説明

操舵トルク検出信号送信装置および操舵トルク検出信号受信装置

【課題】 3つのトルクセンサを設けて3重系の操舵トルク検出システムを構成した場合において、省線化と断線に対する信頼性の向上とを両立させる。
【解決手段】 トルク信号変調部140は、第1トルク信号T1に正弦波信号を重畳させた信号(T1×sin(ωt))と、第2トルク信号T2に余弦波信号を重畳させた信号(T2×cos(ωt))と、第3トルク信号T3に正弦波信号を重畳させた信号(T3×sin(ωt))と、第3トルク信号T3に余弦波信号を重畳させた信号(T3×cos(ωt))とを生成する。出力信号生成部150は、それらの信号を組み合わせて(T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×sin(ωt))を表す信号S1と、(T1×cos(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×cos(ωt))を表す信号S2を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者による操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための車両用電動パワーステアリング装置に用いられるトルク検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、運転者の操舵操作に対して操舵アシストトルクを付与する電動パワーステアリング装置が知られている。電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトに働いた操舵トルクをトルクセンサにより検出し、操舵トルクが大きくなるにしたがって増加する目標アシストトルクを算出し、算出した目標アシストトルクが得られるように、電動モータの通電量をフィードバック制御する。
【0003】
電動パワーステアリング装置においては、信頼性を向上させるために、トルクセンサを2組設け、両トルクセンサの検出信号をアシストECU(電子制御ユニット)に送信するように構成したものも特許文献1等において知られている。2組のトルクセンサは、トルクセンサユニットとしてユニット化される。トルクセンサユニットは、アシストECUとワイヤハーネスで接続され、アシストECUから電源供給を受けるとともに、2本の信号線を介して各トルクセンサの検出信号をアシストECUに出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−197367
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、従来の装置においては、2本の信号線のうちの片方が断線すると、センサ情報が1種類に減ってしまう。つまり、1本の信号線に対して1種類のセンサ情報のみを送信するように構成されているため、信号線が1本断線した場合には、片方のトルクセンサのセンサ情報が伝達されなくなる。このため、センサ出力の信頼性が確保できなくなり、操舵アシスト制御の停止に至り、快適性が損なわれる。
【0006】
また、センサ出力の信頼性向上のために、トルクセンサユニットに3つのトルクセンサを設けた3重系の操舵トルク検出システムを構成した場合、3種類のセンサ情報をアシストECUに送信しようとすると、ワイヤハーネスの配線本数が更に増加してしまう。例えば、図4に示すように、トルクセンサA,B,C毎に電源供給線LpA,LpB,LpCと、グランド線LgA,LgB,LgCと、信号線LsA,LsB,LsCとの合計9本の配線が必要となる。また、この構成においても、信号線の1つが断線すると、その断線が発生したトルクセンサのセンサ情報をアシストECUに出力できなくなってしまう。
【0007】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、3つのトルクセンサを設けて3重系の操舵トルク検出システムを構成した場合において、省線化と断線に対する信頼性の向上とを両立させることを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の操舵トルク検出信号送信装置の特徴は、
ステアリングシャフトに働く操舵トルクを検出する3つの操舵トルクセンサを備え、前記3つの操舵トルクセンサのトルク検出信号を、電動パワーステアリング装置の電動モータを駆動制御するアシスト制御装置に送信する操舵トルク検出信号送信装置において、
前記アシスト制御装置から2本の電源供給線を介して正弦波電源と、前記正弦波電源に対して位相がπ/2ずれた余弦波電源とを受電して直流電源に変換する電源回路と、
前記正弦波電源から正弦波信号を生成し、前記余弦波電源から余弦波信号を生成する変調用信号生成手段と、
前記3つの操舵トルクセンサのうちの第1操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記正弦波信号を重畳した第1トルク変調信号と、前記3つの操舵トルクセンサのうちの第2操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記余弦波信号を重畳した第2トルク変調信号と、前記3つの操舵トルクセンサのうちの第3操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記正弦波信号を重畳した第3トルク変調信号と、前記第3操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記余弦波信号を重畳した第4トルク変調信号とを生成するトルク信号変調手段と、
