撹拌翼及び密閉式撹拌装置
【課題】医薬品、食料品の分野の撹拌を行なうための撹拌翼及び撹拌装置において、撹拌液に対して強い剪断力を与えることがなく、撹拌液が汚染される心配がなく、且つ撹拌液の流動、混合、分散均一化が充分に行なわれるような撹拌翼及び撹拌装置を提供する。
【解決手段】上下動可能なダイアフラム3を撹拌槽2の上面部を気密に覆うように設け、該ダイアフラム3を貫通する駆動軸4を該ダイアフラム3に固定して垂設し、該駆動軸4の下端部に直交するように連結固定した撹拌翼5は、その中心を通る長径線5aと短径線5bを有する横長な楕円形状の板状体からなり、該撹拌翼5を上下動させて撹拌を行なう。
【解決手段】上下動可能なダイアフラム3を撹拌槽2の上面部を気密に覆うように設け、該ダイアフラム3を貫通する駆動軸4を該ダイアフラム3に固定して垂設し、該駆動軸4の下端部に直交するように連結固定した撹拌翼5は、その中心を通る長径線5aと短径線5bを有する横長な楕円形状の板状体からなり、該撹拌翼5を上下動させて撹拌を行なう。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬用の培養液などの撹拌に最適な撹拌翼及びその撹拌翼を用いた撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撹拌翼及び撹拌装置は、モータの回転により撹拌翼を回転させて液流を発生させたり、又は大ストロークで円板翼を上下動させて撹拌を行なっていた。
【0003】
しかし、医薬分野における培養液等においては、回転式撹拌は菌体にダメージを与えるので好ましくなく、また、培養液のコンタミネーション(汚染)の問題から、回転摺動部を有する撹拌装置は好ましくないという問題点があった。
【0004】
出願人は先に、撹拌する液体やその蒸気が撹拌槽から漏れるのや外部からの異物の進入を防止する目的で、撹拌翼を上下動させて撹拌を行なうようにした密閉式撹拌装置の発明を行なった(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4316251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1の密閉式撹拌装置は、撹拌翼の上下往復動によって撹拌槽内において良好な旋回流を形成するが、上下方向の流動が完全ではなかった。
【0007】
又、大ストロークで円板翼を上下させて撹拌を行なう従来の撹拌翼は、強制混合が促進されるが、作動面や構造面(シール部の構造)に問題があった。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解消し、撹拌槽内の撹拌液に対して強い剪断作用を与えることがなく、撹拌液の上下方向の流動が完全となって撹拌液の混合、分散均一化が十分に行なわれ、且つ撹拌液が汚染されないような構造の、主として医薬品、食料品分野の撹拌に好適な撹拌翼及び該撹拌翼を用いた撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成すべく、撹拌翼としては上下往復動する駆動軸の下端面部に直交するように連結固定する翼体は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体とし、又、撹拌装置としては上下動可能なダイアフラム又はベローズを撹拌槽の上面部に該上面部を気密に覆うように設け、該ダイアフラム又は該ベローズを貫通する駆動軸を該ダイアフラム又はベローズに固定して垂設し、該駆動軸の下端部に直交するように連結固定する撹拌翼は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体からなり、該撹拌翼を上下動させて前記撹拌槽内を撹拌するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低剪断作用にて対象液体の撹拌混合と分散均一化を十分に行うことができ、しかも撹拌液が汚染されないような完全密閉構造が可能な、医薬用分野や食品用分野などでの使用に最適な撹拌翼及び撹拌装置を提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1の密閉式撹拌装置の縦断面図である。
【図2】同上撹拌装置の撹拌翼の平面図である。
【図3】同上撹拌装置の撹拌翼の他の例の平面図である。
【図4】従来の円板型撹拌翼を用いた上下振動撹拌のフローパターンを示す説明図である。
【図5】図4のA−A線截断面図である。
【図6】本発明の実施例1の上下振動撹拌のフローパターンを示す説明図である。
【図7】図6のB−B線截断面図である。
【図8】本発明の実施例2の撹拌翼の平面図である。
【図9】前記実施例2の撹拌翼の図8におけるX方向矢視図である。
【図10】前記実施例2の撹拌翼の図8におけるY方向矢視図である。
