攪拌装置及び培養槽
【課題】省電力で培養液を攪拌し、微生物の沈殿を防止できる攪拌装置及び培養槽を提供すること。
【解決手段】液中において下方から供給されるガスを保持可能な状態Aと、保持していたガスを外部に放出可能な状態Bとの間で変位可能な可動部材15と、前記可動部材15を上下動可能に支持する支持手段31、33、35、37と、前記可動部材15の上下方向における位置が所定の上限位置よりも上の場合に、前記可動部材15を前記状態Bとし、前記可動部材15の上下方向における位置が所定の下限位置よりも下の場合に、前記可動部材15を前記状態Aとする状態切替手段31、33、35、37と、を備え、前記可動部材15は、保持しているガスの量に応じて、液中を上昇又は下降することを特徴とする攪拌装置1。
【解決手段】液中において下方から供給されるガスを保持可能な状態Aと、保持していたガスを外部に放出可能な状態Bとの間で変位可能な可動部材15と、前記可動部材15を上下動可能に支持する支持手段31、33、35、37と、前記可動部材15の上下方向における位置が所定の上限位置よりも上の場合に、前記可動部材15を前記状態Bとし、前記可動部材15の上下方向における位置が所定の下限位置よりも下の場合に、前記可動部材15を前記状態Aとする状態切替手段31、33、35、37と、を備え、前記可動部材15は、保持しているガスの量に応じて、液中を上昇又は下降することを特徴とする攪拌装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物(例えば藻)の培養に用いられる攪拌装置、及び培養槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レースウェイ型培養槽が、微生物(例えば藻)の培養に用いられている。レースウェイ型培養槽は、回転するパドルを備えており、そのパドルの回転により培養液に一定方向の流れを生じさせ、微生物の沈殿を防止しようとしている。しかしながら、レースウェイ型培養槽の形状により、培養液の流れが緩やかになる部分が発生し、その部分では微生物が沈殿してしまうことがある。微生物の沈殿が生じると、微生物の培養が阻害され、育成が遅くなってしまう。この問題に関し、超音波を利用して沈殿防止を図る技術(特許文献1参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−298869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、継続的に超音波を発生させるために、多大な電力が必要になってしまう。本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、省電力で培養液を攪拌し、微生物の沈殿を防止できる攪拌装置及び培養槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の攪拌装置は、液中において下方から供給されるガスを保持可能な状態Aと、保持していたガスを外部に放出可能な状態Bとの間で変位可能な可動部材と、前記可動部材を上下動可能に支持する支持手段と、前記可動部材の上下方向における位置が所定の上限位置よりも上の場合に、前記可動部材を前記状態Bとし、前記可動部材の上下方向における位置が所定の下限位置よりも下の場合に、前記可動部材を前記状態Aとする状態切替手段とを備え、前記可動部材は、保持しているガスの量に応じて、液中を上昇又は下降する。
【0006】
本発明の攪拌装置において、可動部材は、状態Aにおいて、下方から供給されるガスを保持し、その浮力により上昇する動作と、状態Bにおいて、保持していたガスを外部に放出し、下降する動作と交互に繰り返す。そのことにより、培養液を攪拌し、微生物の沈殿を防止することができる。また、可動部材を上下に駆動する動力源を別途用意する必要が必ずしもなく、特許文献1の技術のように、超音波を用いる必要もない。そのため、省電力で攪拌を行うことができる。また、下方から供給されたガスは可動部材とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
【0007】
本発明の攪拌装置としては、例えば、以下の(a)、(b)のようなものが挙げられる。すなわち、
(a)前記可動部材は、相互の位置関係が可変な複数の単位部材から構成される。前記状態Aは、前記複数の単位部材により、下方から供給されるガスを保持可能な中空容器形状が形成された状態である。前記状態Bは、前記複数の単位部材間に、ガスを上方に逃がす隙間が存在する状態である。前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Bとなるように支持するとともに、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Aとなるように支持する前記支持手段である。
【0008】
この攪拌装置は、省電力で攪拌を行うことができる。また、下方から供給されたガスは可動部材とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
(b)前記可動部材は、液中において下方から供給されるガスを保持可能なガス保持部と、前記ガス保持部に保持された前記ガスを外部に放出可能なバルブとを備える。前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記バルブを開とし、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記バルブを閉とする。
【0009】
この攪拌装置は、省電力で攪拌を行うことができる。また、下方から供給されたガスは可動部材とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
【0010】
本発明の攪拌装置は、例えば、前記可動部材を、所定の位置で固定する固定手段を備えることができる。こうすることにより、例えば、可動部材を低い位置で固定し、可動部材で保持したガスで、液中にガスを供給する供給口(例えば散気管)の周囲を覆うことができる。その場合、ガス放出を止めた後でも、ガスの供給口に培養液が入り込んでしまうようなことがない。前記所定の位置としては、上記のように、可動部材で保持したガスで、液中にガスを供給する供給口(例えば散気管)の周囲を覆うことができる位置が好ましい。
【0011】
本発明の培養槽は、上述した攪拌装置を備えるものである。このような攪拌装置を備えることにより、省電力で攪拌を行い、微生物の沈殿を防止することができる。
培養槽としては、例えば、レースウェイ型培養槽が挙げられる。培養槽は、例えば、微生物(例えば藻)の培養に用いることができる。
【0012】
本発明において、前記上限位置と前記下限位置は同じ位置であってもよいし、異なる位置(例えば、上限位置の方が下限位置よりも高い)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】攪拌装置1を備える培養槽3を上方から見た図である。
【図2】攪拌装置1の構成を表す斜視図であり、(a)は可動部材15が状態Aにある場合を表し、(b)は可動部材15が状態Bにある場合を表す。
【図3】可動部材15の軸方向に直交する断面での断面図であり、(a)は可動部材15が状態Aにある場合を表し、(b)は可動部材15が状態Bにある場合を表す
【図4】固定器具39の説明図であり、(a)は固定器具39が取り付けられていない状態を表し、(b)は固定器具39が取り付けられている状態を表す。
【図5】可動部41の説明図であり、(a)は可動部41が立っている状態を表し、(b)は可動部41が倒された状態を表す。
【図6】ボルト47を用いた固定構造を表す説明図であり、(a)はボルト47を退避させた状態を表し、(b)はボルト47を奥まで締め込んだ状態を表す。
【図7】ガイドレール取付け部材31、33、35、37の構成を表す斜視図である。
【図8】(a)〜(e)は、可動部材15の動作を表す説明図である。
【図9】攪拌装置51の構成を表す斜視図である。
【図10】可動部材53の軸方向に直交する断面での断面図である。
【図11】(a)〜(e)は、可動部材53の動作を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
1.攪拌装置1及び培養槽3の構成
