説明

攪拌脱泡装置及び収納容器

【課題】動力伝達機構を単純化しても高い攪拌脱泡性能を実現することが可能な攪拌脱泡装置、及び、自転公転方式の攪拌脱泡装置の性能を高めることが可能な材料の収納容器を提供する。
【解決手段】攪拌脱泡装置は、所定の回転軸線を中心に回転可能に構成された回転体20と、回転体における回転軸線(公転軸線L1)から所定の間隔をあけた位置に自転可能に取り付けられた容器ホルダ30と、容器ホルダに保持される、材料Mが収納された収納容器100と、を含む。収納容器は、一組の下部領域106及び上部領域108を有する。そして、回転体を回転させる工程の少なくとも一部で、下部領域の内壁面は上部領域側を向く傾斜面となり、かつ、上部領域の内壁面は下部領域側を向く傾斜面となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌脱泡装置及び収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
材料が収納された容器を自転及び公転させることによって当該材料を攪拌脱泡する装置(自転公転方式の攪拌脱泡装置)が知られている(例えば特許文献1参照)。この攪拌脱泡装置では、容器を自転及び公転させる際に容器内の材料に作用する遠心力を利用して、材料を攪拌する(混練する、混合する、分散させる)とともに、材料に内在する気泡を放出させて脱泡することができる。ただし、自転公転方式の攪拌脱泡装置で高い攪拌脱泡性能(特に攪拌性能)を実現するためには、容器を自転及び公転させることによって、容器内部で材料を流動させる(対流を起こす)必要がある。
【0003】
従来、この攪拌脱泡装置では、材料が収納される容器として、内壁面が円柱形状の容器が利用されており、この容器内部で材料を流動させるために、容器の自転軸線と公転軸線とが斜めになるように攪拌脱泡装置が設計されることが一般的であった。容器の自転軸線と公転軸線とが斜めになるように攪拌脱泡装置を設計することで、内側面が円柱形状の容器を利用する場合でも容器内部で材料を流動させることができ、高い攪拌脱泡性能を実現することが可能であった。
【特許文献1】特開平10-43568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、自転軸線と公転軸線とが斜めになるように攪拌脱泡装置を設計すると、動力伝達機構が複雑になることがあった。
【0005】
また、自転公転方式の攪拌脱泡装置では、容器の内壁面を利用して材料にずり応力を作用させて材料を攪拌することから、容器の内壁面の形状いかんによって、材料の攪拌性能を高めることが可能になる。
【0006】
本発明の一つの態様は、動力伝達機構を単純化しても高い攪拌脱泡性能を実現することが可能な攪拌脱泡装置、及び、自転公転方式の攪拌脱泡装置の性能を高めることが可能な材料の収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る攪拌脱泡装置は、
所定の回転軸線を中心に回転可能に構成された回転体と、
前記回転体における前記回転軸線から所定の間隔をあけた位置に自転可能に取り付けられた容器ホルダと、
前記容器ホルダに保持されて、前記容器ホルダの自転及び公転に伴って自転及び公転する、材料が収納された収納容器と、
を含み、
前記収納容器は、一組の下部領域及び上部領域を有し、
前記収納容器を自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記下部領域の内壁面は前記上部領域側を向く傾斜面となり、かつ、前記上部領域の内壁面は前記下部領域側を向く傾斜面となる。
【0008】
本発明によると、収納容器の下部領域及び上部領域の内壁面が傾斜面となる。そのため、回転体を回転させる工程で、材料には、収納容器の内壁面に沿って、下部領域及び上部領域の境界領域に向かう力が作用し、材料が収納容器の上下方向に流動するため、材料を精度よく攪拌脱泡することが可能になる。
【0009】
(2)この攪拌脱泡装置において、
前記下部領域及び前記上部領域の境界の内壁面が、前記収納容器の内部空間のうち、前記公転軸線から最も離れた最遠領域となってもよい。
【0010】
(3)この攪拌脱泡装置において、
前記最遠領域は、前記収納容器の自転に伴って、前記自転軸線に沿った方向に移動してもよい。
【0011】
(4)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は、前記自転軸線に沿って配置される第1及び第2の領域を有し、
前記第1の領域は前記第2の領域側を向く傾斜面となっており、
前記第2の領域は前記第1の領域側を向く傾斜面となっていてもよい。
【0012】
(5)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダは、ホルダ本体と、前記ホルダ本体に着脱可能に構成されたアダプタとを含み、
前記アダプタの内側面が、前記容器ホルダの内側面となってもよい。
【0013】
(6)この攪拌脱泡装置において、
前記収納容器は変形可能に構成されていてもよい。
【0014】
(7)この攪拌脱泡装置において、
前記収納容器の外側面における前記下部領域及び上部領域の境界領域には、前記収納容器の周方向に延びる切込みが形成されていてもよい。
【0015】
(8)この攪拌脱泡装置において、
前記収納容器を、前記下部領域及び上部領域の内壁面が傾斜面となるように変形した状態に維持するストッパをさらに含んでもよい。
【0016】
(9)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は円柱形となっており、
前記収納容器は、
前記下部領域の厚みが前記上部領域に近づくほど薄くなるように、かつ、前記上部領域の厚みが前記下部領域に近づくほど薄くなるように、かつ、静止時において、内壁面が柱状となるように構成されており、
前記収納容器を自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記収納容器の外側面が前記容器ホルダの内側面に押し付けられることにより、前記下部領域及び前記上部領域の内壁面が傾斜面になるように変形してもよい。
【0017】
(10)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダを自転させることによって前記収納容器に作用する遠心力を利用して、前記下部領域及び上部領域の内壁面が傾斜面となるように前記収納容器を変形させてもよい。
【0018】
(11)この攪拌脱泡装置において、
前記収納容器を自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記収納容器の内壁面における前記下部領域及び上部領域の境界には、間隔をあけて配置される複数の凸部が形成されてもよい。
【0019】
(12)この攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は円柱形となっており、
前記収納容器は変形不能に構成されていてもよい。
【0020】
(13)この攪拌脱泡装置において、
前記回転体を回転させる工程の最後に、前記収納容器を公転のみさせてもよい。
【0021】
(14)本発明に係る収納容器は、
容器ホルダを自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置の前記容器ホルダに保持されて、前記容器ホルダの自転及び公転に伴って自転及び公転する、材料を収納するための収納容器であって、一組の下部領域及び上部領域を有し、
前記容器ホルダを自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記下部領域の内壁面は前記上部領域側を向く傾斜面となり、かつ、前記上部領域の内壁面は前記下部領域側を向く傾斜面となってもよい。
【0022】
本発明によると、収納容器の下部領域及び上部領域の内壁面が傾斜面となる。そのため、容器ホルダを回転させる工程で、材料には、下部領域及び上部領域の境界領域に向かう力が作用し、材料が収納容器の上下方向に流動するため、材料を精度よく攪拌脱泡することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。すなわち、以下の実施の形態で説明するすべての構成が本発明にとって必須であるとは限らない。また、本発明は、以下の内容を自由に組み合わせたものを含む。
【0024】
