操作入力装置
【課題】操作目標が立体表示された操作入力装置であって、立体表示によって機能的な作用効果を高めた操作入力装置を提供すること。
【解決手段】操作を受け付ける操作スイッチ5が操作面10側に設けられたリモコン1は、操作面10から浮かび上がって目視される操作マーク50を検出領域210に対応付けて立体的に表示する表示パネルを有し、何れかの操作スイッチ5に対応する操作マーク50の浮かび上がり量が他の検出領域210とは異なっている。
【解決手段】操作を受け付ける操作スイッチ5が操作面10側に設けられたリモコン1は、操作面10から浮かび上がって目視される操作マーク50を検出領域210に対応付けて立体的に表示する表示パネルを有し、何れかの操作スイッチ5に対応する操作マーク50の浮かび上がり量が他の検出領域210とは異なっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器を動作させるための操作を入力する操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象機器を動作させるための各種操作を入力する操作入力装置として、浮かび上がって立体的に目視される虚像を操作目標として立体表示すると共に、その操作目標に対する非接触操作を実現した入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような非接触操作を可能とした操作入力装置は、濡れ手による操作が必要なキッチンや洗面台、タッチ操作が敬遠されることもある多機能便器等への適用に好適である。
【0003】
しかしながら、前記従来の操作目標を立体表示する操作入力装置では、次のような問題がある。立体表示のない非接触スイッチと比べて機能的な差異が少なく、例えば、数cm以内に近づいた指先を検出する非接触スイッチの場合、操作スイッチを表す平面マーク等があれば実質的に操作目標に困ることも少ない。このように、前記従来の操作入力装置では、立体表示が十分に活用されているとは言えず単に装飾的効果の向上に留まり、立体表示に伴うコストアップに対して操作入力装置本来の機能的な作用効果が十分に高められていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−223102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、操作目標を立体表示する操作入力装置であって、立体表示によって機能的な作用効果を高めた操作入力装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、操作を受け付ける操作スイッチが操作面側に設けられた操作入力装置であって、
操作面から浮かび上がって目視される操作目標を前記操作スイッチに対応付けて立体的に表示する立体表示手段を有し、
何れかの操作スイッチに対応する操作目標の操作面からの浮かび上がり量が時間的に異なるか、あるいは他の操作スイッチが存在している場合であれば、前記浮かび上がり量が他の操作スイッチとは異なっている操作入力装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明の操作入力装置においては、何れかの操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量が時間的に異なるか、あるいは他の操作スイッチとは異なっている。例えば、何れかの操作目標を他の操作目標よりも浮かび上がって見えるように設定すれば、当該何れかの操作目標に対応する操作スイッチを他の操作スイッチよりも強調でき目立たせることができる。また、何れかの操作目標の浮かび上がり量が時間的に異なるような変化を与えれば、対応する操作スイッチの強調度合いに変化を与えることができる。
【0008】
このように、本発明の操作入力装置によれば、前記操作目標を立体表示する際、その浮かび上がり量に応じて対応する操作スイッチの強調度合いに差を設けることができるという機能的な作用効果を実現できる。
【0009】
本発明において、前記操作スイッチが複数の場合であれば、何れかの操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を他の操作スイッチとは異ならせるのみでも良いが、これに加えて、何れかの操作目標の浮かび上がり量を時間的に異ならせることも良い。また、操作頻度の高い操作スイッチや優先度の高い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を大きくし、操作頻度の低い操作スイッチや優先度の低い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を小さくすることも良い。この場合には、操作頻度の高い操作スイッチを強調して目立たせることができ、分かり易い操作性を実現できる。
【0010】
また、複数の操作スイッチの操作順を表す操作パターンを記憶する操作パターン記憶手段と、
該操作パターン記憶手段が記憶する操作パターンを参照して次に操作される可能性が高い操作スイッチを予測する操作予測手段と、を備え、
前記立体表示手段は、次に操作される可能性が高い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を他の操作スイッチよりも大きくすることが好ましい(請求項2)。
【0011】
この場合には、次に操作される可能性が高い操作スイッチを強調できる。次に操作される可能性が高い操作スイッチを順次、強調していけば、対象機器の操作に不慣れな使用者や、対象機器の操作を苦手とする使用者等に対する操作手順のナビゲーションを実現できる。例えば、前記操作パターンとして対象機器の基本的な操作順を設定しておけば、より浮かび上がって見える操作目標に対応する操作スイッチを順番に操作していくだけで対象機器の基本操作が可能になる。さらに、各操作スイッチについて、次に操作される可能性の度合いを計算し、その度合いに応じて操作目標の浮かび上がり量を設定することもできる。
【0012】
なお、前記操作パターン記憶手段に記憶させる操作パターンは、1つのパターンであっても良いが、複数のパターンであっても良い。前記操作パターンとして、操作対象の基本操作に対応するパターンのほか、応用的な操作に対応するパターンを準備しておくことも良い。さらに、複数種類の操作パターンを準備しておき、操作の進行に応じて操作パターンを次第に絞り込んでいくように前記操作予測手段を構成することも良い。このように構成すれば、操作スイッチを予測するための処理負担を軽減できる。
【0013】