前記第1トルク変調信号と前記第2トルク変調信号と前記第3トルク変調信号とを加算した第1出力信号と、前記第1トルク変調信号と前記第2トルク変調信号と前記第4トルク変調信号とを加算した第2出力信号とを生成する出力信号生成手段と
を備え、前記アシスト制御装置に対して、前記第1出力信号を第1信号線を介して送信し、前記第2出力信号を第2信号線を介して送信することにある。
【0009】
本発明の操舵トルク検出信号送信装置においては、アシスト制御装置から正弦波電源と余弦波電源とが別々の電源供給線(合計2本)を介して供給される。アシスト制御装置から供給された電源は、電源回路に受電されて直流電源に変換され、操舵トルク検出信号送信装置内の電源として使用される。操舵トルク検出信号送信装置には、第1操舵トルクセンサ、第2操舵トルクセンサ、第3操舵トルクセンサが設けられ、ステアリングシャフトに働く操舵トルクをそれぞれ検出する。操舵トルク検出信号送信装置は、各操舵トルクセンサごとに検出された操舵トルク情報であるトルク検出信号を変調してアシスト制御装置に送信する。変調用信号生成手段は、トルク検出信号を変調するための変調用信号として、正弦波電源から正弦波信号を生成し、余弦波電源から余弦波信号を生成する。この正弦波信号と余弦波信号は、トルク信号変調手段に供給される。
【0010】
トルク信号変調手段は、第1操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に正弦波信号を重畳した第1トルク変調信号と、第2操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に余弦波信号を重畳した第2トルク変調信号と、第3操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に正弦波信号を重畳した第3トルク変調信号と、第3操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に余弦波信号を重畳した第4トルク変調信号とを生成する。
【0011】
例えば、第1操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号をT1、第2操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号をT2、第3操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号をT3とした場合、第1トルク変調信号はT1×sin(ωt)として表され、第2トルク変調信号はT2×cos(ωt)として表され、第3トルク変調信号はT3×sin(ωt)として表され、第4トルク変調信号はT3×cos(ωt)として表される。トルク信号変調手段は、これら4つの変調信号を出力信号生成手段に供給する。
【0012】
出力信号生成手段は、第1トルク変調信号と第2トルク変調信号と第3トルク変調信号とを加算した第1出力信号と、第1トルク変調信号と第2トルク変調信号と第4トルク変調信号とを加算した第2出力信号とを生成する。例えば、第1出力信号は、T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×sin(ωt)として表され、第2出力信号は、T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×cos (ωt)として表される。
【0013】
そして、操舵トルク検出信号送信装置は、アシスト制御装置に対して、第1出力信号を第1信号線を介して送信し、第2出力信号を第2信号線を介して送信する。このため、それぞれの信号線には、3つの操舵トルクセンサの検出結果である操舵トルク情報が含まれている。従って、信号線を操舵トルクセンサの数だけ必要としない。また、信号線の1線が断線しても、3つの操舵トルク情報を送信することができる。更に、2本の電源供給線から電源回路に電源供給され、電源回路にて直流電源に変換して操舵トルク検出信号送信装置内の電気負荷に電源供給するため、電源供給線の1線が断線しても電源供給を維持できる。この結果、3つの操舵トルクセンサを設けて3重系の操舵トルク検出システムを構成した場合において、省線化と断線に対する信頼性の向上とを両立させることができる。
【0014】
本発明の他の特徴は、
前記アシスト制御装置に設けられ請求項1記載の操舵トルク検出信号送信装置と接続する操舵トルク検出信号受信装置であって、
前記操舵トルク検出信号送信装置の電源回路に前記2本の電源供給線を介して前記正弦波電源と前記余弦波電源とを供給する電源供給回路と、
前記第1信号線および第2信号線を介して前記第1出力信号および第2出力信号を受信し、前記第1出力信号に前記正弦波電源と同期した正弦波信号を重畳した第1信号と、前記第1出力信号に前記余弦波電源と同期した余弦波信号を重畳した第2信号と、前記第2出力信号に前記正弦波信号を重畳した第3信号と、前記第2出力信号に前記余弦波信号を重畳した第4信号とを生成するトルク抽出用信号生成手段と、
前記第1信号および前記第3信号に対しては、信号位相角がπ/2となるときの信号出力を取得し、前記第2信号および前記第4信号に対しては、信号位相角が0となるときの信号出力を取得するトルク検出信号抽出手段と
を備えたことにある。
【0015】
本発明の操舵トルク検出信号受信装置においては、2本の電源供給線を介して操舵トルク検出信号送信装置の電源回路に正弦波電源と余弦波電源とを供給する。また、2本の信号線を介して操舵トルク検出信号送信装置が出力する第1出力信号と第2出力信号とを受信する。トルク抽出用信号生成手段は、受信した第1出力信号に正弦波信号を重畳した第1信号と、
