説明

支保用パネルおよびアダプタ

【課題】既設構造物の面の更生方法で、裏込め材の充填による支保用パネルおよび非支保用パネルの浮き上がりが防止され、施工性に優れた支保用パネルを提供する。
【解決手段】既設構造物の面の更生方法では、支保用パネル10および非支保用パネル12が用いられる。支保用パネル10には、第1連結部18と、第1連結部18に接続可能な第2連結部20と、支保用パネル10を既設構造物80に固定し、かつ支保工96を所定高さに保持する支保工固定具90が取り付けられる支保取付部50とが設けられる。非支保用パネル12には、第2連結部20に接続可能な第3連結部46と、第1連結部18および第3連結部46に接続可能な第4連結部42と、非支保用パネル12を既設構造物80に固定するパネル固定具が取り付けられるパネル取付部50を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は支保用パネルおよびアダプタに関し、特にたとえば、既設構造物を取り壊すことなく、構造物の強度回復や表面補修を図る既設構造物の面の更生方法に用いられる、支保用パネルおよびアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の更生パネルを用いた更生方法の一例が、特許文献1および2に開示されている。
【0003】
この特許文献1の水路内面のライニング工法では、既設の水路底面に固定部材を固定した後にモルタルを敷設し、その上にライニング板を載せて、ライニング板を固定部材にビス止めする。それから、水路側面に固定部材を介してライニング板を固定し、水路側面とライニング板との間にモルタルを注入し、ライニング板の突合せ部をシーリング材で止水している。
【0004】
また、特許文献2の水路内周面の更生工法では、ライニング板を水路内面にボルトで固定し、帯状止水パッキンを挟みながらライニング板どうしを重ね合わせて水路内面を覆う。そして、ライニング板と水路内面との間にモルタルを充填し、凹部に充填性接着剤を充填してから、凹部を蓋体で覆っている。
【特許文献1】特開2002−294665号公報[B02B 5/02、E03F 5/04]
【特許文献2】特開2005−290847号公報[B02B 5/02]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の従来技術では、ビスがライニング板を貫通しているため、このビスを伝って水が既設水路側に浸入する恐れがあり、侵入すれば、更生水路の耐久性が低下してしまう。
【0006】
また、特許文献2の従来技術では、ボルトが貫通する凹部を蓋体で覆うことにより、ボルト部の浸水を防止している。
【0007】
しかし、ライニング板どうしを重ね合わせているだけだと、固定している間にライニング板がずれ易いため、施工性が悪い。
【0008】
そして、水路内面全体をライニング板で覆ってからモルタルを充填すると、水路内面全体に均一にモルタルを充填するにはモルタルの注入力を高くする必要がある。よって、モルタルの注入力でライニング板が浮いてしまわないように抑えるため、工数がかかって、歩掛が高くなってしまう。
【0009】
このライニング板の浮き上がりを防止するために充填材の充填回数を複数回に分けて、段階的に充填材をライニング板と開水路との間に充填することも考えられるが、これでは工期が長くなってしまう。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、耐久性および施工性に優れる、支保用パネルおよびアダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、平面部と平面部の両端のそれぞれに設けられる第1パネル連結部および第2パネル連結部とを有するパネル部材を連結して更生パネルを形成する既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネルであって、第1端および第2端を含み、かつ表面が平らな第1平面部、第1平面部より窪み、かつキャップを嵌めて覆うるようにされる第1窪み部、第1窪み部に設けられ、キャップが第1窪み部を覆った際にキャップの表面を第1平面部の表面と面一とするパネル接合部、第1窪み部に設けられ、当該支保用パネルを介して既設構造物に固定される支保工固定具が取り付けられる支保取付部、第1端に形成される第1連結部、および第2端に形成される第2連結部を備える、支保用パネルである。
【0012】
請求項1の発明では、支保取付部に取り付けた支保工固定具で支保用パネルが既設構造物の面に間隔を隔てて固定され、その支保工固定具に取り付けた支保工が2つの支保用パネルの間に掛け渡される。これにより、裏込め材によるパネルの浮き上がりが支保工で防がれ、しかも、支保用パネルが一定の高さに揃えられる。
【0013】
また、第1連結部および第2連結部の接続により、支保用パネルどうし、または支保用パネルと非支保用パネルとが容易に連結され得る。
【0014】
そして、第1窪み部をキャップで埋めれば、既設水路側への水の浸入が防げ、更生された既設構造物の耐久性を維持できる。
【0015】
請求項2の発明は、第1窪み部から突出するパネル係止部、およびパネル係止部の先端に設けられる鉤部をさらに備える、請求項1記載の支保用パネルである。
【0016】
請求項2の発明では、第1窪み部の周りが裏込め材で覆われ、裏込め材が固化すると、第1窪み部は裏込め材で固定されるが、パネル係止部を第1窪み部から突出させると、パネル係止部は裏込め材の影響を受けないため、撓むことができる。このため、第1窪み部をキャップで覆う際に、パネル係止部は撓みながらキャップのキャップ係止部などと係止できるため、容易にこれらを接合できる。
【0017】
また、パネル係止部に先端に鉤部を設ければ、パネル係止部とキャップ係止部などとの係止を保持できる。
【0018】
請求項3の発明は、平面部と平面部の両端のそれぞれに設けられる第1パネル連結部および第2パネル連結部とを有するパネル部材を連結して更生パネルを形成する既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネルであって、第1端および第2端を含み、かつ表面が平らな第1平面部、第1平面部より窪む第1窪み部、第1窪み部に設けられ、当該支保用パネルを介して既設構造物に固定される支保工固定具が取り付けられる支保取付部、第2端に形成され、第1平面部より窪む第2窪み部、第2窪み部に形成され、パネル固定具が取り付けられるパネル取付部、第1端に形成される第1連結部、および第2端に形成される第2連結部を備える、支保用パネルである。