また、操作面を基準とした高さ方向に検出領域を有する操作検出手段を備え、
該操作検出手段は、前記操作目標の浮かび上がり量の変動に応じて前記検出領域の前記高さ方向の位置を変化させることが好ましい(請求項3)。
【0014】
この場合には、立体表示される操作目標の浮かび上がり量に応じた前記検出領域を形成でき、非接触操作時の操作感を向上できる。なお、前記検出領域としては、操作面から前記高さ方向に拡がる領域であっても良いが、より好ましくは、操作面からの高さ方向の範囲が所定範囲に限定された領域であることが良い。
なお、前記操作検出手段としては、光センサ、光電センサ、電波センサ、超音波センサ、赤外線センサ、静電容量センサ、焦電センサなど様々なセンサを利用した手段を採用できる。
【0015】
さらに、指先等により光が遮られたときに操作を検出する光遮断式センサを採用することも良い。この場合には、周囲から窪む凹部の底部に操作面を設定すると共に、凹部の内周側面に発光部及び受光部を設けることが良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、リモコンを見上げるように見込む斜視図。
【図2】実施例1における、リモコンを正面側から見込む斜視図。
【図3】実施例1における、操作の様子を説明する説明図。
【図4】実施例1における、表示パネルの積層構造を示す組立斜視図。
【図5】実施例1における、リモコンのシステム構成を示すブロック図。
【図6】実施例1における、その他の導光板を示す斜視図。
【図7】実施例2における、表示パネルの積層構造を示す組立斜視図。
【図8】実施例2における、リモコンのシステム構成を示すブロック図。
【図9】実施例2における、操作の様子を示す説明図。
【図10】実施例2における、操作パターン記憶手段が記憶する操作パターンを説明する説明図。
【図11】実施例2における、操作マークの浮き上がり量の変動パターンを例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例1)
本例は、操作マーク(操作目標)を立体表示するリモコン1に関する例である。この内容について、図1〜図6を用いて説明する。
本例のリモコン1は、図1及び図2のごとく、図示しないシャワー機能付きの便器を遠隔操作するための操作入力装置である。このリモコン1は、細長い箱状の筐体11を有し、例えば、トイレルームの壁等、便座に着座中の使用者が操作し易い位置に設置される。このリモコン1の操作面10は、トイレルーム側の表面に形成されている。
【0018】
リモコン1の操作面10は、凸凹のない平滑面により構成されている。操作面10側には、5箇所の操作スイッチ5が設けられている。操作スイッチ5としては、左側から順番に、停止スイッチ5A、臀部シャワーのシャワースイッチ5B、ビデスイッチ5C、乾燥スイッチ5D、水洗スイッチ5Eが配置されている。
【0019】
各操作スイッチ5は、図1〜図3のごとく、立体表示された操作マーク50と、操作を検出する検出領域210と、の組合せにより構成された非接触の操作スイッチである。本例のリモコン1では、全ての操作マーク50が立体表示されている一方、停止スイッチ5A及び水洗スイッチ5Eに対応する操作マーク50の浮かび上がり量(図中、Fで示す寸法。)が、他の操作スイッチ5B〜Dよりも大きくなっている(図1参照。)。このリモコン1では、操作マーク50の浮かび上がり量に相当する高さに検出領域210が設定されている。それ故、リモコン1では、何れかの操作マーク50を指先等で触れるように操作することで、対応する操作スイッチ5を非接触で操作可能である。
【0020】
リモコン1の操作面10には、図2及び図3のごとく、操作マーク50を立体表示する表示パネル(立体表示手段)4が配設されている。操作面10における表示パネル4の上側及び下側には、被検出対象に向けて光を投射する測距LEDを含む発光部312、光の入射位置に応じた電気信号を出力する受光素子であるPSD(Position Sensitive Device:位置検出素子)を含む受光部311が配設されている。本例のリモコン1では、発光部312と受光部311との組合せにより操作検出センサ31が形成されている。この操作検出センサ31は、各操作スイッチ5に対応してそれぞれ設けられている。
【0021】
表示パネル4は、図2〜図4のごとく、トイレルーム側に面する側から順番に、レンチキュラーシート40、照明用の導光板43が積層されたシート状のパネルである。
レンチキュラーシート40は、立体的に浮き上がって目視される操作マーク50を表示するシート状部材である。レンチキュラーシート40は、レンチキュラーレンズ41と、3D画像がプリントされた3D画像シート42と、の2層構造を有している。
【0022】
3D画像シート42は、操作マーク50の元絵となる3D画像が透明シートの表面に印刷されたシートである。3D画像シート42では、左目用の像が印刷された短冊状の左像エリア421と、右目用の像が印刷された短冊状の右像エリア422と、が交互に配置されている。なお、本例では、導光板43による照明効果が高くなるよう、透光性塗料によって3D画像が印刷されている。
【0023】
レンチキュラーレンズ41は、1組の左像エリア421及び右像エリア422を覆う畝状の凸部411を、エリア421・422の組毎に複数設けた透明シートである。畝状の凸部411の1本1本は、3D画像シート42の左目用の像を観者の左目の網膜に結像させ、右目用の像を右目の網膜に結像させるレンズ機能を備えている。
【0024】
レンチキュラーレンズ41を介して3D画像シート42を見込んだとき、観者の右目で右目用の像が視認され、左目で左目用の像が視認される。本例の3D画像シート42では、右目用の像、左目用の像として、いわゆる立体視効果を生じさせるステレオ画像が設定されており、立体的に浮かび上がる操作マーク50を観者に目視させることが可能である。
【0025】
導光板43は、図2〜図4のごとく、3色のLEDを含む照明ユニット433が外周側部に配置されたアクリル製シートである。照明ユニット433の光は、外部との境界面で反射を繰り返しながらシート内部に拡散する。このように光が拡散すれば、導光板43全体を均一性高く発光させることができる。上記のごとく、本例では、操作マーク50の元絵となる3D画像が透光性塗料により印刷されている。そのため、導光板43の照明によれば、操作マーク50をステンドグラスのごとく発光させることが可能である。
【0026】
さらに、本例の導光板43には、各操作スイッチ5A〜Eを区分する仕切り431が設けられている。仕切り431で区分された区画には、個別に照明ユニット433が設けられており、各操作スイッチ5A〜Eに対応する操作マーク50を異なる色味で発光させることが可能である。
