説明

支持アーム及び画像表示装置

【課題】画像表示部を支持する支持アームにおいて、上下方向に回動するアーム部をロックすることができる支持アームを提供する。
【解決手段】画像表示装置の装置本体に表示部27を支持する表示部支持アーム28であって、一端部が前記装置本体に設けられた第一アーム部29と、一端部が前記第一アーム部29の他端部に設けられ、第一アーム部29に対して上下方向に回動可能な第二アーム部30と、一端部が前記第二アーム部30の他端部に設けられ、他端部に前記表示部27が設けられた第三アーム部31と、を有し、前記第一アーム部29には、先端部に鉤状部32aを有する棒状の係止部材32が設けられており、前記第三アーム部31の一端部側には、前記鉤状部32aが係止する被係止穴49が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の装置本体に画像表示部を支持する支持アーム及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の一例として、被検体に送信された超音波のエコー信号に基づいて作成された超音波画像を表示する超音波画像表示装置が知られている。この超音波画像表示装置は、装置本体の下部に車輪が設けられており、容易に移動可能となっている。
【0003】
近年、画像表示部としては、CRT(Cathode Ray Tube)からLCD(Liquid Crystal Display)などの薄型のディスプレイへ移行しつつあり、軽量化が進んでいる。この軽量化に伴い、前記画像表示部を複数のアームからなる支持アームを介して前記装置本体に設け、この支持アームにより前記画像表示部の位置を変えることができるようになった。例えば、特許文献1では、第一アーム部と第二アーム部と第三アーム部とからなる支持アームを介して前記画像表示部が装置本体に設けられている。
【0004】
前記特許文献1においては、前記第一アーム部が装置本体に対して水平方向に回動可能に設けられ、前記第二アーム部が前記第一アーム部に対して水平方向に回動可能に設けられ、前記第三アーム部が前記第二アーム部に対して水平方向に回動可能に設けられている。このような構造により、操作者等が画像を見やすい位置まで前記画像表示部を移動させることが可能となっている。
【0005】
しかし、前記画像表示部の移動が可能になったことにより、超音波画像表示装置を移動させる際に、振動や揺れなどによって前記画像表示部が動いて壁などに衝突するおそれがある。そこで、特許文献1では、前記第一アーム部に設けられたフックを、前記第二アーム部に設けられた嵌合部に嵌合させることによって、前記第一アーム部に対する前記第二アーム部の回動がロック(lock)され、また前記フックが前記嵌合部に嵌合することにより、この嵌合部に設けられたロッドが前記第三アーム部に設けられたロッド穴に突出して前記第二アーム部に対する前記第一アーム部の回動がロックされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−1429331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に開示された支持アームの構造では、前記第一、前記第二及び前記第三アーム部がいずれも水平方向にしか回動しない。従って、前記各アーム部のロック構造も水平方向への回動を前提とした構造になっており、上下方向に回動するアーム部をロックすることができる構造になっていない。そこで、本願発明者は、上下方向に回動するアーム部をロックすることができる構造について鋭意検討した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するためになされた発明は、画像表示装置の装置本体に画像表示部を支持する支持アームであって、一端部が前記装置本体に設けられた第一アーム部と、一端部が前記第一アーム部の他端部に設けられ、該第一アーム部に対して上下方向に回動可能な第二アーム部と、一端部が前記第二アーム部の他端部に設けられ、他端部に前記画像表示部が設けられた第三アーム部と、を有し、前記第一アーム部には、先端部に鉤状部を有する棒状の係止部材が設けられており、前記第三アーム部の一端部側には、前記鉤状部が係止する被係止穴が設けられている、ことを特徴とする支持アームである。
【0009】
また、他の発明は上述の発明に係る支持アームを有し、この支持アームにより、画像表示部が装置本体に支持されている画像表示装置であって、前記装置本体が、筐体部と、該筐体部よりも上方に設けられた取付部に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記筐体部の上方において装置前後方向に延びるアームと、該アームの先端側に設けられた操作パネルと、を含んでおり、前記取付部は、前記アームが水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記筐体部の上面から所定の高さの位置に設けられていることを特徴とする画像表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
