説明

支持装置、及び光学装置

【課題】使い勝手の良い支持装置及び光学装置を提供する。
【解決手段】本発明の支持装置2は、光学装置1,4を相対移動可能に支持する支持部20と、前記光学装置1,4と前記支持部20との間の相対移動を規制力により規制する規制部25と、前記光学装置1に対して行われる動作に応じて、前記規制部25の前記規制力を制御する制御部23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持装置、及び光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超望遠の交換式のレンズ鏡筒等の光学装置において、三脚を取り付けるための三脚座としての支持装置が付属されているものがある。カメラに装着されたレンズ鏡筒を、このような支持装置を介して三脚に固定しても、例えばカメラのグリップを保持しているとカメラがグリップ側に回転して傾き、構図ずれが生じることがある。そのため、90度ごとに半固定状態にできるクリックストップ機構とその解除機構が設けられている三脚座がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−227537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、クリックストップ機構では、半固定される位置の微調整ができず、半固定により操作性が悪くなる場合もある。
本発明の課題は、より使い勝手の良い支持装置、及び光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1に記載の発明は、光学装置(1,4)を相対移動可能に支持する支持部(20)と、前記光学装置(1,4)と前記支持部(20)との間の相対移動を規制力により規制する規制部(25)と、前記光学装置(1,4)に対して行われる動作に応じて、前記規制部(25)の前記規制力を制御する制御部(23)と、を備えることを特徴とする支持装置(2)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の支持装置(2)であって、前記制御部(23)は、前記光学装置(1,4)に対して第1の動作が行われた場合に、前記規制部(25)に第1の規制力を発生させる第1制御と、前記第1の動作後に、前記光学装置(1,4)に対して前記第1動作とは異なる第2の動作が行われた場合に、前記規制部(25)に前記第1の規制力より大きい第2の規制力を発生させる第2制御と、を行なうことを特徴とする支持装置(2)である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の支持装置(2)であって、前記光学装置は、被写体像を観察するファインダ(9)と、撮影者が保持可能なグリップ部(5)と、前記ファインダ(9)への物体の近接又は前記グリップ部(5)への物体の接触を検知する検知部(13)と、レリーズ動作をさせるためのレリーズ釦(6)と、を備えるカメラ(1)であって、前記第1の動作は、前記検知部(13)により検知された前記近接又は前記接触の動作であり、前記第2の動作は、前記レリーズ釦(6)の半押し動作であること、を特徴とする支持装置(2)である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の支持装置(2)であって、前記規制部(25)による規制を解除する解除部(8)が設けられていること、を特徴とする支持装置(2)である。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の支持装置(2)であって、前記光学装置(1,4)に対して前記第1の動作及び前記第2の動作が行われたことを示す信号を受信する受信部(22)を有すること、を特徴とする支持装置(2)である。
請求項6に記載の発明は、相対移動可能に支持装置(2)に支持可能な光学装置(1,4)であって、前記支持装置(2)に対する相対移動を規制する規制部(25)と、前記光学装置(1,4)に対して行われる動作に応じて前記規制部(25)の規制力を制御する制御部(23)と、を有する光学装置(1,4)である。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の光学装置(1,4)であって、
前記制御部(23)は、前記光学装置(1,4)に対して第1の動作が行われた場合に、前記規制部(25)に第1の規制力を発生させる第1制御と、
