擬似肉食品およびその製造方法
【課題】本発明は、噛んだ時に天然肉の食感を得ることができる、見た目にも天然肉に近い擬似肉食品を提供することを目的とする。
【解決手段】エクストルーダーによる処理により組織化され、乾燥された粒状植物性たん白を水和させ解繊させて得られた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、水和された繊維状植物性たん白と、結着剤とを含む原料混合物を成形して成形物とし、この成形物を加熱凝固することにより、上記目的を達成する擬似肉食品を得ることができる。
【解決手段】エクストルーダーによる処理により組織化され、乾燥された粒状植物性たん白を水和させ解繊させて得られた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、水和された繊維状植物性たん白と、結着剤とを含む原料混合物を成形して成形物とし、この成形物を加熱凝固することにより、上記目的を達成する擬似肉食品を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は肉代替物として使用できる擬似肉食品およびその製造方法を提供する。
【背景技術】
【０００２】
擬似肉食品素材は、かつては動物性たん白の安価な代替物として開発されたものであるが、今日においては低カロリー食材として、或いは動物性たん白の摂取が制限されている疾患の患者のための畜肉代替素材として改めて注目されている。擬似肉食品に関する従来技術としては例えば次のようなものがある。
【０００３】
特許文献１には、粒径が１０〜３０ｍｍである塊状の組織状植物性蛋白質と、最大粒径が１０ｍｍ未満でしかも粒径１〜５ｍｍのものが７０重量％以上を占める組織状植物性蛋白質１０〜４０重量％と、繊維長が５〜３０ｍｍの繊維状植物性蛋白質５〜４０重量％と、結合剤とを混合し、成形後加熱固化することを特徴とする植物性蛋白食品の製造方法が記載されている。特許文献１には、粒径が１０〜３０ｍｍである塊状の組織状植物性蛋白質を配合することにより、咀しゃくした際に天然肉類似のテクスチャーを付与することができる旨記載されており、塊状の組織状植物性蛋白質が粒径１０ｍｍ未満の場合には天然肉類似のテクスチャーを得ることが難しいことも記載されている。
【０００４】
特許文献２にもまた、ステーキ肉等の一枚肉の組織および食感に類似した肉様食品を提供することを目的とする技術として、冷却すれば繊維状となる繊維状蛋白の前駆体若しくは繊維状蛋白素材の熱可塑化物のいずれかを塊状に成形して得た肉塊様蛋白素材を、繊維状蛋白素材及び結着料と混合成形することを特徴とする肉様食品の製造方法が開示されている。上記の肉塊状素材は、熱交換器等で加圧加熱して出口から導出された約１ｃｍ平方以上の断面を有する大きさの塊状のものである。肉様食品は、上記の肉塊状素材の部分と結着料の中に繊維状蛋白が分散した部分とにより形成される。特許文献２には「塊」の大きさが小さ過ぎると、一枚肉としての噛み応えが全体として弱くなることも記載されており、下記の特許文献３のように、肉塊状素材を解繊して用いることは記載されていない。
【０００５】
特許文献３には、Ｏ／Ｗ型エマルジョンと、植物たん白質含有物質を水と混練し、加熱状態にてせん断応力を加えて配向せしめ、次いで解繊して得た繊維状たん白質と、結着剤とを、前記Ｏ／Ｗ型エマルジョンが肉様食品全体の５〜５０重量％となるように混合した後、該混合物を成型加熱することを特徴とする肉様食品の製造法が開示されている。特許文献３によれば、Ｏ／Ｗ型エマルジョンと繊維状たん白質とを組み合わせることにより、肉様食品を噛んだときに油が口中に広がって天然肉と同等のジューシー感が得られ、なお且つ、天然肉に酷似した繊維性の食感が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特公昭４８−３３８８号公報
【特許文献２】特開昭６０−１５６３４５号公報
【特許文献３】特公平２−４１３１５号公報
【非特許文献】
【０００７】
【非特許文献１】Ｎｅｗ Ｐｒｏｔｅｉｎ Ｆｏｏｄｓ， Ｖｏｌｕｍｅ １， Ｔｅｒｍｉｎｏｌｏｇｙ， Ｐａｒｔ Ａ， Ｅｄｉｔｅｄ ｂｙ Ａａｒｏｎ Ｍ． Ａｌｔｓｃｈｕｌ， Ａｃａｄｅｍｉｃ Ｐｒｅｓｓ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
特許文献１および２に記載されている、塊状の植物性蛋白質と繊維状の植物性蛋白質と結合剤とから製造された擬似肉食品には比較的大きな塊状の植物性蛋白質が含まれるものでは、本発明者らが再現したところ、厚さが１５ｍｍ以上のステーキ用肉やカツ用肉、あるいは、一辺の長さが１５ｍｍ以上であるカレー、シチュー等の煮込み調理用途の肉の形状に加工し調理した場合に、不自然な弾力のある食感になるという問題が判明した。また煮込み時に、塊状の植物性蛋白質の部分に味が浸透しにくいという問題も判明した。更に、塊状の植物性蛋白質が含まれているために、天然肉とは外観上も異なり違和感を与えるという問題もあった。
【０００９】
一方、特許文献３の肉様食品は、本発明者らが再現したところ、違和感のある食感であった。これは繊維状たん白質同士が固く結着するためであると考えられる。
【００１０】
そこで本発明は、噛んだ時に天然肉に近い食感を得ることができる、見た目にも天然肉に近い擬似肉食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は以下の発明を包含する。
（１）エクストルーダーによる処理により組織化され、乾燥された粒状植物性たん白を水和させ解繊させて得られた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を含む原料混合物を加熱凝固することを特徴とする、擬似肉食品の製造方法。
（２）水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、水和・解繊された組織化植物性たん白が乾燥物換算で４５〜９５質量％である、（１）の方法。
（３）水和・解繊された組織化植物性たん白が太さ０．１〜６ｍｍのものを含み、且つ水和された繊維状植物性たん白が太さ０．１〜２ｍｍのものを含む、（１）または（２）の方法。
（４）水和・解繊された組織化植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含み、且つ、水和された繊維状植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含む、（１）〜（３）のいずれかの方法。
（５）粒状植物性たん白及び繊維状植物性たん白が大豆たん白を主成分とする、（１）〜（４）のいずれかの方法。
（６）結着剤が植物性たん白、動物性たん白、及び多糖類からなる群から選ばれる１種以上である、（１）〜（５）のいずれかの方法。
（７）結着剤の少なくとも一部が、水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤であり、原料混合物が当該結着剤を、水和した熱可逆性ゲルの形態で含む、（１）〜（６）のいずれかの方法。
（８）原料混合物が、たん白質接着酵素を更に含む、（１）〜（７）のいずれかの方法。
（９）（１）〜（８）のいずれかの方法により製造された擬似肉食品。
（１０）組織化された粒状植物性たん白を水和させ解繊させた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を混合された状態で含み、かつ凝固により一体化されていることを特徴とする、擬似肉食品。
【発明の効果】
【００１２】