攪拌装置1及び培養槽3の構成を図1〜図7に基づいて説明する。図1は攪拌装置1を備える培養槽3を上方から見た図である。図2は攪拌装置1の構成を表す斜視図である。図3は後述する可動部材15の軸方向に直交する断面での断面図である。図4〜図6は、それぞれ、後述する固定器具39、可動部41、ボルト47を表す説明図である。図7は、後述するガイドレール取付け部材31、33、35、37の構成を表す斜視図である。
【0015】
培養槽3は、図1に示すように、攪拌装置1を除けば、周知のレースウェイ型培養槽である。培養槽3は、上方が開口した平底容器5と、その底面の中央部に立設された仕切り壁7と、平底容器5内の培養液に流れを生じさせるパドル9と、パドル9を回転駆動するモータ11とを備える。培養槽3は、微生物(例えば藻)の培養に用いることができる。培養槽3は、所定量の培養液が入れて使用される。
【0016】
また、培養槽3は、微生物が沈殿し易い2箇所(仕切り壁7の両端付近)に、それぞれ、攪拌装置1を備えている。さらに、培養槽3は、平底容器5の底面上であって、攪拌装置1の下側に、空気、又はCO2ガス(以下、単にガスとする)の泡を噴出する散気管13を備えている。散気管13には、外部の供給源(図示略)から、配管14を通して、ガスが供給される。
【0017】
攪拌装置1は、図2(a)、(b)に示すように、可動部材15と、平底容器5の底面5aに立設された直線棒状のガイドレール(支持手段、状態切替手段)17、19、21、23とから構成される。なお、ガイドレール17、19、21、23は、可動部材15の両側(図2における手前側と、背面側)にそれぞれ同様に設けられている。
【0018】
可動部材15は、それぞれ、中空円筒を4分割した形状を有する第1部25(単位部材)と、第2部(単位部材)27とから構成される。第1部25と第2部27とは、それらの端面25a、27bにおける扇の要に相当する部分にて、回動軸29により、回動可能に接続されている。よって、可動部材15は、図2(a)、図3(a)に示すような、第1部25と第2部27とが隙間無く組み合わされ、全体として、中空円筒を2分割した容器形状となる状態Aと、図2(b)、図3(b)に示すような、第1部25と第2部27の間に隙間28が生じた状態Bとのいずれにもなることができる。状態Aにおいて、図3(a)に示すように、第2部27の円周面27bのうち、第1部25側の部分は、第1部25の上に乗り上げている。可動部材15は、図2(a)、(b)に示すように、回動軸29が下側となり、円周面25b、27bが上側となる向きに取り付けられ、その下方は開放されている。
【0019】
可動部材15は、培養槽3中に所定量入れられた培養液中に浸漬されている。可動部材15は、状態Aの場合、下方の散気管13から供給されるガスをその内部(下側)に保持することができる。保持するガスの量が所定量以上となったとき、その浮力により、可動部材15には培養液中で上昇しようとする力が加わる。また、可動部材15は、状態Bの場合、その内部にガスを保持することができない。可動部材15は、状態Aにおいて内部にガスを保持してから、状態Bに変化すると、保持していたガスを第1部25と第2部27との隙間28から放出する。保持するガスの量が所定量以下となったとき、可動部材15には、その重さにより、培養液中で下降しようとする力が加わる。
【0020】
可動部材15の第1部25は、その両側の端面25aに、それぞれ、ガイドレール取付け部材31、33を備えている。ガイドレール取付け部材31、33は、図7に示すように、それぞれ、端面25aから水平方向に突出した円柱状部材であり、ガイドレール17、19を差し込み可能な上下方向の貫通孔31a、33aが設けられている。ガイドレール取付け部材31の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29の真上であって、第1部25の円周面25b付近の位置である。また、ガイドレール取付け部材33の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29と略同じ高さであり、円周面25b付近の位置である。ガイドレール取付け部材31、33は、第1部25に対し、図7に示す矢印方向に回転可能に取り付けられている。
【0021】
貫通孔31a、33aにガイドレール17、19を差込むことで、第1部25は、ガイドレール17、19により、上下方向に可動に支持される。ガイドレール17、19は、その軸方向が鉛直であり、それらの間隔は一定である。そのため、第1部25は、培養液中を、ガイドレール17、19に案内されて鉛直方向に上下動し、上下動するとき、その向き(角度)は変化しない。なお、ガイドレール取付け部材31、33は、図2における背面側の端面25aにも同様に設けられており、背面側のガイドレール17、19と同様に接続している。
【0022】
第2部27は、その両側の端面27aに、ガイドレール取付け部材35、37を備えている。ガイドレール取付け部材35、37は、ガイドレール取付け部材31、33と同様のものであり、ガイドレール21、23を差し込み可能な上下方向の貫通孔35a、37aが設けられている(図7参照)。ガイドレール取付け部材35の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29の真上であって、第2部27の円周面27b付近の位置である。また、ガイドレール取付け部材35の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29と略同じ高さであり、円周面27b付近の位置である。ガイドレール取付け部材35、37は、第2部27に対し、図7に示す矢印方向に回転可能に取り付けられている。
【0023】
貫通孔35a、37aにガイドレール21、23を差込むことで、第2部27は、ガイドレール21、23により、上下方向に可動に支持される。ガイドレール21は、上方にゆくほど、ガイドレール19との間隔が広がるように傾斜している。また、ガイドレール23は、上方にゆくほど、ガイドレール19との間隔が狭まるように傾斜している。ガイドレール21、23の傾斜は、第2部27が上下動するとき、第2部27の向き(角度)を後述するように変化させるためのものである。なお、ガイドレール取付け部材35、37は、図2における背面側の端面27aにも同様に設けられており、背面側のガイドレール21、23と同様に接続している。
【0024】
上記のように、第1部25は、ガイドレール17、19に案内されて、培養液中で上下動可能であり、第2部27は、ガイドレール21、23に案内されて、培養液中で上下動可能であるから、可動部材15は、ガイドレール17、19、21、23に案内されて、培養液中で上下動可能である。
【0025】
ガイドレール17、19、21、23のうちの1又は2以上には、図4(b)に示すように、固定器具39を取り付けることができる。固定器具39は円環状のゴムバンドであり、ガイドレール17、19、21、23に外挿することができる。固定器具39をガイドレール17、19、21、23のうち、ガイドレール取付け部材31、33、35、37よりも上側に取り付けると、ガイドレール取付け部材31、33、35、37は固定器具39よりも上には移動できなくなるため、可動部材15の上方向への動きを止めることができる。固定器具39の位置は、可動部材15を、後述する最下位置で固定できる位置とすることができる。図4(a)に示すように、ガイドレール17、19、21、23から固定器具39を取り去ることもできる。この場合、可動部材15の上方向への動きは制限されない。
【0026】
固定器具39を備える代わりに、ガイドレール17、19、21、23のうちの1又は2以上に、図5に示す可動部41を備えていてもよい。この可動部41は、ガイドレール17、19、21、23の外周面の一部を切り欠いた切欠部43に、回動軸45を介して回動可能に取り付けられている。可動部41における回動軸45の位置は、可動部41の長手方向における一方の端付近である。図5(a)に示すように、可動部41の長手方向が縦方向であれば、ガイドレール取付け部材31、33、35、37は可動部41を通過できるので、可動部材15の上下方向への動きは制限されない。一方、図5(b)に示すように、ガイドレール取付け部材31、33、35、37が可動部41よりも下にある状態で、可動部41の長手方向が横方向となるように可動部41を倒せば、ガイドレール取付け部材31、33、35、37は可動部41を通過できなくなるので、可動部材15の上方向への動きは制限される。可動部41の位置は、可動部材15を、後述する最下位置で固定できる位置とすることができる。
【0027】
