説明

撹拌装置を有する全血用血液分析器

本発明は、管に入った血液を分析するための、全血用血液分析器に関し、管は歩進式に運ばれ処理される。分析器(10)は、血液管(24)を受容して、血液管(24)を、選択された撹拌方式により撹拌する撹拌装置(12)と、特定されたパラメータにより制御された条件下で、血液管を撹拌するために、撹拌装置に接続された制御手段(44,46)と、撹拌装置により予め撹拌された血液管(24)から血液サンプルを抜き取り、血液サンプルを分析ユニット(40)に移送するサンプル採取手段(32)とからなる。本発明は、特に、血球計算用血液分析器に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液製品のサンプルを自動的に分析するための血液分析器に関する。
【0002】
特に、本発明は、管に入った血液を分析するための、全血用血液分析器に関し、その際、管は歩進式に運ばれ処理される。
【背景技術】
【0003】
以下において、「単一式における操作」(operation in unitary mode)または「歩進式における操作」(operation in tube―by―tube―mode)は、分析される血液サンプルが、これら管をカセット式支持部等による集合体にすることなく、一つずつ、即ち、管を一つ一つ通過させる操作モードを意味している。
【0004】
「全血の分析」という表現において、分析器は、血漿または血清用の分析器の操作とは対比され、全血、即ち、血液の全ての要素を含む血液に関する分析を実施している分析器を意味している。血球カウンタは、全血分析器の一部をなしているが、本発明は、血球カウンタだけに限定されるものではない。
【0005】
「品質管理」という表現は、患者からの血液サンプルの分析を実施する前に、分析器が適切に稼働していることを少なくとも毎日チェックする行程を意味している。
【0006】
血液サンプルに対する、光学分析、物理化学分析等を含む種々の形式の分析を実施して分析の結果を自動的に表示する血液分析の異なる形式がある。
【0007】
これらの分析を正しく機能させるための要件は、血液管を、分析の前の撹拌段階で、予め正確に撹拌する点にある。
【0008】
単一式または歩進式で操作される血液分析器において、この撹拌段階はしばしば手動で、従って多かれ少なかれ不規則に行われる。
【0009】
従って、血液分析器の使用者が、検査実務に不慣れなときには、撹拌の予備段階が不正確に実施され、分析の結果をゆがめることになる可能性がある。
【0010】
このことは、使用者が、検査実務に、特別に訓練を受けていない場合にしばしば生じる。
【0011】
本発明の課題は、全血用血液分析器において、血液のこの撹拌段階を組み込むことを提案することにより、特に、上記欠点を克服する点にある。
【0012】
全血から行う分析には複数のカテゴリーがある。最大のカテゴリーの1つは、血球計算である。しかし本発明は、特にこのカテゴリーに限定されるものではない。
【0013】
血液分析が、歩進式で操作されず、管集合形式で操作されることは既に周知である。この場合、操作者は、分析を開始する前に、彼の時間をよりよく管理できかつ結果の識別と検証の仕事を保護する最大数の管を集めることになる。
【0014】
この場合、自動分析サイクルを開始する前に、管は、カセットまたはトレイに装填されている。従って、血液分析器は、分析前に血液の撹拌を行うことになる。
【0015】
他方では、単一式で操作される血液分析器において、撹拌段階は、分析器自体で行われていない。撹拌段階は普通、手動で、あるいは、例えば、回転または揺動により操作される別体の攪拌器または外部の攪拌器において行われる。操作者は、一連の分析を開始する前に、完全な撹拌を得るために数分間待たねばならない。管が、分析直前に攪拌器から取り出される間、いくつかの管は、他の管より長く攪拌器内に残ることになる。
【0016】
さらに、検査室の中には、次の管を手動で撹拌するために、2つの分析の間の時間を利用している。
【0017】
分析器の中には、「開管」(open tube)形式で操作される分析器がある。即ち、操作者は、撹拌した管を手にとって、分析器へ管を置く前にストッパを取り外さなければならなくなる。
【0018】
別の分析器では、「閉管」(closed tube)形式で操作されている。即ち、撹拌された管は、予め開けられることなく、分析器へ直接もたらされる。分析器は、管内の血液をサンプルとして採取するためにストッパの穿孔を行う。この操作モードでは、血液との接触の何らかの危険に対して利用者を保護している。
【0019】
全ての場合において、例え血液が、患者からだけしか採取されないとしても、事前の撹拌は必要である。
【0020】
