説明

改善された可撓性及び耐久性を有する腔内デバイス

本発明のステント(150)は、前側及び後側の開口端と、それらの間に延在する長手方向軸線と、を有する管状部材である。該管状部材は、患者の中への挿入及び血管を通るナビゲーションのための第1のより小さい直径と、血管の標的領域内への展開のための第2のより大きい直径と、を有する。該管状部材は、前端と後端との間に延在する複数の隣接するフープ(152(a)、152(b)、152(c)、152(d)から作製される。フープは、複数の長手方向支柱(160)と、隣接する支柱を接続する複数のループ(162)とを含む。該ステントは更に、隣接するフープを互いに接続する接続部を架橋するためのループを有する複数の架橋部(170)を含む。周囲方向に整合されたループの総数と、特定の架橋部によって架けられたループの数との比率は、整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年10月30日に出願された米国仮出願第61/256,633号の利益を主張するものであり、該仮出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、疾患によって狭窄又は閉塞した血管を修復するために特に有用である、身体通路又はダクト内での使用のための拡張型腔内移植片(「ステント」)に関する。本発明は更に、自己拡張し、かつニチノール等の超弾性材料から作製されるようなステントにも関する。本発明はまた、かかるステントの送達システムにも関する。
【背景技術】
【0003】
経皮的冠動脈形成術(PTCA)は、冠状動脈を通る血流を増大させるために使用される治療的医療手技であり、しばしば、冠状動脈バイパス手術の代替として使用することができる。この手技では、血管形成バルーンは、血管の壁構成要素をせん断し、かつ破壊して、拡大した管腔を得るように、狭窄血管又は身体通路内で膨張される。動脈狭窄病変に関して、比較的非圧縮性のプラークは、不変のままであるが、身体通路のより弾性の内層及び外膜層は、プラークの周囲で伸張する。このプロセスは、動脈又は身体通路の内膜又は内面に亀裂が生じている身体通路の壁層の切除又は分裂及び断裂を生じる。この解離は、管腔を通る血流を減少するか、又は管腔を阻害し得る、下層組織の「フラップ」を形成する。典型的には、身体通路内の膨満管腔圧力は、破壊された層又はフラップを定位置に保持することができる。バルーン拡大手技によって形成された内膜フラップが、拡張した内膜に対して定位置に維持されない場合、内膜フラップは、管腔内に折畳し、管腔を封鎖することができるか、又は、分離されて身体通路に進入さえし得る。内膜フラップが身体通路を閉鎖するとき、この問題を是正するために迅速な手術が必要である。近年、経皮的プロテーゼは、血管、胆管、又は生体の他の同様の臓器内への着床のために医療技術分野において広く使用されている。これらのプロテーゼは、一般にステントとして既知であり、管状構造を維持する、開口する、又は拡大するために使用される。一般に使用されるステントの一例は、1985年11月7日に出願された米国特許第4,733,665号に示され、それは、参照によって本明細書に組み込まれる。かかるステントは、しばしば、バルーン拡張型ステントと称される。典型的には、ステントは、ステンレス網の固体管から作製される。その後、ステントの壁の中に一連の切除が作製される。ステントは、ステントが、バルーンカテーテル上にけん縮されることによって、ヒトの脈管構造を通って送達されることを可能にする、第1のより小さい直径を有する。ステントはまた、第2の、適用時にバルーンカテーテルによって、放射状に外向きに延在する管形状部材の内部から拡張した直径を有する。
【0004】
しかしながら、かかるステントは、しばしば、頚動脈等の一部の血管における使用には非実用的である。頚動脈は、ヒトの身体の外部から容易にアクセス可能であり、しばしば、頚部を見れば明白である。頚動脈内に定置された、ステンレス網又は同等物から作製されたバルーン拡張型ステントを有する患者は、日々の活動を通して深刻な損傷を受けやすい場合がある。転倒等による患者の頚部にかかる十分な力は、ステントの崩壊を引き起こし、患者に損傷をもたらす。これを防止するために、自己拡張型ステントは、かかる血管内の使用に提案されている。自己拡張型ステントは、バネのように作用し、押し付けられた後に、それらの拡張された又は着床された構造まで回復する。
【0005】
自己拡張型ステントの1つの種類は、米国特許第4,665,771号に開示されており、該ステントは、互いに対して本体の端の軸運動下で可変である規定の直径を有する、半径方向及び軸方向に可撓性、かつ弾性の管状本体を有し、それは、半径方向に自己拡張するらせんを画定する個別に剛性であるが、可撓性かつ弾性の複数の螺山要素から成る。この種類のステントは、「組物ステント」として当該技術分野において既知であり、本明細書に示される。血管内のかかるステントの定置は、ステントをその遠位端を保持するための外側カテーテルと、ステントが定位置になるとステントを前方に押し出す内側ピストンと、を備えるデバイスによって達成することができる。
【0006】
しかしながら、組物ステントは、多くの不利な点を有する。それらは、典型的には、罹患した血管を開口して十分に保持するのに必要な放射状の強度を有さない。加えて、かかるステントを作製するために使用される複数のワイヤ又は繊維は、それがステントの本体から分離された場合に、血管を穿孔する場合があり、危険である可能性がある。したがって、多くの市販のバルーン拡張型ステントの共通の製造方法である、金属管から切断される自己拡張型ステントを有することが望まれている。管から切断された自己拡張型ステントを製造するために使用される合金は、好ましくは、それが圧潰回復可能であるように、体温で超弾性又は擬似弾性特性であろう。
【0007】
