説明

撮影装置及びプログラム

【課題】天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、任意の天体を撮影対象として選択するだけで、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることができるようにする。
【解決手段】各天体に対応付けてその撮影に適した光学フィルタを示すフィルタ情報が天体データベースPDBに記憶管理されている状態において、制御部101は、任意の天体が撮影対象として選択されると、そのフィルタ情報を読み出してフィルタ駆動部116を介して可動式フィルタユニット113を駆動させ、赤外線フィルタをレンズユニット112の光軸上に対して進退させたり、多種フィルタの中から選択したフィルタをレンズユニット112の光軸上に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラは、撮像素子としてCCDを使用している関係上、可視光領域での一般撮影時には赤外線をカットする必要があるため、撮影レンズ系の光軸上には赤外線カットフィルタが設けられているが、従来においては、照度に応じて赤外線カットフィルタを自動的に取り外すようにした撮像装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭63−87889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1の撮像装置においては、暗所での撮影の場合に赤外線カットフィルタを自動的に取り外すようにしているため、天体の撮影時にはどのような天体を撮影する場合でも赤外線を利用した撮影となってしまい、鮮明な画像を得ることができるとは限らなかった。
一方、天体撮影時には光害カットフィルタなどの様々な光学フィルタを取り付けるようにしているが、フィルタの種類を間違えたり、未装着のまま撮影しまうおそれがあった。また、天体撮影画像にはノイズなどが多く不鮮明であるため、撮影画像をパーソナルコンピュータに取り込み、その画質の状況などからどのような加工を施すかを決めて加工するようにしているが、良質な画像を得ることができるとは限らなかった。
【0004】
この発明の課題は、天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、任意の天体を撮影対象として選択するだけで、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた赤外線カットフィルタの使用可否を示すフィルタ情報を各天体に対応付けて記憶管理するフィルタ情報記憶手段と、任意の天体を撮影対象として選択する天体選択手段と、この天体選択手段によって選択された天体に対応する前記フィルタ情報に応じて赤外線カットフィルタを撮影レンズ系の光軸上に進退させるフィルタ駆動手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項11記載の発明)。
【0006】
なお、上述した請求項1記載の発明は次ぎのようなものであってもよい。
目標とする天体方向に鏡筒を向けることによって当該天体を視野内に導入する天体自動導入機能付きの天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、前記天体自動導入機能を駆動制御するための天体導入情報を各天体に対応付けて記憶管理する天体導入情報記憶手段と、前記天体選択手段によって選択された天体に対応する前記天体導入情報を読み出して天体望遠鏡に送信する送信手段とを設ける(請求項6記載の発明)。この場合、前記天体導入情報を天体望遠鏡に対して送信したのち、天体望遠鏡側において目標天体に鏡筒を向けてその天体が視野内に導入された際の導入完了に応じて当該視野内を撮影可能としてもよい(請求項7記載の発明)。
【0007】
前記天体選択手段は、天体名を一覧表示するリスト画面の中から所望する天体名を撮影対象として選択指定する(請求項8記載の発明)。
【0008】
前記天体選択手段は、星図のグラフィック表示画面の中から任意の位置の天体を撮影対象として選択指定する(請求項9記載の発明)。
【0009】
天体に関する情報を記憶管理する天体情報記憶手段を設け、天体を撮影した撮影画像を再生出力する際に、前記天体情報記憶手段から当該天体情報を読み出してその撮影画像に対応付けて出力する(請求項10記載の発明)。
【0010】
請求項2記載の発明は、天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、各天体に対応付けて天体の撮影に適した光学フィルタを示すフィルタ情報を記憶管理するフィルタ情報記憶手段と、任意の天体を撮影対象として選択する天体選択手段と、撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた各種の光学フィルタの中から前記天体選択手段によって選択された天体の撮影に適したフィルタ情報を読み出して当該光学フィルタを撮影レンズ系の光軸上に移動させるフィルタ駆動手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項2記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項12記載の発明)。
【0011】
なお、上述した請求項2記載の発明は次ぎのようなものであってもよい。
前記各種の光学フィルタを放射状に埋め込んだ円板を前記撮影レンズ系の光軸の近傍に配置し、前記フィルタ駆動手段は、前記円板を回転駆動させることによって前記撮影レンズ系の光軸上に前記円板内の任意の光学フィルタを合わせ込む(請求項3記載の発明)。