単一式で操作する分析器は、主として、少数の分析を行う小さい検査室のためのものであり、外部の撹拌器と一緒に使用されている。
【0021】
検査室の外部において、「患者の面前での分析」を行う必要がある場合が多くある。これは、救急室におけるような場合、早急の結果を得る必要に対処可能である。
【0022】
分析は、米国や日本のような特定の国々において一般的に実施されている診断のために必要になる場合に対処可能である。これらの国々の医者は、彼らの診断を確かなものにするために彼らに許されている基本的な分析を行っている。
【0023】
分析は、例えば、農村地帯の医療施設、巡回診療所または軍医務室のような周囲に検査室がない移動医療センタの要求にも応えられる。
【0024】
「患者の面前における分析」のこれら全ての状況において、操作者は、正規の検査室の操作者よりもむしろ医者や看護師に近い状態になる。
【0025】
これらの分析が、非常に少量の血液で行われるときは、この採取されたサンプルが、患者の血液の代表試料になるので、管の中身が完全に均質であることが必要になる。
【0026】
検査室の状況の外側に、事前撹拌段階が、その重要性の理解不足によりしばしば省略されるが、この事前撹拌段階は、緊急の状況では当たり前の行為でなくなるのが普通である。
【0027】
実際の組織上の理由から、操作者にとって、検査室の助手が、分析される管を集めた後に行っているように、撹拌器に血液管を置いて、さらに、分析を実施するために、戻って管を集めることは簡単ではない。
【0028】
従って、単一式または歩進式で操作する全血用血液分析器において、撹拌を自動化する必要がある。
【0029】
カセット型支持部等において、管の集合体を操作する血液分析器の分野では、自動撹拌を実施する手段は既にある。
【0030】
このように、血液管がグループ化された多重支持部を有する全血分析器の分野では、既に撹拌手段はある。米国特許第5,232,081号には、特に、血液サンプルの混合が、多数の管が集合しているカセット型支持部において行われる撹拌装置が記載されている。しかしながら、この撹拌装置は、多重支持部を有する装置にしか有効ではない。
【0031】
例えば、以下の限定されていないリストに示すように、既に種々の撹拌手段が公知である。
【0032】
― 完全反転による撹拌: この手段は、血液管を垂直方向で複数回、連続して反転させることにある。混合は、血液が管の底部から管の頭部へ流れる反転中および反対に、管がその開始位置に戻った時に生じる。出願例として、米国特許第5,110,743号が挙げられる。
【0033】
― 部分反転による撹拌: この場合、管は、完全回転を行わない。混合原理は、上記記載の混合と同一である。
【0034】
― 揺動運動よる撹拌: この場合、管は、揺動運動を生じる水平なトレイに置かれる。出願例として、米国特許第4,518,264号が挙げられる。
【0035】
― 「渦」効果として知られる管自体の回転による撹拌: この撹拌形式では、管は、垂直位置のままである。管は、交互に両方向でその垂直軸線を中心に回転駆動される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
本発明の課題は、歩進式で操作する分析の上記欠点を解消することができる歩進式で操作する全血用血液分析器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
この課題は、本発明の分析器により次のように解決する。
【0038】
即ち、分析器が、
― 1つの血液管を収容して、この血液管を、撹拌の選択された形式により撹
拌する撹拌装置と、
― 規定されたパラメータにより制御された条件下で、前記血液管を撹拌する
ために、前記撹拌装置に接続された制御手段と、
― 前記撹拌装置により予め撹拌された前記血液管から血液のサンプルを抜き
取り、前記血液のサンプルを分析ブロックへ移送するサンプル採取手段と
から成っている。
【0039】
このように、本発明は、品質管理された血液の品質を含む、品質を保証するために、分析前に必要である自動撹拌を可能にする撹拌装置を組み込んでいる血液分析器を提供している。
【0040】
このような血液分析器は、通常の検査室の装置において、および「患者の面前での分析」を実施する操作者により使用される単体の装置において特に有利である。
【0041】
しかしながら、本発明は、検査室で使用される装置においても有利なものである。なぜなら、撹拌形式を組み合わせることができるからである。
【0042】
これら全ての場合において、本発明の血液分析器は、従来技術のように分離した形式ではなく、しかも撹拌の品質を確かなものにする制御された条件下で、分析器内で撹拌を実施するものである。
【0043】