【0019】
請求項4の発明は、平面部と平面部の両端のそれぞれに設けられる第1パネル連結部および第2パネル連結部とを有するパネル部材を連結して更生パネルを形成する既設構造物の面の更生方法に用いられるアダプタであって、第1アダプタ端および第2アダプタ端を含み、かつ表面が平らなアダプタ平面部、第1アダプタ端に形成され、第1パネル連結部に接続される第1アダプタ連結部、および第2アダプタ端に形成され、第2パネル連結部に接続される第2アダプタ連結部を備え、第1アダプタ端と第2アダプタ端とが互いに傾斜し、かつ第1アダプタ連結部と第2アダプタ連結部とが互いに接続可能に形成され、複数の当該アダプタを連結させることにより当該アダプタの連結体の傾斜角度が調整可能である、アダプタである。
【0020】
請求項4の発明では、第1アダプタ端と第2アダプタ端とが互いに傾斜するアダプタをパネル部材に連結すると、アダプタで傾斜してパネル部材が連結されるため、連結角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、支保取付部に取り付けた支保工固定具で支保用パネルを固定しながら、2つの支保用パネルの間に渡した支保工を支保工固定具で固定することにより、支保用パネルおよび非支保用パネルが一定の高さで保持され、耐久性および施工性に優れる。
【0022】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例の既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネルにキャップを取り付けた状態を示す断面図である。
【図2】図1の支保用パネルを示す断面図である。
【図3】図2の支保用パネルの第2面側を示す平面図である。
【図4】図1のキャップを示す断面図である。
【図5】図4のキャップの裏面側を示す平面図である。
【図6】非支保用パネルを示す斜視図である。
【図7】図6の非支保用パネルを示す断面図である。
【図8】支保用パネルおよび非支保用パネルを開水路の底面に固定した状態を示す斜視図である。
【図9】非支保用パネルどうしを連結し、開水路に固定して状態を示す断面図である。
【図10】スペーサを示す斜視図である。
【図11】2つの非支保用パネルを連結した連結体を支保用パネルで挟んで、この連結体に支保用パネルを連結し、支保工固定具で開水路に固定した状態を示す図解図である。
【図12】支保用パネルを非支保用パネルに連結し、支保用パネルを支保工固定具で開水路に固定した状態を示す断面図である。
【図13】支保用パネルを支保工固定具で開水路に固定した状態を示す断面図である。
【図14】開水路の内面を支保用パネルおよび非支保用パネルで覆い、これらの間に裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図15】2つの支保用パネルに支保工を渡し、支保工を支保工固定具に取り付けた状態を示す図解図である。
【図16】支保工固定具および支保工を取り外した状態を示す断面図である。
【図17】第1窪み部をキャップで覆い、支保用パネルと開水路との間に裏込め材を充填した状態を示す断面図である。
【図18】この発明の別の実施例の既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネルにキャップを取り付けた状態を示す断面図である。
【図19】図1の支保用パネルを示す断面図である。
【図20】図1のキャップを示す断面図である。
【図21】この発明のさらに別の実施例の既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネルにキャップを取り付けた状態を示す断面図である。
【図22】この発明のさらに別の実施例の既設構造物の面の更生方法に用いられる非支保用パネルを示す平面図である。
【図23】図22の非支保用パネルに支保用パネルを連結し、これらのパネルを開水路に固定した状態を示す平面図である。
【図24】この発明のさらに別の実施例の既設構造物の面の更生方法に用いられるアダプタを示す断面図である。
【図25】図24のアダプタを示す平面図である。
【図26】複数のアダプタを連結した連結体を非支保用パネルに連結した状態を示す断面図である。
【図27】複数のアダプタを連結した連結体を支保用パネルに連結した状態を示す断面図である。
【図28】この発明のさらに別の実施例の既設構造物の面の更生方法に用いられるアダプタを示す断面図である。
【図29】図28のアダプタを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の一実施例である既設構造物の面の更生方法では、既設構造物が劣化したときにその構造物を取り壊すことなく、その外面、内面および底面などの面を図1に示す支保用パネル10および図6に示す非支保用パネル12で覆うことにより、既設構造物の面を更生し、構造物の延命化を図る。ここで、既設構造物としては、農業用あるいは排下水用の開水路、下水暗渠、下水処理場の沈殿池あるいは貯水槽、上水施設の貯水池あるいは配水池、ビルピットまたは雨水貯留槽、ビル外壁、高速道路の遮音壁などが挙げられる。
【0025】
図1に示すように、図2および図3に示す支保用パネル10は、図4および図5に示すキャップ14と共に用いられる。
【0026】
図1〜図3に示すように、支保用パネル10は、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などの合成樹脂で形成され、矩形状の板状体であって、第1平面部16、第1連結部18、第2連結部20、第1窪み部22および第2窪み部24を備える。
【0027】
第1平面部16は、互いに平行に延びる第1端26および第2端28を含み、また、平らな第1面30とそれに対向する第2面32とを含む。
【0028】
第1面30は更生された構造物の表面を形成し、第1面30の表面はアクリル樹脂など耐候性を有する樹脂層34で覆われる。第2面32は既設構造物の表面と対向してこれを覆い、第2面32に第1係合部36および複数の突起部38が間隔を隔てて設けられる。
【0029】
第1係合部36は、支保用パネル10と支保用パネル10または非支保用パネル12とを接続した際にこれらを固定するために、第2係合部および/または第4係合部と係合する部分である。また、第1係合部36は、第2面32からほぼ直角に突出し、その先が曲がって形成され、第1端26に平行に支保用パネル10の全長に亘って設けられる。