第1出力信号に余弦波信号を重畳した第2信号と、第2出力信号に正弦波信号を重畳した第3信号と、第2出力信号に余弦波信号を重畳した第4信号とを生成する。この正弦波信号は、正弦波電源と同期し(位相と周期が等しい)、操舵トルク検出信号送信装置で生成された正弦波信号と同じ波形の信号となる。また、余弦波信号は、余弦波電源と同期し(位相と周期が等しい)、操舵トルク検出信号送信装置で生成された余弦波信号と同じ波形の信号となる。
【0016】
従って、例えば、第1信号は、T1×sin2(ωt)+T2×sin(ωt)×cos(ωt)+T3×sin2(ωt)として表すことができる。同様に、第2信号は、T1×sin(ωt)×cos(ωt)+T2×cos2(ωt)+T3×sin(ωt)×cos(ωt)として表すことができ、第3信号は、T1×sin2(ωt)+T2×sin(ωt)×cos(ωt)+T3×sin(ωt)×cos(ωt)として表すことができ、第4信号は、T1×sin(ωt)×cos(ωt)+T2×cos2(ωt)+T3×cos2(ωt)として表すことができる。
【0017】
また、第1信号〜第4信号は、次式のように変形することができる。
第1信号:(T1+T3)×sin2(ωt)+T2×sin(2ωt)/2
第2信号:(T1+T3)×sin(2ωt)/2+T2×cos2(ωt)
第3信号:T1×sin2(ωt)+(T2+T3)×sin(2ωt)/2
第4信号:T1×sin(2ωt)/2+(T2+T3)×cos2(ωt)
【0018】
そして、トルク検出信号抽出手段は、第1信号および第3信号に対しては、信号位相角(ωt)がπ/2となるときの信号出力を取得し、第2信号および第4信号に対しては、信号位相角が0となるときの信号出力を取得する。例えば、上記式において、信号位相角(ωt)がπ/2となるときは、sin2(ωt)=1,sin(2ωt)=0となるため、第1信号は(T1+T3)、第3信号はT1となる。同様に、上記式において、信号位相角(ωt)が0となるときは、cos2(ωt)=1,sin(2ωt)=0となるため、第2信号はT2、第4信号は(T2+T3)となる。尚、信号出力の取得にあたっては、アナログ信号をA/D変換器にてデジタル値に変換して取得するようにするとよい。
【0019】
この結果、2本の信号線を介して受信した2つの出力信号から3種類の操舵トルク情報を抽出することができる。また、2本の信号線の一方が断線しても、3種類の操舵トルク情報を抽出することができる。従って、高い信頼性を維持したまま省線化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態としての操舵トルク検出信号送信装置と操舵トルク検出信号受信装置とを備えた電動パワーステアリング装置の概略構成図である。
【図2】実施形態としてのトルクセンサユニットの構成図である。
【図3】実施形態としてのアシスト演算部における操舵トルク検出部の構成図である。
【図4】省線化を図っていない3重系の操舵トルク検出システムの配線構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態として操舵トルク検出信号送信装置と操舵トルク検出信号受信装置とを備えた電動パワーステアリングの概略構成図である。
【0022】
車両の電動パワーステアリング装置は、操舵ハンドル11の操舵により転舵輪である左右前輪FW1,FWを転舵する転舵機構10と、転舵機構10に設けられ操舵アシストトルクを発生するパワーアシスト部20と、パワーアシスト部20の電動モータ21を駆動制御するアシスト制御装置30(以下、アシストECU30と呼ぶ)と、車速センサ40と、トルクセンサユニット100とを備えている。
【0023】
転舵機構10は、操舵ハンドル11に上端を一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備え、ステアリングシャフト12の下端にはピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、図示しないタイロッドおよびナックルアームを介して左右前輪FW1,FW2が転舵可能に接続されている。左右前輪FW1,FW2は、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に転舵される。
【0024】
ラックバー14には、パワーアシスト部20が組み付けられている。パワーアシスト部20は、操舵アシスト用の電動モータ21(例えば、ブラシレスモータ)とボールねじ機構22とからなる。電動モータ21の回転軸は、ボールねじ機構22を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FW1,FW2の転舵をアシストする。ボールねじ機構22は、減速器および回転−直線変換器として機能するもので、電動モータ21の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。
【0025】
アシストECU30は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器などからなるマイクロコンピュータを主要部として備えたアシスト演算部31と、モータ駆動回路32とを備えている。モータ駆動回路32は、アシスト演算部31からのPWM制御信号を入力して、内部のスイッチング素子のデューティ比を制御することにより電動モータ21への通電量を調整する。モータ駆動回路32には、電動モータ21に流れる電流を検出する電流センサ33が設けられる。
【0026】
