説明

操作レバーロック装置

【課題】前方の視界を妨げることなく、フォークの不用意な移動を確実に防止する。
【解決手段】フロアパネルFLよりも下方に配設した油圧コントロールバルブ20のバルブ入力部22と、対応する操作レバー10との間をリンク部材60によって連係させ、操作レバー10を介してリンク部材60を上下に移動させることにより、油圧コントロールバルブ20を動作させるものであって、リンク部材60においてフロアパネルFLよりも下方となる位置に設けた係合部材70及びストッパプレート80を備え、ストッパプレート80は、係合部が係合部材70に対して係合する係合位置と係合部が係合部材70から解除された解除位置との間を移動可能となるように配設し、係合位置に配置された場合にはリンク部材60の上下方向に沿った移動を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトの荷役操作を行う操作レバーをロックするための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷役作業を行うフォークリフトには、マストに対してフォークを昇降させたり、マストに対してフォークを左右に移動させるため、あるいは車両に対するマストのチルト角を変更するための複数の油圧シリンダが設けられている。これらの油圧シリンダは、ダッシュボードに設けられた複数の操作レバーを操作することで油圧コントロールバルブを切り替え動作させ、油の供給制御を行うことによって操作者が任意に操作することが可能である。
【0003】
通常、この種のフォークリフトには、フォークが不用意に移動するのを防止するため、操作レバーをロックするための機構が設けられている。例えば、特許文献1では、ダッシュボードのアッパパネル上面にレバーロック装置を配設するとともに、レバーロック装置のスライダをリンクにより操作レバーに連係させるようにしている。スライダには、孔が設けられており、レバーロック装置のピンが挿入可能である。上記のように構成されたレバーロック装置では、ピンをスライダの孔に挿入した状態では、スライダの移動が規制されることになり、リンクを介して連係された操作レバーの移動も規制されることになる。従って、操作レバーが不用意に移動するのを防止することができる。操作レバーを操作する場合には、ピンに連結したソレノイドを励磁させると、スライダの孔からピンが抜き去られるため、スライダの移動ができるようになり、操作レバーの操作が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−86897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、ダッシュボードの近傍にレバーロック装置を設けなければ、レバーロック装置を操作レバーの操作端部に連係させることが困難となる。このため、レバーロック装置によって前方の視界が遮られる恐れがある。仮にレバーロック装置をダッシュボードの内部に収納したとしても、その分、ダッシュボードのアッパパネルの位置を変更しなければならないことになり、前方視界を改善することは困難である。特に、フォークリフトには、複数の操作レバーが設けられている場合が多いため、操作レバー毎に個別のレバーロック装置が必要となる特許文献1に記載のものでは、上述した問題が一層顕著となる。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、前方の視界を妨げることなく、フォークの不用意な移動を確実に防止することのできる操作レバーロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作レバーロック装置は、ダッシュボードに覆われる位置において車両の左右方向に沿って設定された共通のレバー回転軸心を中心として回転可能に配設した複数の操作レバーと、車両の前方部においてフロアパネルよりも下方となる部位に左右方向に沿って並設し、個々の上面にバルブ入力部を有した複数の油圧コントロールバルブと、前記操作レバーの操作基部からそれぞれ下方に向けて互いに平行に延び、対応するバルブ入力部との間を連係する複数のリンク部材とを備え、操作レバーの操作部を介してリンク部材を上下に移動させることにより、バルブ入力部を介して油圧コントロールバルブを動作させるようにしたフォークリフトに適用される操作レバーロック装置であって、前記リンク部材の下方部に設けた係合部材と、前記係合部材に係合可能な係合部を有したストッパ部材とを備え、前記ストッパ部材は、前記係合部が前記係合部材に対して係合する係合位置と前記係合部が前記係合部材から解除された解除位置との間を移動可能となり、前記係合位置に配置された場合には前記リンク部材の上下方向に沿った移動を規制するように配設したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