【0027】
リモコン1の内部には、図5のごとく、各操作スイッチ5A〜E毎の操作検出センサ31及び赤外線送信器33が電気的に接続された制御基板2が収容されている。制御基板2には、各操作検出センサ31を制御する検出制御部21、操作の有無を判断する操作検出部22、操作に応じて赤外線送信器33を制御する送信制御部23が配設されている。本例のリモコン1では、操作検出センサ31、検出制御部21、操作検出部22の組み合わせにより操作検出手段が構成されている。
【0028】
検出制御部21は、操作検出センサ31による受発光動作が同期して実行されるように発光部312及び受光部311を制御すると共に、受光部311を構成するPSDの出力信号であるセンサ信号を取り込んで操作検出部22に入力する。
操作検出部22は、操作検出センサ31のセンサ信号に基づいてPSDに対する反射光の入射位置を特定し、三角測量の原理により被検出対象までの距離を計測する。操作検出部22は、検出領域210に対応する範囲内の距離が計測されたときに操作有りと判断して操作検出信号を出力する。なお、操作検出信号には、何れの操作スイッチ5に対応する信号であるかを表すスイッチIDが含まれている。
【0029】
送信制御部23は、操作検出部22の操作検出信号を受信したとき、赤外線送信器33を制御して対応する赤外線信号を出力させる。例えば、シャワースイッチ5Bが操作されたときには、臀部シャワーのスタート信号に当たる赤外線信号を出力するように赤外線送信器33を動作させる。
【0030】
以上のような構成の本例のリモコン1では、各操作スイッチ5A〜Eに対応する操作マーク50が立体表示されている。このリモコン1によれば、操作面10に触れることなく非接触操作によりシャワー機能付きの便器を操作可能である。さらに、このリモコン1では、停止スイッチ5A及び水洗スイッチ5Eの操作マーク50の浮かび上がり量が他の操作マーク50よりも大きく設定されている。水洗スイッチ5Eを強調して目立たせれば、便器を洗浄するという必須の操作方法を使用者に直感的に把握させることが可能になる。また、シャワースイッチ5Bやビデスイッチ5C等よりも停止スイッチ5Aを強調すれば、意図しない臀部シャワーやビデシャワーの動作が発生するおそれを抑制できる。
【0031】
さらに、本例のリモコン1では、各操作スイッチ5A〜Eの操作マーク50を個別に照明可能である。操作マーク50の明るさや色合いを個別に設定すれば、明るさや色合いによって特定の操作スイッチ5を強調することも可能である。浮かび上がり量に加えて明るさや色合いを異ならせれば、操作スイッチ5の強調効果を一層高めることができる。
【0032】
なお、本例の導光板43の仕切り431(図4)を省略する一方、図6のごとく、何れかの操作スイッチ5に対応する領域435(同図中では、停止スイッチ5Aに対応する領域を例示。)のみ、他とは異なる赤みを帯びた導光板43を採用することも良い。この場合には、停止スイッチ5Aの操作マーク50のみ、赤みを帯びた色合いで表示できる。
また、本例のリモコン1では、停止スイッチ5A及び水洗スイッチ5Eの操作マーク50の浮かび上がり量を大きく設定したが、他の操作スイッチ5の浮かび上がり量を大きく設定することも良い。
【0033】
なお、本例では、レンチキュラーレンズ41を利用して操作マーク50の立体表示を実現したが、立体表示の方法としては、本例のレンチキュラー方式に代えて、スリットや液晶等を利用して左右の目に異なる像を結像させて立体表示を実現するパララックスバリア(視差バリア)方式や、ホログラムによる立体表示を可能とするホログラフィー方式や、マイクロレンズアレイ等、他の立体表示方法を採用することもできる。
【0034】
なお、本例の測距LEDとPSDとの組合せによる操作検出センサ31に代えて、スリット光を所定角度で投射する発光部と、反射光を受光する受光部と、を組み合わせた操作検出センサを採用することもできる。この場合、操作マーク50の浮き上がり量に対応する高さに検出領域210が設定されるように発光部の投射角度を調整する必要がある。受光部に対する反射光の入射に応じて、検出領域210に差し入れられた指先等を検出できる。
【0035】
なお、本例は、シャワー機能付きの便器を操作するためのリモコン1に関する例であるが、操作対象としては、給湯装置や、空調設備や、給水装置等であっても良い。さらに、本例の操作入力装置を対象機器に組み込むことも可能である。
【0036】
(実施例2)
本例は、実施例1のリモコンに基づいて、各操作スイッチ5A〜Eの操作マーク50の浮かび上がり量を変更可能に構成した例である。この内容について、図7〜図11を参照して説明する。
本例のリモコン1では、図7及び図8のごとく、バックライト付きの液晶ディスプレイ45の表示面450にレンチキュラーレンズ41を貼り付けた表示パネル4に変更されている。また、制御基板2には、操作パターン記憶手段26、操作を予測する操作予測手段25、液晶ディスプレイ45を制御する表示制御部27が追加的に設けられている。
【0037】
本例の表示パネル4によれば、実施例1と同様、操作マーク50を立体表示させることが可能である。実施例1との相違点は、表示制御部27の制御により3D画像を切換表示できる点にある。3D画像を切換表示すれば、操作マーク50の浮き上がり量を変更可能である。本例では、後で詳しく説明する操作予測手段25の予測結果に応じて液晶ディスプレイ45に表示される3D画像を切り換えている。なお、本例では、液晶ディスプレイ45に表示させる様々なパターンの3D画像を予めROM等の記憶素子に記憶させてある。本例に代えて、所望の立体効果を実現するための3D画像を随時、計算して求めて液晶ディスプレイ45に表示させることもできる。
【0038】
本例の操作検出部22は、図9のごとく、対応する操作マーク50の浮かび上がり量に応じて検出領域210の高さ方向の位置を変更する。具体的には、操作検出部22による計測距離について、操作有りと判断するための距離範囲を変更することにより検出領域210の高さ方向の位置を変更する。操作検出部22は、計測距離が所定の距離範囲内であったとき、検出領域210内で指先等が検出されたとして操作有りと判断する。
【0039】
操作パターン記憶手段26は、操作対象であるシャワー機能付きの便器の様々な操作パターンを記憶する手段である。操作パターンとしては、図10に示すごとく、シャワースイッチ5Bを起点とした操作パターンA〜Cや、ビデスイッチ5Cを起点とした操作パターンD〜Fなど、多様な操作パターンが記憶されている。同図中の横軸の丸囲み数字は、操作順を示している。
