説明

撮影装置

【課題】操作性の良い撮影装置を提供すること。
【解決手段】筐体と、前記筐体の第1の側面に設けられ、レンズの取り付けが可能なレンズ取り付け部と、前記レンズ取り付け部への前記レンズの取り付け位置に対応した指標とを備え、前記指標は、前記筐体の前記第1の側面とは反対側の第2の側面に表されていることを特徴とする撮影装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ交換が可能なマウントを備えた撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ本体への撮影レンズの取り付けは、一方の手で撮影レンズを持ち、他方の手でカメラ本体を持ち、撮影レンズをカメラ本体の正面側に配置し、撮影レンズ側の着脱指標をカメラ本体側の着脱指標の位置に目視にて合わせ、撮影レンズ側のマウントとカメラ本体側のマウントとを係合させることによって行っている。カメラ本体側の着脱指標は、カメラ本体の正面のマウント近傍に設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−20384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラ本体側の着脱指標はカメラ本体の正面に設けられているため、撮影レンズ側の着脱指標をカメラ本体側の着脱指標の位置に合わせるには、一方の手で持った撮影レンズを他方の手で持ったカメラ本体の正面に配置した状態で、撮影レンズ側の着脱指標とカメラ本体側の着脱指標の双方を目視するためにカメラ本体の正面側を覗き込むように見なければならず、見にくいといったことがある。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、操作性の良い撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施の形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。すなわち、請求項1の発明は、筐体(4)と、前記筐体の第1の側面(7)に設けられ、レンズ(10)の取り付けが可能なレンズ取り付け部(13)と、前記レンズ取り付け部への前記レンズの取り付け位置に対応した指標(40a、40b、52、64、70)とを備え、前記指標は、前記筐体の前記第1の側面とは反対側の第2の側面(34)に表されていることを特徴とする撮影装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載された撮影装置であって、前記指標は所定の方向を示す線状の形状で表されていることを特徴とする撮影装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の撮影装置であって、前記第2の側面に画像を表示するための表示部(37)を備え、前記指標(40a、40b、52)は前記表示部の外側に表されていることを特徴とする撮影装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の撮影装置であって、前記第2の側面に画像を表示するための表示部(37)を備え、前記指標(64、70)は前記表示部に表示されたものであることを特徴とする撮影装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載された撮影装置であって、前記筐体の姿勢を検知する検知手段(58、61)と、前記検知手段が検知した前記筐体の姿勢情報を記憶する記憶部(62)と、前記レンズ取り付け部から前記レンズが取り外された時に前記記憶部が記憶した前記レンズが取り外された時の前記筐体の姿勢情報を、その後の前記筐体の姿勢変化に応じて修正し、該修正した姿勢情報に基づいて前記指標(70)を前記表示部に表示する制御部(55)とを備えたことを特徴とする撮影装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作性の良い撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、第1実施形態に係る撮影装置のボディ部の正面図であり、(b)は、撮影レンズの後方からの斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るカメラの背面図である。
【図3】レンズとカメラのボディ部との取り付け方法を示す図である。
【図4】第2実施形態に係るカメラの背面図である。
【図5】(a)は従来のカメラの主要な構成を示すブロック図であり、(b)は、第3実施形態に係るカメラの主要な構成を示すブロック図である。
【図6】第3実施形態に係るカメラの背面図である。
