説明

撹拌装置

【課題】 容器内の被攪拌物を攪拌し易く、容器内を加温し易く、容器内を真空にし易い撹拌装置を提供する。
【解決手段】 本願発明の攪拌装置は、載置台と、駆動モータと、駆動モータと、駆動モータの回転により載置台を連続回転させる回転機構を備え、回転機構は載置台を回転軸から偏心位置で連続回転させて載置台を上下、左右及び上下左右の間の斜め方向に移動させて、載置台の上にのせた容器をそれら方向に振動させて容器内の被攪拌物を攪拌するようにしたものである。回転中の載置台を上下方向、左右方向に案内する縦ガイドと横ガイドを設けた。載置台に載せた容器を固定して振動時の容器のガタツキを防止できる固定具を設けた。載置台が回転時に前後へ揺動するのを規制する前後揺動規制手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は容器に入れた固体や液体等を撹拌することのできる撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体同士、粉末同士、粒状物同士を混合したり、粉末や粒状物等の基材の外周面を試薬等で被覆したりすることがある。そのためには液体、基材、試薬等を入れた容器を振動、揺動、回転等(以下、これらをまとめて「振動」という。)して、容器内の液体、基材、試薬等(被攪拌物)を攪拌する必要がある。
【0003】
従来、一又は二以上の被攪拌物を撹拌する装置として、被攪拌物を収容した容器、例えばフラスコを恒温水槽内に浸した状態で回転させるロータリエバポレータが知られている(特許文献1及び2)。特許文献1及び2に示すロータリエバポレータは、フラスコに真空ポンプが接続され、容器内を真空引きしながら被攪拌物を撹拌等できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平6−75644号公報
【特許文献2】特開2009−262055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1及び2記載のロータリエバポレータはいずれも、フラスコを回転させてフラスコ内の被攪拌物を回転させ、その回転で上方移動した被攪拌物を自重で落下させ、その繰返しで撹拌するものであるため、被攪拌物がフラスコ内で分散しにくく、撹拌混合が必ずしも十分にできなかった。また、フラスコ内の溶液を恒温水槽内の温水で加温するものであるため90℃程度までしか加温することができず、フラスコ内の溶液を気化させるのに時間がかかるという難点があった。また、容器が自転するため容器内を真空状態に維持し難いという難点もあった。
【0006】
本願発明の解決課題は、容器内の被攪拌物を攪拌し易く、温水で加温する装置に比べて高い温度(例えば、200℃程度)まで容器内を加温可能であり、容器内を真空にすることもできる撹拌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の撹拌装置は、容器を振動させることにより容器内の二以上の被攪拌物を撹拌等する撹拌装置であって、容器を載せることのできる載置台と、駆動モータと、駆動モータの回転で載置台を回転させる回転機構を備え、回転機構は載置台を回転軸から偏心位置で連続回転させて上下方向(縦方向)、左右方向(横方向)及び上下左右の間の斜め方向に移動させて、載置台の上にのせた容器をそれら方向に振動させて容器内の被攪拌物を攪拌するようにしたものである。この場合、回転中の載置台を前記上下方向(縦方向)、左右方向(横方向)にスムーズに移動させる縦ガイドと横ガイドを設けることができる。
【0008】
本願発明の撹拌装置では、回転中の載置台の前後へ揺動してガタつくのを規制する前後揺動規制手段を設けて、回転中の載置台が前後へ揺動することなくスムーズに縦、横、斜めに回転振動できるようにすることもできる。前記撹拌装置には載置台に載せた容器を固定して回転振動時の容器を安定させるための固定具を設けることもできる。載置台には容器を加熱(加温)可能な加熱手段(加温手段)を設けることもでき、容器には真空装置を連結して容器内を真空引きすることもできるようにしてある。加熱源としてカートリッジヒータや他の加熱機器を使用することができる。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の撹拌装置は次のような効果がある。