【0040】
操作予測手段25は、次に操作される可能性が高い操作スイッチ5を予測する手段である。操作予測手段25は、操作パターン記憶手段26が記憶する操作パターンを参照して、次に操作される可能性が高い操作スイッチ5を予測する。例えば、図10に例示する操作パターンを参照すれば、最初に操作される操作スイッチがシャワースイッチ5Bあるいはビデスイッチ5Cである可能性が高いと予測できる。このとき、表示パネル4では、予測された操作スイッチ5に対応する操作マーク50の浮き上がり量を大きくする3D画像への表示切換が実行される。
【0041】
実際にシャワースイッチ5Bが操作された場合には、操作パターンA〜Cへの絞込みが可能となる。操作パターンA〜Cに基づけば、停止スイッチ5Aが次に操作される可能性が高いと予測できる。その後、実際に停止スイッチ5Aが操作された後で、水洗スイッチ5Eが操作されれば、さらに、操作パターンA、Bへの絞り込みが可能になる。
【0042】
以上のような構成の本例のリモコンでは、図11のごとく、浮き上がり量が大きい操作マーク50が操作の流れに応じて変動する。例えば、何れの操作スイッチ5も未操作であるときには、同図中上段のようにシャワースイッチ5B、ビデスイッチ5Cの操作マーク50の浮き上がり量が大きく設定される。その後、シャワースイッチ5Bあるいはビデスイッチ5Cが操作された後では、中段に示すように停止スイッチ5Aの操作マーク50の浮き上がり量が大きくなる。そして、停止スイッチ5Aが操作されると、下段に示すように乾燥スイッチ5D及び水洗スイッチ5Eの操作マーク50の浮き上がり量が大きくなる。なお、同図では、リモコン1本体の図示を省略してある。
【0043】
本例のリモコン1によれば、操作マーク50の浮き上がり量に応じて次に操作される可能性が高い操作スイッチ5を強調でき、これにより、使用者に対して操作手順をナビゲーション可能である。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0044】
なお、本例では、予め定められた数種類の操作パターンを操作パターン記憶手段26に記憶させた例である。これに加えて、シャワー機能付きの便器が実際に使用されて新たな操作パターンが現れたとき、随時、操作パターンを追加的に記憶していくことも良い。
さらに、操作パターン記憶手段26が記憶する各操作パターンについて選択可能性の度合いを設定し、実際の使用状況を反映して選択可能性の度合いに差を設けていくことも良い。この場合には、選択可能性が高い操作パターンの操作スイッチ5ほど、操作可能性が高く予測されるようになる。例えば、図10中の操作パターンD〜Fよりも操作パターンA〜Cの方が選択可能性が高いような場合であれば、図11中の上段で、ビデスイッチ5Cよりもシャワースイッチ5Bの操作可能性が高くなるので、シャワースイッチ5Bに対応する操作マーク50の浮き上がり量をさらに大きくすれば良い。
【0045】
なお、本例の測距LEDとPSDとの組合せによる操作検出センサ31に代えて、次に示す3種類の操作検出センサを採用することもできる。
第1の操作検出センサは、受光部と発光部とを同じ位置に設けると共に、投射光に対する反射光の減衰割合に応じて距離計測を実現するセンサである。
第2の操作検出センサは、スリット光を所定角度で投射する発光部と、反射光を受光する受光部と、の組合せを複数設けたセンサである。この操作検出センサでは、受発光部の組毎に検出領域の高さ設定が相違している。操作マークの浮き上がり量に応じて操作検出用の受発光部の組合せを選択すれば、検出領域の高さを変更可能である。
第3の操作検出センサは、光を投射する発光部に対して、異なる入射角の反射光を選択的に受光する複数の受光部を組み合わせたセンサである。この操作検出センサでは、被検出対象までの距離に応じて反射光が入射する受光部が切り換わる。操作検出用の受光部を選択することで検出領域の高さを変更可能である。
【0046】
なお、本例の操作入力装置は、5個の操作スイッチ5A〜Eを含むリモコン1である。操作スイッチを1個だけ有する操作入力装置について、その操作スイッチの操作マークの浮き上がり量を時間的に変動させることも良い。さらに、この操作入力装置を水栓等に組み込むことも良い。例えば、この操作入力装置を吐止水スイッチに適用する場合であれば、止水中は浮き上がり量を小さく、吐水中は浮き上がり量を大きくすることも良い。意図しない吐水開始を未然に回避できると共に、止水操作を速やかに行うことができるようになる。
【0047】
以上、実施例1及び2のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、シャワー機能付きの便器のリモコンに限らず、水栓の吐止水スイッチや、流量や温度等を調整するスイッチに本発明の操作入力装置を用いることも良い。これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0048】
1…リモコン(操作入力装置)、10…操作面、2…制御基板、21…検出制御部、22…操作検出部、23…送信制御部、25…操作予測手段、26…操作パターン記憶手段、27…表示制御部、210…検出領域、31…操作検出センサ、311…受光部、312…発光部、4…表示パネル(立体表示手段)、40…レンチキュラーシート、41…レンチキュラーレンズ、42…3D画像シート、43…導光板、45…液晶ディスプレイ、5…操作スイッチ、50…操作マーク(操作目標)
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器を動作させるための操作を入力する操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、対象機器を動作させるための各種操作を入力する操作入力装置として、浮かび上がって立体的に目視される虚像を操作目標として立体表示すると共に、その操作目標に対する非接触操作を実現した入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような非接触操作を可能とした操作入力装置は、濡れ手による操作が必要なキッチンや洗面台、タッチ操作が敬遠されることもある多機能便器等への適用に好適である。
【0003】