アシスト演算部31は、電流センサ33、車速センサ40、トルクセンサユニット100を接続している。車速センサ40は、車速を表す車速検出信号を出力する。トルクセンサユニット100は、操舵ハンドル11の回動操作によってステアリングシャフト12に作用する操舵トルクを検出するもので、これについては後述する。
【0027】
次に、アシスト演算部31の実施する操舵アシスト制御について簡単に説明する。アシスト演算部31は、車速センサ40およびトルクセンサユニット100からの検出信号に基づいて車速と操舵トルクとを取得し、取得した車速と操舵トルクに基づいて、目標アシストトルクを算出する。目標アシストトルクは、図示しないアシストマップ等を参照して、操舵トルクが大きくなるにしたがって増加し、かつ、車速が増加するにしたがって減少するように設定される。そして、この目標アシストトルクを発生させるために必要な目標電流を計算し、電流センサにより検出された実電流と目標電流との偏差に基づいてPI制御(比例積分制御)式等を使って目標指令電圧を計算し、目標指令電圧に応じたPWM制御信号をモータ駆動回路32に出力する。こうして、電動モータ21には、電流フィードバック制御により運転者の操舵方向と同じ方向に回転する向きの目標電流が流れ、運転者の操舵操作を適切にアシストする。
【0028】
こうした操舵アシスト制御を適切に実施するためには、信頼性の高い操舵トルクの検出を行う必要がある。そこで、本実施形態においては、以下の構成にて操舵トルクを検出する。
【0029】
まず、トルクセンサユニット100から説明する。図2は、トルクセンサユニット100の概略構成図である。トルクセンサユニット100(以下、センサユニット100と呼ぶ)は、本発明の操舵トルク検出信号送信装置に相当するもので、2本の電源供給線Lp1,Lp2と、2本の信号線Ls1,Ls2と、3本のグランド線Lg1,Lg2,Lg3とを介してアシストECU30のアシスト演算部31に接続される。
【0030】
センサユニット100は、電源回路110と、変調用信号生成部120と、トルクセンサ部130と、トルク信号変調部140と、出力信号生成部150とを備える。
【0031】
電源回路110は、2本の電源供給線Lp1,Lp2から電源を取り込みセンサユニット100内の回路用の電源を生成する。電源供給線Lp1には、アシストECU30から12V系の正弦波電源(電圧波形が正弦波となる電源)が供給され、電源供給線Lp2には、アシストECU30から12V系の余弦波電源(電圧波形が余弦波となる電源)が供給される。正弦波電源と余弦波電源とは、同じ周期で、互いに位相がπ/2だけずれている。電源回路110は、電源供給線Lp1,Lp2からそれぞれダイオード111,112を介して電源を取り込む電源引込ライン113,114を並列に備え、この電源引込ライン113,114の合流点の負荷側に平滑用のコンデンサ115とレギュレータ116とを接続して構成される。レギュレータ116は、入力した電源をセンサユニット100内の各回路で使用される電圧レベル(例えば、5V)に変換し、各回路に安定した直流電源Vccを供給する。この電源回路110においては、2本の電源供給線Lp1,Lp2から電源供給を受けるため、コンデンサ115の容量Cを調整することにより、片側の電源供給線Lp1(Lp2)が断線した場合でも、センサユニット100内の各回路に電源供給可能となっている。尚、本実施形態においては、回路構成を簡単にするために上記構成を採用しているが、例えば、ダイオードブリッジ回路を用いて整流する構成であってもよい。
【0032】
変調用信号生成部120は、12V系の正弦波電源から5V系の正弦波信号(sin(ωt))を生成する正弦波生成回路121と、同じく12V系の余弦波電源から5V系の余弦波信号(cos(ωt))を生成する余弦波生成回路122とを備えている。正弦波信号(sin(ωt))と余弦波信号(cos(ωt))は、トルク信号変調部140に供給される。また、正弦波生成回路121は、電源供給線Lp1が断線したとき、その出力信号がハイレベルとなるように回路設定されている。同様に、余弦波生成回路122も、電源供給線Lp2が断線したとき、その出力信号がハイレベルとなるように回路設定されている。
【0033】
トルクセンサ部130は、第1トルクセンサ131、第2トルクセンサ132、第3トルクセンサ133を備えている。各トルクセンサ131,132,133は、それぞれステアリングシャフト12に働く操舵トルクを表すトルク検出信号を出力する。第1トルクセンサ131から出力されるトルク検出信号を第1トルク信号T1と呼び、第2トルクセンサ132から出力されるトルク検出信号を第2トルク信号T2と呼び、第3トルクセンサ133から出力されるトルク検出信号を第3トルク信号T3と呼ぶ。各トルクセンサ131,132,133は、それぞれ電源回路110から電源供給されるとともに、グランド端子がグランド線Lg1,Lg2,Lg3を介してアシストECU30のグランドと接続される。第1トルク信号T1,第2トルク信号T2,第3トルク信号T3は、トルク信号変調部140に供給される。
【0034】
トルク信号変調部140は、第1乗算回路141と第2乗算回路142と第3乗算回路143と第4乗算回路144とを備えている。第1乗算回路141は、第1トルクセンサ131から出力された第1トルク信号T1に、正弦波生成回路121から出力された正弦波信号(sin(ωt))を重畳させた信号を生成し、その生成した(T1×sin(ωt))を表す信号を出力する。第2乗算回路142は、第2トルクセンサ132から出力された第2トルク信号T2に、余弦波生成回路122から出力された余弦波信号(cos(ωt))を重畳させた信号を生成し、その生成した(T2×cos(ωt))を表す信号を出力する。第3乗算回路143は、第3トルクセンサ133から出力された第3トルク信号T3に、正弦波生成回路121から出力された正弦波信号(sin(ωt))を重畳させた信号を生成し、その生成した(T3×sin(ωt))を表す信号を出力する。第4乗算回路144は、第3トルクセンサ133から出力された第3トルク信号T3に、余弦波生成回路122から出力された余弦波信号(cos(ωt))を重畳させた信号を生成し、その生成した(T3×cos(ωt))を表す信号を出力する。各乗算回路141〜144で生成された信号は、出力信号生成部150に供給される。
