説明

支持装置

【課題】陶器製の瓦葺き屋根に機器を取り付けるための、複数の構成部材からなる支持装置において、一連の固定用ねじを用いた固定によって発生する防水性能の低下発生を防ぐことができ、かつ、機器固定部材の位置調整が簡単に行える支持装置を提供する。
【解決手段】屋根下地材上に下部固定用ねじ11で固定される支持ブロック7の上面に、瓦2に設けられた貫通孔3の立上がり周壁4を覆うカバー部材8とその上部に位置する接合部材9を上部固定用ねじ12で固定し、下部固定用ねじ11と上部固定用ねじ12をカバー部材8の上下に分離した配置とし、前記接合部材9に固定する接続金具10に螺軸10bを設け、前記接続金具10は、螺軸10bの一端に設けた係合部10aを接合部材9の係合溝17に対して係合させることによって、前記接合部材9に対して位置調整可能に固定化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、瓦葺きの屋根上に太陽電池モジュールのような機器を搭載する場合に用いる屋根上搭載機器の支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
瓦葺きの屋根上に太陽電池モジュールのような機器を搭載する場合、屋根上に機器を支持するための支持装置を設ける必要があり、このため、第1の従来例としては、瓦自体の上面に機器の架台を支持する上向きコ字状の支持部を直接設けた構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、支持部を瓦と一体に形成する構造は、各種瓦毎に支持部付の瓦を製造しなければならないという不便があり、しかも、瓦自身で機器の荷重を受けるため、瓦を陶器で造ることができず、瓦をアルミダイキャストや鋳鉄製にしなければならない。
【0004】
上記したアルミダイキャストは製造にかかる金型費や量産時における単価が非常に高額になってしまうという問題がある。
【0005】
また、鋳鉄は重量が非常に重くなり、一般的な戸建住宅の屋根には載せることができないという問題がある。
【0006】
上記第1の従来例のような金属製の瓦を用いることなく、一般的な陶器製の瓦に対して用いることができる支持装置の第2の従来例としては、瓦に貫通孔を設け、屋根構造物に固定した支持ボルトを貫通孔から瓦の上面に突出させ、この支持ボルトに機器の架台を固定する支持装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
ところで、第2の従来例の支持装置は、屋根構造物に固定されることによって位置が決まる支持ボルトによって架台の固定を行うため、架台位置の微調整用の長孔を架台に設けるか、支持ボルトの挿通孔を現場にて穿孔しなければならないという手間がかかるだけでなく、架台の上面から瓦の裏面にかけて支持ボルトが貫通しているため、雨水が支持ボルトを伝って瓦の裏面に回り込んでしまい、雨漏りの原因になるという問題がある。
【0008】
更に、支持ボルトは、機器の架台固定部で受ける力点から支点及び作用点(野地板に固定された基盤板)までの距離が長大となってしまうため、機器に屋根の軒先方向に滑り落ちるような負荷が加わった場合、細軸の支持ボルトは容易に折れ曲がってしまうという問題がある。
【0009】
このような第2の従来例の支持装置にある課題を解決するために提案されている第3の従来例の支持装置は、貫通孔の上面周囲に立上がり周壁を設けた瓦を用い、下向きコ字状に形成した支持部材を貫通孔に収まる状態で屋根下地構造の上に載置し、この支持部材貫通孔を覆う防水用カバー部材を重ね、前記カバー部材の上にレール状の機器固定部材を載置し、機器固定部材からカバー部材と支持部材を貫通させた固定用ねじを屋根下地構造にねじ込むことによって固定化する構造が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0010】
上記第3の従来例の支持装置は、支持装置の構成部材を瓦の上面と裏面で分離させた、安定性を高める構造になっていると共に、雨水が支持装置を伝って瓦の裏面に回り込むことによる雨漏りの原因を防ぎ、かつ、支持部材や機器固定部材を断面下向きコ字状とすることで、機器固定部材にかかった雨水が機器固定部材の凹み部分に溜まるのを防ぐという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平09−324498号公報
【特許文献2】実用新案登録第3084621号公報
