説明

操作制御付端末装置

【課題】端末装置での電源オン後の操作を禁止したい操作制限期間中は、端末装置の入力手段からの操作を制限し、利用者の悪戯を防止できる操作制御付端末装置を提供する。
【解決手段】オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等を保有するコンピュータ2と、このコンピュータ2に接続されて利用者への提供情報を表示する表示手段3と、コンピュータに接続されて利用者が操作する入力手段4で端末装置1を構成する。であって、前記コンピュータ2と入力手段4との間に、入力手段4からの入力操作の制限制御を行う操作制御手段10を介在させて構成している。操作制御手段10は、信号2cの通過を制御する信号遮断スイッチ12と、コンピュータ2からの指令信号2bによって信号遮断スイッチ12の切り替えを制御する切り替え処理部11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作制御付端末装置に係り、特に不特定多数の利用者が使用する操作制御付端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、不特定多数の利用者が使用する端末装置は、オペレーティングシステム(以下、「OS」と略称する。)やアプリケーションプログラム(以下、「AP」と略称する)等を保有するコンピュータと、タッチパネル等の入力手段と、表示手段から構成しており、各所に設置して使用されている。
【0003】
例えば、銀行や病院における端末装置としてや、公共施設の施設予約や証明書自動交付の用途に用いる端末装置や、学校において証明書自動発行や出席管理更には学生の呼び出し等のための事務連絡用の端末装置等として使用用途が拡大してきている。通常、これら端末装置では、予め定めた業務の開始時間及び終了時間に、電源をオン、オフすることが行われている。
【0004】
例えば、業務開始時に電源をオンし、業務終了時にオフするコンピュータシステムとして、タイマと、予め設定されたオン時刻とオフ時刻を設定するレジスタを持ち、タイマとオン時刻を比較してオンし、タイマとオフ時刻を比較してオフする方式がある。そして、停電があった場合には、復電した時刻と、予め設定されたオン時刻及びオフ時刻を比較してオンとすべき期間であれば電源をオンし、オフとすべき期間であれば電源をオフにする制御を可能としている(特許文献1参照)。
また、端末装置にタイマや、電源オン時刻と電源オフ時刻を持たずに業務開始時に電源をオンにするものとして、電源のオン時刻の設定値はホストコンピュータで管理し、ホストコンピュータのタイマと電源のオン時刻の設定値を比較して、ホストコンピュータから端末のモデムに対して発呼し、端末装置のモデムの着呼信号を利用して電源をオンにする方式(特許文献2参照)や、LAN(Local Area Network)の特別な電文が着信したことを利用して電源をオンする方式(特許文献3参照)がある。
更には、端末装置に、この電源部とは別の遠隔電源制御装置用電源部を設けておき、電源オンと電源オフの要因を端末装置に通知して、プログラムの動作を適切なものに切り替える方式がある(特許文献4参照)。
また、端末装置の電源配線にJISC8303配線用差込接続器で規定されたプラグ及びコンセントを使用している場合等では、誰でも抜き差しすることが可能であるので、コンセントからプラグを抜いて停電させ、改めてコンセントにプラグを挿して起動させることで、端末装置の動作を初期状態に戻してしまう悪戯を防止するものとしては、復電後の一定時間は電源をオンにしないことも提案されている(特許文献5参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平5−19908号公報
【特許文献2】特開平5−127783号公報
【特許文献3】特開平5−316126号公報
【特許文献4】特開平7−225629号公報
【特許文献5】特開平8−7732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の不特定多数の利用者が使用する端末装置においては、電源オン後の立上処理の期間、即ちBIOS(Basic Input Output System)の起動処理、OSの起動処理、APの起動処理の期間中に、タッチパネル等の入力手段を操作して、表示手段の画面上のアイコンを操作するなどの悪戯を防止することは全く考慮されていなかった。
【0007】
