高さに応じて異なる輝度で補正されるので、影403の全画素を1つの平均値で補正する場合と比較して、より細かな補正を行うことができる。
【0072】
また、影403内で輝度を滑らかに変化するように影403を補正してもよい。つまり、前記影補正では、影がほとんど削除される。それに対し、影403のうち、影403を発生させている被写体401から離れるほど補正量が多く(即ち、影が薄く)なるように補正してもよい。補正量を変化させる方法としては、影403の画素の補正量を被写体401からの距離に応じて連続的に変化させてもよし、影403を被写体401からの距離に応じて複数の領域に分割し、各領域ごとに補正量を変化させてもよい。図11に、後者の例を示す。図11に示すように、影403を相対的に被写体401に近い近接領域404と相対的に被写体401から遠い離間領域405とに分割し、近接領域404の補正量を相対的に多くし、離間領域405の補正量を相対的に少なくしている。こうすることで、完全に影を無くすのではなく、影をぼかした状態で残すことができる。その結果、間接照明を用いた商用撮影のような映像表現と同様の画像を得ることができる。尚、影403は、2分割に限られず、3分割以上に分割してもよい。また、影403のうち被写体401に近い領域は、補正をしないようにしてもよい。このように影403の一部に補正をしない部分があったとしても、影403の全体としては薄くなるように補正がなされている。これにより、補正処理を簡便にして、処理量を低減することができる。
【0073】
また、影補正は、輝度を補正することで行っているが、影を薄くする方法はこれに限られるものではない。例えば、影の色を補正することによって影を薄くしてもよい。あるいは、影の輝度及び色を補正することによって影を薄くしてもよい。尚、色を補正する場合には、影の色を影の周辺の領域の色に近づけるように補正する。
【0074】
また、前記実施形態では、影補正を行うか否かを撮像装置100と各画素の被写体との距離に応じて決めているが、これに限られるものではない。例えば、撮影画像全体で、撮像装置100と代表的な被写体との距離に応じて影補正を行うか否かを判定してもよい。代表的な被写体は、撮影画像を代表する被写体を決定できれば、どのような方法で決定しても良い。例えば、撮影画像から顕著領域を抽出し、該顕著領域を代表的な被写体としてもよいし、撮影画像の中央に位置する被写体を代表的な被写体としてもよい。
【0075】
尚、撮像装置100と被写体との距離に応じた影補正の有無の切換を行わなくてもよい。すなわち、該距離にかかわらず、影補正を行うようにしてもよい。これにより、影補正の処理を単純化することができる。
【0076】
さらには、前記実施形態では、影補正を行うか否かを発光部103の発光量に応じて決めているが、該発光量にかかわらず、影補正を行うようにしてもよい。これにより、影補正の処理が単純化することができる。例えば、発光部103の発光量が不変である場合には、発光量に応じた影補正の有無の切換を行わない。
【0077】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0078】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0079】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上に説明した撮像装置は、照明を補うための外部発光を必要とする撮像装置の分野において有用である。
【符号の説明】
【0081】
100 撮像装置
101 撮像部
102 距離情報取得部
103 発光部
104 制御部
201 撮影制御部
202 画像記録部
203 距離算出部
204 影推定部
205 影補正部
206 輝度算出部
【技術分野】
【0001】
本開示は、光を被写体に向けて照射する発光部を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に開示された撮像装置は、外部発光(フラッシュ、補助光など)に起因する被写体の影を補正するものである。詳しくは、該撮像装置は、同一被写体に対して、外部発光を伴う撮影と外部発光を伴わない撮影とを合計2回行う。そして、外部発光を伴う撮影によって得られた画像(主に発光の輝度成分の変化により影が発生)の色成分と、外部発光を伴わない撮影によって得られた画像の輝度成分とを1つの画像に合成することで、外部発光に起因する影を含まない画像を生成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Keiichiro SHIRAI, Masaaki IKEHARA, and Masayuki OKAMOTO, “Color and Shadow Replacing of Flash and No-Flash Photos to Create Noiseless Images”, IEICE Transaction (Japanese Edition), Vol. J94-A, No. 4, pp. 275-284, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、外部発光に起因する影を抑えた画像を簡易に取得する撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における撮像装置は、被写体に向けて光を照射する発光部と、被写体を撮像する撮像部と、被写体までの距離を取得する距離取得部と、前記撮像部を用いて撮影された画像の中から前記発光部の光に起因する影を前記距離取得部により取得された距離に基づいて推定する影推定部と、前記影推定部により推定された影を薄く補正する影補正部とを備えるものとする。