【図7】レンズが三脚に取り付けられている状態を示す図である。
【図8】第3実施形態において、レンズとカメラのボディ部との取り付け方法を示す図である。
【図9】第3実施形態の変形例に係る撮影装置のLCD表示部の表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書では、カメラ本体の方向については、撮影レンズを取り付ける側の面を正面とし、正面と反対側の面を背面とする。また、前後方向、左右方向、および上下方向は、原則として撮影者が通常にカメラを水平に構えた状態において、撮影者から見た方向についていう。
【0014】
図1(a)は、第1実施形態に係る撮影装置のボディ部の正面図であり、図1(b)は、撮影レンズの後方からの斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る撮影装置は、撮影レンズの交換が可能なデジタルカメラ(以下、カメラと略記する)101である。カメラ101は、筐体であるボディ部4を本体とし、ボディ部4の正面7には撮影レンズ10を取り付けるためのマウント13が設けられている。マウント13の中心軸は、撮影レンズ10に備えられた光学系25の光軸Lと一致している。
【0016】
ボディ部4の正面7にはレンズ着脱指標16が設けられている。レンズ着脱指標16は、撮影レンズ10をボディ部4に取り付ける際、ボディ部4側のマウント13における撮影レンズ10の取り付け位置を示す目印である。レンズ着脱指標16は、水平状態のボディ部4を正面7側から見てマウント13の右上の位置に設けられている。詳しく説明するとレンズ着脱指標16は次の位置に設けられている。すなわち、通常にカメラ101を水平に構えた状態のボディ部4を正面7側から見て、マウント13の中心である光軸Lを垂直方向に通る軸をvとし、光軸Lを回転中心として軸vを光軸Lの周方向に時計周りに角度a回転させた状態の軸v´上であって、マウント13の外周よりも外側に設けられている。なお、レンズ着脱指標16はボディ部4に形成された凹部または凸部にボディ部4の色とは異なる着色を施したものであっても良いし、ボディ部4の表面に印刷によって表されたものであっても良い。また、レンズ着脱指標16は、後述する各実施形態および変形例においても同様の構成であり、同様の位置に形成されている。
【0017】
撮影レンズ(以下、単に「レンズ」と略記する)10は、図1(b)に示すように、鏡筒22と、鏡筒22の内部に配置された光学系25とを含む。鏡筒22の一方側の端部にはマウント28が形成されている。マウント28の外周面には着脱指標31が設けられている。着脱指標31は、レンズ10をボディ部4に取り付ける際に、ボディ部4側のマウント13におけるレンズ10の取り付け位置にレンズ10自体の位置を合わせるための目印である。なお、着脱指標31はマウント28に形成された凹部にマウント28の色とは異なる色で着色を施したものであっても良いし、マウント28の表面に印刷等によって表されたものであっても良い。ボディ部4へのレンズ10の取り付けは、ボディ部4側のレンズ着脱指標16の位置にレンズ10側の着脱指標31を合わせて、レンズ10側のマウント28とボディ部4側のマウント13とを係合させることによってなされる。
【0018】
図2は、第1実施形態に係るカメラ101の背面図である。
【0019】
カメラ101のボディ部4の背面34には、撮影画像を表示するためのLCD表示部37が設けられている。LCD表示部37は長方形であり、背面34の中央部に設けられている。また、ボディ部4の背面34には一対の指標40a、40bが表示されている。一対の指標40a、40bはLCD表示部37の外縁よりも外側であって、LCD表示部37の一つの対角線の両端近傍に一つずつ表示されている。本実施形態では、図2に示すように、LCD表示部37の左上側に指標40aが表示され、右下側に指標40bが表示されている。本実施形態では一対の指標40a、40bはボディ部4の背面34に印刷によって表されているが、ボディ部4に形成された凹部または凸部にボディ部4の色とは異なる着色を施したものであっても良い。一対の指標40a、40bは、それぞれが短い直線状に形成され、指標40aと40bとを結ぶと一本の直線になる。つまり指標40aと40bとは一本の直線に沿って形成されている。一対の指標40a、40bを結ぶ直線は、上記に述べた軸v´と一致している。詳しく説明すると、通常に水平に構えた状態のカメラ101を後方側から見て、上記に述べた軸vを垂直状態からマウント13の中心、すなわち光軸Lを回転中心として、光軸Lの周方向に反時計周りに角度b回転させた状態の軸v´と一致している。ここで角度bは角度aと同じ角度である。
【0020】