1.第1の実施の形態
以下、本発明を適用した第1の実施の形態について説明する。
【0025】
(1)攪拌脱泡装置1
はじめに、本発明を適用した実施の形態に係る攪拌脱泡装置1について説明する。図1(A)及び図1(B)は、攪拌脱泡装置1の構成について説明するための図である。
【0026】
本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1は、図1(A)に示すように、公転軸10を含む。公転軸10は、仮想の直線を中心に回転するように構成されている。本実施の形態では、公転軸10は、図1(A)に示すように、鉛直に延びる仮想の直線(公転軸線L1)を軸として回転するように構成されている。ただし、公転軸10は、水平に延びる直線を軸として回転するように構成されていてもよい(図示せず)。
【0027】
攪拌脱泡装置1は、図1(A)に示すように、回転体20を含む。回転体20は、公転軸10に固定され、公転軸10の回転に伴って、公転軸線L1を中心に(軸線として)回転するように構成されている。
【0028】
攪拌脱泡装置1は、図1(A)及び図1(B)に示すように、容器ホルダ30を有する。容器ホルダ30は、収納容器100を保持する役割を果たす。容器ホルダ30は、収納容器100を保持するための内部空間を含んで構成されている。以下、容器ホルダ30について詳述する。
【0029】
容器ホルダ30は、回転体20の所定の位置に、自転可能に取り付けられている。本実施の形態では、容器ホルダ30は、自転軸32に固定されており、当該自転軸32は、回転体20に軸受け34を介して取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20の所定の位置を通る仮想の直線(自転軸線L2)を軸として、回転体20に対して自転可能とすることができる。
【0030】
なお、本実施の形態では、容器ホルダ30は、公転軸線L1と平行に延びる仮想の直線を軸として自転するように構成されている。すなわち、本実施の形態では、公転軸線L1と自転軸線L2とは、平行に延びる直線となっている。
【0031】
また、容器ホルダ30は、回転体20における、公転軸線L1から所定の間隔をあけた位置に取り付けられている。これにより、容器ホルダ30を、回転体20の回転に伴って、公転軸線L1を中心に公転させることが可能になる。
【0032】
本実施の形態では、1つの回転体20に、1つの容器ホルダ30が取り付けられている。そして、回転体20における容器ホルダ30とは反対側の位置に、バランス錘25(公転軸線L1からの距離が可変に構成されたバランス錘)が取り付けられている。これにより、攪拌脱泡中の装置の動作を安定させることができる。ただし変形例として、攪拌脱泡装置を、1つの回転体20に2個以上の複数の容器ホルダ30を取り付けた構成とすることも可能である。
【0033】
容器ホルダ30は、図1(A)及び図1(B)に示すように、内側面40を含む。内側面40は、容器ホルダ30のうち収納容器100を向く面(収納容器100の側面102の外壁面と対向する面)である。すなわち、攪拌脱泡装置1では、容器ホルダ30の内側面40に囲まれた空間(内部空間)に、収納容器100が保持される。言い換えると、攪拌脱泡装置1では、容器ホルダ30の内部空間に(収納容器100を介して)材料Mが配置される。
【0034】
内側面40は、容器ホルダ30の高さ方向に(自転軸線L2に沿って)配列された第1及び第2の領域36,38を含む。本実施の形態では、内側面40は、第1及び第2の領域36,38を、一組のみ有している。本実施の形態では、第1の領域36は、第2の領域38側を向く傾斜面となっている。また、第2の領域38は、第1の領域36側を向く傾斜面となっている。言い換えると、第1の領域36は、自転軸線L2に沿って、第2の領域38に近づくほど内径が広くなる。また、第2の領域38は、自転軸線L2に沿って、第1の領域36に近づくほど内径が広くなる。すなわち、容器ホルダ30は、自転軸線L2に沿って、第1及び第2の領域36,38の境界領域37に近づくほど、内径が広くなるように構成されているといえる。
【0035】
なお、本実施の形態では、第1及び第2の領域36,38(すなわち容器ホルダ30の内壁面)は、自転軸線L2と直交する仮想の平面(仮想平面)で切断した断面が円形となる。そして、上記した「第1及び第2の領域36,38の内径」とは、この円形の直径を指す。
【0036】
本実施の形態では、第1の領域36の第2の領域38側の端部によって定義される面が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して平行な平面となる。また、第2の領域38の第1の領域36側の端部によって定義される面が、該仮想平面に対して平行な平面となる。そして、第1及び第2の領域36,38の境界領域37によって定義される面は、該仮想平面と平行な平面となる。
【0037】
また、本実施の形態では、容器ホルダ30の内部空間は、2つの円錐台の底面を張り合わせた形状となっている。すなわち、本実施の形態では、容器ホルダ30の内側面40は、自転軸線L2と直交する仮想平面から、上方及び下方に向かうに従って、それぞれ自転軸線L2に近づくように延びるとともに、自転軸線L2を含む仮想平面で切断した断面において、それぞれ略直線的に延びている。
【0038】
攪拌脱泡装置1は、図1(A)に示すように、駆動機構50を含む。駆動機構50は、容器ホルダ30(収納容器100)を回転駆動する役割を果たす。駆動機構50は、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させることが可能に構成されている。すなわち、駆動機構50(攪拌脱泡装置1)は、容器ホルダ30を自転させながら公転させることが可能に構成されており、かつ、容器ホルダ30を自転のみさせることが可能に構成されていてもよく、容器ホルダ30を公転のみさせることが可能に構成されていてもよい。以下、駆動機構50の一例について説明する。
【0039】
駆動機構50は、容器ホルダ30を公転させる公転駆動機構として、公転軸10を回転させるモータ51を含む。先に説明したように、攪拌脱泡装置1では、回転体20は公転軸10の回転に伴って回転するように構成されており、容器ホルダ30は回転体20の回転に伴って公転するように構成されている。すなわち、公転軸10を回転させることによって、容器ホルダ30を公転させることができる。そのため、モータ51(モータ51、及び、公転軸10、回転体20)によって、容器ホルダ30を公転させることができる。
【0040】
また、駆動機構50は、容器ホルダ30を自転させる自転駆動機構52を含む。自転駆動機構52は、容器ホルダ30(自転軸32)に固定された自転プーリー54と、回転体20(公転軸10)と同心軸に設けられた、回転体20に対して回転可能な自転力付与プーリー56と、自転プーリー54及び自転力付与プーリー56にかけまわされたベルト58と、を含む。なお、本実施の形態では、自転力付与プーリー56は、図示しない軸受けを介して、公転軸10に外嵌している。
【0041】
この構成では、ベルト58によって、自転プーリー54及び自転力付与プーリー56の回転角速度が関連付けられる。そのため、自転プーリー54と自転力付与プーリー56とを、遊星機構と同様に挙動させることができ、自転力付与プーリー56の回転角速度を規制しながら回転体20を回転(自転プーリー54を公転)させることによって、自転プーリー54を自転させる(自転プーリー54に自転トルクを付与する)ことが可能になる。例えば自転力付与プーリー56が回転しないように設定された状態で、回転体20を反時計回りに自転させると(自転プーリー54を反時計回りに公転させると)、自転プーリー54は、自転軸線L2を中心に時計回りに自転する。そして、自転プーリー54は容器ホルダ30(自転軸32)に固定されていることから、自転駆動機構52によって、容器ホルダ30を自転させることが可能になる。あるいは、自転力付与プーリー56を回転体20と同じ角速度で回転させることにより、容器ホルダ30を、公転のみさせることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、駆動機構50を、容器ホルダ30の自転角速度を所望の値に設定することが可能に構成することができる。自転駆動機構52では、自転力付与プーリー56の回転角速度を調整することにより、容器ホルダ30の自転角速度を所望の値に設定することが可能になる。そのため、駆動機構50は、特に図示しないが、自転力付与プーリー56の回転角速度を調整するための機構を備えていてもよい。自転力付与プーリー56の回転角速度を調整するための機構は、例えば、モータ51とは別に用意された自転力付与モータの駆動力や、ブレーキの制動力を利用する機構など、すでに公知となっているいずれかの機構によって実現することができる。