(1)本願発明の撹拌装置は、載置台が縦、横、斜めの何れの方向にも回転振動するため、載置台に載せた容器内の被攪拌物を縦、横、斜めのいずれか一方にしか往復振動させない場合よりも被攪拌物の撹拌混合が確実になる。
(2)回転中の載置台を上下方向(縦方向)、左右方向(横方向)に案内する縦ガイドと横ガイドを設けたので、載置台の回転がスムーズになる。
(3)載置台が前後へ揺動するのを規制する前後揺動規制手段を設けたので、回転中の載置台が前後にガタつかず、縦、横、斜めにスムーズに回転振動でき、容器内の被攪拌物の攪拌が確実になる。
(4)載置台に載せた容器を固定具で固定すれば、載置台にのせた容器が回転振動中に位置ずれしたり脱落したりせず、容器の損傷も防止できる。
(5)容器を自転させるのではなく、載置台を回転させることにより容器を回転振動させるので容器に真空装置を気密に嵌合し易く、容器内を高真空状態にし易い。
(6)加熱手段(加温手段)で容器内を加熱できるため、容器内を温水で加温する場合に比べて高温にすることができ、容器内に溶剤を入れた場合、溶剤を蒸発させながら攪拌でき、溶剤の除去が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明の撹拌装置の一部の斜視図。
【図2】本願発明の撹拌装置の一部縦断面の側面図。
【図3】本願発明の撹拌装置の正面図。
【図4】(a)は本願発明の撹拌装置におけるフレームと基板の関係を示す分解図、(b)は横長ガイドの取付け構造を示す部分拡大断面図。
【図5】本願発明の撹拌装置における基板と受け台の関係を示す分解図。
【図6】本願発明の撹拌装置における押し具を降下させて容器の肩を押さえた状態の一部縦断側面図。
【図7】本願発明の撹拌装置において、押し具を上げて容器の押さえを解放した状態を示す一部縦断側面図。
【図8】本願発明の撹拌装置において、受け台が降下して下死点にある状態の一部縦断側面図。
【図9】本願発明の撹拌装置において、受け台が上昇降して上死点にある状態の一部縦断側面図。
【図10】本願発明の撹拌装置の受け台の動作を示す正面図。
【図11】(a)〜(d)は本願発明の撹拌装置の載置台の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
本願発明の撹拌装置の一例を図1〜図11に基づいて説明する。これら図に示すものは、載置台1の上に載せた容器2(図2)を振動させ、容器2内に収容されている多数の粒状物と溶剤で溶解された液状の試料を攪拌させて、基材の外周面に試料を塗布する(試料で包む)装置として使用する場合の例であり、塗布後に溶剤を気化させて除去し、気化し易くするために容器2を加熱して容器2内の溶剤を加温できるようにし、気化された溶剤を容器2外に排出するために真空引きするものである。図示した容器2はガラス製であり、下部が球状であり、上部が溶剤等を出し入れ可能な筒状であるが、容器2はこれ以外の材質、形状であってもよい。
【0012】
この実施形態では、容器2に丸底フラスコを使用し、載置台1の内部に加熱器3(図6)を設けて、載置台1の上に載せた容器2を加熱できるようにしてある。容器2の先端2aにはキャップC(図2)を気密に被せ、キャップCを図3に示すように真空ポンプPに連結されたダクトDに連結して、容器2内を真空ポンプPで吸引(真空引き)して、容器2内で気化された溶剤を容器2の外部に吸引できるようにしたものである。
【0013】
図1において4はフレーム、5は板状の支持体、6は受け体である。支持体5はフレーム4の縦板12の前面に回転可能に吊下げられ、受け体6は支持体5の前面に上下及び左右に往復スライド可能に設けられている。受け体6には図1のように容器2を載せる載置台1と、載置台1の上に載せた容器2の肩部2c(図2)を上から下方(載置台1側)に押して容器2のガタツキを防止する固定具7が設けられている。固定具7は、肩部2cを上から押さえるもののほか、肩部2c付近を把持するようなものであってもよい。図1のMは駆動モータ、8は回転機構である。回転機構8は、図2に示すように、駆動モータMの回転軸9と載置台1を連結して、駆動モータMの回転により受け体6を偏心回転(駆動モータMの回転軸から偏心位置で回転)させるものである。