上記発明に係る支持アーム及びこの支持アームを有する画像表示装置によれば、前記第三アーム部に設けられた前記被係止穴に、前記第一アーム部に設けられた前記係止部材の鉤状部が係止することにより、上下方向に回動可能な前記第二アーム部と、この第二アーム部に設けられて第二アーム部と共に上下方向に回動可能な前記第三アーム部とを、前記第一アーム部に対してロックすることができる。
【0011】
また、上記他の発明に係る画像表示装置によれば、前記アームを回動させることにより、このアームの先端側に設けられた前記操作パネルを上下動させることができる。そして、前記アームは、前記筐体部よりも上方に設けられた取付部に取り付けられて装置前後方向に延び、前記筐体部の上方において上下方向に回動するようになっているので、画像表示装置の奥行(装置前後方向の長さ)を抑制することができる。しかも、前記アームは、水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なので、前記アームの回動による装置前後方向における前記操作パネルの位置の差が小さくなる。以上より、前記画像表示装置の奥行が抑制されて、省スペースでの設置が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の一例の超音波画像表示装置を示す正面図である。
【図2】図1に示す超音波画像表示装置の側面図である。
【図3】図1に示す超音波画像表示装置の平面図である。
【図4】図1に示す超音波画像表示装置を背面側から見た斜視図である。
【図5】図1に示す超音波画像表示装置におけるアームの回動角度の説明図である。
【図6】図1に示す超音波画像表示装置におけるアームのリンク機構の説明図であり、(A)はアームが水平位置にある状態の図、(B)はアームが最上位位置にある状態の図、(C)はアームが最下位位置にある状態の図である。
【図7】表示部支持アームの側面図である。
【図8】係止部材が被係止穴に係止した状態の表示部支持アームの側面図である。
【図9】第一アーム部の一部拡大平面図である。
【図10】第一アーム部の内部を示す概略図であり、係止部材が係止位置にある状態を示す図である。
【図11】第一アーム部の内部を示す概略図であり、係止部材が収納位置にある状態を示す図である。
【図12】第一アーム部の載置面を示す平面図である。
【図13】アームが最上位位置にある状態の超音波画像表示装置を示す右側面図である。
【図14】アームが最下位位置にある状態の超音波画像表示装置を示す右側面図である。
【図15】操作者がしゃがんでスキャンを行なう時の様子を説明するための図であり、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図16】操作パネルを水平方向に回動させた状態の超音波画像表示装置を示す斜視図である。
【図17】キャスター取付部材がベッドの下に入り込むようにして配置された超音波画像表示装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図1〜図17に基づいて説明する。図に示す超音波画像表示装置1は、被検体に送信された超音波のエコー信号に基づいて作成された医用画像としての超音波画像を表示する装置であり、本発明に係る画像表示装置の実施の形態の一例である。この超音波画像表示装置1の装置本体1Aは、略直方体形状の筐体部2を備えている。また、装置本体1Aは、前記筐体部2の他、後述のアーム取付部材12、アーム13及び操作パネル22等を備え、この操作パネル22に後述の表示部支持アーム28を介して表示部27が設けられている。
【0014】
前記筐体部2内には、超音波プローブ(図示省略)から超音波を送受信して得られたエコー信号を演算処理して超音波画像データを作成する演算処理部を含む回路基板等が収納されている。
【0015】
前記筐体部2の四つの側面3(上面4と下面5以外の面)のうち、操作者が操作パネル22において操作を行なう側の面を正面6とする。従って、前記筐体部2の四つの側面3のうち、符合7は右側面、符合8は左側面である。
【0016】
ちなみに、以下の説明では、前記超音波画像表示装置1において、前記筐体部2の正面6側を前記超音波画像表示装置1の正面側Fといい、前記右側面7側を前記超音波画像表示装置1の右側面側Rといい、前記左側面8側を前記超音波画像表示装置1の左側面側Lというものとする。また、前記正面側Fと対向する側を前記超音波画像表示装置1の背面側Bというものとする。
【0017】