しかしながら、前記従来の操作目標を立体表示する操作入力装置では、次のような問題がある。立体表示のない非接触スイッチと比べて機能的な差異が少なく、例えば、数cm以内に近づいた指先を検出する非接触スイッチの場合、操作スイッチを表す平面マーク等があれば実質的に操作目標に困ることも少ない。このように、前記従来の操作入力装置では、立体表示が十分に活用されているとは言えず単に装飾的効果の向上に留まり、立体表示に伴うコストアップに対して操作入力装置本来の機能的な作用効果が十分に高められていないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−223102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、操作目標を立体表示する操作入力装置であって、立体表示によって機能的な作用効果を高めた操作入力装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、操作を受け付ける操作スイッチが操作面側に設けられた操作入力装置であって、
操作面から浮かび上がって目視される操作目標を前記操作スイッチに対応付けて立体的に表示する立体表示手段を有し、
何れかの操作スイッチに対応する操作目標の操作面からの浮かび上がり量が時間的に異なるか、あるいは他の操作スイッチが存在している場合であれば、前記浮かび上がり量が他の操作スイッチとは異なっている操作入力装置にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0007】
本発明の操作入力装置においては、何れかの操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量が時間的に異なるか、あるいは他の操作スイッチとは異なっている。例えば、何れかの操作目標を他の操作目標よりも浮かび上がって見えるように設定すれば、当該何れかの操作目標に対応する操作スイッチを他の操作スイッチよりも強調でき目立たせることができる。また、何れかの操作目標の浮かび上がり量が時間的に異なるような変化を与えれば、対応する操作スイッチの強調度合いに変化を与えることができる。
【0008】
このように、本発明の操作入力装置によれば、前記操作目標を立体表示する際、その浮かび上がり量に応じて対応する操作スイッチの強調度合いに差を設けることができるという機能的な作用効果を実現できる。
【0009】
本発明において、前記操作スイッチが複数の場合であれば、何れかの操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を他の操作スイッチとは異ならせるのみでも良いが、これに加えて、何れかの操作目標の浮かび上がり量を時間的に異ならせることも良い。また、操作頻度の高い操作スイッチや優先度の高い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を大きくし、操作頻度の低い操作スイッチや優先度の低い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を小さくすることも良い。この場合には、操作頻度の高い操作スイッチを強調して目立たせることができ、分かり易い操作性を実現できる。
【0010】
また、複数の操作スイッチの操作順を表す操作パターンを記憶する操作パターン記憶手段と、
該操作パターン記憶手段が記憶する操作パターンを参照して次に操作される可能性が高い操作スイッチを予測する操作予測手段と、を備え、
前記立体表示手段は、次に操作される可能性が高い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を他の操作スイッチよりも大きくすることが好ましい(請求項2)。
【0011】
この場合には、次に操作される可能性が高い操作スイッチを強調できる。次に操作される可能性が高い操作スイッチを順次、強調していけば、対象機器の操作に不慣れな使用者や、対象機器の操作を苦手とする使用者等に対する操作手順のナビゲーションを実現できる。例えば、前記操作パターンとして対象機器の基本的な操作順を設定しておけば、より浮かび上がって見える操作目標に対応する操作スイッチを順番に操作していくだけで対象機器の基本操作が可能になる。さらに、各操作スイッチについて、次に操作される可能性の度合いを計算し、その度合いに応じて操作目標の浮かび上がり量を設定することもできる。
【0012】
なお、前記操作パターン記憶手段に記憶させる操作パターンは、1つのパターンであっても良いが、複数のパターンであっても良い。前記操作パターンとして、操作対象の基本操作に対応するパターンのほか、応用的な操作に対応するパターンを準備しておくことも良い。さらに、複数種類の操作パターンを準備しておき、操作の進行に応じて操作パターンを次第に絞り込んでいくように前記操作予測手段を構成することも良い。このように構成すれば、操作スイッチを予測するための処理負担を軽減できる。
【0013】
また、操作面を基準とした高さ方向に検出領域を有する操作検出手段を備え、
該操作検出手段は、前記操作目標の浮かび上がり量の変動に応じて前記検出領域の前記高さ方向の位置を変化させることが好ましい(請求項3)。
【0014】
この場合には、立体表示される操作目標の浮かび上がり量に応じた前記検出領域を形成でき、非接触操作時の操作感を向上できる。なお、前記検出領域としては、操作面から前記高さ方向に拡がる領域であっても良いが、より好ましくは、操作面からの高さ方向の範囲が所定範囲に限定された領域であることが良い。
なお、前記操作検出手段としては、光センサ、光電センサ、電波センサ、超音波センサ、赤外線センサ、静電容量センサ、焦電センサなど様々なセンサを利用した手段を採用できる。
【0015】
さらに、指先等により光が遮られたときに操作を検出する光遮断式センサを採用することも良い。この場合には、周囲から窪む凹部の底部に操作面を設定すると共に、凹部の内周側面に発光部及び受光部を設けることが良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1における、リモコンを見上げるように見込む斜視図。
【図2】実施例1における、リモコンを正面側から見込む斜視図。
【図3】実施例1における、操作の様子を説明する説明図。
【図4】実施例1における、表示パネルの積層構造を示す組立斜視図。
【図5】実施例1における、リモコンのシステム構成を示すブロック図。
【図6】実施例1における、その他の導光板を示す斜視図。
【図7】実施例2における、表示パネルの積層構造を示す組立斜視図。
【図8】実施例2における、リモコンのシステム構成を示すブロック図。
【図9】実施例2における、操作の様子を示す説明図。
【図10】実施例2における、操作パターン記憶手段が記憶する操作パターンを説明する説明図。
【図11】実施例2における、操作マークの浮き上がり量の変動パターンを例示する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例1)