その他、請求項2記載の発明は、上述した請求項6〜10記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項4記載の発明は、天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、天体を撮影した撮影画像を加工するための画像加工種を各天体に対応付けて記憶管理する加工種記憶手段と、任意の天体を撮影対象として選択する天体選択手段と、この天体選択手段によって選択された天体に対応する前記画像加工種を読み出してその天体の撮影画像を加工処理する加工手段とを具備したことを特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項4記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項13記載の発明)。
【0013】
なお、上述した請求項4記載の発明は次ぎのようなものであってもよい。
前記加工手段は、画像色を強調する強調処理、エッジ部分のぼかし処理、複数の撮影画像を重ね合わせて処理するコンポジット処理のうち、少なくともその何れかの加工処理を実行する(請求項5記載の発明)。
その他、請求項4記載の発明は、上述した請求項6〜10記載の発明であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた赤外線カットフィルタの使用可否を示すフィルタ情報を各天体に対応付けて記憶管理している状態において、任意の天体が撮影対象として選択されると、この天体に対応するフィルタ情報に応じて赤外線カットフィルタを撮影レンズ系の光軸上に進退させるようにしたから、天体撮影時には任意の天体を撮影対象として選択するだけでよく、ユーザ(撮影者)にあっては赤外線カットフィルタを意識することなく天体撮影が可能となると共に、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることが可能となる。
【0015】
請求項6記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、目標とする天体方向に鏡筒を向けることによって当該天体を視野内に導入する天体自動導入機能を駆動制御するための天体導入情報を各天体に対応付けて記憶管理している状態において、撮影対象として任意に選択された天体に対応する天体導入情報を読み出して天体望遠鏡に送信するようにしたから、任意の天体を撮影対象として選択するだけで、撮影装置側から天体望遠鏡の自動導入機能を作動させることが可能となり、自動導入機能を作動させるためにパーソナルコンピュータなどを別途用意する必要もなくなる。
【0016】
この場合、天体導入情報を天体望遠鏡に対して送信したのち、天体望遠鏡側において目標天体に鏡筒を向けてその天体が視野内に導入された際の導入完了に応じて当該視野内を撮影可能としたから(請求項7記載の発明)、導入完了に伴って天体撮影が可能となり、天体望遠鏡と撮影装置との連携が可能となる。
【0017】
請求項8記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、天体名を一覧表示するリスト画面の中から所望する天体名を撮影対象として選択指定するようにしたから、天文に関する専門知識を持たない一般ユーザであっても、天体観測を楽しみながら天体に関する知識を広げることが可能となる。
【0018】
請求項9記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、星図のグラフィック表示画面の中から任意の位置の天体を撮影対象として選択指定するようにしたから、天体観測を楽しみながら天体に関する知識を広げることが可能となる。なお、グラフィック表示内の主要な天体に対応してその名前を付加するようにすれば、より便利なものとなる。
【0019】
請求項10記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有するほか、天体に関する天体情報を記憶管理している状態において、天体を撮影した撮影画像を再生出力する際に、この天体情報を読み出してその撮影画像に対応付けて出力するようにしたから、天体の撮影画像を見ながらその天体名、天体位置座標などを知ることができる。なお、撮影画像と天体情報とを合成表示してもよいが、撮影画像の近傍に天体情報を表示するようにしてもよい。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、各天体に対応付けて天体の撮影に適した光学フィルタを示すフィルタ情報を記憶管理している状態において、任意の天体が撮影対象として選択されると、撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた各種の光学フィルタの中から選択された天体の撮影に適したフィルタ情報を読み出して当該光学フィルタを撮影レンズ系の光軸上に移動させるようにしたから、天体撮影時には任意の天体を撮影対象として選択するだけで、その天体の撮影に適した光学フィルタを使用することができ、ユーザ(撮影者)にあっては光学フィルタを意識することなく天体撮影が可能となると共に、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることが可能となる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、上述した請求項2記載の発明と同様の効果を有するほか、各種の光学フィルタを放射状に埋め込んだ円板を撮影レンズ系の光軸の近傍に配置し、この円板を回転駆動させることによって撮影レンズ系の光軸上に任意の光学フィルタを合わせ込むようにしたから、円板を回転駆動させるだけで各種の光学フィルタの中から任意の光学フィルタを選択することができ、簡単な構成のフィルタ選択機構を実現することが可能となる。