ここで、「薄く補正する」とは、補正前よりも影の存在を目立たなくさせることを意味し、補正後に薄い影が残存する場合だけでなく、補正後に影を完全に消してしまうことも含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示における撮像装置によれば、外部発光に起因する影を抑えた画像を簡易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】撮像装置の外観を示す斜視図である。
【図2】撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図3】撮像装置の処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】撮像部と発光部と被写体との位置関係の例を示す図である。
【図5】影推定の手順を示すフローチャートである。
【図6】距離算出部により算出した被写体までの距離の一例を示す図である。
【図7】影を含む撮影画像を示す図である。
【図8】推定された影を示す図である。
【図9】補正画像を示す図である。
【図10】2回の撮影で影を補正する場合に得られる画像を示す図である。
【図11】影を漸次補正した場合の補正画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0009】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0010】
[1.撮像装置の構成]
[1−1.概略構成]
図1は、撮像装置100の外観を示す斜視図であり、図2は、撮像装置100の主要な構成を示すブロック図である。
【0011】
撮像装置100は、本体105と、本体105の内部に設けられ、被写体を撮像する撮像部101と、撮像装置100から被写体までの距離に関する情報を取得する距離情報取得部102と、被写体に向かって発光する発光部103と、これらを制御する制御部104(図2にのみ図示)とを備える。撮像装置100は、いわゆるデジタルカメラである。
【0012】
本体105は、被写体側の面の略中央にレンズ鏡筒106を有している。レンズ鏡筒106は、撮像光学系(図示省略)を有している。撮像光学系は、被写体像を撮像部101に結像させる。
【0013】
撮像部101は、被写体を撮像して、画像を取得する。撮像部101は、イメージセンサであり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等である。撮像装置100は、撮像部101を用いて撮影を行う。
【0014】
距離情報取得部102は、被写体までの距離に関する情報を取得する。距離情報取得部102は、イメージセンサであり、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等である。つまり、距離情報取得部102は、被写体を撮像して、画像を取得する。距離情報取得部102は、撮像部101とは異なる位置に設けられている。具体的には、距離情報取得部102は、光軸方向被写体側を向いて見たときに、レンズ鏡筒106の左側に設けられている。そのため、距離情報取得部102で撮影される画像は、撮像部101で撮影される画像とは視差を有する。この視差を有する画像は、詳しくは後述するが、被写体までの距離を算出する際に参照する画像であり、撮像装置100から被写体までの距離に関する情報である。尚、距離情報取得部102は、撮像部101と同じ種類のイメージセンサであっても、異なる種類のイメージセンサであってもよい。また、距離情報取得部102の画素数は、撮像部101の画素数と同じであっても、異なっていてもよい。
【0015】
以下、特に断りがない限り、単に「撮影画像」というときには撮像部101で撮影した画像を意味し、「参照画像」というときには距離情報取得部102により撮影した画像を意味する。
【0016】
発光部103は、撮像部101による撮影時に、被写体に向けて発光を行う。発光部103は、本体105の角部、具体的には、光軸方向被写体側を向いて見たときに本体105の左上に設けられている。発光部103は、発光量を調整可能に構成されている。
【0017】
[1−2.制御部の構成]
