説明

操舵システム及び幼児用乗物

【課題】ワイヤの破断を防止することのできる操舵システム及び幼児用乗物を提供する。
【解決手段】第一後側固定部22よりも車幅方向外側位置に配置された第一後側突出部24の側面24aで第一ワイヤ7をガイドすると共に、第二後側固定部23よりも車幅方向外側位置に配置された第二後側突出部26の側面26aで第二ワイヤ8をガイドする。従って、第一ワイヤ7の後端側に作用する張力を第一後側突出部24で分散することによって、第一後側固定部22付近に集中してしまうことを防止すると共に、第二ワイヤ8の後端側に作用する張力を第二後側突出部26で分散することによって、第二後側固定部23付近に集中してしまうことを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護者が車体の後方から補助ハンドルを操舵することによって車体の進行方向を変えることのできる操舵システム及び幼児用乗物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の操舵システムを有する幼児用乗物として、保護者用操向装置(補助ハンドル)と、補助者用操向装置と連動して回動するワイヤ操作部(後側回動部)と、前側のハンドルと連動して回動するワイヤ操作部(前側回動部)と、前後のワイヤ操作部に固定される一対のプッシュプルワイヤ(第一ワイヤ,第二ワイヤ)と、を備える自転車が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような操舵システムでは、保護者用操向装置を回動させることによって後側のワイヤ操作部及びプッシュプルワイヤを介して前側のワイヤ操作部を回動させ、これによって、ハンドル操舵を間接的に行って自転車の進行方向を操作することができる。
【特許文献1】特開2004−314684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記操舵システムにあっては、操舵に伴い発生する張力が、プッシュプルワイヤとワイヤ操作部との固定部分に付与されることによって、当該固定部分でプッシュプルワイヤが破断してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、ワイヤの破断を防止することのできる操舵システム及び幼児用乗物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、車体後部に設けられ、後方から車体の操舵を行う補助ハンドルと、補助ハンドルの下端側に設けられ、補助ハンドルと連動して回動する後側回動部と、車体の前側の操舵用ハンドルの下端側に設けられ、操舵用ハンドルと連動して回動する前側回動部と、車幅方向の一方側で、後側回動部と前側回動部とを連結する第一ワイヤと、車幅方向の他方側で、後側回動部と前側回動部とを連結する第二ワイヤと、を備え、後側回動部は、第一ワイヤの後端部を固定する第一後側固定部と、車幅方向の一方側で、第一後端側固定部よりも前側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、車幅方向外側の側面で第一ワイヤと接触する略円柱状の第一後側突出部と、第二ワイヤの後端部を固定する第二後側固定部と、車幅方向の他方側で、第二後端側固定部よりも前側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、車幅方向外側の側面で第二ワイヤと接触する略円柱状の第二後側突出部と、を有することを特徴とする。
【0006】
この操舵システムでは、第一後側固定部よりも車幅方向外側位置に配置された第一後側突出部の側面で第一ワイヤをガイドすると共に、第二後側固定部よりも車幅方向外側位置に配置された第二後側突出部の側面で第二ワイヤをガイドしている。従って、第一ワイヤの後端側に作用する張力を第一後側突出部で分散することによって、第一後側固定部付近に集中してしまうことを防止すると共に、第二ワイヤの後端側に作用する張力を第二後側突出部で分散することによって、第二後側固定部付近に集中してしまうことを防止することができる。これによって、第一ワイヤ及び第二ワイヤの破断を防止することができる。
【0007】
本発明に係る操舵システムは、車体後部に設けられ、後方から車体の操舵を行う補助ハンドルと、補助ハンドルの下端側に設けられ、補助ハンドルと連動して回動する後側回動部と、車体の前側の操舵用ハンドルの下端側に設けられ、操舵用ハンドルと連動して回動する前側回動部と、車幅方向の一方側で、後側回動部と前側回動部とを連結する第一ワイヤと、車幅方向の他方側で、後側回動部と前側回動部とを連結する第二ワイヤと、を備え、前側回動部は、第一ワイヤの前端部を固定する第一前側固定部と、車幅方向の一方側で、第一前端側固定部よりも後側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、車幅方向外側の側面で第一ワイヤと接触する略円柱状の第一前側突出部と、第二ワイヤの前端部を固定する第二前側固定部と、車幅方向の他方側で、第二前端側固定部よりも後側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、車幅方向外側の側面で第二ワイヤと接触する略円柱状の第二前側突出部と、を有することを特徴とする。
【0008】