その他、この請求項2記載の発明においても、上述した請求項6〜10記載の発明と同様の効果を有する。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、天体を撮影した撮影画像を加工するための画像加工種を各天体に対応付けて記憶管理している状態において、任意の天体が撮影対象として選択された際に、この選択された天体に対応する画像加工種を読み出してその天体の撮影画像を加工処理するようにしたから、任意の天体を撮影対象として選択するだけで、その天体に適した加工種でその撮影画像を加工することができ、ユーザ(撮影者)にあっては、どのような加工を施すかを意識する必要がなく、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることが可能となる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、上述した請求項4記載の発明と同様の効果を有するほか、画像色を強調する強調処理、エッジ部分のぼかし処理、複数の撮影画像を重ね合わせて処理するコンポジット処理のうち、少なくともその何れかの加工処理を実行するようにしたから、例えば、強調処理によって赤系統の星雲には赤強調、青系統の星雲には青強調を施すことができ、また、ぼかし処理によって星雲のエッジに“ぼかし”を入れたり、コンポジット処理によって鮮明な画像を得ることが可能となる。
その他、この請求項4記載の発明においても、上述した請求項6〜10記載の発明と同様の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施例1)
以下、図1〜図9を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、天体自動導入機能付きの天体望遠鏡に撮影装置(デジタルカメラ)を装着した状態の全体斜視図を示した図である。
デジタルカメラ1は、静止画撮影のほか動画撮影が可能なスチルカメラであり、天体望遠鏡2の視野内を撮影可能に取り付けられている。このデジタルカメラ1は、取り付けアダプタ(図示せず)を介して天体望遠鏡2に対して着脱自在に装着可能なもので、勿論、天体撮影以外の一般撮影時にも使用可能となっている。
【0025】
天体望遠鏡2は、その本体21が水平方向に回転可能に取り付けられていると共に、その鏡筒22が垂直方向に回転可能に取り付けられており、本体21を水平方向に回転させたり、鏡筒22を垂直方向に回転させながら目標とする天体の方向に鏡筒22を向けることで天体を視野内に導入する天体自動導入機能が備えられている。なお、ユーザ(撮影者)は、天体望遠鏡2のスコープ23あるいはカメラ1側のファインダ/液晶画面を覗きながら天体撮影を行う。
【0026】
図2は、デジタルカメラ1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
制御部101は、記憶部102内の各種のプログラムに応じてこのデジタルカメラ1の全体動作を制御する中央演算処理装置(CPU)である。記憶部102は、例えば、ROM(フラッシュメモリなど)によって構成された内部メモリであり、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図5〜図7に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのプログラムが格納され、また、このデータ領域には、天体に関する各種の情報を記憶管理する天体データベースPDBなどが設けられている。
【0027】
DRAM(Direct Random Access Memory)103は、ワーク領域を有する内部メモリであり、また、画像記録用メモリ104は、カメラ撮影された撮影画像を記憶保存する内蔵メモリで、撮影画像は、BMP、JPEG、TIFなどの記録形式によって圧縮されて1画像1ファイル形式で逐次記録保存される。記録メディア105は、着脱自在な可搬型メモリで、撮影画像データ、各種のデータ、プログラムを外部供給するもので、例えば、スマートメディア、ICカード(SDメモリカード)などによって構成されている。
【0028】
一方、制御部101には、その入出力周辺デバイスであるキー入力部106、表示部107、撮像部108などがバスラインを介して接続されており、入出力プログラムに応じて制御部101は、これらの入出力デバイスの動作制御を行う。また、制御部101には、外部IF(インターフェイス)109を介して天体自動導入機能付きの天体望遠鏡2が接続されており、外部IF109は、カメラ側のコネクタ110と天体望遠鏡2側のコネクタ24との接続によって天体望遠鏡2との間においてデータの送受信を行う。
【0029】
キー入力部106は、電源ON/OFFボタン、シャッタボタン、ズームボタン、撮影モード/再生モードなどに切り替え指定するモードボタン、上下左右の方向にカーソルなどを移動させる選択ボタンなどを有し、その操作信号は制御部101に与えられる。表示部107は、VRAM111に書き込まれた画像データを表示するタッチパネル付きの液晶表示部であり、モニタ画面/ファインダ画面/再生画面として使用される。撮像部108は、撮影レンズ、ミラー等のレンズ・ミラーブロック、CCDイメージセンサなどの撮像素子、その駆動系のほか、測距センサ、光量センサ、アナログ処理回路、信号処理回路、圧縮伸張回路等を備え、光学ズームを調整制御したり、オートフォーカス時の駆動制御、シャッタ駆動制御、露出、ホワイトバランス等を制御する。
【0030】
すなわち、撮影レンズ系のレンズユニット112からの被写体像は、後述する可動式フィルタユニット113を通して撮像素子(CCD)114に結像される。この場合、レンズ駆動部115及びフィルタ駆動部116は、モータ及びモータドライバを備えてなるもので、レンズ駆動部115は、レンズユニット112内の移動レンズの位置を制御して焦点合わせを行い、また、フィルタ駆動部116は、レンズユニット112の光軸上(以下、レンズ光軸上と呼称する)に後述する光学フィルタを移動(進退)させる。画像処理回路117は、撮像素子114によって光電変換された画像信号を取り込んで、色分離、ゲイン調整、ホワイトバランスなどを施すと共に、デジタル変換後の画像データを輝度信号及び色差信号に変換出力したり、画像データの圧縮処理などを行うもので、制御部101は、圧縮処理された画像データを画像記録用メモリ104に記憶保存させる。
【0031】
図3は、可動式フィルタユニット113に組み込まれている赤外線フィルタ120をレンズ光軸上に対して進退させる状態を示した図である。