前記第1の動作後に、前記光学装置(1,4)に対して前記第1動作とは異なる第2の動作が行われた場合に、前記規制部(25)に前記第1の規制力より大きい第2の規制力を発生させる第2制御と、を行なうことを特徴とする光学装置(1,4)である。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の光学装置(1,4)であって、被写体像を観察するファインダ(9)と、撮影者が保持可能なグリップ部(5)と、前記ファインダ(9)への物体の近接又は前記グリップ部(5)への物体の接触を検知する検知部(13)と、レリーズ動作をさせるためのレリーズ釦(6)と、を備え、前記第1の動作は、前記検知部(13)により検知された前記近接又は前記接触の動作であり、前記第2の動作は、前記レリーズ釦(6)の半押し動作であること、を特徴とする光学装置(1,4)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使い勝手の良い支持装置、及びそれを備える光学装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態の支持装置を備えたカメラを示す側面図である。
【図2】第1実施形態の制御系のブロック図である。
【図3】第1実施形態の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態の支持装置を備えたカメラを示す側面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の支持装置を備えたカメラを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、適宜XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、撮影者が光軸Cを水平として画像を撮影する場合のカメラの位置(以下、正位置という)において撮影者から見て左側に向かう方向をXプラス方向とする。また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向とする。
【0010】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態の構成を示す側面図であり、カメラ1と、カメラ1に装着されたレンズ鏡筒4と、三脚座2とを備えている。
【0011】
カメラ1は、被写体像を観察するためのファインダ9と、レリーズ動作させるためのレリーズ釦6と、撮影時に撮影者が保持するグリップ部5(図1においてはカメラ本体3のXマイナス側となるので符号を点線で示す)とを有している。カメラ1には、三脚座2に対して無線信号を送信する送信アンテナ部(送信部)7及び後述する規制装置25の規制力を解除する解除釦8が配置される。解除釦8は、操作性を考慮してグリップ部5の背面に配置されており、撮影者の親指等による押圧操作が可能となっている。また、解除釦8は、例えば三脚座2に設けられていてもよい。
【0012】
図2は、カメラ1及び三脚座2の内部構造のブロック図である。図2に示すように、カメラ1は、撮像部11と、アイセンサ13と、制御部15とを備えている。撮像部11は、被写体光が入射されることにより被写体像を撮像する。撮像部11は、CCD等の光電変換素子が用いられる。
【0013】
アイセンサ13は、ファインダ9近傍に配置されており、撮影者がファインダ9に眼を接近させたとき、撮影者の顔の近接を検知する。アイセンサ13は、検知信号を制御部15に出力する。アイセンサ13としては、ファインダ9近傍に配置された図示しない発光部及び受光部とによって形成されている。このアイセンサ13においては、発光部が撮影者に向けて赤外光を照射し、受光部が撮影者の顔によって反射された反射光を受光することにより撮影者の顔の接近を検知する。
【0014】
制御部15は、カメラ1の動作を統括的に制御するものであり、CPU等の演算装置を備えている。制御部15には、送信部7、レリーズ釦6、解除釦8、アイセンサ13が接続されており、これらの信号が制御部15に入力され、入力された信号に基づいて制御部15による制御が行われる。
【0015】
図1に示すように、三脚座2は、レンズ鏡筒4に装着されており、レンズ鏡筒4を介してカメラ1も保持するようになっている。三脚座2は、レンズ鏡筒4が嵌合状態で貫通することによりレンズ鏡筒4に取り付けられた筒状の支持部20と、支持部20に一体に連結された取付部21とを有している。
【0016】