この操舵システムでは、前側固定部よりも車幅方向外側位置に配置された第一前側突出部の側面で第一ワイヤをガイドすると共に、前側固定部よりも車幅方向外側位置に配置された第二前側突出部の側面で第二ワイヤをガイドしている。従って、第一ワイヤの前端側に作用する張力を第一前側突出部で分散することによって、前側固定部付近に集中してしまうことを防止すると共に、第二ワイヤの前端側に作用する張力を第二前側突出部で分散することによって、前側固定部付近に集中してしまうことを防止することができる。これによって、第一ワイヤ及び第二ワイヤの破断を防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る操舵システムにおいて、第一ワイヤと第二ワイヤとは一本のワイヤにより構成されていることが好ましい。これによって、ワイヤ強度を確保することができる。
【0010】
また、本発明に係る操舵システムにおいて、第一ワイヤ及び第二ワイヤは、それぞれ長さ調整可能であることが好ましい。これによって、使用によって伸びてしまった第一ワイヤ及び第二ワイヤの長さを調整することができ、長時間使用しても操舵システムの操作性を保つことができる。
【0011】
また、本発明に係る操舵システムにおいて、補助ハンドルの上端部は二股に分岐していることが好ましい。これによって、保護者は、両手で操舵を行うことが可能となり、操作性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る操舵システムにおいて、補助ハンドルは、車体後方へ屈曲する屈曲部を有することが好ましい。これによって、補助ハンドルが車体後方へ屈曲する屈曲部を有しているため、補助ハンドルを操舵した場合、自転車を上方から見たときに補助ハンドル全体が自転車の進行方向と逆方向へ傾斜する(例えば図7)。従って、保護者が進行方向と逆側の位置から自転車を押すことができるため、車体の進行方向を変えるときに後から自転車を押し易くなる。
【0013】
本発明に係る幼児用乗物は、上述した操舵システムを備えている。この幼児用乗物によれば、ワイヤの破断を防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ワイヤの破断を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書中において、自転車の進行方向を「前方」と定め、運転者及び保護者から見たときの左右方向を「左右」と定め、「前」「後」「左」「右」等の方向を表す語を用いることとする。
【0016】
図1に示すように、自転車(幼児用乗物)1は、車体後部に設けられた補助ハンドル14を有する補助操舵機構2と、補助ハンドル14の下端側に設けられ、補助ハンドル14と連動して回動する後側回動部3と、車体前側の操舵用ハンドル4の下端部に設けられ、操舵用ハンドル4と連動して回動する前側回動部6と、後側回動部3と前側回動部6とをそれぞれ連結する第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8と、を備えた操舵システム10を有している。なお、この自転車1は、操舵システム10を備えていること以外は、一般的な幼児用の自転車と同様な構成を有している。
【0017】
補助操舵機構2は、保護者が自転車1の後方から操舵することによって、運転者たる幼児に代わって自転車1の操縦をするためのものであり、自転車1のシートチューブ11の後方に配置されたハンドル支持パイプ12で回転可能に支持された回転パイプ13と、回転パイプ13と連結されて保護者が操舵するための補助ハンドル14と、を備えて構成されている。また、補助ハンドル14は、回転パイプ13に挿入される接続部16と、接続部16の上端で後方へ屈曲する屈曲部17と、後側へ傾斜するように上方へ向かって延在する押棒部18と、押棒部18の上端側が二股に分岐することによって形成された操舵部19とを備えて構成されている。
【0018】
補助操舵機構2の補助ハンドル14は、一本のパイプを所定の形状に屈曲させることによって接続部16と屈曲部17と押棒部18とを形成し、その上端に操舵部19を設けることによって構成されている。接続部16の上端には、接続部16の中心軸線よりも後方へ傾斜するように屈曲した屈曲部17が設けられ、屈曲部17の上端には、屈曲部17の中心軸線よりも後方への傾斜が緩くなるように屈曲した押棒部18が設けられる。また、押棒部18の上端には、その両端部にグリップ19aが形成されることによって保護者が両手で操舵することが可能となっている操舵部19が設けられる(図7参照)。これによって、保護者は、両手で自転車1の操舵を行うことが可能となり、操作性を向上させることができる。
【0019】
補助操舵機構2の回転パイプ13は、図2に示すように、後側へ傾斜するように上下方向に延在するハンドル支持パイプ12内へ回転可能に挿入されると共に、その上端側及び下端側の一部がハンドル支持パイプ12から露出している。この回転パイプ13の上端側の開口部には、補助ハンドル14の接続部16が挿入されている。この補助ハンドル14は、回転パイプ13と取り外し可能に連結されている。具体的には、接続部16の側面からは内部のバネ(不図示)などによって外側へ向けて弾性力が付与された突出部16aが突出している。そして、接続部16を回転パイプ13に挿入するときは、突出部16aが回転パイプ13の内壁に押さえつけられることによって接続部16の側面内に入り込み、この突出部16aが回転パイプ13の側面に設けられた貫通孔(不図示)に到達すると、弾性力によって外側へ突出して回転パイプ13の貫通孔に嵌入され、これによって、接続部16が回転パイプ13と連結される。一方、接続部16を回転パイプ13から取り外すときは、回転パイプ13の外側から接続部16の突出部16aを内部へ押し込むと共に、接続部16を上方へ引き抜くことによって、回転パイプ13から取り外すことができる。