赤外線フィルタ120は、一般撮影時などにおいて赤外線を光学的にカットするもので、フィルタ駆動部116によって直線的あるいは円弧状に作動する可動式のフィルタであり、レンズ光軸上に進退可能に設けられている。制御部101は、撮影対象として任意の天体が選択指定されている場合に、この天体に応じて赤外線フィルタ120を使用するか否かを決定し、フィルタ駆動部116を介して赤外線フィルタ120を移動(進退)させる。すなわち、赤外線フィルタ120をその使用時にはレンズ光軸上に位置させ、非使用時にはこの光軸上から退いた位置まで移動させる。フィルタ位置検出部121は、赤外線フィルタ120がレンズ光軸上に位置しているか、退いているかを検出してその検出信号を制御部101に与える。
【0032】
図4は、天体データベースPDBの内容を示した図である。
天体データベースPDBは、天体望遠鏡2によって観測することができる各種の天体に対応して、その「天体名」、「自動導入情報」、「フィルタ情報」、「画像加工種」、‥‥、を記憶管理する構成となっている。制御部101は、撮影対象として任意の天体名が選択された場合に、この天体名に基づいて天体データベースPDBを検索し、それに該当する「自動導入情報」、「フィルタ情報」、「画像加工種」を読み出すようにしている。この場合、天体名がリスト表示されている状態において、このリスト画面の中から任意の天体名を撮影対象として選択可能となっている。
【0033】
「自動導入情報」は、天体望遠鏡2の天体自動導入機能を作動させるもので、「天体位置座標情報」、「天体運動情報」などを含み、制御部101は、計時機能から取得した現在の「日時情報」と共に「自動導入情報」を天体望遠鏡2側に送信する。なお、天体望遠鏡2側では、従来と同様にデジタルカメラ1からの「日時情報」、「自動導入情報」に基づいて天体自動導入機能を作用させる。つまり、天体望遠鏡2側では、「日時情報」、「自動導入情報」に基づいて現在の天体位置を算出すると共に、この算出結果に基づいて鏡筒22を水平及び垂直方向に回転駆動させてその視野内に天体を導入させる。
【0034】
「フィルタ情報」は、天体に対応してその天体撮影に適した光学フィルタの選択を指示する情報であり、この第1実施例では赤外線カットフィルタ120の使用可否を示している。「画像加工種」は、天体に対応してその天体撮影に適した画像加工処理を指示する情報である。この場合、画像色を強調する強調処理、エッジ部分のぼかし処理、複数の撮影画像を重ね合わせて処理するコンポジット処理、その他の加工処理のうち、少なくともその何れかの加工処理を実行する。なお、強調処理は、赤系統の星雲の撮影画像には赤強調、青系統の星雲の撮影画像には青強調などを施す処理であり、また、ぼかし処理は星雲のエッジに“ぼかし”を入れる処理である。コンポジット処理は、同じ天体を複数連続的に撮影した各撮影画像を重ね合わせて処理することによって鮮明な画像を得る処理である。
【0035】
次ぎに、この実施例におけるデジタルカメラ1の動作概念を図5〜図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0036】
図5及び図6は、天体撮影モードが選択指定された際に実行開始されるデジタルカメラ1側の動作を示したフローチャートである。
先ず、制御部101は、デジタルカメラ1が天体望遠鏡2に装着されているか否かを外部IF109からの装着有り信号に基づいて判別し(ステップA1)、天体望遠鏡2に装着されていなければ、天体撮影モードの選択操作を無効とするために、このフローから抜けるが、天体望遠鏡2に装着されている状態で天体撮影モードが選択指定された場合には、天体データベースPDBから「天体名」を読み出して一覧表示させる(ステップA2)。
【0037】
図8は、天体名リスト画面を具体例に示した図である。このリスト画面には複数の天体名が一覧表示される。ユーザ(撮影者)は、このリスト内容を確認し、この画面内に所望する天体名が含まれていなければ、画面切り替え操作を行う。制御部101は、この画面切り替え操作が行われると(ステップA3)、次ぎのリスト画面に切り替え表示させる(ステップA4)。そして、撮影対象の天体名が選択されたかをチェックし(ステップA5)、撮影対象が選択されるまでステップA3に戻る。
【0038】
いま、リスト画面内に所望する天体名がリスト表示された場合にその表示位置がタッチ入力されると、ステップA6に移り、撮影対象として選択された天体名に基づいて天体データベースPDBを検索し、この天体名対応の「自動導入情報」及び「フィルタ情報」を取得すると共に(ステップA7)、計時機能から現在の「日時情報」を取得し(ステップA8)、この「自動導入情報」及び「日時情報」を外部IF109から天体望遠鏡2に対して送信すると共に(ステップA9)、天体望遠鏡2の自動導入機能を開始させる起動命令を送信する(ステップA10)。
【0039】
このように天体望遠鏡2に対して「自動導入情報」を送信すると、制御部101は、天体望遠鏡2側で自動導入が完了するまで待機するために導入完了タイマ(例えば、10秒タイマ)の計時動作をスタートさせる(ステップA11)。すなわち、天体望遠鏡2側では、「日時情報」、「自動導入情報」に基づいて現在の天体位置を算出しながら鏡筒22を水平及び垂直方向に回転駆動させてその視野内に天体を導入させるが、その際の所要時間は天体によって若干相違するものの、その最大所要時間以上の時間(例えば、10秒)を上述の導入完了タイマで計時するようにすれば、このタイムアップ時にはどのような天体であっても導入完了となる。
【0040】
天体望遠鏡2側で自動導入が行われている間、制御部101は、天体データベースPDBから取得した天体名対応の「フィルタ情報」に基づいて赤外線フィルタ120を進退させるフィルタ駆動処理を行う。すなわち、制御部101は、フィルタ位置検出部121からの検出信号に基づいて赤外線フィルタ120の現在のセット位置を特定し(ステップA12)、この現在位置と天体データベースPDBから取得した「フィルタ情報」に基づいて赤外線フィルタ120を移動させる必要があるか否かをチェックし(ステップA13)、移動させる必要があれば、赤外線フィルタ120を駆動すべきことをフィルタ駆動部116に対して指示する(ステップA14)。これによってフィルタ駆動部116は、この指示に応答して赤外線フィルタ120をレンズ光軸上にセットさせたり、レンズ光軸から赤外線フィルタ120を退かせる。