本発明において、血液管は、撹拌装置内に手動で配置することができる。しかしながら、さらに発展した形態では、血液分析器は、撹拌装置に、血液管を移送するために使用される移動手段を有していてもよい。
【0044】
本発明の別の特徴によれば、撹拌装置が、血液管を直接かまたは支持部を介して収容するための収容要素を有している。
【0045】
この収容要素は、特定形状の1つの血液管に使用される単数の凹所または、それぞれ異なる形状の血液管に使用される複数の凹所から成っていてもよい。しかし、すべての場合において、攪拌は単数血液管で効果がある。
【0046】
本発明の分析器の制御手段は、有利には、撹拌装置の撹拌時間をプログラミングするためのプログラミング手段から成っている。このプログラミング手段は、良好に制御された条件下で撹拌を行うことを可能にする。
【0047】
本発明の分析器に組み込まれた撹拌装置は、特定な実施例に限定されない。
【0048】
しかしながら、本発明の有利な態様では、撹拌装置が、血液管の連続する完全反転により作動する撹拌手段から成っているかあるいは、血液管の連続する部分反転により作動する撹拌手段から成っている。
【0049】
さらに、垂直面において血液管の連続する揺動運動により作動する撹拌手段を使用することも可能である。
【0050】
別の変形例では、撹拌装置が、所定の回転方向における垂直軸を中心とする血液管の回転と、撹拌の停止と、反対方向の垂直軸を中心とする血液管の回転と、撹拌の再度の停止とからなるシーケンスを行う撹拌手段から成っている。
【0051】
制御手段が、撹拌時間を設定すると有利である。この撹拌時間は、血液管の完全反転数または血液管の部分反転数を決定する。
【0052】
この撹拌時間は、血液管の揺動運動数または、上記変形例において回転及び回転停止のシーケンス数も規定している。
【0053】
本発明の別の特徴において、制御手段の撹拌パラメータは、直接、血液分析器に設定されるかあるいは独立した制御ステーションを介して設定されることができる。
【0054】
撹拌パラメータは、使用のプロフィールに集められているのが有利である。
【0055】
本発明の別の特徴によれば、撹拌装置と分析ブロックとは同時に操作されると考えられ、既に撹拌された血液管が分析ブロックにより分析されている間に、撹拌手段により血液管を撹拌することができる。
【0056】
上記制御手段は、撹拌を実施できないように撹拌時間をゼロに設定することも可能である。
【0057】
本発明において、血液管は、ストッパにより従来の形式でシールされている。
【0058】
この場合、血液管のストッパの有無を検知するために、血液分析器の内部に光学センサを配置すると有利である。
【0059】
サンプル採取手段は有利には、ストッパを穿孔するための要素から成っている。穿孔要素は、穿孔される管の上方に直接位置していることが望ましい。
【0060】
しかしながら、ストッパを穿孔するための要素は、穿孔される管の下方に位置することも考えられる。
【0061】
本発明のさらに別の特徴によると、血液分析器が保護データ変換のための、内部または外部の接続手段を有している。
【0062】
以下に添付した図面に図示した実施例に付き、本発明を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0063】
まず、図1と図2を参照すると、図1と図2には、血液分析器が、全体として符号10で示されている。
【0064】
本実施例では、血液分析器は、全血分析の主な用途の1つである血球計算に使用されている。しかしながら、上記したように、本発明は、分析前に、予め撹拌された全血を必要とする全ての一体型分析器に適用される。
【0065】
分析器10には、撹拌装置12が組み込まれている。撹拌装置12は、水平軸16を中心に回転するように取り付けられかつトランスミッションベルト20を有するステッピングモータ18により両方向のうちのどちらかに回転駆動可能なドラム14から成っている。ドラム14は、半径方向に延びる凹所22(図4参照)を有している。凹所22は、ストッパ26によりシールされている血液管24を収容している。
【0066】
撹拌装置12は、分析器の前面28に近接して位置し、この前面28には、窓30が、凹所22内へ管24を挿入するために形成されており(図2)、ドラム14は所定の角度位置に位置している。本実施例では、凹所22は、水平線に対して約45°の角度に形成されている。この角度は、管の、凹所への挿入を許容している。本実施例では、管は手動で挿入されているが、しかし下記に述べるように自動で挿入することも可能である。
【0067】