【0035】
出力信号生成部150は、第1加算回路151と第2加算回路152と第3加算回路153とを備えている。第1加算回路151は、第1乗算回路141の出力(T1×sin(ωt))と、第2乗算回路142の出力(T2×cos(ωt))とを加算した信号を生成し、その生成した(T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt))を表す信号を出力する。第2加算回路152は、第1加算回路151の出力(T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt))と第3乗算回路143の出力(T3×sin(ωt))とを加算した信号を生成し、その生成した(T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×sin(ωt))を表す信号を出力する。この第2加算回路152から出力される信号を第1出力信号S1と呼ぶ。第3加算回路153は、第1加算回路151の出力(T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt))と第4乗算回路144の出力(T3×cos(ωt))とを加算した信号を生成し、その生成した(T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×cos(ωt))を表す信号を出力する。この第3加算回路153から出力される信号を第2出力信号S2と呼ぶ。
【0036】
出力信号生成部150で生成された第1出力信号S1,第2出力信号S2は、それぞれ信号線Ls1,Ls2を介してアシストECU30のアシスト演算部31に送信される。
【0037】
上述したようにセンサユニット100においては、アシストECU30のアシスト演算部31に対して、第1トルク信号T1の変調信号と第2トルク信号T2の変調信号と第3トルク信号の変調信号とを加算した第1出力信号S1(=T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×sin(ωt)),第2出力信号S2(=T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×cos(ωt))を出力する。従って、信号線Ls1,Ls2には、それぞれ3つのトルクセンサ131,132,133で検出した3種類のトルク情報が載っていることになる。
【0038】
次に、第1出力信号S1、第2出力信号S2を受信する側となるアシストECU30のアシスト演算部31について説明する。ここでは、操舵トルク情報を受信して操舵トルクを検出する構成についてのみ説明する。図3は、アシスト演算部31に設けられる操舵トルク検出部200の構成を表す図である。操舵トルク検出部200は、本発明の操舵トルク検出信号受信装置に相当する。
【0039】
操舵トルク検出部200は、電源供給部210とトルク抽出用信号生成部220とマイコン230とを備えている。
【0040】
電源供給部210は、センサユニット100に正弦波電源と余弦波電源を供給するもので、パルス発生器211と正弦波生成回路212と余弦波生成回路213と第1乗算回路214と第2乗算回路214とを備えている。
【0041】
パルス発生器211は、予め設定された周波数fの矩形波信号を生成して、その矩形波信号を正弦波生成回路212と余弦波生成回路213に供給する。正弦波生成回路212は、パルス発生器211から供給された矩形波信号の立ち上がりエッジで反転する矩形波信号を生成し、その矩形波信号をバンドパスフィルタ処理を行うことにより、直流成分を除去し正弦波信号の抽出を行う。この正弦波生成回路212においては、パルス発生器211から供給された矩形波信号が分周されることから周波数f/2の正弦波信号を出力する。また、余弦波生成回路213は、パルス発生器211から供給された矩形波信号の立ち下がりエッジで反転する矩形波信号を生成し、その矩形波信号をバンドパスフィルタ処理を行うことにより、直流成分を除去し余弦波信号の抽出を行う。この余弦波生成回路213においては、正弦波生成回路212における正弦波信号とは位相が互いにπ/2だけずれた同じ周波数f/2の余弦波信号を出力する。
【0042】
第1乗算回路214は、車載バッテリ(図示略)から供給される12V系直流電源Vに正弦波生成回路212から出力される正弦波信号(sin(ωt))を重畳して、電圧波形が(V×sin(ωt))となる正弦波電源を出力する。第2乗算回路215は、車載バッテリ(図示略)から供給される12V系直流電源Vに余弦波生成回路213から出力される余弦波信号(cos(ωt))を重畳して、電圧波形が(V×cos(ωt))となる余弦波電源を出力する。
【0043】
トルク抽出用信号生成部220は、センサユニット100から出力された第1出力信号S1,第2出力信号S2のそれぞれに、正弦波信号(sin(ωt)),余弦波信号(cos(ωt))を重畳させた信号を生成するもので、第1乗算回路221、第2乗算回路222、第3乗算回路223、第4乗算回路224を備えている。