【0041】
このようにしてフィルタ駆動処理を行った後、図6のステップA15に移り、上述の導入完了タイマを参照し、タイムアップか否か、つまり、天体望遠鏡2側において目標とする天体(撮影対象として選択された天体)の方向に鏡筒22を向ける導入動作が完了したか否かをチェックし、その導入が完了するまで待機する。ここで、導入が完了すると、撮像素子114から画像処理回路117を介して画像データをDRAM103に取り込んで(ステップA16)、モニタ表示させる(ステップA17)。この状態において、シャッタ操作が行われたか(ステップA18)、予め設定されているインターバル撮影タイミング(例えば、1時間間隔)に達したかをチェックし(ステップA19)、シャッタ操作あるいは撮影タイミングに達するまでステップA16に戻って待機状態となる。
【0042】
いま、シャッタ操作が行われたり、撮影タイミングに達した際には(ステップA18、A19でYES)、撮像素子114から画像処理回路117を介して撮影画像をDRAM103に取り込む(ステップA20)。そして、撮影した天体の「天体名」及びその「赤緯赤経」を天体データベースPDBから取得すると共に(ステップA21)、現在日時(撮影日時)を取得し(ステップA22)、この「天体名」、「赤緯赤経」、「撮影日時」をDRAM103内の撮影画像と合成して撮影画像内の所定領域内に貼り付けたのち(ステップA23)、この画像ファイルを生成し(ステップA24)、画像記録用メモリ104に記憶保存させる(ステップA25)。
【0043】
次ぎに、同一の天体を連続して複数(例えば、5枚分)連続して撮影したか否かをチェックし(ステップA26)、複数の撮影が完了するまでステップA20に戻り、以下、上述の動作を繰り返す(ステップA20〜A26)。これによって画像記録用メモリ104には、複数の各画像ファイルが記憶保存される。そして、ステップA27に移り、撮影終了操作が行われたかをチェックし、終了操作が行われるまでステップA16に戻る。この場合、天体望遠鏡2側では、撮影対象として選択された天体を追従しながらその方向に鏡筒22を向ける導入動作を継続しているため、撮影終了操作が行われるまで追跡中の天体を撮影することが可能である。ここで、撮影終了操作が行われると(ステップA27でYES)、天体撮影モードが解除されたか否かをチェックし(ステップA28)、天体撮影モードが解除されなければ、図5のステップA1に戻り、以下、上述の動作が繰り返される。
【0044】
図7は、画像再生モードに切り替えられた際に実行開始されるデジタルカメラ1側の動作を示したフローチャートである。
先ず、制御部101は、天体データベースPDBから「天体名」を読み出して天体リスト画面を表示させる(ステップB1)。ここで、ユーザ(撮影者)は、このリスト内容を確認し、この画面内に所望する天体名が含まれていなければ、画面切り替え操作を行う。画面切り替え操作が行われると(ステップB2でYES)、次ぎのリスト画面に切り替え表示させると共に(ステップB3)、再生対象の天体名が選択されたかをチェックし(ステップB4)、再生対象が選択されるまでステップB2に戻る。
【0045】
いま、再生対象が選択されると、その天体名を読み出し(ステップB5)、この天体名に基づいて画像記録用メモリ104を検索し、この天体名に対応する複数枚の撮影画像を読み出すと共に(ステップB6)、この天体名に基づいて天体データベースPDBを検索し(ステップB7)、この天体名に対応して「画像加工種」が設定されているかをチェックする(ステップB8)。ここで、「画像加工種」が設定されていなければ、画像記録用メモリ104から読み出した複数の撮影画像を再生表示させる(ステップB14)。この場合、複数の撮影画像のうち、任意の画像が選択された場合には、この選択画像のみの再生表示が行われる。
【0046】
一方、「画像加工種」が設定されていれば、この加工種を判別し(ステップB9)、色強調処理であれば、ステップB10に移り、例えば、赤系統の星雲の撮影画像には赤強調が施され、また、青系統の星雲の撮影画像には青強調が施される。また、加工種がぼかし処理であれば、例えば、星雲のエッジに“ぼかし”を入れるなどの処理が行われる(ステップB11)。また、加工種がコンポジット処理であれば、複数連続撮影した各撮影画像を重ね合わせながら鮮明な画像を得る処理が行われる(ステップB12)。その他の加工種であれば、ステップB13に移る。
【0047】
この場合、コンポジット処理後の画像に色強調処理を施したり、コンポジット処理後の画像にぼかし処理を施すなど、設定されている加工種に応じた処理が行われる。そして、加工後の画像は再生表示される(ステップB14)。図9は、天体を撮影した画像の再生画面を示した図で、この再生画面には、上述した「天体名」、「赤緯赤経」、「撮影日時」が撮影画像の下側に合成付加される。以下、再生終了操作が行われるまで(ステップB15でYES)、最初のステップB1に戻り、以下、上述の動作が繰り返される。
【0048】
以上のように、この第1実施例における制御部101は、レンズ光軸上に進退可能に設けられた赤外線カットフィルタ120の使用可否を示すフィルタ情報が各天体に対応付けて天体データベースPDBに記憶管理されている状態において、任意の天体が撮影対象として選択されると、この天体に対応するフィルタ情報を読み出し、フィルタ駆動部116を介して赤外線カットフィルタ102をレンズ光軸上に進退させるようにしたから、天体撮影時には任意の天体を撮影対象として選択するだけでよく、ユーザ(撮影者)にあっては赤外線カットフィルタを意識することなく天体撮影が可能となると共に、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることが可能となる。
【0049】
また、画像加工種が各天体に対応付けて天体データベースPDBに記憶管理されている状態において、制御部101は、任意の天体が撮影対象として選択された際に、この選択された天体に対応する画像加工種を読み出してその天体の撮影画像を加工処理するようにしたから、任意の天体を撮影対象として選択するだけで、その天体に適した加工種でその撮影画像を加工することができ、ユーザ(撮影者)にあっては、どのような加工を施すかを意識する必要がなく、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることが可能となる。この場合、画像色を強調する強調処理、エッジ部分のぼかし処理、複数の撮影画像を重ね合わせて処理するコンポジット処理のうち、少なくともその何れかの加工処理を行うことができる。