分析器10は、さらに、全体を符号32で示すサンプリング手段を備えている。サンプリング手段32は、穿孔ブロック34を有している。穿孔ブロック34は、水平レール35に沿って移動可能である。穿孔ブロック34は、垂直方向に設けられたサンプリング針36を有している。サンプリング針36の針先は、下方に向いている。穿孔ブロック34は、サンプリング針36の垂直方向の運動、即ち、下向き方向運動では、管のストッパ26を穿孔し、上向き方向の運動では、サンプル採取を行った時の運動の、両方向の運動を制御するために設けられている。サンプル採取は、管24が、上方に向いたストッパにより垂直方向に向いている位置において行われる。
【0068】
ストッパ26の存在は、センサ38により検知される。センサ38は、本実施例では光学センサである。
【0069】
管の存在が検知されると、穿孔ブロック34は、ストッパを穿孔し、管から血液を所定量採取する。穿孔ブロック34は、測定受け器42から成る分析ブロック40の上方に到達するために、水平レールに沿って移動可能である。分析ブロック40は、自体公知なので詳細な説明は省略する。
【0070】
分析器10は、さらにオートメーションユニット44を備えている。オートメーションユニット44は、下記に説明する、分析器10の作業を監視する制御ユニット46を有している。この制御ユニット46は、本発明の一実施例では、分析器10の作業をプログラミングするため、特に撹拌時間を制御するためのプログラミングユニット47を有することができる。
【0071】
このオートメーションユニットは、インターフェース48により制御される。インターフェース48は、前面28の上側部分に設けられかつ複数のボタン50とモニタースクリーン52とからなっている。
【0072】
次に図3を参照すると、図3には、本発明の変化実施例が示されている。この変化実施例において、ストッパ26により閉鎖されている管24は、移動手段により、ドラム14の凹所22内へ挿入される。これら移動手段は、水平レール56に沿って両方向に移動可能なキャリッジ54を有している。この実施例では、管24は、水平方向に位置するその軸線に沿って移動し凹所22内に挿入される。凹所22の軸線も水平方向に位置している。
【0073】
自動的に作動する他の形式の移動手段が、ドラム14の凹所22内に管を自動的に挿入するために使用できることは明らかである。
【0074】
本発明において、血液管は、ドラム14の収容ハウジング(凹所22)内に直接挿入されるかあるいは、血液管が最初に位置する個々の支持部を介して間接的に挿入されてもよい。
【0075】
図4のドラム14は、単一の凹所22を備えている。単一の凹所22は、特定な形式(長さ及び直径)の1つの血液管に適用される。
【0076】
しかしながら、血液管には異なる型式があり、特に寸法(直径及び長さ)において相違している。
【0077】
図5の実施例には、異なる型式の管を収容できるドラム14が示されている。このために、ドラム14は、円周上に、管のそれぞれ3つの異なる型式に適用できる複数の凹所22−1,22−2及び22−3を有している。しかしながら、いかなる場合でも、撹拌は、合致する凹所内に予め挿入された1つの管にのみ実施される。
【0078】
図6は、分析器10の別の変化実施例を示している。この別の変化実施例では、穿孔ブロック34は、ドラム14の下方に位置し、サンプリング針36は、針先を上方に向けて、垂直方向に設けられている。この構成は、管24のストッパ26が下向きに向いている位置において、ストッパ26に穿孔することを可能にしている。
【0079】
しかしながら、本発明の範囲内で、管のいかなる所定の角度位置においてもストッパの穿孔は行われる。
【0080】
図1及び図2に示す実施例において、撹拌装置12は、反転により撹拌を行っている。反転による撹拌の原理は、図7に示されている。
【0081】
その例では、ストッパ26を有する管24は、それぞれの支持部58内に挿入されている。支持部58自体は、ドラム14(図7には図示せず)内に挿入されていてもよい。P1は、上方に向いたストッパ26の基準位置(垂直位置)を示している。この例では、撹拌が、部分的な反転により行われる。この場合、部分的な反転は、マイナスの角度Aだけ位置P2へ、あるいは、プラスの角度Bだけ位置P3へ反転する。運動の振幅は、少なくとも100°乃至180°または少なくとも−100°乃至−180°の範囲でなければならない。適正な撹拌を得るための反転の回数は普通10回と20回との間である。撹拌は、連続した部分反転(図7)によるかあるいは連続した完全反転により行われてもよい。この場合の運動の振幅は、180°の範囲である。
【0082】
本発明は、しかしながら、反転による撹拌に限定されず、他の型式の撹拌も考えられる。
【0083】