【0020】
後側回動部3は、図3及び図4に示すように、補助操舵機構2の回転パイプ13の下端部に当該回転パイプ13の径方向に広がるプレート状の支持板21を設け、その支持板21の下面に第一後側固定部22、第二後側固定部23、第一後側突出部24、及び第二後側突出部26を形成することによって構成されている。第一後側固定部22は、第一ワイヤ7の後端部を固定するためのものであり、支持板21の後端側において回転パイプ13の中心軸線よりも左側の位置に形成されている。第二後側固定部23は、第二ワイヤ8の後端部を固定するためのものであり、支持板21の後端側において回転パイプ13の中心軸線よりも右側の位置に形成されている。なお、後側回動部3においては、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の後端部がケースなどに覆われていないため、メンテナンスが容易となっている。
【0021】
また、第一後側突出部24は、第一ワイヤ7をガイドするためのものであり、第一後側固定部22よりも前側且つ車幅方向外側の位置、具体的には、回転パイプ13と車幅方向に隣接する位置であって第一後側固定部22よりも左側の位置に、略円柱状のリブを下方へ向けて突出させることによって形成されている。この第一後側突出部24は、車幅方向外側の側面24a、すなわち側面24aの左側で第一ワイヤ7と接触してガイドする。
【0022】
また、第二後側突出部26は、第二ワイヤ8をガイドするためのものであり、第二後側固定部23よりも前側且つ車幅方向外側の位置、具体的には、回転パイプ13と車幅方向に隣接する位置であって第二後側固定部23よりも右側の位置に、略円柱状のリブを下方へ向けて突出させることによって形成されている。この第二後側突出部26は、車幅方向外側の側面26a、すなわち側面26aの右側で第二ワイヤ8と接触してガイドする。
【0023】
前側回動部6は、自転車1の前側のハンドル支持パイプ30に回転可能に支持された操舵用ハンドル4の下端部に、当該操舵用ハンドル4の径方向に広がるプレート状の支持板32を設け、その支持板32の下面に前側固定部(第一前側固定部、第二前側固定部)33、第一前側突出部36、及び第二前側突出部37を形成することによって構成されている。前側固定部33は、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の前端部を固定するためのものであり、支持板32の前端側で車幅方向において操舵用ハンドル4の中心軸線と同位置に形成されている。なお、前側回動部6においては、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の前端部がケースなどに覆われていないため、メンテナンスが容易となっている。
【0024】
また、第一前側突出部36は、第一ワイヤ7をガイドするためのものであり、前側固定部33よりも後側且つ車幅方向外側の位置、具体的には、操舵用ハンドル4と車幅方向に隣接する位置であって前側固定部33(すなわち中心位置)よりも左側の位置に、略円柱状のリブを下方へ向けて突出させることによって形成されている。この第一前側突出部36は、車幅方向外側の側面36a、すなわち側面36aの左側で第一ワイヤ7と接触してガイドする。
【0025】
また、第二前側突出部37は、第二ワイヤ8をガイドするためのものであり、前側固定部33よりも後側且つ車幅方向外側の位置、具体的には、操舵用ハンドル4と車幅方向に隣接する位置であって前側固定部33(すなわち中心位置)よりも右側の位置に、略円柱状のリブを下方へ向けて突出させることによって形成されている。この第二前側突出部37は、車幅方向外側の側面37a、すなわち側面37aの右側で第二ワイヤ8と接触してガイドする。
【0026】
第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8は、前側回動部6の前側固定部33で折り返された一本のワイヤから構成されている。このように、一本のワイヤで構成することによって、ワイヤ強度を確保することができる。この第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8は、後側回動部3から前側回動部6へ向かって延在するチューブ38にガイドされており、自転車1のペダル39を支持するペダル支持部41の下側に設けられたガイド部42と、自転車1のメインパイプ43の下部に設けられたガイド部44とに挿通されることによって、自転車1の本体に取り付けられている(図1参照)。また、ガイド部42には、例えば、ブレーキワイヤなどのワイヤ調整に用いられるようなネジ込み式のワイヤ調整機構46が設けられている。これによって、使用によって伸びてしまった第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の長さを調整することができ、長時間使用しても自転車1の操舵システム10の操作性を保つことができる。
【0027】