前記筐体部2の前記右側面7には、前記超音波プローブを接続するためのコネクタ9が複数設けられている(本例では五つ)。このように前記コネクタ9は、前記右側面7に設けられているので、前記正面6に設けられる場合と比べて、前記筐体部2の幅(横幅)を抑制することができるようになっている。ちなみに、前記コネクタ9は、前記左側面8に設けられていてもよい。
【0018】
前記筐体部2の下部には、この筐体部2の側方へ突出するようにしてキャスター取付部材10が四つ設けられている。本例では、このキャスター取付部材10は、前記筐体部2の右側面7及び左側面8に二つずつ設けられている。そして、前記各キャスター取付部材10には、前記超音波画像表示装置1を設置面において支持するキャスター11が一つずつ取り付けられている。
【0019】
ちなみに、前記筐体部2の側方とは、前記超音波画像表示装置1の周囲の方へという意味である。従って、前記キャスター取付部材10の突出方向は、前記超音波画像表示装置1の周囲の360°いずれの方向であってもよい。本例では、前記キャスター取付部材10は、前記筐体部2の右側面7及び左側面8に対し、平面視で前記正面側F及び前記背面側Bの方へ斜め方向に突出している。
【0020】
前記キャスター取付部材10は、基端部10a側から先端部10b側へ向かって斜め上方へ傾斜する傾斜部10cを有しており、前記超音波画像表示装置1の設置面からの前記先端部10bの高さ位置が前記基端部10aよりも高くなっている。また、前記設置面からの前記先端部10bの高さ位置は、前記筐体部2の下面5よりも高くなっている。
【0021】
ここで、前記キャスター11は、前記先端部10bの下面10b1に取り付けられている。従って、前記筐体2の下面5よりも、前記キャスター11の取付面である前記下面10b1の方が、前記設置面からの高さ位置が高くなっている。これにより、前記筐体部2の下面5を前記設置面により近づけることができるので、前記筐体部2の前記設置面からの高さを抑制することができるようになっている。
【0022】
前記超音波画像表示装置1の装置本体1Aは、背面側Bに平板状のアーム取付部材12を有している。このアーム取付部材12は、前記筐体部2と一体に設けられており、また前記筐体部2の上面4よりも上方へ突出している。前記アーム取付部材12には、筐体部2側の面にアーム13が設けられており、反対側の面には棒状の把持部材14が設けられている。操作者は、前記把持部材14を持って超音波画像表示装置1を押すことにより、この超音波画像表示装置1を移動させることができるようになっている。すなわち、超音波画像表示装置1は可搬性を有している。
【0023】
前記アーム13は、前記アーム取付部材12に設けられた取付部15に上下方向に回動可能に取り付けられている。詳しく説明すると、前記アーム13は、前記取付部15から前記正面側Fに向かって延びるように設けられている。ここで、前記正面側Fは前記超音波画像表示装置1の前面側であり、前記背面側Bは前記超音波画像表示装置1の後面側である。従って、前記アーム13は、前記超音波画像表示装置1の前後方向(装置前後方向)に延びているということもできる。前記アーム13の長さは、前記筐体部2の奥行(前後方向の長さ)とほぼ同じ長さになっている。
【0024】
前記取付部15は、前記筐体部2よりも上方に設けられている。従って、前記アーム13は、前記筐体部2の上方に位置している。前記取付部15の高さ位置について説明すると、前記取付部15は、前記筐体部2の上面4から所定の高さの位置に設けられている。この所定の高さは、前記アーム13を、水平方向に位置する水平位置Xよりも下方へ回動可能とするための空間部16が、前記筐体部2の上方に形成される高さに設定されている。
【0025】
ここで、前記アーム13の回動角度について説明する。前記アーム13は、図5に示すように水平方向に位置する水平位置Xから、上方と下方に同じ角度θ°だけ回動するようになっている。前記アーム13が前記水平位置Xから上方へθ°回動した最上位位置をY、前記水平位置Xから下方へθ°回動した最下位位置をZとする。このように、前記アーム13が水平位置Xから上方と下方に同じ角度回動するようになっているので、前記アーム13の先端に取り付けられた操作パネル22の前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zにおける装置前後方向の位置は同じ位置になっている。また、前記水平位置Xにおける前記操作パネル22の装置前後方向の位置は、前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zよりも前記正面側Fの方向になっている。
【0026】
また、前記アーム13は、前記水平位置Xから上方と下方に同じ角度θ°だけ回動するようになっているので、仮に前記アーム13が前記水平位置Xよりも上方のみ又は下方のみに回動するようになっている場合と比べると、前記水平位置Xと前記最上位位置Y及び前記最下位位置Zとの装置前後方向の位置の差が小さくなる。
【0027】