【0044】
第1乗算回路221は、第1出力信号S1(=T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×sin(ωt))に正弦波信号(sin(ωt))を重畳させた第1信号X1を生成する。従って、第1乗算回路221の出力する第1信号X1は、次式のように表される。
X1=S1×sin(ωt)
=T1×sin2(ωt)+T2×sin(ωt)×cos(ωt)+T3×sin2(ωt)
=(T1+T3)×sin2(ωt)+T2×sin(2ωt)/2 式(1)
【0045】
第2乗算回路222は、第1出力信号S1(=T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×sin(ωt))に余弦波信号(cos(ωt))を重畳させた第2信号X2を生成する。従って、第2乗算回路222の出力する第2信号X2は、次式のように表される。
X2=S1×cos(ωt)
=T1×sin(ωt)×cos(ωt)+T2×cos2(ωt)+T3×sin(ωt)×cos(ωt)
=(T1+T3)×sin(2ωt)/2+T2×cos2(ωt) 式(2)
【0046】
第3乗算回路223は、第2出力信号S2(=T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×cos(ωt))に正弦波信号(sin(ωt))を重畳させた第3信号X3を生成する。従って、第3乗算回路223の出力する第3信号X3は、次式のように表される。
X3=S2×sin(ωt)
=T1×sin2(ωt)+T2×sin(ωt)×cos(ωt)+T3×sin(ωt)×cos(ωt)
=T1×sin2(ωt)+(T2+T3)×sin(2ωt)/2 式(3)
【0047】
第4乗算回路224は、第2出力信号S2(=T1×sin(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×cos(ωt))に余弦波信号(cos(ωt))を重畳させた第4信号X4を生成する。従って、第4乗算回路224の出力する第4信号X4は、次式のように表される。
X4=S2×cos(ωt)
=T1×sin(ωt)×cos(ωt)+T2×cos2(ωt)+T3×cos2(ωt)
=T1×sin(2ωt)/2+(T2+T3)×cos2(ωt) 式(4)
【0048】
トルク抽出用信号生成部220にて生成した第1信号X1,第2信号X2,第3信号X3,第4信号X4は、マイコン230に供給される。マイコン230は、A/D変換器231,232,233,234を内蔵しており、第1信号X1,第2信号X2,第3信号X3,第4信号X4をそれぞれA/D変換器231,232,233,234にてデジタル値に変換して取り込む。
【0049】
ここで、ωt=π/2のときには、sin2(ωt)=1、sin (2ωt)=0 となるため、式(1)から
X1=(T1+T3)×1+T2×0/2=T1+T3
同様にして、式(3)から
X3=T1×1+(T2+T3)×0/2=T1
これにより、第3信号X3から第1トルク信号T1のみを抽出することができる。また、第1信号X1と第3信号X3とから第3トルク信号T3のみを抽出することができる。
【0050】
また、ωt=0のときには、cos2(ωt)=1、sin (2ωt)=0 となるため、式(2)から
X2=(T1+T3)×0/2+T2×1=T2
同様にして、式(4)から
X4=T1×0/2+(T2+T3)×1=T2+T3
これにより、第2信号X2から第2トルク信号T2のみを抽出することができる。また、第2信号X2と第4信号X4とから第3トルク信号T3のみを抽出することができる。
【0051】
マイコン230は、パルス発生器211の出力する矩形波信号を入力し、この矩形波信号から信号X1〜X4の位相角(ωt)を把握し、この位相角(ωt)に基づいて、上記タイミング(ωt=0,π/2)にてA/D変換器231〜234にA/D変換トリガを発行することにより、第1トルクセンサ131、第2トルクセンサ132、第3トルクセンサ133にて検出した操舵トルクを表す情報を取得することができる。
【0052】
この場合、マイコン230は、ωt=π/2となるタイミングで、第1信号X1と第3信号X3とをデジタル値に変換して読み込み、第3信号X3の値から第1トルクセンサ131により検出された第1トルク情報を取得する。また、第1信号X1の値から第3信号X3の値を減算することで第3トルクセンサ133により検出された第3トルク情報を取得する。
【0053】
また、マイコン230は、ωt=0となるタイミングで、第2信号X2と第4信号X4とをデジタル値に変換して読み込み、第2信号X2の値から第2トルクセンサ132により検出された第2トルク情報を取得する。また、第4信号X4の値から第2信号X2の値を減算することで第3トルクセンサ133により検出された第3トルク情報を取得する。
【0054】
これにより、センサユニット100から送信された第1出力信号S1と第2出力信号S2から、3つのトルクセンサ131,132,133により検出されたトルク情報を操舵トルク検出部200にて分離抽出することができる。
【0055】
また、A/D変換トリガをマイコン230に直接入力することが困難な場合には、外部にサンプルホールド回路(図示略)を設けて、信号X1,X3についてはωt=π/2における信号振幅を、信号X2,X4についてはωt=0における信号振幅を一時的に保持させるようにすればよい。この場合、マイコン230は、次回のサンプル時刻までにA/D変換を終了すればよいので、マイコン230やソフトウエアの設計自由度を上げることができる。
【0056】
