説明

支持部材

【課題】 本発明は、ポンプを常設する必要のない保温性に優れた農業用ハウスを形成することができる支持部材を提供する。
【解決手段】 本発明の支持部材5は、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱1、1間に、合成樹脂フィルム2a、2bが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されてなる農業用ハウスAの上記内外合成樹脂フィルム2a、2b間に配設されて用いられる支持部材であって、この支持部材を上記支柱1に固定するための固定部5aと、上記内外合成樹脂フィルム2a、2b間に配設されて空気層Bを形成するためのスペーサ部材6を支持する支持部5bとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温性に優れた農業用ハウスを形成することができる支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農作物を栽培するにあたって農業用ハウスが用いられている。この農業用ハウスは、門形状に形成された複数個の支柱を所定間隔毎に配設すると共に、これら支柱間に合成樹脂製の被覆フィルムを張設することによって形成されており、農業用ハウス内の保温性を向上させるために被覆フィルムを二枚重ね合わせた状態にして張設することが行われていた。
【0003】
そして、重ね合わせられた被覆フィルム間にポンプを用いて空気を供給することによって、二枚の被覆フィルム間に空気層を形成し、この空気層を断熱層とすることによって農業用ハウスの保温性の向上を図っていた。
【0004】
このような農業用ハウスを形成するための農業用ハウスの被覆フィルムとして、特許文献1には、二重構造となっている空気膜形成フィルムの少なくとも両側長手方向端辺は熱溶着または接着により密閉形態とした農業ハウス被覆用のフィルムが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記農業ハウス被覆用のフィルムは、その内部に空気層を形成するためには、ポンプを用いて内部に空気を供給する必要があることから、ポンプを常設する必要があると共に、このポンプと農業ハウス被覆用のフィルム内とを接続する接続管を配設する必要があり、配管作業が面倒であると共に農業ハウスの形成に要する費用もかさむといった問題点を有していた。
【0006】
【特許文献1】特開2004−141017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ポンプを常設する必要のない保温性に優れた農業用ハウスを形成することができる支持部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の支持部材は、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されてなる農業用ハウスの上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて用いられる支持部材であって、この支持部材を上記支柱に固定するための固定部と、上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて空気層を形成するためのスペーサ部材を支持する支持部とを有することを特徴とする。
【0009】
又、上記支持部材において、固定部は、支柱間に一体的に架設された固定部材の溝部内に着脱自在に固定可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
そして、上記支持部材において、支持部材は一本の線材を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部の内底面上に着脱自在に嵌め込まれる平面コ字状の底部及びこの底部の両先端から上方に向かって延設され且つ上記固定部材の溝部の両側壁部内面に弾性的に圧接した状態に着脱自在に嵌め込まれる両側固定アーム部からなる固定部と、この両側固定アーム部に延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持アーム部からなる支持部とからなることを特徴とする。
【0011】
更に、上記支持部材において、両側支持アーム部は、その中央部が互いに離間する方向にく字状に屈曲形成されていることを特徴とする。
【0012】
又、上記支持部材において、両側支持アーム部の下半部にスペーサ部材を受止させるように構成していることを特徴とする。
【0013】
そして、上記支持部材において、支持部材は一枚の板状体を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部内に着脱自在に嵌め込まれる固定部と、この固定部の上端縁から延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持部とからなることを特徴とする。
【0014】
更に、上記支持部材において、両側支持部の上端部を互いに対向する方向に凸円弧状に屈曲させることによってスペーサ部材の挟持部を形成していると共に、両側支持部の下半部にスペーサ部材を受止させるように構成していることを特徴とする。
【0015】
