説明

支持装置、光学装置及びカメラシステム

【課題】視野を水平の状態に光学装置を容易に保持することができる支持装置を提供する。
【解決手段】光学系(L)を有する光学装置(2)を光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持部(4a)と、光学装置の支持部に対する回転を規制する規制部(4c)と、光学系による像の範囲を矩形に規定した視野の傾きに応じて規制部の規制力を制御する制御部(40)と、を有することを特徴とする支持装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置をその光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持装置、該支持装置を有する光学装置及びカメラシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズ鏡筒の外周に光学系の光軸まわりに回転可能に設けられた三脚座が知られている。この三脚座は、クリック手段により撮影する構図を変更可能な第1三脚座回転筒と、レンズ鏡筒を任意の位置で固定可能な第2三脚座回転筒とを有している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−227535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の三脚座はレンズ鏡筒を任意の位置で固定するので視野を水平の状態にレンズ鏡筒を保持するのが困難であった。
【0005】
また、三脚座が固定される三脚の雲台が水平でないと、クリック手段による構図変更後の視野が水平にならないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、視野を水平の状態に光学装置を容易に保持することができる支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、光学系(L)を有する光学装置(2)を前記光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持部(4a)と、前記光学装置の前記支持部に対する回転を規制する規制部(4c)と、前記光学系による像の範囲を矩形に規定した視野の傾きに応じて前記規制部の規制力を制御する制御部(40)と、を有することを特徴とする支持装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の支持装置において、前記制御部は、前記視野の傾きが第1の状態の場合に、該第1の状態とは異なる第2の状態よりも大きい規制力を発生させることを特徴とする支持装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の支持装置において、前記第1の状態であるときの前記視野の傾きを記憶する記憶部(42)を有することを特徴とする支持装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載の支持装置において、前記制御部は、前記視野の一辺が水平である状態を前記第1の状態とすることを特徴とする支持装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の支持装置において、前記光学装置は、前記光学系による像を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像動作を起動する起動部材(3a)とを有し、前記制御部は、前記起動部材が操作されることにより前記規制部の規制力を制御可能とすることを特徴とする支持装置である。
【0012】
請求項6の発明は、光学系(L)を有する鏡筒(2)と、前記鏡筒を前記光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持部(4a)と、前記鏡筒の前記支持部に対する回転を規制する規制部(4c)と、前記光学系による像の範囲を矩形に規定した視野の傾きに応じて前記規制部の規制力を制御する制御部(40)と、
を有することを特徴とする光学装置である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載の光学装置において、前記制御部は、前記視野の傾きが第1の状態の場合に、該第1の状態とは異なる第2の状態よりも大きい規制力を発生させることを特徴とする光学装置である。
【0014】