先行技術は、患者の体内に挿入されるように設計される医療用デバイスにおいて、形状記憶及び/又は超弾性特性を有する、ニチノール(Ni−Ti合金)等の合金の使用について言及する。形状記憶特性は、デバイスがそれらの身体管腔又は空洞への挿入を促進するように変形し、次いで、デバイスがその本来の形状に戻るように体内で加熱されることを可能にする。一方、超弾性特性は、一般に、患者の体内への金属を含有する医療用デバイスの挿入を促進するために、金属が変形し、変形した状態に拘束されることを可能にし、かかる変形は、相転移を引き起こす。身体管腔内に入ると、超弾性部材上の拘束が除去され、それによって、超弾性部材が、本来の相への逆転移によってその本来の未変形の形状に戻ることができるように、その中の応力を低下させる。
【0008】
形状記憶及び/又は超弾性特性を有する合金は、一般に、少なくとも2つの相を有する。これらの相は、比較的低い引張り強度を有し、比較的低温で安定するマルテンサイト相、及び比較的高い引張り強度を有し、マルテンサイト相よりも高い温度で安定するオーステナイト相である。
【0009】
形状記憶特性は、金属を、マルテンサイト相からオーステナイト相への転移が完了する温度以上の温度、すなわち、オーステナイト相が安定する温度(Af温度)以上の温度で加熱することによって、合金に付与される。この加熱処理中の金属の形状は、「記憶された」形状である。加熱処理された金属は、マルテンサイト相が安定する温度まで冷却され、オーステナイト相をマルテンサイト相に転移させる。次いで、マルテンサイト相内の金属は、例えば、患者の体内へのその進入を促進するように塑性的に変形される。マルテンサイトからオーステナイトへの転移温度以上の温度までの、その後の変形されたマルテンサイト相の加熱は、変形したマルテンサイト相をオーステナイト相へ転移させ、この相転移中に、金属は、未拘束の場合、その本来の形状に戻る。拘束されている場合、金属は、拘束が除去されるまでマルテンサイトのままである。
【0010】
医療用デバイスにおけるこれらの合金の形状記憶特性の使用方法は、動作上の困難を呈する患者の体内に定置されることを意図する。例えば、体温以下で安定したマルテンサイト温度を有する形状記憶合金を用いて、しばしば、デバイスが患者の体内に挿入されたとき、オーステナイト相へのマルテンサイト相の転移を防止するように、体温以下のかかる合金を含有する医療用デバイスの温度を十分に維持することが困難であることが多い。体温を大幅に上回るマルテンサイトからオーステナイトの転移温度を有する形状記憶合金の形状の血管内デバイスを用いて、デバイスは、ほぼ問題なく、又は全く問題なく、患者の体内に導入することができるが、それらは、しばしば、組織の損傷及び非常に高度な疼痛をもたらすのに十分高いマルテンサイトからオーステナイトへの転移温度に加熱されなければならない。
【0011】
応力が、オーステナイトが安定する温度(すなわち、マルテンサイト相のオーステナイトへの転移が完了する温度)以上の温度で超弾性特性を呈するニチノール等の金属の試料に適用されるとき、該試料は、次いで、合金がオーステナイト相からマルテンサイト相への応力誘発相転移を受ける特定の応力レベルに達するまで、弾性的に変形する。相転移が進行すると、合金は、有意なひずみの増加を受けるが、応力の対応する増加はほとんど、又は全くない。ひずみが増加する一方、応力は、マルテンサイト相へのオーステナイト相の転移が完了するまで、実質的に一定のままである。その後、更なる変形を引き起こすために更なる応力の増加が必要である。マルテンサイト金属は、まず、付加的な応力の印加時に、弾性的に、次いで、永久的残留変形で塑性的に変形する。
【0012】
任意の永久的変形が生じる前に試料上の荷重が除去される場合、マルテンサイト試料は、弾性的に回復し、オーステナイト相に逆転移する。応力減少は、まず、ひずみの低下を引き起こす。応力減少が、マルテンサイト相がオーステナイト相に逆転移するレベルに到達すると、試料内の応力レベルは、オーステナイト相への逆転移が完了する、すなわち、対応するごくわずかな応力減少でひずみの有意な回復が存在するまで、本質的に一定のままである(しかし、実質的に、オーステナイトがマルテンサイトに転移する一定の応力レベル以下)。オーステナイトへの逆転移が完了した後、更なる応力減少は、弾性のひずみの減少を引き起こす。荷重の印加時に比較的一定応力で有意なひずみをもたらし、かつ荷重の除去時の変形から回復するこの能力は、一般に、超弾性又は擬似弾性と称される。この材料の特性が、チューブカット自己拡張型ステントの製造において該材料を有用にさせる。先行技術は、挿入されるか、ないしは患者の体内に使用されることが意図される、医療用デバイスにおける超弾性特性を有する金属合金の使用に言及する。例えば、米国特許第4,665,905号(Jervis)、及び米国特許第4,925,445号(Sakamoto et al.)を参照されたい。
【0013】
しかしながら、先行技術は、任意の好適なチューブカット自己拡張型ステントについて開示していない。加えて、先行技術のステントの多くは、身体血管を開口したままにするために必要な剛性又はフープ強度が不足していた。加えて、先行技術のステントの多くは、それらの拡張した直径で、大きい開口部を有する。拡張したステント上の開口部が小さいほど、より多くのプラーク又は他の沈着物を、ステントと血管壁との間に捕捉することができる。捕捉されたこれらの沈着物は、患者の継続的健康に重要であり、それは、脳卒中の防止に役立ち、並びにそれがその中に着床される血管の再狭窄の防止に役立つ。本発明は、先行技術のステントに付随する多くの不利な点を克服する自己拡張型チューブカットステントを提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明により、患者の血管内に挿入するためのステントを提供する。ステントは、前側及び後側の開口端と、それらの間に延在する長手方向軸線と、を有する管状部材である。管状部材は、患者の中への挿入及び血管を通るナビテーションのための第1のより小さい直径と、血管の標的領域内への展開のための第2のより大きい直径とを有する。管状部材は、前端と後端との間に延在する複数の隣接するフープから作製される。フープは、複数の長手方向の支柱と、隣接する支柱を接続する複数のループとを含む。ステントは更に、隣接するフープを互いに接続する接続部を架橋するためのループを有する複数の架橋部を含む。ループ接続点への架橋は、長手方向軸線に対して角度をつけて分離される。架橋部は、ループに取り付けられた1つの端と、隣接するフープ上のループに取り付けられた別の端とを有する。架橋部は、ループ接続点へのそれらの架橋部間の非線形の湾曲プロファイルを有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