【特許文献3】特許第4112405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記第3の従来例の支持装置においては、支持部材や機器固定部材を断面下向きコ字状とすることで、固定用ねじを機器固定部材の上面から屋根下地構造まで一連にねじ込み固定する必要があり、施工後数年経過して支持装置の構成部材が劣化すると、構成部材とこれを貫通する固定ねじの間に隙間が生じ、雨水が固定ねじを伝って瓦の裏面側に浸入し、雨漏りを生じさせるという問題がある。
【0013】
また、機器固定部材についても、断面下向きのコ字状に形成されているため、機器架台固定ボルトの機器固定部材に対する位置固定作業を、機器固定部材を防水用カバー部材と支持部材へ取り付ける前に行っておく必要があり、最終的な架台の微調整を行うことが非常に困難であるという問題がある。
【0014】
更に、機器固定部材の固定と、支持部材の屋根下地構造への固定を同じ固定用ねじを用いて行っているため、機器固定部材に力が加えられると、固定ねじは屋根下地構造に対して負荷を加えることになり、一般的に屋根下地構造の表面に貼付けられるアスファルトルーフィングを破ってしまい、屋根の防水性能を損なわせてしまうという問題がある。
【0015】
その上、機器固定部材の取り付け位置を間違ってしまった場合、固定用ねじを引き抜いて機器固定部材の位置を変更することになるが、一度固定用ねじを引抜いてしまうと、引抜いた跡には屋根下地構造にねじ孔が開口してしまい、雨漏りを発生させる原因になるので、施工者は機器固定部材の位置決めに際して、非常に多大な神経と労力を必要とされるという問題がある。
【0016】
ちなみに、機器固定部材に設けられている固定用ねじは長孔となっており、固定用ねじを緩めれば、機器固定部材の微調整が可能となる構造になっているが、実際には、固定用ねじを一旦緩めてしまうと、屋根下地構造に対するねじの挿通孔が広がってしまい、屋根下地構造の防水性を完全に失ってしまう。
【0017】
そこで、この発明の課題は、陶器製の瓦葺き屋根に機器を取り付けるための、複数の構成部材からなる支持装置であって、屋根下地構造に対する固定と、構成部材相互の固定を分離させ、一連の固定用ねじを用いた固定によって発生した防水性能の低下発生を防ぐことができると共に、機器固定部材の位置調整が簡単に行える屋根上搭載機器の支持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記のような課題を解決するため、この発明は、下部固定用ねじのねじ込みによって屋根下地材上に固定される支持ブロックと、前記支持ブロックの上面に重なる状態で、瓦に設けられた貫通孔の立上がり周壁を覆うカバー部材と、前記カバー部材の上面に重ねて配置する接合部材と、上面に屋根上搭載機器の架台を結合するための螺軸が立設され、前記接合部材に固定される接続金具とからなる構造としたものである。
【0019】
上記接合部材は、ベース板の上面に係合溝が設けられ、この係合溝がベース板上に位置する溝部と、この溝部の上部に位置し、前記溝部の幅よりも小幅にした開口とで形成され、上記カバー部材の上に、係合溝の長さ方向を屋根面の流れ方向に対して交差又は平行させた配置で載置し、この接合部材とカバー部材の重なり部分を、支持ブロックに対して上部固定用ねじを用いて固定し、前記接続金具は、接合部材の係合溝に挿入する係合部と、この係合部に起立するよう設けた螺軸とで形成され、前記係合溝に対して係合部を引掛けることにより取付けられるようになっているようにすることができる。
【0020】
上記支持ブロックは、材料に発泡性樹脂を用い、瓦に設けられた貫通孔内に納まる平面的な大きさと、貫通孔の立上がり周壁の上端に一致するかそれよりも高くなるような高さを有し、上面に対して低い位置に固定部が設けられ、下面全体がフラットな平面になるよう形成されているようにすることができる。
【0021】
上記カバー部材は、金属板を用いた天板の周縁に下面側に突出する周壁を設け、瓦に設けられた貫通孔の立上がり周壁を上部から覆うことができるように形成され、前記天板に上部固定用ねじの挿通孔が複数設けられている構造とすることができる。
【0022】
ここで、上記支持ブロックは、上記固定部にねじ込んだ下部固定用ねじによって屋根下地構造に固定し、この支持ブロック上にカバー部材と接合部材を上部固定用ねじで固定することにより、上記カバー部材の上下で下部固定用ねじと上部固定用ねじの頭部露出面を分離でき、一連の固定用ねじを使用した場合のように、固定用ねじを伝って前記カバー部材の表面から瓦の裏面又は屋根下地構造の裏面へ雨水が浸入し、それに伴う雨漏りの発生をなくすことができると共に、材料にポリスチレン等の発泡性樹脂を用いることにより、固定用ねじのねじ込み時に生じる摩擦熱で支持ブロックが固定用ねじの表面に溶着し、固定用ねじのねじ込み部分の防水性能が向上することになる。