【0050】
また、天体自動導入機能を駆動制御するための天体導入情報を各天体に対応付けて天体データベースPDBに記憶管理されている状態において、制御部101は、撮影対象として任意に選択された天体に対応する天体導入情報を読み出して天体望遠鏡2に送信するようにしたから、任意の天体を撮影対象として選択するだけで、カメラ1側から天体望遠鏡2の自動導入機能を作動させることが可能となり、自動導入機能を作動させるためにパーソナルコンピュータなどを別途用意する必要もなくなる。
【0051】
この場合、デジタルカメラ1側では、天体導入情報を天体望遠鏡2に対して送信したのち、天体望遠鏡2側において目標天体を視野内に導入した際に、この導入完了に応じて当該視野内を撮影可能としたから、導入完了に伴って天体撮影が可能となり、天体望遠鏡2とデジタルカメラ1との連携が可能となる。この場合、デジタルカメラ1側では、導入完了タイマ(例えば、10秒タイマ)のタイムアップに応じて導入完了を検出するようにしたから、天体望遠鏡2側のアルゴリズムを変更する必要はない。
【0052】
デジタルカメラ1側では、天体名を一覧表示するリスト画面の中から所望する天体名を撮影対象として選択指定するようにしたから、天文に関する専門知識を持たない一般ユーザであっても、天体観測を楽しみながら天体に関する知識を広げることが可能となる。また、天体を撮影した撮影画像を再生出力する際に、天体データベースPDBから天体に関する情報「天体名」、「赤緯赤経」を読み出してその撮影画像内に合成付加して再生表示するようにしたから、天体の撮影画像を見ながらその天体名、天体位置座標などを知ることができる。
(実施例2)
【0053】
以下、この発明の第2実施例について図10及び図11を参照して説明する。
なお、上述した第1実施例においては、任意の天体が撮影対象として選択された際に、この天体に応じて赤外線カットフィルタ102をレンズ光軸上に進退させるようにしたが、この第2実施例においては、可動式フィルタユニット113内に多種フィルタ122を組み込んでおき、この多種フィルタ122のうち、撮影対象として選択された天体に適した光学フィルタを選択してレンズ光軸上にセットさせるようにしたものである。また、上述した第1実施例においては、天体撮影画像の再生時にその天体に適した画像加工処理を行うようにしたが、第2実施例においては、天体撮影時に撮影画像を保存する前にその天体に適した画像加工処理を行うようにしたものである。
ここで、両実施例において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施例の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0054】
図10は、可動式フィルタユニット113に組み込まれている多種フィルタ122を示した図である。
多種フィルタ122は、特性が異なる多種の光学フィルタ(例えば、赤外線カットフィルタ、その他の光害カットフィルタ、特定波長のバンドパスフィルタなど)が円板(回転体)CP内に放射状に埋め込まれたもので、レンズ光軸の近傍に配置されていて、円板CPの回転によってこの光軸上に任意の光学フィルタが合わせ込まれるロータリ式のフィルタ群である。制御部101は、撮影対象として任意の天体が選択指定されている場合に、この天体に適した光学フィルタをレンズ光軸上に位置させるためにフィルタ駆動部116を介して円板CPを回転駆動させる。
【0055】
この円板CP内には、光学フィルタが埋め込まれていない空き領域(フィルタ無し領域)SAが設けられている。ここで、円板CPの基準位置をレンズ光軸上に空き領域SAがセットされている場合とすると、フィルタ位置検出部123は、この基準位置からの円板CPの回転量を検出して制御部101に与える。制御部101は、円板CPの基準位置からの回転量に基づいて現在、どの種類のフィルタがレンズ光軸上に位置しているかを判別するようにしている。
なお、第2実施例における天体データベースPDBは、天体に対応してその天体撮影に適した種類の光学フィルタの種類を示す「フィルタ情報」を記憶管理する構成となっており、この「フィルタ情報」以外の「天体名」、「自動導入情報」、「画像加工種」、‥‥は、上述した第1実施例と同様である。
【0056】
図11は、第2実施例において、天体撮影モードでの一部の動作を示したフローチャートである。
先ず、制御部101は、上述した図5のステップA1〜A11に対応する各処理を順次実行する(ステップC1〜C4)。すなわち、デジタルカメラ1が天体望遠鏡2に装着されている状態において(ステップC1)、天体名リスト画面の中から撮影対象の天体名が任意に選択されると(ステップC2)、天体データベースPDBから対応する「自動導入情報」を取得して天体望遠鏡2に送信すると共に(ステップC3)、導入完了タイマの計時動作をスタートさせる(ステップC4)。
【0057】
次ぎに、制御部101は、フィルタ位置検出部123からの検出信号を参照し、多種フィルタ122を構成する複数のフィルタの中から現在セットされているフィルタの種類を特定する(ステップC5)。この場合、フィルタ位置検出部123は、円板CPの空き領域(フィルタ無し領域)SAがレンズ光軸上にセットされている基準位置からの円板CPの回転量を検出し、制御部101は、円板CPの回転量を参照し、現在、どの種類のフィルタがレンズ光軸上に位置しているかを特定する。
【0058】