【図11】前記実施例2の撹拌翼を用いた上下振動撹拌のフローパターンを示す説明図である。
【図12】本発明の実施例3の撹拌翼の平面図である。
【図13】前記実施例3の撹拌翼の図12におけるP方向矢視図である。
【図14】前記実施例3の撹拌翼の図12におけるQ方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を図1乃至図6により説明する。
【0014】
図1は本発明の撹拌翼を使用した密閉式撹拌装置1の縦断面図である。
【0015】
2は撹拌槽で、円筒状の胴部を有している。
【0016】
3はダイアフラムで、ゴム等のフレキシブルな材料の膜状体からなり、前記撹拌槽2の上端開口部を覆って気密に設けられている。
【0017】
4は駆動軸を示し、該駆動軸4は、その上部において図示してない上下動装置例えば往復駆動式モータに垂設されており、該駆動軸4の中間部で前記ダイアフラム3を貫通すると共に、該ダイアフラム3に気密に固定されている。
【0018】
5は撹拌槽で、図2に示すような楕円の板状体からなり、前記駆動軸4の下端部に直交するように連結固定されている。
【0019】
図2において、5aは前記撹拌翼5の楕円の長径を示し、5bは該楕円の短径を示す。
【0020】
6は前記撹拌槽2内の撹拌液を示す。
【0021】
次に本実施例の撹拌翼5及び密閉式撹拌装置1の作動及びその効果について説明する。
【0022】
密閉式撹拌装置1は生物培養液の如く、外部からの汚染を排除し、且つ、低剪断作用で撹拌混合を行なう必要のある撹拌液の撹拌に適している。
【0023】
撹拌液6内に駆動軸4とその下部に設けた撹拌翼5を垂下没入させ、ダイアフラム3にて撹拌槽2の上面を密閉し、駆動軸の上部に設置した上下動装置(図示せず)により、駆動軸4及びその下端部に設けた撹拌翼5を上下に往復運動させて撹拌(上下振動撹拌)を行なう。
【0024】
本実施例の撹拌翼5は、横長な形状の板状翼からなるものとしたので、翼の側方に上下の流路を確保しており、従来の円板型撹拌翼の場合と比較して、はるかに大きな上下流と旋回流を伴う大循環流を発生させることができた。
【0025】
即ち従来の円板型撹拌翼を用いた上下振動撹拌のフローパターンを図4に示した。
【0026】
従来の円板型撹拌翼aでは上下流の発生が少なく、旋回成分が発生しにくいという問題があって、図5に示す如く円板型撹拌翼aの外縁と撹拌槽bの内周面との間の等しい間隙の翼周りでの流動しか得られず、撹拌槽内全体での大きな上下流を生じさせることができなかった。
【0027】
又、円板型撹拌翼aの上下振動のストロークが小さい場合には、上下流の発生が得られないという問題もあった。
【0028】
これに対し本実施例の撹拌翼5を使用した撹拌装置1では、その撹拌翼5の短径5b部分の外方に図7のD示す如く上下流強化領域が形成されて図6に示す如く、大きな上下流とこれに伴う旋回流が得られた。
【0029】
特に撹拌液の粘性が高い場合にも、撹拌翼5は小さなストロークの上下振動で極めて優れた混合性能を発揮することができるので、従来の円板型撹拌翼aを用いた場合と比較して、はるかに少ない駆動動力で運転が可能となる効果を有している。
【0030】
尚、撹拌翼5の代りに、図3に示す如く、円板翼の上下を切り取って形成した横長の板状体5´又は長方形の板状体からなる撹拌翼を使用してもよい。
【0031】
又、前記撹拌槽2の上端開口部をダイアフラム3の代りにベローズにより覆って気密にしてもよい。
【実施例2】
【0032】
本発明の実施例2を図8乃至図11により説明する。
【0033】
図8は実施例2の撹拌翼15の平面図、図9は撹拌翼15の図8におけるX方向矢視図、図10は撹拌翼15の図8におけるY方向矢視図を示す。
【0034】
撹拌翼15は楕円形に形成した板状体からなり、前記楕円形の中心を通る長径線5aと短径線5bとで区切られる部分において、前記短径線5bに沿って切れ目を入れると共に隣り合わない対角部分の1対を前記長径線5aに沿って斜上方に折り曲げて、傾斜羽根部15a、15aを有する撹拌翼15を形成した。
【0035】
前記傾斜羽根部15aの折り曲げ角度は、例えば30度程度とした。
【0036】
本実施例の撹拌翼15を使用した撹拌装置における上下振動撹拌のフローパターンを図11に示す。
【0037】
傾斜羽根部15aを設けたことによって、撹拌槽内全体を旋回しながら上下する上下対流が発生し、槽内に大循環流が形成される効果を得た。
【0038】
尚、撹拌翼15において、傾斜羽根部15a、15aを斜上方に折り曲げるとしたが、これは斜下方に折り曲げたものとしてもよい。
【実施例3】
【0039】
本実施例の実施例3を図12乃至図14により説明する。
【0040】
図12は実施例3の撹拌翼25の平面図、図13は撹拌翼25の図12におけるP方向矢視図、図14は撹拌翼25の図12におけるQ方向矢視図を示す。