本発明の支持部材は、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、二枚の合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されてなる農業用ハウスの上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて用いられる弾性材料からなる支持部材であって、この支持部材を上記支柱に固定するための固定部と、この固定部に一体的に形成されて上記内外合成樹脂フィルム間に介在させて空気層を形成するスペーサ部とからなることを特徴とする。
【0016】
又、上記支持部材において、固定部は、支柱間に一体的に架設された固定部材の溝部内に着脱自在に固定可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
そして、上記支持部材において、支持部材が長尺状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の支持部材は、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されてなる農業用ハウスの上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて用いられる支持部材であって、この支持部材を上記支柱に固定するための固定部と、上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて空気層を形成するためのスペーサ部材を支持する支持部とを有することを特徴とするので、スペーサ部材を安定的に支持して内外合成樹脂フィルム間に空気層を確実に形成することができ、保温性に優れた農業用ハウスを形成することができる。
【0019】
そして、本発明の支持部材において、支持部材は一本の線材を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部の内底面上に着脱自在に嵌め込まれる平面コ字状の底部及びこの底部の両先端から上方に向かって延設され且つ上記固定部材の溝部の両側壁部内面に弾性的に圧接した状態に着脱自在に嵌め込まれる両側固定アーム部からなる固定部と、この両側固定アーム部に延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持アーム部からなる支持部とからなる場合には、両側固定アーム部を固定部材の溝部の両側壁部内面に圧接させていることから、支持部材を安定的に固定部材の溝部に固定してスペーサ部材を安定的に支持することができ、よって、内外合成樹脂フィルムを確実に離間させて空気層を安定的に形成し、保温性の高い農業用ハウスを形成することができる。
【0020】
又、上記支持部材において、両側支持アーム部は、その中央部が互いに離間する方向にく字状に屈曲形成されている場合には、両側支持アーム部をその屈曲部から弾性的に屈伸させることによってスペーサ部材を強固に挟持することができ、スペーサ部材をより安定的に支持することができる。
【0021】
更に、上記支持部材において、両側支持アーム部の下半部にスペーサ部材を受止させるように構成している場合には、スペーサ部材の下端と固定部材との間に通気部を形成することができ、内外合成樹脂フィルム間に保持された空気をスペーサ部材によって分断することなく循環させて、内外合成樹脂フィルム間に保持された一部の空気の温度が極端に高く或いは低い状態となるのを防止し、内外合成樹脂フィルム間に保持された空気の温度を平均化させて、農業用ハウスの保温性をより向上させることができる。
【0022】
又、上記支持部材において、支持部材は一枚の板状体を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部内に着脱自在に嵌め込まれる固定部と、この固定部の上端縁から延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持部とからなる場合には、両側支持部によってスペーサ部材を安定的に支持することができ、内外合成樹脂フィルム間に確実に空気層を形成して保温性に優れた農業用ハウスを形成することができる。
【0023】
更に、上記支持部材において、両側支持部の上端部を互いに対向する方向に凸円弧状に屈曲させることによってスペーサ部材の挟持部を形成していると共に、両側支持部の下半部にスペーサ部材を受止させるように構成している場合には、スペーサ部材の下端と固定部材との間に通気部を形成することができ、内外合成樹脂フィルム間に保持された空気をスペーサ部材によって分断することなく循環させて、内外合成樹脂フィルム間に保持された一部の空気の温度が極端に高く或いは低い状態となるのを防止し、内外合成樹脂フィルム間に保持された空気の温度を平均化させて、農業用ハウスの保温性をより向上させることができる。
【0024】
又、本発明の支持部材は、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されてなる農業用ハウスの上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて用いられる弾性材料からなる支持部材であって、この支持部材を上記支柱に固定するための固定部と、この固定部に一体的に形成されて上記内外合成樹脂フィルム間に介在させて空気層を形成するスペーサ部とからなることを特徴とするので、この支持部材を内外合成樹脂フィルム間に配設するだけで内外合成樹脂フィルム間に安定的に空気層を形成することができ、保温性に優れた農業用ハウスを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明の支持部材の一例を図面を参照しつつ説明する。農業用ハウスAは、図1及び図2に示したように、所定間隔毎に配設してなる複数個の門形形状の支柱1、1・・・間に内外合成樹脂フィルム2a、2bを張設することによって構成されている。