また、端末装置を遠隔操作で電源をオン、オフ操作できる例も多数提案されているが、遠隔操作で端末装置の保守点検を行う際にも、端末装置の画面上にはOSの機能を操作できる画面に切り替えたり、APの設定を変更する画面が表示されている状態に切り替えた場合等に、悪意のある利用者によって入力手段から操作し、悪戯の恐れがあった。特に、課金装置を備えた現金を扱う端末装置の場合は、現金の盗難の恐れがあった。
【0008】
本発明の目的は、端末装置での電源オン後、立上処理の期間や端末装置を遠隔操作で保守点検を行う際等の操作を禁止したい操作制限期間中は、端末装置の入力手段からの操作を制限し、利用者による悪戯を防止できる操作制御付端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の操作制御付端末装置では、オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等を保有するコンピュータと、前記コンピュータに接続されて利用者への提供情報を表示する表示手段と、前記コンピュータに接続されて利用者が操作する入力手段とにより端末装置を構成する際、コンピュータと入力手段との間には、入力手段からの入力操作の制限制御を行う操作制御手段を介在させて構成したものである。
【0010】
そして、操作制御手段は、入力手段からコンピュータへの信号の通過を制御する信号遮断スイッチと、コンピュータからの指令信号で信号遮断スイッチを切り替え制御する切り替え処理部とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように操作制御付端末装置を構成すれば、端末装置での電源オン後の操作制限期間中は、端末装置の入力手段からの操作を制限できるから、不特定多数の利用者が使用するものであっても、利用者による誤った操作や悪戯を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の操作制御付端末装置は、コンピュータと表示手段と入力手段とにより端末装置を構成する。しかも、コンピュータと入力手段との間に、入力手段からの入力操作の制限制御を行う操作制御手段を介在させている。
【実施例1】
【0013】
本発明の操作制御付端末装置を、図1に示す一実施例を用いて説明する。端末装置1は、通常のものと同様にOSや種々のAPを有するコンピュータ2と、利用者への提供情報を表示する表示手段3と、タッチパネルやキーボード等の入力手段4を備えて構成しており、コンピュータ2と表示手段3とは映像信号ケーブルで接続し、表示手段3に映像信号2aを送るようにしている。
【0014】
また、コンピュータ2と入力手段4とは、本発明により操作制御手段10を介して信号ケーブルで接続しており、米国電子工業会が制定したシリアル通信におけるインターフェイス規格であるRS−232Cの信号2c、2dが送受信される。
【0015】
本発明の操作制御手段10は、この実施例ではコンピュータ2と入力手段4間の接続をオンオフして信号2cの通過を制御する信号遮断スイッチ12と、コンピュータ2からの指令信号2bによって信号遮断スイッチ12の切り替えを制御する切り替え処理部11から構成している。
【0016】
操作制御手段10は、コンピュータ2から入力手段4への信号2dは問題なく通すが、入力手段4からコンピュータ2への信号2cは、切り替え処理部11によって信号遮断スイッチ12をA側に切り替えると、入力手段4からコンピュータ2への信号2cを通し、また切り替え処理部11によりB側に切り替えると、入力手段4からコンピュータ2への信号2cを遮断して無信号発生部13側へ切り替え、コンピュータ2にはRS−232規格における無信号状態を与えるようになる。
【0017】
また、操作制御手段10の切り替え処理部11は、端末装置1の電源オン時の初期値は、B側に切り替えておくものであり、コンピュータ2からの信号2bが、入力手段4の信号オンの指示であれば、信号遮断スイッチ12をA側に切り替え、逆に入力手段4の信号オフの指示であれば、信号遮断スイッチ12をB側に切り替える処理を行うようにしている。
【0018】
本発明の操作制御付端末装置で、起動時に利用者の悪戯を防止する手順を、図2により説明する。端末装置1が電源オンし、起動処理開始のステップS101の時点では、操作制御手段10の信号遮断スイッチ12はB側にある。
【0019】
このため、入力手段4からの信号2cは遮断され、BIOS起動処理のステップS102、OS起動処理のステップS103、AP起動処理のステップS104の期間は、入力手段信号の遮断期間を維持し、利用者が入力手段4を操作しても、操作信号2cは送信不能な状態となるから、悪戯を防止できる。
【0020】