先述及び本発明の他の態様は、付属の図面と併せて、本発明の発明を実施するための最良の形態を参照して最も良く理解されるであろう。
【図1】本発明により作製されたステントと共に使用することができる、その中に装荷されたステントを有するステント送達装置の簡略化された部分的断面図。
【図2】図1の図と同様の図であるが、装置の遠位端の拡大図。
【図3】圧縮状態のステントで示す、本発明により作製されたステントの斜視図。
【図4】図1に示されるステントの断面的平面図。
【図4A】図4に示されるステントの区画の拡大図。
【図5】拡張状態のステントで示す、図1に示されるステントの斜視図。
【図6】図5に示されるステントの拡大した断面図。
【図7A】図4の図と同様の図であるが、本発明の代替的実施形態。
【図7B】図4の図と同様の図であるが、本発明の代替的実施形態。
【図7C】図4の図と同様の図であるが、本発明の代替的実施形態。
【図7D】図4の図と同様の図であるが、本発明の代替的実施形態。
【図7E】図4の図と同様の図であるが、本発明の代替的実施形態。
【図7F】図4の図と同様の図であるが、本発明の代替的実施形態。
【図8A】本発明の一実施形態による、架橋部材の拡大図。
【図8B】本発明の一実施形態による、架橋部材の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照すると、同様の数字は、図面を通して同一の要素を示し、図3及び4において、本発明により作製されたステント50を示す。図3及び4は、未拡張又は圧縮状態のステント50を示す。ステント50は、好ましくは、ニチノール等の超弾性合金から作製される。より好ましくは、ステント50は、約50.5%(本明細書に使用されるとき、これらの百分率は、原子百分率を指す)のNi〜約60%のNi、及び最も好ましくは、約55%のNiを含み、合金の残りは、Tiである合金から作製される。好ましくは、ステントは、それが体温で超弾性であるようであるように、好ましくは、約24℃〜約37℃の範囲のAfを有する。ステントの超弾性設計は、それを圧潰回復性にさせ、上述のように、異なる用途に対して任意の数の血管デバイスのためのステント又は枠として使用することができる。
【0017】
ステント50は、前側及び後側の開口端81及び82と、それらの間に延在する長手方向軸線83とを有する管状部材である。管状部材は、患者の中への挿入及び血管を通るナビゲーションのための第1のより小さい直径(図3及び4)と、血管の標的領域内への展開のための第2のより大きい直径(図5及び6)とを有する。管状部材は、複数の隣接するフープ52から作製され、図4Aは、前端81と後端82との間に延在するフープ52(a)〜52(b)を示す。フープ52は、複数の長手方向支柱60と、隣接する支柱を接続する複数のループ62とを含み、隣接する支柱は、実質的にS又はZ形状パターンの一連のピーク部78及び谷部80を形成するように、対向する端で接続される。ループ62は、実質的に半円形に湾曲し、対称の区画は、中心部64と、図4に例証されるけん縮構造の実質的に一定の曲率半径を有する。ピーク部78及び谷部80は、ループ部材62の外側及び内側の曲線のそれぞれに沿った頂点として画定される。
【0018】
ステント50は更に、隣接するフープ52を接続する複数の架橋部70を含み、図4を参照することによって最も良く説明することができる。各架橋部は、2つの端56及び58を有する。架橋部は、1つの支柱及び/又はループに取り付けられた1つの端と、隣接するフープ上の支柱及び/又はループに取り付けられた別の端とを有する。一実施形態において、架橋部70は、ループ接続地点72及び74への架橋部で隣接する支柱を共に接続する。例えば、端56は、ループ接続点72への架橋部で、ループ64(a)に接続され、端58は、接続点74への架橋部でループ64(b)に接続される。各ループ接続点への架橋部は、中心部76を有する。ループ接続点への架橋部は、長手方向軸線に対して角度をつけて分離される。つまり、接続点は、互いに直接対向しない。接続点間に直線を引くことができず、かかる線は、ステントの長手方向軸線と平行であろう。
【0019】
上述の形状は、ステント全体へのより優れたひずみの分布に役立ち、ステントが曲げられたときの金属と金属との接触を防止し、特徴と支柱ループと架橋との間の開口部の寸法を最小限にする。支柱、ループ、及び架橋部の数及びそれらの設計の性質は、ステントの作業特性及び疲労寿命特性を決定するときに、重要な要素である。好ましくは、各フープは、24〜36個以上の支柱を有する。好ましくは、ステントは、フープ当たりの支柱数と、支柱の長さL(インチ)との比率を有し、それは、200を超える。支柱の長さは、ステント83の長手方向軸線と平行する、その圧縮状態で測定される。
【0020】
図4及び5に見られるように、ステントの形状は、ステントがその未拡張状態からその拡張状態に展開すると、かなり有意に変化する。ステントが直径の変化を受けると、ループ及び架橋部内の支柱の角度及びひずみのレベルが影響を受ける。好ましくは、ステント特徴のすべてが、ステントが、強度において確実かつ均一であるように、予測可能な方法でひずみを与える。加えて、大半の材料がそうであるように、ニチノール特性が応力よりもひずみによって一般的に制限されるため、支柱ループ、及び架橋部が経験する最大のひずみを最小限化することが好ましい。下記により詳細に説明されるように、ステントは、図4に示されるように、その未拡張状態で送達システム内に着座する。ステントが展開されると、図5に示されるように、その拡張状態に向かって拡張することが可能になり、ステントは、好ましくは、標的血管の直径と同一又はそれよりも大きい直径を有する。ワイヤから作製されたニチノールステントは、ほぼ同一の方法で展開し、レーザーカットステントと同一の設計制約に依る。ステンレス網ステントは、それらが、バルーン又は他のデバイスからの力で補助されるため、形状変化に関して同様に展開する。