【0026】
農業用ハウスAの門形形状の支柱1は、それらの両端部を地中に埋設させるなどの汎用の手段を用いて所定場所に所定間隔毎に立設されている。そして、断面コ字状の溝部31aを備えた長尺状の溝部材31が、その長さ方向を支柱1、1・・・の配設方向(農業用ハウスAの長さ方向)に合致させつつ、支柱1の長さ方向に所定間隔毎に支柱1、1・・・間に架設一体化されている。
【0027】
更に、互いに隣接する溝部材31、31間のそれぞれには、長尺状の固定部材4が上記溝部材31に平行に支柱1、1・・・間に架設一体化されており、図3に示したように、上記固定部材4は、一定幅を有する底部41の幅方向の両端から上方に向かって両側壁部42、42が互いに近接する方向に延設されており、長さ方向の両端が全面的に開口した断面略コ字状の溝部4aを有している。
【0028】
そして、複数本の門形形状の支柱1、1・・・のうちの両端に位置する支柱1a、1b間の距離よりも若干長い長さで且つ支柱1の長さに略合致した一定幅を有する長尺状の透明な二枚の可撓性を有する内外合成樹脂フィルム2a、2bを互いに内外方向に重ね合わせた状態にして支柱1、1・・・に外方から全面的に被覆させていると共に、各溝部材31の溝部31a内にその全長に亘って合成樹脂フィルム2a、2bを重ね合わせた状態で挿入した上で溝部材31の溝部31a内に波形状の止め金具32を着脱自在に嵌め込むことによって、内外合成樹脂フィルム2a、2bを支柱1、1・・・に固着一体化させている。なお、内外合成樹脂フィルム2a、2bは、その幅方向に複数分割され、溝部材31の溝部31a内において接続一体化させてあってもよい。
【0029】
更に、内外合成樹脂フィルム2a、2bにおける長さ方向の両端部は、互いに重ね合わせられた状態で支柱1a、1bに公知の要領で固着一体化されており、内外合成樹脂フィルム2a、2bの対向する外周部同士がその全周に亘って閉塞されている。なお、支柱1aで囲まれた部分及び支柱1bで囲まれた部分のそれぞれも公知の要領で合成樹脂フィルムが張設されている。
【0030】
なお、合成樹脂フィルム2a、2bを構成している合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体などのプロピレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリメチルメタクリレート系樹脂;ポリカーボネート系樹脂などが挙げられ、これらは単独で使用されても、二種以上が併用されてもよい。上記合成樹脂としては、これらのなかでも、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレン系樹脂がより好ましく、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
【0031】
そして、内外合成樹脂フィルム2a、2bの対向間に形成された空間部内に支持部材5が配設され、この支持部材5にスペーサ部材6を支持させることによって内外合成樹脂フィルム2a、2bを互いに離間させて空気層Bが形成されている。
【0032】
上記支持部材5は、図4及び図5に示したように、一本の弾性変形可能な線材を屈曲形成してなり、具体的には、一本の線材をその中央部において平面コ字状に屈曲形成してなる底部51及びこの底部51の両端から上方における斜め後方に向かって互いに近接する方向に延設された一対の両側固定アーム部52、52とからなる固定部5aと、上記両側固定アーム部52、52の上端のそれぞれに延設され且つ中央部において互いに離間する方向にく字状に屈曲53a、53aされてなる一対の両側支持アーム部53、53からなる支持部5bとからなり、上記両側支持アーム部53、53は、両側固定アーム部52、52の上端から上方における斜め前方に向かって互いに離間する方向に延設された両側下側アーム部53b、53bと、この両側下側アーム部53b、53bに屈曲部53a、53aを介して上方における斜め後方に向かって互いに近接する方向に延設された両側上側アーム部53c、53cとからなる。なお、底部51の幅寸法は、固定部材4における溝部4aの内底面の幅寸法に合致していると共に、両側支持アーム部53、53の上端部、即ち、両側上側アーム部53c、53cの上端部は凸円弧状に屈曲形成されている。
【0033】
そして、上記支持部材5は、図3に示したように、内側合成樹脂フィルム2aを介して、底部51及び両側固定アーム部52、52を固定部材4の溝部4a内に着脱自在に挿入し、底部51を固定部材4の溝部4aの内底面、即ち、底部41上に配設し且つ両側固定アーム部52、52を固定部材4の両側壁部42、42の内面に圧接させた状態に配設、固定されており、両側固定アーム部52、52の弾性力によって支持部材5は固定部材4の溝部4a内に安定的に着脱自在に固定されている。
【0034】
なお、支持部材5は複数個、固定部材4の溝部4a内にその長さ方向に所定間隔毎に着脱自在に配設、固定されており(図6参照)、互いに隣接する支持部材5、5間の内側合成樹脂フィルム2a部分が固定部材4の溝部4a内に安定的に挿入された状態に維持できる程度の間隔でもって支持部材5、5・・・が配設されている。
【0035】
更に、支持部材5の両側支持アーム部53、53は、固定部材4の両側壁部42、42の上端縁から上方に向かって突出した状態となっており、この両側支持アーム部53、53間にスペーサ部材6を支持させている。
【0036】