そして、APの起動処理のステップS104が終了して、利用者が入力手段4を操作しても問題のない状態に達した後、入力手段信号オン指示のステップS105に移行させ、この時点で切り替え処理部11の働きで信号遮断スイッチ12をA側に切り替え、入力手段4からコンピュータ2への信号2cを通す状態の入力手段信号の接続期間にし、利用者の入力手段4の操作が可能な状態を維持する。
【実施例2】
【0021】
本発明による操作制御付端末装置の第二の実施例を、図3を用いて説明する。この端末装置1では、第一の実施例と略同様な構成であって相違するところは、コンピュータ2と入力手段4との接続を、本発明の操作制御手段10を介してUSB(Universal Serial Bus)規格ケーブル31で行ったものである。
【0022】
この実施例での操作制御手段10も同様に、信号遮断スイッチ12と、信号遮断スイッチ12の切り替えを制御する切り替え処理部11からなっている。この操作制御手段10を設けた端末装置1でも、常に通るコンピュータ2から入力手段4への信号2d1、2d2と異なり、操作制御手段10の信号遮断スイッチ12が存在する。
【0023】
このため、信号遮断スイッチ12をA側に切り替えることで、入力手段4とコンピュータ2間のD+信号2c1及びD−信号2c2を通し、またB側に切り替えることで、入力手段4からコンピュータ2へのD+信号2c1及びD−信号2c2を遮断して、コンピュータ2にはUSB規格における周辺機器の接続がないのと同様な状態を与えるものである。
【0024】
切り替え処理部11は、上記した第一の例と同様に電源オン時の初期値は、B側に切り替えておき、コンピュータ2からの信号2bが、入力手段4の信号オンの指示であれば、信号遮断スイッチ12をA側に切り替え、入力手段4の信号オフの指示であれば、信号遮断スイッチ12をB側に切り替える処理を行うものである。この第二の実施例の操作制御手段10を使用して、起動時に利用者の悪戯を防止する手順は、第一実施例の場合と同様である。
【実施例3】
【0025】
本発明による操作制御付端末装置の第三の実施例を、図4を用いて説明する。端末装置1は、上記した実施例と同様の構成であるが、コンピュータ2と操作制御手段10間及び操作制御手段10と入力手段4との間は、それぞれUSB規格ケーブル41及び42で接続している。
【0026】
また、操作制御手段10は、USBケーブル41を用いてコンピュータ2と接続するためのUSBポート34、入力手段4と接続するUSBケーブル41と、入力手段4と接続するためのUSBポート35と、図1及び図3の切換処理部11と信号遮断スイッチ12の役割をする電子操作制御部21とを備えている。
【0027】
電子操作制御部21は、入力手段4からの信号のオンオフを制御するプログラムを保持するROM(Read Only Memory)23と、RAM(Random Access Memory)24と、CPU(Central Processing Unit)25とを、バス22に接続して構成したものである。
電子操作制御部21のROM23に格納したプログラムの作用により、コンピュータ2からの信号は、USBポート14から一旦CPU38に入り、RAM37に格納され、USBポート15から入力手段4へ送信される。
また、ROM36に格納したプログラムの作用により、入力手段4からの信号は、逆にUSBポート35から一旦CPU38に入り、RAM37に格納され、USBポート34からコンピュータ2へ送信される。
電子操作制御部21を備えた操作制御手段10を、コンピュータ2と入力手段4との間に介在させた端末装置1の論理的な構成は、図5に示すようになる。電子操作制御部21のROM36に格納したプログラムの働きにより、切り替え処理部11及び信号遮断スイッチ12を設けたものと同等となる。
【0028】
このため、第一及び第二の実施例と同様にスイッチ制御部11及び信号遮断スイッチ12相当のプログラムの働きで、A側に接続状態で入力手段4とコンピュータ2のD+信号2c1及びD−信号2c2を通し、またB側に切り替えた状態で、入力手段4からコンピュータ2への信号D+信号2c1及びD−信号2c2を遮断するのと同等の動作をし、コンピュータ2と入力手段4間の通信信号のオンオフを操作制御して、コンピュータ2にはUSB規格における周辺機器の接続がない状態を与えることができる。
【実施例4】
【0029】
更に、図6に示す端末装置1は、その内部構成は上記した各実施例と同様のものであるが、この端末装置1にはネットワーク等の通信手段31を介して、コンピュータ2の保守点検や新たなAPのインストール等を行うための遠隔操作用の遠隔操作装置30を連結したものである。
