説明

操作装置

【課題】 操作体を倒したり回転させて操作信号を入力する操作装置において、操作体をそれぞれの向きに動作させたときに、手に操作抵抗を感じさせることができるようにする。
【解決手段】 操作体によって回動させられる動作体3に球面3aが形成されており、この動作体3の回動動作を検知する検知部が設けられている。球面3aには、第1の組20の放射状の凹部21と、第2の組25の同心円状の凹部26,27,28,29が形成されており、第1の組20の凹部に嵌合する突部と、第2の組み25の凹部に嵌合する突部とが設けられている。操作体を操作して動作体3を倒したり回動させる際に、第1の組20と第2の組25の凹部から、手に操作抵抗力が与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作体を多方向へ倒したり、または倒したまま回転させることが可能な操作装置に係り、特に操作体を操作した人に動作感触を与えることができる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操作体を他方向へ倒したときに検知出力を得ることができる操作装置は、ゲーム装置やカーナビゲーション装置などの種々の電子機器に使用されている。
【0003】
この操作装置は、動作体とこの動作体から延びるスティック状の操作体とを有している。動作体は2つの軸のそれぞれを中心として回動動作できるように支持されているとともに、動作体のそれぞれの軸を中心とする回動動作を抵抗値の変化で検知する検知部が設けられている。
【0004】
以下の特許文献1に記載された操作装置は、動作体と操作体とを中立位置に復帰させる弾性部材が設けられている。操作体を大きく倒すと、動作体の下部に設けられた摺動部材の縁部がハウジングに乗り上がることで、操作体を操作する手に感じられる抵抗力が増大する構造となっている。
【0005】
特許文献2に記載された操作装置は、表面が球面の動作体を有している。動作体の球面に段差が形成され、段差に支持部がスプリングにより弾圧されている。この操作装置も、操作体を大きく倒すと、支持部が段差を乗り上がって、操作体を操作する手に感じられる抵抗力が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−209442号公報
【特許文献2】特開2002−108557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1と特許文献2に記載された発明は、操作体を倒す角度を大きくすると、操作する手に作用する負荷が増大するが、操作体のあらゆる方向への操作に対応した多様な操作感触の変化を手に与えることはできない。
【0008】
例えば、操作体を倒して回転させるときに回転角度に応じた操作感触の変化を間欠的に与えたり、操作体を倒す角度の大小に応じた操作感触の変化を与えることなどはできない。さらに、操作体を中立姿勢や所定の操作姿勢で仮止めしたり、操作体を所定の操作方法へ向けて優先的に誘導するなどの操作もできない。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、操作体を操作して動作体を回動させたときに、その操作方向や操作手順に応じた操作感触の多様な変化を手に感じさせることができる操作体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の本発明は、表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部が、前記球面とその法線との交点を中心として放射状に複数設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
第1の本発明の操作装置は、操作体を倒した姿勢で回転させたときに、その回転角度の変化に対応する操作抵抗を、手に対して間欠的に与えることができる。また、球面に、複数の凹部が放射状に延びているので、倒れた姿勢から操作体を回転させたときに、操作感触が変化する回転角度の角度割りが、操作体を倒す角度がどの大きさであっても一定になる。
【0012】
第2の本発明は、表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部が、前記球面とその法線との交点を中心として同心円状に複数設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