【0021】
特徴によって経験する最大ひずみを最小限化する試みの中で、本発明は、他のものよりも破損しにくいステント領域にひずみを分布する構造的形状を使用する。例えば、最も弱いステント領域のうちの1つは、接続ループの内側半径である。接続ループは、すべてのステント特徴の大半の変形を受ける。ループの内側半径は、通常、ステント上の最大レベルのひずみを有する領域であろう。この領域はまた、通常、ステント上の最小半径であるため重要である。応力集中は、通常、できるだけ最大の半径を維持することによって、制御又は最小限化される。同様に、我々は、架橋部及び架橋接続点上の局所的ひずみ集中を最小限化することを望む。これを達成するための1つの方法は、印加された力と一致する特徴の幅を維持しながら、できる限り最大の半径を使用することである。別の問題は、ステントの最大開口領域を最小限化することである。ステントがそこから切断される従来の管を効率的利用することによって、ステント強度及びその塞栓性材料を捕捉する能力が増大する。
【0022】
これらの目的のうちの多くは、図3、4、及び7A〜7Fに示される、本発明の好ましい実施形態によって達成されている。これらの図面から見られるように、架橋接続へのループで最大の半径を維持する最もコンパクトな設計は、支柱接続ループの中心線に対して非対称的である。すなわち、架橋接続点の中心部76へのループは、それらが取り付けられるループ62の中心部64からオフセットされる。この特徴は、大きい拡張比を有するステントにとって特に有益であり、順次、それらは、大きな弾性ひずみが必要とされる、過剰な曲げを有することが必要である。ニチノールは、非常に大量の弾性ひずみ変形に耐えることができ、上記の特徴は、この合金から作製されたステントに非常に好適である。この特徴は、Ni−Tiの最大利用及び他の材料が半径強度を強化する能力を可能にし、ステント強度の均一性を改善し、局所的ひずみレベルを最小限化することによって疲労寿命を改善し、塞栓材料の捕捉を強化する、より小さい開口部を可能にし、不規則な血管壁形状及び曲線におけるステントの圧着を改善する。
【0023】
図4Aに見られるように、ステント50は、軸83と平行の中心部64において測定された幅W4を有する支柱接続ループ62を有し、それらは、軸83自体と垂直に測定された支柱幅W2よりも広い。実際、それらの中心部近傍で最大の厚さになるように、ループの厚さが異なることが望ましい。これは、支柱におけるひずみの変形を増大させ、ループの極度半径における最大ひずみレベルを低下させる。これは、ステント疲労のリスクを低下させ、我々が半径強度特性を最大化することが可能になる。この特徴は、大きい拡張比を有するステントにとって特に有益であり、順次、それらは、大きな弾性ひずみが必要とされる、過剰な曲げを有することが必要である。ニチノールは、非常に大量の弾性ひずみ変形に耐えることができ、上記の特徴は、この合金から作製されたステントに非常に好適である。この特徴は、Ni−Tiの最大利用及び他の材料が半径強度を強化する能力を可能にし、ステント強度の均一性を改善し、局所的ひずみレベルを最小限化することによって疲労寿命を改善し、塞栓材料の捕捉を強化する、より小さい開口部を可能にし、不規則な血管壁形状及び曲線におけるステントの圧着を改善する。
【0024】
上述されるように、架橋形状は、ステントがその圧縮状態からその拡張状態へ、及び逆の場合も同様に展開するにつれて変化する。ステントが直径変化を受けると、支柱角度及びループのひずみが影響を受ける。架橋部が、ループ若しくは支柱のうちのいずれか、又は両方に接続されるため、それらが影響を受ける。ステント送達システム内に装荷されている間、他方に対してステントの一端の撚れは、回避されなければならない。架橋端に送達された局所的トルクは、架橋形状を置換する。架橋設計がステントの周辺で重複される場合、この置換は、架橋によって接続されている2つのループの回転移動を引き起こす。本発明において見られるような、架橋設計がステントにわたって重複する場合、この移動は、ステントの長さの下方に生じる。これは、展開時に、他端に対する一端の回転と考えるため、累積効果である。下記に説明するもの等のステント送達システムは、まず遠位端を展開し、次いで、近位端を拡張させる。固定して回転するステントを保持している間に、遠位端を血管壁内に固定させ、次いで、近位端を解放することは、望ましくないであろう。これは、ステントを、血管内で少なくとも部分的に展開した後、均衡するまで回転中に撚れる、又は振れ回すことをもたらす。かかる振れ回り作用は、血管への損傷を引き起こす。
【0025】
しかしながら、図3及び4に示されるように、本発明の一実施形態は、ステントを展開するとき、かかる事象が生じる機会を低減する。架橋部形状をステント下方に長手方向に反映することによって、Z区画の回転移動は、代替的に作製することができ、展開又は拘束中の所与のステント上の任意の2つの点の間の大きな回転変化を最小限化する。すなわち、架橋部接続ループ52(b)〜ループ52(c)は、左から右に上向きに角度付けされ、架橋部接続ループ52(c)〜ループ52(d)は、左から右に下向きに角度付けされる。この代替的パターンは、ステントの長さの下方で繰り返される。架橋勾配のこの代替的パターンは、任意の2つのフープに対するステントの任意の撚れ又は回転を最小限化するように、ステントのねじれ特性を改善する。この代替的架橋勾配は、ステントが生体内で撚り始める場合に、特に有益である。ステントが撚ると、ステントの直径は、変化する。代替的架橋部勾配は、この影響を最小限化する傾向がある。すべて同一方向に勾配する架橋部を有するステントの直径は、一方向に撚る場合に、増大し、他の方向に撚る場合に収縮する傾向がある。代替的架橋部勾配で、この影響は、最小限化され、局所化される。