【0043】
攪拌脱泡装置1は、容器ホルダ30の回転角速度(自転角速度及び公転角速度)を制御する制御装置を含んでいてもよい(図示せず)。制御装置は、例えば、駆動機構50の動作を調整することによって、容器ホルダ30の回転角速度を制御するように構成されていてもよい。具体的には、制御装置は、モータ51の駆動(回転速度)を調整することにより、容器ホルダ30の公転角速度を制御することが可能に構成することができる。また、制御装置は、自転力付与プーリー56の回転速度を制御するために設けられた自転力付与モータの駆動力や、ブレーキの制動力を調整することにより、容器ホルダ30の自転角速度を制御することが可能に構成することができる。
【0044】
制御装置は、経過時間と関連付けられて予め定められた回転角速度で、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させることが可能に構成することが可能である。言い換えると、攪拌脱泡装置1は、制御装置によって、時間の経過に伴って回転角速度(自転角速度及び公転角速度)を変化させることができるように構成されていてもよい。これにより、容器ホルダ30を、所望の回転角速度で自転及び/又は公転させることが可能になるため、被攪拌脱泡材料Mに最も適した手順で、被攪拌脱泡材料Mを攪拌脱泡することが可能になる。
【0045】
制御装置(攪拌脱泡装置1)は、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させる工程の最後に、容器ホルダ30を公転のみさせるように構成されていてもよい。なお、「公転のみさせる」とは、「容器ホルダ30が回転体20に対して回転しない状態で、容器ホルダ30を公転させる」こと、及び、「容器ホルダ30を公転させながら、公転角速度に対して極めて小さい自転角速度(例えば1/40程度)で自転させる」ことを含むものとする。
【0046】
なお、本実施の形態では、攪拌脱泡装置1は、公転軸線L1と自転軸線L2とが平行になるように構成されている。そのため、駆動機構50の構成を単純化することができるとともに、動力伝達のロスが小さく、駆動効率の高い装置を提供することができる。
【0047】
攪拌脱泡装置1は、公転軸10、回転体20、容器ホルダ30、駆動機構50を支持するための支持体や、これらを収納する筐体をさらに含む構成とすることができる(図示せず)。
【0048】
(2)収納容器100
次に、収納容器100について説明する。図2(A)及び図2(B)は、収納容器100について説明するための図である。収納容器100は、材料(被攪拌脱泡材料)Mが収納される容器であり、容器ホルダ30に保持されて容器ホルダ30の自転に伴って自転し、容器ホルダ30の公転に伴って公転するように構成される。すなわち、収納容器100は、容器ホルダ30と一体的に動作する。これを実現するため、収納容器100及び容器ホルダ30は、両者の空回りを防止するための空回り防止機構を備えた構成とすることが可能である(図示せず)。
【0049】
収納容器100は、図2(A)に示すように、側面102と底面104とを含んで構成されている。そして、収納容器100は、図2(A)に示すように、静止した状態(容器ホルダ30に保持されていない状態/遠心力が作用していない状態)で、側面102が略柱状となるように構成されている。言い換えると、収納容器100は、底面104と直交する仮想の直線(直線L3)に沿って、側面102の内径が(ほぼ)変化しない形状となるように構成されている。なお、底面104の形状は特に限定されるものではない。底面104は、円形であってもよいし、矩形であってもよい。
【0050】
収納容器100の材料は特に限定されるものではないが、本実施の形態では、側面102の少なくとも一部は弾性体によって構成される。これにより、収納容器100を変形可能とすることができる。本実施の形態では、側面102は、すべて、弾性体によって構成されている。これにより、側面102を、容器ホルダ30の内壁面と同じ形状に変形させることが可能になる。また、底面104も、弾性体によって構成することが可能である。例えば収納容器100の材料として、シリコーンゴムやフッ素ゴムを利用することが可能である。
【0051】
収納容器100(側面102)は、図2(A)及び図2(B)に示すように、高さ方向に沿って配列された下部領域106と上部領域108とを含む。なお、下部領域106は、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程の少なくとも一部で、内壁面が上部領域108側を向く傾斜面となるように変形する。また、上部領域108は、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程の少なくとも一部で、内壁面が下部領域106側を向く傾斜面となるように変形する。本実施の形態では、下部領域106は、第1の領域36に押し付けられることにより、第1の領域36に倣って変形する。また、上部領域108は、第2の領域38に押し付けられることにより、第2の領域38に倣って変形する。すなわち、下部領域106は第1の領域36と同じ形状となり、また、上部領域108は第2の領域38と同じ形状となる。本実施の形態では、下部領域106の上端部及び上部領域108の下端部(下部領域106及び上部領域108の境界領域107)によって定義される面は、自転軸線L2と直交する仮想平面と平行な平面となる。
【0052】
また、本実施の形態では、収納容器100は、その内部空間が、2つの円錐台の底面を張り合わせた形状となるように変形する。すなわち、本実施の形態では、収納容器100は、その内壁面が、自転軸線L2と直交する仮想平面から、上方及び下方に向かうに従って、それぞれ自転軸線L2に近づくように延びるとともに、自転軸線L2を含む仮想平面で切断した断面において、それぞれ略直線的に延びるように変形する。
【0053】
(3)攪拌脱泡装置1の動作
次に、本実施の形態に係る攪拌脱泡装置1の動作について説明する。図3は、攪拌脱泡装置1の動作について説明するための図である。
【0054】
攪拌脱泡装置1では、図3に示すように、材料Mが収納された収納容器100を容器ホルダ30に保持させ、容器ホルダ30を回転(自転及び/又は公転)させることによって収納容器100を回転(自転及び/又は公転)させる。
【0055】
収納容器100が自転(公転しながら自転)すると、収納容器100には遠心力が作用して、側面102が容器ホルダ30の内壁面に押し付けられて、該内壁面の形状に倣って変形する。これによって、収納容器100(側面102)の下部領域106の内壁面が上部領域108側を向く傾斜面となり、かつ、上部領域108の内壁面が下部領域106側を向く傾斜面となる。言い換えると、収納容器100は、下部領域106の内径が上部領域108に向かって広くなり、上部領域108の内径が下部領域106に向かって広くなるように変形する。また、収納容器100の下部領域106及び上部領域108の境界領域107によって定義される面は、自転軸線L2に直交する仮想平面に対して平行に延びる平面となる。なお、本実施の形態では、収納容器100は、内部空間が、2つの円錐台の底面を張り合わせた形状となるように変形する。
【0056】
そして、本実施の形態では、収納容器100は、下部領域106及び上部領域108の境界(境界領域107)が、収納容器100の内部空間(該内部空間を公転軸線L1及び自転軸線L2を含む仮想平面で切断した断面)のうち、公転軸線L1から最も離れた領域(最遠領域)となるように変形する。
【0057】
収納容器100が上記のように変形した状態で自転しながら公転すると、収納容器100に収納された材料Mは、主に公転の影響を受けて公転軸線L1から最も遠い領域(最遠領域)に集められ、該領域で収納容器100の内壁面に押し付けられる。ところで、収納容器100の内壁面(下部領域106及び上部領域108の内壁面)は傾斜面になっており、最遠領域は下部領域106及び上部領域108の境界に配置されるため、材料Mには、側面102の内壁面に沿って、下部領域106及び上部領域108の境界領域に向かう力が作用する。