上述の操作レバーロック装置において、前記ストッパ部材は、プレート状を成し、前記係合位置に配置された場合に複数の係合部材のそれぞれに係合して前記リンク部材の上下方向に沿った移動を規制する複数の係合部を有したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上述の操作レバーロック装置において、前記ストッパ部材を移動可能に配設したブラケット本体にアクチュエータを支持させ、前記アクチュエータの駆動によって前記ストッパ部材を前記係合位置と前記解除位置とに移動させるとともに、前記ブラケット本体を介して前記ストッパ部材及び前記アクチュエータを車両に取り付けたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述の操作レバーロック装置において、前記係合部材は、前記ストッパ部材の係合部が係合可能となる寸法を有した係合軸部と、前記係合軸部の上下両端部に設けた太径の係合基部とを有し、前記ストッパ部材が前記係合位置に配置された場合に前記係合軸部と前記係合基部との間に構成される2つの当接端面をそれぞれ前記ストッパ部材に当接させることにより、前記リンク部材の上下方向に沿った移動を規制することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述の操作レバーロック装置において、前記係合部材の係合基部は、前記係合軸部に近接するに従って漸次外径が小さくなるテーパ部を有したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述の操作レバーロック装置において、前記ストッパ部材を常時係合位置に向けて付勢する付勢部材を備え、前記アクチュエータは、前記付勢部材の付勢力に抗して前記ストッパ部材を前記解除位置に移動させるように設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作レバーの操作基部から下方に延びるリンク部材に係合部材を配設し、この係合部材にストッパ部材を係合させることにより、リンク部材を介して操作レバーの移動を規制するようにしているため、ダッシュボードの周囲に大きな部品を配設する必要がない。しかも、複数の操作レバーに対してリンク部材は個別に設ける必要があるものの、ストッパ部材を共用することができるため、操作レバーを複数備えるフォークリフトにあっても、部品点数を大幅に削減することができ、良好な前方視界を確保することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である操作レバーロック装置を適用した荷役操作ユニット部を車両の後方側から見た図である。
【図2】図2は、図1に示した荷役操作ユニット部の断面側面図である。
【図3】図3は、図1に示した荷役操作ユニット部の要部を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1に示した荷役操作ユニット部の要部を示す分解斜視図である。
【図5】図5は、リンク部材に設けた係合部材とストッパ部材との関係を示す拡大斜視図である。
【図6−1】図6−1は、図1に示した荷役操作ユニット部において係合部材とストッパ部材とが係合した係合位置をフロアパネルから見た平面図である。
【図6−2】図6−2は、図1に示した荷役操作ユニット部において係合部材とストッパ部材との係合が解除した解除位置をフロアパネルから見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る操作レバーロック装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である操作レバーロック装置を適用したフォークリフトの要部を示したものである。ここで例示するフォークリフトは、複数の操作レバー10と複数の油圧コントロールバルブ20とを備えて荷役操作ユニット部1を構成しており、操作レバー10の操作により油圧コントロールバルブ20を切り替え動作させ、対応する油圧シリンダ(図示せず)を適宜伸縮させることによって所望の荷役作業を行うものである。図には示していないが、本実施の形態で例示するフォークリフトは、車両の前端部に設けたマストと、マストに対して移動可能に配設したバックレストと、バックレストに対して左右方向に移動可能に配設した一対のフォークとを備えたものである。
【0017】