また、固定器具39、可動部41に代えて、またはそれらに加えて、ガイドレール取付け部材31、33、35、37のうちの1又は2以上は、図6(a)、(b)に示すように、ボルト47をねじ込み可能なねじ穴49を備えるものであってもよい。この場合、ガイドレール17、19、21、23は、ねじ込まれたボルト47の先端を収容可能なボルト穴50を備える。ボルト47をねじ穴49にねじ込み、その先端をボルト穴50に指し込むことにより、ガイドレール取付け部材31、33、35、37(すなわち可動部材15)の位置は固定される。固定される可動部材15の位置は、後述する最下位置とすることができる。
【0028】
2.攪拌装置1の動作
攪拌装置1の動作を図8に基づいて説明する。図8(a)は、可動部材15の状態が状態Aであり、可動部材15の位置が、ガイドレール17、19、21、23に案内されて培養液中を上下動可能な範囲のうち、最も下の位置(以下、最下位置とする)にあり、可動部材15で保持するガスの量が少ない状態を表す。最下位置は、可動部材15が平底容器5の底面に当接する位置であってもよいし、ガイドレール17、19、21、23に設けられたストッパー(図示略)に、ガイドレール取付け部材31、33、35、37が当接する位置であってもよい。このとき、可動部材15には、その重さにより、下向きの力が加わっている。可動部材15が最下位置にあるとき、散気管13は、可動部材15の内部に収容される。すなわち、最下位置にある可動部材15内に十分ガスが溜まったとき、散気管13は、そのガス中にある。
【0029】
散気管13により供給されるガスが可動部材15の下側に徐々に溜まってゆき、そのガスの浮力が可動部材15の重さを超えると、図8(b)、(c)に示すように、可動部材15はガイドレール17、19、21、23に案内され、培養液中を上昇してゆく。このとき、第1部25は向き(角度)を変えずに、鉛直方向に上昇してゆくが、ガイドレール21、23が上記のように傾斜していることにより、可動部材15が上昇するにつれて、第2部27は、第1部25に対し、図2(b)、図3(b)に示す矢印の方向に回転してゆき、第1部25と第2部27とが重ね合わされた部分(図3(a)参照)は減少してゆく。
【0030】
さらに可動部材15が上昇し、ガイドレール17、19、21、23に案内されて上下動可能な範囲のうち、最も上の位置であって、培養液の液面近くの位置(以下、最上位置とする)に達すると、図8(d)に示すように、第1部25と第2部27との間に隙間28が生じ(すなわち可動部材15が状態Bとなり)、可動部材15の下側に保持されていたガスが、その隙間28から放出される。保持していたガスの量が所定量以下となると、可動部材15の重さが、ガスの浮力より大きくなり、図8(e)に示すように、可動部材15は培養液中を下降してゆく。このとき、可動部材15の下降につれて、可動部材15の状態は、状態Bから状態Aに徐々に変化してゆく。そして、図8(a)の状態に戻る。
【0031】
可動部材15は、以上の図8(a)〜(e)の変化を周期的に繰り返して、最下位置と最上位置との間を繰り返し上下動する。その結果として、培養槽3内の培養液が攪拌される。
【0032】
可動部材15が最下位置にあるときに、ガイドレール17、19、21、23のうちの1つ又は2以上において、図4(b)に示すように固定器具39を取り付け、可動部材15の位置を最下位置に固定することができる。この場合、可動部材15は上昇することなく、その内部(下側)にガスが溜まってゆき、やがて、散気管13の周囲が、可動部材15に保持されたガスで覆われる。
【0033】
3.攪拌装置1が奏する効果
(1)攪拌装置1は、可動部材15を上下に駆動する動力源を別途用意する必要がない。また、従来技術のように、超音波を用いる必要がない。そのため、省電力で培養液の攪拌を行うことができる。
(2)攪拌装置1は、可動部材15を最下位置で固定し、その内部(下側)に溜めたガスで、散気管13の周囲を覆うことができる。そのため、散気管13からのガス放出を止めた後でも、散気管13内に液体が入り込んでしまうようなことがない。
(3)散気管13から放出されたガスは可動部材15とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
<第2の実施形態>
1.攪拌装置51の構成
攪拌装置51の構成を図9〜図10に基づいて説明する。図9は攪拌装置51の構成を表す斜視図である。図10は後述する可動部材53の軸方向に直交する断面での断面図である。
【0034】
攪拌装置51は、前記第1の実施形態の培養槽3において、攪拌装置1に置換して設置できる。攪拌装置51の下側には、ガスの泡を噴出する散気管13を備えている。
攪拌装置51は、図9に示すように、可動部材53と、平底容器5の底面5aに立設された直線棒状のガイドレール(支持手段)55、57とから構成される。なお、ガイドレール55、57は、可動部材53の両側(図9における手前側と、背面側)にそれぞれ同様に設けられている。
【0035】
可動部材53は、中空円筒を2分割した形状を有し、その端面53aが側面となり、円周面53bが上側となるように配置される。可動部材53は、その円周面53bのうち、最も高い部分に、開閉バルブ59(状態切替手段)と、その開閉バルブ59を駆動する図示しないアクチュエータとを備える。
【0036】
可動部材53は、培養槽3中に所定量入れられた培養液中に浸漬されている。可動部材53は、開閉バルブ59が閉の場合、下方の散気管13から供給されるガスをその内部(下側)に保持することができる。保持するガスの量が所定量以上となったとき、その浮力により、可動部材53には培養液中を上昇しようとする力が加わる。また、可動部材53は、開閉バルブ59が開の場合、そこからガスが放出されるので、その内部にガスを保持することができない。可動部材53は、開閉バルブ59が閉の状態において内部にガスを保持してから、開閉バルブ59を開にすると、保持していたガスを開閉バルブ59から放出する。保持するガスの量が所定量以下となったとき、可動部材53には、その重さにより、培養液中を下降しようとする力が加わる。
【0037】
可動部材53は、その両側の端面53aに、それぞれ、ガイドレール取付け部材61、63を備えている。ガイドレール取付け部材61、63の構造は前記第1の実施形態におけるガイドレール取付け部材31、33、35、37と同様であり、それぞれ、ガイドレール55、57を差し込み可能な上下方向の貫通孔61a、63aが設けられている。ガイドレール取付け部材61、63の位置は、端面53aの左右方向における両端付近である。
【0038】
貫通孔61a、63aにガイドレール55、57を差込むことで、可動部材53は、ガイドレール55、57により、上下方向に可動に支持される。ガイドレール55、57は、その軸方向が鉛直であり、それらの間隔は一定である。そのため、可動部材53は、ガイドレール55、57に案内されて鉛直方向に上下動する。なお、ガイドレール取付け部材61、63は、図9における背面側の端面53aにも同様に設けられており、背面側のガイドレール55、57と同様に接続している。
【0039】
ガイドレール55の下端付近には、最下位置センサ65が取り付けられており、ガイドレール55の上端付近には、最上位置センサ67が取り付けられている。最下位置センサ65は、可動部材53が最下位置にあるとき、ガイドレール取付け部材61の接近を感知するセンサである。すなわち、最下位置センサ65は、可動部材53が最下位置にあることを検知するセンサである。可動部材53が最下位置にあることを最下位置センサ65が、検知すると、最下位置センサ65は所定の信号を、図示しない信号線を介して、上述したアクチュエータに出力する。その信号を受信したアクチュエータは、開閉バルブ59を閉じる。
【0040】
最上位置センサ67は、可動部材53が最上位置にあるとき、ガイドレール取付け部材61の接近を感知するセンサである。すなわち、最上位置センサ67は、可動部材53が最上位置にあることを検知するセンサである。可動部材53が最上位置にあることを最上位置センサ67が、検知すると、最上位置センサ67は所定の信号を、図示しない信号線を介して、上述したアクチュエータに出力する。その信号を受信したアクチュエータは、開閉バルブ59を開ける。
【0041】
2.攪拌装置51の動作