次に、このように構成された自転車1の操舵システム10の作用効果について、図5〜7を参照して説明する。
【0028】
まず、自転車1の後部の保護者が補助操舵機構2の補助ハンドル14を右回りに回動させると、補助ハンドル14が連結された回転パイプ13を介して、図5に示すように、後側回動部3が回動する。後側回動部3が回動することによって、第一ワイヤ7が前方に押されると共に第二ワイヤ8が後方へ牽引され、これによって、前側回動部6が右回りに回動する。前側回動部6は、操舵用ハンドル4の下端部に設けられているため、操舵用ハンドル4は、保護者が操舵した方向と同じく右回りに操舵される。
【0029】
このとき、図3及び図5に示すように、自転車1の後側においては、第一後側固定部22よりも車幅方向外側位置に配置された第一後側突出部24の側面24aで第一ワイヤ7をガイドすると共に、第二後側固定部23よりも車幅方向外側位置に配置された第二後側突出部26の側面26aで第二ワイヤ8をガイドしている。従って、第一ワイヤ7の後端側に作用する張力を第一後側突出部24で分散することによって、第一後側固定部22付近に集中してしまうことを防止すると共に、第二ワイヤ8の後端側に作用する張力を第二後側突出部26で分散することによって、第二後側固定部23付近に集中してしまうことを防止することができる。これによって、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の破断を防止することができる。
【0030】
また、自転車1の前側においては、前側固定部33よりも車幅方向外側位置に配置された第一前側突出部36の側面36aで第一ワイヤ7をガイドすると共に、前側固定部33よりも車幅方向外側位置に配置された第二前側突出部37の側面37aで第二ワイヤ8をガイドしている。従って、第一ワイヤ7の前端側に作用する張力を第一前側突出部36で分散することによって、前側固定部33付近に集中してしまうことを防止すると共に、第二ワイヤ8の前端側に作用する張力を第二前側突出部37で分散することによって、前側固定部33付近に集中してしまうことを防止することができる。これによって、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の破断を防止することができる。
【0031】
これに対し、従来の自転車における操舵システムを採用したときに、保護者が補助ハンドルを操舵した場合を説明する。図6に示すように、従来の自転車の操舵システム50において、後側回動部51は、略円板状の支持板52の後端側に設けられた固定部53,54で第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の後端部を固定し、支持板52の側面で第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8を滑らかにガイドしている。また、前側回動部56は、略円板状の支持板57の前端側に設けられた固定部58で第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の前端部を固定し、支持板57の側面で第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8を滑らかにガイドしている。このような自転車の操舵システム50を採用した場合は、補助ハンドルを保護者が操作したとき、自転車の後側においては、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の後端側に作用する張力が固定部53,54に集中してしまう。一方、自転車の前側においては、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8の前端側に作用する張力が固定部58に集中してしまう。これによって、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8が破断してしまう。
【0032】
更に、本実施形態に係る自転車1の操舵システム10にあっては、補助操舵機構2の補助ハンドル14が、車体後方へ屈曲する屈曲部17を有しているため、図7に示すように、自転車1を上方から見たときに、補助ハンドル14全体が自転車の進行方向と逆方向へ傾斜する。従って、保護者が進行方向と逆側の位置から自転車1を押すことができるため、自転車1の進行方向を変えるときに後方から押し易くなり、例えば、運転者たる幼児が自転車を漕ぐのを中止してしまったときなど、保護者が自ら自転車を押して移動させる場合などに有効である。一方、屈曲部を有していない補助ハンドルを用いた場合は、補助ハンドルはその場で回転するだけに留まるので、進行方向を変える場合も、保護者は自転車1の真後ろから押さなくてはならないため、力をかけ難い。
【0033】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0034】
例えば、本実施形態においては、第一ワイヤ7及び第二ワイヤ8は、一本のワイヤから構成されていたが、これに代えて、独立した二本のワイヤを用いてもよい。この場合は、前側回動部の固定部は二つとなる。
【0035】
また、本実施形態においては、後側回動部3及び前側回動部6の突出部や固定部は、支持板の下側に設けられているが、支持板の上側に設けられていてもよい。このとき、突出部は上方に向かって突出することによって形成される。
【0036】