第2の本発明の操作装置は、操作体をいずれかの方向へ倒すと、その倒し角度が変化するのにしたがって、複数回にわたって操作抵抗が手に与えられる。また、球面に、複数の凹部が同心円状に形成されているので、操作体の倒し角度と操作感触が与えられる間隔との関係は、操作体をどの向きに倒しても同じになる。
【0014】
第3の本発明は、表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に、少なくとも第1の組の凹部と第2の組の凹部とが形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されてそれぞれの組の凹部を個別に摺動するとともにそれぞれが前記球面を摺動する突部が設けられており、第1の組の凹部は、前記球面とその第1の法線との交点を中心として放射状に複数設けられ、第2の組の凹部は、前記球面とその第2の法線との交点を中心として同心円状に複数設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
第3の本発明の操作装置は、動作体の球面に、少なくとも2組の凹部が形成されているため、それぞれの組の凹部で、動作体の別々の動作に対して操作抵抗を与えることができる。すなわち、操作体を倒したときと、倒した姿勢で回転させたときのそれぞれにおいて、別々の操作感触を与えることができる。
【0016】
上記において、前記第1の法線と前記第2の法線が共通の法線であり、第1の組の凹部と第2の組の凹部が共通の中心を有しているものとすることができる。
【0017】
第1ないし第3の本発明では、それぞれの前記凹部は、前記中心から離れるにしたがって深く形成されていることが好ましい。
【0018】
上記手段では、操作体を倒す角度が大きくなるにしたがって、手に作用する操作抵抗の強度を増大させることができる。
【0019】
本発明は、放射状に配置された複数の凹部が複数組設けられ、それぞれの組は互いに離れて配置され、且つそれぞれの組において、前記交点を中心とする回転方向での前記凹部の配置位相が互いにずれているものとして構成できる。
【0020】
上記手段では、1つの組において放射状に配置された凹部の数が少なくても、複数の組において、回転方向での凹部の配置位相をずらすことにより、操作体を回転させたときに、小角度ごとに操作抵抗を感じさせることが可能になる。
【0021】
第4の本発明は、表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部に前記突部が嵌合したときに、前記動作体が仮止めされることを特徴とするものである。
【0022】
例えば、前記操作体が中立姿勢のときに、前記凹部と前記突部とが嵌合するもの、または前記凹部が複数箇所に設けられ、操作体が中立姿勢のときおよび前記中立姿勢からさらに回動した操作姿勢の双方において前記凹部と前記突部とが嵌合するものである。
【0023】
第4の本発明の操作装置は、操作体をいずれかの向きにすると、凹部と突部が嵌合して、動作体が仮止めされる。これにより、操作体を手で操作したときに、中立の操作ポジションや、所定の操作を行うための操作ポジションを確認しやすくなる。
【0024】
第5の本発明は、表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部はいずれかの回動方向に延びており、前記突部が前記凹部に嵌合したときに、前記動作体が前記凹部に沿う方向へ優先的に導かれることを特徴とするものである。
【0025】
上記操作装置では、操作体の操作方向が所定の方向に導かれるので、操作体を優先する方向に向けて操作することが容易になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、動作部材の球面に凹部を形成し、支持基台側に前記凹部および球面に弾圧する突部を設けることで、操作体の種々の操作に対して、操作抵抗の変化を与えることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態の操作装置の全体構造を示す斜視図、
【図2】第1の実施の形態の操作装置の主要部の分解斜視図、