攪拌装置51の動作を図11に基づいて説明する。図11(a)は、開閉バルブ59が閉であり、可動部材53の位置が、ガイドレール55、57に案内されて培養液中を上下動可能な範囲のうち、最も下の位置(以下、最下位置とする)にあり、可動部材53で保持するガスの量が少ない状態を表す。最下位置は、可動部材53が平底容器5の底面に当接する位置であってもよいし、最下位置センサ65に、ガイドレール取付け部材61が当接する位置であってもよい。このとき、可動部材53には、その重さにより、下向きの力が加わっている。可動部材53が最下位置にあるとき、散気管13は、可動部材53の内部に収容される。すなわち、最下位置にある可動部材53内に十分ガスが溜まったとき、散気管13は、そのガス中にある。
【0042】
散気管13により供給されるガスが可動部材53の下側に徐々に溜まってゆき、そのガスの浮力が可動部材53の重さを超えると、図11(b)、(c)に示すように、可動部材53はガイドレール55、57に案内され、培養液中を上昇してゆく。
【0043】
さらに可動部材53が上昇し、液面近くの位置(以下、最上位置とする)に達すると、最上位置センサ67の検出に基づき、開閉バルブ59が開けられる。すると、図12(d)に示すように、可動部材15の下側に保持されていたガスが、開閉バルブ59から放出される。保持していたガスの量が所定量以下となると、可動部材53の重さが、ガスの浮力より大きくなり、図11(e)に示すように、可動部材53は下降してゆく。そして、可動部材53は最下位置に達し、最上位置センサ67の検出に基づき、開閉バルブ59は閉じられ、図11(a)の状態に戻る。
【0044】
可動部材53は、以上の図11(a)〜(e)の変化を周期的に繰り返し、最下位置と最上位置との間を繰り返し上下動する。その結果として、培養槽3内の培養液が攪拌される。
【0045】
可動部材53が最下位置にあるときに、ガイドレール55、57のうちの1つ又は2以上において、図4(b)に示すように固定器具39を取り付け、可動部材53の位置を最下位置に固定することができる。この場合、可動部材53は上昇することなく、その内部(下側)にガスが溜まってゆき、やがて、散気管13の周囲が、可動部材53に保持されたガスで覆われる。
【0046】
3.攪拌装置51が奏する効果
(1)攪拌装置51は、可動部材53を上下に駆動する動力源を別途用意する必要がない。また、従来技術のように、超音波を用いる必要がない。そのため、省電力で培養液の攪拌を行うことができる。
(2)攪拌装置51は、可動部材53を最下位置で固定し、その内部(下側)に溜めたガスで、散気管13の周囲を覆うことができる。そのため、散気管13からのガス放出を止めた後でも、散気管13内に液体が入り込んでしまうようなことがない。
(3)散気管13から放出されたガスは可動部材53とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
【0047】
尚、本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記第1の実施形態において、第1部25、第2部27の形状は、上述したものには限定されず、状態Aにおいて、下方から供給されるガスを保持できるものであれば、任意に選択できる。例えば、下方が開口した任意の容器形状を、任意の分け方で2つに分けたものを、第1部25、第2部27とすることができる。
【0048】
また、前記第1の実施形態において、上昇している可動部材15の状態が状態Aから状態Bに変化する位置(あるいは下降している可動部材15の状態が状態Bから状態Aに変化する位置)は、最上位置であってもよいし、最上位置から所定量だけ低い位置であってもよい。
【0049】
また、前記第1の実施形態において、状態Aから状態Bに移行するときの第1部25、第2部27の位置関係の変化は上述したものには限定されない。例えば、状態Aから状態Bに移行するとき、第1部25から見て、第2部27が一定方向(例えば、横方向、上方向)にスライドして離れてゆくようにしてもよい。そのような動作は、ガイドレール17、19、21、23の形状、設置方向を調整することで実現できる。
【0050】
また、前記第1の実施形態において、可動部材15の移動方向は鉛直方向には限定されず、鉛直方向に対して傾斜した方向であってもよい。
前記第2の実施形態において、可動部材53の形状は、上述したものには限定されず、開閉バルブ59が閉の状態において、下方から供給されるガスを保持できるものであれば、任意に選択できる。例えば、下方が開口した任意の形状の容器を、可動部材53とすることができる。
【0051】
また、前記第2の実施形態において、開閉バルブ59を開とするタイミングは、可動部材53が最上位置に来たタイミングに限定されず、最上位置よりも所定距離だけ低い位置に来たタイミングであってもよいし、可動部材53が最上位置に来てから所定時間が経過したタイミングであってもよい。
【0052】
また、前記第2の実施形態において、開閉バルブ59を閉とするタイミングは、可動部材53が最下位置に来たタイミングに限定されず、最下位置よりも所定距離だけ高い位置に来たタイミングであってもよいし、可動部材53が最下位置に来てから所定時間が経過したタイミングであってもよい。
【0053】
前記第1及び第2の実施形態において、散気管13は、常時、同じ流量でガスを供給するものであってもよいし、可動部材15(53)が下降しているときは、それが上昇しているときよりも、ガスの流量を減らしてもよい。また、可動部材15(53)が下降しているときは、ガスの供給を停止してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・攪拌装置、3・・・培養槽、5・・・平底容器、5a・・・底面、
7・・・仕切り壁、9・・・パドル、11・・・モータ、13・・・散気管、
15・・・可動部材、17、19、21、23・・・ガイドレール、28・・・隙間、
25・・・第1部、25a・・・端面、25b・・・円周面、27・・・第2部、
27a・・・端面、27b・・・円周面、29・・・回動軸、
31、33、35、37・・・ガイドレール取付け部材、
31a、33a、35a、37a・・・貫通孔、39・・・固定器具、
41・・・可動部、43・・・切欠部、45・・・回動軸、47・・・ボルト、
49・・・ねじ穴、50・・・ボルト穴、51・・・攪拌装置、53・・・可動部材、
53a・・・端面、53b・・・円周面、55、57・・・ガイドレール、
59・・・開閉バルブ、61、63・・・ガイドレール取付け部材、
61a、63a・・・貫通孔、65・・・最下位置センサ、67・・・最上位置センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物(例えば藻)の培養に用いられる攪拌装置、及び培養槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レースウェイ型培養槽が、微生物(例えば藻)の培養に用いられている。レースウェイ型培養槽は、回転するパドルを備えており、そのパドルの回転により培養液に一定方向の流れを生じさせ、微生物の沈殿を防止しようとしている。しかしながら、レースウェイ型培養槽の形状により、培養液の流れが緩やかになる部分が発生し、その部分では微生物が沈殿してしまうことがある。微生物の沈殿が生じると、微生物の培養が阻害され、育成が遅くなってしまう。この問題に関し、超音波を利用して沈殿防止を図る技術(特許文献1参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−298869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、継続的に超音波を発生させるために、多大な電力が必要になってしまう。本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、省電力で培養液を攪拌し、微生物の沈殿を防止できる攪拌装置及び培養槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の攪拌装置は、液中において下方から供給されるガスを保持可能な状態Aと、保持していたガスを外部に放出可能な状態Bとの間で変位可能な可動部材と、前記可動部材を上下動可能に支持する支持手段と、前記可動部材の上下方向における位置が所定の上限位置よりも上の場合に、前記可動部材を前記状態Bとし、前記可動部材の上下方向における位置が所定の下限位置よりも下の場合に、前記可動部材を前記状態Aとする状態切替手段とを備え、前記可動部材は、保持しているガスの量に応じて、液中を上昇又は下降する。
【0006】