これによって特定されたフィルタの種類と天体データベースPDBから取得した「フィルタ情報」に基づいて制御部101は、円板CPを回転させる必要があるか否かをチェックし(ステップC6)、回転させる必要があれば、円板CPの現在位置を基準として、円板CPの回転量を算出し(ステップC7)、この回転量だけ円板CPを回転すべきことをフィルタ駆動部116に対して指示する(ステップC8)。これによってフィルタ駆動部116は、この指示に応答して円板CPを回転駆動させ、今回の天体撮影に適したフィルタをレンズ光軸上にセットさせる。次ぎに、天体望遠鏡2側で導入が完了したか(タイムアップか)をチェックし(ステップC9)、導入完了を検出すると、撮影された画像データを取り込んでモニタ表示させる(ステップC10)。
【0059】
この状態において、シャッタ操作に応答して(ステップC11)、そのときの撮影画像をDRAM103に取り込み(ステップC12)、以下、同一の天体を連続して複数(例えば、5枚分)連続して撮影したか否かをチェックし(ステップC13)、複数の撮影が完了するまでステップC12に戻る。そして、ステップC14に移り、撮影対象の天体名に対応して天体データベースPDBに「画像加工種」が設定されているか否かをチェックし、「画像加工種」が設定されていれば、上述した図7に示した画像加工処理を実行し、(ステップC15)、加工後の画像を画像記録用メモリ104に記憶保存させる(ステップC16)。そして、撮影終了操作が行われたかをチェックし(ステップC17)、終了操作が行われるまでステップC10に戻る。
【0060】
以上のように、この第2実施例における制御部101は、以上のように、各天体に対応付けてその撮影に適した光学フィルタを示すフィルタ情報が天体データベースPDBに記憶管理されている状態において、任意の天体が撮影対象として選択されると、そのフィルタ情報を読み出してフィルタ駆動部116を介して可動式フィルタユニット113を駆動させ、赤外線フィルタ120をレンズ光軸上に対して進退させたり、多種フィルタ122の中から選択したフィルタをレンズ光軸上に移動させるようにしたから、任意の天体を撮影対象として選択するだけで、その天体の撮影に適した光学フィルタを使用することができ、ユーザ(撮影者)にあっては光学フィルタを意識することなく天体撮影が可能となると共に、天体に適した良質な撮影画像を簡単に得ることが可能となる。
【0061】
この場合、多種フィルタ122を放射状に埋め込んだ円板CPをレンズ光軸の近傍に配置し、この円板CPを回転駆動させることによってレンズ光軸上に任意のフィルタを合わせ込むようにしたから、円板CPを回転駆動させるだけで多種フィルタ122の中から任意のフィルタを選択することができ、簡単な構成のフィルタ選択機構を実現することが可能となる。また、天体撮影時に撮影画像を保存する前に画像をその天体に応じて画像を加工するようにしたから、撮影時に良質の画像を得ることができる。
【0062】
なお、上述した各実施例においては、天体名を一覧表示するリスト画面の中から所望する天体名を撮影対象として選択指定するようにしたが、例えば、図12に示すように、星図のグラフィック画面を表示出力させ、このグラフィック画面内の任意の位置をタッチ入力することによって当該タッチ位置の天体を撮影対象として選択するようにしてもよい。この場合、天体観測を楽しみながら天体に関する知識を広げることが可能となる。なお、グラフィック表示内の主要な天体に対応してその名前を付加するようにすれば、より便利なものとなる。
【0063】
上述した各実施例においては、デジタルカメラ1を天体望遠鏡2に取り付けアダプタを介して着脱自在に装着するようにしたが、ケーブルを介して接続したり、近距離の無線通信手段を介して接続するようにしてもよい。
上述した第1実施例においては、撮影画像を再生表示する際に、撮影画像の下側領域内に「天体名」、「赤緯赤経」、「撮影日時」を合成付加して表示するようにしたが、撮影画像の近傍に天体に関する情報を表示するようにしてもよい。
【0064】
上述した各実施例においては、天体自動導入機能を駆動制御する天体導入情報と共に、現在の日時情報をデジタルカメラ1から天体望遠鏡2に送信するようにしたが、天体望遠鏡2側に計時機能が備えられている場合には、現在の日時情報の送信を省略することが可能となる。また、上述した各実施例では、デジタルカメラ1側で導入完了タイマのタイムアップに応じて導入完了を検出するようにしたが、天体望遠鏡2側から導入完了通知をデジタルカメラ1に対して送信するようにしてもよい。
【0065】
その他、撮影装置としてデジタルスチルカメラに適用した場合を示したが、デジタルビデオカメラに適用するようにしてもよく、更に、カメラ機能付きの携帯電話、PDAなどの携帯端末装置に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】天体自動導入機能付きの天体望遠鏡2に撮影装置(デジタルカメラ)1を装着した状態の全体斜視図を示した図。
【図2】デジタルカメラ1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】可動式フィルタユニット113に組み込まれている赤外線フィルタ120をレンズ光軸上に対して進退させる状態を示した図。
【図4】天体データベースPDBの内容を示した図。
【図5】天体撮影モードが選択指定された際に実行開始されるデジタルカメラ1側の動作を示したフローチャート。
【図6】図6に続く、フローチャート。
【図7】画像再生モードに切り替えられた際に実行開始されるデジタルカメラ1側の動作を示したフローチャート。
【図8】撮影対象の天体を選択する天体名リスト画面を具体例に示した図。
【図9】天体を撮影した画像の再生画面を示した図。
【図10】第2実施例において可動式フィルタユニット113に組み込まれている多種フィルタ122を示した図。
【図11】第2実施例において、天体撮影モードでの一部の動作を示したフローチャート。
【図12】この各実施例の変形応用例を示し、撮影対象の天体を選択する際に、星図のグラフィック画面を利用して選択することを示した図。
【符号の説明】
【0067】
1 デジタルカメラ
2 天体望遠鏡
22 鏡筒
24 天体望遠鏡側のコネクタ
101 制御部
102 記憶部
104 画像記録用メモリ
106 キー入力部
107 表示部
108 撮像部
109 外部IF
110 カメラ側のコネクタ
112 レンズユニット
113 可動式フィルタユニット
114 撮像素子
116 フィルタ駆動部
120 赤外線フィルタ