【図3】第1の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図4】本発明の第2の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図5】本発明の第3の実施の形態の操作装置の主要部を示す正面図、
【図6】第3の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図7】本発明の他の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図8】本発明の他の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図9】本発明の他の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図10】本発明の他の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図11】本発明の他の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図12】本発明の他の実施の形態の操作装置に設けられた動作体の底面図、
【図13】凹部の組を3組以上設けた実施の形態を示す動作体の底面図、
【図14】凹部の組を3組以上設けた実施の形態を示す動作体の底面図、
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1と図2に示す第1の実施の形態の操作装置1は、支持基台2と、支持基台2の内部に回動自在に支持された動作体3と、動作体3から一体に延びる軸状の操作体4とを有している。
【0029】
図2に示すように、動作体3はその表面の一部が球面3aである。支持基台2の内部には、凹球面形状の支持部が設けられている。前記球面3aが支持部に摺動自在に支持されて、動作体3は球面3aの曲率中心を支点として各方向へ自由に回動できるようになっている。
【0030】
支持基台2の内部には、図2に示す第1の回動部材6と第2の回動部材7が設けられている。
【0031】
第1の回動部材6には、両端部からOx方向に延びる軸部6a,6bが一体に形成されている。軸部6a,6bが、支持基台2の内部においてOx軸を中心としてα方向へ回動自在に支持されている。Ox軸は、動作体3の球面3aの曲率中心を通過する仮想線である。第1の回動部材6にはOx方向に延びる摺動長穴6cが形成されている。操作体4は摺動長穴6cに上向きに挿入されている。第1の回動部材6の下縁部には、支持凹部6d,6dが形成されている。動作体3には、Oy方向の両側に突出する小突起5,5が一体に形成されている。支持基台2の内部において、それぞれの小突起5,5が支持凹部6d,6dに嵌合し、動作体3と第1の回動部材6が組み合わされた状態で一緒にOx軸を中心としてα方向へ回動自在となっている。
【0032】
第2の回動部材7には、両端部からOy方向に延びる軸部7a,7bが一体に形成され、軸部7a,7bが、支持基台2の内部においてOy軸を中心としてβ方向へ回動自在に支持されている。Oy軸は、動作体3の球面3aの曲率中心を通過する仮想線である。第2の回動部材7にはOy方向に延びる摺動長穴7cが形成されており、操作体4は、第1の回動部材6の摺動長穴6cに下側から挿入され、さらに摺動長穴7cに下側から上方へ向けて挿入されている。
【0033】
支持基台2の内部に中立ばねが設けられ、操作体4の軸中心がOz方向に延びる中立姿勢で、動作体3が安定できるようになっている。
【0034】
図1に示すように、支持基台2には、2つの検知部8,9が設けられている。検知部8,9は、内部に設けられた基板に円弧状の抵抗体が設けられているとともに、抵抗体の円弧の中心を軸として回転する回転子が設けられ、この回転子に抵抗体を摺動する導電性の摺動子が設けられている。
【0035】
一方の検知部8は、第1の回動部材6の軸部6bによって前記回転子が回転させられ、第1の回動部材6のα方向の回転角度の大小に比例した抵抗値の変化を検知出力として得ることができる。他方の検知部9は、第2の回動部材7の軸部7bによって前記回転子が回転させられ、第2の回動部材7のβ方向の回転角度の大小に比例した抵抗値の変化を検知出力として得ることができる。
【0036】