請求項8の発明は、光学系(L)を有する鏡筒(2)と、前記鏡筒を前記光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持部(4a)と、前記鏡筒の前記支持部に対する回転を規制する規制部(4c)と、前記光学系による像の範囲を矩形に規定した視野の傾きを検出する検出部(3c)と、前記検出部により検出した前記視野の傾きに応じて、前記規制部の規制力を制御する制御部(40)と、を有することを特徴とするカメラシステムである。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8に記載のカメラシステムにおいて、前記制御部は、前記視野の傾きが第1の状態の場合に、該第1の状態とは異なる第2の状態よりも大きい規制力を発生させることを特徴とするカメラシステムである。
【0016】
請求項10の発明は、請求項8または9に記載のカメラシステムにおいて、前記光学系による像を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像動作を起動する起動部材(3a)と、を有し、前記制御部は、前記起動部材が操作されることにより前記規制部の規制力を制御可能とすることを特徴とするカメラシステムである。
【0017】
なお、本発明を分かり易く説明するために一実施形態を表す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、実施形態に開示された構成の少なくとも一部を他の構成物に代替させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る支持装置を有する光学装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る支持装置の制御系統を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る支持装置の制御を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る支持装置の制御系統を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る支持装置の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る支持装置を備える光学装置の概略的な構成を示す図である。光学装置は、光学系Lを備えるレンズ鏡筒2と、レンズ鏡筒2を光学系Lの光軸Oまわりに回転可能に支持する三脚座4とを有している。そして、レンズ鏡筒2はマウント部(不図示)を介してカメラボディ3に着脱可能に装着されている。
【0020】
レンズ鏡筒2の光学系Lは、光学系Lの焦点位置を調節するフォーカシングレンズ2bを有している。このフォーカシングレンズ2bは、光学系Lの光軸O方向(図1のZ軸方向)に移動可能となっており、レンズ鏡筒2に設けられたモータ2cにより駆動される。これにより、光学系Lの焦点位置が調節される。
【0021】
また、レンズ鏡筒2の外周には、三脚座4に設けられた支持枠4aが嵌装されている。この支持枠4aは、レンズ鏡筒2を光学系Lの光軸Oまわりに回転可能に支持しており、取付部4bにより三脚5の雲台5aに取り付けられている。これにより、レンズ鏡筒2が三脚座4を介して三脚5に支持されている。
【0022】
支持枠4aの外周には、レンズ鏡筒2の支持枠4aに対する回転を規制可能な規制装置4cと、規制装置4cによるレンズ鏡筒2の回転の規制を解除する解除スイッチ4dとが設けられている。規制装置4cの規制動作は、カメラボディ3に設けられた後述のレリーズボタン3aにより起動される。
【0023】
規制装置4cは、レンズ鏡筒2の外周に設けられた光軸Oに垂直な面を有する段部2eを押圧する押圧部6bと、押圧部6bを光軸O方向に駆動させるモータ6cとを有している。
【0024】
押圧部6bは、レンズ鏡筒2の段部2eに当接する当接面を有している。押圧部6bは、モータ6cにより光学系Lの物体側(図1の+Z方向)に駆動され、当接面によりレンズ鏡筒2の段部2eを押圧する。このとき、押圧部6bの当接面がレンズ鏡筒2の段部2eを押圧する力は、レンズ鏡筒2の回転を規制する規制力としてレンズ鏡筒2に作用する。この規制力を大きくすることで、レンズ鏡筒2が支持枠4aに対して回転し難くなる。これにより、三脚座4によりレンズ鏡筒2を保持可能となっている。
【0025】
また、押圧部6bが、モータ6cにより光学系Lの像側(図1の−Z方向)に駆動され、当接面によるレンズ鏡筒2の段部2eへの押圧が解除される。これにより、レンズ鏡筒2の支持枠4aに対する回転の規制が解除される。
【0026】
カメラボディ3は、光学系Lによる像を観察するファインダ3bと、視野の傾きを検出する傾きセンサ3cと、撮像部(不図示)による撮像動作を起動するレリーズボタン3aとを有している。カメラボディ3は、レンズ鏡筒2とともに三脚座4の支持枠4aに対して光学系Lの光軸Oまわりに回転可能となっている。