【0030】
突起部38は、既設構造物の面と第2面32との間に裏込め材を充填した際に裏込め材に嵌まって投錨効果を示す部分であって、第1端26に平行に支保用パネル10の全長に亘って設けられる。
【0031】
第1連結部18は、第1端26と隣接する支保用パネル10の第2端28または非支保用パネル12の第4端44とを接続するための部分であって、第1端26に設けられる。第1連結部18は、第2連結部20および/または第4連結部42を受けるように第1平面部16とそれに平行で水平方向に延びる部分とでコの字状の断面形状に形成される。
【0032】
第2連結部20は、第2端28と隣接する支保用パネル10の第1端26または非支保用パネル12の第3端40とを接続するための部分であって、第2端28に設けられる。第2連結部20は、第1平面部16に平行で水平方向に延びる突起状で形成され、第1連結部18および/または第3連結部46に水平方向に嵌められる。第2連結部20の上面にたとえば、2つのリップ48が設けられる。リップ48は、水の浸入を防止するための止水材であって、薄い板状体で、互いに向かい合うように取り付けられる。第2連結部20のリップ48は、第2端28と隣接する第1端26または第3端40とを接続した際にこれらの間を止水する止水部である。
【0033】
第1窪み部22は第2面32より窪む部分であって、第1端26と第2端28との間に設けられ、支保用パネル10の全長に亘る連続物で形成される。第1窪み部22に支保取付部50、パネル係止部52およびパネル接合部54が設けられる。
【0034】
支保取付部50は、支保工固定具が取り付けられる貫通孔などであって、第1窪み部22の底に設けられる。複数、この実施例では5つの貫通孔が第1端26と平行な方向に間隔を隔てて設けられ、貫通孔の内径は、支保工固定具を通すことができる径に設定され、各貫通孔のピッチは、支保工固定具で支保用パネル10を既設構造物の面に固定することができるように設定される。
【0035】
パネル接合部54は、支保用パネル10にキャップ14を接続するための突起状部分などであって、第1窪み部22の側面に設けられ、第1端26側から第2端28側に向かって水平またはほぼ水平に突出し、支保用パネル10の全長に亘って設けられる。また、パ
ネル接合部54の表面にリップ48が形成される。このリップ48は、キャップ14を第1窪み部22に嵌めた際にキャップ14とパネル接合部54との間に挟まり、キャップ14と支保用パネル10との間の隙間を埋めてそこから水が浸入するのを防ぐ止水材である。
【0036】
パネル係止部52は、第1窪み部22から突出し、その先端に鉤部56が設けられる。たとえば、第1窪み部22の底から立ち上がってパネル係止部52が形成され、パネル係止部52の先端が曲がって鉤部56が形成される。鉤部56は、パネル係止部52とキャップ係止部58とを係止させる部分である。
【0037】
第2窪み部24は第2面32より窪む部分であって、第2端28に設けられる。また、第2窪み部24は支保用パネル10の全長に亘る連続物で、非支保用パネル12の第3窪み部60と同様の形状に形成され、その端に第2係合部62を含む。
【0038】
第2係合部62は、第1係合部36および/または第3係合部64と係合し、互いに係わり合うことにより支保用パネル10に連結された支保用パネル10または非支保用パネル12が外れるのを防止する部分であり、第2窪み部24の端部が屈曲して形成される。
【0039】
図4および図5に示すキャップ14は、支保用パネル10および非支保用パネル12を連結し、裏込め材を充填した後で第1窪み部22に嵌められて第1窪み部22を覆う部材であって、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などの合成樹脂で形成される矩形状の板状体である。キャップ14の長手方向の長さは、支保用パネル10の第1端26と等しく設定され、また、短い方の長さは、第1窪み部22の幅に相当し、第1窪み部22の全体を覆うように設定される。
【0040】
キャップ14の表面はアクリル樹脂など耐候性を有する樹脂層66で覆われ、樹脂層66は2層押出成形により一体的に形成される。また、キャップ14の上面は、平らであって、キャップ14が第1窪み部22を覆った際に支保用パネル10の第1面30と面一になって、更生パネルの表面を形成する。
【0041】
キャップ14の裏面にキャップ接合部68、キャップ係止部58、空隙充填部70および止水テープが設けられる。キャップ接合部68は、キャップ14を支保用パネル10に接続するためにパネル接合部54に接合される部分であって、パネル接合部54を受けるようにキャップ14の本体とそれに平行で水平方向に延びる部分とでコの字状の断面形状に形成され、キャップ14の長手方向の全長に亘って設けられる。
【0042】
キャップ係止部58は、接続されたキャップ14および支保用パネル10を固定するために、パネル係止部52と係止する部分であって、キャップ14の裏面から立ち上がり、その先が曲がって形成される。
【0043】
空隙充填部70は、キャップ14で第1窪み部22を覆った際に、これらにより形成される空隙を充填する部分であって、キャップ接合部68とキャップ係止部58との間に設けられる。空隙充填部70は、キャップ14の本体と一体的に塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などの合成樹脂で形成され、内部に穴が設けられる。そして、キャップ14を支保用パネル10に装着した際に、空隙充填部70の下面が第1窪み部22の底面に近くなるほど、空隙充填部70がキャップ14を支持する力が大きくなり、更生された面の強度が向上するため、空隙充填部70の高さは、支保用パネル10に装着したキャップ14の空隙充填部70の下面と第1窪み部22の底面との隙間がないまたは小さくなるように設定される。
【0044】
止水テープ71は、キャップ14の端に設けられ、キャップ14と支保用パネル10との間を止水する止水材として用いられる。
【0045】
図6および図7に示す非支保用パネル12は、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などの合成樹脂で形成され、矩形状の板状体であって、第2平面部72、第3連結部46、第4連結部42および第3窪み部60を備える。
【0046】