このフォークリフトには、マストに対してバックレストを昇降させる第1油圧シリンダと、車両に対してマストを前後にチルトさせる第2油圧シリンダと、バックレストをマストに対して左右に移動させる第3油圧シリンダと、バックレストに対して一対のフォークをそれぞれ個別に左右に移動させる第4油圧シリンダ及び第5油圧シリンダとが設けてある。これら5つの油圧シリンダを制御する荷役操作ユニット部1は、油の供給制御を行う5つの油圧コントロールバルブ20を備えるとともに、それぞれの油圧コントロールバルブ20を操作するための5つの操作レバー10を備えている。これら操作レバー10及び油圧コントロールバルブ20は、ユニット支持体30に支持させることによって上述の荷役操作ユニット部1を構成している。
【0018】
操作レバー10は、それぞれが円筒状を成す操作基部11と、操作基部11の外周面から外方に延びる操作部12及び出力部13とを備えて構成したものである。これらの操作レバー10は、操作基部11の中心孔に支持軸部材40を挿通させることにより、支持軸部材40の軸心(レバー回転軸心)40aを中心として回転可能となる状態で互いに並設してある。支持軸部材40は、ユニット支持体30の上端部に設けた支持部材31によって両端部が支持されたもので、フロアパネルFLよりも上方で、車両の前方部に設けたダッシュボード50の天板51及び前板52によって覆われる位置に、車両の左右方向に沿って略水平に配設してある。
【0019】
操作レバー10の操作部12は、それぞれの操作基部11から車両の後方に向けて漸次上方に傾斜するように延びた後、上方に向けて屈曲してダッシュボード50の天板51よりも上方に突出し、さらに車両の後方に向けて屈曲している。操作部12の突出端部には、操作者が把持するためのグリップ14が設けてある。
【0020】
操作レバー10の出力部13は、それぞれの操作基部11から車両の前方に向けて互いに等間隔に突出したもので、個々の突出端部にリンク部材60を支持している。リンク部材60は、横断面が円形で軸心が直線状に延びたロッド状の部材であり、個々の下端部がフロアパネルFLを貫通してその下方に達している。リンク部材60の上端部は、それぞれ操作レバー10の出力部13に対して、車両の左右方向に沿って略水平に延びる軸心を中心として回転可能となるように接続してある。
【0021】
油圧コントロールバルブ20は、直方体状のバルブ本体21を備えたもので、個々のバルブ本体21の一端面にバルブ入力部22を備えている。バルブ入力部22は、図には示していないが、バルブ本体21の内部に配設したスプールをバルブ本体21の外部から切り替え動作させるための操作入力部分であり、バルブ本体21に対して進退移動させた場合に、対応する油圧シリンダ(図示せず)に対して油の供給方向を切り替えるように機能する。尚、図には明示していないが、本実施の形態で適用する油圧コントロールバルブ20は、スプールを中立状態に復帰させるための中立バネを内蔵し、操作レバー10に加えた操作力を除去した場合に中立位置に復帰するように動作する。
【0022】
これらの油圧コントロールバルブ20は、バルブ入力部22を上方に向け、かつバルブ入力部22が車両の左右方向に沿って一列に並ぶ状態で、ユニット支持体30の下端部に支持させてある。図2に示すように、油圧コントロールバルブ20を配設する位置は、フロアパネルFLよりも下方である。
【0023】
それぞれのバルブ入力部22には、係合部材70を介してリンク部材60の下端部が接続してある。係合部材70は、図1及び図5に示すように、リンク部材60とほぼ同じ外径の円柱状を成す係合軸部71と、係合軸部71の上下両端部に設けた太径の係合基部72,73とを有したものである。この係合部材70は、下方の係合基部73を介して油圧コントロールバルブ20のバルブ入力部22に連結してあるとともに、上方の係合基部72を介してリンク部材60の下端部に連結してある。係合部材70の2つの係合基部72,73には、係合軸部71に近接する端部が係合軸部71に向かう従って漸次外径が小さくなるテーパ部72a,73aが形成してある。また、係合軸部71と上下2つの係合基部72,73とは、互いに軸心を合致させた状態にあり、係合軸部71と各係合基部72,73との間に2つの当接端面72b,73bを構成している。当接端面72b,73bは、それぞれ係合軸部71の周囲に円環状に広がる平面であり、係合基部72,73の軸心に直交し、かつ互いに平行となるように設けてある。
【0024】
図1に示すように、油圧コントロールバルブ20のバルブ入力部22は、操作レバー10の出力部13と同じ間隔で左右に並設してある。従って、これら油圧コントロールバルブ20のバルブ入力部22と操作レバー10の出力部13との間を接続するリンク部材60は、互いに等間隔で相互に平行に配置された状態にある。
【0025】
一方、このフォークリフトには、フロアパネルFLよりも下方となる部位にストッパプレート(ストッパ部材)80が配設してある。ストッパプレート80は、図1、図3、図4、図6−1及び図6−2に示すように、並設した5つの油圧コントロールバルブ20の左右方向に沿った合計寸法よりも大きな長さを有し、かつ係合部材70に設けた2つの当接端面72b,73bの相互間距離よりもわずかに小さい板厚を有した板状を成すものである。ストッパプレート80の両端部には、それぞれが長手方向に延び、かつ個々の短辺に開口するガイド溝81が形成してある。このストッパプレート80は、ブラケット本体90を介してユニット支持体30に支持させてある。