このような構成なので、後方側からボディ部4の背面34を見ると、一対の指標40a、40bを結ぶ直線はボディ部4の正面7側のレンズ着脱指標16が位置している方向を示し、当該直線上にレンズ着脱指標16が対応して位置している。したがって、背面34側の一対の指標40a、40bを見れば、ボディ部4の正面7側のレンズ着脱指標16が設けられている方向および角度位置がわかる。レンズ着脱指標16の角度位置がわかれば、ボディ部4の正面7を覗き込んでレンズ着脱指標16を確認しなくても、背面34側からレンズ10の取り付け位置を確認することができる。なお、一対の指標40a、40bはそれぞれが直線状の形状なので、右下側の指標40bを表示せずに左上側の指標40aだけでもレンズ着脱指標16の方向および角度位置はわかるが、本実施形態のように右下側の指標40bも表示されている方がよりわかり易い。
【0021】
図3は、レンズ10とカメラ101のボディ部4との取り付け方法を示す図である。
【0022】
撮影者は一方の手43でレンズ10を持ち、他方の手46でボディ部4を持ち、他方の手46で持ったボディ部4の後方側からボディ部4の背面34に設けられた一対の指標40a、40bとレンズ10側の着脱指標31の位置とを目視する。そして一対の指標40a、40bを結ぶ直線上にレンズ10側の着脱指標31が位置するように、レンズ10またはボディ部4を光軸Lの周方向に回転させる。一対の指標40a、40bを結ぶ直線上にレンズ10側の着脱指標31が位置したら、レンズ10とボディ部4との相互の角度位置を保ったままレンズ10側のマウント28とボディ部4側のマウント13とを係合させる。
【0023】
なお、一対の指標40a、40bを結ぶ直線が水平となるようにボディ部4を傾けて持てば、より容易に一対の指標40a、40bを結ぶ直線上にレンズ10側の着脱指標31を位置させることができる。具体的には、指標40aを左方側に、指標40bを右方側に位置させて、一対の指標40a、40bを結ぶ直線が水平となるようにボディ部4を傾けて持つ。そしてレンズ10側のマウント28をボディ部4のマウント13に対向するように位置させた状態で、レンズ10側の着脱指標31が光軸Lの左側となるようにレンズ10を光軸Lの周方向に回転させる。レンズ10側の着脱指標31が光軸Lの左側に位置したら、レンズ10とボディ部4との相互の角度位置を保ったままレンズ10側のマウント28とボディ部4側のマウント13とを係合させる。
【0024】
あるいは、指標40aを上方側に、指標40bを下方側に位置させて、一対の指標40a、40bを結ぶ直線が垂直となるようにボディ部4を傾けて持っても良い。この場合は、レンズ10側のマウント28をボディ部4のマウント13に対向するように位置させた状態で、レンズ10側の着脱指標31が光軸Lの上側となるようにレンズ10を光軸Lの周方向に回転させれば良い。
【0025】
このように、本実施形態によれば、レンズ10をボディ部4に取り付ける際、レンズ10をボディ部4の正面7に位置させた状態で、ボディ部4の正面7側を覗き込まなくても、ボディ部4の背面34側からボディ部4側のマウント13へのレンズ10の取り付け位置を確認することができる。
【0026】
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態と異なる構成を中心に説明し、同様の構成については同じ符号を用いて説明する。
【0027】
図4は、第2実施形態に係るカメラ201の背面図である。図4に示すように、本実施形態に係るカメラ201は、背面34側から見てボディ部4の左下の角部を斜めに切り欠いた形状になっている。切り欠いた形状の切り口には傾斜面49が形成されている。傾斜面49の背面34側の辺52は、ボディ部4の正面7側のレンズ着脱指標16とマウント13の中心、すなわち光軸Lとを結ぶ直線と平行になるように形成されている。ボディ部4の切り欠いた部分の形状をこのように形成することにより、傾斜面49の背面34側の辺52を平行移動したとすると、辺52が光軸Lを通る位置において、辺52の延長線上に正面7側のレンズ着脱指標16が対応して位置することとなる。したがって、撮影者は傾斜面49の背面34側の辺52から、ボディ部4の正面7のレンズ着脱指標16が設けられている方向および角度位置がわかる。すなわち、ボディ部4を背面34側から見て、LCD表示部37の左上部近傍の対応した位置にレンズ着脱指標16が位置しているとわかる。
【0028】
本実施形態においては、レンズ10の取り付けの際は、傾斜面49の辺52が水平となるようにボディ部4を傾けて持つとレンズ10の取り付け位置がわかり易い。具体的には、辺52が下方側で水平となるようにボディ部4を傾けて持つ。そしてレンズ10側のマウント28をボディ部4のマウント13に対向するように位置させた状態で、レンズ10側の着脱指標31が光軸Lの左側となるようにレンズ10を光軸Lの周方向に回転させる。レンズ10側の着脱指標31が光軸Lの左側に位置したら、レンズ10とボディ部4との相互の角度位置を保ったままレンズ10側のマウント28とボディ部4側のマウント13とを係合させる。