121 フィルタ位置検出部
122、123 多種フィルタ
CP 円板
SA 空き領域(フィルタ無し領域)
PDB 天体データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、
撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた赤外線カットフィルタの使用可否を示すフィルタ情報を各天体に対応付けて記憶管理するフィルタ情報記憶手段と、
任意の天体を撮影対象として選択する天体選択手段と、
この天体選択手段によって選択された天体に対応する前記フィルタ情報に応じて赤外線カットフィルタを撮影レンズ系の光軸上に進退させるフィルタ駆動手段と、
を具備したことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、
各天体に対応付けて天体の撮影に適した光学フィルタを示すフィルタ情報を記憶管理するフィルタ情報記憶手段と、
任意の天体を撮影対象として選択する天体選択手段と、
撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた各種の光学フィルタの中から前記天体選択手段によって選択された天体の撮影に適したフィルタ情報を読み出して当該光学フィルタを撮影レンズ系の光軸上に移動させるフィルタ駆動手段と、
を具備したことを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
前記各種の光学フィルタを放射状に埋め込んだ円板を前記撮影レンズ系の光軸の近傍に配置し、
前記フィルタ駆動手段は、前記円板を回転駆動させることによって前記撮影レンズ系の光軸上に前記円板内の任意の光学フィルタを合わせ込む、
ようにしたことを特徴とする請求項2の撮影装置。
【請求項4】
天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、
天体を撮影した撮影画像を加工するための画像加工種を各天体に対応付けて記憶管理する加工種記憶手段と、
任意の天体を撮影対象として選択する天体選択手段と、
この天体選択手段によって選択された天体に対応する前記画像加工種を読み出してその天体の撮影画像を加工処理する加工手段と、
を具備したことを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
前記加工手段は、画像色を強調する強調処理、エッジ部分のぼかし処理、複数の撮影画像を重ね合わせて処理するコンポジット処理のうち、少なくともその何れかの加工処理を実行する、
ようにしたことを特徴とする請求項4の撮影装置。
【請求項6】
目標とする天体方向に鏡筒を向けることによって当該天体を視野内に導入する天体自動導入機能付きの天体望遠鏡に対して着脱自在に装着可能な撮影装置であって、
前記天体自動導入機能を駆動制御するための天体導入情報を各天体に対応付けて記憶管理する天体導入情報記憶手段と、
前記天体選択手段によって選択された天体に対応する前記天体導入情報を読み出して天体望遠鏡に送信する送信手段と、
を設けたことを特徴とする請求項1、2、4のうちその何れか記載の撮影装置。
【請求項7】
前記天体導入情報を天体望遠鏡に対して送信したのち、天体望遠鏡側において目標天体に鏡筒を向けてその天体が視野内に導入された際の導入完了に応じて当該視野内を撮影可能とする、
ようにしたことを特徴とする請求項6の撮影装置。
【請求項8】
前記天体選択手段は、天体名を一覧表示するリスト画面の中から所望する天体名を撮影対象として選択指定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1、2、4のうちその何れか記載の撮影装置。
【請求項9】
前記天体選択手段は、星図のグラフィック表示画面の中から任意の位置の天体を撮影対象として選択指定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1、2、4のうちその何れか記載の撮影装置。
【請求項10】
天体に関する天体情報を記憶管理する天体情報記憶手段を設け、
天体を撮影した撮影画像を再生出力する際に、前記天体情報記憶手段から当該天体情報を読み出してその撮影画像に対応付けて出力する、
ようにしたことを特徴とする請求項1、2、4のうちその何れか記載の撮影装置。
【請求項11】
コンピュータに対して、
撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた赤外線カットフィルタの使用可否を示すフィルタ情報を各天体に対応付けて記憶管理する機能と、
任意の天体を撮影対象として選択する機能と、
選択された天体に対応する前記フィルタ情報に応じて赤外線カットフィルタを撮影レンズ系の光軸上に進退させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項12】
コンピュータに対して、
各天体に対応付けて天体の撮影に適した光学フィルタを示すフィルタ情報を記憶管理する機能と、
任意の天体を撮影対象として選択する機能と、
撮影レンズ系の光軸上に進退可能に設けられた各種の光学フィルタの中から前記選択された天体の撮影に適したフィルタ情報を読み出して当該光学フィルタを撮影レンズ系の光軸上に移動させる機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータに対して、
天体を撮影した撮影画像を加工するための画像加工種を各天体に対応付けて記憶管理する機能と、
任意の天体を撮影対象として選択する機能と、
選択された天体に対応する前記画像加工種を読み出してその天体の撮影画像を加工処理する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−132964(P2007−132964A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−322991(P2005−322991)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】