図1に示すように、操作体4は支持基台2からOz軸に沿って上方に突出している。操作装置1が、各種電子機器の操作部に実装された状態で、操作体4に操作釦11が装着される。操作釦11は、合成ゴムなどの操作者の手に与える感触が良好な素材で形成されている。
【0037】
図3は、動作体3を底部側すなわち図2に示すIII矢視方向から見た底面図である。図3に示すように、動作体3の球面3aに、2つの組を構成する複数の凹部が形成されている。
【0038】
第1の組20は、複数の直線状に延びる凹部21を有している。図3に、球面3aに対する第1の法線V1と、第1の法線V1と球面3aとの交点である第1の中心O1が示されている。それぞれの凹部21は、第1の中心O1から放射状に延びている。凹部21は、第1の中心O1に対して回転方向に等角度に形成されている。図3の実施の形態は、8個の凹部21を有しており、凹部21の回転方向の配列角度ピッチは45度である。
【0039】
第1の組20では、それぞれの凹部21の内周側端部21aが、第1の中心O1からやや離れて位置している。それぞれの凹部21の、内周側端部21aは第1の中心O1から等しい距離にあり、それぞれの凹部21の外周側端部21bも、第1の中心O1から等しい距離にある。それぞれの凹部21は、内周側端部21aから外周側端部21bに向かうにしたがって、球面3aの表面からの深さが徐々に大きくなっている。
【0040】
図3に示すように、第2の組25には、複数のリング状の凹部26,27,28,29が形成されている。図3に、球面3aの第2の法線V2と、第2の法線V2と球面3aとの交点である第2の中心O2が示されている。複数の円形の凹部26,27,28,29は、第2の中心O2に対して同心円状に形成されている。また、凹部26、凹部27、凹部28および凹部29の順で、球面3aの表面からの深さ寸法が段階的に大きくなっている。
【0041】
図2に示すように、支持基台2の内部には、第1の突部31と第2の突部32が設けられている。両突部31,32は球体であり、第1の突部31は、第1の組20のそれぞれの凹部21に嵌合できる直径寸法で形成され、第2の突部32は、第2の組25の凹部26,27,28,29に嵌合できる直径寸法に形成されている。また、支持基台2の内部には、第1の突部31を第1の組の凹部21および球面3aに弾圧するための第1の弾性部材33と、第2の突部32を、第2の組25の凹部26,27,28,29および球面3aに弾圧するための第2の弾性部材34が設けられている。第1の弾性部材33と第2の弾性部材34は、板ばねである。
【0042】
次に、第1の実施の形態の操作装置1の動作を説明する。
操作釦11に外力が作用していないとき、中立ばねにより、動作体3は操作体4の軸方向がOz軸方向に向く中立姿勢で安定している。
【0043】
操作釦11を操作して操作体4をα方向へ倒すと、動作体3の回動に伴って、第1の回動部材6がOx軸を中心として回動し、検知部8からその回動角度に比例した抵抗変化に基づく検知出力が得られる。操作釦11を操作して操作体4をβ方向へ倒すと、動作体3の回動に伴って、第2の回動部材7がOy軸を中心として回動し、検知部9からその回動角度に比例した抵抗変化に基づく検知出力が得られる。また、操作体4をα方向とβ方向とが合成された多方向へ倒すことが可能であり、このとき、検知部8と検知部9の双方から抵抗変化に基づく検知出力が得られる。
【0044】
また、操作体4を中立姿勢から倒した状態で、Oz軸を中心として図1に示すγ方向へ回動させる操作が可能である。このときも、第1の回動部材6のα方向の回動成分が検知部8で検知され、第2の回動部材7のβ方向の回動成分が検知部9で検知される。
【0045】
操作体4がOz軸に向けられた中立姿勢のとき、図2に示す第1の突部31は、図3に示す球面3aの表面において第1の中心O1に圧接させられており、第2の突部32は第2の中心O2に圧接させられている。
【0046】
操作釦11および操作体4を、中立姿勢からα方向またはβ方向あるいはα方向とβ方向以外の方向に倒す操作を行うと、図3に示す第2の組25において、第2の突部32が、第2の中心O2を起点として放射方向へ摺動する。このとき、第2の突部32が、球面3aと円形の凹部26,27,28,29とを交互に摺動し、第2の突部32が、凹部26,27,28,29に落ち込む度に、また凹部26,27,28,29から球面3aの表面に乗り上がる度に、操作釦11を倒そうとする手に抵抗変化が作用し、手に段階的に操作感触が与えられる。