【0027】
ファインダ3bにより観察される像の範囲(視野)は、カメラボディ3に設けられた視野枠(不図示)により矩形に規定されている。この視野は、カメラボディ3がレンズ鏡筒2とともに三脚座4の支持枠4aに対して回転するのに伴って傾く。これにより、撮影する構図を変更することができる。
【0028】
傾きセンサ3cは、加速度センサ等で構成されている。この傾きセンサ3cは、カメラボディ3が三脚座4の支持枠4aに対して回転した際の視野の傾きを検出する。
【0029】
レリーズボタン3aは、第1ストロークの操作(半押し)によりオンになる第1スイッチと、第1ストロークよりも長い第2ストロークの操作(全押し)によりオンになる第2スイッチとを有している。
【0030】
第1スイッチがオンになると、光学系Lの焦点位置を自動的に調節する自動焦点調節動作(AF)が起動されるとともに、三脚座4の規制装置4cの規制動作が起動される。一方、第2スイッチがオンになると、露光動作が開始されファインダ3bにより観察される視野の像に対応した像が撮像部により撮像される。
【0031】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る支持装置の制御系統を示すブロック図である。
【0032】
レンズ鏡筒2とカメラボディ3とは、レンズ鏡筒2に設けられた電気接点100aとカメラボディ3に設けられた電気接点100bとを介して通信可能となっている。
【0033】
レンズ鏡筒2は、フォーカシングレンズ2bを駆動するモータ2cを制御可能なCPU20を有している。このCPU20は、モータ2cと電気接点100aとに接続されている。
【0034】
カメラボディ3は、カメラボディ3の動作を統括的に制御するCPU30と、信号を三脚座4に無線送信する送信部31とを有している。CPU30は、レリーズボタン3aと、傾きセンサ3cと、送信部31と、電気接点100bとに接続されている。
【0035】
三脚座4は、規制装置4cの制御を行うCPU40と、カメラボディから送信された無線信号を受信する受信部41とを有している。CPU40は、規制装置4cのモータ6cと、解除スイッチ4dと、受信部41とに接続されている。
【0036】
カメラボディ3のレリーズボタン3aが押下され第1スイッチがオンになると、カメラボディ3のCPU30は、位相差検出方式等の焦点検出装置(不図示)により検出された焦点調節状態を電気接点100a、100bを介してレンズ鏡筒2のCPU20に入力する。また、CPU30は、傾きセンサ3cにより検出された視野の傾きを示す信号(以下、傾き信号と称す)とともにレリーズボタン3aの第1スイッチがオンにされたことを示す信号(以下、レリーズ信号と称す)を送信部31により三脚座4に送信する。
【0037】
レンズ鏡筒2のCPU20は、カメラボディ3から入力された焦点調節状態に基づいてモータ2cを制御する。これにより、フォーカシングレンズ2bが光学系Lの光軸方向に駆動して光学系Lの焦点位置が調節される。
【0038】
一方、三脚座4の受信部41は、カメラボディ3から送信された傾き信号とレリーズ信号とを受信し、その信号をCPU40に入力する。そして、CPU40は、レリーズ信号に基づいて規制装置4cの規制動作を起動し、傾き信号に基づいて規制装置4cのモータ6cを制御する。
【0039】
また、規制装置4cの押圧部6bによりレンズ鏡筒2の回転が規制された状態において解除スイッチ4dがオンにされると、CPU40は押圧部6bによるレンズ鏡筒2の回転の規制を解除する。
【0040】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る支持装置の制御を示すフローチャートである。
【0041】
まず、ステップS101において、CPU40は、レリーズボタン3aの第1スイッチがオンであるか否かを判定する。第1スイッチがオンでないと判定された場合には、CPU40による規制装置4cの規制動作が起動されることなく終了する。一方、第1スイッチがオンであると判定された場合には、ステップS102に進む。
【0042】
ステップS102において、CPU40は規制装置4cの規制動作を起動する。
【0043】
ステップS103において、CPU40はレリーズボタン3aの第1スイッチがオフであるか否かを判定する。第1スイッチがオフであると判定された場合には、ステップS104に進む。一方、第1スイッチがオフでないと判定された場合には、ステップS105に進む。
【0044】
ステップS104において、CPU40は規制装置4cの規制動作が起動した状態を維持するためのタイマーをスタートさせる。
【0045】