本発明の方法により製造される擬似肉食品は、ステーキ用肉、カツ用肉、煮込み調理用肉等の比較的大きな形状に加工した場合にも天然肉に近い食感を得ることができる、見た目にも天然肉と酷似した擬似肉食品である。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は実施例１の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図２】図２は実施例２の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図３】図３は実施例３の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図４】図４は比較例１の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図５】図５は比較例２の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図６】図６は比較例３の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
１．水和・解繊された組織化植物性たん白
本発明において「水和・解繊された組織化植物性たん白」とは、粒状植物性たん白（組織化されている）を水和させ解繊させることにより調製される繊維状物を指す。
【００１５】
粒状植物性たん白を構成する主成分の植物性たん白原料としては、大豆たん白、小麦たん白等が挙げられ、大豆たん白が特に好ましい。大豆たん白としては脱脂大豆粉末を用いてもよいし、粉末状大豆たん白（分離大豆たん白）を用いてもよい。
【００１６】
本発明において「粒状植物性たん白」とは、『植物性たん白の日本農林規格』で定義されたものをいう。『植物性たん白の日本農林規格』によれば粒状植物性たん白は「植物性たん白のうち、粒状又はフレーク状に成形したものであつて、かつ、肉様の組織を有するものをいう」と定義されている。
【００１７】
粒状植物性たん白の調製方法は既に広く知られており、例えば非特許文献１第３８３〜３８５頁に記載されている。典型的には、粒状植物性たん白は、植物たん白原料をエクストルーダー処理に供して組織化し、次いで乾燥することにより調製される。この調製方法についてさらに具体的に説明する。
【００１８】
植物性たん白原料と水とを少なくとも含み、必要に応じて油脂、デンプン、色素、フレーバー等を更に含む混合物をエクストルーダーにより加圧加熱し、ダイの先端から常圧下に吐出して膨化させる。この処理（本発明では「エクストルーダーによる処理」とも称する）により得られる膨化物は、一定の方向性を持った繊維状の内部組織を有する（すなわち「組織化」されている）。エクストルーダーは、原料を加圧加熱し組織化できる装置であれば任意に使用でき、これが可能であればエクストルーダー以外の名称の装置も使用できる。得られた膨化物を適当な大きさにカットし、乾燥させて組織化植物性たん白を得る。エクストルーダー処理に供する原材料混合物における植物性たん白、水、その他の原材料の配合比率、エクストルーダー処理における圧力、温度、ダイ形状等の各条件は目的とする食感に応じて適宜選択することができる。乾燥後の組織化植物性たん白の形状としては、粒状、棒状、フレーク状等が挙げられるが特に限定されない。乾燥させた組織化植物性たん白及び各形状に成形された組織化植物性たん白はいずれも本発明における「粒状植物性たん白」に包含される。粒状植物性たん白の乾燥後の水分はおおよそ１０質量％以下である。
【００１９】
粒状植物性たん白としては市販品を使用することもできる。市販品としてはアペックス１０００（フジプロテインテクノロジー製）が挙げられる。
【００２０】
粒状植物性たん白に含水させて水和させ、必要に応じて過剰な水分を脱水する。水和物を適当な手段で解繊、つまり繊維状物にほぐす。水和は、乾燥した粒状植物性たん白を水や温水に浸すことにより行うことができる。解繊のための手段としては、フードカッター（例えば食品原料等を回転刃で剪断したり切ったりするための汎用されているもので、日本調理機(株)社製等を用いることができる）の刃を逆回転させ、鈍刃で解繊する方法が挙げられる。水和・解繊された組織化植物性たん白は、太さが０．１〜６ｍｍ、好ましくは１〜５ｍｍのものを含むことが好ましい。これらを水和・解繊された組織化植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。また、水和・解繊された組織化植物性たん白は、長さが５ｍｍ以上、好ましくは１０ｍｍ以上のものを含むことが好ましい。これらを水和・解繊された組織化植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。これらの大きさの範囲にある組織化植物性たん白を含むことで、より好ましい擬似肉食品の繊維感と弾力性と歯応えのある天然肉に近い食感を達成することができる。水和・解繊された組織化植物性たん白の長さの上限は特に制約されず、通常１００ｍｍ程度までのものを使用すればよい。水和・解繊された組織化植物性たん白中の水分は好ましくは５５〜７５質量％である。
【００２１】
２．繊維状植物性たん白
繊維状植物性たん白を構成する植物性たん白原料としては、組織化植物性たん白について上述したものと同様のものが使用できる。
繊維状植物性たん白とは、『植物性たん白の日本農林規格』で定義されたものをいう。『植物性たん白の日本農林規格』によれば繊維状植物性たん白は「植物性たん白のうち、繊維状に成形したものであつて、かつ、肉様の組織を有するものをいう」と定義されている。繊維状植物性たん白を、紡糸により調製する方法は既に広く知られており、例えば非特許文献１第３７８〜３８３頁に記載されている。調製方法についてさらに具体的に説明する。
【００２２】
繊維状植物性たん白は、植物たん白と水とを少なくとも含み、必要に応じて油脂、デンプン、色素、フレーバー等を更に含む混合物を調製し、（１）該混合物にアルカリを加えて溶解させ、溶解物を、高圧ポンプで紡糸口（細いダイ）から酸又は塩凝固槽に押し出すことで得られる、或いは（２）該混合物を１００℃以上に加熱し、加熱物を高圧ポンプで紡糸口（細いダイ）から空気中に射出し冷却することで得られる糸状物である。当該糸状物は、紡糸直後は水を含む水和された状態である。従って、この水和された糸状物は、膨化または乾燥することなく「水和された繊維状植物性たん白」として本発明に使用することができる。また、水和された糸状物を一旦乾燥させた乾燥物も、繊維状植物性たん白の原料として使用できる。つまり、乾燥された繊維状植物性たん白に水を添加して水和させ、本発明に使用することができる。水和された繊維状植物性たん白は、太さが０．１〜２ｍｍ、好ましくは０．５〜１．２ｍｍのものを含むことが好ましい。これらを水和された繊維状植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。長さは加工時に適宜切断して調節することができるが、５ｍｍ以上、好ましくは１０ｍｍ以上のものを含むことが好ましい。これらを水和された繊維状植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。これらの大きさの範囲にある繊維状植物性たん白を含むことで、より好ましい擬似肉食品の繊維感と弾力性と歯応えのある天然肉に近い食感を達成することができる。繊維状植物性たん白の長さの上限は特に制約されず、通常１００ｍｍ程度までのものを使用すればよい。水和された繊維状植物性たん白の水分は、好ましくは６０〜８０質量％である。
【００２３】
以上の組織化植物性たん白及び繊維状植物性たん白は、何れか又は両者を、着色して用いることができる。両者の色目を変えることによって、見た目にも天然肉に近い擬似肉食品を提供することができる。例えば、牛肉を模する場合には、何れかを赤系色とし、他方を白系色とすればよく、特に組織化植物性たん白を白系色として、繊維状植物性たん白を赤系色とすることで、天然の牛肉に近い擬似肉食品を提供することができる。他の天然肉を模する場合も、同様の考え方で調製すればよい。