【0026】
図4に示すブラケット本体90は、ストッパプレート80とほぼ同等の長さを有した基準板91と、基準板91の両端部に対向する態様で配設した一対のガイド板92,93と、基準板91及びガイド板92の間を連結する連結板94と、基準板91及びガイド板93の間を連結する連結板95と、ガイド板92及び基準板91の間に設けたガイドピン96と、ガイド板93及び基準板91の間に設けたガイドピン97とを備えて構成したものである。このブラケット本体90は、基準板91が油圧コントロールバルブ20の上方域を覆い、かつ基準板91とガイド板92,93との間隙の位置が係合部材70の係合軸部71に合致する状態で、連結板94,95を介してユニット支持体30に取り付けてある。
【0027】
ブラケット本体90に対してストッパプレート80は、両端部のガイド溝81にそれぞれガイドピン96,97を挿通させた状態で両端部が基準板91とガイド板92,93との間に挿入してあり、板厚方向への移動が阻止される一方、ガイドピン96,97がガイド溝81の内部を移動することで長手方向に移動することは可能である。図6−1及び図6−2に示すように、ブラケット本体90の基準板91は、ストッパプレート80が油圧コントロールバルブ20の各バルブ入力部22に直接対向できるように、ガイド板92,93の間に位置する部分の幅が狭く構成してある。
【0028】
ストッパプレート80において油圧コントロールバルブ20の各バルブ入力部22に対応する部分には、それぞれ個別の解除用切欠82が設けてある。解除用切欠82は、ストッパプレート80の一側縁に開口し、かつ係合部材70の係合基部72,73を挿通可能とする大きさの切欠である。それぞれの解除用切欠82には、対応する係合部材70の係合軸部71が配設されている。ストッパプレート80の解除用切欠82には、長手方向に沿った直線上となる位置にそれぞれ係合部83が形成してある。係合部83は、係合部材70の係合軸部71に嵌合可能となる大きさに形成した略半円形状の凹所である。これらの係合部83は、それぞれがストッパプレート80の一方の短辺に向けて開口し(図6−2では左方)、かつ互いの間にリンク部材60の相互間隔に等しい距離を確保して形成してある。図からも明らかなように、係合部83の両側となる部位には、それぞれ一対の傾斜案内面84が形成してある。一対の傾斜案内面84は、係合部83から離隔するに従って漸次相互間距離が大きくなるように形成した平面である。
【0029】
ブラケット本体90には、引張バネ(付勢部材)100及び電磁ソレノイド(アクチュエータ)110が設けてある。引張バネ100は、ブラケット本体90の一方のガイド板92に設けたバネ掛け片98と、ストッパプレート80に設けたバネ掛け部85との間に介在し、ブラケット本体90に対してストッパプレート80を常時一方方向に付勢するものである。引張バネ100が付勢する方向は、図6−1中の矢印aで示すように、ストッパプレート80に形成した係合部83の開口と、これに対向するガイド板92との相互間距離が小さくなる方向である。
【0030】
電磁ソレノイド110は、励磁された場合にソレノイド本体111に対してプランジャ112を縮退方向に移動させるアクチュエータであり、ブラケット本体90に設けたソレノイド支持部99の下面にソレノイド本体111を介して取り付けてある。より具体的には、プランジャ112の先端がストッパプレート80のバネ掛け部85に向き、かつプランジャ112の軸心がストッパプレート80の長手方向に沿う状態で、ソレノイド本体111を介してブラケット本体90のソレノイド支持部99に取り付けてある。プランジャ112の先端部には、ターンバックル113を介してストッパプレート80のバネ掛け部85が接続してある。
【0031】
この電磁ソレノイド110は、消磁されている場合、上述した引張バネ100によってプランジャ112がソレノイド本体111から引き出された状態となる。一方、電磁ソレノイド110が励磁された場合には、引張バネ100の引張力に抗してプランジャ112をソレノイド本体111に引き込むことが可能である。
【0032】
上記のように構成した荷役操作ユニット部1では、運転席(図示せず)に操作者が着座していない場合、電磁ソレノイド110が消磁された状態に維持される。電磁ソレノイド110が消磁された状態では、引張バネ100によって電磁ソレノイド110のプランジャ112がソレノイド本体111から引き出され、図6−1に示すように、ストッパプレート80に設けた係合部83がそれぞれ係合部材70の係合軸部71に嵌合した状態に維持される(係合位置)。係合部材70の係合軸部71がストッパプレート80の係合部83に嵌合した場合には、係合部材70の当接端面72b,73bがそれぞれストッパプレート80に当接することになり、ストッパプレート80に対して係合部材70の軸心方向に沿った移動が阻止される。