ちなみに、図1〜図4では、前記アーム13が前記水平位置Xにある状態が図示されている。また、後述の図13では、前記アーム13が前記最上位位置Yにある状態が図示され、後述の図14では、前記アーム13が前記最下位位置Zにある状態が図示されている。
【0028】
ここで、前記アーム13の先端には、後述するように操作パネル22が取り付けられている。前記アーム13が前記最上位位置Yまで回動した状態においては、操作パネル22は、設置面から120〜130cmの位置にあることが望ましい。また、前記アーム13が前記最下位位置Zまで回動した状態においては、前記操作パネル22は、設置面から60cm程度の位置にあることが望ましい。前記水平位置Xは、前記最上位位置Yと前記最下位位置Zとの中間の位置である。
【0029】
前記アーム13は、基端側の第一部材17と先端側の第二部材18とで構成されている。前記第一部材17は、上部材17aと下部材17bとで構成されている。より詳細に説明すると、図6(A)〜(C)に示すように、前記上部材17a及び前記下部材17bは、両端部が前記アーム取付部材12の軸支部19a,19bと前記第二部材18の軸支部20a,20bに軸支された平行リンク機構を構成している。そして、前記上部材17aの前記第二部材18側の軸支部20aと前記下部材17bの前記アーム取付部材10側の軸支部19bとが、ガススプリング21によって接続されている。なお、図6は説明のための概念図になっている。
【0030】
前記ガススプリング21により、前記アーム13の位置が固定されるようになっている。具体的には、前記ガススプリング21は、そのシャフト21aのスライドがロックされるロック機構(図示省略)を有している。そして、前記ガススプリング21は、前記シャフト21aの動きがロックされた状態で、前記軸支部20aと前記軸支部19bとを押圧するようになっており、これにより、前記アーム13の位置が固定されるようになっている。
【0031】
前記シャフト21aは、操作パネル22に設けられたボタン(図示省略)を押した状態で前記ロック機構が解除されてスライド可能になり、これにより図6(A)〜(C)に示すように、前記アーム13が回動できるようになる。そして、前記ボタンの押圧を解除すると、前記シャフト21aがロックされ、前記アーム13の位置が固定される。
【0032】
前記第二部材18の先端には、操作パネル22が設けられている。従って、このような位置に設けられた前記操作パネル22は、前記超音波画像表示装置1の正面側Fに位置する。
【0033】
前記第二部材18は、前記操作パネル22の下面に設けられており、またこの操作パネル22は、前記第二部材18に対して水平方向に回動可能に設けられている。
【0034】
前記操作パネル22上には、キーボード、操作ボタン、トラックボール等の操作具23が設けられている。操作具23は、前記操作パネル22の上面に全て設けられている。また、前記操作パネル22には、タッチパネル式のサブディスプレイ24が設けられている。このサブディスプレイ24には、例えば操作用のボタン等が表示されるようになっている。
【0035】
前記操作パネル22の左右両側には、前記超音波プローブを保持するプローブホルダ25が複数設けられている。また、前記操作パネル22の右側には、ゲル容器を保持するゲルホルダ26が設けられている。
【0036】
前記操作パネル22の一部分には、上方へ立ち上がる立ち上がり部22aが形成されている。この立ち上がり部22aは、前記アーム13の上方に形成されている。そして、前記立ち上がり部22aの下面側は、傾斜面22bとなっており、この傾斜面22bは、前記アーム13を下方へ回動させる際に、このアーム13と前記操作パネル22とが干渉しないように形成されている。
【0037】
前記操作パネル22には、超音波画像を表示する表示部27が表示部支持アーム28を介して取り付けられている。前記表示部27は、LDCディスプレイであり、本発明における画像表示部の実施の形態の一例である。また、前記表示部支持アーム28は、本発明に係る支持アームの実施の形態の一例である。
【0038】
前記表示部支持アーム28について、特に図7〜図12を参照して説明する。なお、図7〜図12では前記装置本体1Aは図示省略されている。前記表示部支持アーム28は、前記操作パネル22の上面側に取り付けられ、第一アーム部29、第二アーム部30、第三アーム部31からなる。前記第一アーム部29は、その一端部が前記操作パネル22の立ち上がり部22aに水平方向に回動可能に設けられている。また、前記第一アーム部29は、前記操作パネル22から上方へ延び、また上方へアーチ状に形成されており、これにより、前記アーム13が前記最下位位置Zにある状態においても、前記アーム取付部材12及び前記アーム13と、前記第一アーム部29とが干渉しないようになっている(図14参照)。
【0039】
前記第一アーム部29には、前記第二及び前記第三アーム部30,31と対向する側の面から突出する棒状の係止部材32が設けられている。この係止部材32は、先端部に鉤状部32aを有している。この鉤状部32aは、後述の被係止穴49に係止するようになっている。