第2平面部72は、矩形状の板状体であって、互いに平行に延びる第3端40および第4端44を含み、平らな第3面74とそれに対向する第4面76とを含む。第3端40の長さは、第1端26の長さと同じに設定される。
【0047】
第3面74は第1面30と同様であって、耐候性樹脂層34で覆われる。また、第4面76は第2面32と同様であって、第4面76に第3係合部64および複数の突起部38が間隔を隔てて設けられる。
【0048】
第3係合部64は、第1係合部36と同様であって、第2係合部62および/または第4係合部78と係合する部分であり、第4面76から立ち上がりその先が屈曲して形成される。
【0049】
突起部38は、支保用パネル10の突起部38と同様で、裏込め材に対し投錨効果を示す部分である。
【0050】
第3連結部46は、第1連結部18と同様で、第3端40と隣接する支保用パネル10の第2端28または非支保用パネル12の第4端44とを連結するために、第2連結部20および/または第4連結部42と接続される部分であり、第3端40に設けられる。
【0051】
第4連結部42は、第2連結部20と同様であり、第4端44と隣接する支保用パネル10の第1端26または非支保用パネル12の第3端40とを連結するように、隣接する第1連結部18および/または第3連結部46に接続される部分であって、第4端44に設けられる。第4連結部42の上面にリップ48が取り付けられ、このリップ48は第4端44と隣接する端26、40との間を止水する止水材である。
【0052】
第3窪み部60は、第2窪み部24と同様の形状であって、第3面74より窪む部分で、第4端44に設けられ、非支保用パネル12の全長に亘る連続物で形成される。第3窪み部60の底にパネル取付部が設けられ、パネル取付部61はパネル固定具が取り付け可能な貫通孔などであって、貫通孔の内径はパネル固定具を通すことができる径に設定される。第3窪み部60の深さは、パネル取付部61に取り付けられたパネル固定具の頭部などを隣接する支保用パネル10または非支保用パネル12で覆うことができる深さに設定される。また、第3窪み部60は、その端に第4係合部78を含む。
【0053】
第4係合部78は、第2係合部62と同様で、第1係合部36および/または第3係合部64と係合し、非支保用パネル12に連結された支保用パネル10または非支保用パネル12が外れるのを防止する部分であり、第3窪み部60の端部が屈曲して形成される。
【0054】
このような支保用パネル10および非支保用パネル12などを既設構造物の面の更生方法に用い、たとえば図8に示す開水路80の内面、つまり底面および側面を更生する場合、まず、開水路80の施工部分より上流側にコンクリートパネルなどで水を予め堰き止めて、水中ポンプなどにより堰き止められた水を施工部分より下流側に放流する。そして、開水路80の内面の泥などを高圧洗浄機などで除去し、特に突き出た部分をディスクサンダーなどで除去する。
【0055】
次に、図9に示すように、非支保用パネル12、パネル固定具82およびスペーサ84を用意する。
【0056】
図10に示すスペーサ84は、支保用パネル10および非支保用パネル12と既設構造物の面との間に裏込め材を充填するための空間を確保するものであって、ゴムなどによって略直方体に形成され、中空部86および開口部88を有する。そして、開口部88を介して中空部86に支保工固定具やパネル固定具82を挿入すると、スペーサ84は、第1窪み部22や第3窪み部60と既設構造物の面との間に挿入される。なお、スペーサ84の厚みは、連結される支保用パネル10および非支保用パネル12の上面どうしが水平になるように設定される。また、スペーサ84の形状はこれに限定されず、適宜な形状のスペーサ84を用いることができる。
【0057】
図9に示すパネル固定具82は、開水路80の内面に非支保用パネル12を固定するためのボルトなどである。
【0058】
そして、図8および図9に示すように、第4面76を開水路80の底面側に向け、第3端40が開水路80の長手方向に対して直角になるようにして、非支保用パネル12を開水路80の底面に配置し、パネル固定具82をパネル取付部61に挿入し、開水路80の底面に打ち込む。この際、スペーサ84をパネル固定具82に適宜取り付け、これにより、非支保用パネル12を開水路80の底面と間隔を隔てて固定する。
【0059】
次に、図9および図11に示すように、固定された非支保用パネル12の第4端44側に別の非支保用パネル12を配置し、この後の非支保用パネル12をパネル固定具82で開水路80に固定せずに、後の非支保用パネル12を傾けた状態で、後の第3連結部46を先の第4連結部42に嵌め、第3端40を支点として後の非支保用パネル12を押し下げる。これにより、後の第3係合部64が先の第3窪み部60の中に入り、後の第3係合部64は先の第4係合部78と係合し、隣り合う非支保用パネル12どうしが連結されて、これらは開水路80の底面と間隔を隔てて配置される。
【0060】
このように複数の非支保用パネル12を連結してから、支保用パネル10を用意し、非支保用パネル12の連結体に支保用パネル10を隣接させて、連結体の第3連結部46に第2連結部20を嵌め、かつ第3係合部64に第2係合部62を係合させて、連結体の一端に支保用パネル10を連結する。また、連結体に別の支保用パネル10を隣接させて、連結体の第4連結部42に第1連結部18を嵌め、かつ第4係合部78に第1係合部36を係合させて、連結体の他端に別の支保用パネル10を連結する。これにより、複数の非支保用パネル12を連結した連結体の両端にそれぞれ支保用パネル10を連結し、非支保用パネル12の連結体が2つの支保用パネル10で挟まれる。
【0061】
そして、図12および図13に示すように、支保用パネル10を支保工固定具90で開水路80に固定する。この支保工固定具90は、支保工を一定の高さに支え固定するものであって、パイプクランプなどが用いられ、支保取付部50に挿入されて支保取付部50に取り付けられる。
【0062】
つまり、開水路80の底面および側面に予め打ち込んでおいたアンカ92に支保工固定具90を螺合し、支保工固定具90を開水路80に固定し、支保工固定具90を支保取付部50に取り付ける。そして、スペーサ84を支保工固定具90に適宜取り付ければ、支保取付部50に取り付けられる支保工固定具90で支保用パネル10が開水路80の内面に間隔を隔てて固定される。
【0063】