【0023】
また、上部固定用ねじにおいては、そのねじ込み時に発生する支持ブロックの切り屑が接合部材の挿通孔に充填され、上記摩擦熱による溶融によって挿通孔の空間は埋められ、防水性が向上する。
【0024】
この支持ブロックは、内部が詰まった中実でも中空のどちらでもよく、カバー部材と接合部材を固定する上部固定用ねじは、支持ブロック内に収まって屋根下地構造に達することのない長さに設定されている。
【発明の効果】
【0025】
この発明によると、支持ブロックを屋根下地構造に下部固定用ねじで固定し、支持ブロック上に重なる状態でカバー部材と接合部材を上部固定用ねじで支持ブロックに固定するようにしたので、固定用ねじを前記カバー部材の上下に分離させることで、固定用ねじを伝わって瓦の裏面又は屋根下地構造の裏面に浸入する雨水の発生を確実に防ぐことができ、防水性の向上により雨漏りの発生を防止することができる。
【0026】
また、接合部材の係合溝に対して接続金具をこの接続金具に設けた係合部を用いて引掛けるようにしたので、接合部材に対する接続金具の固定に穿孔行為が不要となり、防水性を損なわないと共に、接合部材の固定後においても接続金具を接合部材の係合溝に沿って位置調整することができ、機器の架台固定作業が円滑に行え、作業能率の向上が図れる。
【0027】
更に、接合部材の固定後において接続金具の位置調整を行うにあたり、屋根下地構造への固定後に固定用ねじを緩める必要性が全くなくなり、防水性の低下発生がないだけでなく、施工者の神経と労力を緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る支持装置で瓦葺屋根上に屋根上搭載機器である太陽光モジュールのような機器の架台を固定した使用状態を示す縦断正面図
【図2】この発明に係る支持装置で瓦葺屋根上に上記架台を固定した使用状態を示す縦断側面図
【図3】この発明に係る支持装置の瓦と上記架台を含めた全体の分解斜視図
【図4】この発明に係る支持装置で瓦葺屋根上に上記架台を固定した使用状態を示す斜視図
【図5】この発明に係る支持装置のカバー部材と接合部材と接続金具及び上記架台の関係を示す分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
先ず、瓦葺屋根において、この発明の支持装置1を取り付ける部分に該当する陶器製の瓦2は、図1乃至図3のように、略中央位置に角形の貫通孔3と、上面側に前記貫通孔3を囲む立上がり周壁4が設けられている。
【0031】
次に、この発明の屋根上搭載機器の支持装置1は、図示のように、屋根下地構造の垂木5に重なるように配置したベースプレート6上に固定する支持ブロック7と、この支持ブロック7の上に重ねるカバー部材8と、前記カバー部材8上に載置する接合部材9と、接合部材9に固定する接続金具10と、前記支持ブロック7をベースプレート6に固定する下部固定用ねじ11と、カバー部材8と接合部材9を支持ブロック7に固定する上部固定用ねじ12とで構成されている。
【0032】
上記支持ブロック7は、矩形の角形となり、その上面に対して下方の位置に固定部7aが設けられ、ベースプレート6との間に防水シート13等を挟み込むことができるように下面をフラットな平坦面にするのが好ましい。
【0033】
上記固定部7aは、図1乃至図3のように、下部固定用ねじ11の上端頭部が納まる上部大径孔7bと、下部固定用ねじ11の軸部が納まる下部小径孔7cを、同軸心の配置で支持ブロック7を上下に貫通するように設け、上部大径孔7bの下端と下部小径孔7cの上端の部分に生じた段部によって形成され、図示の場合、固定部7aは支持ブロック7の四隅の位置に設けられている。
【0034】
この支持ブロック7は、瓦2の貫通孔3を通過できる平面的な大きさと、図1のように、ベースプレート6上に固定した状態で、上面が瓦2の立上がり周壁4の上端と同一かそれよりも少し高くなるような高さを有し、材料は下部固定用ねじ11及び上部固定用ねじ12を直接ねじ込めるものであればよいが、例えば、ポリスチレン等の発泡性樹脂を用いて形成され、内部が詰まった中実でも中空のどちらでもよい。
【0035】
上記カバー部材8は、金属板を用いた天板8aの周縁に下面側に突出する周壁8bを設け、瓦2に設けられた貫通孔3の立上がり周壁4を上部から被せて覆うことができるように形成され、前記周壁8bの内周面には、瓦2の立上がり周壁4に被せたときに周壁の外周面に接合するパッキン14が取付けられ、前記天板8aに上部固定用ねじ12の挿通孔8cが複数設けられている。
【0036】
上記接合部材9は、図2と図5のように、カバー部材8の上に重ねる矩形状ベース板15の上面に、所定の間隔を設けて平行する一対の凸条16、16を設け、両凸条16、16間に上記接続金具10との係合溝17を形成した構造になっている。