【0029】
あるいは、辺52が左方側で垂直となるようにボディ部4を傾けて持っても良い。この場合は、レンズ10側のマウント28をボディ部4のマウント13に対向するように位置させた状態で、レンズ10側の着脱指標31が光軸Lの上側となるようにレンズ10を光軸Lの周方向に回転させれば良い。
【0030】
このように、本実施形態においても、レンズ10をボディ部4の正面7に位置させた状態で、ボディ部4の正面7を覗き込んで正面7のレンズ着脱指標16を確認しなくても、ボディ部4の背面34側からボディ部4側のマウント13へのレンズ10の取り付け位置を確認することができる。
【0031】
以上説明した第1および第2実施形態は、背面34にLCD表示部37を有するカメラ101、201を例として説明したが、LCD表示部37を有していないカメラに適用しても同様の効果を発揮する。
【0032】
次に第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1および第2実施形態と同様の構成については、同じ符号を用いて説明する。
【0033】
図5(a)は従来のカメラの主要な構成を示すブロック図であり、図5(b)は第3実施形態に係るカメラ301の主要な構成を示すブロック図である。図6は、第3実施形態に係るカメラ301の背面図である。
【0034】
図5(b)に示すように、第3実施形態のカメラ301は、従来(図5(a)参照)と同様にCPU55およびLCD表示部37を備え、さらに加速度センサ58と磁界方位センサ61とを備えている。加速度センサ58および磁界方位センサ61はボディ部4の姿勢を検出するために備えられている。また、カメラ301は、加速度センサ58および磁界方位センサ61からのデータを記憶する記憶部62を備えている。加速度センサ58および磁界方位センサ61は、それぞれCPU55に接続されている。
【0035】
加速度センサ58は静的加速度を検出することができるタイプのものであり、CPU55は検出された静的加速度から、水平方向を向いた光軸Lに対するボディ部4の光軸L周り方向の傾き方向および傾き角を検出する。つまり、光軸Lが水平となるように撮影者が通常にカメラ301を構えた状態におけるボディ部4の姿勢に対し、ボディ部4が光軸Lを中心軸として水平に対してどの方向にどれだけ回転している状態なのか、その回転方向および回転角を算出する。
【0036】
一方、磁界方位センサ61は地磁気の磁界の方向を検出し、CPU55は検出された磁界の方向から、垂直方向を向いた光軸Lに対するボディ部4の光軸L周り方向の傾き方向および傾き角を算出する。つまり、撮影者が通常にカメラ301を水平に構えた状態から、光軸Lが垂直となるようにカメラ301を真下(または真上)方向を向けた状態において、ボディ部4が光軸Lを中心軸としてどの方向にどれだけ回転している状態なのか、その方位および方位角を算出する。このように、加速度センサ58および磁界方位センサ61によって、水平方向あるいは垂直方向を向いた光軸Lに対する光軸L周り方向のボディ部4の傾き、すなわち姿勢を検出している。
【0037】
本実施形態に係るカメラ301は、図6に示すように、背面34のLCD表示部37に指標64および指標70の2つの指標が表示される。第1の指標64は矢印であり、矢印の向きは固定されて表示されている。矢印の軸67は光軸Lを始点として光軸Lと直角に交差する方向に伸びて表示され、第1実施形態で述べた軸v´と一致している。つまり、カメラ301を後方側から見て、光軸Lを垂直方向に通る軸を軸vとし、軸vを垂直状態からマウント13の中心、すなわち光軸Lを回転中心として光軸Lの周方向に反時計周りに角度b回転させた状態の軸v´と一致している。ここで角度bは第1実施形態で述べた角度aと同じ角度である。
【0038】
このような構成なので、第1の指標64の矢印が指示している方向がボディ部4の正面7のレンズ着脱指標16が設けられた方向となる。すなわち、後方側からボディ部4の背面34を見て、第1の指標64の矢印が指示する方向に当該矢印を延長すると、その延長線上に正面7側のレンズ着脱指標16が対応して位置することとなる。したがって、背面34側の第1の指標64を見れば、ボディ部4の正面7側のレンズ着脱指標16が設けられている方向および角度位置がわかる。
【0039】
本実施形態においては、LCD表示部37にはさらに、第2の指標70が表示される。第2の指標70は、レンズ10をマウント13から取り外したときにボディ部4の正面7のレンズ着脱指標16が位置していた方向を指示している。第2の指標70も矢印であり、矢印の軸73は光軸Lを始点として光軸Lと直角に交差する方向に伸びて表示されている。以下、第2の指標70の表示について詳しく説明する。