【００２４】
３．結着剤
結着剤は、成形加熱工程において植物性たん白材料を結合することができるものであれば特に限定されない。結着剤としては例えば植物性たん白、動物性たん白、及び多糖類からなる群から選ばれる１種以上を使用することができる。
【００２５】
結着剤として用いる植物性たん白としては大豆たん白、小麦たん白等が挙げられ、動物性たん白としては卵白、コラーゲン、乳たん白等が挙げられ、多糖類としてはデンプン、グアーガム等のガム質、カラギーナン、グルコマンナン等のゲル化剤が挙げられる。
【００２６】
結着剤は水及び／又は油脂とともに混練したペーストの形態で原料混合物に添加することができる。ペーストを形成する場合、水、油脂は結着剤１質量部に対してそれぞれ０．５〜４質量部添加することができる。
【００２７】
更に、結着剤は水及び油脂とともに乳化したエマルジョン（好ましくはＯ／Ｗエマルジョン）の形態で原料混合物に添加することが好ましい。この実施形態では、エマルジョンが擬似肉組成物中で脂身様組織を形成するため、より肉に近い外見と食感（脂身のジューシー感）が付与される。エマルジョンを形成する場合、水、油脂は結着剤１質量部に対してそれぞれ０．５〜３質量部添加することができる。
【００２８】
油脂としては、大豆油、綿実油、トウモロコシ油、ごま油等の植物性食用油脂、牛脂、豚脂、鶏脂、バター等の動物性食用油脂のいずれも使用することができる。
【００２９】
結着剤の少なくとも一部分として、水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤を使用することができる。その場合、当該結着剤を予め水和して熱可逆性ゲルを形成し、形成された熱可逆性ゲルを他の原料と混合した原料混合物を成形加熱工程に供する。熱可逆性ゲルとは、加熱すると溶解し、冷却すると凝固する性質のゲルを指す。この実施形態では、熱可逆性ゲルが擬似肉組成物中で脂身様組織を形成するため、より肉に近い外見と食感（脂身のジューシー感）が付与される。水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤としてはカラギーナン、グルコマンナン、寒天等が挙げられる。ゲルを形成するためには、例えばこれらの結着剤に水を質量で４０〜１００倍量加え、必要に応じて適宜加熱し、攪拌し、冷却すればよい。
【００３０】
４．その他の原料
原料混合物には更に、トランスグルタミナーゼ等のたん白質接着酵素を配合することができる。たん白質接着酵素を配合することにより、組織化植物性たん白及び繊維状植物性たん白の繊維と繊維、並びにこれらの繊維と結着剤との結着が強化され、天然肉様の組織が得られ、天然肉様の歯応えのある食感が強化される。
原料混合物は更に、水、油脂、フレーバー、調味料（動物エキスを含む）、デンプン、色素等を含んでもよい。特に、ビーフ、ポーク、チキン等の畜肉の味を付与するためのフレーバー、動物エキス等が添加されることが好ましい。油脂としては、結着剤について上記したものと同様のものが使用できる。
【００３１】
５．原料混合物の配合
水和・解繊された組織化植物性たん白と、水和された繊維状植物性たん白との配合比は特に限定されず、目的とする擬似肉の性状に応じて適宜決定することができる。例えば水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、水和・解繊された組織化植物性たん白は乾燥物換算で５〜９５質量％、好ましくは４５〜９５質量％であり、水和された繊維状植物性たん白はその残部、すなわち乾燥物換算で９５〜５質量％、好ましくは５５〜５質量％であることが好ましい。
【００３２】
実施例に示すように、ステーキ用肉、カツ用肉、煮込み調理用肉等の比較的大きな形状に加工する擬似肉食品を製造する場合には、水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、前者は乾燥物換算で４５〜９５質量％であり、後者はその残部、すなわち乾燥物換算で５５〜５質量％であることが好ましい。
【００３３】
原料混合物は、水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との混合物（植物性たん白混合物）を５０〜８０質量％含有することが好ましい。
【００３４】
原料混合物は結着剤を該結着剤の乾燥物換算で３〜１５質量％含有することが好ましい。結着剤がペーストの形態で添加される場合には、原料混合物は当該ペーストを２５〜５０質量％含有することが好ましい。結着剤が水和した熱可逆性ゲルの形態で添加される場合には、原料混合物は当該ゲルを３〜１５質量％含有することが好ましい。結着剤がエマルジョンの形態で添加される場合には、原料混合物は当該エマルジョンを５〜２０質量％含有することが好ましい。原料混合物は、ペースト形態の結着剤と、熱可逆性ゲル形態の結着剤及び／又はエマルジョン形態の結着剤とを含むことが更に好ましい。
【００３５】
たん白質接着酵素を添加する場合には、原料混合物は、組織化植物性たん白及び繊維状植物性たん白の繊維と繊維、並びにこれらの繊維と結着剤との結着を促進する有効量だけ当該酵素を含んでいればよい。例えば、原料混合物はたん白質接着酵素を該酵素の乾燥物換算で０．０１〜０．５質量％含有すればよい。
【００３６】
水、油脂、フレーバー、調味料（動物エキスを含む）、デンプン、色素等の他の成分は原料混合物中に適宜の量配合される。
【００３７】
原料混合物の調製方法は特に限定されず、通常のミキサー、ニーダー等を用いて各原料を混合すればよい。
【００３８】
６．成形工程および加熱凝固工程
原料混合物は所望の形状（例えば一枚肉の形状、ブロック肉の形状、ダイスカットされた形状等）に成形される。成形は適当な型を用いて行うことができる。
成形された原料混合物を６０〜１３５℃、好ましくは７０〜１２０℃の温度で加熱することにより、成形物が凝固し、擬似肉食品が得られる。原料混合物の成形物は、成形のための型内又はレトルトパウチ等の容器内に密封した状態で加熱され、凝固されることが好ましい。成形は型成形に限らず、要は得られる擬似肉食品が所望の形状になればよく、原料混合物を湯中に投入する等の方法を採用してもよい。
【００３９】
７．擬似肉食品
本発明の擬似肉食品はどのような形状に加工しても良い。本発明の擬似肉食品は、厚さが約１５ｍｍ以上のステーキ用肉やカツ用肉、あるいは、一辺の長さが約１５ｍｍ以上であるカレー、シチュー等の煮込み用途の肉の形状に加工し調理した場合にも、天然肉に近い食感を与えることができる。
【実施例】
【００４０】
実施例１：結着剤として粉末状大豆タンパクのみを用いる場合
（水和・解繊された組織化植物性たん白）
粒状植物性たん白（原料名：アペックス１０００／フジプロテインテクノロジー製、『植物性たん白の日本農林規格』で規格された大豆たん白の粒状植物性たん白。大豆たん白原料をエクストルーダーにより組織化し乾燥して製造された製品。白色。長さ１０〜7０ｍｍ程度、太さ１５〜２０ｍｍ程度の円柱状）を、沸騰水中で５０分間湯戻しし、遠心脱水機で脱水した。
【００４１】
湯戻し前の乾燥質量１に対して、湯戻し脱水後の質量は２．６になった。この脱水物を、フードカッター（日本調理機(株)社製、ＦＤ‐２１）の刃を逆回転させ、鈍刃で解砕し、太さが０．１〜６ｍｍ程度のものを６０質量％以上含み、長さが１０ｍｍ程度以上のものを６０質量％含むように繊維状に解繊した。得られた繊維状物を以下では「水和・解繊された組織化植物性たん白」と称する。
【００４２】
（水和された繊維状植物性たん白）