【0037】
上記係合溝17は、平行する両凸条16、16間を溝部17aとし、前記両凸条16、16の上端で対向面側の位置に相手凸条16に向けて突出する張り出し部18を設け、両張り出し部18、18間を溝部17aよりも小幅の開口17bとし、前記溝部17aと開口17bとで内部が広く上端の開口17bが狭い断面形状に形成されている。
【0038】
上記のような接合部材9は、金属材料を用いて押出し成形したものを所定の長さに切断して形成され、ベース板15には、両凸条16、16から外側へ張り出した部分に、上記カバー部材8の挿通孔8cと一致する配置で上部固定用ねじ12の挿通孔9aが設けられ、この接合部材9は、屋根面の流れ方向に係合溝17の長さ方向が交差する配置又は平行する配置でカバー部材8の上面に重ねて固定する。
【0039】
上記接続金具10は、接合部材9の係合溝17における溝部17aに挿入する係合部10aと、この係合部10aに起立するよう設けた螺軸10bとで形成され、前記係合溝17に対して係合部10aを引掛けることにより、上面の開口17bから螺軸10bが突出するように取付けられ、係合溝17の長さ方向に沿って位置調整可能になる。
【0040】
上記接続金具10の上に、屋根上搭載機器である太陽電池モジュールのような機器の架台を構成する横桟19を載置させた状態で、この横桟19に設けられた挿通孔20に対して、接合部材9に立設された螺軸10bを挿入し、接続金具10の螺軸10bに螺合したナット21の締め付けで、支持装置1に架台の横桟19を固定するようになっている。
【0041】
なお、接合部材9と横桟19の間にスペーサ22を介在させ、架台の横桟19の固定時における高さ調節が行えるようにしていると共に、接合部材9におけるベース板15の裏面には、ゴム等のシール23が貼り付けてある。
【0042】
この発明の支持装置1を用いて瓦屋根の上に屋根上搭載機器を設置するには、瓦屋根の支持装置1を取り付ける位置に該当する瓦に、図3のように、貫通孔3が設けられた瓦2を用い、この瓦2の下で屋根下地構造の上面における垂木の上に木製のベースプレート6を固定配置する。この場合、図3のように、ベースプレート6の裏面に平面コ字状のコーキング24を施し、屋根下地構造とベースプレート6の重なり面における防水対策を講じておくようにする。
【0043】
先ず、瓦2の貫通孔3に支持ブロック7が納まる状態で、ベースプレート6上に防水シート13を介して支持ブロック7を重ね、四隅の固定部7aからベースプレート6に下部固定用ねじ11をねじ込み、ベースプレート6上に支持ブロック7を固定する。
【0044】
次に、支持ブロック7上にカバー部材8を重ね、このカバー部材8で貫通孔3の上部を覆い、更に、カバー部材8の上に接合部材9を、係合溝17の長さ方向が屋根の流れ方向に直交又は沿う配置で重ね、両者の各挿通孔8cと9aを一致させた状態で、接合部材9の各挿通孔9aから上部固定用ねじ12を支持ブロック7に向けてねじ込み、支持ブロック7にカバー部材8と接合部材9を固定する。この上部固定用ねじ12は、図2のように、支持ブロック7内に収まって屋根下地構造に達することのない長さに設定されている。
【0045】
上記支持ブロック7を、発泡性樹脂を用いて形成すると、下部固定用ねじ11及び上部固定用ねじ12を直接ねじ込むことができ、前記各固定用ねじ11、12をねじ込むとき、摩擦熱によって支持ブロック7の各固定用ねじ11、12の螺入部分が溶融して各固定用ねじ11、12の表面に溶着し、更に、上部固定用ねじ12においては、そのねじ込み時に発生する支持ブロック7の切り屑が盛り上がって接合部材9の挿通孔9aに充填され、上記摩擦熱によって切り屑が溶融することによって挿通孔9aの空間は埋められ、これらによって、下部固定用ねじ11及び上部固定用ねじ12のねじ込み部分の止水性が向上する。
【0046】
図5のように、上記接合部材9の係合溝17に接続金具10の下端係合部10aを挿入し、この接続金具10を係合溝17の長さ方向にスライドさせて所定の位置まで移動させた後、接続金具10の上に起立する螺軸10bを、屋根上搭載機器である太陽光モジュールのような機器の架台構成する横桟19に設けられた取付け挿通孔20に挿入させ、螺軸10bにナット21を締め込むことで、支持装置1に機器の架台を固定する。
【0047】
上記した接続金具10は、接合部材9の上面にスペーサ22及び横桟19を配置した後、横桟19と接続金具10を固定する際に締め込むナット21の締め付けのみによって接合部材9に固定するため、接続金具10の取り付けに支持装置1の各構成部材への穿孔行為を行う必要がなく、支持装置1における防水性を低下させることがないと共に、前記接合部材9に立設する螺軸10bとナット21を締め緩めすることで、係合溝17の長さ方向に沿って位置調整可能となる。