【0058】
詳しくは、下部領域106は上部領域108側を向く傾斜面となっているため、下部領域106に押し付けられた材料Mには、下部領域106に沿って上部領域108に向かう力が作用する。また、上部領域108は下部領域106側を向く傾斜面となっているため、上部領域108に押し付けられた材料Mには、上部領域108に沿って下部領域106に向かう力が作用する。すなわち、材料Mには、上下方向から、下部領域106及び上部領域108の境界領域107に向かう力が作用することになる。
【0059】
そのため、公転軸線L1と自転軸線L2とが平行になるように構成された攪拌脱泡装置1を利用した場合でも、収納容器100を自転させながら公転させることによって、材料Mを収納容器100の高さ方向(自転軸線L2に沿った方向)に移動させることが可能になる。
【0060】
(4)攪拌脱泡方法
次に、本実施の形態に係る、材料M(被攪拌脱泡材料)の攪拌脱泡方法について説明する。図4は、被攪拌脱泡材料Mの攪拌脱泡方法について説明するためのフローチャート図である。
【0061】
本実施の形態に係る攪拌脱泡方法は、攪拌脱泡装置1、及び、被攪拌脱泡材料Mが収納された収納容器100を用意する工程を含む。そして、収納容器100を、容器ホルダ30に保持させる工程(ステップS10)と、攪拌脱泡装置1を運転して(容器ホルダ30を自転及び/又は公転させて)、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程(ステップS12)とを含む。なお、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させる工程では、容器ホルダ30を自転のみさせる工程、公転のみさせる工程、及び、自転させながら公転させる工程を自由に組み合わせることが可能である。また、自転角速度及び公転角速度や、自転及び公転時間は、材料Mにあわせて適宜設定することができる。なお、本実施の形態では、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程の最後に、収納容器100を公転のみさせてもよい。以上の各工程により、材料Mを攪拌脱泡することができる。
【0062】
また、本実施の形態では、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程の少なくとも一部で、収納容器100の側面102(下部領域106及び上部領域108)を変形させる。具体的には、下部領域106を、内壁面が上部領域108側を向く傾斜面となるように変形させる。また、上部領域108を、内壁面が下部領域106側を向く傾斜面となるように変形させる。言い換えると、収納容器100を、下部領域106が上部領域108に近づくほど内径が広くなるように、かつ、上部領域108が下部領域106に近づくほど内径が広くなるように変形させる。
【0063】
なお、本実施の形態では、遠心力を利用して収納容器100を容器ホルダ30の内壁面に押し付けて、収納容器100を変形させる。例えば、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程において、はじめに収納容器100を自転のみさせて側面102を容器ホルダ30の内壁面と同じ形状に変形させ、その後、収納容器100を自転させながら公転させることで、収納容器100を確実に変形させることができる。
【0064】
(5)効果
以下、本実施の形態が奏する作用効果について説明する。
【0065】
本実施の形態によると、公転軸線L1と自転軸線L2とが平行になるように構成された攪拌脱泡装置1を利用した場合でも、収納容器100に収納された材料Mを上下に流動(対流)させることができるため、材料Mを攪拌脱泡することが可能になる。すなわち、本実施の形態によると、公転軸線L1及び自転軸線L2が平行になるように構成された、極めて単純な構造で、かつ、動力伝達効率の高い攪拌脱泡装置1を利用した場合でも、材料Mを精度よく攪拌脱泡することが可能になる。
【0066】
また、攪拌脱泡装置1によると、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程で、材料Mには、下部領域106及び上部領域108の境界領域107に向かう力が作用する。すなわち、攪拌脱泡装置1を利用すると、材料Mが、下部領域106及び上部領域108の境界領域107という、収納容器100内の極めて狭い領域に向かって移動する。そのため、非常に少量(例えば1mg程度)の材料Mを処理する場合にも、収納容器100内で材料が拡散することが防止され、材料Mを、精度よく確実に攪拌脱泡することが可能になる。
【0067】
また、攪拌脱泡装置1によると、材料Mを極めて狭い領域に集めることができるため、非常に少量の材料Mを処理する場合であっても、容易に、収納容器100から材料Mを回収することが可能になる。特に、容器ホルダ30を自転及び/又は公転させる工程の最後に、容器ホルダ30を公転のみさせることにより、被攪拌脱泡材料Mを、下部領域106及び上部領域108の境界領域107のさらに狭い領域(境界領域107における公転軸線L1から最も遠い一点)に集めることができる。そのため、非常に少量の材料Mを処理する場合であっても、これを容易に回収することが可能になる。
【0068】
なお、本実施の形態では、収納容器100が、変形可能に構成されている。そのため、材料Mを回収する際に収納容器100を変形させることができるため、材料Mを容易に回収することが可能になる。また、収納容器100が、静止した状態で側面102が柱状となるように構成されている場合、容器ホルダ30の回転を停止させると(収納容器100を容器ホルダ30から取り出すと)、収納容器100における材料Mが集まる領域を平坦に(自転軸線L2に沿って平坦に)することができる。そのため、材料Mを、さらに容易に回収することが可能になる。
【0069】
なお、本実施の形態に適用可能な材料Mは、特に限定されるものではない。材料Mは、例えば接着剤、半田、歯科用印象材料、歯科用セメント(穴埋め剤等)、粘性の強い液状の薬剤等の液体状の(ペースト状の)材料が含まれる。ただし、材料Mは、固体状(粉体状)の材料であってもよい。また、材料Mは、液体状の材料と固体状の材料の混合材料であってもよい。
【0070】
(6)第1の変形例
以下、本実施の形態の第1の変形例について説明する。本変形例では、図5(A)及び図5(B)に示すように、収納容器100は、上蓋110を含む。上蓋110は、収納容器100(収納容器100の本体)の開口をふさぐ中蓋112と、中蓋112の脱落を防止するための外蓋114とを含む。上蓋110は、収納容器100内を気密に密閉することが可能に構成することができ、これにより、図5(C)に示すように、一度に処理する材料Mの量が多くなっても、収納容器100から材料Mがこぼれ出ることを防止することができる。
【0071】
ただし、収納容器100は、上蓋110を含まない構成とすることも可能である。この場合でも、攪拌脱泡装置1の運転速度と収納容器100の内壁面(特に、上部領域108の内壁面)の傾斜角、及び、材料Mの量を調整することで、上蓋110を利用することなく、材料Mが収納容器100からこぼれ出ることを防止することが可能である。
【0072】
(7)第2の変形例
以下、本実施の形態の第2の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図6に示す、ホルダ70を含む。ホルダ70は、回転体20に自転可能に取り付けられていて、回転体20の回転に伴って公転する。ホルダ70の形状は特に限定されるものではないが、例えば有底の筒状(円筒状)とすることができる。すなわち、ホルダ70は、自転軸線L2に沿って、内径が(ほぼ)変化しないように構成されている。
【0073】
そして、攪拌脱泡装置は、図6に示すように、ホルダ70に着脱可能に構成されたアダプタ72を含む。ホルダ70とアダプタ72とをあわせて、容器ホルダと称してもよい。このとき、アダプタ72の内側面75が、容器ホルダの内側面を構成することになる。ホルダ70及びアダプタ72には、図示しないから回り防止機構が備えられている。
【0074】
