説明

改善された漸進的に潰すことが可能な容器

漸進的に潰すことが可能な使い捨て式の容器であって、該容器の横方向の表面の少なくとも一部(2)が、複数の隣接する折り目(A-G)を有するベロー構造からなり、その各折り目が、異なる幅を有する2つの逆方向の表面により形成されており、その幅の広い方の表面(A-D)が幅の狭い方の表面(D-E)よりも剛性が高いことを特徴とするもの。好適には、前記折り目の幅の広い方の表面の一層高い剛性が形状的な剛性であり、該形状的な剛性が、前記折り目の幅の広い方の表面に、該容器の外方に突出する丸い縁部を有する補剛リブを有する形状とすることにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された漸進的に潰すことが可能な使い捨て容器に関し、特に、かかるタイプの容器であって、より容易に且つより一様に潰れるように潰れ方が改善され、並びに部分的に又は全体的に潰れた状態にあるときの安定性が改善された、容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可変体積の容器、特にボトルが当業界で知られており、それは円形断面又は多角形断面の円柱状の容器により形成され、その壁は、ベロー構造体からなり、ボトルが一杯のときに伸張した形態となる。ボトルの内容物が使用された際に、ベロー構造を漸進的に折り畳む(以下、該動作を単に「ボトルを潰す」と称す)ことにより、容器の容積を変更して、内容物の減少に合わせ、及び容器の上部の空気の体積を最小限にすることが可能である。
【0003】
もちろん、容器を潰す際に、それに従って容器の外部体積も減少するので、上述の潰すことが可能な容器は、該容器を収容する場所において該容器が占有する空間を、常にその内容物に比例させることを可能にする、という利点も有するものとなる。最終的に、内容物が完全に使用されてベロー構造の折り畳みが完了すると、該容器はその最小体積に達し、このため、従来の空の容器の場合にかさを減らすために通常必要とされる更なる圧縮操作を行うことなく、リサイクル可能な廃棄物として直接廃棄することができる。
【0004】
このタイプの容器は、腐り易い品物(例えば、食品、特に飲料)を収容するのに特に適している。実際に、かかる製品の上部の空気の体積を小さく保つことにより、該品物の酸化速度を低下させて、感覚受容性の特性をより長く維持することが可能となる。
【0005】
本出願人によるEP1150889には、このタイプの容器が開示されており、それは、上述した既知の容器とは異なり、極めて安定した潰れた構成を特徴とするものである。このため、該容器自体は、ボトルの液体内容物を注ぐ場合、又は発泡性の液体を収容するボトルを閉鎖状態に保つ場合といった、該容器を元の形状に戻すよう働く力を受けた場合であっても、その元の形状に戻る現象を受けることが全くない。
【0006】
上述の特許を出願した後、本出願の発明者は、該容器を一層均等に及び一層効果的に潰すと共にその潰れた構成を一層安定したものとすることを主な目的として、本発明の容器の更なる改善を得るために研究及び実験を続行した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる研究及び実験の結果を基礎として画定されたものであり、使い捨て式の漸進的に潰すことが可能な容器に関するものであり、該容器は、容器の横方向の表面の少なくとも一部が、複数の隣接する折り目を含むベロー構造からなり、その各折り目は、互いに異なる幅の2つの逆方向の表面により形成され、該逆方向の表面のうち幅の広い方の表面が幅の狭い方の表面よりも高い剛性を有していることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の重要な特徴によれば、該剛性の増大は、幅の広い方の表面の形状を変更することにより得られ、該幅の広い方の表面は、容器の外方に突出する補剛リブを形成するような形状とされる。
【0009】