【0040】
前記係止部材32は、図9に示すように、前記第一アーム部29に形成された収納穴33内に設けられている。この収納穴33は、図9に示すように前記第一アーム部29の長手方向に開口部33aが形成されている。前記係止部材32は、前記収納穴33内に回動可能に設けられ、前記開口部33aから出没可能となっている。ちなみに、図9では前記係止部材32は図示省略されている。
【0041】
前記第一アーム29の側面には、回動ツマミ34が設けられている。この回動ツマミ34を回動させることにより、前記係止部材32が、後端側の回動軸32b(図10及び図11参照)を中心にして回動するようになっている。前記係止部材32は、前記鉤状部32aが前記被係止穴49に係止する係止位置(図10)と、前記収納穴33内に収納される収納位置(図11)との間を回動するようになっている。
【0042】
前記係止部材32の後端側と前記収納穴33内に設けられたバネ固定部35との間には、バネ36が設けられている。このバネ36は引っ張りバネである。図10に示すように、前記係止部材32が係止位置にある状態では、この係止部材32は、前記バネ36により、前記第一アーム部29の一端側(前記装置本体1Aの立ち上がり部22a側)に向かって付勢され、係止位置が保持されるようになっている。
【0043】
また、図11に示すように、前記係止部材32が収納位置にある状態では、この係止部材32は、前記バネ36により、前記第一アーム部29の他端側(前記第二アーム部30側)に向かって付勢され、収納位置が保持されるようになっている。
【0044】
前記係止部材32には、リンク37を介してプランジャー(plunger)38が接続されている。このプランジャー38は、前記第一アーム部29の一端側において前記立ち上がり部22aと対向する面に開口するプランジャー穴39内を前進及び後退可能な状態で前記第一アーム部29内に設けられている。
【0045】
前記プランジャー38には、ロッド40が設けられている。このロッド40は、前記プランジャー38内に設けられた内蔵バネ(図示省略)の弾発力によって、前記プランジャー38の先端部分に突出するようになっている。
【0046】
前記プランジャー38は、前記係止部材32が係止位置にある状態では、前記ロッド40が前記プランジャー穴39から突出する位置まで前進するようになっている。一方、前記プランジャー38は、前記係止部材32が収納位置にある状態では、前記ロッド40が前記プランジャー穴39内に没する位置まで後退するようになっている。
【0047】
ここで、前記立ち上がり部22aの上面には、図12に示すように、前記第一アーム部29の一端部が回動可能に挿入されて支持される支持穴41が設けられている。図12において、符号42は、前記立ち上がり部22aの上面において、前記第一アーム部29の一端部が載置される載置面を示している。この載置面42には、前記支持穴41の近傍にロッド突出穴43が設けられている。このロッド突出穴43の位置は、前記第一アーム部29が、前記正面側F及び前記背面側Bの方向を向いた状態(図1〜図4の状態)において、前記ロッド40の位置が一致してこのロッド40が突出可能な位置に設けられている。
【0048】
前記係止部材32が係止位置にあり、なおかつ前記ロッド40が前記ロッド突出穴43上に位置していない場合、前記ロッド40は、前記載置面42によって押圧されて前記プランジャー38内に没している。この状態では、前記第一アーム部29は水平方向に回動可能な状態にある。一方、前記係止部材32が係止位置にあり、なおかつ前記ロッド40が前記ロッド突出穴43に位置すると、前記ロッド40は前記内蔵バネの弾発力によって前記ロッド突出穴43内に突出する。これにより、前記第一アーム部29の水平方向への回動が阻止される。
【0049】
前記第一アーム部29の他端部には、前記第二アーム部30の一端部が設けられている。この第二アーム部30は、前記第一アーム部29から上方へ向かって延びるように形成された水平回動部材45と、上下回動部材46とを有している。前記水平回動部材45は、前記第一アーム部29に水平方向に回動可能に設けられている。前記上下回動部材46は、前記水平回動部材45に上下方向に回動可能に設けられている。従って、前記第二アーム部30は、前記第一アーム部29に対して水平方向及び上下方向に回動可能になっている。
【0050】
前記上下回動部材46内には、図示しないが平行リンク機構が設けられている。この平行リンク機構はバネを有しており、このバネの作用により、前記上下回動部材46は、回動の範囲内の所望の位置において静止するようになっている。
【0051】
前記第二アーム部30の他端部には、前記第三アーム部31が設けられている。この第三アーム部31は、円柱部材47とL字部材48とを有している。前記円柱部材47は、前記水平回動部材45に上下方向に回動可能に設けられている。前記L字部材48は、前記円柱部材47に水平方向に回動可能に設けられている。