水和された繊維状植物性たん白の冷凍品（原料名：フジピュアＳＰ ＮＣ／フジプロテインテクノロジー製、『植物性たん白の日本農林規格』で規格された大豆たん白の繊維状植物性たん白、赤色）を室温に放置して解凍し、遠心脱水機で脱水した。脱水前の質量１に対して、脱水後の質量は０．８５になった。脱水前の質量１に対して、乾燥質量は０．３である。上記繊維状植物性たん白は、太さが０．７〜１ｍｍ程度のものを８０質量％以上含み、長さが１０ｍｍ程度以上のものを８０質量％含むのものであった。
【００４３】
（結着剤）
粉末状大豆タンパク（原料名：フジプロＦ／フジプロテインテクノロジー製）５質量部に水１５質量部、植物油脂５質量部、調味料１質量部、フレーバー０．１質量部を加えて、縦型ミキサーで２分間攪拌してペースト状にした。
【００４４】
（擬似肉食品の調製）
前記の水和・解繊された組織化植物性たん白５９．０質量部と、繊維状植物性たん白６．５質量部を混合した（得られた混合物を以下「植物性たん白混合物」という）。このとき、水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、前者９１質量％、後者９質量％である（ともに乾燥物換算）。植物性たん白混合物に前記結着剤の粉末状大豆タンパクのペースト３４．５質量部を加えて、縦型ミキサーで６分間混合し、混合物をスタンディングレトルトパウチに充填し、真空シールした。パウチを沸騰水中で６０分間加熱して原料を凝固させた後、氷水で十分に冷却して擬似肉食品を調製した。
【００４５】
実施例２：結着剤として粉末状大豆タンパク及び熱可逆性ゲルを用いる場合
（結着剤）
実施例１と同様の粉末状大豆タンパクのペーストを調整した。
別に、カラギーナン（原料名：カラギニンＣＳＫ−１／三栄源エフ・エフ・アイ製）１．２質量部とグルコマンナン（原料名：レオレックスＲＳ／清水化学製）０．８質量部に水９８．０質量部を加えて縦型ミキサーで２分間攪拌し、熱可逆性のゲルを得た。
【００４６】
（擬似肉食品の調製）
実施例１と同様にして得た植物性たん白混合物６１．５質量部に前記の粉末状大豆タンパクのペースト３２．４質量部と、前記のゲル６．１質量部を加えて、以降実施例１と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００４７】
実施例３：結着剤及び油脂をエマルジョンにして用いる場合
（エマルジョンの調整）
粉末状大豆タンパク（原料名：フジプロＦ／フジプロテインテクノロジー製）１１０質量部にグアーガム１０質量部、水１００質量部及び植物油脂２００質量部を加えて縦型ミキサーで５分間攪拌してＯ／Ｗエマルジョンを得た。
【００４８】
（擬似肉食品の調製）
実施例１と同様にして得た植物性たん白混合物６１．５質量部に実施例１の粉末状大豆タンパクのペースト３１．４質量部と、前記のＯ／Ｗエマルジョン９．１質量部を加えて、以降実施例１と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００４９】
実施例４：トランスグルタミナーゼ添加
実施例１の水和・解繊された組織化植物性たん白４５．０質量部と、繊維状植物性たん白２０．０質量部を混合した。これに実施例１の粉末状大豆タンパクのペースト３４．８質量部と、トランスグルタミナーゼ（原料名：アクティバＴＧ−ＡＫ／味の素製）０．２質量部を加えて、縦型ミキサーで６分間混合し、混合物をスタンディングレトルトパウチに充填し、真空シールした。パウチを６０℃の温水中で３０分間加熱して酵素反応させ、更に沸騰水中で３０分間加熱して原料を凝固させた後、氷水で十分に冷却して擬似肉食品を調製した。
【００５０】
比較例１：解繊していない粒状植物性たん白を用いる場合
（粒状植物性たん白）
実施例1で用いた粒状植物性たん白（原料名：アペックス１０００）のうち長さ１０〜３０ｍｍ程度のものを選んで、実施例1と同様にして湯戻し、脱水し、円柱状の粒状植物性たん白Ａを得た。これとは別に、粒状植物性たん白（原料名：アペックス６００／フジプロテインテクノロジー製、『植物性たん白の日本農林規格』で規格された大豆たん白の粒状植物性たん白。大豆たん白原料をエクストルーダーにより組織化し乾燥して製造された製品。白色、粒径１〜５ｍｍの粒状）を沸騰水中で３分間湯戻しし、遠心脱水機で脱水して粒状植物性たん白Ｂを得た。脱水後の粒状植物性たん白Ａは太さ１５〜２０ｍｍ程度、長さ１０〜３０ｍｍ程度、脱水後の粒状植物性たん白Ｂは粒径１〜５ｍｍ程度であった。
【００５１】
（擬似肉食品の調製）
前記の粒状植物性たん白Ａ３０．５質量部と、粒状植物性たん白Ｂ１８．３質量部と、繊維状植物性たん白（実施例1と同様のもの）１５．２質量部を混合し、これに粉末状大豆タンパクのペースト（実施例1と同様のもの）３６．０質量部を加えて、縦型ミキサーで混合する以降実施例１と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００５２】
比較例２：組織化植物性たん白を用いない場合
実施例１の水和・解繊された組織化植物性たん白５９．０質量部に代えて、繊維状植物性たん白５９．０質量部を用いる（つまり水和・解繊された組織化植物性たん白を用いず、繊維状植物性たん白６５．５質量部を用いる）以外は、実施例1と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００５３】
比較例３：繊維状植物性たん白を用いない場合
実施例1の繊維状植物性たん白６．５質量部に代えて、水和・解繊された組織化植物性たん白６．５質量部を用いる（つまり繊維状植物性たん白を用いず、解繊された組織化植物性たん白６５．５質量部を用いる）以外は、実施例1と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００５４】
評価方法
調製された各擬似肉食品の外観を観察した。
更に、２０×２０×２０ｍｍのサイズにダイスカットされた各擬似肉食品を具材として用いてレトルトカレーを調理した。レトルトカレーを喫食して各擬似肉食品の食感を評価した。
【００５５】
結果
【表１】
【技術分野】
【０００１】
本発明は肉代替物として使用できる擬似肉食品およびその製造方法を提供する。
【背景技術】
【０００２】
擬似肉食品素材は、かつては動物性たん白の安価な代替物として開発されたものであるが、今日においては低カロリー食材として、或いは動物性たん白の摂取が制限されている疾患の患者のための畜肉代替素材として改めて注目されている。擬似肉食品に関する従来技術としては例えば次のようなものがある。
【０００３】
特許文献１には、粒径が１０〜３０ｍｍである塊状の組織状植物性蛋白質と、最大粒径が１０ｍｍ未満でしかも粒径１〜５ｍｍのものが７０重量％以上を占める組織状植物性蛋白質１０〜４０重量％と、繊維長が５〜３０ｍｍの繊維状植物性蛋白質５〜４０重量％と、結合剤とを混合し、成形後加熱固化することを特徴とする植物性蛋白食品の製造方法が記載されている。特許文献１には、粒径が１０〜３０ｍｍである塊状の組織状植物性蛋白質を配合することにより、咀しゃくした際に天然肉類似のテクスチャーを付与することができる旨記載されており、塊状の組織状植物性蛋白質が粒径１０ｍｍ未満の場合には天然肉類似のテクスチャーを得ることが難しいことも記載されている。
【０００４】
特許文献２にもまた、ステーキ肉等の一枚肉の組織および食感に類似した肉様食品を提供することを目的とする技術として、冷却すれば繊維状となる繊維状蛋白の前駆体若しくは繊維状蛋白素材の熱可塑化物のいずれかを塊状に成形して得た肉塊様蛋白素材を、繊維状蛋白素材及び結着料と混合成形することを特徴とする肉様食品の製造方法が開示されている。上記の肉塊状素材は、熱交換器等で加圧加熱して出口から導出された約１ｃｍ平方以上の断面を有する大きさの塊状のものである。肉様食品は、上記の肉塊状素材の部分と結着料の中に繊維状蛋白が分散した部分とにより形成される。特許文献２には「塊」の大きさが小さ過ぎると、一枚肉としての噛み応えが全体として弱くなることも記載されており、下記の特許文献３のように、肉塊状素材を解繊して用いることは記載されていない。