制御部104は、撮影制御部201と、画像記録部202と、距離算出部203と、影推定部204と、影補正部205と、輝度算出部206とを備えている。制御部104は、マイクロコンピュータで構成され得る。尚、制御部104は、ハードロジックで実現してもよい。制御部104をハードロジックで実現すれば、処理速度の向上に有効である。制御部104は、1つの素子で構成してもよいし、物理的に複数の素子で構成してもよい。複数の素子で構成する場合、特許請求の範囲に記載の各制御を別々の素子で実現してもよい。この場合、それらの複数の素子で一つの制御部104を構成すると考えることができる。また、制御部104と別の機能を有する部材とを1つの素子で構成してもよい。要するに、制御部104は、撮像装置100を制御するものであれば、物理的にどのように構成してもよい。
【0018】
撮影制御部201は、撮像装置100の主な制御を司るものであり、例えば、撮影時に撮像部101、距離情報取得部102及び発光部103の動作を制御する。すなわち、撮影制御部201は、撮像部101に撮像を行わせたり、撮像部101の出力から測光を行ったり、距離情報取得部102に撮像(即ち、距離に関する情報の取得)を行わせたり、発光部103を作動させたりする。
【0019】
撮影制御部201の制御の1つに発光制御がある。発光部103は、自動モードと手動モードとに設定可能となっている。具体的には、発光部103が自動モードに設定されているときには、撮影制御部201は、撮像部101を用いて被写体の光量を測定し、該光量に基づいて発光部103を作動させるか否かを判定する。撮影制御部201は、光量が所定の閾値以下のときには、撮影時に発光部103を作動させる一方、光量が該閾値よりも大きいときには、撮影時に発光部103を作動させない。尚、測光用のセンサを別途設け、発光部103を作動させるか否かを該センサの出力に基づいて判定してもよい。手動モードには、強制発光モードと発光禁止モードとが含まれる。発光部103が強制発光モードに設定されているときには、撮影制御部201は、撮影時に常に発光部103を作動させる。一方、発光部103が発光禁止モードに設定されている時には、撮影制御部201は、撮影時に常に発光部103を作動させない。さらに、撮影制御部201は、自動モード及び手動モードにおいて発光部103を作動させるときには、被写体の光量及びシャッタスピードに応じて、発光部103の発光量を調整する。つまり、撮影制御部201は、被写体の光量が少ない場合には発光部103の発光量を多くし、被写体の光量が多い場合には発光部103の発光量を少なくする。また、撮影制御部201は、シャッタスピードが速い場合には発光部103の発光量を多くし、シャッタスピードが遅い場合には発光部103の発光量を少なくする。
【0020】
画像記録部202は、撮像部101で撮影した画像を記録する。画像記録部202は、メモリであり得る。また、画像記録部202は、距離情報取得部102で撮影した画像も記録する。
【0021】
距離算出部203は、撮像部101の撮影画像及び距離情報取得部102の参照画像に基づいて、該撮影画像の各画素に写された被写体の、撮像装置100からの距離を算出する。つまり、距離算出部203は、撮影画像と参照画像との視差に基づいて、被写体までの距離を算出する。尚、参照画像の解像度と撮影画像の解像度とが異なる場合には、Bi−cubicやBi−linear補間法を用いて、各画素の被写体までの距離を算出する。距離算出部203は、算出した距離を影推定部204へ出力する。尚、距離算出部203は、画像記録部202に記録された撮影画像及び参照画像が入力されているが、撮像部101及び距離情報取得部102からそれぞれ撮影画像及び参照画像が直接入力されてもよい。
【0022】
これら撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203は、距離取得部の一例である。
【0023】
影推定部204は、撮像部101及び発光部103の位置関係と距離算出部203で算出された距離とに基づいて、撮影画像において発光部103の発光に起因する影を推定する。撮像部101及び発光部103の位置関係は、予め決まっており、図示省略の記憶部に記憶されている。影の推定方法については後述する。影推定部204は、推定した影(例えば、影に相当する画素の位置情報)を影補正部205へ出力する。
【0024】
輝度算出部206は、撮影画像の輝度を算出する。具体的には、輝度算出部206は、画像記録部202に記録されている撮影画像を読み込み、該撮影画像における各画素の輝度を算出する。輝度算出部206は、算出した輝度を影補正部205へ出力する。
【0025】
影補正部205は、影推定部204が推定した影に対し、影を薄くする(即ち、抑える)画像補正を行う。影の補正方法については後述する。影補正部205は、補正画像を出力する。
【0026】
[2.撮影手順]
図3は、制御部104の撮影処理の手順を示すフローチャートである。
【0027】