本例は、操作マーク(操作目標)を立体表示するリモコン1に関する例である。この内容について、図1〜図6を用いて説明する。
本例のリモコン1は、図1及び図2のごとく、図示しないシャワー機能付きの便器を遠隔操作するための操作入力装置である。このリモコン1は、細長い箱状の筐体11を有し、例えば、トイレルームの壁等、便座に着座中の使用者が操作し易い位置に設置される。このリモコン1の操作面10は、トイレルーム側の表面に形成されている。
【0018】
リモコン1の操作面10は、凸凹のない平滑面により構成されている。操作面10側には、5箇所の操作スイッチ5が設けられている。操作スイッチ5としては、左側から順番に、停止スイッチ5A、臀部シャワーのシャワースイッチ5B、ビデスイッチ5C、乾燥スイッチ5D、水洗スイッチ5Eが配置されている。
【0019】
各操作スイッチ5は、図1〜図3のごとく、立体表示された操作マーク50と、操作を検出する検出領域210と、の組合せにより構成された非接触の操作スイッチである。本例のリモコン1では、全ての操作マーク50が立体表示されている一方、停止スイッチ5A及び水洗スイッチ5Eに対応する操作マーク50の浮かび上がり量(図中、Fで示す寸法。)が、他の操作スイッチ5B〜Dよりも大きくなっている(図1参照。)。このリモコン1では、操作マーク50の浮かび上がり量に相当する高さに検出領域210が設定されている。それ故、リモコン1では、何れかの操作マーク50を指先等で触れるように操作することで、対応する操作スイッチ5を非接触で操作可能である。
【0020】
リモコン1の操作面10には、図2及び図3のごとく、操作マーク50を立体表示する表示パネル(立体表示手段)4が配設されている。操作面10における表示パネル4の上側及び下側には、被検出対象に向けて光を投射する測距LEDを含む発光部312、光の入射位置に応じた電気信号を出力する受光素子であるPSD(Position Sensitive Device:位置検出素子)を含む受光部311が配設されている。本例のリモコン1では、発光部312と受光部311との組合せにより操作検出センサ31が形成されている。この操作検出センサ31は、各操作スイッチ5に対応してそれぞれ設けられている。
【0021】
表示パネル4は、図2〜図4のごとく、トイレルーム側に面する側から順番に、レンチキュラーシート40、照明用の導光板43が積層されたシート状のパネルである。
レンチキュラーシート40は、立体的に浮き上がって目視される操作マーク50を表示するシート状部材である。レンチキュラーシート40は、レンチキュラーレンズ41と、3D画像がプリントされた3D画像シート42と、の2層構造を有している。
【0022】
3D画像シート42は、操作マーク50の元絵となる3D画像が透明シートの表面に印刷されたシートである。3D画像シート42では、左目用の像が印刷された短冊状の左像エリア421と、右目用の像が印刷された短冊状の右像エリア422と、が交互に配置されている。なお、本例では、導光板43による照明効果が高くなるよう、透光性塗料によって3D画像が印刷されている。
【0023】
レンチキュラーレンズ41は、1組の左像エリア421及び右像エリア422を覆う畝状の凸部411を、エリア421・422の組毎に複数設けた透明シートである。畝状の凸部411の1本1本は、3D画像シート42の左目用の像を観者の左目の網膜に結像させ、右目用の像を右目の網膜に結像させるレンズ機能を備えている。
【0024】
レンチキュラーレンズ41を介して3D画像シート42を見込んだとき、観者の右目で右目用の像が視認され、左目で左目用の像が視認される。本例の3D画像シート42では、右目用の像、左目用の像として、いわゆる立体視効果を生じさせるステレオ画像が設定されており、立体的に浮かび上がる操作マーク50を観者に目視させることが可能である。
【0025】
導光板43は、図2〜図4のごとく、3色のLEDを含む照明ユニット433が外周側部に配置されたアクリル製シートである。照明ユニット433の光は、外部との境界面で反射を繰り返しながらシート内部に拡散する。このように光が拡散すれば、導光板43全体を均一性高く発光させることができる。上記のごとく、本例では、操作マーク50の元絵となる3D画像が透光性塗料により印刷されている。そのため、導光板43の照明によれば、操作マーク50をステンドグラスのごとく発光させることが可能である。
【0026】
さらに、本例の導光板43には、各操作スイッチ5A〜Eを区分する仕切り431が設けられている。仕切り431で区分された区画には、個別に照明ユニット433が設けられており、各操作スイッチ5A〜Eに対応する操作マーク50を異なる色味で発光させることが可能である。
【0027】
リモコン1の内部には、図5のごとく、各操作スイッチ5A〜E毎の操作検出センサ31及び赤外線送信器33が電気的に接続された制御基板2が収容されている。制御基板2には、各操作検出センサ31を制御する検出制御部21、操作の有無を判断する操作検出部22、操作に応じて赤外線送信器33を制御する送信制御部23が配設されている。本例のリモコン1では、操作検出センサ31、検出制御部21、操作検出部22の組み合わせにより操作検出手段が構成されている。
【0028】
検出制御部21は、操作検出センサ31による受発光動作が同期して実行されるように発光部312及び受光部311を制御すると共に、受光部311を構成するPSDの出力信号であるセンサ信号を取り込んで操作検出部22に入力する。
操作検出部22は、操作検出センサ31のセンサ信号に基づいてPSDに対する反射光の入射位置を特定し、三角測量の原理により被検出対象までの距離を計測する。操作検出部22は、検出領域210に対応する範囲内の距離が計測されたときに操作有りと判断して操作検出信号を出力する。なお、操作検出信号には、何れの操作スイッチ5に対応する信号であるかを表すスイッチIDが含まれている。
【0029】
送信制御部23は、操作検出部22の操作検出信号を受信したとき、赤外線送信器33を制御して対応する赤外線信号を出力させる。例えば、シャワースイッチ5Bが操作されたときには、臀部シャワーのスタート信号に当たる赤外線信号を出力するように赤外線送信器33を動作させる。
【0030】