【0041】
撹拌翼25は楕円形に形成した板状体からなり、前記楕円形の中心を通る長径線5aと短径線5bとで区切られる部分において、前記短径線5bに沿って切れ目を入れると共に、隣り合わない対角部分の2対を、前記長径線5aに沿ってそれぞれ斜上方又は斜下方に折り曲げて、前記長径線5a又は短径線5bを隔てて隣り合う部分が上方と下方の互いに逆方向に突出した傾斜羽根部25a、25bを有する構造とした。
【0042】
本実施例の撹拌翼25を用いた撹拌装置で上下振動撹拌を行なった場合も優れた混合性能と共に駆動動力の節約が達成された。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の撹拌翼及び密閉式撹拌装置は、主として医薬分野における培養液の撹拌や食料品分野における撹拌等に利用される。
【符号の説明】
【0044】
1 密閉式撹拌装置
2 撹拌槽
3 ダイアフラム
4 駆動軸
5、15、25 撹拌翼
5a 長径線
5b 短径線
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬用の培養液などの撹拌に最適な撹拌翼及びその撹拌翼を用いた撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撹拌翼及び撹拌装置は、モータの回転により撹拌翼を回転させて液流を発生させたり、又は大ストロークで円板翼を上下動させて撹拌を行なっていた。
【0003】
しかし、医薬分野における培養液等においては、回転式撹拌は菌体にダメージを与えるので好ましくなく、また、培養液のコンタミネーション(汚染)の問題から、回転摺動部を有する撹拌装置は好ましくないという問題点があった。
【0004】
出願人は先に、撹拌する液体やその蒸気が撹拌槽から漏れるのや外部からの異物の進入を防止する目的で、撹拌翼を上下動させて撹拌を行なうようにした密閉式撹拌装置の発明を行なった(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4316251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記特許文献1の密閉式撹拌装置は、撹拌翼の上下往復動によって撹拌槽内において良好な旋回流を形成するが、上下方向の流動が完全ではなかった。
【0007】
又、大ストロークで円板翼を上下させて撹拌を行なう従来の撹拌翼は、強制混合が促進されるが、作動面や構造面(シール部の構造)に問題があった。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解消し、撹拌槽内の撹拌液に対して強い剪断作用を与えることがなく、撹拌液の上下方向の流動が完全となって撹拌液の混合、分散均一化が十分に行なわれ、且つ撹拌液が汚染されないような構造の、主として医薬品、食料品分野の撹拌に好適な撹拌翼及び該撹拌翼を用いた撹拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成すべく、撹拌翼としては上下往復動する駆動軸の下端面部に直交するように連結固定する翼体は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体とし、又、撹拌装置としては上下動可能なダイアフラム又はベローズを撹拌槽の上面部に該上面部を気密に覆うように設け、該ダイアフラム又は該ベローズを貫通する駆動軸を該ダイアフラム又はベローズに固定して垂設し、該駆動軸の下端部に直交するように連結固定する撹拌翼は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体からなり、該撹拌翼を上下動させて前記撹拌槽内を撹拌するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低剪断作用にて対象液体の撹拌混合と分散均一化を十分に行うことができ、しかも撹拌液が汚染されないような完全密閉構造が可能な、医薬用分野や食品用分野などでの使用に最適な撹拌翼及び撹拌装置を提供できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1の密閉式撹拌装置の縦断面図である。
【図2】同上撹拌装置の撹拌翼の平面図である。
【図3】同上撹拌装置の撹拌翼の他の例の平面図である。
【図4】従来の円板型撹拌翼を用いた上下振動撹拌のフローパターンを示す説明図である。
【図5】図4のA−A線截断面図である。
【図6】本発明の実施例1の上下振動撹拌のフローパターンを示す説明図である。
【図7】図6のB−B線截断面図である。
【図8】本発明の実施例2の撹拌翼の平面図である。
【図9】前記実施例2の撹拌翼の図8におけるX方向矢視図である。