【0052】
前記円柱部材47は、この第二アーム部30よりも下方、すなわち前記第一アーム部29側に、前記第二アーム部30側とは反対側の端部が位置しており、この端部に前記L字部材48が垂直に設けられている。これにより、前記L字部材48は、前記第二アーム部30よりも前記係止部材32側に位置する段部を形成している。
【0053】
前記L字部材48は、一端側に被係止穴49が設けられており、他端側に前記表示部27が設けられている。この表示部27は、上下方向に回動できるようにして前記L字部材48に設けられていてもよい。
【0054】
前記被係止穴49は、前記第二アーム部30の上下方向への回動によって、前記係止部材32と対向する位置であって、この係止部材32が係止可能な位置に開口している。本例では、前記被係止穴49は、前記第三アーム部31の一端側の端面31aに開口している。この端面31aは、本発明における対向面の実施の形態の一例である。
【0055】
また、前記被係止穴49は、前記L字部材48の一端側の部分が水平状態である場合に、前記鉤状部32aが係止できる角度で設けられている。そして、前記第一アーム部29と前記第二及び前記第三アーム部30,31とが互いに対向し、前記各アーム部29〜31が、平面視で直線状に並んだ状態で、前記被係止穴49に前記鉤状部32aが係止するようになっている。
【0056】
前記L字部材48の一端側には、前記被係止穴49の下方に、ガイド面50が設けられている。そして、前記係止部材32よりも上方の位置にある前記L字部材48が、下方へ移動するように前記第二アーム部30を下方へ回動させた時に、前記鉤状部32aが前記ガイド面50に当接し、このガイド面50上を滑って前記被係止穴49へガイドされるようになっている。
【0057】
さて、本例の超音波画像表示装置1の作用について説明する。超音波画像表示装置1を移動させる場合、前記表示部支持アーム28をロックして前記表示部27の位置を固定させる。具体的に説明すると、前記第一アーム部29と前記第二アーム部30及び前記第三アーム部31とが対向して平面視で直線状に並んだ状態に位置させて、前記鉤状部32aを前記被係止穴49に係止させる(図8参照)。このように前記鍔状部32aを前記被係止穴49に係止するのみで、前記第二アーム部30の水平方向及び上下方向への回動が阻止されるとともに、前記第三アーム部31の水平方向及び上下方向への回動が阻止される。
【0058】
また、前記係止部材32が前記収納穴33から突出して係止位置にある状態において、前記第一アーム部29を水平方向に回動させて、前記正面側F及び前記背面側Bの方向を向いた状態にすると、前記プランジャー38のロッド40が前記ロッド突出穴43内に突出して前記第一アーム部29の水平方向への回動が阻止される。以上により、前記表示部支持アーム28がロックされて前記表示部27を、その表示面27aが前記正面6を向いた位置に固定することができる。
【0059】
また、本例の超音波画像表示装置1によれば、前記アーム13の回動とともに、前記操作パネル22及び前記表示部27の高さ位置が変わる。操作者は、超音波のスキャン時における姿勢に応じて、前記操作パネル22及び前記表示部27の高さ位置を設定する。
【0060】
詳しく説明すると、操作者が立った状態や椅子に座った状態のほか、しゃがんだ状態で前記操作パネル2の操作や超音波のスキャンを行なう場合にも対応した高さ位置に、前記操作パネル22及び前記表示部27が位置する。具体的には、操作者が立った状態の場合、前記アーム13を、図13に示すように前記最上位位置Yまで回動させ、前記操作パネル22及び前記表示部27の高さ位置が最も高い状態とする。また、操作者が椅子に座った状態の場合、前記アーム13を、図1〜図4に示すように前記水平位置Xに位置させる。さらに、操作者がしゃがんだ状態の場合、前記アーム13を図14に示すように前記最下位位置Zまで回動させ、前記操作パネル22及び前記表示部27の高さが最も低い状態とする。
【0061】
ここで、前記アーム13を前記最下位位置Zまで回動させた時における前記超音波画像表示装置1の使用状態の一例について図15に基づいて説明する。この図15において、60はベッドであり、このベッド60の上に被検体Pが足を投げ出すようにして座っている。このような姿勢の被検体Pの足首などを超音波プローブ61(図15(A)のみ図示)によってスキャンする場合、操作者Oはしゃがんだ状態で被検体Pと向き合ってスキャンを行なう。前記超音波画像表示装置1は、被検体Pと向き合っている操作者Oの左側に置かれている(図15では、前記操作パネル22のみ仮想線で示されている)。ただし、図15に示された操作者Oの体勢や前記超音波画像表示装置1の位置及び向きなどは一例であり、図示されたものに限定されるものではない。
【0062】