以上のような構成の本例のリモコン1では、各操作スイッチ5A〜Eに対応する操作マーク50が立体表示されている。このリモコン1によれば、操作面10に触れることなく非接触操作によりシャワー機能付きの便器を操作可能である。さらに、このリモコン1では、停止スイッチ5A及び水洗スイッチ5Eの操作マーク50の浮かび上がり量が他の操作マーク50よりも大きく設定されている。水洗スイッチ5Eを強調して目立たせれば、便器を洗浄するという必須の操作方法を使用者に直感的に把握させることが可能になる。また、シャワースイッチ5Bやビデスイッチ5C等よりも停止スイッチ5Aを強調すれば、意図しない臀部シャワーやビデシャワーの動作が発生するおそれを抑制できる。
【0031】
さらに、本例のリモコン1では、各操作スイッチ5A〜Eの操作マーク50を個別に照明可能である。操作マーク50の明るさや色合いを個別に設定すれば、明るさや色合いによって特定の操作スイッチ5を強調することも可能である。浮かび上がり量に加えて明るさや色合いを異ならせれば、操作スイッチ5の強調効果を一層高めることができる。
【0032】
なお、本例の導光板43の仕切り431(図4)を省略する一方、図6のごとく、何れかの操作スイッチ5に対応する領域435(同図中では、停止スイッチ5Aに対応する領域を例示。)のみ、他とは異なる赤みを帯びた導光板43を採用することも良い。この場合には、停止スイッチ5Aの操作マーク50のみ、赤みを帯びた色合いで表示できる。
また、本例のリモコン1では、停止スイッチ5A及び水洗スイッチ5Eの操作マーク50の浮かび上がり量を大きく設定したが、他の操作スイッチ5の浮かび上がり量を大きく設定することも良い。
【0033】
なお、本例では、レンチキュラーレンズ41を利用して操作マーク50の立体表示を実現したが、立体表示の方法としては、本例のレンチキュラー方式に代えて、スリットや液晶等を利用して左右の目に異なる像を結像させて立体表示を実現するパララックスバリア(視差バリア)方式や、ホログラムによる立体表示を可能とするホログラフィー方式や、マイクロレンズアレイ等、他の立体表示方法を採用することもできる。
【0034】
なお、本例の測距LEDとPSDとの組合せによる操作検出センサ31に代えて、スリット光を所定角度で投射する発光部と、反射光を受光する受光部と、を組み合わせた操作検出センサを採用することもできる。この場合、操作マーク50の浮き上がり量に対応する高さに検出領域210が設定されるように発光部の投射角度を調整する必要がある。受光部に対する反射光の入射に応じて、検出領域210に差し入れられた指先等を検出できる。
【0035】
なお、本例は、シャワー機能付きの便器を操作するためのリモコン1に関する例であるが、操作対象としては、給湯装置や、空調設備や、給水装置等であっても良い。さらに、本例の操作入力装置を対象機器に組み込むことも可能である。
【0036】
(実施例2)
本例は、実施例1のリモコンに基づいて、各操作スイッチ5A〜Eの操作マーク50の浮かび上がり量を変更可能に構成した例である。この内容について、図7〜図11を参照して説明する。
本例のリモコン1では、図7及び図8のごとく、バックライト付きの液晶ディスプレイ45の表示面450にレンチキュラーレンズ41を貼り付けた表示パネル4に変更されている。また、制御基板2には、操作パターン記憶手段26、操作を予測する操作予測手段25、液晶ディスプレイ45を制御する表示制御部27が追加的に設けられている。
【0037】
本例の表示パネル4によれば、実施例1と同様、操作マーク50を立体表示させることが可能である。実施例1との相違点は、表示制御部27の制御により3D画像を切換表示できる点にある。3D画像を切換表示すれば、操作マーク50の浮き上がり量を変更可能である。本例では、後で詳しく説明する操作予測手段25の予測結果に応じて液晶ディスプレイ45に表示される3D画像を切り換えている。なお、本例では、液晶ディスプレイ45に表示させる様々なパターンの3D画像を予めROM等の記憶素子に記憶させてある。本例に代えて、所望の立体効果を実現するための3D画像を随時、計算して求めて液晶ディスプレイ45に表示させることもできる。
【0038】
本例の操作検出部22は、図9のごとく、対応する操作マーク50の浮かび上がり量に応じて検出領域210の高さ方向の位置を変更する。具体的には、操作検出部22による計測距離について、操作有りと判断するための距離範囲を変更することにより検出領域210の高さ方向の位置を変更する。操作検出部22は、計測距離が所定の距離範囲内であったとき、検出領域210内で指先等が検出されたとして操作有りと判断する。
【0039】
操作パターン記憶手段26は、操作対象であるシャワー機能付きの便器の様々な操作パターンを記憶する手段である。操作パターンとしては、図10に示すごとく、シャワースイッチ5Bを起点とした操作パターンA〜Cや、ビデスイッチ5Cを起点とした操作パターンD〜Fなど、多様な操作パターンが記憶されている。同図中の横軸の丸囲み数字は、操作順を示している。
【0040】
操作予測手段25は、次に操作される可能性が高い操作スイッチ5を予測する手段である。操作予測手段25は、操作パターン記憶手段26が記憶する操作パターンを参照して、次に操作される可能性が高い操作スイッチ5を予測する。例えば、図10に例示する操作パターンを参照すれば、最初に操作される操作スイッチがシャワースイッチ5Bあるいはビデスイッチ5Cである可能性が高いと予測できる。このとき、表示パネル4では、予測された操作スイッチ5に対応する操作マーク50の浮き上がり量を大きくする3D画像への表示切換が実行される。
【0041】
実際にシャワースイッチ5Bが操作された場合には、操作パターンA〜Cへの絞込みが可能となる。操作パターンA〜Cに基づけば、停止スイッチ5Aが次に操作される可能性が高いと予測できる。その後、実際に停止スイッチ5Aが操作された後で、水洗スイッチ5Eが操作されれば、さらに、操作パターンA、Bへの絞り込みが可能になる。
【0042】
以上のような構成の本例のリモコンでは、図11のごとく、浮き上がり量が大きい操作マーク50が操作の流れに応じて変動する。例えば、何れの操作スイッチ5も未操作であるときには、同図中上段のようにシャワースイッチ5B、ビデスイッチ5Cの操作マーク50の浮き上がり量が大きく設定される。その後、シャワースイッチ5Bあるいはビデスイッチ5Cが操作された後では、中段に示すように停止スイッチ5Aの操作マーク50の浮き上がり量が大きくなる。そして、停止スイッチ5Aが操作されると、下段に示すように乾燥スイッチ5D及び水洗スイッチ5Eの操作マーク50の浮き上がり量が大きくなる。なお、同図では、リモコン1本体の図示を省略してある。
【0043】
本例のリモコン1によれば、操作マーク50の浮き上がり量に応じて次に操作される可能性が高い操作スイッチ5を強調でき、これにより、使用者に対して操作手順をナビゲーション可能である。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0044】