支持部20は貫通しているレンズ鏡筒4を相対的に回転可能に支持するものであり、レンズ鏡筒4を支持部20に対して回転(移動)させることにより、撮影画像の構図を変更することができる。支持部20には、受信アンテナ部(受信部)22が設けられ、カメラ1の送信部7から送信された無線信号の受信が可能となっている。取付部21は、三脚17の受座18に着脱自在に装着される。そして取付部21が三脚17に装着されることにより、カメラ1の全体が三脚17に支持される。
【0017】
三脚座2とレンズ鏡筒4との間には、三脚座2とレンズ鏡筒4との相対回転を規制する規制装置25が設けられる。規制装置25は、三脚座2に取り付けられたモータ等の駆動部26と、駆動部26に連結された押圧部27とを有している。押圧部27は、駆動部26に取り付けられたピストン等の伸縮部28の先端部分に取り付けられている。押圧部27は、レンズ鏡筒4に形成された段部等の係合部29に対面しており、駆動部26の駆動による伸縮部28の伸長によってレンズ鏡筒4方向に進出してレンズ鏡筒4の係合部29に当接する。この当接によって、レンズ鏡筒4に規制力が作用し、三脚座2に対するレンズ鏡筒4の相対回転が規制される。一方、駆動部26が逆駆動することにより、押圧部27は、係合部29から退出してレンズ鏡筒4への規制が解除される。なお、駆動部26としては、押圧部27を係合部29に対して進出及び退出させるものであればよく、シリンダ等のモータ以外の他の部材を用いることができる。
【0018】
図2のブロック図に示すように、三脚座2は、制御部23及び上述した受信部22、駆動部26,押圧部27を有している。駆動部26は、制御部23に接続されており、その駆動が制御部23によって制御される。受信部22は、カメラ1からの無線信号を受信すると、その信号を制御部23に出力する。これにより、制御部23は、駆動部26の駆動を制御する。
【0019】
本実施形態において、三脚座2の制御部23は、駆動部26に対して第1制御及び第2制御の2段階の制御を行う。これらの制御は、カメラ1の送信部7からの無線信号に基づいて行われる。第1制御は、ファインダ9への眼の接近動作からなる第1動作のときに行われる。これらの第1動作は、アイセンサ13によって検知されるものである。第2制御は、レリーズ釦6への半押し動作からなる第2動作のときに行われる。第2動作は、レリーズ釦6の半押し信号が制御15に入力されることにより検知される。
【0020】
第1動作は、撮影準備の際の動作に相当するものであり、第1動作がなされると、その検知信号が送信部7から送信され、三脚座2の受信部22から制御部23に伝達される。この第1動作に関する信号が入力されると、制御部23は、押圧部27がレンズ鏡筒4の係合部29に対して小さな規制力である第1の規制力で当接するように駆動部26を制御する。この第1の規制力では、三脚座2に対するレンズ鏡筒4の回転(移動)が抵抗感ある状態下で可能となるように拘束される。従って、ある程度の抵抗感に抗して操作を行うことによりレンズ鏡筒4を回転させて構図の位置調整を行うことができる。
【0021】
第2動作は、撮影直前の動作に相当するものであり、第2動作がなされると、その検知信号が送信部7から送信され、三脚座2の受信部22から制御部23に伝達される。この第2動作に関する信号が入力されると、制御部23は、押圧部27がレンズ鏡筒4の係合部29に対して第1の規制力よりも大きな規制力で当接するように駆動部26を制御する。この第2の規制力では、三脚座2に対するレンズ鏡筒4の回転(移動)が規制される。第2の規制力は、第1規制力よりも大きな力となっており、レリーズ釦6を全押しする際に構図がずれる可能性がさらに低減される。
【0022】
図3は、本実施形態の動作のフローチャートである。
カメラ1側において、撮影者がファインダ9を覗くことにより、アイセンサ13が撮影者の眼の接近を検知すると(S11)、その検知信号がカメラ1側の制御部15に出力され、送信部7から三脚座3側に無線信号が送信される(S12)。
【0023】
三脚座2側において、この無線信号は、受信部22により受信される(S51)。この受信により、三脚座2側の制御部23は、押圧部27が第1の規制力でレンズ鏡筒4の係合部29に当接するように駆動部26を制御する(S52)。これにより、レンズ鏡筒4の移動が、ある程度拘束された半固定状態となり、レンズ鏡筒4が不用意に回転することがなくなる。この第1の規制力においては、レンズ鏡筒4は抵抗感のある回転が可能である。従って、構図の位置調整が可能である。
【0024】
カメラ1側において、撮影者がファインダ9から眼を離した場合、アイセンサ13が眼の離脱を検知し(S13)、その無線信号が三脚座3側に送信される(S14)。
【0025】