【0026】
この特徴は、大きい拡張比を有するステントにとって特に有益であり、順次、それらは、大きな弾性ひずみが必要とされる、過剰な曲げを有することが必要である。ニチノールは、非常に大量の弾性ひずみ変形に耐えることができ、上記の特徴は、この合金から作製されたステントに非常に好適である。この特徴は、Ni−Tiの最大利用及び他の材料が半径強度を強化する能力を可能にし、ステント強度の均一性を改善し、局所的ひずみレベルを最小限化することによって疲労寿命を改善し、塞栓材料の捕捉を強化するより小さい開口部を可能にし、不規則な血管壁形状及び曲線におけるステントの圧着を改善する。
【0027】
好ましくは、ステントは、小さい直径の管類からレーザーで切断される。先行技術のステントでは、この製造プロセスは、管壁の厚さT(図5に示される)よりも大きい、(それぞれ)軸幅W2、W4、及びW3を有する、支柱、ループ、及び架橋部等の幾何学的特徴を有する設計につながる。ステントが圧縮されるとき、曲げの大半は、ステントの下方に長手方向に切断し、それを広げるように形成される、面内で生じる。しかしながら、それらの厚さよりも広い幅を有する、個々の架橋部、ループ、及び支柱では、それらは、この面内の曲げに対して、面外の曲げに対する抵抗よりも高い抵抗を有する。このため、架橋部及び支柱は、全体としてステントがより容易に曲がることができるように、撚れる傾向がある。この撚れは、予測不可能であり、かつ潜在的に高いひずみを引き起こす可能性のある座屈状態である。
【0028】
しかしながら、この問題は、図3及び4に示す、本発明の好ましい実施形態において解決されている。これらの図から見られるように、支柱、フープ、及び架橋部の幅は、管の壁厚と同等、又はそれ以下である。したがって、実質的にすべての曲げ、及び、したがって、すべてのひずみは、「面外」である。これは、座屈及び予測不可能なひずみ状態を最小限化又は排除するステントの撚れを最小限化する。この特徴は、大きい拡張比を有するステントにとって特に有益であり、順次、それらは、大きな弾性ひずみが必要とされる、過剰な曲げを有することが必要である。ニチノールは、非常に大量の弾性ひずみ変形に耐えることができ、上記の特徴は、この合金から作製されたステントに非常に好適である。この特徴は、Ni−Tiの最大利用及び他の材料が半径強度を強化する能力を可能にし、ステント強度の均一性を改善し、局所的ひずみレベルを最小限化することによって疲労寿命を改善し、塞栓材料の捕捉を強化するより小さい開口部を可能にし、不規則な血管壁形状及び曲線におけるステントの圧着を改善する。
【0029】
動態曲げ、ねじれ、及び軸方向の延長/圧縮に伴う荷重モダリティーを有する指標のための塩基性ステント設計に可撓性及び耐久性を追加するために、多くのアプローチが使用されている。標準的ステント設計に規定の架橋部の数を減少させた、以前のコンセプトは、最良の可撓性を示したが、軸方向の不安定性を有し、問題のあるカテーテル処置及び展開特性をもたらす。本発明は、カテーテル処置及び展開プロセス中に安定性を提供するために、フープ間の十分な軸方向の拘束を残す構造的要素を提供しながら、フープ間のより少ない架橋部に伴う利点を維持することを目的とする。
【0030】
個々のフープを形成する支柱の長さに対して、架橋部を伸展させることによって、架橋部は、隣接するフープ間の必要な拘束を提供し、同時に、ねじれ、曲げ、及び軸方向の延長/圧縮に関連する変形のうちの一部を吸収する能力を提供する。加えて、その長さに沿った架橋部の幅は、ステント構造内の非半径方向の力の存在に依然として耐えながら、耐久性が最適化され得るように、可撓性と環式変形との間のバランスを最大限化するように、「同調」され得る。
【0031】
依然として軸方向の拘束及び安定性を維持しながら、この可撓性を追加する、本発明の1つの代替的実施形態は、図7A〜7Fに示される。図7A〜7Fは、前の図面に示されるステント50と同様のステント150を示す。ステント150は、複数の隣接するフープ152から作製され、図7A〜7Fは、フープ152(a)〜152(d)を示す。フープ152は、複数の長手方向支柱160と、隣接する支柱を接続する複数のループ162とを含み、周囲方向に隣接する支柱は、実質的にS又はZ形状パターンの一連のピーク部又は頂部又は谷部を形成するように、対向する端で接続される。ステント150は更に、ループ接続点への架橋部で隣接するフープ152を接続する複数の架橋部170を含む。図7A〜7F及び図8A〜Bに見られるように、架橋部170は、各端上で接続された細長い線形支柱区画175を湾曲した架橋部ループ部材180の第1の端に組み込む。湾曲したループ部材180の第2の端は、ループ接続点への架橋部で隣接するフープ152に接続される。一実施形態において、湾曲したループ部材180は、隣接するフープ152のループ162に取り付けられる。
【0032】
好ましい実施形態において、フープ152の周囲と、細長い線形支柱部材175との比率は、5以下である。
【0033】
各架橋部170は、隣接するフープ152の上の接続点の間に複数のループ162に架かるように寸法決定される。該構造は、隣接するフープ152の間の開口領域内の付加的な構造的安定性を提供する。細長い架橋部材170は、つる巻きバネコイルの機械的挙動を近似するように設計され得る。その結果が、半径方向強度に対して繰り返すフープ区画152と、曲げ及び軸方向のねじれ荷重条件下で、必要な可撓性を提供する架橋部区画170と、を有するステント150である。
【0034】