このような連結を繰り返して、開水路80の底面を支保用パネル10および非支保用パネル12で覆い、これと同様の方法で開水路80の側面も支保用パネル10および非支保用パネル12で覆う。また、開水路80の底面を覆うパネル10、12と開水路80の側面を覆うパネル10、12との間には図14に示すハンチ部材94を取り付ける。ハンチ部材94は、非支保用パネル12と同様のものであるが、非支保用パネル12の第3端40に直交する端面の角度が異なり、45度に傾斜する。これ以外の部分に関しては非支保用パネル12と同様であるため、説明は省略する。
【0064】
それから、図12、図13および図15に示すように、支保工固定具90に支保工96を取り付ける。支保工96は、支保工固定具90により開水路80の内面から所定の高さに保持されて、支保用パネル10が所定の高さより上に浮き上がらないように押さえとめる長尺部材などであって、たとえば丸棒などの棒鋼、あるいは丸パイプや角パイプなどの鋼管が用いられる。
【0065】
この支保工96が、用途に合わせて開水路80の内面に対して平行にまたは一定の勾配になるように、支保工96の高さを調整し、支保工96を支保工固定具90に取り付け、2つの支保用パネル10の間に支保工96を架けると、非支保用パネル12の連結体をまたいでこれらの表面上に支保工96が渡る。
【0066】
このように支保用パネル10および非支保用パネル12を開水路80の内面から所定の高さに支保工96で保持し、パネル10、12が所定の高さより浮き上がらないようにした状態で、連結されたパネル10、12と開水路80の内面との間隔に裏込め材98を充填し、全体に裏込め材98が満たされると養生する。このとき、裏込め材98の充填圧などによりパネル10、12に浮き上がる方向の力が作用しても、パネル固定具82および支保工96でパネル10、12が浮き上がる方向への動きは抑えられているため、パネル10、12は所定の高さに保持され、連結されるパネル10、12の表面の高さは揃えられる。そして、裏込め材98がある程度に固化すると、図16に示すように、支保工96を支保工固定具90から取り外し、さらに支保工固定具90を開水路80から取り外す。ただし、支保工固定具90のアンカ92だけは開水路80に残してもよい。
【0067】
そして、図17に示すように、キャップ14を斜めに傾けてキャップ接合部68をパネル接合部54に嵌め、次にこの部分を支点としてキャップ14を押し下げて、キャップ係止部58をパネル係止部52にかける。このように、てこの原理を利用すれば、簡単な操作かつ小さな力でキャップ接合部68にパネル接合部54を接合し、かつキャップ係止部58にパネル係止部52を係止させて、キャップ14を支保用パネル10に装着し、キャップ14で第1窪み部22を覆うことができる。これにより、第1面30はキャップ14の表面と面一になり揃い、図14および図17に示すように、開水路80の底面および側面が支保用パネル10および非支保用パネル12で更生された構造物が完成する。
【0068】
このように、支保用パネル10および非支保用パネル12の上に支保工96を掛け渡しておけば、裏込め材98の圧力でこれらのパネル10、12が所定の高さより浮き上がりそうになっても、これらのパネル10、12は支保工96で押さえつけられ、その高さより高くならない。このため、裏込め材98の充填回数を増やす必要がなく、開水路80の内面全体をパネル10、12で覆ってから高い注入力で裏込め材98を充填でき、しかも、これらのパネル10、12の裏込め材98による浮き上がりが防止される。
【0069】
そして、支保工96で非支保用パネル12を押さえておけば、全ての非支保用パネル12を開水路80の内面に固定する必要がなく、パネル固定具82の取付作業を省け、施工性に優れる。
【0070】
しかも、支保工96により支保用パネル10および非支保用パネル12は一定の高さに保持され、更生された開水路80の内面の高さは揃えられる。そして、開水路80などの場合、更生された表面が面一になれば、その上を流れる水が乱されず、その水の流速および流量を十分に確保できる。
【0071】
また、支保取付部50を第1窪み部22に設けることにより、支保工96および支保工固定具90を取り外した後に第1窪み部22をキャップ14で覆えば、支保工固定具90を取り外した跡をキャップ14で埋め、更生後のパネル上を流れる水が開水路80側に浸入することが防がれ、更生された開水路80の耐久性を維持できる。
【0072】
そして、連結部20、42やパネル接合部54に止水材としてリップ48を設け、キャップ14の端の裏面に止水材として止水テープ71を設けると、パネル10、12およびキャップ14の連結と同時に、これらの間が止水材で止水されるため、別途止水処理をする必要がなく、さらに省力化が図れる。
【0073】
さらに、第3連結部46を第1連結部18と同様にし、第4連結部42を第2連結部20と同様に形成することにより、非支保用パネル12は非支保用パネル12だけでなく、支保用パネル10にも連結できる。このため、非支保用パネル12どうしが連結し、複数の非支保用パネル12を連結した連結体を2つの支保用パネル10で挟んで連結すれば、複数の非支保用パネル12に支保工96を掛け渡せ、一度にこれらの非支保用パネル12の裏込め材98による浮き上がりを支保工96で防止することができる。
【0074】
そして、連結部18、20、46、42の接続により、支保用パネル10どうし、非支保用パネル12どうし、または支保用パネル10と非支保用パネル12とを連結すると、これらのパネル10、12を開水路80の内面に固定している間にこれらのパネル10、12がずれないため、パネル10、12を固定し易く、施工性に優れる。
【0075】
また、パネル係止部52が第1窪み部22の底から立ち上がることにより、第1窪み部22の周りが裏込め材98で覆われ、裏込め材98が固化し、第1窪み部22が裏込め材98で固定されても、パネル係止部52は裏込め材98の影響を受けずに撓む。このため、第1窪み部22をキャップ14などで覆う際に、パネル係止部52は撓みながらキャップ係止部58と係止できるため、容易にこれらを接合できる。
【0076】
なお、上記実施例では、空隙充填部70をキャップ14の本体と一体的に合成樹脂で形成したが、キャップ14および第1窪み部22で形成される空隙を埋めるものであれば、これに限定されず、発泡スチロールなどで形成することもできる。また、空隙充填部70の内部に穴を設けたが、設けなくてもよい。
【0077】
また、上記実施例では、テープ状の止水テープ71を用いたが、これをリップで形成することもできる。そして、この止水テープ71をキャップ14に設けたが、支保用パネル10に設けることもできる。