【0040】
本実施形態では、CPU55は、ボディ部4がどのような姿勢であっても、正面7側のレンズ着脱指標16がどの方向に位置しているのかを把握している。記憶部62にはレンズ着脱指標16の位置を算出するための基準となる角度が予め記憶されており、ボディ部4の姿勢が変化すると、CPU55は、レンズ着脱指標16の当該基準となる角度と、加速度センサ58および磁界方位センサ61が検知するボディ部4の姿勢とに基づいて、変化後の姿勢におけるレンズ着脱指標16の位置を算出する。
【0041】
レンズ着脱指標16の基準となる角度は次の2つの角度である。1つは、光軸Lが水平となるように撮影者が通常にカメラ301を水平に構えた状態でのボディ部4の姿勢において、光軸Lとレンズ着脱指標16とを結ぶ直線の水平に対する角度である。もう1つは、撮影者が真北を向き、通常にカメラ301を水平に構えた状態から、光軸Lが垂直となるようにカメラ301を真下(または真上)方向を向けた状態でのボディ部4の姿勢において、光軸Lを中心とする北に対する方位角である。CPUはこれらの角度を基準にして、レンズ着脱指標16の現在の角度位置を把握している。なお、以後の説明においては、記憶部62に予め記憶されたこれらのレンズ着脱指標16の基準となる角度のことを、「基準角度」と略記する。
【0042】
ボディ部4のマウント13からレンズ10を取り外すと、ボディ部4およびレンズ10の図示しない接点どうしの接触が解かれ、このときの信号によりCPU55はレンズ10がボディ部4から取り外されたことを検知する。このとき、ボディ部4に内蔵された加速度センサ58および磁界方位センサ61によって、レンズ10が取り外されたときのボディ部4の姿勢が検出される。つまり、光軸Lが水平となるようにしたボディ部4の状態に対し、ボディ部4が光軸Lを中心軸としてどの方向にどれだけ回転している状態なのか、あるいは光軸Lが垂直となるようにしたボディ部4の状態に対し、ボディ部4が光軸Lを中心軸としてどの方向にどれだけ回転している状態なのかを検出する。検出されたデータは、レンズ10の取り外し時におけるボディ部4の姿勢データとして記憶部62に記憶される。このときのボディ部4の姿勢を基準姿勢とする。CPU55は、記憶部62に記憶された基準姿勢の姿勢データと基準角度とに基づき、レンズ10が取り外されたときのレンズ着脱指標16の角度位置を算出し、算出された角度位置を示す第2の指標70を、LCD表示部37に表示する。また、CPU55は、第1の指標64も同時に表示する。
【0043】
レンズ10をボディ部4のマウント13から取り外した後にボディ部4の姿勢が変化すると、加速度センサ58および磁界方位センサ61によって、変化後の姿勢の姿勢データが検出される。CPU55は、記憶部62に記憶された基準姿勢の姿勢データを変化後の姿勢の姿勢データに修正して変化後の姿勢データとする。そして変化後の姿勢データと基準角度と元の基準姿勢の姿勢データとに基づいて、第2の指標70の表示を変化させる。すなわち、レンズ10が取り外されたときのレンズ着脱指標16の角度位置を示すように、第2の指標70の表示を修正する。第2の指標70の表示は、ボディ部4の姿勢の変化に対応して、光軸Lを中心にLCD表示部37の画面の中を回転するように表示位置が変化することで修正される。このときのLCD表示部37を撮影者から見ると、ボディ部4の姿勢の変化に伴ってLCD表示部37の画面は回転するが、画面に表示された第2の指標70は動かない。すなわち撮影者から見て同じ方向を指示したままである。つまり、第2の指標70の表示位置はボディ部4の姿勢の変化に対応してLCD表示部37の画面中において変化するが、実際に第2の指標70が指示する方向は変化しない。
【0044】
ボディ部4の姿勢がさらに変化すると、さらに変化した後の姿勢の姿勢データが検出され、CPU55は上記変化後の姿勢データをさらに変化した後の姿勢の姿勢データに修正する。そして、当該さらに変化した後の姿勢の姿勢データと基準角度と元の基準姿勢の姿勢データとに基づいて、第2の指標70の表示をさらに変化させる。このときも上記と同様に、第2の指標70は同じ方向を指示したままである。
【0045】
このように、第2の指標70は、レンズ10をボディ部4のマウント13から取り外した状態において、ボディ部4が水平方向および垂直方向に対してどの方向に傾いていても、レンズ10をマウント13から取り外したときにレンズ着脱指標16が位置していた方向を指示している。つまり、ボディ部4の姿勢が変化しても、撮影者から見て常に同じ方向を指示するように、ボディ部4の姿勢の変化に対応して、光軸Lを回転中心としてLCD表示部37の中を回転して表示される。