三脚座2側では、この無線信号を受信すると(S53)、第1の規制力による押圧状態から押圧部27が退避するように駆動部26が制御される(S54)。これにより、第1の規制力が解除されて、S51に戻る。従って、アイセンサ13から眼を離すと、初期状態に戻るため、レンズ鏡筒4を自由に回転させることができる。
【0026】
一方、カメラ1側においてアイセンサ13が眼の近接を検知している状態においても、解除釦8が押圧された場合(S15)、その無線信号が三脚座3側に送信される(S16)。
【0027】
三脚座2側では、この無線信号を受信すると(S55)、第1の規制力が解除される(S56)。このように解除釦8への押圧操作を行うことにより、レンズ鏡筒4を自由に回転させることができ、初期状態への復帰が可能である。第1の規制力の解除の後及び解除釦8への押圧操作がない場合には、S57に移行し、カメラ1側からの無線信号の受信の待機状態となる(S57)。
【0028】
カメラ1側のS15において、解除釦8が押圧されない場合には、S17に移行する。S17においてカメラ1側のレリーズ釦6の半押しが検知されると、その検知信号が三脚座3側に送信される(S18)。
【0029】
三脚座2側は、この無線信号を受信すると(S57)、三脚座2側の制御部23は駆動部26を制御する。これにより、押圧部27が第2の規制力で係合部29を押圧する(S58)。この状態では、レンズ鏡筒4の回転がより強く固定されるため、レンズ鏡筒4のずれがなくなる。
【0030】
カメラ1側において、レリーズ釦6の半押し(S17)の後でレリーズ釦6の半押しが解除された場合(S19、Yes)、その解除信号が三脚座3側に送信される(S20)。
【0031】
三脚座2側では、この解除信号が受信されると(S59)、押圧部27が第1の規制力で係合部29に当接するように制御される(S60)。従って、レンズ鏡筒4の移動が再び、ある程度拘束されるが、抵抗感のある回転が可能な状態となる。
【0032】
カメラ1側では、S19に続くS21で、アイセンサ13からの眼の離脱を検知しており、眼の離脱が検知されると、その無線信号が三脚座3側に送信される(S22)。
【0033】
三脚座2側では、この信号を受信すると(S61)、押圧部27による第2の規制力及び第1の規制力が解除される(S54)。従って、レリーズ釦6の半押し後において、観察者がファインダ9から眼を離すと、初期状態に戻るため、レンズ鏡筒4を自由に回転させることができる。S61において、信号を受信しない場合は、S62に移行する。
【0034】
カメラ1側では、S21に続いてカメラ1側で解除釦8が押圧された場合(S23)、その無線信号が送信される(S24)。
三脚座2側では、この無線信号を受信すると(S62)、押圧部27が第1の規制力で係合部29に当接するように制御される(S63)。すなわち、レリーズ釦6への半押し操作(S15)があった後においては、半押しの解除(S17)及びファインダ9からの撮影者の離脱(S19)がない限り、押圧部27による第2の規制力が作用しているが、この状態においても、解除釦8に対する押圧操作を行うことにより、第2の規制力から第1の規制力に規制状態が軽減される(S63)。このS63においては、押圧部27による第1の規制力が作用しており、レンズ鏡筒4の不用意な回転が防止される。
【0035】
カメラ1側では、S23に続いて、再度カメラ1側で解除釦8が押圧された場合(S25)、その無線信号が送信される(S26)。
三脚座2側では、この無線信号を受信すると(S64)、押圧部27が係合部29から退出して押圧を解除するように、すなわち第1の規制力が解除されるように駆動部26が制御される(S65)。
【0036】
カメラ1側では、S25に続いてカメラ1側で撮影を行うためのレリーズ釦6の全押しがなされると(S27)、撮影が終了し(S28)、撮影終了の無線信号が送信される(S29)。この際、S21においてアイセンサ13が目の離脱を検知しておらず、また解除釦8も押圧されていない場合、レンズ鏡筒4は第2の規制力によって固定状態となるように拘束されている。このため、レンズ鏡筒4がずれることがなく、レリーズ釦6の全押しにより構図がずれることがない。
【0037】
三脚座3側でS62及びS64で解除釦8への押圧が受信されない場合には、S66に移行し、撮影終了の無線信号の待機状態となる。そして、S66で撮影終了の無線信号の受信があると、押圧部27が係合部29から退出して押圧を解除するように、すなわち第2の規制力が解除されるように駆動部26が制御される(S67)。