まず、ステップS301では、制御部104は、外部発光を行うか否かを判定する。具体的には、制御部104は、まず、発光部103が自動モードに設定されているのか、手動モードに設定されているのかを判定する。次に、自動モードの場合には、制御部104は、撮像部101による測光の結果に基づいて発光部103を作動させるか否かを判定する。手動モードの場合には、制御部104は、強制発光モードか発光禁止モードかを判定する。自動モード及び手動モードの何れであっても、発光部103を作動させた撮影を行う場合(Yes)には、ステップS302へ進む一方、発光部103を作動させずに撮影を行う場合(No)には、ステップS311へ進む。
【0028】
ステップS302では、制御部104は、発光部103を作動させつつ、撮像部101を用いて撮影を行う。この撮影と同時に、制御部104は、距離情報取得部102による距離情報の取得(本実施形態では、距離情報取得部102による撮影)を行う。
【0029】
ステップS303において、制御部104は、撮像部101の撮影画像及び距離情報取得部102の参照画像に基づいて、撮影画像の各画素における被写体の、撮像装置100からの距離を算出する。
【0030】
ステップS304では、制御部104は、算出した距離に基づいて、撮影画像中の発光部103の発光に起因する影を推定する。
【0031】
ステップS305において、制御部104は、推定した影に対して影を薄くする画像補正を行う。その後、ステップS306において、制御部104は、補正画像を出力する。
【0032】
一方、外部発光を行わない場合(ステップS301でNOの場合)は、ステップS311において、制御部104は、発光部103を作動させることなく、撮像部101を用いて撮影を行う。その後、ステップS312において、制御部104は、撮影画像を出力する。
【0033】
[3.影の補正方法]
続いて、影の補正方法について説明する。
【0034】
[3−1.影の発生]
まず、図4を参照して、外部発光に起因して生じる影について説明する。図4に、撮像部101と発光部103と被写体との位置関係の例を示す。図4は、該位置関係を説明し易くするために、水平面における位置関係を示している。図4の例では、平面被写体402よりも撮像装置側に球形被写体401が存在している。
【0035】
図4の例で撮影を行うと、球形被写体401が平面被写体402を背景にして撮影される。このとき、発光部103が発光すると、球形被写体401の影が平面被写体402及び球形被写体401の一部に生じる。球形被写体401の影は、発光部103と球形被写体401とを結ぶ直線の方向に球形被写体401を投影した位置に生じる。仮に撮像部101が発光部103と同じ位置に位置するとすれば、撮像部101から影を見ることはできず、影403が撮影されることはない。しかし、図4に示すように、撮像装置100では撮像部101と発光部103との位置がずれているため、影403が撮像部101から見えてしまう。つまり、影403は、撮像部101により撮影されてしまう。
【0036】
[3−2.影の推定]
次に、こうして撮影された影403を撮像画像の中から推定する手順を図5を参照しながら説明する。図5は、影推定の手順を示すフローチャートである。
【0037】
ステップS501において、距離算出部203に算出された被写体の距離が影推定部204に入力される。図4に示す例の場合、距離算出部203が算出する各画素における被写体の距離は、図6に示すようになる。図6は、撮像装置100から被写体までの距離分布(或る高さ位置において水平方向に並ぶ各画素の距離)を示しており、図6の下側に撮像装置100が位置し、図6の上側ほど撮像装置100からの距離が遠いことを表している。図6において、下方に凸な部分407は、球形被写体401までの距離を表しており、平坦な部分408は、平面被写体402までの距離を表している。ただし、この距離分布は、二次元の画像における或る水平線上(即ち、或る高さ位置)の被写体の距離分布である。つまり、各高さ位置における被写体の距離を網羅的に算出することによって、撮影画像全体の距離分布を算出することができる。
【0038】
次に、ステップS502において、影推定部204は、各点(画素)における距離分布(図6に示す線)の接線の傾き(距離の変化量/水平方向の変化量)と発光部103から各点(画素)への光線(即ち、該点(画素)と発光部103とを結ぶ直線)の傾きとを比較し、接線の傾きが光線の傾きよりも大きくなる点(画素)を求める。ここで、「傾き」とは、水平方向の変化量に対する距離の変化量である(傾き=距離の変化量/水平方向の変化量)。図6では、矢印409で示す点(画素)において、接線の傾きが光線の傾きよりも大きくなる。この矢印409で示す点(画素)は、図4の406で示す、発光部103からの光線と被写体401とが接する部分に対応する。図6の矢印409で示す点(画素)が影403の一方の境界となる。
【0039】