アダプタ72の内側面75は、ホルダ70の自転軸線L2に沿って配列された第1及び第2の領域76,78を含む。ここで、第1の領域76は、第2の領域78側を向く傾斜面となっている。また、第2の領域78は、第1の領域76側を向く傾斜面となっている。言い換えると、アダプタ72は、第1の領域76が第2の領域78に近づくほど内径が広くなるように構成されており、第2の領域78が第1の領域76に近づくほど内径が広くなるように構成されている。なお、本変形例では、アダプタ72の内側面75は、2つの円錐台の底面を張り合わせた形状となっている。そして、アダプタ72は、第1及び第2の領域76,78の境界領域77によって定義される面(先述した円錐台の底面)が、自転軸線L2と直交する仮想平面と平行になるように、ホルダ70に保持される。
【0075】
この攪拌脱泡装置によると、収納容器100は、アダプタ72の内側面75に倣った形状となるように変形する。そのため、内側面の構造が異なるアダプタを利用すれば、収納容器100を、異なる形状に変形させることができる。このことから、容易に収納容器100の形状を調整することができるため、収納容器100を被処理材料の特性に合致した形状に変形させることが可能になり、精度の高い攪拌脱泡処理を実現することができる。
【0076】
(8)第3の変形例
以下、本実施の形態の第3の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図7(A)及び図7(B)に示すように、変形可能に構成された収納容器130を有する。収納容器130は、側面132を含む。側面132は、図7(A)に示すように、下部領域136及び上部領域138を有する。ここで、下部領域136は、上部領域138に近づくほど厚みが薄くなるように構成されている。また、上部領域138は、下部領域136に近づくほど厚みが薄くなるように構成されている。なお、本実施の形態では、収納容器130は、下部領域136の外径が上部領域138に近づくほど小さくなるように、かつ、上部領域138の外径が下部領域136に近づくほど小さくなるように構成されている。また、収納容器130は、高さ方向に沿って、内径が(ほぼ)変化しないように構成されている。すなわち、収納容器130は、内壁面が柱状(円柱状)になるように構成されている。
【0077】
本変形例では、攪拌脱泡装置は、ホルダ70(容器ホルダ)を有する。そして、収納容器130は、ホルダ70に保持されて、ホルダ70の回転に伴って回転(自転及び/又は公転)する。ところで、収納容器130が自転すると、側面132にはホルダ70の内壁面に向かう遠心力が作用するため、外側面がホルダ70の内壁面に押し付けられ、該内壁面の形状に倣って変形する。そのため、図7(B)に示すように、収納容器130の下部領域136は上部領域138側を向く傾斜面となり、上部領域138は下部領域136を向く傾斜面となる。言い換えると、側面132の内径が、高さ方向に沿って、下部領域136及び上部領域138の境界領域に近づくほど広くなるように、収納容器130を変形させることができる。
【0078】
このことから、本変形例でも、収納容器130を自転及び/又は公転させる工程で、材料Mを高さ方向に流動させることが可能になり、材料Mの精度の高い攪拌脱泡処理を実現することができる。
【0079】
(9)第4の変形例
以下、本実施の形態の第4の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図8(A)に示すように、外側面に切込み145が形成された収納容器140を含む。ここで、収納容器140は下部領域142及び上部領域144を含み、切込み145は、下部領域142及び上部領域144の境界領域に形成される。また、切込み145は、収納容器140の周方向に延びて、収納容器140の外側面を一周するように形成されている。なお、切込み145が形成された領域では、その他の領域と比べて、収納容器140の側面が薄くなる。そのため、収納容器140の側面における切込み145が形成された領域(下部領域142及び上部領域144の境界領域)を、薄肉部と称することができる。
【0080】
また、本変形例では、図8(B)に示すように、攪拌脱泡装置の容器ホルダの内壁面には、凸部46が形成されている。凸部46は、第1及び第2の領域36,38の境界領域37に形成されている。凸部46は、例えば、容器ホルダの内壁面を一周するリング状に形成することが可能である。ただし、複数の凸部46が、間隔をあけて配置された構造とすることも可能である。
【0081】
この攪拌脱泡装置では、収納容器140の外側面に切込み145が形成されていることから、図8(C)に示すように、切込み145(下部領域142及び上部領域144の境界領域)を起点に、収納容器140(その側面)を容易に変形させることができる。そのため、収納容器140を自転させることにより、確実に、収納容器140を変形させることができる。
【0082】
また、切込み145が形成されていることで、収納容器140の内壁面の屈曲部の曲率を大きくすることができる(直線的に屈曲させることができる)。そのため、材料Mを極めて狭い領域に集めることが可能になり、極めて微量の材料Mであっても精度よく攪拌脱泡することが可能である。
【0083】
更に、内壁面に凸部46が形成された容器ホルダを利用し、収納容器140の切込み145(下部領域142及び上部領域144の境界領域)が凸部46に接触するように収納容器140を変形させることにより、薄肉部が過剰に変形することを防止することができるため、収納容器140の破損を防止することが可能になる。
【0084】
(10)第5の変形例
以下、本実施の形態の第5の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図9(A)及び図9(B)に示す、容器ホルダ31を有する。なお、図9(B)は、図9(A)のIXB−IXB線断面図である。容器ホルダ31の内壁面は、自転軸線L2に沿って配列された第1及び第2の領域33,35を含む。ここで、第1の領域33は第2の領域35側を向く傾斜面となっており、第2の領域35は第1の領域33側を向く傾斜面となっている。そして、容器ホルダ31の内壁面における第1及び第2の領域33,35の境界領域には、複数の凸部39が形成されている。複数の凸部39は、第1及び第2の領域33,35の境界領域に沿って、間隔をあけて配置されている(図9(B)参照)。
【0085】
そして、本変形例では、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程の少なくとも一部で、収納容器100を変形させる。このとき、図9(B)に示すように、収納容器100の内壁面に、凸部39と重複する凸部109が形成されるように、収納容器100を変形させる。
【0086】
本変形例によると、収納容器100を自転及び/又は公転させる工程の少なくとも一部で、収納容器100の内壁面における材料Mが集まる領域(境界領域107)が凹凸面になる。そのため、さらに精度よく材料Mを攪拌することが可能になるとともに、収納容器100の第1及び第2の領域106,108の境界領域107に材料が入り込んでたまりこんでしまうことを防止することができる。
【0087】
(11)第6の変形例
以下、本実施の形態の第6の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、収納容器100を、下部領域106及び上部領域108の内壁面が傾斜面となるように変形した状態に維持するストッパ80を有する。ストッパ80は、例えば図10(A)に示す、容器ホルダ30の内壁面に形成された凸部82によって実現することができる。なお、凸部82は、容器ホルダ30の内壁面(第2の領域38)の上端に、該内壁面に対して直交するように設けられている。あるいは、ストッパ80は、図10(B)に示すように、容器ホルダ30に取り付けられる、収納容器100を押圧して変形させる押圧部材84によって実現することができる。なお、図10(B)に示す例では、押圧部材84は、容器ホルダ30の開口をふさぐ蓋体としての機能をあわせ有している。
【0088】
(12)第7の変形例
以下、本実施の形態の第7の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図11(A)及び図11(B)に示すように、収納容器150を含む。収納容器150は、下部領域152及び上部領域154を有する。そして、下部領域152の内壁面は、上部領域154側を向く傾斜面となっている。また、上部領域154の内壁面は、下部領域152側を向く傾斜面となっている。言い換えると、下部領域152は上部領域154に近づくほど内径が広くなるように構成されており、上部領域154は下部領域152に近づくほど内径が広くなるように構成されている。