【0030】
通信手段31は、例えばLANを使用し、RS−232CやISDN(Integrated Services Digital Network)USB又はこれらの通信手段の組み合わせでも良いものである。
【0031】
このように遠隔操作装置30を用いて端末装置1を遠隔操作する際の手順を、図7に示している。まず、図7(a)の如くオペレータによる遠隔操作装置30からの遠隔捜査開始のステップS201後、遠隔操作装置30を用いて、入力手段4からの信号のオフ指令をコンピュータ2へ送信する(ステップS202)。
【0032】
これにより、コンピュータ2では、図7(b)の如く入力手段4の信号オフ指令を受信すると、APに基づいて信号遮断スイッチ12をB側に切り替えて、入力手段4からコンピュータ2への信号の接続期間が、遮断期間に変更される。
【0033】
この入力手段4からの信号の遮断期間に、遠隔操作装置30から例えば保守用の操作指示の送信を順に行い(ステップS203)、遠隔操作を終えて通常の運用に戻す際には、オペレータが遠隔操作装置30用いて、入力手段4からコンピュータ2への信号のオン指令をコンピュータ2へ送信する(ステップS204)。
【0034】
コンピュータ2側では、入力手段4信号オン指令を受け、APに基づいて信号遮断スイッチ12をB側に切り替えられ、入力手段4からコンピュータ2への信号の接続期間に変更となり、利用者の操作が可能となる。
【0035】
このように、遠隔操作装置30からの遠隔操作による保守点検や、新たな情報等の提供のために端末装置1を操作する場合においても、操作制御手段10の働きを活用して、利用者の誤った操作や悪戯を排除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一実施例である操作制御付端末装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第一実施例の操作制御付端末装置での起動時における手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第二の実施例である操作制御付端末装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第三の実施例である操作制御付端末装置の概略構成図である。
【図5】本発明の第三の実施例における論理的な構成図である。
【図6】本発明の操作制御付端末装置を用いた遠隔操作の構成図である。
【図7】本発明の操作制御付端末装置を用いて遠隔操作する場合の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1…端末装置、2…コンピュータ、3…表示手段、4…入力手段、10…操作制御手段、11…切り替え処理部、12…信号遮断スイッチ、21…電子操作制御部、30…隔操作装置、31…通信手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等を保有するコンピュータと、前記コンピュータに接続されて利用者への提供情報を表示する表示手段と、前記コンピュータに接続されて利用者が操作する入力手段と、を有する端末装置であって、前記コンピュータと入力手段との間には、入力手段からの入力操作の制限制御を行う操作制御手段を介在させて構成したことを特徴とする操作制御付端末装置。
【請求項2】
請求項1において、前記操作制御手段は、入力手段からの信号の通過を制御する信号遮断スイッチとコンピュータからの指令信号で前記信号遮断スイッチの切り替えを制御する切り替え処理部とから構成したことを特徴とする操作制御付端末装置。
【請求項3】
請求項1において、前記操作制御手段は、入力手段からの信号の通過を制御するプログラムを有する電子操作制御部を備えて構成したことを特徴とする操作制御付端末装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかにおいて、前記コンピュータと入力手段との間に操作制御手段を介在させた端末装置は、ネットワークを介して遠隔操作装置と接続して構成したことを特徴とする操作制御付端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−188132(P2007−188132A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3396(P2006−3396)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】