【0014】
前記フレーム4は横板10の上に縦板12が立設され、横板10と縦板12の背面の間に側面視ほぼ三角形の補強板13(図2)が取付けられている。縦板12には図4に示すように上方支持軸14が前面に突出して固定されている。図4に示すように、縦板12の前面には角棒状の縦レール42が固定され、縦レール42にスライダー43が上下にスライド可能に嵌合され、スライダー43の前面に、横長レール44が固定されている。横板10(図2)の底面には弾性材製の支持脚11(図2)が取付けられている。支持脚11は移動可能なキャスターや車輪とすることもできる。
【0015】
図5に示す支持体5は、その上部に取り付けられたベアリング式の軸受け15(図4(a))により上方支持軸14に回転自在に吊り下げられている。支持体5(図4(a))は、その背面に設けられた横長ガイド16の横長溝17を、フレーム4の縦板12の前面に横向きに取付けられた横長レール44に嵌合して、横長レール44に沿って左右方向に往復スライドできるようにしてある。図4(a)の横長ガイド16は支持体5を貫通する連結軸18(図4(b))により、支持体5の背面に横向きに取付けられている。連結軸18は、支持体5の中央付近に設けられたベアリング式の軸受け47により支持されている。図5に示すように、支持体5の前面の4箇所(上下左右のコーナー付近)には縦長溝19を備えた縦長ガイド20が取付けられている。
【0016】
前記縦レール42、スライダー43、横長レール44、横長ガイド16、連結軸18は、受け体6の下部の前後方向の揺動を規制するための前後揺動規制手段を構成するものである。支持体5の中央付近を連結軸18、ベアリング式の軸受け47で支持することにより、支持体5の下部の前後方向の揺動を規制することができ、ひいては、受け体6の前後揺動を規制することができる。支持体5はその上部を上方支持軸14で吊り下げただけでは、回転振動時に支持体5の下部が前後に揺動し、ひいては、受け体6も前後揺動して、受け体6のスムーズな回転振動を妨げるおそれがある。
【0017】
図1の受け体6は、下板21と、その背面に立設された背面材22と、下板21の幅方向両側に立設された二枚の側板23を備え、それら下板21と背面材22と二枚の側板23で囲まれた内側に、容器2(図2)を収容可能な配置空間Rが設けられ、背面材22の上部前面には正面視下向きコ字状の補強板24が配置固定されている。図1に示すように両側板23の前方及び上方は開口しており、その前方開口部から配置空間R内に容器2(図2)を出し入れできるようにしてある。図2のように配置空間R内に収容した容器2は受け体6の上の載置台1の上に載せることができ、載せた容器2は固定具7で載置台1に押しつけて安定させることができる。図1の両側板23には孔41が開口されている。
【0018】
図1の受け体6の背面材22は図5に示すように平面視コ字状であり、その背面に二本の縦レール25が平行に取付けられている。この二本の縦レール25は支持体5の縦長ガイド20の縦長溝19に図1のように嵌合されて、縦長ガイド20に沿って上下に昇降可能としてある。夫々の縦レール25の外側には縦長孔26が開口されている。
【0019】
固定具7の一例として図1に示すものは、容器2の筒状部2bを押し込み可能な前方開口の凹部27を備えた天板7aと、天板7aの幅方向両側に設けられた側板7bを備えている。この側板7bは受け体6の縦長孔26(図1、図5)に差し込まれて背面材22の前面に突出している平面視コ字状の昇降板45(図5)の突出部45aに固定されている。固定具7の天板7aの裏面には容器2の肩部2cにフィットする形状の宛て材7c(図1)が設けられている。
【0020】
固定具7には図6、7に示すように、エアシリンダ、油圧シリンダ等の昇降駆動体28のピストン28aが連結され、そのピストン28aの上下方向への伸縮により固定具7が上下に昇降できるようにし、図8のように降下すると宛て材7cが容器2の肩部2cを押して容器2を下方に押し付けて、容器2がガタつかないようにしてある。昇降駆動体28には図示しないエアポンプが連結され、スイッチ29(図2、図3)のON−OFF操作によりエア又は油の流れ方向が切換えられて、昇降駆動体28のピストン28aが上下に昇降するようにしてある。ちなみに図示した実施形態ではスイッチ29をONにすると固定具7が降下して宛て材7cが容器2の肩部2cに当たり、スイッチ29をOFFにすると固定具7が押し下げ前の待機位置(図7)まで自動的に復帰して容器2の押しが解放されるようにしてある。