【0089】
収納容器150は、変形不能に構成されている。すなわち、収納容器150は、図11(A)及び図11(B)に示すように、これを自転及び公転させる工程の前後(ホルダ70に保持される前後)で、形状が変化しないように構成されている。
【0090】
収納容器150を利用する場合であっても、材料Mを、収納容器150の高さ方向に流動させることが可能になるため、高精度の攪拌脱泡処理を実現することができる。
【0091】
なお、本変形例では、材料Mは、収納容器150に直接収納されている。ただし、他の変形例として、材料Mを、例えば収納容器100のような変形可能な内容器を介して、収納容器150に収納することも可能である。
【0092】
(13)第8の変形例
以下、本実施の形態の第1の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図12に示すように、回転体21を有する。回転体21は、その一部(容器ホルダ30を保持する部分)が屈曲している。詳しくは、回転体21は、公転軸線L1から離れるほど高さが高くなるように屈曲する屈曲部23を有する。そして、屈曲部23に、容器ホルダ30(自転軸32及び軸受け34)が取り付けられる。これにより、自転軸線L2が、公転軸線L1と所定の角度で交差するように設定された攪拌脱泡装置を提供することができる。なお、公転軸線L1と自転軸線L2とは、例えば45度で交差するように調整されていてもよい。また、本変形例では、丸ベルトは、図示しないアイドラプーリーにより屈曲した状態で、自転プーリー及び自転力付与プーリーの間にかけまわされている。この攪拌脱泡装置であっても、精度の高い攪拌脱泡処理を実現することができる。
【0093】
2.第2の実施の形態
以下、本発明を適用した第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0094】
(1)攪拌脱泡装置2
以下、本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2について説明する。図13〜図14(B)は、攪拌脱泡装置2の構成を説明するための図である。
【0095】
攪拌脱泡装置2は、図13に示すように、ホルダ70(容器ホルダ)を含む。そして、攪拌脱泡装置2では、ホルダ70は、第1の実施の形態で説明したとおり、自転軸線L2に沿って内径が変化しないように構成されている。また、本実施の形態では、ホルダ70は、材料Mが収納された収納容器200を保持する役割を果たす。以下、収納容器200について説明する。
【0096】
収納容器200は、図14(A)及び図14(B)に示すように、側面202及び底面204を含む。そして、収納容器200の内壁面205は、高さ方向(ホルダ70の自転軸線L2に沿った方向)に配列された下部領域206及び上部領域208を含む。ここで、下部領域206は、上部領域208側を向く傾斜面となっている。また、上部領域208は、下部領域206側を向く傾斜面となっている。言い換えると、下部領域206の内径は上部領域208に近づくほど大きくなり、上部領域208の内径は下部領域206に近づくほど大きくなる。
【0097】
また、収納容器200では、下部領域206の上端部によって定義される面が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜する平面となっている。また、上部領域208の下端部によって定義される面が、該仮想平面に対して傾斜する平面となっている。言い換えると、収納容器200では、下部領域206及び上部領域208の境界領域207によって定義される面が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜する平面となる。
【0098】
すなわち本実施の形態では、収納容器200の内壁面205は、自転軸線L2に対して所定の角度傾斜した仮想平面から、上方及び下方に向かうに従って、それぞれ自転軸線L2に近づくように延びている。また、収納容器200の内側面は、自転軸線L2を含む仮想平面で切断した断面において、それぞれ略直線的に延びている。
【0099】
なお、収納容器200の底面204は、自転軸線L2と直交する仮想平面と平行な面となっている。そのため、境界領域207と底面204との距離は、収納容器200の外周に沿って変化することになる。
【0100】
そして、本実施の形態では、下部領域206及び上部領域208の境界(境界領域207)が、収納容器200の内部空間(該内部空間を公転軸線L1及び自転軸線L2を含む仮想平面で切断した断面)のうち、公転軸線L1から最も離れた領域(最遠領域)となる。また、境界領域207によって定義される面が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜する平面となり、境界領域207の高さ位置が収納容器200の外周に沿って変化する。そのため、収納容器200の自転に伴って、最遠領域は、自転軸線L2に沿った方向(上下方向)に移動することになる(後述する図16(A)〜図16(D)参照)。
【0101】
収納容器200は、蓋体220を含む。蓋体220は、容器本体の開口をふさぐ内蓋222と、内蓋222の脱落を防止するための外蓋224とを含んで構成されている。蓋体220は、容器本体の内部空間を気密に密閉することが可能に構成されている。これにより、材料Mが収納容器200からこぼれ出ることを防止することができる。ただし、変形例として、容器本体の内部空間と外部空間とを連通する蓋体を利用することや、蓋体を含まない収納容器を利用することも可能である。攪拌脱泡装置2の運転速度と収納容器200の内壁面(特に上部領域208)の傾斜角、及び、材料Mの量を調整することで、蓋体を利用することなく、材料Mが収納容器200からこぼれ出ることを防止することが可能になる。
【0102】
なお、攪拌脱泡装置2では、図13に示すように、一つの回転体20に、2つのホルダ70(収納容器200)が取り付けられている。2つのホルダ70(収納容器200)は、公転軸線L1からの距離が等しくなるように配置されている。
【0103】
攪拌脱泡装置2のその他の部材は、攪拌脱泡装置1と共通のものを利用することができる。
【0104】
(2)攪拌脱泡装置2の動作
次に、本実施の形態に係る攪拌脱泡装置2の動作について説明する。図15〜図16(D)は、攪拌脱泡装置2の動作について説明するための図である。
【0105】
攪拌脱泡装置2では、材料Mが収納された収納容器200をホルダ70に保持させ、ホルダ70を回転(自転及び/又は公転)させることによって収納容器200を回転(自転及び/又は公転)させる。
【0106】
そして、収納容器200に収納された材料Mは、図15に示すように、主に公転の影響を受けて、収納容器200の内部空間のうち公転軸線L1から最も遠い領域(最遠領域)に集められ、該領域で収納容器200の内壁面に押し付けられる。ここで、下部領域206は、上部領域208側を向く傾斜面となっているため、最遠領域において下部領域206に押し付けられた材料Mには、上部領域208(境界領域207)側に向かう力が作用する。また、上部領域208は下部領域206側を向く傾斜面となっているため、最遠領域において上部領域208に押し付けられた材料Mには、下部領域206(境界領域207)側に向かう力が作用する。すなわち、収納容器200の内部空間(最遠領域)では、材料Mには、上下方向から、下部領域206及び上部領域208の境界領域207に向かう力が作用する。
【0107】
また、収納容器200では、境界領域207の内壁面によって定義される面が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜しており、境界領域207は、収納容器200の外周に沿って、高さ位置が変化する。そのため、収納容器200が自転(自転しながら公転)することにより、最遠領域の高さ位置が変化することになる。
【0108】
このことから、公転軸線L1と自転軸線L2とが平行になるように構成された攪拌脱泡装置1を利用した場合でも、収納容器200を自転させながら公転させることにより、材料Mを、収納容器200の上下方向(高さ方向)に流動させることができる。
【0109】