続いて、ステップS503において、影推定部204は、発光部103から延びて、矢印409で示す点(画素)を通る直線と該点(画素)よりも背景側の被写体との交点とを求める。図6においては、該直線は、平面被写体402に対応する平坦な部分408と交差する。この平坦な部分408上の交点に対応する、矢印410で示す点(画素)が、影403の他方の境界となる。
【0040】
影推定部204は、こうして求めた矢印409で示す点(画素)と矢印410で示す点(画素)との間の領域を影403と推定する。影推定部204は、ステップS502,S503の処理を各高さ位置における被写体の距離分布に対して行うことによって、撮影画像中の二次元的な影403を推定する。
【0041】
図7に、図4に示す例における撮影画像を示し、図8に、撮影画像から推定した影を示し、図9に、影を補正した補正画像を示す。図7に示す撮影画像においては、被写体401が撮影されており、その背景に外部発光に起因する影403が映っている。影推定部204が前述の方法により撮影画像から影を推定すると、図8に示すように、円の一部を別の円で切り欠いた形状の影403が推定される。
【0042】
[3−3.影の補正]
次に、影の補正方法を説明する。
【0043】
影補正部205は、影403の輝度を補正することによって、影を補正する。具体的には、影補正部205は、影403の外側の領域の輝度を用いて影403の輝度を補正する。例えば、影補正部205は、影403が生じている被写体である平面被写体402における影403と隣接する帯領域411の輝度の平均値(即ち、平均輝度)を求める。この帯領域411は、所定の個数の画素に対応する幅を有し、影403の境界に沿って延びる帯状の領域である。帯状領域の幅に対応する画素の個数は、任意に設定することができる。影補正部205は、影403の輝度を、帯領域411の輝度の平均値に置き換える。その結果、図9に示すように、影が削除された補正画像が得られる。
【0044】
尚、影403のうち球形被写体401に生じる部分は、球形被写体401における影403と隣接する所定の範囲の帯領域の輝度の平均値により補正する。ただし、影403のうち球形被写体401に生じる部分は微小なので、補正しなくてもよいし、あるいは、前記帯領域411の輝度の平均値で補正してもよい。
【0045】
影補正部205は、このような影補正を撮像装置100と被写体との距離に応じて行う。具体的には、影補正部205は、距離算出部203からの算出結果に基づいて、撮像装置100から被写体までの距離が所定の閾値以下のときには影補正を行い、該距離が該閾値を越えるときには影補正を行わない。この閾値は、発光部103からの光に起因する影の影響が小さくなる距離に設定され得る。つまり、1つの撮影画像中であっても、撮像装置100からの距離が遠い被写体については影補正を行わず、撮像装置100からの距離が近い被写体については影補正を行う。例えば、平面被写体402までの距離が閾値を超えているときには前記の影補正を行わない。これにより、発光部103の光の影響の小さい被写体に対しては影補正を省略することができ、処理量を低減することができる。その結果、画像取得までの時間を短縮することができると共に、演算回路の消費電力を節約することができる。
【0046】
尚、前記閾値は、発光部103の発光量に応じて変化させてもよい。つまり、発光部103の発光量が多い場合には、該閾値を大きくする一方、発光部103の発光量が少ない場合には、該閾値を小さくしてもよい。つまり、発光部103の光の影響を受ける距離は、発光部103の発光量に応じて変化する。そのため、閾値を発光量に応じて変化させることによって、影補正の有無の切換を実際の補正の必要性に合わせることができる。
【0047】
また、距離による影補正の有無は、影を推定する前に判定してもよいし、影を推定した後に判定してもよい。
【0048】
また、影補正部205は、発光部103の発光量に応じて影補正を行う。具体的には、影補正部205は、発光部103の発光量が所定の閾値以上のときには影補正を行い、発光量が該閾値を下回るときには影補正を行わない。この閾値は、発光部103からの光に起因する影の影響が小さくなる発光量に設定され得る。これにより、発光部103の発光量が少ないために発光部103からの光の影響が小さい場合には影補正を省略することができ、処理量を低減することができる。その結果、画像取得までの時間を短縮することができると共に、演算回路の消費電力を節約することができる。
【0049】
[4.効果]
以上のように、本実施形態においては、撮像装置100は、被写体に向けて光を照射する発光部103と、被写体を撮像する撮像部101と、被写体までの距離を取得する撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203と、前記撮像部101を用いて撮影された画像の中から前記発光部103の光に起因する影403を前記距離算出部203で算出された距離に基づいて推定する影推定部204と、前記影推定部204により推定された影403を薄くなるように補正する影補正部205とを備えている。
【0050】