【図10】前記実施例2の撹拌翼の図8におけるY方向矢視図である。
【図11】前記実施例2の撹拌翼を用いた上下振動撹拌のフローパターンを示す説明図である。
【図12】本発明の実施例3の撹拌翼の平面図である。
【図13】前記実施例3の撹拌翼の図12におけるP方向矢視図である。
【図14】前記実施例3の撹拌翼の図12におけるQ方向矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例1を図1乃至図6により説明する。
【0014】
図1は本発明の撹拌翼を使用した密閉式撹拌装置1の縦断面図である。
【0015】
2は撹拌槽で、円筒状の胴部を有している。
【0016】
3はダイアフラムで、ゴム等のフレキシブルな材料の膜状体からなり、前記撹拌槽2の上端開口部を覆って気密に設けられている。
【0017】
4は駆動軸を示し、該駆動軸4は、その上部において図示してない上下動装置例えば往復駆動式モータに垂設されており、該駆動軸4の中間部で前記ダイアフラム3を貫通すると共に、該ダイアフラム3に気密に固定されている。
【0018】
5は撹拌槽で、図2に示すような楕円の板状体からなり、前記駆動軸4の下端部に直交するように連結固定されている。
【0019】
図2において、5aは前記撹拌翼5の楕円の長径を示し、5bは該楕円の短径を示す。
【0020】
6は前記撹拌槽2内の撹拌液を示す。
【0021】
次に本実施例の撹拌翼5及び密閉式撹拌装置1の作動及びその効果について説明する。
【0022】
密閉式撹拌装置1は生物培養液の如く、外部からの汚染を排除し、且つ、低剪断作用で撹拌混合を行なう必要のある撹拌液の撹拌に適している。
【0023】
撹拌液6内に駆動軸4とその下部に設けた撹拌翼5を垂下没入させ、ダイアフラム3にて撹拌槽2の上面を密閉し、駆動軸の上部に設置した上下動装置(図示せず)により、駆動軸4及びその下端部に設けた撹拌翼5を上下に往復運動させて撹拌(上下振動撹拌)を行なう。
【0024】
本実施例の撹拌翼5は、横長な形状の板状翼からなるものとしたので、翼の側方に上下の流路を確保しており、従来の円板型撹拌翼の場合と比較して、はるかに大きな上下流と旋回流を伴う大循環流を発生させることができた。
【0025】
即ち従来の円板型撹拌翼を用いた上下振動撹拌のフローパターンを図4に示した。
【0026】
従来の円板型撹拌翼aでは上下流の発生が少なく、旋回成分が発生しにくいという問題があって、図5に示す如く円板型撹拌翼aの外縁と撹拌槽bの内周面との間の等しい間隙の翼周りでの流動しか得られず、撹拌槽内全体での大きな上下流を生じさせることができなかった。
【0027】
又、円板型撹拌翼aの上下振動のストロークが小さい場合には、上下流の発生が得られないという問題もあった。
【0028】
これに対し本実施例の撹拌翼5を使用した撹拌装置1では、その撹拌翼5の短径5b部分の外方に図7のD示す如く上下流強化領域が形成されて図6に示す如く、大きな上下流とこれに伴う旋回流が得られた。
【0029】
特に撹拌液の粘性が高い場合にも、撹拌翼5は小さなストロークの上下振動で極めて優れた混合性能を発揮することができるので、従来の円板型撹拌翼aを用いた場合と比較して、はるかに少ない駆動動力で運転が可能となる効果を有している。
【0030】
尚、撹拌翼5の代りに、図3に示す如く、円板翼の上下を切り取って形成した横長の板状体5´又は長方形の板状体からなる撹拌翼を使用してもよい。
【0031】
又、前記撹拌槽2の上端開口部をダイアフラム3の代りにベローズにより覆って気密にしてもよい。
【実施例2】
【0032】
本発明の実施例2を図8乃至図11により説明する。
【0033】
図8は実施例2の撹拌翼15の平面図、図9は撹拌翼15の図8におけるX方向矢視図、図10は撹拌翼15の図8におけるY方向矢視図を示す。
【0034】
撹拌翼15は楕円形に形成した板状体からなり、前記楕円形の中心を通る長径線5aと短径線5bとで区切られる部分において、前記短径線5bに沿って切れ目を入れると共に隣り合わない対角部分の1対を前記長径線5aに沿って斜上方に折り曲げて、傾斜羽根部15a、15aを有する撹拌翼15を形成した。
【0035】
前記傾斜羽根部15aの折り曲げ角度は、例えば30度程度とした。
【0036】
本実施例の撹拌翼15を使用した撹拌装置における上下振動撹拌のフローパターンを図11に示す。
【0037】
傾斜羽根部15aを設けたことによって、撹拌槽内全体を旋回しながら上下する上下対流が発生し、槽内に大循環流が形成される効果を得た。
【0038】
尚、撹拌翼15において、傾斜羽根部15a、15aを斜上方に折り曲げるとしたが、これは斜下方に折り曲げたものとしてもよい。
【実施例3】
【0039】
本実施例の実施例3を図12乃至図14により説明する。
【0040】