【０００５】
特許文献３には、Ｏ／Ｗ型エマルジョンと、植物たん白質含有物質を水と混練し、加熱状態にてせん断応力を加えて配向せしめ、次いで解繊して得た繊維状たん白質と、結着剤とを、前記Ｏ／Ｗ型エマルジョンが肉様食品全体の５〜５０重量％となるように混合した後、該混合物を成型加熱することを特徴とする肉様食品の製造法が開示されている。特許文献３によれば、Ｏ／Ｗ型エマルジョンと繊維状たん白質とを組み合わせることにより、肉様食品を噛んだときに油が口中に広がって天然肉と同等のジューシー感が得られ、なお且つ、天然肉に酷似した繊維性の食感が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特公昭４８−３３８８号公報
【特許文献２】特開昭６０−１５６３４５号公報
【特許文献３】特公平２−４１３１５号公報
【非特許文献】
【０００７】
【非特許文献１】Ｎｅｗ Ｐｒｏｔｅｉｎ Ｆｏｏｄｓ， Ｖｏｌｕｍｅ １， Ｔｅｒｍｉｎｏｌｏｇｙ， Ｐａｒｔ Ａ， Ｅｄｉｔｅｄ ｂｙ Ａａｒｏｎ Ｍ． Ａｌｔｓｃｈｕｌ， Ａｃａｄｅｍｉｃ Ｐｒｅｓｓ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
特許文献１および２に記載されている、塊状の植物性蛋白質と繊維状の植物性蛋白質と結合剤とから製造された擬似肉食品には比較的大きな塊状の植物性蛋白質が含まれるものでは、本発明者らが再現したところ、厚さが１５ｍｍ以上のステーキ用肉やカツ用肉、あるいは、一辺の長さが１５ｍｍ以上であるカレー、シチュー等の煮込み調理用途の肉の形状に加工し調理した場合に、不自然な弾力のある食感になるという問題が判明した。また煮込み時に、塊状の植物性蛋白質の部分に味が浸透しにくいという問題も判明した。更に、塊状の植物性蛋白質が含まれているために、天然肉とは外観上も異なり違和感を与えるという問題もあった。
【０００９】
一方、特許文献３の肉様食品は、本発明者らが再現したところ、違和感のある食感であった。これは繊維状たん白質同士が固く結着するためであると考えられる。
【００１０】
そこで本発明は、噛んだ時に天然肉に近い食感を得ることができる、見た目にも天然肉に近い擬似肉食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明は以下の発明を包含する。
（１）エクストルーダーによる処理により組織化され、乾燥された粒状植物性たん白を水和させ解繊させて得られた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を含む原料混合物を加熱凝固することを特徴とする、擬似肉食品の製造方法。
（２）水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、水和・解繊された組織化植物性たん白が乾燥物換算で４５〜９５質量％である、（１）の方法。
（３）水和・解繊された組織化植物性たん白が太さ０．１〜６ｍｍのものを含み、且つ水和された繊維状植物性たん白が太さ０．１〜２ｍｍのものを含む、（１）または（２）の方法。
（４）水和・解繊された組織化植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含み、且つ、水和された繊維状植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含む、（１）〜（３）のいずれかの方法。
（５）粒状植物性たん白及び繊維状植物性たん白が大豆たん白を主成分とする、（１）〜（４）のいずれかの方法。
（６）結着剤が植物性たん白、動物性たん白、及び多糖類からなる群から選ばれる１種以上である、（１）〜（５）のいずれかの方法。
（７）結着剤の少なくとも一部が、水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤であり、原料混合物が当該結着剤を、水和した熱可逆性ゲルの形態で含む、（１）〜（６）のいずれかの方法。
（８）原料混合物が、たん白質接着酵素を更に含む、（１）〜（７）のいずれかの方法。
（９）（１）〜（８）のいずれかの方法により製造された擬似肉食品。
（１０）組織化された粒状植物性たん白を水和させ解繊させた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を混合された状態で含み、かつ凝固により一体化されていることを特徴とする、擬似肉食品。
【発明の効果】
【００１２】
本発明の方法により製造される擬似肉食品は、ステーキ用肉、カツ用肉、煮込み調理用肉等の比較的大きな形状に加工した場合にも天然肉に近い食感を得ることができる、見た目にも天然肉と酷似した擬似肉食品である。
【図面の簡単な説明】
【００１３】
【図１】図１は実施例１の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図２】図２は実施例２の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図３】図３は実施例３の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図４】図４は比較例１の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図５】図５は比較例２の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【図６】図６は比較例３の擬似肉食品の外観を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【００１４】
１．水和・解繊された組織化植物性たん白
本発明において「水和・解繊された組織化植物性たん白」とは、粒状植物性たん白（組織化されている）を水和させ解繊させることにより調製される繊維状物を指す。
【００１５】
粒状植物性たん白を構成する主成分の植物性たん白原料としては、大豆たん白、小麦たん白等が挙げられ、大豆たん白が特に好ましい。大豆たん白としては脱脂大豆粉末を用いてもよいし、粉末状大豆たん白（分離大豆たん白）を用いてもよい。
【００１６】
本発明において「粒状植物性たん白」とは、『植物性たん白の日本農林規格』で定義されたものをいう。『植物性たん白の日本農林規格』によれば粒状植物性たん白は「植物性たん白のうち、粒状又はフレーク状に成形したものであつて、かつ、肉様の組織を有するものをいう」と定義されている。
【００１７】
粒状植物性たん白の調製方法は既に広く知られており、例えば非特許文献１第３８３〜３８５頁に記載されている。典型的には、粒状植物性たん白は、植物たん白原料をエクストルーダー処理に供して組織化し、次いで乾燥することにより調製される。この調製方法についてさらに具体的に説明する。
【００１８】
植物性たん白原料と水とを少なくとも含み、必要に応じて油脂、デンプン、色素、フレーバー等を更に含む混合物をエクストルーダーにより加圧加熱し、ダイの先端から常圧下に吐出して膨化させる。この処理（本発明では「エクストルーダーによる処理」とも称する）により得られる膨化物は、一定の方向性を持った繊維状の内部組織を有する（すなわち「組織化」されている）。エクストルーダーは、原料を加圧加熱し組織化できる装置であれば任意に使用でき、これが可能であればエクストルーダー以外の名称の装置も使用できる。得られた膨化物を適当な大きさにカットし、乾燥させて組織化植物性たん白を得る。エクストルーダー処理に供する原材料混合物における植物性たん白、水、その他の原材料の配合比率、エクストルーダー処理における圧力、温度、ダイ形状等の各条件は目的とする食感に応じて適宜選択することができる。乾燥後の組織化植物性たん白の形状としては、粒状、棒状、フレーク状等が挙げられるが特に限定されない。乾燥させた組織化植物性たん白及び各形状に成形された組織化植物性たん白はいずれも本発明における「粒状植物性たん白」に包含される。粒状植物性たん白の乾燥後の水分はおおよそ１０質量％以下である。