この構成によれば、1回の撮影で影403を補正できるので、外部発光に起因する影を抑えた画像を簡易に取得することができる。
【0051】
また、この構成によれば、動いている被写体を撮影する場合に特に有効である。例えば、外部発光を伴う撮影と外部発光を伴わない撮影とを合計2回行い、外部発光を伴う撮影による画像の色成分と外部発光を伴わない撮影による画像の輝度成分とを1つの画像に合成する方法の場合、被写体401が図7において右側に移動していたとすると、1回目の撮影と2回目の撮影とで被写体の位置が異なる。そのため、図10に示すように、色成分の像601と輝度成分の像602の位置が移動方向に分離し、不自然な画像が形成される。
【0052】
それに対し、前記撮像装置100によれば、1回の撮影で影の補正を行うことができるため、移動する被写体に対して色成分と輝度成分とがずれた画像が取得されるということを防止することができる。
【0053】
また、前記影補正部205は、少なくとも前記影403の輝度を補正する。
【0054】
影403とそれ以外の部分との大きな違いは輝度である。そのため、輝度を補正することによって影を補正することができる。
【0055】
前記影補正部205は、前記影403の輝度を、該影403が生じている平面被写体402における該影403と隣接する帯領域411の輝度に基づいて補正する。
【0056】
この構成によれば、影403の輝度を自然な輝度に補正することができる。つまり、影403の部分の本来の輝度は、該影403が生じている平面被写体402における該影403と隣接する帯領域411の輝度に近似するはずである。そのため、該隣接する帯領域411の輝度を用いると、影403の輝度を自然な輝度に補正することができる。
【0057】
また、前記影補正部205は、前記影403の輝度を、該影403が生じている平面被写体402における該影403と隣接する所定の範囲の帯領域411の平均輝度に変更する。
【0058】
この構成によれば、影403の輝度を隣接する領域の或る1つの画素の輝度を用いて補正するのではなく、所定の範囲の帯領域411の平均輝度に補正するので、隣接する帯領域411の輝度と概ね近似した輝度に影403の輝度を補正することができる。
【0059】
また、前記影補正部205は、前記撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203により取得された被写体までの距離が所定の閾値以下であるときには前記影403を補正する一方、該距離が該閾値を超えるときには前記影403を補正しない。
【0060】
この構成によれば、発光部103の発光による影響を受けない、又は、発光部103の発光により影が生じたとしてもその影があまり目立たない程度に距離が離れている被写体に対しては影の補正を行わないようにすることができる。その結果、無駄な処理を省略して、処理時間を短縮することができる。
【0061】
前記発光部103は、発光量を調整可能に構成されており、前記影補正部205は、前記発光部103の発光量が所定の閾値以上であるときには前記影403を補正する一方、該発光量が該閾値未満であるときには前記403影を補正しない。
【0062】
この構成によれば、発光部103の発光による影響を受けない、又は、発光部103の発光により影が生じたとしてもその影があまり目立たない程度に発光量が少ない場合には影の補正を行わないようにすることができる。その結果、無駄な処理を省略して、処理時間を短縮することができる。
【0063】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0064】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0065】
前記撮像装置100は、静止画に対する影補正を行っているが、静止画に限られるものではない。つまり、動画の各フレーム画像に対して影補正を行うことによって、動画に対しても影補正を行うことができる。
【0066】
前記実施形態では、発光部103は、本体105に内蔵されているが、これに限られるものではない。発光部は、被写体に向けて光を照射するものであれば、任意の構成を採用することができる。
【0067】
前記実施形態では、撮像部101、距離情報取得部102及び距離算出部203が距離取得部を構成している。しかし、これに限られるものではない。距離情報取得部102はTOF(Time of Flight)センサを距離取得部として用いてもよい。TOFセンサを用いると、被写体までの距離を直接計測することができる。つまり、前記実施形態における撮影画像と参照画像との視差に基づいて被写体までの距離を算出するという処理を省略することができる。
【0068】