なお、本例では、予め定められた数種類の操作パターンを操作パターン記憶手段26に記憶させた例である。これに加えて、シャワー機能付きの便器が実際に使用されて新たな操作パターンが現れたとき、随時、操作パターンを追加的に記憶していくことも良い。
さらに、操作パターン記憶手段26が記憶する各操作パターンについて選択可能性の度合いを設定し、実際の使用状況を反映して選択可能性の度合いに差を設けていくことも良い。この場合には、選択可能性が高い操作パターンの操作スイッチ5ほど、操作可能性が高く予測されるようになる。例えば、図10中の操作パターンD〜Fよりも操作パターンA〜Cの方が選択可能性が高いような場合であれば、図11中の上段で、ビデスイッチ5Cよりもシャワースイッチ5Bの操作可能性が高くなるので、シャワースイッチ5Bに対応する操作マーク50の浮き上がり量をさらに大きくすれば良い。
【0045】
なお、本例の測距LEDとPSDとの組合せによる操作検出センサ31に代えて、次に示す3種類の操作検出センサを採用することもできる。
第1の操作検出センサは、受光部と発光部とを同じ位置に設けると共に、投射光に対する反射光の減衰割合に応じて距離計測を実現するセンサである。
第2の操作検出センサは、スリット光を所定角度で投射する発光部と、反射光を受光する受光部と、の組合せを複数設けたセンサである。この操作検出センサでは、受発光部の組毎に検出領域の高さ設定が相違している。操作マークの浮き上がり量に応じて操作検出用の受発光部の組合せを選択すれば、検出領域の高さを変更可能である。
第3の操作検出センサは、光を投射する発光部に対して、異なる入射角の反射光を選択的に受光する複数の受光部を組み合わせたセンサである。この操作検出センサでは、被検出対象までの距離に応じて反射光が入射する受光部が切り換わる。操作検出用の受光部を選択することで検出領域の高さを変更可能である。
【0046】
なお、本例の操作入力装置は、5個の操作スイッチ5A〜Eを含むリモコン1である。操作スイッチを1個だけ有する操作入力装置について、その操作スイッチの操作マークの浮き上がり量を時間的に変動させることも良い。さらに、この操作入力装置を水栓等に組み込むことも良い。例えば、この操作入力装置を吐止水スイッチに適用する場合であれば、止水中は浮き上がり量を小さく、吐水中は浮き上がり量を大きくすることも良い。意図しない吐水開始を未然に回避できると共に、止水操作を速やかに行うことができるようになる。
【0047】
以上、実施例1及び2のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、シャワー機能付きの便器のリモコンに限らず、水栓の吐止水スイッチや、流量や温度等を調整するスイッチに本発明の操作入力装置を用いることも良い。これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形あるいは変更した技術を包含している。
【符号の説明】
【0048】
1…リモコン(操作入力装置)、10…操作面、2…制御基板、21…検出制御部、22…操作検出部、23…送信制御部、25…操作予測手段、26…操作パターン記憶手段、27…表示制御部、210…検出領域、31…操作検出センサ、311…受光部、312…発光部、4…表示パネル(立体表示手段)、40…レンチキュラーシート、41…レンチキュラーレンズ、42…3D画像シート、43…導光板、45…液晶ディスプレイ、5…操作スイッチ、50…操作マーク(操作目標)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作を受け付ける操作スイッチが操作面側に設けられた操作入力装置であって、
操作面から浮かび上がって目視される操作目標を前記操作スイッチに対応付けて立体的に表示する立体表示手段を有し、
何れかの操作スイッチに対応する操作目標の操作面からの浮かび上がり量が時間的に異なるか、あるいは他の操作スイッチが存在している場合であれば、前記浮かび上がり量が他の操作スイッチとは異なっている操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において、複数の操作スイッチの操作順を表す操作パターンを記憶する操作パターン記憶手段と、
該操作パターン記憶手段が記憶する操作パターンを参照して次に操作される可能性が高い操作スイッチを予測する操作予測手段と、を備え、
前記立体表示手段は、次に操作される可能性が高い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を他の操作スイッチよりも大きくする操作入力装置。
【請求項3】
請求項2において、操作面を基準とした高さ方向に検出領域を有する操作検出手段を備え、
該操作検出手段は、前記操作目標の浮かび上がり量の変動に応じて前記検出領域の前記高さ方向の位置を変化させる操作入力装置。
【請求項1】
操作を受け付ける操作スイッチが操作面側に設けられた操作入力装置であって、
操作面から浮かび上がって目視される操作目標を前記操作スイッチに対応付けて立体的に表示する立体表示手段を有し、
何れかの操作スイッチに対応する操作目標の操作面からの浮かび上がり量が時間的に異なるか、あるいは他の操作スイッチが存在している場合であれば、前記浮かび上がり量が他の操作スイッチとは異なっている操作入力装置。
【請求項2】
請求項1において、複数の操作スイッチの操作順を表す操作パターンを記憶する操作パターン記憶手段と、
該操作パターン記憶手段が記憶する操作パターンを参照して次に操作される可能性が高い操作スイッチを予測する操作予測手段と、を備え、
前記立体表示手段は、次に操作される可能性が高い操作スイッチに対応する操作目標の浮かび上がり量を他の操作スイッチよりも大きくする操作入力装置。
【請求項3】
請求項2において、操作面を基準とした高さ方向に検出領域を有する操作検出手段を備え、
該操作検出手段は、前記操作目標の浮かび上がり量の変動に応じて前記検出領域の前記高さ方向の位置を変化させる操作入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−194617(P2012−194617A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56101(P2011−56101)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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