本発明の攪拌装置において、可動部材は、状態Aにおいて、下方から供給されるガスを保持し、その浮力により上昇する動作と、状態Bにおいて、保持していたガスを外部に放出し、下降する動作と交互に繰り返す。そのことにより、培養液を攪拌し、微生物の沈殿を防止することができる。また、可動部材を上下に駆動する動力源を別途用意する必要が必ずしもなく、特許文献1の技術のように、超音波を用いる必要もない。そのため、省電力で攪拌を行うことができる。また、下方から供給されたガスは可動部材とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
【0007】
本発明の攪拌装置としては、例えば、以下の(a)、(b)のようなものが挙げられる。すなわち、
(a)前記可動部材は、相互の位置関係が可変な複数の単位部材から構成される。前記状態Aは、前記複数の単位部材により、下方から供給されるガスを保持可能な中空容器形状が形成された状態である。前記状態Bは、前記複数の単位部材間に、ガスを上方に逃がす隙間が存在する状態である。前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Bとなるように支持するとともに、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Aとなるように支持する前記支持手段である。
【0008】
この攪拌装置は、省電力で攪拌を行うことができる。また、下方から供給されたガスは可動部材とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
(b)前記可動部材は、液中において下方から供給されるガスを保持可能なガス保持部と、前記ガス保持部に保持された前記ガスを外部に放出可能なバルブとを備える。前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記バルブを開とし、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記バルブを閉とする。
【0009】
この攪拌装置は、省電力で攪拌を行うことができる。また、下方から供給されたガスは可動部材とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
【0010】
本発明の攪拌装置は、例えば、前記可動部材を、所定の位置で固定する固定手段を備えることができる。こうすることにより、例えば、可動部材を低い位置で固定し、可動部材で保持したガスで、液中にガスを供給する供給口(例えば散気管)の周囲を覆うことができる。その場合、ガス放出を止めた後でも、ガスの供給口に培養液が入り込んでしまうようなことがない。前記所定の位置としては、上記のように、可動部材で保持したガスで、液中にガスを供給する供給口(例えば散気管)の周囲を覆うことができる位置が好ましい。
【0011】
本発明の培養槽は、上述した攪拌装置を備えるものである。このような攪拌装置を備えることにより、省電力で攪拌を行い、微生物の沈殿を防止することができる。
培養槽としては、例えば、レースウェイ型培養槽が挙げられる。培養槽は、例えば、微生物(例えば藻)の培養に用いることができる。
【0012】
本発明において、前記上限位置と前記下限位置は同じ位置であってもよいし、異なる位置(例えば、上限位置の方が下限位置よりも高い)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】攪拌装置1を備える培養槽3を上方から見た図である。
【図2】攪拌装置1の構成を表す斜視図であり、(a)は可動部材15が状態Aにある場合を表し、(b)は可動部材15が状態Bにある場合を表す。
【図3】可動部材15の軸方向に直交する断面での断面図であり、(a)は可動部材15が状態Aにある場合を表し、(b)は可動部材15が状態Bにある場合を表す
【図4】固定器具39の説明図であり、(a)は固定器具39が取り付けられていない状態を表し、(b)は固定器具39が取り付けられている状態を表す。
【図5】可動部41の説明図であり、(a)は可動部41が立っている状態を表し、(b)は可動部41が倒された状態を表す。
【図6】ボルト47を用いた固定構造を表す説明図であり、(a)はボルト47を退避させた状態を表し、(b)はボルト47を奥まで締め込んだ状態を表す。
【図7】ガイドレール取付け部材31、33、35、37の構成を表す斜視図である。
【図8】(a)〜(e)は、可動部材15の動作を表す説明図である。
【図9】攪拌装置51の構成を表す斜視図である。
【図10】可動部材53の軸方向に直交する断面での断面図である。
【図11】(a)〜(e)は、可動部材53の動作を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
1.攪拌装置1及び培養槽3の構成
攪拌装置1及び培養槽3の構成を図1〜図7に基づいて説明する。図1は攪拌装置1を備える培養槽3を上方から見た図である。図2は攪拌装置1の構成を表す斜視図である。図3は後述する可動部材15の軸方向に直交する断面での断面図である。図4〜図6は、それぞれ、後述する固定器具39、可動部41、ボルト47を表す説明図である。図7は、後述するガイドレール取付け部材31、33、35、37の構成を表す斜視図である。
【0015】
培養槽3は、図1に示すように、攪拌装置1を除けば、周知のレースウェイ型培養槽である。培養槽3は、上方が開口した平底容器5と、その底面の中央部に立設された仕切り壁7と、平底容器5内の培養液に流れを生じさせるパドル9と、パドル9を回転駆動するモータ11とを備える。培養槽3は、微生物(例えば藻)の培養に用いることができる。培養槽3は、所定量の培養液が入れて使用される。
【0016】
また、培養槽3は、微生物が沈殿し易い2箇所(仕切り壁7の両端付近)に、それぞれ、攪拌装置1を備えている。さらに、培養槽3は、平底容器5の底面上であって、攪拌装置1の下側に、空気、又はCO2ガス(以下、単にガスとする)の泡を噴出する散気管13を備えている。散気管13には、外部の供給源(図示略)から、配管14を通して、ガスが供給される。
【0017】
攪拌装置1は、図2(a)、(b)に示すように、可動部材15と、平底容器5の底面5aに立設された直線棒状のガイドレール(支持手段、状態切替手段)17、19、21、23とから構成される。なお、ガイドレール17、19、21、23は、可動部材15の両側(図2における手前側と、背面側)にそれぞれ同様に設けられている。
【0018】
可動部材15は、それぞれ、中空円筒を4分割した形状を有する第1部25(単位部材)と、第2部(単位部材)27とから構成される。第1部25と第2部27とは、それらの端面25a、27bにおける扇の要に相当する部分にて、回動軸29により、回動可能に接続されている。よって、可動部材15は、図2(a)、図3(a)に示すような、第1部25と第2部27とが隙間無く組み合わされ、全体として、中空円筒を2分割した容器形状となる状態Aと、図2(b)、図3(b)に示すような、第1部25と第2部27の間に隙間28が生じた状態Bとのいずれにもなることができる。状態Aにおいて、図3(a)に示すように、第2部27の円周面27bのうち、第1部25側の部分は、第1部25の上に乗り上げている。可動部材15は、図2(a)、(b)に示すように、回動軸29が下側となり、円周面25b、27bが上側となる向きに取り付けられ、その下方は開放されている。
【0019】
可動部材15は、培養槽3中に所定量入れられた培養液中に浸漬されている。可動部材15は、状態Aの場合、下方の散気管13から供給されるガスをその内部(下側)に保持することができる。保持するガスの量が所定量以上となったとき、その浮力により、可動部材15には培養液中で上昇しようとする力が加わる。また、可動部材15は、状態Bの場合、その内部にガスを保持することができない。可動部材15は、状態Aにおいて内部にガスを保持してから、状態Bに変化すると、保持していたガスを第1部25と第2部27との隙間28から放出する。保持するガスの量が所定量以下となったとき、可動部材15には、その重さにより、培養液中で下降しようとする力が加わる。
【0020】