これを模式的な図で表現すると、図16(A)〜図16(D)で表すことができる。すなわち、収納容器200の内部空間の最遠領域は、収納容器200の自転に伴って、図16(A)に示す最も低い位置から、図16(B)に示す中央位置を経て図16(C)に示す最も高い位置に配置され、図16(D)に示す中央位置を経て図16(A)に示す最も低い位置に配置されることになる。そして、本実施の形態では、材料Mには自転軸線L2に沿って最遠領域に向かう力が作用するため、材料Mは、最遠領域において、境界領域207の最下領域に集った状態から(図16(A)参照)、境界領域207の中央領域を経て(図16(B)参照)、境界領域207の最上領域に集り(図16(C)参照)、境界領域207の中央領域を経て(図16(D)参照)、境界領域207の最下領域に集る(図16(A)参照)。この挙動を繰り返すことにより、材料Mが遠心力を受けながら上下方向に流動するため、材料Mの攪拌が可能になる。
【0110】
なお、攪拌脱泡装置2では、1つの回転体20に2つの容器ホルダ70が取り付けられており、それぞれの容器ホルダ70に収納容器200が保持される。本実施の形態では、2つの収納容器200を、内部空間の最遠領域の高さ位置が常に同じとなるように、容器ホルダ70に保持させる(図13及び図15参照)。これによると、攪拌脱泡装置2の動作を安定させることができる。
【0111】
(3)効果
以下、本実施の形態が奏する作用効果について説明する。
【0112】
本実施の形態によると、公転軸線L1と自転軸線L2とが平行になるように構成された攪拌脱泡装置1を利用した場合でも、収納容器200に収納された材料Mを上下に流動(対流)させることができるため、材料Mを精度よく攪拌脱泡することが可能になる。
【0113】
また、本実施の形態では、収納容器200は、ホルダ70に着脱可能に構成されている。そのため、収納容器200の交換が容易で、材料Mの性質に合致した内部形状を持つ収納容器200を利用することが可能になるため、材料Mを精度よく攪拌脱泡することができる。
【0114】
(4)第1の変形例
以下、本実施の形態の第1の変形例について説明する。図17(A)及び図17(B)は、本変形例に係る収納容器240について説明するための図である。収納容器240の内壁面245は、下部領域246及び上部領域248を有する。ここで、下部領域246は、上部領域248側を向く傾斜面となっている。そして、下部領域246の上端部によって定義される面は、自転軸線L2と直交する平面に対して傾斜している。また、上部領域248は、下部領域246側を向く傾斜面となっている。そして、上部領域248の下端部によって定義される面は、自転軸線L2と直交する平面に対して傾斜している。
【0115】
そして、本変形例では、下部領域246及び上部領域248の境界領域247は、所定の幅を有する構成となっている。言い換えると、収納容器240では、下部領域246の上端部及び上部領域248の下端部が、所定の間隔をあけて配置される。
【0116】
収納容器240を利用することで、境界領域247に材料Mが入り込み、凝集してしまうことを防止することが可能になり、材料Mの精度の高い処理が可能になる。
【0117】
(5)第2の変形例
以下、本実施の形態の第2の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図18(A)及び図18(B)に示す収納容器250を有する。収納容器250は、自転軸線L2に沿って配置される下部領域256及び上部領域258を含む。ここで、下部領域256の内壁面255は上部領域258を向く傾斜面であり、上部領域258の内壁面は下部領域256側を向く傾斜面である。そして、下部領域256は、その上端部によって定義される面の一部が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜する。また、上部領域258は、その下端部によって定義される面の一部が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜する。すなわち、収納容器250の下部領域256及び上部領域258の境界領域257は、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜する傾斜部252と、該仮想平面と平行に延びる平坦部254とを含む。
【0118】
収納容器250を利用する場合でも、材料Mを上下方向に流動させることができるため、材料Mの精度の高い攪拌脱泡を実現することができる。
【0119】
(6)第3の変形例
以下、本実施の形態の第3の変形例について説明する。本変形例では、攪拌脱泡装置は、図19に示すアダプタ260を有する。アダプタ260は、第1の実施の形態で説明したアダプタ72を保持することが可能に構成されている。アダプタ260は、また、アダプタ72が傾いた状態となるように、アダプタ72を保持する。アダプタ72を、アダプタ260を介してホルダ70に保持させることにより、アダプタ72の、第1及び第2の領域76,78の境界領域77によって定義される面を、自転軸線L2に対して傾斜させることができるため、最遠領域(境界領域77)の高さ位置が、ホルダ70の自転に伴って変化することになる。これにより、アダプタ72内で、材料Mを流動させることが可能になるため、材料Mの精度の高い攪拌脱泡処理が可能になる。
【0120】
なお、他の変形例として、アダプタ260は、収納容器200を保持するように構成することも可能である。収納容器200を、アダプタ260を介してホルダ70に保持させることにより、収納容器200の取り付け角度を調整することが可能になるため、材料Mを精度よく攪拌脱泡することが可能になる。
【0121】
(7)第4の変形例
以下、本実施の形態の第4の変形例について説明する。本変形例では、図20(A)及び図20(B)に示すように、収納容器200は、変形可能な内容器(収納容器100)を介して材料Mを収納する。言い換えると、本変形例では、収納容器200には、材料Mが収納された収納容器100が保持される。そして、収納容器200(ホルダ70)が自転(公転しながら自転)すると、収納容器100には遠心力が作用するため、側面102が収納容器200の内壁面に押し付けられて、該内壁面の形状に倣って変形する。すなわち、下部領域106の内壁面が上部領域108側を向く傾斜面となり、上部領域108の内壁面が下部領域106側を向く傾斜面となる。また、本変形例では、下部領域106及び上部領域108の境界領域107が収納容器200の境界領域207に押し付けられる。そのため、境界領域107によって定義される面が、自転軸線L2と直交する仮想平面に対して傾斜することになる。
【0122】
本変形例によっても、精度の高い攪拌脱泡処理を実現することが可能になるとともに、処理工程後の材料Mを容易に取り出すことが可能になる。
【0123】
なお、図20に示す例では、収納容器100には上蓋110が取り付けられているが、他の変形例として、上蓋110を有しない収納容器100を利用することも可能である。この場合、図21に示すように、蓋体230の内蓋232と収納容器200の開口の内壁面で収納容器100を挟み込む構造とすることができる。これにより、収納容器100の過度の変形や、材料Mがこぼれ出ることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図2】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図3】第1の実施例に係る攪拌脱泡装置の動作について説明するための図。
【図4】第1の実施例に係る攪拌脱泡方法について説明するための図。
【図5】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図6】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図7】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図8】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図9】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図10】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図11】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図12】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図13】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図14】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図15】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置の動作について説明するための図。