【0021】
図1の受け体6の下板21の上には載置台1が固定されている。載置台1の下又は中には加熱器3を設けて容器2内を加熱できるようにしてある。加熱器3には、例えば、カートリッジヒータが適する。この実施例では、定格100V、200Wの既存のカートリッジヒータを図6〜9に示すように二本配置し、図示しない制御手段によって200℃まで加熱できるようにしてある。カートリッジヒータはこれ以外のものであってもよく、その出力も大きくてもよい。
【0022】
載置台1はその上面を球状に窪ませて、容器2の球状の底面を安定して載せることができ、しかも熱伝導が良いようにしてある。載置台1は弾性を持たせて、振動によりガラス製の容器2が損傷しないようにするのが望ましい。弾性を持たせるには、例えば、載置台1にサーコン樹脂とか他の弾性材1a(図2)をはりつけるとか、載置台1の上にシリコン製のマットを敷くなどすることができる。載置台1は加熱器3での加熱に耐え得るもの、例えば、300℃程度の耐熱性のあることが望ましい。耐熱性の観点からはシリコンゴムが好適である。載置台1の上周縁にはテフロン(登録商標)製の周縁カバー30(図1)を取り付けてある。加熱器3は不要な場合(例えば、溶剤を気化する必要がない場合)は設ける必要がない。
【0023】
回転機構8は、図8、9に示すように、細長の第一連結子31と上端が受け体6の下板21に固定された第二連結子33を備えている。第一連結子31はその長手方向中央部よりも長手方向一端部寄りの位置(偏心位置)が駆動モータMの回転軸9に取付けられ、第一連結子31の他端部側に第二連結子33の下端側(長手方向中部よりも他端側:偏心位置)が連結軸32により取り付けられている。この場合、連結軸32の外周に二つの回転軸受け46を介在させて、第一連結子31と第二連結子33を回転自在に連結してある。
【0024】
駆動モータM(図2)はフレーム4の横板10から立ち上げた支持台34に支持されている。駆動モータMにはサーボモータや他のモータを使用することができる。
【0025】
支持台34(図6)にはセンサ35が設けられ、そのセンサ35で第二連結子33の下方に取付けられた検知片36の位置を検出できるようにしてある。この検知は、回転のスタート位置を決めるためのものであり、その検知片36がセンサ35の検知空間37に位置するか否かを検知するものであり、検知片36がセンサ35の検知空間37の間に位置しない状態で電源を入れた場合、回転開始前の予備動作として検知片36が検知空間37の間に位置するまで駆動モータMを回転させるためのものである。センサ35には各種センサを使用することができるが、本実施形態では既存の光センサを使用した。駆動モータM(第二連結子33)の回転数を検知して、載置台1の回転数を計測して、回転状況(容器内の被攪拌物の攪拌状況)を検知できるようにすることもできる。
【0026】
回転機構8は、前記構成とすることにより、モータMの回転によりその回転軸9が回転すると、第一連結子31が回転し、その回転により第二連結子33が回転して、第二連結子33の上端と連結されている受け体6の下板21が図8の最下点の位置(下死点)から図9の最上点の位置(上死点)に向けて時計方向に半回転し、図9の上死点の位置から図8の下死点まで時計方向に半回転して一回転し、駆動モータMの連続回転により前記回転が繰返される。この場合、第一連結子31の偏心位置が駆動モータMの回転軸9に連結され、第二連結子33の偏心位置が第一連結子31に連結されているので、第二連結子33の上端部と連結されている受け体6の下板21は図11(a)〜(d)のように回転する。その回転を以下に説明する。
【0027】
1.回転機構8が図8の下死点の時は、受け体6の下板21と回転機構8の位置関係は図11(a)のようになる。
【0028】