前記アーム13を前記最下位位置Zに位置させることにより、前記操作パネル22の高さ位置が65cm程度になる。従って、操作者がしゃがんだ状態で、前記アーム13を前記最下位位置Zに位置させれば、操作者は無理な体勢をとらずに前記操作パネル27の操作を行なうことができる。また、表示部27の高さ位置も最も低い位置にあり、より見易い位置となる。
【0063】
操作者は、前記操作パネル22が操作者にとって操作し易い方向を向くように、例えば図16に示すように前記操作パネルを22を水平方向に回動させてもよい。
【0064】
以上説明したように、前記アーム13は、前記背面側Bに設けられたアーム取付部材12の取付部15に取り付けられている。この取付部15は、前記筐体部2の上方に設けられており、前記アーム13は装置前後方向に延びるようにして前記筐体部2の上方に設けられて、この筐体部2の上方において上下方向に回動するようになっているので、前記超音波画像表示装置1の奥行(装置前後方向の長さ)を抑制することができる。しかも、前記アーム13は、前記水平位置Xよりも上方及び下方に回動するので、前記アーム13の回動による装置前後方向における前記操作パネル22の位置の差が小さくなる。以上より、前記超音波画像表示装置1の奥行が抑制されて、省スペースでの設置が可能である。
【0065】
また、前記超音波画像表示装置1においては、複数の前記コネクタ9は、前記筐体部2の右側面に設けられているので、この筐体部2の幅を抑制することができる。そして、前記キャスター取付部材10は、前記筐体部2の側方に突出して設けられているので、前記筐体部2の幅を小さくしても、前記超音波画像表示装置1の安定性を確保することができる。また、例えば図17に示すように、前記キャスター取付部材10が前記ベッド60の下に入り込むようにして前記超音波画像表示装置1を配置すれば、この超音波画像表示装置1をベッドサイドにより近づけることができるので、操作者にとって前記操作パネル22の操作性や前記表示部27の視認性を良好にすることができる。また、ベッドサイドのスペースが狭くても設置することができる。
【0066】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したがこれに限られるものではなく、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、上記実施形態において、前記アーム13は、前記水平位置Xから上方への回動角度と前記水平位置Xから下方への回動角度とが、ともにθ°で同じ角度になっているが、前記水平位置Xから上方への回動角度と前記水平位置Xから下方への回動角度とが異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 超音波画像表示装置
1A 装置本体
2 筐体部
4 上面
5 下面
10 キャスター取付部材
10b1 下面(キャスターの取付面)
11 キャスター
12 アーム取付部材
13 アーム
15 取付部
16 空間部
22 操作パネル
27 表示部
28 表示部支持アーム
29 第一アーム部
30 第二アーム部
31 第三アーム部
31a 端面(対向面)
32 係止部材
32a 鉤状部
33 収納穴
49 被係止穴
50 ガイド面
F 正面側
B 背面側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置の装置本体に画像表示部を支持する支持アームであって、
一端部が前記装置本体に設けられた第一アーム部と、
一端部が前記第一アーム部の他端部に設けられ、該第一アーム部に対して上下方向に回動可能な第二アーム部と、
一端部が前記第二アーム部の他端部に設けられ、他端部に前記画像表示部が設けられた第三アーム部と、を有し、
前記第一アーム部には、先端部に鉤状部を有する棒状の係止部材が設けられており、
前記第三アーム部の一端部側には、前記鉤状部が係止する被係止穴が設けられている、
ことを特徴とする支持アーム。
【請求項2】
前記被係止穴は、前記第二アーム部とともに前記第三アーム部が上下方向に回動することによって前記鉤状部が係止可能となる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の支持アーム。
【請求項3】
前記第一アーム部と前記第二及び前記第三アーム部とが対向した状態で前記鉤状部が前記被係止穴に係止することを特徴とする請求項1又は2に記載の支持アーム。
【請求項4】
前記係止部材は、前記第一アーム部において前記第二及び第三アーム部と対向する側の面から突出し、
前記被係止穴は、前記第二アーム部の上下方向への回動によって、前記係止部材と対向する位置であって、該係止部材が係止可能な位置に開口している
ことを特徴とする請求項3に記載の支持アーム。
【請求項5】