【図16】第2の実施例に係る攪拌脱泡装置の動作について説明するための図。
【図17】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図18】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図19】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図20】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【図21】変形例に係る攪拌脱泡装置について説明するための図。
【符号の説明】
【0125】
1…攪拌脱泡装置、 2…攪拌脱泡装置、 10…公転軸、 20…回転体、 21…回転体、 23…屈曲部、 25…バランス錘、 30…容器ホルダ、 31…容器ホルダ、 32…自転軸、 33…第1の領域、 34…軸受け、 35…第2の領域、 36…第1の領域、 37…境界領域、 38…第2の領域、 39…凸部、 40…内側面、 46…凸部、 50…駆動機構、 51…モータ、 52…自転駆動機構、 54…自転プーリー、 56…自転力付与プーリー、 58…ベルト、 70…ホルダ、 72…アダプタ、 75…内側面、 76…第1の領域、 77…境界領域、 78…第2の領域、 80…ストッパ、 82…凸部、 84…押圧部材、 100…収納容器、 102…側面、 104…底面、 106…下部領域、 107…境界領域、 108…上部領域、 109…凸部、 110…上蓋、 112…中蓋、 114…外蓋、 130…収納容器、 132…側面、 136…下部領域、 138…上部領域、 140…収納容器、 142…下部領域、 144…上部領域、 145…切込み、 150…収納容器、 152…下部領域、 154…上部領域、 200…収納容器、 202…側面、 204…底面、 205…内壁面、 206…下部領域、 207…境界領域、 208…上部領域、 220…蓋体、 222…内蓋、 224…外蓋、 230…蓋体、 232…内蓋、 240…収納容器、 245…内壁面、 246…下部領域、 247…境界領域、 248…上部領域、 250…収納容器、 252…傾斜部、 254…平坦部、 255…内壁面、 256…下部領域、 257…境界領域、 258…上部領域、 260…アダプタ、 L1…公転軸線、 L2…自転軸線、 M…材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回転軸線を中心に回転可能に構成された回転体と、
前記回転体における前記回転軸線から所定の間隔をあけた位置に自転可能に取り付けられた容器ホルダと、
前記容器ホルダに保持されて、前記容器ホルダの自転及び公転に伴って自転及び公転する、材料が収納された収納容器と、
を含み、
前記収納容器は、一組の下部領域及び上部領域を有し、
前記収納容器を自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記下部領域の内壁面は前記上部領域側を向く傾斜面となり、かつ、前記上部領域の内壁面は前記下部領域側を向く傾斜面となる攪拌脱泡装置。
【請求項2】
請求項1に記載の攪拌脱泡装置において、
前記下部領域及び前記上部領域の境界の内壁面が、前記収納容器の内部空間のうち、前記公転軸線から最も離れた最遠領域となる攪拌脱泡装置。
【請求項3】
請求項2に記載の攪拌脱泡装置において、
前記最遠領域は、前記収納容器の自転に伴って、前記自転軸線に沿った方向に移動する攪拌脱泡装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は、前記自転軸線に沿って配置される第1及び第2の領域を有し、
前記第1の領域は前記第2の領域側を向く傾斜面となっており、
前記第2の領域は前記第1の領域側を向く傾斜面となっている攪拌脱泡装置。
【請求項5】
請求項4に記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダは、ホルダ本体と、前記ホルダ本体に着脱可能に構成されたアダプタとを含み、
前記アダプタの内側面が、前記容器ホルダの内側面となる攪拌脱泡装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の攪拌脱泡装置において、
前記収納容器は変形可能に構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項7】
請求項6に記載の攪拌脱泡装置において、
前記収納容器の外側面における前記下部領域及び上部領域の境界領域には、前記収納容器の周方向に延びる切込みが形成されている攪拌脱泡装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の攪拌脱泡装置において、
前記収納容器を、前記下部領域及び上部領域の内壁面が傾斜面となるように変形した状態に維持するストッパをさらに含む攪拌脱泡装置。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は円柱形となっており、
前記収納容器は、
前記下部領域の厚みが前記上部領域に近づくほど薄くなるように、かつ、前記上部領域の厚みが前記下部領域に近づくほど薄くなるように、かつ、静止時において、内壁面が柱状となるように構成されており、
前記収納容器を自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記収納容器の外側面が前記容器ホルダの内側面に押し付けられることにより、前記下部領域及び前記上部領域の内壁面が傾斜面になるように変形する攪拌脱泡装置。
【請求項10】
請求項6から請求項9のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダを自転させることによって前記収納容器に作用する遠心力を利用して、前記下部領域及び上部領域の内壁面が傾斜面となるように前記収納容器を変形させる攪拌脱泡装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記収納容器を自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記収納容器の内壁面における前記下部領域及び上部領域の境界には、間隔をあけて配置される複数の凸部が形成される攪拌脱泡装置。
【請求項12】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記容器ホルダの内側面は円柱形となっており、
前記収納容器は変形不能に構成されている攪拌脱泡装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の攪拌脱泡装置において、
前記回転体を回転させる工程の最後に、前記収納容器を公転のみさせる攪拌脱泡装置。
【請求項14】
容器ホルダを自転及び公転させることが可能に構成された攪拌脱泡装置の前記容器ホルダに保持されて、前記容器ホルダの自転及び公転に伴って自転及び公転する、材料を収納するための収納容器であって、一組の下部領域及び上部領域を有し、
前記容器ホルダを自転及び公転させる工程の少なくとも一部で、前記下部領域の内壁面は前記上部領域側を向く傾斜面となり、かつ、前記上部領域の内壁面は前記下部領域側を向く傾斜面となる収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−202145(P2009−202145A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202502(P2008−202502)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(393030408)株式会社シンキー (34)
【Fターム(参考)】