図8は、水平トレイ60が略示されている。水平トレイ60は、水平軸62を中心に回転するように取り付けられていてかつ管24を支持するのに役立つ。管24の長手方向軸線は、水平軸62に対して水平にかつ直角に設けられている。この水平トレイ60は、管の連続した揺動運動を行うことも可能である。これら揺動運動は、例えば、−90°と+90°の間の回転を交互に行うことにより、180°の振幅をもって行われる。
【0084】
図9は、別の撹拌装置64を示している。撹拌装置64は、電気ステッピングモータのような駆動要素70により、垂直軸68を中心に回転駆動する支持部66を有している。支持部66は、垂直方向位置において、上方に向いたストッパ26を有する管24を受容している。管24の長手方向軸線は、回転垂直軸68と一致している。撹拌装置64は、所定の回転方向における垂直軸68を中心とする血液管の回転と、撹拌の停止と、反対方向の垂直軸68を中心とする血液管の回転と、撹拌の再度の停止等とからなるシーケンスを行うことが考慮されている。
【0085】
これらすべての例において、制御手段(制御ユニット46)は、血液管の完全反転数または部分反転数(撹拌装置12)あるいは血液管の揺動運動数(撹拌装置61)あるいは回転及び回転の停止のシーケンス数(撹拌装置64)を規定する撹拌時間を設定する。
【0086】
分析器10の作業形式を以下に説明する。
【0087】
まず、血液管24が、上記記載のように、撹拌装置に手動または自動で置かれる。
【0088】
センサ38が、ストッパ26の有無を検知する。撹拌装置の作動は、センサ38によるストッパ26の検知により決定される。
【0089】
さらに、血液管の撹拌は、制御ユニット46の制御下の制御された状態でかつ確定されたパラメータにより行われる。
【0090】
撹拌が終了すると、血液管が図1と図2に示す位置に再び位置する。その際、血液管のストッパは上方に向いている。
【0091】
穿孔ブロック34は、自動的にストッパ26の上方に位置し、針36は、ストッパを穿孔するために垂直方向において下方に運動し、血液のサンプルを採取する。サンプル採取は、実施される分析の形式に従って行われる。サンプル採取の前に、しばしば、血液管を換気する手段が、血液を正確な量で採取するために追加される。
【0092】
穿孔ブロック34は、さらに、分析ブロックの上方に移動しかつ針36を介して、特定量のサンプルを測定受け器42内へ放出する。分析は、分析ブロック40により、従来の形式で行われる。結果は、ユニット44に供給される。このために、本発明の分析器は、保護データ変換のための内部または外部の接続手段(図示せず)を有している。
【0093】
管24は、撹拌及びサンプル採取の操作が終了すると、実行されている分析が完了するのを待たないで、ユーザに戻されるのが有利である。
【0094】
撹拌装置と分析ブロックとは、既に撹拌された血液管が分析されている間に、血液管を撹拌するように、同時に操作されると有利である。
【0095】
このように、分析が実行されている間に、別の管を、撹拌のために適切な位置に置くことができる。オペレータが、連続して複数の管を置かねばならない時に、時間を節約できる。
【0096】
本発明の分析器は、分析されることになる管に応じて、撹拌時間を調整できる。この撹拌時間は、上記に述べたように、撹拌運動数を規定している。
【0097】
撹拌時間を選択する基準は、考慮される撹拌形式と関係する。管の形状を表すファクタが考慮される可能性があり、撹拌の特定された形式に多かれ少なかれ有利に関係する。人間の血液か、動物の血液か、あるいはコントロール用血液かあるいは較正用血液であるかどうか、分析される血液のタイプに関するファクタも考慮することもできる。分析時の血液自体に関するファクタも考慮することができる。例えば、冷蔵庫の中で長期間保存されている血液のために比較的長い時間を選択するかあるいは検査直前の血液のための比較的短い時間を選択することができる。
【0098】
本発明の分析器において、撹拌装置は、分析器の品質管理と較正のためのサンプル保存手段と関連させることもできる。
【0099】
本発明は、撹拌手段の速度を、例えば、完全反転または部分反転による撹拌の際の反転速度もしくは揺動運動による撹拌の際の揺動運動の速度を制御することもできる。
【0100】
撹拌時間または撹拌速度のような、撹拌のパラメータは、ボタン手段50及びモニタースクリーン52により、血液分析器で直接、決められるかあるいは、分析器に接続された制御ステーションを介して決めることができる。
【0101】
特定された撹拌のパラメータと関連する値は、分析条件を均一にする簡単な方法として、プロフィールの形式でグループ分けし、記録することができる。
【0102】
例えば、分析表を、冷蔵庫から取り出された血液のために作成することもできるし、あるいはそのほか、患者から直前に採取された血液のために作成することもできる。
【0103】