個々のフープ152は、架橋部170とフープ152との間の接続点が、広い領域の軸方向に拘束されない支柱の頂部を形成することを回避するように位置されるように、典型的なカテーテル処置及び展開力によって変形されたとき、不安定になる傾向がある。好ましい実施形態において、フープ周囲と、隣接するフープ間の距離との比率は、20:1〜50:1、好ましくは、約25:1である。
【0035】
好ましい実施形態において、架橋部170とフープ152との間の接続点は、過度に拘束されないフープ152の形成を同時に回避しながら、減少した数の架橋部170の有益性が実現されるように、複数のループ162にわたって繰り返しパターンを有する。フープ152の側面(近位又は遠位)当たりのループ162の総数と、所与のフープ152に対する接続領域(特定の架橋部170によっても架けられる)を有する(側面当たりの)ループ162の数との比率が整数であることが好ましい。例えば、図7A〜Fは、フープ152の側面当たり16個のループ162を有するステントを図示する。好ましい実施形態は、所与の側面上に8個、4個、又は2個の接続領域を有し(すなわち、架橋部170は、2個、4個、又は8個のループ162に架かるであろう)、対称性を維持するであろう。選択された比率は、可撓性及び構造的安定性を最大化するように選択されなければならない。図7Aは、それぞれ2個のループ162に架かる、合計8個の架橋部(側面当たり8個の接続領域)を有する、フープ152の側面当たり16個のループ162を有するステントを図示する。図7Bは、それぞれ4個のループ162に架かる、合計4個の架橋部(側面当たり4個の接続領域)を有する、フープ152の側面当たり16個のループ162を有するステントを図示する。図7C、それぞれ8個のループ162に架かる、合計2個の架橋部(側面当たり2個の接続領域)を有する、フープ152の側面当たり16個のループ162を有するステントを図示する。図7A〜Cは、軸整合にある隣接するフープ152を図示する。すなわち、各フープ152上の各ループ162は、長手方向軸線に対して同一の配向にある。しかしながら、隣接するフープ152上のループ162は、より長い支柱及び追加された可撓性を提供するように、回転的にオフセットされ得る、すなわち、軸整合にはない。図7D〜Fに図示されるステント150は、隣接するフープ区画152から回転的にオフセットされるフープ区画152を例証する。特に、この回転的オフセットは、180度の相移動と同等であり、互いの鏡像である隣接するフープをもたらす。
【0036】
細長い線形支柱区画175の幅は、その長さに沿って異なり得、好ましくは、不均一のたわみ特性を回避するように、その中心部の周囲で対称である。架橋部170とフープ152との間の接続点は、たわみ下で天然の蝶番点を形成する可能性が高い。好ましい実施形態において、フープ152への接続点における架橋170の幅は、疲労耐久性が合理的に維持されるように、最適化される。この最適化を達成するために、接続点における架橋部170の幅は、架橋部170の長さに沿った他の点よりも広い。架橋部170の形状及び幅は更に、ねじれの結果として生じる面外力を低下するように最適化され得る、例えば、架橋部170は、フープ152間で広まったねじれ歪曲の量を低下するように、(その長さに対して)その中心部に最も狭い点を有する。図8Bは、その長さに沿った中心点で最も狭い点を有する先細の細長い線形支柱区画175を有する架橋部170を例証する。
【0037】
上述されるように、本発明のステントが、超弾性合金から作製されることが好ましく、最も好ましくは、50.5原子%以上のニッケルを有し、残りがチタンである合金材料から作製されることである。50.5原子%以上のニッケルは、マルテンサイト相が完全にオーステナイト相に転移する温度(Af温度)が、ヒトの体温以下であり、好ましくは、約24℃〜約37℃である、合金を可能にし、それによって、オーステナイトのみが、体温で安定相にある。
【0038】
ニチノールステントを製造する上で、材料は、まず、管形状である。ニチノール管類は、Nitinol Devices and Components,Fremont Califを含む、多くの供給元から市販されている。次いで、管状部材は、上記に説明され、図面に示される、規定のパターンのステントを管に切断する機械内に装荷される。管状デバイスのパターンを切断してステント又は同等物を作製するための機械は、当業者に周知であり、市販されている。かかる機械は、典型的には、レーザーで切断している間に、開口端の間に金属管を保持し、好ましくは、マイクロプロセッサ制御下で、パターンを切断する。パターンの寸法及び様式、レーザー位置決め条件、及び他の情報は、プロセスのすべての側面を制御するマイクロプロセッサ内にプログラムされる。ステントパターンが切断された後、ステントは、任意の数の当業者に周知の方法を使用して、処理され、研磨される。次いで、最後に、ステントは、それが完全にマルテンサイトになるまで冷却され、その未拡張の直径にけん縮され、次いで、送達装置のシース内に装荷される。
【0039】
本発明の利点のうちの多くは、図1及び2に示されるように、ステントのための送達装置の簡単な説明からよりよく理解することができると考えられる。図1及び2は、本発明により作製されたステントのための自己拡張型ステント送達装置1を示す。装置1は、内側及び外側の同軸管を備える。内側管は、シャフト10と呼ばれ、外側管は、シース40と呼ばれる。シャフト10は、近位端12及び遠位端14をそれぞれ有する。シャフトの遠位端14は、ルアーロックハブ5で終端する。好ましくは、シャフト10は、ステンレス網、ニチノール等の比較的硬い材料、又は任意の他の好適な材料から作製される近位部分16と、ポリエチレン、ポリイミド、ペレタン、ペバックス、ベスタミド、クリスタミド、グリルアミド、又は当業者に既知の任意の他の好適な材料から作製される遠位部分18と、を有する。この2つの部分は、当業者に既知の任意の数の手段によって共に接合される。ステンレス網の近位端は、シャフトに、それがステントを有効に押し出すために必要とする不可欠な剛性又は硬さを与え、ポリマーの遠位部分は、捻転血管をナビゲートするために必要な可撓性を与える。