【0078】
図18に示すこの発明の別の実施例である既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネル10は、図1に示す支保用パネル10とほぼ同じであるが、パネル接合部100およびパネル係止部102の形状が異なる。これ以外の部分に関しては図1実施例の示す支保用パネル10と同様であるため、共通する部分については同じ番号を付して、その説明は省略する。
【0079】
図19に示すパネル接合部100およびパネル係止部102は、第1窪み部22の底から立ち上がり、パネル接合部100およびパネル係止部102の先端に鉤部100a、1
02aが設けられ、パネル接合部100の鉤部100aとパネル係止部102の鉤部102aとは、互いに反対方向に曲がる。
【0080】
図20に示すキャップ接合部104およびキャップ係止部106は、キャップ14の裏面から立ち上がり、その先が曲がってそれぞれ鉤部104a、106aが形成される。
【0081】
空隙充填部108は、発泡塩化ビニル樹脂などで形成され、その高さは、キャップ14を支保用パネル10に装着した際に空隙充填部108の下面と第1窪み部22の底面との間の隙間がないまたは小さく設定される。
【0082】
また、キャップ14の両端のそれぞれの裏面に止水材として止水テープ110が設けられ、止水テープ110は、キャップ14と支保用パネル10との間を止水する。
【0083】
このように、パネル接合部100およびパネル係止部102が第1窪み部22の底から立ち上がることにより、第1窪み部22の周囲を覆う裏込め材98が固化し、第1窪み部22が裏込め材98で固定されても、パネル接合部100およびパネル係止部102は撓むため、パネル接合部100およびパネル係止部102は撓みながらキャップ接合部104およびキャップ係止部106と容易に接合できる。
【0084】
図21に示すこの発明の別の実施例である既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネル10は、図1および図18に示す支保用パネル10とほぼ同じであるが、パネル接合部およびパネル係止部の形状が異なる。これ以外の部分に関しては図1および図18実施例の示す支保用パネル10と同様であるため、共通する部分については同じ番号を付して、その説明は省略する。
【0085】
パネル接合部107aおよびパネル係止部107bは、第1窪み部22の側面から突出し、上下方向に撓むことができる。
【0086】
キャップ接合部109aおよびキャップ係止部109bは、キャップ14の裏面から立ち上がり、その先が曲がってそれぞれ鉤部109aa、109bbが形成される。
【0087】
このパネル接合部107aおよびパネル係止部107bが第1窪み部22から突出すれば、第1窪み部22の周囲を覆う裏込め材98が固化した後であっても、パネル接合部107aおよびパネル係止部107bが撓んでキャップ接合部109aおよびキャップ係止部109bに容易に接合される。
【0088】
なお、上記図18および図21の実施例では、空隙充填部108を、発泡スチロールなどで形成したが、キャップ14および第1窪み部22で形成される空隙を埋めるものであれば、これに限定されず、キャップ14の本体と一体的に合成樹脂で形成することもできる。
【0089】
また、上記図18および図21の実施例では、テープ状の止水テープ110を用いたが、これをリップで形成することもできる。そして、この止水テープ110をキャップ14に設けたが、支保用パネル10に設けることもできる。
【0090】
なお、上記全ての実施例では、非支保用パネル12を矩形状の板状体で形成したが、非支保用パネルの形状はこれに限定されず、既設構造物の面形状に合わせて適宜決められ、非支保用パネルに、たとえば特願2005−220579の湾曲壁面用更生パネル部材を用いることもできる。図22に示す非支保用パネル112は、第3端40および第4端44が互いに傾斜し、第3連結部46の幅が第3端40に沿って変化し、かつ第3係合部6
4がないことを除けば、この非支保用パネル112は図6および図7の非支保用パネル12と同様のものであるため、共通する部分の説明は省略する。
【0091】
このような非支保用パネル112の第3端40および第4端44が互いに傾斜すると、図23に示すように、この非支保用パネル112に対して傾斜して支保用パネル10および非支保用パネル112、12が連結されるため、既設構造物の面の形状に合わせて湾曲した部分などをパネルで覆うことができる。
【0092】
なお、非支保用パネルに、台形状の非支保用パネル112だけを用いることもできるし、矩形状の非支保用パネル12と非支保用パネル112とを同時に用いることもできる。
【0093】
図24および図25に示すこの発明のさらに別の実施例である既設構造物の面の更生方法に用いられるアダプタ114は、パネル部材に連結される接続部材である。ここで、パネル部材は、平面部と、平面部の両端のそれぞれに設けられる第1パネル連結部および第2パネル連結部とを有する。このパネル部材としては支保用パネル10および非支保用パネル12が挙げられ、平面部は第1平面部16および第2平面部72を含み、第1パネル連結部は第1連結部18および第3連結部46を含み、第2パネル連結部は第2連結部20および第4連結部42を含む。
【0094】
アダプタ114は、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などの合成樹脂で形成され、アダプタ平面部116、第1アダプタ連結部118および第2アダプタ連結部120を備える。
【0095】
アダプタ平面部116は、第1アダプタ端122および第2アダプタ端124を含み、第1アダプタ端122と第2アダプタ端124とが互いに所定の角度で傾斜する台形状の板状体で形成される。第1アダプタ端122の長さは第1端26および第3端40の長さと同じに設定される。アダプタ114の表面は、平らであって、アクリル樹脂など耐候性を有する樹脂層126で覆われる。
【0096】
第1アダプタ連結部118は、第1アダプタ端122に形成され、第1パネル連結部に接続される。つまり、第1アダプタ連結部118は、第2連結部20および第4連結部42と同様に、アダプタ平面部116に平行で水平方向に延びる突起状で形成され、第1連結部18および第3連結部46に水平方向に嵌められて、アダプタ114は支保用パネル10および非支保用パネル12に連結される。
【0097】