上記スペーサ部材6は、上記支持部材5に支持可能で内外合成樹脂フィルム2a、2bを互いに離間させた状態に維持することができれば特に限定されず、具体的には、図3に示したような、断面が縦長長方形状で且つ両端の支柱1a、1b間の距離に略合致した長さを有する長尺状のものが挙げられる。
【0037】
このスペーサ部材6は、支持部材5の両側支持アーム部53、53間に上方から挿入されて両側支持アーム部53、53によって両側から弾性的に挟持されていると共に、下端が両側支持アーム部53、53の下半部、即ち、両側支持アーム部53、53の下側アーム部53b、53bに受止された状態で起立状態に支持されている。
【0038】
そして、スペーサ部材6の下端と、固定部材4の両側壁部42、42の上端縁との間には、図6及び図7に示したように、通気部B1が形成されており、空気層Bがスペーサ部材6によって分断されることなく、スペーサ部材6を挟んで互いに反対側にある空気層Bが循環可能に構成されている。
【0039】
このように、スペーサ部材6によって内外合成樹脂フィルム2a、2bを互いに離間させて空気層Bを形成していることから、内外合成樹脂フィルム2a、2b間に空気を供給するためのポンプやそのための配管を設ける必要がなく、内外合成樹脂フィルム2a、2b間に常時、空気層Bを形成し、農業用ハウスAの保温性を安定的に維持することができる。
【0040】
なお、上記では、スペーサ部材6を長尺状とし、固定部材4の溝部4a上にその全長に亘ってスペーサ部材6を配設した場合を説明したが、スペーサ部材6は、短尺状のものであってもよく、又、固定部材4の溝部4a上にスペーサ部材6が断続的に配設されていてもよい。
【0041】
又、スペーサ部材6としては、発泡体又は非発泡体の何れであってもよいが発泡体が好ましい。スペーサ部材6の材質としては、特に限定されず、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状中密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのポリエチレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが挙げられ、エチレン−スチレン共重合体が好ましい。
【0042】
なお、プロピレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。又、エチレン−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどが挙げられる。
【0043】
次に、支持部材の他の一例について説明する。なお、上記支持部材5以外の農業用ハウスAの構成は同一であるのでその説明を省略する。図8に示した支持部材7は、固定部材4における両側壁部42、42の上端間の間隔よりも若干短い幅寸法を有する一枚の平面横長長方形状の板状体を屈曲形成してなり、具体的には、固定部材4における溝部4aの内底面の幅寸法に合致した幅寸法を有する平面長方形状の底部71a及びこの底部71aの幅方向の両端から上方に向かって互いに近接する方向に延設された一対の両側折返し部71b、71bとからなる固定部71と、両側折返し部71bの上端から上方に向かって延設され且つ中央部において互いに離間する方向に凸円弧状に屈曲されてなる一対の両側支持部72、72とからなり、更に、両側支持部72、72の上端部は、互いに対向する方向に凸円弧状に屈曲形成されてスペーサ部材6を両側から挟持する挟持部72a、72aに形成されている。
【0044】
そして、上記支持部材7は、図9に示したように、合成樹脂フィルム2aを介して、底部71a及び両側折り返し部71b、71bを固定部材4の溝部4a内に着脱自在に嵌め込むことによって固定されている。
【0045】
なお、支持部材7は複数個、上記支持部材5と同様に、固定部材4の溝部4a内にその長さ方向に所定間隔毎に着脱自在に配設、固定されており、互いに隣接する支持部材7、7間の合成樹脂フィルム2a部分が固定部材4の溝部4a内に安定的に挿入された状態に維持できる程度の間隔でもって支持部材7、7・・・が配設されている。
【0046】
そして、支持部材7の両側支持部72、72間にスペーサ部材6を挿入することによって、支持部材の両側支持部72の挟持部72a、72aによりスペーサ部材6を両側から挟持すると共に、下端を両側支持部72、72の下半部(基端近傍部)に受止させることによって、スペーサ部材6は起立状態に安定的に支持されている。
【0047】
この場合も上記と同様に、スペーサ部材6の下端と、固定部材4の両側壁部42、42の上端縁との間には、図9に示したように、通気部B1が形成されており、空気層Bがスペーサ部材6によって分断されることなく、スペーサ部材6を挟んで互いに反対側にある空気層Bが循環可能に構成されている。
【0048】
上記支持部材5、7では、スペーサ部材6を別体に構成した場合を説明したが、支持部材とスペーサ部材とが一体化されたものであってもよい。このような支持部材8としては図10及び図11に示したように、弾性材料からなり且つ固定部材4の溝部4aの長さに合致した長さを有する長尺状に形成されてなり、固定部材4の溝部4aの断面形状に合致した断面等脚台形状の固定部81と、この固定部81の上端から上方に向かって延設された断面縦長長方形状のスペーサ部82とからなるものが挙げられる。なお、支持部材8は、長尺状である必要はなく、短尺状であってもよい。
【0049】