前記第三アーム部は、前記第一アーム部と対向する前記第二アーム部よりも前記係止部材側に位置する段部を有し、該段部は前記被係止穴に前記係止部材が係止する係止位置において、前記係止部材と対向する対向面を有しており、該対向面に前記被係止穴が開口することを特徴とする請求項4に記載の支持アーム。
【請求項6】
前記第一、前記第二及び前記第三アーム部が、平面視で直線状に並んだ状態で前記鉤状部が前記被係止穴に係止することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の支持アーム。
【請求項7】
前記第三アーム部には、前記第二アーム部の上下方向への回動によって、前記鉤状部が当接して該鉤状部を前記被係止穴にガイドするガイド面が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の支持アーム。
【請求項8】
前記第一アーム部には、前記係止部材を収納する収納穴が設けられ、
前記係止部材は、前記収納穴から突出して前記鉤状部が前記被係止穴に係止することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の支持アーム。
【請求項9】
前記第二アーム部は、前記第一アーム部の他端部に水平方向に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の支持アーム。
【請求項10】
前記第三アーム部は、前記第二アーム部の他端部に上下方向に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の支持アーム。
【請求項11】
前記第一アーム部は、前記装置本体に水平方向に回動可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の支持アーム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の支持アームを有し、該支持アームにより、画像表示部が装置本体に支持されていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項13】
前記装置本体は、
筐体部と、
該筐体部よりも上方に設けられた取付部に上下方向に回動可能に取り付けられ、前記筐体部の上方において装置前後方向に延びるアームと、
該アームの先端側に設けられた操作パネルと、を含んでおり、
前記取付部は、前記アームが水平となる位置よりも上方及び下方へ回動可能なように、前記筐体部の上面から所定の高さの位置に設けられている
ことを特徴とする請求項12に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記取付部は、前記筐体部の上面よりも上方へ突出するアーム取付部材に設けられていることを特徴とする請求項13に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記アーム取付部材は、前記画像表示装置の背面側に設けられており、前記アームは、背面側から正面側に延びるように設けられていることを特徴とする請求項14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記アームの回動を確保するための空間部が前記筐体部の上方に形成されるように、前記筐体部の上面からの前記取付部の高さが設定されていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項17】
前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが同じになっていることを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記アームは、水平位置から上方への回動角度と、水平位置から下方への回動角度とが異なっていることを特徴とする請求項13〜16のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記画像表示装置を設置面において支持するキャスターが、前記筐体部の側方に突出して設けられたキャスター取付部材に取り付けられていることを特徴とする請求項13〜18に記載の画像表示装置。
【請求項20】
前記筐体部の下面よりも前記キャスター取付部材における前記キャスターの取付面の高さ位置が高くなっていることを特徴とする請求項19に記載の画像表示装置。

【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図15】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−151299(P2012−151299A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9155(P2011−9155)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】