【0046】
以下に、レンズ10を取り外すときに、光軸Lが水平方向を向いている場合と垂直方向を向いている場合とについて、具体例を示して説明する。まず、光軸Lが水平方向を向いている場合について説明する。
【0047】
図7は、レンズ10が三脚76に取り付けられている状態を示す図である。
【0048】
図7に示すように、光軸Lが水平方向を向いている姿勢でカメラ301のボディ部4からレンズ10を取り外す場合は、レンズ10を取り外したときのボディ部4が、水平方向の光軸Lに対して光軸Lを中心軸としてどの方向にどれだけ回転しているのか、回転方向および回転量が加速度センサ58によって検出される。検出されたデータはレンズ10取り外し時の基準姿勢の姿勢データとして記憶部62に記憶される。CPU55は、記憶された基準姿勢の姿勢データと基準角度とに基づいて第2の指標70を表示する。この段階で、第2の指標70と、ボディ部4の正面7側のレンズ着脱指標16の角度位置を示す第1の指標64とは、同じ方向を指示している。すなわち、2つの矢印は重なっている。その後ボディ部4を光軸L周りに回転させると、加速度センサ58は変化後の姿勢の姿勢データを検出する。CPU55は、記憶部62に記憶された基準姿勢の姿勢データを変化後の姿勢データに修正する。そして変化後の姿勢データと基準角度と基準姿勢の姿勢データとに基づいて、第2の指標70の表示を変化させる。すなわち、レンズ10が取り外されたときのレンズ着脱指標16の角度位置を示すように第2の指標70の表示を修正する。こうして、LCD表示部37に表示された第2の指標70は、ボディ部4を光軸L周りに回転させても、撮影者から見ると常に同じ方向を指示することとなる。
【0049】
図8は、第3実施形態において、レンズ10とカメラ301のボディ部4との取り付け方法を示す図である。ボディ部4のマウント13にレンズ10を取り付ける時は、図8に示すように、LCD表示部37に表示された第1の指標64の矢印と第2の指標70の矢印とを目視し、これら2つの矢印を一致させるようにボディ部4もしくはレンズ10を光軸L周りに回転させる。第1の指標64の矢印と第2の指標70の矢印とが一致して重なったら、レンズ10とボディ部4との相互の角度位置関係を保ったまま、レンズ10側のマウント28とボディ側4のマウント13とを係合させる。
【0050】
次に、光軸Lが垂直方向を向いている場合について説明する。レンズ10を地面や床に垂直に置いている状態のように、光軸Lが垂直方向を向いている姿勢でカメラ301のボディ部4からレンズ10を取り外す場合は、レンズ10を取り外したときのボディ部4が、垂直方向の光軸Lに対して光軸Lを中心軸としてどの方向にどれだけ回転しているのか、方位および方位角が磁界方位センサ61によって検出される。検出されたデータは、レンズ10取り外し時の基準姿勢の姿勢データとして記憶部62に記憶される。CPU55は、記憶された基準姿勢の姿勢データと基準角度とに基づいて第2の指標70を表示する。この段階で、第2の指標70と、ボディ部4の正面7側のレンズ着脱指標16の位置を示す第1の指標64とは、同じ方向を指示している。すなわち、2つの矢印は重なっている。その後ボディ部4を光軸L周りに回転させると、磁界方位センサ61は変化後の姿勢の姿勢データを検出する。CPU55は、記憶部62に記憶された基準姿勢の姿勢データを変化後の姿勢データに修正する。そして変化後の姿勢データと基準角度と基準姿勢の姿勢データとに基づいて、第2の指標70の表示を変化させる。すなわち、レンズ10が取り外されたときのレンズ着脱指標16の角度位置を示すように第2の指標70の表示を修正する。こうして、LCD表示部37に表示された第2の指標70は、ボディ部4を光軸L周りに回転させても、撮影者から見ると常に同じ方向を指示することとなる。
【0051】
ボディ部4側のマウント13にレンズ10を取り付ける時は、光軸Lが水平方向を向いている場合と同様に、LCD表示部37に表示された第1の指標64の矢印と第2の指標70の矢印とを目視し、これら2つの矢印を一致させるようにボディ部4もしくはレンズ10を光軸L周りに回転させる。第1の指標64の矢印と第2の指標70の矢印とが一致して重なったら、レンズ10とボディ部4との相互の角度位置関係を保ったまま、レンズ10側のマウント28とボディ部4側のマウント13とを係合させる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、レンズ10をボディ部4の前に位置させた状態で、ボディ部4の正面7を覗き込まなくても背面34側のLCD表示部37の表示によりレンズ10の取り付け位置を確認することができ、ボディ部4にレンズ10を取り付けることができる。特に本実施形態は、レンズ10が取り外されたときのレンズ着脱指標16の角度位置を第2の指標70が常に示しているので、光軸Lが水平方向または垂直方向になるように固定した大型のレンズ10をボディ部4に取り付ける場合等に効果を発揮する。