【0033】
上述したように、ストッパプレート80は、ブラケット本体90の基準板91とガイド板92,93との間に配設されているため、板厚方向、つまり係合部材70の軸心方向に沿って移動することはない。これらの結果、運転席に操作者が着座していない状態では、係合部材70とストッパプレート80との協働により、すべてのリンク部材60の上下方向に沿った移動が阻止されることになり、仮に操作レバー10の操作部12に外力を加えたとしても、油圧コントロールバルブ20が動作することはなく、フォークの位置や状態が変更することもない。
【0034】
一方、運転席に操作者が着座すると、図示せぬメインコントローラからの指令によって電磁ソレノイド110が励磁され、図6−2に示すように、引張バネ100の引張力に抗してプランジャ112がソレノイド本体111に引き込まれる(解除位置)。この状態においては、ストッパプレート80の係合部83がそれぞれ係合部材70の係合軸部71から離隔して解除用切欠82に位置し、係合部材70の当接端面72b,73bの間からストッパプレート80が逸脱する。従って、この状態から操作レバー10の操作部12を支持軸部材40の軸心40aを中心として回転操作させれば、係合部材70の係合基部72,73が解除用切欠82に進入することでリンク部材60が適宜上下方向に沿って移動することになり、バルブ入力部22を介して油圧コントロールバルブ20を切り替え動作させることができるようになる。
【0035】
さらに、操作者が運転席から離れると、メインコントローラ(図示せず)からの指令によって電磁ソレノイド110が消磁され、引張バネ100によって電磁ソレノイド110のプランジャ112が引き出されて図6−1に示す状態に復帰する(係合位置)。これにより、ストッパプレート80に設けた係合部83がそれぞれ係合部材70の係合軸部71に嵌合し、すべてのリンク部材60の上下方向に沿った移動が阻止されるため、フォークの位置や状態が不用意に移動することなく現在の状態を維持する。
【0036】
このとき、係合軸部71の位置が前後左右にずれていたとしても、係合部83の開口部に設けた傾斜案内面84の作用によって係合軸部71が係合部83に案内されることになる。また、係合軸部71の位置が上下にずれていた場合にも、ストッパプレート80が係合部材70のテーパ部72a,73aに当接するため、テーパ部72a,73aの傾斜作用によって係合軸部71が係合部83に案内されるようになる。
【0037】
このように、上述した荷役操作ユニット部1を備えるフォークリフトによれば、運転席に操作者が着座していない場合、ストッパプレート80を係合部材70に係合させることにより、油圧コントロールバルブ20の動作を防止することができ、フォークの位置や状態が不用意に変更する事態を招来する恐れがない。しかも、複数の係合部材70に対して共通のストッパプレート80を適用するようにしているため、部品点数の増大を抑えることが可能である。
【0038】
さらに、操作レバー10と油圧コントロールバルブ20との間をリンク部材60によって接続するとともに、リンク部材60においてフロアパネルFLよりも下方となる部位に係合部材70を設けるようにしているため、ダッシュボード50の近傍に部品を配置する必要がなく、適用するフォークリフトに良好な前方視界を確保することができる。
【0039】
尚、上述した実施の形態では、ストッパプレート80、電磁ソレノイド110、引張バネ100を共通のブラケット本体90に支持させてユニット化し、このユニット化したものをユニット支持体30に支持させるように構成している。このため、ストッパプレート80、電磁ソレノイド110、引張バネ100に関しては、予め相互の位置決めを実施しておくことで、組立作業の容易化を図ることができる。また、リンク部材60に設けた係合部材70との位置決めについては、ユニット支持体30に対するブラケット本体90の位置を調整すれば良いため、その作業も容易に行うことができる。しかしながら、本発明では、必ずしもブラケット本体90に電磁ソレノイド110や引張バネ100を設ける必要はなく、ユニット支持体30に直接設けるようにしても構わない。
【0040】
また、上述した実施の形態では、5つの操作レバー10と5つの油圧コントロールバルブ20とを備えた、比較的大型のフォークリフトを例示したが、操作レバー10及び油圧コントロールバルブ20の数は必ずしも5つに限らない。
【0041】