次に、フェールセーフについて説明する。電源回路110は、上述したように、2本の電源供給線Lp1,Lp2から正弦波電源と余弦波電源とを並列に入力し、ダイオード111,112およびコンデンサ115により平滑するため、片側の電源供給線Lp1(Lp2)が断線した場合であっても、センサユニット100内の各回路に電源供給が可能である。
【0057】
また、変調用信号生成部120においては、電源供給線Lp1,Lp2が断線したとき、断線側の出力信号がハイレベルとなるように正弦波生成回路121と余弦波生成回路122とが回路設定されている。従って、例えば、電源供給線Lp1が断線した場合には、正弦波生成回路121の出力がハイレベルに保持される(sin(ωt)=1)。このため、出力信号生成部150の出力する第1出力信号S1,第2出力信号S2は、次式のようになる。
S1=T1+T2×cos(ωt)+T3
S2=T1+T2×cos(ωt)+T3×cos(ωt)
【0058】
この場合、操舵トルク検出部200では、第1信号X1、第3信号X3は、次式のようになる。
X1=S1×sin(ωt)
=T1×sin (ωt)+T2×sin(ωt)×cos(ωt)+T3×sin(ωt)
=(T1+T3)×sin(ωt)+T2×sin(2ωt)/2 式(5)
X3=S2×sin(ωt)
=T1×sin (ωt)+T2×sin(ωt)×cos(ωt)+T3×sin(ωt)×cos(ωt)
=T1×sin (ωt)+(T2+T3)×sin(2ωt)/2 式(6)
【0059】
ここでωt=π/2のときには、sin(ωt)=1、sin (2ωt)=0 となるため、式(5)から
X1=(T1+T3)×1+T2×0/2=T1+T3
同様にして、式(6)から
X3=T1×1+(T2+T3)×0/2=T1
これにより、第3信号X3の値から第1トルクセンサ131により検出された第1トルク情報を取得することができる。また、第1信号X1の値から第3信号X3の値を減算することにより、第3トルクセンサ133により検出された第3トルク情報を取得することができる。
【0060】
また、電源供給線Lp2が断線した場合には、余弦波生成回路122の出力がハイレベルに保持される(cos(ωt)=1)。このため、出力信号生成部150の出力する第1出力信号S1,第2出力信号S2は、次式のようになる。
S1=T1×sin(ωt)+T2+T3×sin(ωt)
S2=T1×sin(ωt)+T2+T3
【0061】
この場合、操舵トルク検出部200では、第2信号X2、第4信号X4は、次式のようになる。
X2=S1×cos(ωt)
=T1×sin(ωt)×cos(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×sin(ωt)×cos(ωt)
=(T1+T3)×sin(2ωt)/2+T2×cos(ωt) 式(7)
X4=S2×cos(ωt)
=T1×sin (ωt)×cos(ωt)+T2×cos(ωt)+T3×cos(ωt)
=T1×sin (2ωt)/2+(T2+T3)×cos(ωt) 式(8)
【0062】
ここでωt=0のときには、cos(ωt)=1、sin (2ωt)=0 となるため、式(7)から
X2=(T1+T3)×0/2+T2×1=T2
同様にして、式(8)から
X4=T1×0/2+(T2+T3)×1=T2+T3
これにより、第2信号X2の値から第2トルクセンサ132により検出された第2トルク情報を取得することができる。また、第4信号X4の値から第2信号X2の値を減算することにより、第3トルクセンサ133により検出された第3トルク情報を取得することができる。
【0063】
この結果、電源供給線Lp1,Lp2の一方が断線した場合であっても、正常時とかわりなく3種類のトルク情報を取得することができる。
【0064】
次に、信号線Ls1,Ls2の断線に対するフェールセーフについて説明する。例えば、信号線Ls1が断線した場合には、第1出力信号S1はゼロ(S1=0)となる。従って、操舵トルク検出部200においては、位相角ωt=π/2となる第1信号X1と第3信号X3の検出時においては、
X1=0
X3=T1
となる。
また、位相角ωt=0となる第2信号X2と第4信号X4の検出時においては、
X2=0
X4=T2+T3
となる。
【0065】
通常は、T1=T2=T3であるため、
T1=(T2+T3)/2 式(8)
という関係式が成立するはずである。従って、マイコン230は、第3信号X3の値と第4信号X4の値とに基づいて、式(8)が成立するか否かを判定し、成立していれば、トルク信号T1,T2,T3が正常であるとして、第3信号X3および第4信号X4からトルク情報を取得する。
【0066】
同様に、信号線Ls2が断線した場合には、第2出力信号S2はゼロ(S2=0)となる。従って、操舵トルク検出部200においては、位相角ωt=π/2となる第1信号X1と第3信号X3の検出時においては、
X1=T1+T3
X3=0
となる。
また、位相角ωt=0となる第2信号X2と第4信号X4の検出時においては、
X2=T2
X4=0
となる。
【0067】
通常は、T1=T2=T3であるため、
T2=(T1+T3)/2 式(9)