また、前記実施形態では、距離情報取得部102を被写体までの距離を算出するためだけに使用しているが、これに限られるものではない。複数の撮像部を備え、ステレオ撮影(又は多眼撮影)を行う撮像装置(例えば、3Dカメラ)において、一方の撮像部を距離情報取得部102として用いてもよい。つまり、一方の撮像部は、通常は、ステレオ撮影のために使用され、影補正を行う場合には、視差を有する参照画像を取得するための距離情報取得部102として使用される。すなわち、3Dカメラは、1回の撮影で視差を有する2つの画像を撮影できるので、影補正を容易に行うことができる。この構成によれば、前述のTOFセンサのような影補正専用の部材を設ける必要がなく、部品点数を削減することができる。さらには、一方の撮像部で取得した画像を影補正及びステレオ撮影の両方に用いることによって、ステレオ撮影においても発光部に起因する影の影響を抑制することができる。
【0069】
前述の影の補正の方法は一例であって、異なる方法であってもよい。
【0070】
例えば、前記実施形態では、影403の全域を帯領域411の輝度で補正しているが、参照する輝度は帯領域411の輝度に限られない。すなわち、影403の輝度を補正する上で参照する輝度は、影403を、影403が生じている部分本来の輝度に近づけることができる限りは、どの部分の輝度を参照してもよい。例えば、帯領域411の形状は、前記の形状に限られるものではない。
【0071】
また、前記実施形態では、影403の全域を帯領域411の平均値という1つの値で補正しているが、これに限られるものではない。例えば、高さ位置に応じて異なる輝度に補正してもよい。具体的には、影403内の或る高さ位置の全画素を、影403が生じている平面被写体402において影403に対して水平方向外側に隣接する1つの画素の輝度又は所定個数の画素の輝度の平均値に補正してもよい。つまり、影403内の各画素は、同じ高さ位置における影403の外側の画素の輝度に補正される。この方法によれば、影403の画素が高さに応じて異なる輝度で補正されるので、影403の全画素を1つの平均値で補正する場合と比較して、より細かな補正を行うことができる。
【0072】
また、影403内で輝度を滑らかに変化するように影403を補正してもよい。つまり、前記影補正では、影がほとんど削除される。それに対し、影403のうち、影403を発生させている被写体401から離れるほど補正量が多く(即ち、影が薄く)なるように補正してもよい。補正量を変化させる方法としては、影403の画素の補正量を被写体401からの距離に応じて連続的に変化させてもよし、影403を被写体401からの距離に応じて複数の領域に分割し、各領域ごとに補正量を変化させてもよい。図11に、後者の例を示す。図11に示すように、影403を相対的に被写体401に近い近接領域404と相対的に被写体401から遠い離間領域405とに分割し、近接領域404の補正量を相対的に多くし、離間領域405の補正量を相対的に少なくしている。こうすることで、完全に影を無くすのではなく、影をぼかした状態で残すことができる。その結果、間接照明を用いた商用撮影のような映像表現と同様の画像を得ることができる。尚、影403は、2分割に限られず、3分割以上に分割してもよい。また、影403のうち被写体401に近い領域は、補正をしないようにしてもよい。このように影403の一部に補正をしない部分があったとしても、影403の全体としては薄くなるように補正がなされている。これにより、補正処理を簡便にして、処理量を低減することができる。
【0073】
また、影補正は、輝度を補正することで行っているが、影を薄くする方法はこれに限られるものではない。例えば、影の色を補正することによって影を薄くしてもよい。あるいは、影の輝度及び色を補正することによって影を薄くしてもよい。尚、色を補正する場合には、影の色を影の周辺の領域の色に近づけるように補正する。
【0074】
また、前記実施形態では、影補正を行うか否かを撮像装置100と各画素の被写体との距離に応じて決めているが、これに限られるものではない。例えば、撮影画像全体で、撮像装置100と代表的な被写体との距離に応じて影補正を行うか否かを判定してもよい。代表的な被写体は、撮影画像を代表する被写体を決定できれば、どのような方法で決定しても良い。例えば、撮影画像から顕著領域を抽出し、該顕著領域を代表的な被写体としてもよいし、撮影画像の中央に位置する被写体を代表的な被写体としてもよい。
【0075】
尚、撮像装置100と被写体との距離に応じた影補正の有無の切換を行わなくてもよい。すなわち、該距離にかかわらず、影補正を行うようにしてもよい。これにより、影補正の処理を単純化することができる。
【0076】
さらには、前記実施形態では、影補正を行うか否かを発光部103の発光量に応じて決めているが、該発光量にかかわらず、影補正を行うようにしてもよい。これにより、影補正の処理が単純化することができる。例えば、発光部103の発光量が不変である場合には、発光量に応じた影補正の有無の切換を行わない。
【0077】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0078】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0079】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上に説明した撮像装置は、照明を補うための外部発光を必要とする撮像装置の分野において有用である。