また、第1アダプタ連結部118の先に、軟質塩化ビニル樹脂などの止水材119が設けられており、第1アダプタ連結部118を他の連結部に嵌めると、これらが連結されると共に、止水材119がこれらの連結部の間を止水する。
【0098】
第2アダプタ連結部120は、第2アダプタ端124に形成され、第2パネル連結部に接続される。つまり、第2アダプタ連結部120は、第1連結部18および第3連結部46と同様のコの字状の断面形状で形成され、第2連結部20および第4連結部42を受けて、アダプタ114に支保用パネル10および非支保用パネル12が連結される。
【0099】
また、図26および図27に示すように、第1アダプタ連結部118と第2アダプタ連結部120とは互いに接続可能に形成され、第1アダプタ連結部118に第2アダプタ連結部120を嵌めて、複数のアダプタ114を連結することができる。これにより、連結するアダプタ114の数を調整することにより、アダプタ114の連結体の第1アダプタ端122と第2アダプタ端124との傾斜角度を変化させることができる。
【0100】
よって、このようなアダプタ114を用いた、支保用パネル10および非支保用パネル12による既設構造物の面を更生方法において、図26に示すように、複数のアダプタ114の連結体の第1アダプタ連結部118を第3連結部46に嵌めれば、アダプタ114の連結体を非支保用パネル12に装着することができる。また、図27に示すように、複数のアダプタ114の連結体の第1アダプタ連結部118を第1連結部18に嵌めれば、アダプタ114の連結体を支保用パネル10に装着することができる。これにより、アダプタ114で支保用パネル10および非支保用パネル12が傾斜して連結されるため、既設構造物の面の形状に合わせて湾曲した部分などをパネルで覆うことができる。
【0101】
そして、第1アダプタ端122と第2アダプタ端124とが互いに一定の角度で傾斜するようにアダプタ114を形成しても、複数のアダプタ114を連結し、そのアダプタ114の数を調整することにより、その連結体の傾斜角度を所望の角度にすることができる。
【0102】
図28に示すこの発明のさらに別の実施例である既設構造物の面の更生方法に用いられるアダプタ114は、図24に示すアダプタ114とほぼ同じであるため、共通する部分については同じ番号を付して、その説明は省略する。
【0103】
図28および図29に示すように、第1アダプタ連結部128は、断面がU字状の凹部分130に板状の嵌め込み部分132を嵌めて形成される。嵌め込み部分132は凹部分130から突出し、水平方向に延びて、第1連結部18および第3連結部46に水平方向に嵌められる。この嵌め込み部分132の突出した長さは、一定に設けられる。また、嵌められている側の嵌め込み部分132の端にシーリング材133が塗布されており、シーリング材133は嵌め込み部分132と凹部分130との間を止水する。
【0104】
嵌め込み部分132は、たとえば、矩形状に形成したアダプタ114において第1アダプタ端122が第2アダプタ端124に対して傾斜するように、第1アダプタ端122側のアダプタ114の端部を切断し、その切断された台形状のアダプタ平面部116が用いられる。
【0105】
第2アダプタ連結部134は、第1連結部18および第3連結部46と同様のコの字状の断面形状で形成され、第2連結部20および第4連結部42を受けて、アダプタ114に支保用パネル10および非支保用パネル12が連結される。
【0106】
また、アダプタ平面部116の裏面にアダプタ係止部136が設けられる。アダプタ係止部136は、アダプタ114と支保用パネル10または非支保用パネル12とを接続した際にこれらを固定するために、第2係合部62および/または第4係合部78と係合する部分であり、第1係合部36および第3係合部64と同様の形状で形成される。
【0107】
このようなアダプタ114を既設構造物の面を更生方法に用いて、支保用パネル10または非支保用パネル12にアダプタ114を連結すると、第2アダプタ連結部134が第2連結部20または第4連結部42を受けて、アダプタ114が支保用パネル10または非支保用パネル12に接続されるだけでなく、アダプタ係止部136が第2係合部62または第4係合部78と係合し、アダプタ114と支保用パネル10または非支保用パネル12との接続が強固に固定される。
【0108】
なお、上で挙げた角度や寸法の具体的数値はいずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
【0109】
また、上記全ての実施例では、第2連結部20および第4連結部42を水平方向に延びるように形成し、これらを第1連結部18および第3連結部46に水平方向に嵌めて、支保用パネル10および非支保用パネル12、112を連結するようにしたが、これらの連結部は、連結された支保用パネル10および非支保用パネル12、112が上下方向および/または横方向に動いて外れるのを防止するような形状であればよい。このため、これらの連結部を鉛直方向に嵌めて、隣接する支保用パネル10および非支保用パネル12、112を連結するようにすることもできる。
【0110】
また、上記全ての実施例では、第1窪み部22、第2窪み部24および第3窪み部60を支保用パネル10および非支保用パネル12、112の全長に亘る連続物で形成したが、複数の窪み部を間隔を隔てながら支保用パネル10および非支保用パネル12、112の全長に亘って形成することもできる。
【0111】
そして、上記全ての実施例では、空隙充填部70、108をキャップ14の本体と一体的に形成したが、空隙充填部70、108とキャップ14の本体とを別々に形成することもできる。
【0112】
また、上記全ての実施例では、支保取付部50およびパネル取付部61として貫通孔を設けたが、これらの取付部50、61として、パネル固定具82や支保工固定具90などを通すことができない程度の小さな貫通孔、または孔の開いていない窪みや印などを設けることもできる。
【0113】
さらに、上記全ての実施例では、支保工固定具90にパイプクランプなどが用い、支保工固定具90に支保工96を固定したが、支保工固定具としてパネル固定具82の頭部に番線などを取り付けたものを用い、その番線などで支保工96を固定することもできる。
【0114】
また、上記全ての実施例では、平面部16、64、キャップ14およびアダプタ平面部116の表面をそれぞれ耐候性樹脂層34、66、126で覆ったが、この樹脂層126、66、34を設けなくてもよい。