可動部材15の第1部25は、その両側の端面25aに、それぞれ、ガイドレール取付け部材31、33を備えている。ガイドレール取付け部材31、33は、図7に示すように、それぞれ、端面25aから水平方向に突出した円柱状部材であり、ガイドレール17、19を差し込み可能な上下方向の貫通孔31a、33aが設けられている。ガイドレール取付け部材31の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29の真上であって、第1部25の円周面25b付近の位置である。また、ガイドレール取付け部材33の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29と略同じ高さであり、円周面25b付近の位置である。ガイドレール取付け部材31、33は、第1部25に対し、図7に示す矢印方向に回転可能に取り付けられている。
【0021】
貫通孔31a、33aにガイドレール17、19を差込むことで、第1部25は、ガイドレール17、19により、上下方向に可動に支持される。ガイドレール17、19は、その軸方向が鉛直であり、それらの間隔は一定である。そのため、第1部25は、培養液中を、ガイドレール17、19に案内されて鉛直方向に上下動し、上下動するとき、その向き(角度)は変化しない。なお、ガイドレール取付け部材31、33は、図2における背面側の端面25aにも同様に設けられており、背面側のガイドレール17、19と同様に接続している。
【0022】
第2部27は、その両側の端面27aに、ガイドレール取付け部材35、37を備えている。ガイドレール取付け部材35、37は、ガイドレール取付け部材31、33と同様のものであり、ガイドレール21、23を差し込み可能な上下方向の貫通孔35a、37aが設けられている(図7参照)。ガイドレール取付け部材35の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29の真上であって、第2部27の円周面27b付近の位置である。また、ガイドレール取付け部材35の位置は、図2(a)に示す状態において、回動軸29と略同じ高さであり、円周面27b付近の位置である。ガイドレール取付け部材35、37は、第2部27に対し、図7に示す矢印方向に回転可能に取り付けられている。
【0023】
貫通孔35a、37aにガイドレール21、23を差込むことで、第2部27は、ガイドレール21、23により、上下方向に可動に支持される。ガイドレール21は、上方にゆくほど、ガイドレール19との間隔が広がるように傾斜している。また、ガイドレール23は、上方にゆくほど、ガイドレール19との間隔が狭まるように傾斜している。ガイドレール21、23の傾斜は、第2部27が上下動するとき、第2部27の向き(角度)を後述するように変化させるためのものである。なお、ガイドレール取付け部材35、37は、図2における背面側の端面27aにも同様に設けられており、背面側のガイドレール21、23と同様に接続している。
【0024】
上記のように、第1部25は、ガイドレール17、19に案内されて、培養液中で上下動可能であり、第2部27は、ガイドレール21、23に案内されて、培養液中で上下動可能であるから、可動部材15は、ガイドレール17、19、21、23に案内されて、培養液中で上下動可能である。
【0025】
ガイドレール17、19、21、23のうちの1又は2以上には、図4(b)に示すように、固定器具39を取り付けることができる。固定器具39は円環状のゴムバンドであり、ガイドレール17、19、21、23に外挿することができる。固定器具39をガイドレール17、19、21、23のうち、ガイドレール取付け部材31、33、35、37よりも上側に取り付けると、ガイドレール取付け部材31、33、35、37は固定器具39よりも上には移動できなくなるため、可動部材15の上方向への動きを止めることができる。固定器具39の位置は、可動部材15を、後述する最下位置で固定できる位置とすることができる。図4(a)に示すように、ガイドレール17、19、21、23から固定器具39を取り去ることもできる。この場合、可動部材15の上方向への動きは制限されない。
【0026】
固定器具39を備える代わりに、ガイドレール17、19、21、23のうちの1又は2以上に、図5に示す可動部41を備えていてもよい。この可動部41は、ガイドレール17、19、21、23の外周面の一部を切り欠いた切欠部43に、回動軸45を介して回動可能に取り付けられている。可動部41における回動軸45の位置は、可動部41の長手方向における一方の端付近である。図5(a)に示すように、可動部41の長手方向が縦方向であれば、ガイドレール取付け部材31、33、35、37は可動部41を通過できるので、可動部材15の上下方向への動きは制限されない。一方、図5(b)に示すように、ガイドレール取付け部材31、33、35、37が可動部41よりも下にある状態で、可動部41の長手方向が横方向となるように可動部41を倒せば、ガイドレール取付け部材31、33、35、37は可動部41を通過できなくなるので、可動部材15の上方向への動きは制限される。可動部41の位置は、可動部材15を、後述する最下位置で固定できる位置とすることができる。
【0027】
また、固定器具39、可動部41に代えて、またはそれらに加えて、ガイドレール取付け部材31、33、35、37のうちの1又は2以上は、図6(a)、(b)に示すように、ボルト47をねじ込み可能なねじ穴49を備えるものであってもよい。この場合、ガイドレール17、19、21、23は、ねじ込まれたボルト47の先端を収容可能なボルト穴50を備える。ボルト47をねじ穴49にねじ込み、その先端をボルト穴50に指し込むことにより、ガイドレール取付け部材31、33、35、37(すなわち可動部材15)の位置は固定される。固定される可動部材15の位置は、後述する最下位置とすることができる。
【0028】
2.攪拌装置1の動作
攪拌装置1の動作を図8に基づいて説明する。図8(a)は、可動部材15の状態が状態Aであり、可動部材15の位置が、ガイドレール17、19、21、23に案内されて培養液中を上下動可能な範囲のうち、最も下の位置(以下、最下位置とする)にあり、可動部材15で保持するガスの量が少ない状態を表す。最下位置は、可動部材15が平底容器5の底面に当接する位置であってもよいし、ガイドレール17、19、21、23に設けられたストッパー(図示略)に、ガイドレール取付け部材31、33、35、37が当接する位置であってもよい。このとき、可動部材15には、その重さにより、下向きの力が加わっている。可動部材15が最下位置にあるとき、散気管13は、可動部材15の内部に収容される。すなわち、最下位置にある可動部材15内に十分ガスが溜まったとき、散気管13は、そのガス中にある。
【0029】
散気管13により供給されるガスが可動部材15の下側に徐々に溜まってゆき、そのガスの浮力が可動部材15の重さを超えると、図8(b)、(c)に示すように、可動部材15はガイドレール17、19、21、23に案内され、培養液中を上昇してゆく。このとき、第1部25は向き(角度)を変えずに、鉛直方向に上昇してゆくが、ガイドレール21、23が上記のように傾斜していることにより、可動部材15が上昇するにつれて、第2部27は、第1部25に対し、図2(b)、図3(b)に示す矢印の方向に回転してゆき、第1部25と第2部27とが重ね合わされた部分(図3(a)参照)は減少してゆく。
【0030】
さらに可動部材15が上昇し、ガイドレール17、19、21、23に案内されて上下動可能な範囲のうち、最も上の位置であって、培養液の液面近くの位置(以下、最上位置とする)に達すると、図8(d)に示すように、第1部25と第2部27との間に隙間28が生じ(すなわち可動部材15が状態Bとなり)、可動部材15の下側に保持されていたガスが、その隙間28から放出される。保持していたガスの量が所定量以下となると、可動部材15の重さが、ガスの浮力より大きくなり、図8(e)に示すように、可動部材15は培養液中を下降してゆく。このとき、可動部材15の下降につれて、可動部材15の状態は、状態Bから状態Aに徐々に変化してゆく。そして、図8(a)の状態に戻る。
【0031】
可動部材15は、以上の図8(a)〜(e)の変化を周期的に繰り返して、最下位置と最上位置との間を繰り返し上下動する。その結果として、培養槽3内の培養液が攪拌される。
【0032】
可動部材15が最下位置にあるときに、ガイドレール17、19、21、23のうちの1つ又は2以上において、図4(b)に示すように固定器具39を取り付け、可動部材15の位置を最下位置に固定することができる。この場合、可動部材15は上昇することなく、その内部(下側)にガスが溜まってゆき、やがて、散気管13の周囲が、可動部材15に保持されたガスで覆われる。