撹拌時間は、撹拌シーケンスのキャンセルを可能にするゼロ値に設定することもできる。
【0104】
撹拌期間が完全に終了する前に、分析器が分析を開始しないように構成することもできる。これは、オペレータが次の管をいつでも挿入できる範囲で、サイクルの終わりを待たないで、分析が連続して行われるときに重要になる。
【0105】
図10に示すアルゴリズムは、分析器と一体的な撹拌装置のモニタリングを記載している。
【0106】
行程は、ステージ72において、管の分析の開始からスタートする。次のステージ74において、比較が、管がシールされているか否か判定するために行われる。この情報は、センサ38から来る。もし管がシールされていない場合、メッセージ「管開放」(tube open)が、ステージ76において表示され、ステージ78において記載のように、撹拌は行われない。
【0107】
管がシールされている場合、ステージ80において、撹拌行程がスタートする。
【0108】
次のステージ82において、比較が、撹拌機能が実行されているか判定するために行われる。
【0109】
撹拌機能が実行されていない場合、撹拌を開始する要求が、ステージ84において行われる。さらに、ステージ86において、比較が、撹拌開始を有効にするために行われる。
【0110】
撹拌開始が有効でない場合、サンプルの分析の開始は、ステージ88において行われる。撹拌開始が有効な場合、時間遅延のための撹拌行程のステージ90が作動する。
【0111】
さらに、ステージ82において実行されている撹拌機能の比較が、ポジティブ、即ち実行されている場合、撹拌行程の開始が、ステージ92において行われる。撹拌行程の終了は、上記のように、ステージ90で行われる。
【0112】
ステージ90に続いて、ステージ93において、分析が進行中であるかどうか調べるために比較が行われる。
【0113】
もし分析が進行中であれば、ステージ94において、分析時間をチェックする。
【0114】
次のステージ96において、残りの分析時間が、撹拌時間よりも長いかどうか判定するために比較が行われる。
【0115】
もし長い場合、ステージ98において、撹拌待機が実施され、このステージは、ステージ94に戻る。
【0116】
もし短い場合、撹拌が、ステージ100において開始される。
【0117】
もし応答が短い場合、撹拌は、ステージ93からも開始することができる。
【0118】
本発明は、上記記載の実施例に限定されるものでなく、特に使用される撹拌手段の種類に関して、他の変化実施例も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一体型撹拌装置を有する血液分析器の側面図である。
【図2】図1の血液分析器の斜視図である。
【図3】血液管を撹拌装置へ自動的に挿入するための移動装置を示す図である。
【図4】単一管用凹所を有する撹拌ドラムの正面図である。
【図5】異なる形式の管を受容するために、相応する数の凹所を有する図4の変化実施例の、図4と類似の正面図である。
【図6】管の穿孔を下方から行う撹拌ドラムの側面図である。
【図7】管の部分反転により作動する撹拌装置の原理を示している図である。
【図8】は、揺動運動により作動する撹拌装置を示している図である。
【図9】垂直軸線を中心に回転することにより作動する撹拌装置を示している図である。
【図10】本発明の血液分析器の作動をフローチャートの形式で示す線図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管に入れられた血液の分析のための全血の血液分析器であって、管を歩進式に1つずつ供給して処理する形式のものにおいて、
血液分析器は、
― 1つの血液管(24)を収容して、この血液管を、撹拌の選択された形式により撹拌する撹拌装置(12;61;64)と、
― 規定されたパラメータにより制御された条件下で前記血液管(24)を撹拌するために、前記撹拌装置(12;61;64)に接続された制御手段(44,46)と、
― 前記撹拌装置により予め撹拌された前記血液管(24)から血液のサンプルを抜き取り、血液のサンプルを分析ブロック(40)へ移送するサンプル採取手段(32)と
から成ることを特徴とする血液分析器。
【請求項2】
血液管(24)を前記撹拌装置(12;61;64)へ移送する移動手段(54)を有する請求項1記載の血液分析器。
【請求項3】
前記撹拌装置(12;61;64)が、血液管(24)を直接かまたは支持部(58)を介して収容するための収容要素(22)を有している請求項1または2記載の血液分析器。
【請求項4】
前記収容要素が、特定形状の1つの血液管に使用される単数の凹所(22)または、それぞれ異なる形状の血液管に使用される複数の凹所(22−1,22−2,22−3)から成る請求項3記載の血液分析器。