2.駆動モータMの回転により第一連結子31が時計方向(矢印方向)に回転して図11(b)の位置まで回転すると、受け体6の下板21は図11(b)に示すように、第一連結子31の上昇回転長の分だけ上昇する。
【0029】
3.駆動モータMが図11(b)の位置から更に回転して、第一連結子31が図11(c)のように最上点(上死点)まで回転すると、受け体6の下板21は図11(c)に示すように第一連結子31の上昇回転長の分だけ(半回転分)上昇する。
【0030】
4.駆動モータMが図11(c)の位置から更に回転して、第一連結子31が図11(d)の位置まで回転すると、受け体6の下板21は図11(d)に示すように、第一連結子31の降下回転長の分だけ降下する。
【0031】
5.駆動モータMが図11(d)の位置から更に回転して、第一連結子31が図11(a)の位置まで回転する(元の位置に戻る)と、受け体6の下板21は図11(a)に示すように、第一連結子31の降下回転長の分だけ降下して、最下点(下死点)まで下る。
【0032】
以後、駆動モータMの回転が連続すると、回転機構8が前記1~5の回転を繰返し、受け体6の下板21が前記1~5のように、左横、真上、右横、真下の順に連続して回転する。この場合、第一連結子31の偏心位置が駆動モータMの回転軸9に連結され、第二連結子33の偏心位置が第一連結子31に連結され、受け体6の下板21が第二連結子33の長軸方向偏心位置に連結されているので、その下板21は真下の位置から順次左横上に移動しながら真上まで偏心回転(移動しながら回転)し、真上の位置から順次右横下に移動しながら真下まで連続して偏心回転(移動しながら回転)する。その回転の繰返しにより、下板21はそれら回転方向(移動方向)への振動を繰り返し、下板21の上の載置台1の上に載せた容器2内の被攪拌物が攪拌される。
【0033】
前記回転機構8による受け体6の回転振動時に、支持体5の横長ガイド16(図4)がフレーム4の縦板12の横長レール44(図4)に案内されて横に往復移動し、受け体6の二本の縦レール25(図5)が支持体5の縦長ガイド20(図5)に沿って上下に昇降移動するので、受け体6の下板21は図11(a)〜(d)のようにスムーズに回転することができる。
【0034】
図2、図3のように、容器2の先端2aにはキャップCを被せてあり、このキャップCは真空ポンプPに連結されたダクトDに連結されて、真空ポンプPで容器2内を真空引きできるようにしてある。真空ポンプPは既存のものを用いることができる。容器2内部を真空引きする必要がないときはキャップCを取り外すことができる。この場合、揺動によって容器2内の溶剤等が飛び出さないようにするため、上部先端に密閉用のキャップ(図示しない)を装着するのがよい。
【0035】
図3の38は制御盤であり、フレーム4の縦板12の上部に設けられている。この制御盤38には動作時間、加熱器の温度調節、加熱時間の設定、固定具7(図1)の昇降、駆動モータMの回転速度や回転方向などを制御できる回路が形成され、それら動作や制御に必要なソフトが組み込まれており、それらを調節したり設定したりする操作ボタンや電源スイッチ39の他、制御状態を表示可能な表示モニタ40等が設けられている。
【0036】
本願発明の撹拌装置には、図示しない温度センサを搭載することもできる。例えば、図1のように、容器2の側板23に開口された円形の孔41に温度センサを配置して、容器周囲の温度(環境温度)を検知することができる。温度センサで検知した温度や、計測条件などの情報は、自動的に外部PCに送信されるようにしておき、データとして活用できるようにしてもよい。
【0037】
(使用例)
本願発明の撹拌装置の使用例について、シリカゲル(粉末)の表面に試薬(アルコール検知剤)をコーティングする場合を一例として説明する。
(1)粉末と溶液で溶解した試薬とを収容した丸底フラスコ(容器2)を、載置台1の上に載置して、容器2の筒状部2bを固定具7の凹部27に挿入する。
(2)エアポンプのスイッチ29(図3)をONにして固定具7を下降させ、図6のように、固定具7で容器2の肩部2cを押さえる。
(3)加熱器3のスイッチ(図示しない)をONにして、加熱器3で容器2内が予め設定した温度になるように加温する。