【００１９】
粒状植物性たん白としては市販品を使用することもできる。市販品としてはアペックス１０００（フジプロテインテクノロジー製）が挙げられる。
【００２０】
粒状植物性たん白に含水させて水和させ、必要に応じて過剰な水分を脱水する。水和物を適当な手段で解繊、つまり繊維状物にほぐす。水和は、乾燥した粒状植物性たん白を水や温水に浸すことにより行うことができる。解繊のための手段としては、フードカッター（例えば食品原料等を回転刃で剪断したり切ったりするための汎用されているもので、日本調理機(株)社製等を用いることができる）の刃を逆回転させ、鈍刃で解繊する方法が挙げられる。水和・解繊された組織化植物性たん白は、太さが０．１〜６ｍｍ、好ましくは１〜５ｍｍのものを含むことが好ましい。これらを水和・解繊された組織化植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。また、水和・解繊された組織化植物性たん白は、長さが５ｍｍ以上、好ましくは１０ｍｍ以上のものを含むことが好ましい。これらを水和・解繊された組織化植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。これらの大きさの範囲にある組織化植物性たん白を含むことで、より好ましい擬似肉食品の繊維感と弾力性と歯応えのある天然肉に近い食感を達成することができる。水和・解繊された組織化植物性たん白の長さの上限は特に制約されず、通常１００ｍｍ程度までのものを使用すればよい。水和・解繊された組織化植物性たん白中の水分は好ましくは５５〜７５質量％である。
【００２１】
２．繊維状植物性たん白
繊維状植物性たん白を構成する植物性たん白原料としては、組織化植物性たん白について上述したものと同様のものが使用できる。
繊維状植物性たん白とは、『植物性たん白の日本農林規格』で定義されたものをいう。『植物性たん白の日本農林規格』によれば繊維状植物性たん白は「植物性たん白のうち、繊維状に成形したものであつて、かつ、肉様の組織を有するものをいう」と定義されている。繊維状植物性たん白を、紡糸により調製する方法は既に広く知られており、例えば非特許文献１第３７８〜３８３頁に記載されている。調製方法についてさらに具体的に説明する。
【００２２】
繊維状植物性たん白は、植物たん白と水とを少なくとも含み、必要に応じて油脂、デンプン、色素、フレーバー等を更に含む混合物を調製し、（１）該混合物にアルカリを加えて溶解させ、溶解物を、高圧ポンプで紡糸口（細いダイ）から酸又は塩凝固槽に押し出すことで得られる、或いは（２）該混合物を１００℃以上に加熱し、加熱物を高圧ポンプで紡糸口（細いダイ）から空気中に射出し冷却することで得られる糸状物である。当該糸状物は、紡糸直後は水を含む水和された状態である。従って、この水和された糸状物は、膨化または乾燥することなく「水和された繊維状植物性たん白」として本発明に使用することができる。また、水和された糸状物を一旦乾燥させた乾燥物も、繊維状植物性たん白の原料として使用できる。つまり、乾燥された繊維状植物性たん白に水を添加して水和させ、本発明に使用することができる。水和された繊維状植物性たん白は、太さが０．１〜２ｍｍ、好ましくは０．５〜１．２ｍｍのものを含むことが好ましい。これらを水和された繊維状植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。長さは加工時に適宜切断して調節することができるが、５ｍｍ以上、好ましくは１０ｍｍ以上のものを含むことが好ましい。これらを水和された繊維状植物性たん白として５０質量％以上含むことが好ましい。これらの大きさの範囲にある繊維状植物性たん白を含むことで、より好ましい擬似肉食品の繊維感と弾力性と歯応えのある天然肉に近い食感を達成することができる。繊維状植物性たん白の長さの上限は特に制約されず、通常１００ｍｍ程度までのものを使用すればよい。水和された繊維状植物性たん白の水分は、好ましくは６０〜８０質量％である。
【００２３】
以上の組織化植物性たん白及び繊維状植物性たん白は、何れか又は両者を、着色して用いることができる。両者の色目を変えることによって、見た目にも天然肉に近い擬似肉食品を提供することができる。例えば、牛肉を模する場合には、何れかを赤系色とし、他方を白系色とすればよく、特に組織化植物性たん白を白系色として、繊維状植物性たん白を赤系色とすることで、天然の牛肉に近い擬似肉食品を提供することができる。他の天然肉を模する場合も、同様の考え方で調製すればよい。
【００２４】
３．結着剤
結着剤は、成形加熱工程において植物性たん白材料を結合することができるものであれば特に限定されない。結着剤としては例えば植物性たん白、動物性たん白、及び多糖類からなる群から選ばれる１種以上を使用することができる。
【００２５】
結着剤として用いる植物性たん白としては大豆たん白、小麦たん白等が挙げられ、動物性たん白としては卵白、コラーゲン、乳たん白等が挙げられ、多糖類としてはデンプン、グアーガム等のガム質、カラギーナン、グルコマンナン等のゲル化剤が挙げられる。
【００２６】
結着剤は水及び／又は油脂とともに混練したペーストの形態で原料混合物に添加することができる。ペーストを形成する場合、水、油脂は結着剤１質量部に対してそれぞれ０．５〜４質量部添加することができる。
【００２７】
更に、結着剤は水及び油脂とともに乳化したエマルジョン（好ましくはＯ／Ｗエマルジョン）の形態で原料混合物に添加することが好ましい。この実施形態では、エマルジョンが擬似肉組成物中で脂身様組織を形成するため、より肉に近い外見と食感（脂身のジューシー感）が付与される。エマルジョンを形成する場合、水、油脂は結着剤１質量部に対してそれぞれ０．５〜３質量部添加することができる。
【００２８】
油脂としては、大豆油、綿実油、トウモロコシ油、ごま油等の植物性食用油脂、牛脂、豚脂、鶏脂、バター等の動物性食用油脂のいずれも使用することができる。
【００２９】
結着剤の少なくとも一部分として、水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤を使用することができる。その場合、当該結着剤を予め水和して熱可逆性ゲルを形成し、形成された熱可逆性ゲルを他の原料と混合した原料混合物を成形加熱工程に供する。熱可逆性ゲルとは、加熱すると溶解し、冷却すると凝固する性質のゲルを指す。この実施形態では、熱可逆性ゲルが擬似肉組成物中で脂身様組織を形成するため、より肉に近い外見と食感（脂身のジューシー感）が付与される。水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤としてはカラギーナン、グルコマンナン、寒天等が挙げられる。ゲルを形成するためには、例えばこれらの結着剤に水を質量で４０〜１００倍量加え、必要に応じて適宜加熱し、攪拌し、冷却すればよい。
【００３０】
４．その他の原料
原料混合物には更に、トランスグルタミナーゼ等のたん白質接着酵素を配合することができる。たん白質接着酵素を配合することにより、組織化植物性たん白及び繊維状植物性たん白の繊維と繊維、並びにこれらの繊維と結着剤との結着が強化され、天然肉様の組織が得られ、天然肉様の歯応えのある食感が強化される。
原料混合物は更に、水、油脂、フレーバー、調味料（動物エキスを含む）、デンプン、色素等を含んでもよい。特に、ビーフ、ポーク、チキン等の畜肉の味を付与するためのフレーバー、動物エキス等が添加されることが好ましい。油脂としては、結着剤について上記したものと同様のものが使用できる。
【００３１】