【請求項5】
前記制御手段(46)が、撹拌装置の撹拌時間をプログラミングするためのプログラミング手段(47)を有している請求項1乃至4のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項6】
前記撹拌装置(12)が、連続する血液管の完全反転により撹拌する撹拌手段から成る請求項1乃至5のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項7】
前記撹拌装置(61)が、連続する血液管の部分反転により撹拌する撹拌手段から成る請求項1乃至5のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項8】
前記撹拌装置(61)が、垂直面において連続する血液管の揺動運動により撹拌する撹拌手段から成る請求項1乃至5のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項9】
前記撹拌装置(64)が、所定の回転方向における垂直軸(68)を中心とする血液管の回転と、撹拌の停止と、反対方向の垂直軸(68)を中心とする血液管の回転と撹拌の再度の停止とからなるシーケンスを行う撹拌手段から成る請求項1乃至5のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項10】
前記制御手段(46)が、血液管の完全反転数を規定する撹拌時間を設定している請求項6記載の血液分析器。
【請求項11】
前記制御手段(46)が、血液管の部分反転数を規定する撹拌時間を設定している請求項7記載の血液分析器。
【請求項12】
前記制御手段(46)は、血液管の揺動運動数を規定する撹拌時間を設定している請求項8記載の血液分析器。
【請求項13】
前記制御手段(46)は、回転及び回転停止のシーケンス数を規定する撹拌時間を設定している請求項9記載の血液分析器。
【請求項14】
前記制御手段(46)の撹拌パラメータは、直接、血液分析器に設定されるかあるいは独立した制御ステーションを介して設定されている請求項1乃至13のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項15】
撹拌パラメータは、使用のプロフィールに集められている請求項14記載の血液分析器。
【請求項16】
前記撹拌装置(12;61;64)と分析ブロック(40)とは同時に操作されて、既に撹拌された血液管が分析されている間に、撹拌手段により血液管を撹拌することができる請求項1乃至15のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項17】
前記制御手段(46)が、撹拌を実施できないように撹拌時間をゼロに設定可能である請求項1乃至16のいずれか1項記載の血液分析器。
【請求項18】
前記血液管(24)が、ストッパ(26)によりシールされている形式の請求項1乃至17のいずれか1項記載の血液分析器において、光学センサ(38)が、血液管にストッパの有無を検知するために、血液分析器の内部に配置されている血液分析器。
【請求項19】
前記血液管(24)が、ストッパ(26)によりシールされている形式の請求項1乃至18のいずれか1項記載の血液分析器において、前記サンプリング手段(32)が、前記ストッパを穿孔するための要素(34)から成り、前記穿孔要素は、穿孔される管の上方に直接位置している血液分析器。
【請求項20】
前記血液管(24)が、ストッパ(26)によりシールされている形式の請求項1乃至18のいずれか1項記載の血液分析器において、前記サンプル採取手段(32)が、前記ストッパを穿孔するための要素(34)から成り、前記穿孔要素は、穿孔される管の下方に直接位置している血液分析器。
【請求項21】
保護データ変換のための、内部または外部の接続手段を有している請求項1乃至20項記載のいずれか1項記載の血液分析器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−503580(P2007−503580A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524384(P2006−524384)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002105
【国際公開番号】WO2005/022168
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506065013)ホリバ・エービーエックス・エスエーエス (5)
【氏名又は名称原語表記】HORIBA ABX SAS
【Fターム(参考)】