さらに、上述した実施の形態では、電磁ソレノイド110が消磁された場合に引張バネ100によってストッパプレート80の係合部83を係合部材70に係合させるように構成しているが、その逆の態様であっても構わない。また、付勢手段として引張バネ100を適用しているが、押圧することによってストッパプレート80の係合部83を係合部材70に係合させるように構成することも可能である。尚、アクチュエータとしては必ずしも電磁ソレノイド110を適用する必要はなく、例えばシリンダ等、その他のアクチュエータを適用しても良い。ストッパ部材としてもプレート状のものを適用する必要はなく、係合部材70に係合してその移動を阻止できれば、如何なる形状のものであっても構わない。
【符号の説明】
【0042】
10 操作レバー
11 操作基部
12 操作部
13 出力部
20 油圧コントロールバルブ
21 バルブ本体
22 バルブ入力部
22 各バルブ入力部
30 ユニット支持体
31 支持部材
40 支持軸部材
40a 軸心
50 ダッシュボード
60 リンク部材
70 係合部材
71 係合軸部
72,73 係合基部
72a,73a テーパ部
72b,73b 当接端面
80 ストッパプレート
82 解除用切欠
83 係合部
90 ブラケット本体
100 引張バネ
110 電磁ソレノイド
FL フロアパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュボードに覆われる位置において車両の左右方向に沿って設定された共通のレバー回転軸心を中心として回転可能に配設した複数の操作レバーと、
車両の前方部においてフロアパネルよりも下方となる部位に左右方向に沿って並設し、個々の上面にバルブ入力部を有した複数の油圧コントロールバルブと、
前記操作レバーの操作基部からそれぞれ下方に向けて互いに平行に延び、対応するバルブ入力部との間を連係する複数のリンク部材と
を備え、操作レバーの操作部を介してリンク部材を上下に移動させることにより、バルブ入力部を介して油圧コントロールバルブを動作させるようにしたフォークリフトに適用される操作レバーロック装置であって、
前記リンク部材の下方部に設けた係合部材と、前記係合部材に係合可能な係合部を有したストッパ部材とを備え、前記ストッパ部材は、前記係合部が前記係合部材に対して係合する係合位置と前記係合部が前記係合部材から解除された解除位置との間を移動可能となり、前記係合位置に配置された場合には前記リンク部材の上下方向に沿った移動を規制するように配設したことを特徴とする操作レバーロック装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材は、プレート状を成し、前記係合位置に配置された場合に複数の係合部材のそれぞれに係合して前記リンク部材の上下方向に沿った移動を規制する複数の係合部を有したことを特徴とする請求項1に記載の操作レバーロック装置。
【請求項3】
前記ストッパ部材を移動可能に配設したブラケット本体にアクチュエータを支持させ、前記アクチュエータの駆動によって前記ストッパ部材を前記係合位置と前記解除位置とに移動させるとともに、前記ブラケット本体を介して前記ストッパ部材及び前記アクチュエータを車両に取り付けたことを特徴とする請求項2に記載の操作レバーロック装置。
【請求項4】
前記係合部材は、前記ストッパ部材の係合部が係合可能となる寸法を有した係合軸部と、前記係合軸部の上下両端部に設けた太径の係合基部とを有し、前記ストッパ部材が前記係合位置に配置された場合に前記係合軸部と前記係合基部との間に構成される2つの当接端面をそれぞれ前記ストッパ部材に当接させることにより、前記リンク部材の上下方向に沿った移動を規制することを特徴とする請求項1に記載の操作レバーロック装置。
【請求項5】
前記係合部材の係合基部は、前記係合軸部に近接するに従って漸次外径が小さくなるテーパ部を有したことを特徴とする請求項4に記載の操作レバーロック装置。
【請求項6】
前記ストッパ部材を常時係合位置に向けて付勢する付勢部材を備え、前記アクチュエータは、前記付勢部材の付勢力に抗して前記ストッパ部材を前記解除位置に移動させるように設けたことを特徴とする請求項3に記載の操作レバーロック装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6−1】
image rotate

【図6−2】
image rotate


【公開番号】特開2013−95520(P2013−95520A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236972(P2011−236972)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【特許番号】特許第5162019号(P5162019)
【特許公報発行日】平成25年3月13日(2013.3.13)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】