５．原料混合物の配合
水和・解繊された組織化植物性たん白と、水和された繊維状植物性たん白との配合比は特に限定されず、目的とする擬似肉の性状に応じて適宜決定することができる。例えば水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、水和・解繊された組織化植物性たん白は乾燥物換算で５〜９５質量％、好ましくは４５〜９５質量％であり、水和された繊維状植物性たん白はその残部、すなわち乾燥物換算で９５〜５質量％、好ましくは５５〜５質量％であることが好ましい。
【００３２】
実施例に示すように、ステーキ用肉、カツ用肉、煮込み調理用肉等の比較的大きな形状に加工する擬似肉食品を製造する場合には、水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、前者は乾燥物換算で４５〜９５質量％であり、後者はその残部、すなわち乾燥物換算で５５〜５質量％であることが好ましい。
【００３３】
原料混合物は、水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との混合物（植物性たん白混合物）を５０〜８０質量％含有することが好ましい。
【００３４】
原料混合物は結着剤を該結着剤の乾燥物換算で３〜１５質量％含有することが好ましい。結着剤がペーストの形態で添加される場合には、原料混合物は当該ペーストを２５〜５０質量％含有することが好ましい。結着剤が水和した熱可逆性ゲルの形態で添加される場合には、原料混合物は当該ゲルを３〜１５質量％含有することが好ましい。結着剤がエマルジョンの形態で添加される場合には、原料混合物は当該エマルジョンを５〜２０質量％含有することが好ましい。原料混合物は、ペースト形態の結着剤と、熱可逆性ゲル形態の結着剤及び／又はエマルジョン形態の結着剤とを含むことが更に好ましい。
【００３５】
たん白質接着酵素を添加する場合には、原料混合物は、組織化植物性たん白及び繊維状植物性たん白の繊維と繊維、並びにこれらの繊維と結着剤との結着を促進する有効量だけ当該酵素を含んでいればよい。例えば、原料混合物はたん白質接着酵素を該酵素の乾燥物換算で０．０１〜０．５質量％含有すればよい。
【００３６】
水、油脂、フレーバー、調味料（動物エキスを含む）、デンプン、色素等の他の成分は原料混合物中に適宜の量配合される。
【００３７】
原料混合物の調製方法は特に限定されず、通常のミキサー、ニーダー等を用いて各原料を混合すればよい。
【００３８】
６．成形工程および加熱凝固工程
原料混合物は所望の形状（例えば一枚肉の形状、ブロック肉の形状、ダイスカットされた形状等）に成形される。成形は適当な型を用いて行うことができる。
成形された原料混合物を６０〜１３５℃、好ましくは７０〜１２０℃の温度で加熱することにより、成形物が凝固し、擬似肉食品が得られる。原料混合物の成形物は、成形のための型内又はレトルトパウチ等の容器内に密封した状態で加熱され、凝固されることが好ましい。成形は型成形に限らず、要は得られる擬似肉食品が所望の形状になればよく、原料混合物を湯中に投入する等の方法を採用してもよい。
【００３９】
７．擬似肉食品
本発明の擬似肉食品はどのような形状に加工しても良い。本発明の擬似肉食品は、厚さが約１５ｍｍ以上のステーキ用肉やカツ用肉、あるいは、一辺の長さが約１５ｍｍ以上であるカレー、シチュー等の煮込み用途の肉の形状に加工し調理した場合にも、天然肉に近い食感を与えることができる。
【実施例】
【００４０】
実施例１：結着剤として粉末状大豆タンパクのみを用いる場合
（水和・解繊された組織化植物性たん白）
粒状植物性たん白（原料名：アペックス１０００／フジプロテインテクノロジー製、『植物性たん白の日本農林規格』で規格された大豆たん白の粒状植物性たん白。大豆たん白原料をエクストルーダーにより組織化し乾燥して製造された製品。白色。長さ１０〜7０ｍｍ程度、太さ１５〜２０ｍｍ程度の円柱状）を、沸騰水中で５０分間湯戻しし、遠心脱水機で脱水した。
【００４１】
湯戻し前の乾燥質量１に対して、湯戻し脱水後の質量は２．６になった。この脱水物を、フードカッター（日本調理機(株)社製、ＦＤ‐２１）の刃を逆回転させ、鈍刃で解砕し、太さが０．１〜６ｍｍ程度のものを６０質量％以上含み、長さが１０ｍｍ程度以上のものを６０質量％含むように繊維状に解繊した。得られた繊維状物を以下では「水和・解繊された組織化植物性たん白」と称する。
【００４２】
（水和された繊維状植物性たん白）
水和された繊維状植物性たん白の冷凍品（原料名：フジピュアＳＰ ＮＣ／フジプロテインテクノロジー製、『植物性たん白の日本農林規格』で規格された大豆たん白の繊維状植物性たん白、赤色）を室温に放置して解凍し、遠心脱水機で脱水した。脱水前の質量１に対して、脱水後の質量は０．８５になった。脱水前の質量１に対して、乾燥質量は０．３である。上記繊維状植物性たん白は、太さが０．７〜１ｍｍ程度のものを８０質量％以上含み、長さが１０ｍｍ程度以上のものを８０質量％含むのものであった。
【００４３】
（結着剤）
粉末状大豆タンパク（原料名：フジプロＦ／フジプロテインテクノロジー製）５質量部に水１５質量部、植物油脂５質量部、調味料１質量部、フレーバー０．１質量部を加えて、縦型ミキサーで２分間攪拌してペースト状にした。
【００４４】
（擬似肉食品の調製）
前記の水和・解繊された組織化植物性たん白５９．０質量部と、繊維状植物性たん白６．５質量部を混合した（得られた混合物を以下「植物性たん白混合物」という）。このとき、水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、前者９１質量％、後者９質量％である（ともに乾燥物換算）。植物性たん白混合物に前記結着剤の粉末状大豆タンパクのペースト３４．５質量部を加えて、縦型ミキサーで６分間混合し、混合物をスタンディングレトルトパウチに充填し、真空シールした。パウチを沸騰水中で６０分間加熱して原料を凝固させた後、氷水で十分に冷却して擬似肉食品を調製した。
【００４５】
実施例２：結着剤として粉末状大豆タンパク及び熱可逆性ゲルを用いる場合
（結着剤）
実施例１と同様の粉末状大豆タンパクのペーストを調整した。
別に、カラギーナン（原料名：カラギニンＣＳＫ−１／三栄源エフ・エフ・アイ製）１．２質量部とグルコマンナン（原料名：レオレックスＲＳ／清水化学製）０．８質量部に水９８．０質量部を加えて縦型ミキサーで２分間攪拌し、熱可逆性のゲルを得た。
【００４６】
（擬似肉食品の調製）
実施例１と同様にして得た植物性たん白混合物６１．５質量部に前記の粉末状大豆タンパクのペースト３２．４質量部と、前記のゲル６．１質量部を加えて、以降実施例１と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００４７】
実施例３：結着剤及び油脂をエマルジョンにして用いる場合
（エマルジョンの調整）
粉末状大豆タンパク（原料名：フジプロＦ／フジプロテインテクノロジー製）１１０質量部にグアーガム１０質量部、水１００質量部及び植物油脂２００質量部を加えて縦型ミキサーで５分間攪拌してＯ／Ｗエマルジョンを得た。
【００４８】
（擬似肉食品の調製）
実施例１と同様にして得た植物性たん白混合物６１．５質量部に実施例１の粉末状大豆タンパクのペースト３１．４質量部と、前記のＯ／Ｗエマルジョン９．１質量部を加えて、以降実施例１と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００４９】
実施例４：トランスグルタミナーゼ添加
実施例１の水和・解繊された組織化植物性たん白４５．０質量部と、繊維状植物性たん白２０．０質量部を混合した。これに実施例１の粉末状大豆タンパクのペースト３４．８質量部と、トランスグルタミナーゼ（原料名：アクティバＴＧ−ＡＫ／味の素製）０．２質量部を加えて、縦型ミキサーで６分間混合し、混合物をスタンディングレトルトパウチに充填し、真空シールした。パウチを６０℃の温水中で３０分間加熱して酵素反応させ、更に沸騰水中で３０分間加熱して原料を凝固させた後、氷水で十分に冷却して擬似肉食品を調製した。
