説明

操作装置

【課題】ノブに軸交差方向の外力が加わったときの使用者の保護を図り得るばかりでなく、再利用ができる操作装置を提供する。
【解決手段】ノブ1に軸交差方向の外力が加わったとき、ノブ1側と軸2側との斜面部9,12が摺接して爪部13と穴部8との係合が解除されることにより、軸2からノブ1が外れるので、使用者がノブ1に衝止されることがなく保護ができる。そして、外れたノブ1は、爪部13と穴部8とを再係合させることにより、軸2に再連結でき、再利用ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸をノブにより回転操作する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば自動車など車両においては、軸をノブにより回転操作する各種の操作装置が具えられており、この操作装置では、ノブが操作のためにパネル面等から外方に突出しており、中でも横置きコンソールボックス等に設置されるものでは、ノブがボックスの水平状の上面等から上方に突出している。
そして、そのものにおいては、ノブに軸交差方向(横方向)の外力が加わったとき、使用者保護のため、ノブあるいは操作装置の全体が脱絡するようにしたものが供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭64−13528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようにしたものの場合、脱落したノブあるいは操作装置の全体が再利用できず、操作装置全体として交換せざるを得ないという問題点を有していた。
【0005】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、従ってその目的は、ノブに軸交差方向の外力が加わったときの使用者の保護を図り得るばかりでなく、再利用ができる操作装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の操作装置は、回転操作されるノブと、このノブにより回転が伝えられる軸とを具備し、それらノブと軸との一方側に爪部を形成し、他方側にその爪が弾性係合する穴部を形成して、それらの係合によりノブを軸に連結すると共に、前記ノブ側と軸側との少なくともいずれか一方側に斜面部を形成し、他方側にその斜面部に接触する接触部を形成して、前記ノブに軸交差方向の外力が加わったときに、前記斜面部と接触部とが摺接して前記爪部と穴部との係合が解除され、軸からノブが外れるようにしたことを特徴とする(請求項1の発明)。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によれば、ノブに軸交差方向の外力が加わったとき、ノブ側と軸側の、斜面部と接触部とが摺接して爪部と穴部との係合が解除されることにより、軸からノブが外れるので、使用者がノブに衝止されることがなく保護ができる。そして、外れたノブは、爪部と穴部とを再係合させることにより、軸に再連結でき、再利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例を示す通常状態の縦断正面図
【図2】通常状態の縦断側面図
【図3】外力Fが加わったときの縦断正面図
【図4】外力Fが加わったときの縦断側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例(一実施形態)につき、図面を参照して説明する。
まず、図1及び図2には、操作装置の全体を通常状態で示しており、上側にノブ1が存在し、下側に軸2が存在している。軸2は円柱状のもので、装置ケース3の上部に形成した凹部4から下方の装置ケース3内に向けて開通した孔5に挿通され、装置ケース3内の図示しない回転対象物を回転させるようになっている。
【0010】
軸2には又、上方に受動部6を一体に形成しており、この受動部6は、軸2上に立て板状のノブ取付部7を有し、このノブ取付部7に、穴部8を形成すると共に、斜面部9を形成している。この場合、穴部8は、ノブ取付部7を軸2の軸方向と交差する方向(図1で紙面と直交する前後方向、図2で左右方向)に貫通しており、斜面部9は、穴部8上に位置して図1で右下がり状を成している。そして、受動部6のノブ取付部7周りには、外形が円形でノブ取付部7を囲繞する囲い部10を形成している。
【0011】
一方、ノブ1は、この場合、截頭円錐状を成すもので、下部に授動ピース11を埋設しており、この授動ピース11には、下面部に上記軸2側の斜面部9と対応する斜面部12を形成している。又、この授動ピース11には、斜面部12の両側に上記軸2側の穴部8と対応する爪部13を形成しており、この爪部13を穴部8に弾性係合させて、ノブ1を授動ピース11及び受動部6を介して軸2に連結しており、同時に斜面部12を斜面部9に接触、この場合、面接触させている。
なお、装置ケース3上には、前記凹部4に対応して孔14を有するカバー15を装着している。
【0012】
次に、上記構成のものの作用を述べる。
ノブ1を使用者がつまんで回転操作をする。すると、その回転が爪部13と穴部8との係合構造を介して軸2に伝えられ、軸2が回転することによって、装置ケース3内の回転対象物が回転される。
【0013】
このように操作される状況において、今、ノブ1に軸2の軸方向と交差する方向(軸交差方向)の外力が図3に矢印Fで示すように加わると、軸2側の斜面部9に対しノブ1側の斜面部12が摺接しつつ、接触したそれら斜面部12,9による反力Pの分力P1,P2のうちのノブ1側への分力P1によって、ノブ1が軸2から離間する方向に変位され、それにより爪部13が図4にも示すように穴部8との係合を解除されて該穴部8から離脱する。かくして、ノブ1が軸2から外れ、使用者の保護をする。すなわち、外れないままのノブ1に使用者が衝突することが避けられる。
【0014】
なお、図1に示すように、組立て状態において接触したノブ1側の斜面部12と軸2側の斜面部9は、軸2からノブ1が上述のように外れる方向において、爪部13と穴部8との係合部分と同一の軸心O上(軸2の軸心の延長上)に位置しており、それによって、上述の外力によるノブ1の軸2からの外れをより確実に行わしめることができる。
【0015】
そして、外れたノブ1は、その後、ノブ1を上方より軸2に向けて進め、爪部13を穴部8に再係合させることによって、軸2に再連結でき、もって再利用(ノブ1から軸2、更には装置ケース3内の回転対象物への操作回転の伝達)ができる。
【0016】
このように上記構成のものにおいては、ノブ1に軸交差方向の外力が加わったときの使用者の保護を図り得るばかりでなく、再利用ができるものである。
【0017】
なお、爪部13と穴部8については、爪部13を軸2側に設け、穴部8をノブ1側に設けるようにしても良い。
又、斜面部9,12については、そのうちの一方がそのまま斜面部であり、他方はその斜面部に接触する接触部であれば良いもので、必ずしも斜面部である必要はなく(斜面部以外の形状であっても良く)、上記実施例においても、斜面部9,12の一方はそのまま斜面部として機能し、他方はその斜面部に接触する接触部として機能している。
そのほか、本発明は上記し且つ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【符号の説明】
【0018】
図面中、1はノブ、2は軸、8は穴部、9,12は斜面部(接触部)、13は爪部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作されるノブと、
このノブにより回転が伝えられる軸とを具備し、
それらノブと軸との一方側に爪部を形成し、他方側にその爪が弾性係合する穴部を形成して、それらの係合によりノブを軸に連結すると共に、
前記ノブ側と軸側との少なくともいずれか一方側に斜面部を形成し、他方側にその斜面部に接触する接触部を形成して、前記ノブに軸交差方向の外力が加わったときに、前記斜面部と接触部とが摺接して前記爪部と穴部との係合が解除され、軸からノブが外れるようにしたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
斜面部と接触部とが、軸からノブが外れる方向において、爪部と穴部との係合部分と同一の軸心上に位置することを特徴とする請求項1記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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