また、本実施形態においては、幼児用乗物として自転車を例にして説明したが、操舵システム10を三輪車に適用してもよいし、幼児用自動車に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係る自転車の側面図である。
【図2】補助操舵機構付近の要部拡大断面図である。
【図3】後側回動部及び前側回動部を自転車の下方から見た要部拡大図である。
【図4】後側回動部及び前側回動部を自転車の側方から見た要部拡大図である。
【図5】操舵時における後側回動部及び前側回動部を自転車の下方から見た要部拡大図であり、図4に対応する図である。
【図6】従来の自転車の操舵システムの要部拡大図であり、図4に対応する図である。
【図7】図1に示す自転車の平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1…自転車(幼児用乗物)、3…後側回動部、4…操舵用ハンドル、6…前側回動部、7…第一ワイヤ、8…第二ワイヤ、10…操舵システム、14…補助ハンドル、17…屈曲部、22…第一後側固定部、23…第二後側固定部、24…第一後側突出部、24a…側面、26…第二後側突出部、26a…側面、33…前側固定部(第一前側固定部、前側第二固定部)、36…第一前側突出部、36a…側面、37…第二前側突出部、37a…側面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部に設けられ、後方から前記車体の操舵を行う補助ハンドルと、
前記補助ハンドルの下端側に設けられ、前記補助ハンドルと連動して回動する後側回動部と、
前記車体の前側の操舵用ハンドルの下端側に設けられ、前記操舵用ハンドルと連動して回動する前側回動部と、
車幅方向の一方側で、前記後側回動部と前記前側回動部とを連結する第一ワイヤと、
車幅方向の他方側で、前記後側回動部と前記前側回動部とを連結する第二ワイヤと、を備え、
前記後側回動部は、
前記第一ワイヤの後端部を固定する第一後側固定部と、
前記車幅方向の一方側で、前記第一後端側固定部よりも前側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、前記車幅方向外側の側面で前記第一ワイヤと接触する略円柱状の第一後側突出部と、
前記第二ワイヤの後端部を固定する第二後側固定部と、
前記車幅方向の他方側で、前記第二後端側固定部よりも前側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、前記車幅方向外側の側面で前記第二ワイヤと接触する略円柱状の第二後側突出部と、を有することを特徴とする操舵システム。
【請求項2】
車体後部に設けられ、後方から前記車体の操舵を行う補助ハンドルと、
前記補助ハンドルの下端側に設けられ、前記補助ハンドルと連動して回動する後側回動部と、
前記車体の前側の操舵用ハンドルの下端側に設けられ、前記操舵用ハンドルと連動して回動する前側回動部と、
車幅方向の一方側で、前記後側回動部と前記前側回動部とを連結する第一ワイヤと、
車幅方向の他方側で、前記後側回動部と前記前側回動部とを連結する第二ワイヤと、を備え、
前記前側回動部は、
前記第一ワイヤの前端部を固定する第一前側固定部と、
前記車幅方向の一方側で、前記第一前端側固定部よりも後側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、前記車幅方向外側の側面で前記第一ワイヤと接触する略円柱状の第一前側突出部と、
前記第二ワイヤの前端部を固定する第二前側固定部と、
前記車幅方向の他方側で、前記第二前端側固定部よりも後側且つ車幅方向外側の位置から下方又は上方へ向かって突出すると共に、前記車幅方向外側の側面で前記第二ワイヤと接触する略円柱状の第二前側突出部と、を有することを特徴とする操舵システム。
【請求項3】
前記第一ワイヤと前記第二ワイヤとは一本のワイヤにより構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の操舵システム。
【請求項4】
前記第一ワイヤ及び前記第二ワイヤは、それぞれ長さ調整が可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の操舵システム。
【請求項5】
前記補助ハンドルの上端部は二股に分岐していることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の操舵システム。
【請求項6】
前記補助ハンドルは、前記車体の後方へ屈曲する屈曲部を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の操舵システム。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の操舵システムを備えることを特徴とする幼児用乗物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−269471(P2009−269471A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121575(P2008−121575)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(591185401)ピープル株式会社 (9)
【Fターム(参考)】