【0047】
第2の中心O2に近い内側の凹部26から凹部27,28,29の順に中心O2から離れるにしたがって、凹部の球面3aの表面からの深さ寸法が段階的に大きくなっている。そのため、操作釦11および操作体4を中立姿勢から倒す角度を大きくするにしたがって、手に与えられる抵抗力が段階的に大きくなる。したがって操作者は、操作釦11と操作体4を倒している角度が小さいか大きいかを手の感触で理解しやすくなる。
【0048】
なお、第2の中心O2からの半径方向における、凹部26,27,28,29のそれぞれの中心のピッチを等しくしておくと、操作釦11と操作体4を倒すときに、一定の倒れ角度毎に摺動抵抗を感じるようになる。あるいは、凹部26,27,28,29のそれぞれの中心のピッチを第2の中心O2から遠ざかるにしたがって大きくしてもよい。これにより、操作釦11と操作体4を大きく倒したときに抵抗感を感じるピッチが広くなり、大きな角度で倒したことを手の感触で理解しやすくなる。
【0049】
操作釦11と操作体4を中立姿勢から倒したまま、Oz軸回りでγ方向へ回転させると、第1の突部31が、球面3aの表面と第1の組20の凹部21を交互に摺動し、凹部21に落ちる度に、また凹部21から球面3aに乗り上がる度に、操作釦11を操作する手に抵抗感触が与えられる。これにより、操作釦11をどの程度の角度だけ回動させているか、またはどの程度の角速度で回動させているかを、手の感触で理解しやすくなる。
【0050】
図3に示すように、第1の組20の凹部21は、内周側端部21aが第1の中心O1から離れているので、操作釦11と操作体4を中立姿勢から小さい角度だけ倒してγ方向へ回動させたときに、第1の突部31が凹部21に落ち込むことがなく、手に抵抗感触が与えられない。よって、操作体4を少し倒してOz軸の近くで回転させたときに、その回転操作を円滑に行うことができ、微細な入力操作のコントロールが可能になる。
【0051】
また、凹部21は、内周側端部21aから外周側端部21bに向かうにしたがって球面3aの表面からの深さ寸法が大きくなっている。よって、操作釦11と操作体4を中立姿勢から少し倒してγ方向へ回動させたときに、凹部21から手に与えられる抵抗感触が小さく、大きく倒してγ方向へ回動させたときに、手に与えられる抵抗感触が大きくなる。したがって、操作釦11と操作体4をどの程度倒した状態で、γ方向へ回動させているのかを手の感触で理解しやすくなる。
【0052】
この操作装置1は、図3に示すように、動作体3の球面3aに2つの組20,25の複数の凹部が形成されており、動作体3が中立姿勢のときに、第1の突部31が第1の組20の凹部の中心O1に当接し、第2の突部32が第2の組25の凹部の中心O2に当接している。したがって、操作体4を中立姿勢から倒す動作と操作体を回転させる動作を個別に行い、または合成して行ったときに、第1の組20の凹部と第2の組25の凹部から、異なる種類の抵抗感触を明確に区別して得ることが可能である。
【0053】
次に、図4に示す第2の実施の形態の操作装置101に使用される動作体3は、球面3aに複数の凹部が形成されている。
【0054】
図4には、球面3aの法線V3と球面3aとの交点に共通中心O3が設定されている。そして、共通中心O3から放射状に延びる複数の凹部121と、共通中心O3に対して同心円状に形成された複数のリング状の凹部126,127,128が組み合わされて形成されている。
【0055】
放射状に延びる複数の凹部121のそれぞれは、図3に示した第1の組20の凹部21と同様に、共通中心O3から遠ざかるにしたがって、球面3aの表面からの深さ寸歩が大きくなるように形成されている。また、複数の凹部126,127,128は、図3に示した第2の組25の凹部26,27,28,29と同様に、共通中心O3に近いものが球面3aからの深さ寸法が小さく、共通中心O3から遠ざかるにしたがって深くなっている。
【0056】
支持基台2内には、1個の球状の突部が設けられ、この突部が弾性部材によって動作体3に押圧されている。動作体3が中立姿勢のときに、突部が共通中心O3に当接している。操作体4を中立姿勢から倒すと、同心円状の凹部126,127,128によって、操作する手に段階的に抵抗感触が与えられ、操作体4を倒した姿勢から回転させると、放射状の凹部121から、操作する手に対して一定の角度間隔で抵抗感触が与えられる。