【0053】
なお、本実施形態においては、第1の指標64および第2の指標70は、レンズ10がボディ部4のマウント13に取り付けられていない状態で、且つカメラ301の電源がオンの状態のときにLCD表示部37に表示されるようになっている。これについては、LCD表示部37に第1の指標64と第2の指標70だけを表示させるためのスイッチ77を別途設けても良い(図8参照)。この場合、当該スイッチ77は、撮影者が手でボディ部4を持った状態で、親指または人差し指で操作できる位置に設けると操作し易い構成となる。また、第1の指標64と第2の指標70とは同色で表示しても良いが、異なる色で表示させるとよりわかり易い表示となる。
【0054】
次に、第3実施形態の変形例を説明する。第3実施形態の変形例は、LCD表示部37に表示される指標の表示形態が異なっている。
【0055】
図9は、第3実施形態の変形例に係るカメラ401のLCD表示部37の表示を示す図である。図9に示すように、本変形例においては、LCD表示部37には矢印79と、円82と、円82の円周上の点85とが表示されている。矢印79は、第3実施形態における第1の指標64と同様に、ボディ部4の正面7のレンズ着脱指標16の位置を示している。円82はレンズ10の外周の形状を模式的に示し、円周上の点85はレンズ10の取り外し時のレンズ着脱指標16の位置を示している。当該点85の表示は、ボディ部4の姿勢を変化させても、円82の円周上を移動して、上記第3実施形態における第2の指標70と同様に、撮影者から見ると常に同じ方向に位置している。LCD表示部37の表示をこのような形態としても上記第3実施形態と同様の効果を発揮する。
【0056】
以上で実施形態および変形例についての説明を終わるが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されず適宜変形が可能である。
【符号の説明】
【0057】
4 ボディ部
7 (ボディ部の)正面
10 レンズ
13 (カメラ側)マウント
16 レンズ着脱指標
22 鏡筒
25 光学系
28 (レンズ側)マウント
31 着脱指標
34 (ボディ部の)背面
37 LCD表示部
40a、40b 指標
49 傾斜面
52 辺
55 CPU
58 加速度センサ
61 磁界方位センサ
62 記憶部
64 第1の指標
70 第2の指標
79 矢印
82 円
85 点
101、201、301、401 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の第1の側面に設けられ、レンズの取り付けが可能なレンズ取り付け部と、
前記レンズ取り付け部への前記レンズの取り付け位置に対応した指標とを備え、
前記指標は、前記筐体の前記第1の側面とは反対側の第2の側面に表されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置であって、
前記指標は所定の方向を示す線状の形状で表されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮影装置であって、
前記第2の側面に画像を表示するための表示部を備え、前記指標は前記表示部の外側に表されていることを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の撮影装置であって、
前記第2の側面に画像を表示するための表示部を備え、前記指標は前記表示部に表示されたものであることを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮影装置であって、
前記筐体の姿勢を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した前記筐体の姿勢情報を記憶する記憶部と、
前記レンズ取り付け部から前記レンズが取り外された時に前記記憶部が記憶した前記レンズが取り外された時の前記筐体の姿勢情報を、その後の前記筐体の姿勢変化に応じて修正し、該修正した姿勢情報に基づいて前記指標を前記表示部に表示する制御部とを備えたことを特徴とする撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−165183(P2012−165183A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23980(P2011−23980)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】