(4)電源スイッチ39をONにして駆動モータMを駆動させて回転機構8を動作させ、載置台1を回転振動させて、容器2を回転振動させて容器2内の粉末と試薬を攪拌等させることによって、粉末の表面に試薬を万遍なくコーティングする。
(5)前記攪拌中に真空ポンプPのスイッチをONにして、容器2内を真空引きして、容器2内で気化された溶剤を容器2の外に導出する。
【0038】
駆動モータMの回転速度や回転数などの条件は予め設定しておくことが好ましいが、前記制御盤38の操作で動作中に設定を変更することもできる。
【0039】
前記使用例は一例であり、前記各工程は順番を入れ替えて行うこともできる。また、不要な工程は省略することもできる。
【0040】
本発明の攪拌装置の容器2内に二以上の液体や薬品等を入れ、その容器2を前記の場合と同様に回転振動させて、容器2内の二以上の液体や薬品等を攪拌混合することもできる。
【符号の説明】
【0041】
1 載置台
1a 弾性材
2 容器
2a 先端
2b 筒状部
2c 肩部
3 加熱器
4 フレーム
5 支持体
6 受け体
7 固定具
7a 天板
7b 側板
7c 宛て材
8 回転機構
9 回転軸
10 横板
11 支持脚
12 縦板
13 補強板
14 上方支持軸
15 軸受け
16 横長ガイド
17 横長溝
18 連結軸
19 縦長溝
20 縦長ガイド
21 下板
22 背面材
23 側板
24 補強板
25 縦レール
26 縦長孔
27 凹部
28 昇降駆動体
28a ピストン
29 スイッチ
30 周縁カバー
31 第一連結子
32 連結軸
33 第二連結子
34 支持台
35 センサ
36 検知片
37 検知空間
38 制御盤
39 電源スイッチ
40 表示モニタ
41 孔
42 縦レール
43 スライダー
44 横長レール
45 昇降板
45a 突出部
46 回転軸受け
47 軸受け
C キャップ
D ダクト
M 駆動モータ
P 真空ポンプ
R 配置空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を振動させることにより容器内の二以上の被攪拌物を撹拌等する撹拌装置であって、容器を載せることのできる載置台と、駆動モータと、駆動モータの回転により載置台を連続回転させる回転機構を備え、回転機構は載置台を回転軸から偏心位置で連続又は間欠回転させて載置台を上下、左右及び上下左右の間の斜め方向に移動させて、載置台の上に載せた容器をそれら方向に振動させて容器内の被攪拌物を攪拌するようにしたことを特徴とする撹拌装置。
【請求項2】
請求項1記載の撹拌装置において、回転中の載置台を上下方向、左右方向に案内する縦ガイドと横ガイドを設けたことを特徴とする撹拌装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の撹拌装置において、載置台に載せた容器を固定する固定具を備えたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の撹拌装置において、載置台が回転時に前後へ揺動するのを規制する前後揺動規制手段を設けたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の攪拌装置において、容器に容器内を真空引きすることができる真空装置が連結されたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の撹拌装置において、載置台に容器を加温可能な加温手段が設けられたことを特徴とする攪拌装置。
【請求項7】
請求項6記載の撹拌装置において、加温源がカートリッジヒータであることを特徴とする撹拌装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−245453(P2012−245453A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118080(P2011−118080)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(508188237)精研工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】