【0057】
図5と図6に示す第3の実施の形態の操作装置201は、動作体3の球面3aの底部に1組の凹部が形成されている。この組の複数の凹部221は、球面3aの底部からOz方向に延びる法線V4と球面3aとの交点である中心O4に対して放射状に延びている。それぞれの凹部221は、その内周側端部221aが中心O4まで延びている。また、それぞれの凹部221は、内周側端部221aから外周側端部221bに向かうにしたがって、球面3aの表面からの深さ寸法が徐々に大きくなっている。
【0058】
この操作装置201には、動作体3が中立姿勢のときに中心O4に当接する球形状の突部35と、突部35を球面3aに弾圧するコイルスプリングの弾性部材36が設けられている。
【0059】
この操作装置201は、操作体4を倒した状態でγ方向へ回転させると、操作する手に対して凹部221の配置角度ピッチに応じた抵抗感触が与えられる。また、凹部221の深さが外周側端部221bに向かうにしたがって深くなるので、操作体4の倒し角度を大きくするにしたがって、回転させるときに手に感じる抵抗感触が強くなる。
【0060】
図6に示すように、それぞれの凹部221の内周側端部221aが中心O4まで延びているので、操作体4をわずかに倒した状態で回転させても抵抗感触を得ることができる。
【0061】
なお、動作体3に、図3に示す第2の組25の複数の凹部26,27,28,29のみを形成してもよい。
【0062】
図7に示す第4の実施の形態の操作装置301Aは、動作体3の球面3aの法線と球面3aとの交点である中心O5に、小さい凹球面形状の凹部41が形成されている。動作体3が中立姿勢のときに凹部41と嵌合する突部が設けられており、この突部は弾性部材によって動作体3に弾圧されている。
【0063】
図7に示す操作装置301Aは、操作体4を倒したり、倒した姿勢で回転させることで、動作体3をそれぞれの方向へ回動させることができる。操作体4をOz軸に沿う中立姿勢にすると、突部が凹部41に嵌合し、動作体3が中立姿勢に仮止めされる。これにより、操作体4を中立姿勢に復帰させたことを手の感触で理解しやすくなる。
【0064】
図8と図9は、第4の実施の形態のさらなる変形例である。
図8に示す操作装置301Bは、動作体3の球面3aに、中心O5に位置する凹球面形状の凹部41が形成され、これと左右方向に距離を空けた2箇所に、凹球面状の凹部42,43が形成されている。そして、動作体3が中立姿勢のときに球形状の突部が中央の凹部41と嵌合する。
【0065】
この操作装置301Bは、操作体4が中立姿勢のときに動作体3が仮止めされ、操作体4を中立姿勢から左右両側へ所定角度倒したときにも、突部が凹部42または凹部43に嵌合して、操作体4が仮止めされる。よって、操作体4が中立姿勢であることを手の抵抗感触で理解でき、且つ操作体4を所定の操作位置まで回動させたことを手の抵抗感触で理解しやすくなる。
【0066】
また、図9に示す操作装置301Cのように、球面3aに、中立姿勢のときに突部が嵌合する凹部41と、この凹部41の直交する2つの方向に距離を空けた位置に凹部42,43,44,45が形成されたものであってもよい。
【0067】
図10に示す第5の実施の形態の操作装置401Aは、動作体3の球面3aに直線方向に延びる凹部51が形成されている。凹部51の中心がO6であり、動作体3が中立姿勢のときに、球形状の突部が、中心O6において凹部51に嵌合する。
【0068】
この操作装置401Aは、操作体4を操作して動作体3をあらゆる方向へ回動させることができるが、突部が凹部51と嵌合した状態で、操作体4を凹部51が延びる方向へ倒すときは手に感じる抵抗が小さく、それ以外の方向へ倒すと、突部が凹部51から外れて球面3aに乗り上がるので、手に感じる抵抗が大きくなる。よって、凹部51が延びる方向への倒れ操作を優先的に行えるようになる。
【0069】
図11は、第5の実施の形態の変形例である操作装置401Bを示している。この操作装置401Bは、動作体3が中立姿勢のときに、突部が中心O6の位置で凹部52に嵌合する。操作体4を、中立姿勢から直交する2方向へ倒すときに、手に感じる抵抗が小さく、それ以外の向きに倒すときに抵抗が大きくなる。