【0038】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)アイセンサ13によって検知された撮影者の接近に基づいて第1規制力がレンズ鏡筒4と三脚座2との間に作用するため、レンズ鏡筒4及び三脚座2の相対回転が規制され、レンズ鏡筒4すなわちカメラ1が不用意に回転することがなく、構図がずれることを防止できる。
(2)第1規制力においては、三脚座2に対するレンズ鏡筒4の相対回転が抵抗感のある状態で可能であるため、構図の変更を行うことができる。
(3)レリーズ釦6を半押しすることにより、第1規制力よりも大きな力の第2規制力が作用するため、カメラ1が確実に固定され、撮影時における画像のずれを防止できる。
(4)アイセンサ13の検知が解除されると、第1規制力が解除されて初期状態に戻るため、レンズ鏡筒4を自由に回転させることができ、新たな構図の設定を行うことができる。
(5)解除釦8への操作によって第1規制力及びだい2規制力を解除できるため、レンズ鏡筒4を自由に回転させることへの復帰をいつでも可能である。
【0039】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態を示す側面図であり、第1実施形態と同一の部材には、同一の符号を付し、その説明は省略する。第2実施形態では、第1規制力及び第2規制力を作用させる規制装置25がレンズ鏡筒4に配置される点が第1実施形態と異なる。
【0040】
図4に示すように、規制装置25は、モータ等の駆動部26と、伸縮部28を介して駆動部26に連結された押圧部27とによって構成されており、全体がレンズ鏡筒4の外面に配置されている。この場合、押圧部27は、三脚座2の支持部20に対面しており、駆動部26の伸長駆動によって支持部20の端面20aに当接する。端面20aへの当接によって、レンズ鏡筒4及び三脚座2の相対回転を規制する規制力を作用させることができる。
【0041】
第2実施形態においても、アイセンサ13、解除釦8がカメラ1に配置されるが、規制装置25がレンズ鏡筒4に配置されている。カメラ1とレンズ鏡筒4とは、マウント部に設けられた図示しない接点によって接続され、この接点により電気信号が伝達される。このため、三脚座2に対して無線信号を送信する必要がなく、第2実施形態では、第1実施形態の送信部7及び受信部22が不要となる。
【0042】
第2実施形態においては、規制装置25がレンズ鏡筒4に取り付けられるため、制御部15は、アイセンサ13の検知信号、レリーズ釦6の半押し信号及び解除釦8の操作信号に基づいて規制装置25の駆動部26を制御する。そして、この制御によって、押圧部27を支持部20の端面20aに当接させて三脚座2及びレンズ鏡筒4の相対回転を規制する。かかる規制は、第1の規制力及び第1の規制力よりも大きな第2の規制力によって行われるものであり、第1実施形態と同様である。
【0043】
第2実施形態では、第1実施形態に比べて送信部7及び受信部22が不要となるため、構成を簡素できるという利点がある。
【0044】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態を示す側面図であり、第1実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して対応させてある。第3実施形態では、規制装置25の構造が異なっている。
【0045】
図5に示すように、規制装置25は、三脚座2の支持部20に形成されたフック突起部31と、レンズ鏡筒4に配置されたフック爪部32と、フック爪部32を伸縮される伸縮部34と、モータ等の駆動部33とによって形成されている。フック突起部31は、支持部20の円周方向に沿って適宜間隔で複数が形成されている。フック爪部32は、駆動部33の伸長駆動によって光軸C方向に進退し、この進退によってフック突起部31への係合及びその解除を行う。駆動部33の駆動は、制御部15(図2参照)によって制御される。
【0046】
第3実施形態においても、制御部15は、アイセンサ13の検知信号、レリーズ釦6の半押し信号及び解除釦8の操作信号に基づいて駆動部33を制御する。これにより、駆動部33は、フック爪部32を進退させ、フック爪部32を対応位置で停止しているフック突起部31に係合させる。この係合によってレンズ鏡筒4の相対回転が規制される。第3実施形態では、送信部7及び受信部22が不要となるという利点がある。
【0047】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態では、無線によってレンズ鏡筒4から三脚座2に信号を送信しているが、これに限らず、レンズ鏡筒4から三脚座2へ、三脚座2からレンズ鏡筒4へ接点を介して信号を伝達させてもよい。