【0033】
3.攪拌装置1が奏する効果
(1)攪拌装置1は、可動部材15を上下に駆動する動力源を別途用意する必要がない。また、従来技術のように、超音波を用いる必要がない。そのため、省電力で培養液の攪拌を行うことができる。
(2)攪拌装置1は、可動部材15を最下位置で固定し、その内部(下側)に溜めたガスで、散気管13の周囲を覆うことができる。そのため、散気管13からのガス放出を止めた後でも、散気管13内に液体が入り込んでしまうようなことがない。
(3)散気管13から放出されたガスは可動部材15とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
<第2の実施形態>
1.攪拌装置51の構成
攪拌装置51の構成を図9〜図10に基づいて説明する。図9は攪拌装置51の構成を表す斜視図である。図10は後述する可動部材53の軸方向に直交する断面での断面図である。
【0034】
攪拌装置51は、前記第1の実施形態の培養槽3において、攪拌装置1に置換して設置できる。攪拌装置51の下側には、ガスの泡を噴出する散気管13を備えている。
攪拌装置51は、図9に示すように、可動部材53と、平底容器5の底面5aに立設された直線棒状のガイドレール(支持手段)55、57とから構成される。なお、ガイドレール55、57は、可動部材53の両側(図9における手前側と、背面側)にそれぞれ同様に設けられている。
【0035】
可動部材53は、中空円筒を2分割した形状を有し、その端面53aが側面となり、円周面53bが上側となるように配置される。可動部材53は、その円周面53bのうち、最も高い部分に、開閉バルブ59(状態切替手段)と、その開閉バルブ59を駆動する図示しないアクチュエータとを備える。
【0036】
可動部材53は、培養槽3中に所定量入れられた培養液中に浸漬されている。可動部材53は、開閉バルブ59が閉の場合、下方の散気管13から供給されるガスをその内部(下側)に保持することができる。保持するガスの量が所定量以上となったとき、その浮力により、可動部材53には培養液中を上昇しようとする力が加わる。また、可動部材53は、開閉バルブ59が開の場合、そこからガスが放出されるので、その内部にガスを保持することができない。可動部材53は、開閉バルブ59が閉の状態において内部にガスを保持してから、開閉バルブ59を開にすると、保持していたガスを開閉バルブ59から放出する。保持するガスの量が所定量以下となったとき、可動部材53には、その重さにより、培養液中を下降しようとする力が加わる。
【0037】
可動部材53は、その両側の端面53aに、それぞれ、ガイドレール取付け部材61、63を備えている。ガイドレール取付け部材61、63の構造は前記第1の実施形態におけるガイドレール取付け部材31、33、35、37と同様であり、それぞれ、ガイドレール55、57を差し込み可能な上下方向の貫通孔61a、63aが設けられている。ガイドレール取付け部材61、63の位置は、端面53aの左右方向における両端付近である。
【0038】
貫通孔61a、63aにガイドレール55、57を差込むことで、可動部材53は、ガイドレール55、57により、上下方向に可動に支持される。ガイドレール55、57は、その軸方向が鉛直であり、それらの間隔は一定である。そのため、可動部材53は、ガイドレール55、57に案内されて鉛直方向に上下動する。なお、ガイドレール取付け部材61、63は、図9における背面側の端面53aにも同様に設けられており、背面側のガイドレール55、57と同様に接続している。
【0039】
ガイドレール55の下端付近には、最下位置センサ65が取り付けられており、ガイドレール55の上端付近には、最上位置センサ67が取り付けられている。最下位置センサ65は、可動部材53が最下位置にあるとき、ガイドレール取付け部材61の接近を感知するセンサである。すなわち、最下位置センサ65は、可動部材53が最下位置にあることを検知するセンサである。可動部材53が最下位置にあることを最下位置センサ65が、検知すると、最下位置センサ65は所定の信号を、図示しない信号線を介して、上述したアクチュエータに出力する。その信号を受信したアクチュエータは、開閉バルブ59を閉じる。
【0040】
最上位置センサ67は、可動部材53が最上位置にあるとき、ガイドレール取付け部材61の接近を感知するセンサである。すなわち、最上位置センサ67は、可動部材53が最上位置にあることを検知するセンサである。可動部材53が最上位置にあることを最上位置センサ67が、検知すると、最上位置センサ67は所定の信号を、図示しない信号線を介して、上述したアクチュエータに出力する。その信号を受信したアクチュエータは、開閉バルブ59を開ける。
【0041】
2.攪拌装置51の動作
攪拌装置51の動作を図11に基づいて説明する。図11(a)は、開閉バルブ59が閉であり、可動部材53の位置が、ガイドレール55、57に案内されて培養液中を上下動可能な範囲のうち、最も下の位置(以下、最下位置とする)にあり、可動部材53で保持するガスの量が少ない状態を表す。最下位置は、可動部材53が平底容器5の底面に当接する位置であってもよいし、最下位置センサ65に、ガイドレール取付け部材61が当接する位置であってもよい。このとき、可動部材53には、その重さにより、下向きの力が加わっている。可動部材53が最下位置にあるとき、散気管13は、可動部材53の内部に収容される。すなわち、最下位置にある可動部材53内に十分ガスが溜まったとき、散気管13は、そのガス中にある。
【0042】
散気管13により供給されるガスが可動部材53の下側に徐々に溜まってゆき、そのガスの浮力が可動部材53の重さを超えると、図11(b)、(c)に示すように、可動部材53はガイドレール55、57に案内され、培養液中を上昇してゆく。
【0043】
さらに可動部材53が上昇し、液面近くの位置(以下、最上位置とする)に達すると、最上位置センサ67の検出に基づき、開閉バルブ59が開けられる。すると、図12(d)に示すように、可動部材15の下側に保持されていたガスが、開閉バルブ59から放出される。保持していたガスの量が所定量以下となると、可動部材53の重さが、ガスの浮力より大きくなり、図11(e)に示すように、可動部材53は下降してゆく。そして、可動部材53は最下位置に達し、最上位置センサ67の検出に基づき、開閉バルブ59は閉じられ、図11(a)の状態に戻る。
【0044】
可動部材53は、以上の図11(a)〜(e)の変化を周期的に繰り返し、最下位置と最上位置との間を繰り返し上下動する。その結果として、培養槽3内の培養液が攪拌される。
【0045】
可動部材53が最下位置にあるときに、ガイドレール55、57のうちの1つ又は2以上において、図4(b)に示すように固定器具39を取り付け、可動部材53の位置を最下位置に固定することができる。この場合、可動部材53は上昇することなく、その内部(下側)にガスが溜まってゆき、やがて、散気管13の周囲が、可動部材53に保持されたガスで覆われる。
【0046】
3.攪拌装置51が奏する効果
(1)攪拌装置51は、可動部材53を上下に駆動する動力源を別途用意する必要がない。また、従来技術のように、超音波を用いる必要がない。そのため、省電力で培養液の攪拌を行うことができる。
(2)攪拌装置51は、可動部材53を最下位置で固定し、その内部(下側)に溜めたガスで、散気管13の周囲を覆うことができる。そのため、散気管13からのガス放出を止めた後でも、散気管13内に液体が入り込んでしまうようなことがない。
(3)散気管13から放出されたガスは可動部材53とともにゆっくり上昇するので、気液接触時間が長くなる。そのため、ガス成分が培養液に溶け込みやすい。
【0047】
尚、本発明は前記実施形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記第1の実施形態において、第1部25、第2部27の形状は、上述したものには限定されず、状態Aにおいて、下方から供給されるガスを保持できるものであれば、任意に選択できる。例えば、下方が開口した任意の容器形状を、任意の分け方で2つに分けたものを、第1部25、第2部27とすることができる。
【0048】
また、前記第1の実施形態において、上昇している可動部材15の状態が状態Aから状態Bに変化する位置(あるいは下降している可動部材15の状態が状態Bから状態Aに変化する位置)は、最上位置であってもよいし、最上位置から所定量だけ低い位置であってもよい。
【0049】