又、図12に示したように、支持部材8の固定部81の両側上端面を凹円弧状に凹ませると共に、固定部81の両端に上方に向かって鉤状突起81a、81aを突設しておいてもよい。このように鉤状突起81a、81aを突設しておくことによって、支持部材8の固定部81を固定部材4の溝部4a内に着脱自在に嵌め込んだ状態において、支持部材8の固定部81に、固定部材4の溝部4aからの引き抜き方向の力が加わった場合に、支持部材8の固定部81の鉤状突起81a、81aが上記引き抜き方向の力に抗し、支持部材8の固定部81が固定部材の溝部4aから引き抜かれるのを防止し、支持部材8を固定部材4の溝部4a内に安定的に配設させておくことができる。
【0050】
そして、図10乃至図12に示した支持部材8は、弾性材料から形成されており弾性変形可能であるので、支持部材8の固定部81の固定部材4の溝部4a内への配設、固定は、支持部材8の固定部81を固定部材4の溝部4aに向かって押圧し、固定部81を弾性変形させながら固定部材4の溝部4a内に着脱自在に嵌め込めばよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の支持部材を用いて形成された農業用ハウスを示した斜視図である。
【図2】本発明の支持部材を用いて形成された農業用ハウスを示した縦断面図である。
【図3】本発明の支持部材の使用状態を示した斜視図である。
【図4】本発明の支持部材を示した斜視図である。
【図5】図4の支持部材の平面図である。
【図6】図4の支持部材の使用状態を示した側面図である。
【図7】図4の支持部材の使用状態を示した正面図である。
【図8】本発明の支持部材の他の一例を示した支持部材である。
【図9】図8の支持部材の使用状態を示した正面図である。
【図10】本発明の支持部材の他の一例を示した斜視図である。
【図11】図10の支持部材の使用状態を示した正面図である。
【図12】本発明の支持部材の他の一例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1、1a、1b 支柱
2a 内側合成樹脂フィルム
2b 外側合成樹脂フィルム
31 溝部材
31a 溝部
4 固定部材
41 底部
42 壁部
4a 溝部
5 支持部材
51 底部
52 固定アーム部
53 支持アーム部
53a 屈曲部
5a 固定部
5b 支持部
6 スペーサ部材
7 支持部材
71 固定部
72 支持部
72a 挟持部
8 支持部材
81 固定部
81a 鉤状突起
82 スペーサ部
A 農業用ハウス
B 空気層
B1 通気部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されてなる農業用ハウスの上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて用いられる支持部材であって、この支持部材を上記支柱に固定するための固定部と、上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて空気層を形成するためのスペーサ部材を支持する支持部とを有することを特徴とする支持部材。
【請求項2】
固定部は、支柱間に一体的に架設された固定部材の溝部内に着脱自在に固定可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の支持部材。
【請求項3】
支持部材は一本の線材を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部の内底面上に着脱自在に嵌め込まれる平面コ字状の底部及びこの底部の両先端から上方に向かって延設され且つ上記固定部材の溝部の両側壁部内面に弾性的に圧接した状態に着脱自在に嵌め込まれる両側固定アーム部からなる固定部と、この両側固定アーム部に延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持アーム部からなる支持部とからなることを特徴とする請求項2に記載の支持部材。
【請求項4】
両側支持アーム部は、その中央部が互いに離間する方向にく字状に屈曲形成されていることを特徴とする請求項3に記載の支持部材。
【請求項5】
両側支持アーム部の下半部にスペーサ部材を受止させるように構成していることを特徴とする請求項4に記載の支持部材。
【請求項6】
支持部材は一枚の板状体を屈曲させて形成されてなり、固定部材の溝部内に着脱自在に嵌め込まれる固定部と、この固定部の上端縁から延設されてスペーサ部材を支持するための両側支持部とからなることを特徴とする請求項2に記載の支持部材。
【請求項7】
両側支持部の上端部を互いに対向する方向に凸円弧状に屈曲させることによってスペーサ部材の挟持部を形成していると共に、両側支持部の下半部にスペーサ部材を受止させるように構成していることを特徴とする請求項6に記載の支持部材。
【請求項8】
所定間隔毎に配設してなる複数個の門形状の支柱間に、合成樹脂フィルムが内外方向に重ね合わせられ且つ外周部が閉塞された状態で張設されてなる農業用ハウスの上記内外合成樹脂フィルム間に配設されて用いられる弾性材料からなる支持部材であって、この支持部材を上記支柱に固定するための固定部と、この固定部に一体的に形成されて上記内外合成樹脂フィルム間に介在させて空気層を形成するスペーサ部とからなることを特徴とする支持部材。
【請求項9】
固定部は、支柱間に一体的に架設された固定部材の溝部内に着脱自在に固定可能に構成されていることを特徴とする請求項8に記載の支持部材。
【請求項10】
支持部材が長尺状に形成されていることを特徴とする請求項9に記載の支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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