【0115】
さらに、上記全ての実施例では、開水路80の底面を覆うパネル10、12、112と開水路80の側面を覆うパネル10、12、112との間にハンチ部材94を取り付けたが、開水路80など既設構造物の形状によっては、ハンチ部材94を取り付けなくてもよい。そして、このハンチ部材94においてその端面の角度を45度に傾斜させたが、これに限定されず、端面を傾斜させなくてもよい。
【0116】
また、上記全ての実施例では、支保用パネル10および非支保用パネル12、112を開水路80に固定したが、非支保用パネル12、112を開水路80に固定せずに、支保用パネル10だけを開水路80に固定することもできる。この場合、開水路80に支保工固定具90で固定された支保用パネル10に非支保用パネル12、112を連結することにより、非支保用パネル12、112は開水路80の内面に間隔を隔てて配置される。
【0117】
さらに、パネル固定具82および支保工固定具90の取り付ける位置および個数は、裏込め材98の充填などによりパネル10、12、112が浮き上がらないように設定される。
【0118】
そして、2つの非支保用パネル12、112を連結した連結体の両端のそれぞれに支保用パネル10を連結したが、1つの非支保用パネル12、112のそれぞれに支保用パネル10を連結することもできるし、また、3つ以上の非支保用パネル12、112を連結した連結体の両端のそれぞれに支保用パネル10を連結することもできる。
【0119】
さらに、上記全ての実施例では、止水材として2つのリップ48を互いに向かい合うように取り付けたが、止水材を1つのリップで中空に形成することもできる。そして、この止水材としてリップの代わりにエラストマなどを用いることもできる。また、止水材を連結部20、42およびパネル接合部54に設けたが、連結部18、46およびキャップ接合部68に設けることもできる。
【0120】
また、上記全ての実施例では、キャップ14を第1窪み部22に嵌めて、キャップ14で第1窪み部22を覆ったが、第1窪み部22を覆うものであれば、キャップ14に限定されず、充填材などを用いることもできる。
【0121】
さらに、上記全ての実施例では、第1窪み部22の支保取付部50に支保工固定具90を取り付けたが、この支保取付部50にパネル固定具82を取り付けることもできる。また、第2窪み部24にパネル取付部61を設けて、このパネル取付部61にパネル固定具82を取り付けることもできる。
【符号の説明】
【0122】
10…支保用パネル
12、112…非支保用パネル
14…キャップ
16…第1平面部
18…第1連結部
20…第2連結部
22…第1窪み部
26…第1端
28…第2端
40…第3端
42…第4連結部
44…第4端
46…第3連結部
50…支保取付部
52、102、107b…パネル係止部
56、102a、107bb…鉤部
72…第2平面部
80…開水路
90…支保工固定具
96…支保工
98…裏込め材
114…アダプタ
116…アダプタ平面部
118、128…第1アダプタ連結部
120、134…第2アダプタ連結部
122…第1アダプタ端
124…第2アダプタ端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面部と前記平面部の両端のそれぞれに設けられる第1パネル連結部および第2パネル連結部とを有するパネル部材を連結して更生パネルを形成する既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネルであって、
第1端および第2端を含み、かつ表面が平らな第1平面部、
第1平面部より窪み、かつキャップを嵌めて覆うるようにされる第1窪み部、
前記第1窪み部に設けられ、前記キャップが前記第1窪み部を覆った際に前記キャップの表面を前記第1平面部の表面と面一とするパネル接合部、
前記第1窪み部に設けられ、当該支保用パネルを介して既設構造物に固定される支保工固定具が取り付けられる支保取付部、
前記第1端に形成される第1連結部、および
前記第2端に形成される第2連結部を備える、支保用パネル。
【請求項2】
前記第1窪み部から突出するパネル係止部、および
前記パネル係止部の先端に設けられる鉤部をさらに備える、請求項1記載の支保用パネル。
【請求項3】
平面部と前記平面部の両端のそれぞれに設けられる第1パネル連結部および第2パネル連結部とを有するパネル部材を連結して更生パネルを形成する既設構造物の面の更生方法に用いられる支保用パネルであって、
第1端および第2端を含み、かつ表面が平らな第1平面部、
第1平面部より窪む第1窪み部、
前記第1窪み部に設けられ、当該支保用パネルを介して既設構造物に固定される支保工固定具が取り付けられる支保取付部、
前記第2端に形成され、前記第1平面部より窪む第2窪み部、
前記第2窪み部に形成され、パネル固定具が取り付けられるパネル取付部、
前記第1端に形成される第1連結部、および
前記第2端に形成される第2連結部を備える、支保用パネル。
【請求項4】
平面部と前記平面部の両端のそれぞれに設けられる第1パネル連結部および第2パネル連結部とを有するパネル部材を連結して更生パネルを形成する既設構造物の面の更生方法に用いられるアダプタであって、
第1アダプタ端および第2アダプタ端を含み、かつ表面が平らなアダプタ平面部、
前記第1アダプタ端に形成され、前記第1パネル連結部に接続される第1アダプタ連結部、および
前記第2アダプタ端に形成され、前記第2パネル連結部に接続される第2アダプタ連結部を備え、
前記第1アダプタ端と前記第2アダプタ端とが互いに傾斜し、かつ前記第1アダプタ連結部と前記第2アダプタ連結部とが互いに接続可能に形成され、複数の当該アダプタを連結させることにより当該アダプタの連結体の傾斜角度が調整可能である、アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−72652(P2012−72652A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251227(P2011−251227)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【分割の表示】特願2007−106801(P2007−106801)の分割
【原出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(505142964)クボタシーアイ株式会社 (192)
【Fターム(参考)】