【００５０】
比較例１：解繊していない粒状植物性たん白を用いる場合
（粒状植物性たん白）
実施例1で用いた粒状植物性たん白（原料名：アペックス１０００）のうち長さ１０〜３０ｍｍ程度のものを選んで、実施例1と同様にして湯戻し、脱水し、円柱状の粒状植物性たん白Ａを得た。これとは別に、粒状植物性たん白（原料名：アペックス６００／フジプロテインテクノロジー製、『植物性たん白の日本農林規格』で規格された大豆たん白の粒状植物性たん白。大豆たん白原料をエクストルーダーにより組織化し乾燥して製造された製品。白色、粒径１〜５ｍｍの粒状）を沸騰水中で３分間湯戻しし、遠心脱水機で脱水して粒状植物性たん白Ｂを得た。脱水後の粒状植物性たん白Ａは太さ１５〜２０ｍｍ程度、長さ１０〜３０ｍｍ程度、脱水後の粒状植物性たん白Ｂは粒径１〜５ｍｍ程度であった。
【００５１】
（擬似肉食品の調製）
前記の粒状植物性たん白Ａ３０．５質量部と、粒状植物性たん白Ｂ１８．３質量部と、繊維状植物性たん白（実施例1と同様のもの）１５．２質量部を混合し、これに粉末状大豆タンパクのペースト（実施例1と同様のもの）３６．０質量部を加えて、縦型ミキサーで混合する以降実施例１と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００５２】
比較例２：組織化植物性たん白を用いない場合
実施例１の水和・解繊された組織化植物性たん白５９．０質量部に代えて、繊維状植物性たん白５９．０質量部を用いる（つまり水和・解繊された組織化植物性たん白を用いず、繊維状植物性たん白６５．５質量部を用いる）以外は、実施例1と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００５３】
比較例３：繊維状植物性たん白を用いない場合
実施例1の繊維状植物性たん白６．５質量部に代えて、水和・解繊された組織化植物性たん白６．５質量部を用いる（つまり繊維状植物性たん白を用いず、解繊された組織化植物性たん白６５．５質量部を用いる）以外は、実施例1と同様にして擬似肉食品を調製した。
【００５４】
評価方法
調製された各擬似肉食品の外観を観察した。
更に、２０×２０×２０ｍｍのサイズにダイスカットされた各擬似肉食品を具材として用いてレトルトカレーを調理した。レトルトカレーを喫食して各擬似肉食品の食感を評価した。
【００５５】
結果
【表１】
【特許請求の範囲】
【請求項１】
エクストルーダーによる処理により組織化され、乾燥された粒状植物性たん白を水和させ解繊させて得られた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を含む原料混合物を加熱凝固することを特徴とする、擬似肉食品の製造方法。
【請求項２】
水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、水和・解繊された組織化植物性たん白が乾燥物換算で４５〜９５質量％である、請求項１の方法。
【請求項３】
水和・解繊された組織化植物性たん白が太さ０．１〜６ｍｍのものを含み、且つ水和された繊維状植物性たん白が太さ０．１〜２ｍｍのものを含む、請求項１または２の方法。
【請求項４】
水和・解繊された組織化植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含み、且つ、水和された繊維状植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含む、請求項１〜３のいずれか１項の方法。
【請求項５】
粒状植物性たん白及び繊維状植物性たん白が大豆たん白を主成分とする、請求項１〜４のいずれか１項の方法。
【請求項６】
結着剤が植物性たん白、動物性たん白、及び多糖類からなる群から選ばれる１種以上である、請求項１〜５のいずれか１項の方法。
【請求項７】
結着剤の少なくとも一部が、水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤であり、原料混合物が当該結着剤を、水和した熱可逆性ゲルの形態で含む、請求項１〜６のいずれか１項の方法。
【請求項８】
原料混合物が、たん白質接着酵素を更に含む、請求項１〜７のいずれか１項の方法。
【請求項９】
請求項１〜８のいずれか１項の方法により製造された擬似肉食品。
【請求項１０】
組織化された粒状植物性たん白を水和させ解繊させた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を混合された状態で含み、かつ凝固により一体化されていることを特徴とする、擬似肉食品。
【請求項１】
エクストルーダーによる処理により組織化され、乾燥された粒状植物性たん白を水和させ解繊させて得られた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を含む原料混合物を加熱凝固することを特徴とする、擬似肉食品の製造方法。
【請求項２】
水和・解繊された組織化植物性たん白と水和された繊維状植物性たん白との乾燥物換算合計量に対して、水和・解繊された組織化植物性たん白が乾燥物換算で４５〜９５質量％である、請求項１の方法。
【請求項３】
水和・解繊された組織化植物性たん白が太さ０．１〜６ｍｍのものを含み、且つ水和された繊維状植物性たん白が太さ０．１〜２ｍｍのものを含む、請求項１または２の方法。
【請求項４】
水和・解繊された組織化植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含み、且つ、水和された繊維状植物性たん白が長さ５ｍｍ以上のものを含む、請求項１〜３のいずれか１項の方法。
【請求項５】
粒状植物性たん白及び繊維状植物性たん白が大豆たん白を主成分とする、請求項１〜４のいずれか１項の方法。
【請求項６】
結着剤が植物性たん白、動物性たん白、及び多糖類からなる群から選ばれる１種以上である、請求項１〜５のいずれか１項の方法。
【請求項７】
結着剤の少なくとも一部が、水和した場合に熱可逆性ゲルを形成する結着剤であり、原料混合物が当該結着剤を、水和した熱可逆性ゲルの形態で含む、請求項１〜６のいずれか１項の方法。
【請求項８】
原料混合物が、たん白質接着酵素を更に含む、請求項１〜７のいずれか１項の方法。
【請求項９】
請求項１〜８のいずれか１項の方法により製造された擬似肉食品。
【請求項１０】
組織化された粒状植物性たん白を水和させ解繊させた、水和・解繊された組織化植物性たん白と、
水和された繊維状植物性たん白と、
結着剤と
を混合された状態で含み、かつ凝固により一体化されていることを特徴とする、擬似肉食品。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２０１０−２００６２７（Ｐ２０１０−２００６２７Ａ）
【公開日】平成２２年９月１６日（２０１０．９．１６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−４６９４９（Ｐ２００９−４６９４９）
【出願日】平成２１年２月２７日（２００９．２．２７）
【出願人】（０００１１１４８７）ハウス食品株式会社 (262)
【公開日】平成２２年９月１６日（２０１０．９．１６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年２月２７日（２００９．２．２７）
【出願人】（０００１１１４８７）ハウス食品株式会社 (262)
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