【0040】
シャフトの遠位部分18は、そこに取り付けられた遠位先端20を有する。遠位先端20は、その直径がシース40の外径と実質的に同一である、近位端34を有する。遠位先端は、その近位端からその遠位端までの、より小さい直径まで先細になり、遠位先端の遠位端36は、シースの内径よりも小さい直径を有する。遠位先端20に近位の止め具22もシャフト10の遠位部分18にも取り付けられる。止め具22は、ステンレス網を含む、任意の数の当該技術分野において既知の材料から作製することができ、更により好ましくは、プラチナ、ゴールドタンタル等の放射線不透過性の高い材料から作製される。止め具22の直径は、シース40の内径と実質的に同一であり、実際に、シースの内面と摩擦接触するであろう。止め具22は、展開中に、ステントをシースから押し出すのに役立ち、ステントがシース40内に近位に移動することに役立つ。
【0041】
ステント台24は、遠位先端20と止め具22との間のシャフトの部分であると画定される。ステント台24及びステント50は、ステント台24を備えるシャフト18の部分が、ステント50の管腔内に位置するように同軸である。しかしながら、ステント台24は、ステント50自体と一切接触しない。最後に、シャフト10は、その近位端12からの長さに沿って延在し、その遠位先端20を通って出る、ガイドワイヤ管腔28を有する。これにより、シャフト10が、通常のバルーン血管形成カテーテルがガイドワイヤを受容するのとほぼ同一の方法でガイドワイヤを受容することが可能になる。かかるガイドワイヤは、当該技術分野において周知であり、カテーテル及び他の医療用デバイスを身体の脈管構造を通して誘導する手助けをする。
【0042】
シース40は、好ましくは、ポリマーカテーテルであり、ハブ52で終端する近位端42を有する。シース40はまた、図面に示されるように、ステントが完全に未展開の位置にあるとき、シャフト18の遠位先端20の近位端34で終端する、遠位端44を有する。シース40の遠位端44は、その外面に沿って配置された放射線不透過性マーカーバンド46を含む。下記に説明されるように、ステントは、マーカーバンド46が放射線不透過性の止め具22と整列されるとき、完全に展開され、したがって、身体から装置1を取り外すことが安全であることを医師に示す。シース40は、好ましくは、外側のポリマー層と、内側のポリマー層とを備える。組物強化相は、外層と内層との間に位置付けられる。組物強化層は、好ましくは、ステンレス網から作製される。他の種類の医療用デバイスへの組物強化層の使用は、1971年6月22日にStevensに発行された米国特許第3,585,707号、1991年9月3日にCastilloらに発行された第5,045,072号、及び1993年10月19日にSolteszに発行された米国特許第5,254,107号で確認することができ、それらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
図1及び2は、完全に未展開位置にあるステント50を示す。これは、装置1が脈管構造内に挿入され、その遠位端が標的部位にナビゲートされるときのステントがある位置である。ステント50は、ステント台24の周囲、及びシース40の遠位端44に配置される。シャフト10の遠位先端20は、シース40の遠位端44に遠位であり、シャフト10の近位端12は、シース40の近位端42に近位である。ステント50は、圧縮状態にあり、シース40の内面48と摩擦接触する。
【0044】
患者の中に挿入されるとき、シース40及びシャフト10は、Touhy Borst弁8によって、それらの近位端で共に係止される。これは、ステントの早期の展開、又は部分的展開をもたらす可能性のある、シャフトとシースとの間の任意の摺動運動を防止する。ステント50がその標的部位に到達し、展開の準備が整ったとき、Touhy Borst弁8は、シース40及びシャフト10がもはや共に係止されないように、開口される。
【0045】
装置1がステント50を展開する方法は、容易に明らかでなければならない。装置1は、まず、ステント台24が標的の罹患部位にあるように、血管内に挿入される。これが生じたら、医師は、Touhy Borst弁8を開口する。次いで、医師は、それを定位置に保持するように、シャフト10の近位端12を把持する。その後、医師は、シース40の近位端42を把持し、それを、シャフト40に対して、近位に摺動させる。止め具22は、シース40が元に移動すると、ステント50がシース40の遠位端44から押し出されるように、ステント50がシース40と共に元に摺動することを防止する。ステントの展開は、シース40の放射線不透過性バンド46が放射線不透過性止め具22の近位であるときに完了する。装置1は、ここで、ステント50から抜脱し、患者から取り外すことができる。本発明の特定の実施形態が示され、説明されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、デバイス及び/又は方法に修正を行い得る。本発明を説明する上で使用される用語は、それらの説明は、記述的な意味で使用され、制限する目的で使用されていない。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 患者の血管内に挿入するためのステントであって、
前側及び後側の開口端と、それらの間に延在する長手方向軸線と、を有する管状部材であって、前記部材が、前記血管内への挿入のための第1のより小さい直径と、前記血管内への展開のための第2のより大きい直径と、を有し、前記管状部材が、前記長手方向軸線に対して近位及び遠位の開口端をそれぞれが有する、複数の隣接するフープを備え、前記フープが、実質的にS型又はZ型パターンの一連のピーク部及び谷部を形成するように、複数の長手方向の支柱と、周囲方向に隣接する支柱を接続する複数のループと、を備える、管状部材と、