という関係式が成立するはずである。従って、マイコン230は、第1信号X1の値と第2信号X2の値とに基づいて、式(9)が成立するか否かを判定し、成立していれば、トルク信号T1,T2,T3が正常であるとして、第1信号X1および第2信号X2からトルク情報を取得する。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、アシストECU30の操舵トルク検出部200から電源供給線Lp1,Lp2を介して正弦波電源と余弦波電源をセンサユニット100に供給し、センサユニット100においては、3種類のトルク検出信号を正弦波信号と余弦波信号とで変調した出力信号S1,S2を信号線Ls1,Ls2を介して操舵トルク検出部200に送信する。そして、操舵トルク検出部200において、出力信号S1,S2に正弦波信号と余弦波信号とを重畳した信号X1〜X4を生成し、この信号位相角がωt=π/2および0となるタイミングで信号X1,X3および信号X2,X4を読み込んで操舵トルクを検出する。従って、2本の信号線Ls1,Ls2で3種類の操舵トルク情報を別々に取得することができる。また、信号線Ls1,Ls2の片方が断線しても、3種類の操舵トルク情報を取得することができる。また、アシストECU30から2本の電源供給線Lp1,Lp2を介してセンサユニット100の電源回路110に電源供給し、電源回路110にてセンサユニット100内の電気負荷に直流電源を供給するため、片方の断線に対しても電源バックアップ機能を有している。しかも、電源供給線Lp1,Lp2の片方の断線に対して、操舵トルク情報の取得に影響を与えない。これらの結果、信頼性の向上と省線化とを両立させることができる。
【0069】
以上、本実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0070】
10…転舵機構、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、20…パワーアシスト部、21…電動モータ、30…アシスト制御装置、31…アシスト演算部、32…モータ駆動回路、100…トルクセンサユニット、110…電源回路、120…変調用信号生成部、121…正弦波生成回路、122…余弦波生成回路、130…トルクセンサ部、131,132,133…第1〜第3トルクセンサ、140…トルク信号変調部、141,142,143,144…第1〜第4乗算回路、150…出力信号生成部、151,152,153…第1〜第3加算回路、200…操舵トルク検出部、210…電源供給部、211…パルス発生器、212…正弦波生成回路、213…余弦波生成回路、214,215…第1〜第2乗算回路、220…トルク抽出用信号生成部、221,222,223,224…第1〜第4乗算回路、230…マイコン、Lp1,Lp2…電源供給線、Ls1,Ls2…信号線、Lg1,Lg2,Lg3…グランド線、S1,S2…第1〜第2出力信号、T1,T2,T3…第1〜第3トルク信号、X1,X2,X3,X4…第1〜第4信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトに働く操舵トルクを検出する3つの操舵トルクセンサを備え、前記3つの操舵トルクセンサのトルク検出信号を、電動パワーステアリング装置の電動モータを駆動制御するアシスト制御装置に送信する操舵トルク検出信号送信装置において、
前記アシスト制御装置から2本の電源供給線を介して正弦波電源と、前記正弦波電源に対して位相がπ/2ずれた余弦波電源とを受電して直流電源に変換する電源回路と、
前記正弦波電源から正弦波信号を生成し、前記余弦波電源から余弦波信号を生成する変調用信号生成手段と、
前記3つの操舵トルクセンサのうちの第1操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記正弦波信号を重畳した第1トルク変調信号と、前記3つの操舵トルクセンサのうちの第2操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記余弦波信号を重畳した第2トルク変調信号と、前記3つの操舵トルクセンサのうちの第3操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記正弦波信号を重畳した第3トルク変調信号と、前記第3操舵トルクセンサの出力するトルク検出信号に前記余弦波信号を重畳した第4トルク変調信号とを生成するトルク信号変調手段と、
前記第1トルク変調信号と前記第2トルク変調信号と前記第3トルク変調信号とを加算した第1出力信号と、前記第1トルク変調信号と前記第2トルク変調信号と前記第4トルク変調信号とを加算した第2出力信号とを生成する出力信号生成手段と
を備え、前記アシスト制御装置に対して、前記第1出力信号を第1信号線を介して送信し、前記第2出力信号を第2信号線を介して送信することを特徴とする操舵トルク検出信号送信装置。
【請求項2】
前記アシスト制御装置に設けられ請求項1記載の操舵トルク検出信号送信装置と接続する操舵トルク検出信号受信装置であって、
前記操舵トルク検出信号送信装置の電源回路に前記2本の電源供給線を介して前記正弦波電源と前記余弦波電源とを供給する電源供給回路と、
前記第1信号線および第2信号線を介して前記第1出力信号および第2出力信号を受信し、前記第1出力信号に前記正弦波電源と同期した正弦波信号を重畳した第1信号と、前記第1出力信号に前記余弦波電源と同期した余弦波信号を重畳した第2信号と、前記第2出力信号に前記正弦波信号を重畳した第3信号と、前記第2出力信号に前記余弦波信号を重畳した第4信号とを生成するトルク抽出用信号生成手段と、
前記第1信号および前記第3信号に対しては、信号位相角がπ/2となるときの信号出力を取得し、前記第2信号および前記第4信号に対しては、信号位相角が0となるときの信号出力を取得するトルク検出信号抽出手段と
を備えたことを特徴とする操舵トルク検出信号受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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