ステップS105において、CPU40は、受信部41から入力された傾き信号に基づいて視野が水平か否かを判定する。視野が水平でないと判定された場合には、ステップS107に進む。一方、視野が水平であると判定された場合には、ステップS106に進む。
【0046】
ステップS106において、CPU40は、規制装置4cによりレンズ鏡筒2の回転を規制する。このとき、規制装置4cには、視野が水平でない状態よりも大きい規制力が発生する。この規制力は、レンズ鏡筒2を三脚座4に安定して保持できる程度の大きさであればよい。例えば、レンズ鏡筒2を三脚座4に安定して保持でき且つカメラボディ3の傾きを手動で微調整できる程度の大きさにしてもよい。
【0047】
ステップS107において、CPU40はステップS104でスタートさせたタイマーがタイムアウトしたか否かを判定する。タイムアウトしていないと判定された場合には、ステップS108に進む。一方、タイムアウトしたと判定された場合には、ステップS109に進む。
【0048】
ステップS108において、CPU40は解除スイッチ4dがオンであるか否かを判定する。解除スイッチ4dがオンでないと判定された場合には、ステップS105に戻る。一方、解除スイッチ4dがオンであると判定された場合には、ステップS109に進む。
【0049】
ステップS109において、CPU40は、規制装置4cによるレンズ鏡筒2の回転の規制を解除し、規制装置4cの規制動作を終了する。
【0050】
以上説明した第1の実施形態によれば、三脚座4は、光学系Lを有するレンズ鏡筒2を光学系Lの光軸Oまわりに回転可能に支持する支持枠4aと、レンズ鏡筒2の支持枠4aに対する回転を規制する規制装置4cと、光学系Lによる像の範囲を矩形に規定した視野の傾きに応じて規制装置4cの規制力を制御するCPU40とを有するので、レンズ鏡筒2の視野を水平の状態に容易に保持することができるという効果を得ることができる。
【0051】
次に、本発明の第2の実施形態の説明をする。
【0052】
第1の実施形態では、視野が水平の状態の場合にレンズ鏡筒2の回転を規制するようにしていたが、第2の実施形態では、視野の傾きが予め記憶した傾きに一致した場合にレンズ鏡筒2の回転を規制するものである。
【0053】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る支持装置の制御系統を示すブロック図である。第1の実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0054】
三脚座4は、傾きセンサ3cにより検出された視野の傾きを記憶するメモリ42と、メモリ42に視野の傾きを記憶する記憶スイッチ4eとを有している。メモリ42と記憶スイッチ4eはCPU40に接続されている。
【0055】
記憶スイッチ4eは三脚座4の支持枠4aの外周に設けられている(不図示)。視野の傾きが使用者の意図する傾きになったときにこの記憶スイッチ4eをオンにすると、CPU40によりその視野の傾きがメモリ42に記憶される。
【0056】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る支持装置の制御を示すフローチャートである。
【0057】
まず、ステップS201において、CPU40は記憶スイッチ4eがオンであるか否かを判定する。記憶スイッチ4eがオンでないと判定された場合には、ステップS203に進む。一方、記憶スイッチ4eがオンであると判定された場合には、ステップS202に進む。
【0058】
ステップS202において、CPU40は傾き信号に基づいて記憶スイッチ4eがオンにされた時点における視野の傾きをメモリ42に記憶し、ステップS204に進む。
【0059】
ステップS203において、CPU40はレリーズボタン3aの第1スイッチがオンであるか否かを判定する。第1スイッチがオンでないと判定された場合には、規制装置4cの規制動作が起動されることなく終了する。一方、第1スイッチがオンであると判定された場合には、ステップS204に進む。
【0060】
ステップS204において、CPU40は規制装置4cの規制動作を起動し、ステップS205に進む。
【0061】
ステップS205において、CPU40はレリーズボタン3aの第1スイッチがオフであるか否かを判定する。第1スイッチがオフでないと判定された場合には、ステップS207に進む。一方、第1スイッチがオフであると判定された場合には、ステップS206に進む。
【0062】
ステップS206において、CPU40は規制装置4cの規制動作が起動した状態を維持するためのタイマーをスタートさせる。
【0063】