(2)また、支持装置としての三脚座2を説明したが。これに限らず、一脚座でもよく、自由雲台であって撮影動作によって固定されるものであってもよい。
(3)上述の実施形態では、アイセンサ13が眼の接近を検知した場合について説明したがこれに限定されない。例えばグリップ部5にグリップセンサを設け、グリップセンサにより撮影者の手の接触を検知してもよい。
(4)光学装置として一眼レフカメラへの適用を説明したが、これに限らず、コンパクトカメラやレンズ鏡筒に適用してもよい
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0048】
1:カメラ、2:三脚座、3:カメラ本体、4:レンズ鏡筒、5:グリップ部、6:レリーズ釦、7:送信部、8:解除釦、9:ファインダ、13:アイセンサ、15:制御部、22:受信部、23:制御部、25:規制装置、26:駆動部、27:押圧部、29:係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置を相対移動可能に支持する支持部と、
前記光学装置と前記支持部との間の相対移動を規制力により規制する規制部と、
前記光学装置に対して行われる動作に応じて、前記規制部の前記規制力を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の支持装置であって、
前記制御部は、
前記光学装置に対して第1の動作が行われた場合に、前記規制部に第1の規制力を発生させる第1制御と、
前記第1の動作後に、前記光学装置に対して前記第1動作とは異なる第2の動作が行われた場合に、前記規制部に前記第1の規制力より大きい第2の規制力を発生させる第2制御と、
を行なうことを特徴とする支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載の支持装置であって、
前記光学装置は、被写体像を観察するファインダと、撮影者が保持可能なグリップ部と、前記ファインダへの物体の近接又は前記グリップ部への物体の接触を検知する検知部と、レリーズ動作をさせるためのレリーズ釦と、を備えるカメラであって、
前記第1の動作は、前記検知部により検知された前記近接又は前記接触の動作であり、
前記第2の動作は、前記レリーズ釦の半押し動作であること、
を特徴とする支持装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の支持装置であって、
前記規制部による規制を解除する解除部が設けられていること、
を特徴とする支持装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の支持装置であって、
前記光学装置に対して前記第1の動作及び前記第2の動作が行われたことを示す信号を受信する受信部を有すること、
を特徴とする支持装置。
【請求項6】
相対移動可能に支持装置に支持可能な光学装置であって、
前記支持装置に対する相対移動を規制する規制部と、
前記光学装置に対して行われる動作に応じて前記規制部の規制力を制御する制御部と、
を有する光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光学装置であって、
前記制御部は、
前記光学装置に対して第1の動作が行われた場合に、前記規制部に第1の規制力を発生させる第1制御と、
前記第1の動作後に、前記光学装置に対して前記第1動作とは異なる第2の動作が行われた場合に、前記規制部に前記第1の規制力より大きい第2の規制力を発生させる第2制御と、
を行なうことを特徴とする光学装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の光学装置であって、
被写体像を観察するファインダと、撮影者が保持可能なグリップ部と、前記ファインダへの物体の近接又は前記グリップ部への物体の接触を検知する検知部と、レリーズ動作をさせるためのレリーズ釦と、を備え、
前記第1の動作は、前記検知部により検知された前記近接又は前記接触の動作であり、
前記第2の動作は、前記レリーズ釦の半押し動作であること、
を特徴とする光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−230786(P2010−230786A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75856(P2009−75856)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】