【符号の説明】
【0081】
100 撮像装置
101 撮像部
102 距離情報取得部
103 発光部
104 制御部
201 撮影制御部
202 画像記録部
203 距離算出部
204 影推定部
205 影補正部
206 輝度算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に向けて光を照射する発光部と、
被写体を撮像する撮像部と、
被写体までの距離を取得する距離取得部と、
前記撮像部を用いて撮影された画像の中から前記発光部の光に起因する影を前記距離取得部により取得された距離に基づいて推定する影推定部と、
前記影推定部により推定された影を薄く補正する影補正部とを備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、少なくとも前記影の輝度を補正する撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記影の輝度を、該影が生じている被写体における該影と隣接する領域の輝度に基づいて補正する撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記影の輝度を、該影が生じている被写体における該影と隣接する所定の範囲の領域の平均輝度に変更する撮像装置。
【請求項5】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記影において該影を形成している被写体との境界から該影が生じている被写体における該影と隣接する領域に向かって輝度が漸次高くなるように該影の輝度を補正する撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記距離取得部により取得された被写体までの距離が所定の閾値以下であるときには前記影を補正する一方、該距離が該閾値を超えるときには前記影を補正しない撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記発光部は、発光量を調整可能に構成されており、
前記影補正部は、前記発光部の発光量が所定の閾値以上であるときには前記影を補正する一方、該発光量が該閾値未満であるときには前記影を補正しない撮像装置。
【請求項1】
被写体に向けて光を照射する発光部と、
被写体を撮像する撮像部と、
被写体までの距離を取得する距離取得部と、
前記撮像部を用いて撮影された画像の中から前記発光部の光に起因する影を前記距離取得部により取得された距離に基づいて推定する影推定部と、
前記影推定部により推定された影を薄く補正する影補正部とを備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、少なくとも前記影の輝度を補正する撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記影の輝度を、該影が生じている被写体における該影と隣接する領域の輝度に基づいて補正する撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記影の輝度を、該影が生じている被写体における該影と隣接する所定の範囲の領域の平均輝度に変更する撮像装置。
【請求項5】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記影において該影を形成している被写体との境界から該影が生じている被写体における該影と隣接する領域に向かって輝度が漸次高くなるように該影の輝度を補正する撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記影補正部は、前記距離取得部により取得された被写体までの距離が所定の閾値以下であるときには前記影を補正する一方、該距離が該閾値を超えるときには前記影を補正しない撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記発光部は、発光量を調整可能に構成されており、
前記影補正部は、前記発光部の発光量が所定の閾値以上であるときには前記影を補正する一方、該発光量が該閾値未満であるときには前記影を補正しない撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−78112(P2013−78112A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172189(P2012−172189)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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