ステップS207において、CPU40はメモリ42に視野の傾きが記憶されているか否かを判定する。メモリ42に視野の傾きが記憶されていないと判定された場合には、ステップS209に進む。一方、メモリ42に視野の傾きが記憶されていると判定された場合には、ステップS208に進む。
【0064】
ステップS208において、CPU40は傾き信号に基づいて視野の傾きがメモリ42に記憶された傾きに一致しているか否かを判定する。視野の傾きがメモリ42に記憶された傾きに一致していないと判定された場合には、ステップS211に進む。一方、視野の傾きがメモリ42に記憶された傾きに一致していると判定された場合には、ステップS210に進む。
【0065】
ステップS209において、CPU40は傾き信号に基づいて視野が水平であるか否かを判定する。視野が水平でないと判定された場合には、ステップS211に進む。一方、視野が水平であると判定された場合には、ステップS210に進む。
【0066】
ステップS210において、CPU40は規制装置4cによりレンズ鏡筒2の回転を規制する。このとき規制装置4cに発生する規制力はレンズ鏡筒2を三脚座4に安定して保持できる程度の大きさであればよい。例えば、レンズ鏡筒2を三脚座4に安定して保持でき且つカメラボディ3の傾きを手動で微調整できる程度の大きさにしてもよい。
【0067】
ステップS211において、CPU40はステップS206でスタートさせたタイマーがタイムアウトしたか否かを判定する。タイムアウトしていないと判定された場合には、ステップS212に進む。一方、タイムアウトしたと判定された場合には、ステップS213に進む。
【0068】
ステップS212において、CPU40は解除スイッチ4dがオンであるか否かを判定する。解除スイッチ4dがオンでないと判定された場合には、ステップS207に戻る。一方、解除スイッチ4dがオンであると判定された場合には、ステップS213に進む。
【0069】
ステップS213において、CPU40は、規制装置4cによるレンズ鏡筒2の回転の規制を解除し、規制装置4cの規制動作を終了する。
【0070】
以上説明した第2の実施形態によれば、三脚座4は、光学系Lを有するレンズ鏡筒2を光学系Lの光軸Oまわりに回転可能に支持する支持枠4aと、レンズ鏡筒2の支持枠4aに対する回転を規制する規制装置4cと、光学系Lによる像の範囲を矩形に規定した視野の傾きに応じて規制装置4cの規制力を制御するCPU40と、視野の傾きを記憶するメモリ42とを有するので、使用者が予めメモリ42に記憶した任意の視野の傾きの状態においてレンズ鏡筒2を三脚座4に容易に保持することができるという効果を得ることができる。
【0071】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
【0072】
(1)第1及び第2の実施形態において、規制装置4cの規制動作をカメラボディ3のレリーズボタン3aにより起動する例を説明したが、これに限定されることなく、他の部材により規制装置4cの規制動作を起動するようにしてもよい。
【0073】
例えば、自動焦点調節動作(AF)の動作中に操作することにより自動焦点調節動作を停止する操作部材をカメラボディ3に設け、この操作部材により規制装置4cの規制動作を起動するようにしてもよい。これにより、撮影対象とする被写体位置にピントを合わせた状態を保持しながら使用者の意図する視野の傾きの構図に変更することができるという効果を得ることができる。
【0074】
または、ファインダ3bへの使用者の眼の接眼を検知するアイセンサや、使用者がカメラボディ3を保持する際の接触を検知する接触センサ等をカメラボディ3に設け、これらのセンサの検知信号により規制装置4cの規制動作を起動するようにしてもよい。これにより、使用者の撮影準備の姿勢により規制装置4cの規制動作を起動できるので、煩雑な操作が不要となるという効果を得ることができる。
【0075】
(2)第1及び第2の実施形態において、三脚座4のCPU40により規制装置4cを制御する例を説明したが、レンズ鏡筒2のCPU20やカメラボディ3のCPU30により規制装置4cを制御するようにしてもよい。
【0076】
その場合、レンズ鏡筒2の外周と三脚座4の支持枠4aの内周とに電気接点を設け、この電気接点を介してレンズ鏡筒2のCPU20やカメラボディ3のCPU30により規制装置4cを制御するようにしてもよい。
【0077】
(3)第1及び第2の実施形態において、傾きセンサ3cを加速度センサ等により構成する例を説明したが、撮像部により撮像される画像を解析することにより視野の傾きを検出するようにしてもよい。
【0078】
(4)第1及び第2の実施形態において、カメラボディ3の送信部31から三脚座4の受信部41に無線信号を送信する例を説明したが、レンズ鏡筒2を介してカメラボディ3から三脚座4に信号を送信してもよい。
【0079】