繰り返しパターンで隣接するフープ上のループ間で接続された複数の架橋部であって、前記ループとフープとの間のそれぞれの前記接続が、接続領域を形成し、前記繰り返しパターンが、前記隣接するフープのうちの1つの所与の端に対するループの総数と、同一のフープの同一の端に対する接続領域の数との比率であり、前記比率が、整数である、架橋部と、
を備える、ステント。
(2) 前記比率が、2:1である、実施態様1に記載のステント。
(3) 前記比率が、4:1である、実施態様1に記載のステント。
(4) 前記比率が、8:1である、実施態様1に記載のステント。
(5) 各架橋部が、湾曲した架橋ループ部材の第1の端に各端で直接接続された細長い線形支柱部材を備え、それぞれの湾曲した架橋ループ部材の第2の端が、前記接続領域で前記ループ部材に直接接続される、実施態様1に記載のステント。
(6) 前記管状部材の周囲と、前記細長い線形支柱部材の長さとの比率が、4を超える、実施態様5に記載のステント。
(7) 前記隣接するフープ上のループが、前記長手方向軸線に対して同一の方向に配向される、実施態様1に記載のステント。
(8) 前記隣接するフープ上のループが、前記長手方向軸線に対して回転オフセットされる、実施態様1に記載のステント。
(9) 前記整数が、偶数である、実施態様1に記載のステント。
(10) 前記架橋部が、前記管状部材の前記周囲に沿って均等に離間される、実施態様1に記載のステント。
【0047】
(11) 前記管の前記周囲と、前記隣接するフープ間の距離との比率が、20:1〜50:1である、実施態様1に記載のステント。
(12) 前記ステントが、超弾性合金から作製される、実施態様1に記載のステント。
(13) 前記合金が、約50.5パーセント〜約60パーセントのニッケルを含み、残りがチタンを含む、実施態様12に記載のステント。
(14) 前記細長い線形支柱部材が、その長さに沿った中心点に最も狭い地点を有して先細にされる、実施態様5に記載のステント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血管内に挿入するためのステントであって、
前側及び後側の開口端と、それらの間に延在する長手方向軸線と、を有する管状部材であって、前記部材が、前記血管内への挿入のための第1のより小さい直径と、前記血管内への展開のための第2のより大きい直径と、を有し、前記管状部材が、前記長手方向軸線に対して近位及び遠位の開口端をそれぞれが有する、複数の隣接するフープを備え、前記フープが、実質的にS型又はZ型パターンの一連のピーク部及び谷部を形成するように、複数の長手方向の支柱と、周囲方向に隣接する支柱を接続する複数のループと、を備える、管状部材と、
繰り返しパターンで隣接するフープ上のループ間で接続された複数の架橋部であって、前記ループとフープとの間のそれぞれの前記接続が、接続領域を形成し、前記繰り返しパターンが、前記隣接するフープのうちの1つの所与の端に対するループの総数と、同一のフープの同一の端に対する接続領域の数との比率であり、前記比率が、整数である、架橋部と、
を備える、ステント。
【請求項2】
前記比率が、2:1である、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記比率が、4:1である、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記比率が、8:1である、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
各架橋部が、湾曲した架橋ループ部材の第1の端に各端で直接接続された細長い線形支柱部材を備え、それぞれの湾曲した架橋ループ部材の第2の端が、前記接続領域で前記ループ部材に直接接続される、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
前記管状部材の周囲と、前記細長い線形支柱部材の長さとの比率が、4を超える、請求項5に記載のステント。
【請求項7】
前記隣接するフープ上のループが、前記長手方向軸線に対して同一の方向に配向される、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
前記隣接するフープ上のループが、前記長手方向軸線に対して回転オフセットされる、請求項1に記載のステント。
【請求項9】
前記整数が、偶数である、請求項1に記載のステント。
【請求項10】
前記架橋部が、前記管状部材の前記周囲に沿って均等に離間される、請求項1に記載のステント。
【請求項11】
前記管の前記周囲と、前記隣接するフープ間の距離との比率が、20:1〜50:1である、請求項1に記載のステント。
【請求項12】
前記ステントが、超弾性合金から作製される、請求項1に記載のステント。
【請求項13】
前記合金が、約50.5パーセント〜約60パーセントのニッケルを含み、残りがチタンを含む、請求項12に記載のステント。
【請求項14】
前記細長い線形支柱部材が、その長さに沿った中心点に最も狭い地点を有して先細にされる、請求項5に記載のステント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2013−509259(P2013−509259A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537056(P2012−537056)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054455
【国際公開番号】WO2011/053693
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(510197221)コーディス・コーポレイション (11)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【住所又は居所原語表記】430 Route 22, Bridgewater, NJ  08807, United States of America
【Fターム(参考)】