【0070】
また、図12に示す第5の実施の形態の変形例である操作装置401Cのように、球面3aに複数列に延びる凹部53を形成してもよい。
【0071】
図13は、本発明の第6の実施の形態の操作装置501に用いられる動作体3の底面図である。この操作装置501では、球面3aに4組の凹部が配置されている。
【0072】
1つの組20Aは、法線V7と球面3aとの交点である中心O7を基準として形成されている。この組20Aの凹部21Aは、図3に示した第1の組20の複数の凹部21と実質的に同じである。組20Bは、法線V8と球面3aとの交点である中心O8を基準として形成されている。この組20Bの凹部21Bも、図3に示す第1の組20の凹部21と実質的に同じである。
【0073】
組20Aは中心O7に対して放射状に延びる8個の凹部21Aを有し、組20Bは中心O8に対して放射状に延びる8個の凹部21Bを有している。ただし、組20Aにおける凹部21Aの中心O7に対する回転方向の位相と、組20Bにおける凹部21Bの中心O8に対する回転方向の位相が、互いに22.5度だけずれている。
【0074】
操作体4と動作体3が中立姿勢のとき、球形状の突部は、中心O7と中心O8に個別に当接して弾性部材で押圧されている。操作体4を中立姿勢から倒して回転すると、組20Aの凹部21Aが45度だけ回転する度に、操作する手に操作抵抗が与えられる。一方、組20Bの凹部21Bにより、組20Aの隣り合う凹部21Aと21Aとの間において、操作する手に操作抵抗が与えられる。
【0075】
そのため、2つの組20A,20Bの8個ずつの凹部21A,21Bによって、操作体4と動作体3が22.5度の回転毎に操作抵抗が与えられ、操作体4の1回転において16回の操作抵抗を得ることが可能である。
【0076】
この実施の形態は、動作体3が小径であり、組20A,20Bの凹部21A,21Bが微細な寸法であっても、1回転に対して多数の操作抵抗感触を与えることができる。なお、球面3aにおいて、放射状の凹部の組のみが3組以上設けられていてもよい。
【0077】
図13に示す操作装置501では、法線V9と球面3aとの交点である中心O9に対して組25Aを構成する複数の凹部が設けられている。組25Aでは、同心円状に配置された凹部26A,27A,28A,29Aが形成されている。凹部26A,27A,28Aは、図3に示す第2の組25の凹部26,27,28と同様に、中心O9から離れるにしたがって凹部の深さ寸法が順番に大きくなっている。ただし、最外周の凹部29Aは、他の凹部26A,27A,28Aよりも浅くなっている。
【0078】
さらに、他の1組を構成する凹部として、中心O9に仮止め用の1つの凹部41Aが形成されている。この凹部41Aは、図7に示した操作装置301Aの凹部41と同じ小さい凹球面形状である。
【0079】
操作体4が中立姿勢のときに、球形状の突部が凹部41Aに弾圧され、動作体3と操作体4が中立姿勢で仮止めされる。操作体4をいずれかの方向へ倒すと、同心円の凹部26A,27A,28A,29Aによって、複数回の操作抵抗感触が得られる。凹部は26A,27A,28Aの順に深くなるので、操作体4を大きく倒すに伴って操作感触が段階的に大きくなる。そして突部が最外周の凹部29Aと嵌合すると、それまでよりも小さい操作抵抗感触が得られる。
【0080】
図13に示す操作装置501は、球面3aに4組の凹部が形成されているため、操作体4の中立姿勢での仮止めと、倒し角度に応じた複段回の操作抵抗感触と、操作体4を回転させたときの16分割の回転操作抵抗感触とを与えることができる。
【0081】
また、図3と図4と図6または図13に示す実施の形態において、さらに図8に示す凹部41,42,43や図9に示す凹部41,42,43,44,45を組み合わせてもよい。
【0082】
図4に示す第6の実施の形態の操作装置601は、図13に示す組20Aの凹部21Aと、組25Aの凹部26A,27A,28A,29Aおよび位置決め用の凹部41Aが形成されている。
【0083】
さらに、法線V10と球面3aとの交点である中心O10の回りに4角形状の軌跡の凹部151が形成されている。
【0084】
図14に示す操作装置601は、操作体4の中立姿勢での仮止めと、操作体4を倒したときの操作抵抗感触および操作体4を倒して回転させたときの操作抵抗感触に加え、さらに、操作体4を中立姿勢の回りに4角の規制で優先的に案内する機能も有している。