例えば、レンズ鏡筒2の外周と三脚座4の支持枠4aの内周とに電気接点を設け、この電気接点を介してカメラボディ3のCPU30から三脚座4のCPU40に信号を送信してもよい。
【0080】
(5)第1及び第2の実施形態において、視野の傾きを検出する傾きセンサ3cをカメラボディ3に設けた例を示したが、傾きセンサ3cをレンズ鏡筒2に設けてもよい。
【0081】
(6)第1及び第2の実施形態において、レンズ鏡筒2を支持する支持装置として三脚座4を説明したが、支持装置は一脚座等であってもよい。
【0082】
(7)第2の実施形態において、視野の傾きを記憶するメモリ42を三脚座4に設けた例を示したが、メモリ42をレンズ鏡筒2やカメラボディ3に設けてもよい。
【符号の説明】
【0083】
2 レンズ鏡筒
3 カメラボディ
3a レリーズボタン
3c 傾きセンサ
4 三脚座
4a 支持枠
4c 規制装置
4d 解除スイッチ
40 CPU
42 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を有する光学装置を前記光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持部と、
前記光学装置の前記支持部に対する回転を規制する規制部と、
前記光学系による像の範囲を矩形に規定した視野の傾きに応じて前記規制部の規制力を制御する制御部と、
を有することを特徴とする支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の支持装置において、
前記制御部は、前記視野の傾きが第1の状態の場合に、該第1の状態とは異なる第2の状態よりも大きい規制力を発生させることを特徴とする支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の支持装置において、
前記第1の状態であるときの前記視野の傾きを記憶する記憶部を有することを特徴とする支持装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の支持装置において、
前記制御部は、前記視野の一辺が水平である状態を前記第1の状態とすることを特徴とする支持装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の支持装置において、
前記光学装置は、前記光学系による像を撮像する撮像部と、前記撮像部による撮像動作を起動する起動部材とを有し、
前記制御部は、前記起動部材が操作されることにより前記規制部の規制力を制御可能とすることを特徴とする支持装置。
【請求項6】
光学系を有する鏡筒と、
前記鏡筒を前記光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持部と、
前記鏡筒の前記支持部に対する回転を規制する規制部と、
前記光学系による像の範囲を矩形に規定した視野の傾きに応じて前記規制部の規制力を制御する制御部と、
を有することを特徴とする光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学装置において、
前記制御部は、前記視野の傾きが第1の状態の場合に、該第1の状態とは異なる第2の状態よりも大きい規制力を発生させることを特徴とする光学装置。
【請求項8】
光学系を有する鏡筒と、
前記鏡筒を前記光学系の光軸まわりに回転可能に支持する支持部と、
前記鏡筒の前記支持部に対する回転を規制する規制部と、
前記光学系による像の範囲を矩形に規定した視野の傾きを検出する検出部と、
前記検出部により検出した前記視野の傾きに応じて、前記規制部の規制力を制御する制御部と、
を有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項9】
請求項8に記載のカメラシステムにおいて、
前記制御部は、前記視野の傾きが第1の状態の場合に、該第1の状態とは異なる第2の状態よりも大きい規制力を発生させることを特徴とするカメラシステム。
【請求項10】
請求項8または9に記載のカメラシステムにおいて、
前記光学系による像を撮像する撮像部と、
前記撮像部による撮像動作を起動する起動部材と、
を有し、
前記制御部は、前記起動部材が操作されることにより前記規制部の規制力を制御可能とすることを特徴とするカメラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−99987(P2011−99987A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254575(P2009−254575)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】