【0048】
上記架台を構成する横桟19と接続金具10の固定時に、接続金具10を接合部材9の係合溝17に沿って位置調整することで横桟19の位置に合わせることができ、屋根下地構造への固定後に下部固定用ねじ11及び上部固定用ねじ12を緩めて支持装置1全体を位置調整する必要性が全くなくなり、これにより、防水性の低下発生がないだけでなく、施工者の神経と労力を緩和させることができる。
【0049】
この発明の支持装置1は、支持ブロック7を屋根下地構造に下部固定用ねじ11で固定し、支持ブロック7上に載置したカバー部材8と接合部材9を上部固定用ねじ12で支持ブロック7に固定するので、下部固定用ねじ11と上部固定用ねじ12をカバー部材8の上下に分離させることができ、前記両固定用ねじ11と12を上下に分断することで、一連の固定用ねじを用いた場合のように、固定用ねじを伝わって瓦の裏面側に雨水が浸入するのを確実に防ぐことができ、防水性の向上により雨漏りの発生を防止できるという利点がある。
【0050】
また、上記カバー部材8の支持ブロック7に対する固定において、支持ブロック7を上面が瓦2の立上がり周壁4の上端よりも少し高くなるような高さにすることで、図1や図2に示すように、カバー部材8を立上がり周壁4に対して浮かして接触しない状態とすることができ、これにより、屋根上搭載機器の設置状態において、機器の架台である横桟19の荷重が瓦2に直接加わらないようにすることができ、瓦2に悪影響を与えることがないという利点がある。
【符号の説明】
【0051】
1 支持装置
2 瓦
3 貫通孔
4 立上がり周壁
5 垂木
6 ベースプレート
7 支持ブロック
7a 固定部
7b 上部大径孔
7c 下部小径孔
8 カバー部材
8a 天板
8b 周壁
8c 挿通孔
9 接合部材
9a 挿通孔
10 接続金具
10a 係合部
10b 螺軸
11 下部固定用ねじ
12 上部固定用ねじ
13 防水シート
14 パッキン
15 ベース板
16 凸条
17 係合溝
17a 溝部
17b 開口
18 張り出し部
19 横桟
20 挿通孔
21 ナット
22 スペーサ
23 シール
24 コーキング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部固定用ねじのねじ込みによって屋根下地材上に固定される支持ブロックと、
前記支持ブロックの上面に重なる状態で、瓦に設けられた貫通孔の立上がり周壁を覆うカバー部材と、
前記カバー部材の上面に重ねて配置する接合部材と、
上面に屋根上搭載機器の架台を結合するための螺軸が立設され、前記接合部材に固定される接続金具とからなる支持装置。
【請求項2】
上記接合部材は、ベース板の上面に係合溝が設けられ、この係合溝がベース板上に位置する溝部と、この溝部の上部に位置し、前記溝部の幅よりも小幅にした開口とで形成され、
上記カバー部材の上に、係合溝の長さ方向を屋根面の流れ方向に対して交差又は平行させた配置で載置し、この接合部材とカバー部材の重なり部分を、支持ブロックに対して上部固定用ねじを用いて固定し、
前記接続金具は、接合部材の係合溝に挿入する係合部と、この係合部に起立するよう設けた螺軸とで形成され、前記係合溝に対して係合部を引掛けることにより取付けられるようになっている請求項1に記載の支持装置。
【請求項3】
上記支持ブロックは、材料に発泡性樹脂を用い、瓦に設けられた貫通孔内に納まる平面的な大きさと、貫通孔の立上がり周壁の上端に一致するかそれよりも高くなるような高さを有し、上面に対して低い位置に固定部が設けられ、下面全体がフラットな平面になるよう形成されている請求項1又は2に記載の支持装置。
【請求項4】
上記カバー部材は、金属板を用いた天板の周縁に下面側に突出する周壁を設け、瓦に設けられた貫通孔の立上がり周壁を上部から覆うことができるように形成され、前記天板に上部固定用ねじの挿通孔が複数設けられている請求項1又は2に記載の支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−177291(P2012−177291A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257351(P2011−257351)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000181963)若井産業株式会社 (36)
【出願人】(391042391)株式会社神仲 (4)