【0085】
また、図3と図4と図6と図13または図14に示す実施の形態において、図10に示す凹部51や図11に示す凹部52または図12に示す凹部53を組み合わせることも可能である。
【0086】
以上のように、本発明の実施の形態は、球面3aに前述の全ての実施の形態に示すいずれか1組の凹部を設けてもよいし、いずれかを自由に組み合わせて2組以上の凹部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 操作装置
2 支持基台
3 動作体
3a 球面
4 操作体
6 第1の回動部材
7 第2の回動部材
8,9 検知部
11 操作釦
20 第1の組
21 凹部
25 第2の組
26,27,28,29 凹部
31,32,35 突部
33,34,36 弾性部材
41,42,43,44,45,51,53,53 凹部
101 操作装置
121,126,127,128 凹部
201 操作装置
221 凹部
301A,301B,301C 操作装置
401A,401B 操作装置
501,601 操作装置
O1,O2,O3,O4,O5,O6 中心
V1,V2,V3,V4 法線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部が、前記球面とその法線との交点を中心として放射状に複数設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部が、前記球面とその法線との交点を中心として同心円状に複数設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項3】
表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に、少なくとも第1の組の凹部と第2の組の凹部とが形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されてそれぞれの組の凹部を個別に摺動するとともにそれぞれが前記球面を摺動する突部が設けられており、第1の組の凹部は、前記球面とその第1の法線との交点を中心として放射状に複数設けられ、第2の組の凹部は、前記球面とその第2の法線との交点を中心として同心円状に複数設けられていることを特徴とする操作装置。
【請求項4】
前記第1の法線と前記第2の法線が共通の法線であり、第1の組の凹部と第2の組の凹部が共通の中心を有している請求項3記載の操作装置。
【請求項5】
放射状に配置された複数の凹部が複数組設けられ、それぞれの組は互いに離れて配置され、且つそれぞれの組において、前記交点を中心とする回転方向での前記凹部の配置位相が互いにずれている請求項1,3,4のいずれかに記載の操作装置。
【請求項6】
それぞれの前記凹部は、前記中心から離れるにしたがって深く形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の操作装置。
【請求項7】
表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部に前記突部が嵌合したときに、前記動作体が仮止めされることを特徴とする操作装置。
【請求項8】
前記操作体が中立姿勢のときに、前記凹部と前記突部とが嵌合する請求項7記載の操作装置。
【請求項9】
前記凹部が複数箇所に設けられ、操作体が中立姿勢のときおよび前記中立姿勢からさらに回動した操作姿勢の双方において前記凹部と前記突部とが嵌合する請求項7記載の操作装置。
【請求項10】
表面の少なくとも一部に球面を有して支持基台に回動自在に支持されている動作体と、前記動作体を回動させる操作体と、前記動作体の回動動作を検知する検知部とを有する操作装置において、
前記球面に凹部が形成され、前記支持基台側に、前記動作体に弾圧されて前記球面および前記凹部を摺動する突部が設けられており、前記凹部はいずれかの回動方向に延びており、前記突部が前記凹部に嵌合したときに、前記動作体が前記凹部に沿う方向へ優先的に導かれることを特徴とする操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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