また、前記第1の実施形態において、状態Aから状態Bに移行するときの第1部25、第2部27の位置関係の変化は上述したものには限定されない。例えば、状態Aから状態Bに移行するとき、第1部25から見て、第2部27が一定方向(例えば、横方向、上方向)にスライドして離れてゆくようにしてもよい。そのような動作は、ガイドレール17、19、21、23の形状、設置方向を調整することで実現できる。
【0050】
また、前記第1の実施形態において、可動部材15の移動方向は鉛直方向には限定されず、鉛直方向に対して傾斜した方向であってもよい。
前記第2の実施形態において、可動部材53の形状は、上述したものには限定されず、開閉バルブ59が閉の状態において、下方から供給されるガスを保持できるものであれば、任意に選択できる。例えば、下方が開口した任意の形状の容器を、可動部材53とすることができる。
【0051】
また、前記第2の実施形態において、開閉バルブ59を開とするタイミングは、可動部材53が最上位置に来たタイミングに限定されず、最上位置よりも所定距離だけ低い位置に来たタイミングであってもよいし、可動部材53が最上位置に来てから所定時間が経過したタイミングであってもよい。
【0052】
また、前記第2の実施形態において、開閉バルブ59を閉とするタイミングは、可動部材53が最下位置に来たタイミングに限定されず、最下位置よりも所定距離だけ高い位置に来たタイミングであってもよいし、可動部材53が最下位置に来てから所定時間が経過したタイミングであってもよい。
【0053】
前記第1及び第2の実施形態において、散気管13は、常時、同じ流量でガスを供給するものであってもよいし、可動部材15(53)が下降しているときは、それが上昇しているときよりも、ガスの流量を減らしてもよい。また、可動部材15(53)が下降しているときは、ガスの供給を停止してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・攪拌装置、3・・・培養槽、5・・・平底容器、5a・・・底面、
7・・・仕切り壁、9・・・パドル、11・・・モータ、13・・・散気管、
15・・・可動部材、17、19、21、23・・・ガイドレール、28・・・隙間、
25・・・第1部、25a・・・端面、25b・・・円周面、27・・・第2部、
27a・・・端面、27b・・・円周面、29・・・回動軸、
31、33、35、37・・・ガイドレール取付け部材、
31a、33a、35a、37a・・・貫通孔、39・・・固定器具、
41・・・可動部、43・・・切欠部、45・・・回動軸、47・・・ボルト、
49・・・ねじ穴、50・・・ボルト穴、51・・・攪拌装置、53・・・可動部材、
53a・・・端面、53b・・・円周面、55、57・・・ガイドレール、
59・・・開閉バルブ、61、63・・・ガイドレール取付け部材、
61a、63a・・・貫通孔、65・・・最下位置センサ、67・・・最上位置センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液中において下方から供給されるガスを保持可能な状態Aと、保持していたガスを外部に放出可能な状態Bとの間で変位可能な可動部材と、
前記可動部材を上下動可能に支持する支持手段と、
前記可動部材の上下方向における位置が所定の上限位置よりも上の場合に、前記可動部材を前記状態Bとし、前記可動部材の上下方向における位置が所定の下限位置よりも下の場合に、前記可動部材を前記状態Aとする状態切替手段と、を備え、
前記可動部材は、保持しているガスの量に応じて、液中を上昇又は下降することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記可動部材は、相互の位置関係が可変な複数の単位部材から構成され、
前記状態Aは、前記複数の単位部材により、下方から供給されるガスを保持可能な中空容器形状が形成された状態であり、
前記状態Bは、前記複数の単位部材間に、ガスを上方に逃がす隙間が存在する状態であり、
前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Bとなるように支持するとともに、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Aとなるように支持する前記支持手段であることを特徴とする請求項1記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記可動部材は、液中において下方から供給されるガスを保持可能なガス保持部と、前記ガス保持部に保持された前記ガスを外部に放出可能なバルブとを備え、
前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記バルブを開とし、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記バルブを閉とするものであることを特徴とする請求項1記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記可動部材を、所定の位置で固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の攪拌装置を備えた培養槽。
【請求項1】
液中において下方から供給されるガスを保持可能な状態Aと、保持していたガスを外部に放出可能な状態Bとの間で変位可能な可動部材と、
前記可動部材を上下動可能に支持する支持手段と、
前記可動部材の上下方向における位置が所定の上限位置よりも上の場合に、前記可動部材を前記状態Bとし、前記可動部材の上下方向における位置が所定の下限位置よりも下の場合に、前記可動部材を前記状態Aとする状態切替手段と、を備え、
前記可動部材は、保持しているガスの量に応じて、液中を上昇又は下降することを特徴とする攪拌装置。
【請求項2】
前記可動部材は、相互の位置関係が可変な複数の単位部材から構成され、
前記状態Aは、前記複数の単位部材により、下方から供給されるガスを保持可能な中空容器形状が形成された状態であり、
前記状態Bは、前記複数の単位部材間に、ガスを上方に逃がす隙間が存在する状態であり、
前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Bとなるように支持するとともに、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記複数の単位部材を前記状態Aとなるように支持する前記支持手段であることを特徴とする請求項1記載の攪拌装置。
【請求項3】
前記可動部材は、液中において下方から供給されるガスを保持可能なガス保持部と、前記ガス保持部に保持された前記ガスを外部に放出可能なバルブとを備え、
前記状態切替手段は、前記可動部材の上下方向における位置が前記上限位置よりも上の場合に、前記バルブを開とし、前記可動部材の上下方向における位置が前記下限位置よりも下の場合に、前記バルブを閉とするものであることを特徴とする請求項1記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記可動部材を、所定の位置で固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の攪拌装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の攪拌装置を備えた培養槽。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図8】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図8】
【公開番号】特開2012−170417(P2012−170417A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37227(P2011−37227)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、農林水産省、革新的なCO2高吸収バイオマスの利用技術の開発委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、農林水産省、革新的なCO2高吸収バイオマスの利用技術の開発委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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