図12は実施例3の撹拌翼25の平面図、図13は撹拌翼25の図12におけるP方向矢視図、図14は撹拌翼25の図12におけるQ方向矢視図を示す。
【0041】
撹拌翼25は楕円形に形成した板状体からなり、前記楕円形の中心を通る長径線5aと短径線5bとで区切られる部分において、前記短径線5bに沿って切れ目を入れると共に、隣り合わない対角部分の2対を、前記長径線5aに沿ってそれぞれ斜上方又は斜下方に折り曲げて、前記長径線5a又は短径線5bを隔てて隣り合う部分が上方と下方の互いに逆方向に突出した傾斜羽根部25a、25bを有する構造とした。
【0042】
本実施例の撹拌翼25を用いた撹拌装置で上下振動撹拌を行なった場合も優れた混合性能と共に駆動動力の節約が達成された。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の撹拌翼及び密閉式撹拌装置は、主として医薬分野における培養液の撹拌や食料品分野における撹拌等に利用される。
【符号の説明】
【0044】
1 密閉式撹拌装置
2 撹拌槽
3 ダイアフラム
4 駆動軸
5、15、25 撹拌翼
5a 長径線
5b 短径線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下往復動する駆動軸の下端面部に直交するように連結固定する翼体は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体からなる撹拌翼。
【請求項2】
前記翼体は長方形又は楕円形又は長円形に形成されている請求項1に記載の撹拌翼。
【請求項3】
前記翼体において、その中心を通る長径線と短径線で区切られる部分で、隣り合わない対角線部分を前記長径線に沿って斜上方或いは斜下方に折り曲げ形成した請求項1又は請求項2に記載の撹拌翼。
【請求項4】
上下動可能なダイアフラム又はベローズを撹拌槽の上面部に該上面部を気密に覆うように設け、該ダイアフラム又は該ベローズを貫通する駆動軸を該ダイアフラム又はベローズに固定して垂設し、該駆動軸の下端部に直交するように連結固定する撹拌翼は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体からなり、該撹拌翼を上下動させて前記撹拌槽内を撹拌するように形成した密閉式撹拌装置。
【請求項5】
前記撹拌翼は長方形又は楕円形又は長円形に形成されている請求項4に記載の密閉式撹拌装置。
【請求項6】
前記撹拌翼において、その中心を通る長径線と短径線で区切られる部分で、隣り合わない対角線部分を前記長径線に沿って斜上方或いは斜下方に折り曲げ形成した請求項4に記載の密閉式撹拌装置。
【請求項1】
上下往復動する駆動軸の下端面部に直交するように連結固定する翼体は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体からなる撹拌翼。
【請求項2】
前記翼体は長方形又は楕円形又は長円形に形成されている請求項1に記載の撹拌翼。
【請求項3】
前記翼体において、その中心を通る長径線と短径線で区切られる部分で、隣り合わない対角線部分を前記長径線に沿って斜上方或いは斜下方に折り曲げ形成した請求項1又は請求項2に記載の撹拌翼。
【請求項4】
上下動可能なダイアフラム又はベローズを撹拌槽の上面部に該上面部を気密に覆うように設け、該ダイアフラム又は該ベローズを貫通する駆動軸を該ダイアフラム又はベローズに固定して垂設し、該駆動軸の下端部に直交するように連結固定する撹拌翼は、その中心を通る長径と短径を有する横長な形状の板状体からなり、該撹拌翼を上下動させて前記撹拌槽内を撹拌するように形成した密閉式撹拌装置。
【請求項5】
前記撹拌翼は長方形又は楕円形又は長円形に形成されている請求項4に記載の密閉式撹拌装置。
【請求項6】
前記撹拌翼において、その中心を通る長径線と短径線で区切られる部分で、隣り合わない対角線部分を前記長径線に沿って斜上方或いは斜下方に折り曲げ形成した請求項4に記載の密閉式撹拌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−31192(P2011−31192A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180846(P2009−180846)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000171919)佐竹化学機械工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000171919)佐竹化学機械工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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