本発明の他の特徴及び利点は、いずれにせよ、図示する本発明の好適な実施形態に関する以下の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の主な特徴によれば、ボトルの均等な潰れを得るために、容器のベロー側壁の各折り目の大きい方の表面(潰れる際に小さい方の表面が上に折り重なることになる表面)が小さい方の表面よりも硬いものとなる。この解決策は、従来技術とは決定的に異なるものであり、この場合、ベローの各折り目を形成する2つの表面は、全体的に連続して平坦なもの又はなだらかなアーチ状のものとなり、このため大きい方の表面は小さい方の表面ほど硬くなくなり、それら表面の剛性はそれらの幅に明らかに反比例する。
【0011】
このベローの折り目の全ての大きい方の表面の特徴のおかげで、すなわち、大きい方の表面がそれに対応する小さい方の表面よりも硬くないおかげで、該ベローの大きい方の表面は、潰れる際にその形状を実質的に不変に維持し、これにより、その間に介在する小さい方の表面に対して均等な態様で変移することができ、押し潰す力は、顧客によりネック領域又はボトルキャップ上に加えられる。これにより、一層小さな剛性を有する前記小さい方の表面は、その内側及び外側縁部にそれぞれ反対方向に作用する力であってボトルの周囲全体に均等に分配された力を受けて、前記表面が潰れが完全に均等かつ一様な態様で生じるようになり、これにより、ベローの2つの表面が本発明で規定したものと逆の剛性レベルを有するものである場合に容易に発生し得る局所的な変形又はボトルの楕円化(ovalisation)といった(従来実際に起こっている)現象が防止される。
【0012】
図1ないし図4には、本発明の教示に従って作成されたボトルが示されている。該ボトル1は、ベロー側壁2,キャップがねじ込まれるネック4を有する上部3,及び底部5からなる。ベロー側壁2は、特定の数のベロー要素6(本書では単純に「折り目」と称す)により少なくとも部分的に形成され、該折り目の各々は、2つの逆方向の表面により形成され、詳細には、大きな表面7及び小さな表面8により形成される。
【0013】
図1に示すボトルでは、折り目6は、上部に大きな表面7を有し、及び下部に小さな表面8を有しており、ボトルの潰れ(図2)が「下方に向かって」生じるようになっている。このボトル1の側壁の構成は「下降型(downturned)ベロー」と呼ばれている。これとは逆に、図3に示すボトルは、上昇型(upturned)であり、折り目(図4)の潰れは「上方に向かって」生じるようになっている。このボトル側壁の構成は「上昇型ベロー」と呼ばれている。もちろん、この2つの構成は、完全に等価なものであり、以下の詳細な説明ではそれら2つの場合を全く区別しないこととする。
【0014】
ベローの各折り目の大きい方の表面の最も高い剛性レベルは、本発明の好適な実施形態では、形状的な剛性(shape stiffness)として得られる。これは、各ベローを形成する2つの表面7,8が、同じ材料からなり、及び実質的に同じ厚さのものであり、表面7の一層高い剛性が、ボトルから外方へ突出する補剛リブが該表面7に形成されるという事実のおかげで得られることを意味する。
【0015】
各ベローの大きい方の表面7の好適な実施形態が図5に示されている。同図は、本発明による潰すことが可能なボトル1の側壁2の一部の断面を高度に拡大したスケールで示している。同図では、個々の折り目6の構造を一層詳細に見ることができ、その各々は大きな表面7と小さな表面8により形成されている。大きな表面7は、従来技術による既知の平坦な又はアーチ状のパターン(部分的に不連続な線ADで示す)を有するのではなく、ボトルから外方へ突出する大きな階段状リブ9を有しており、このため、断面では、階段部分ABCとそれに続く準線ADと整列した平坦部分CDとからなる先丸破線(rounded-corner broken line)ABCDによって表面7が表されている。
【0016】
階段状リブ9のひじ湾曲部Bに関して測定した準線ADに対する該リブ9の最大高さhは、好適には表面7の全寸法(すなわち線分ADの長さ)の20〜50%に構成される。次いで、準線ADに沿って測定した前記階段領域9の範囲は、好適には長さBEの60〜80%に構成される。
【0017】
折り目6の小さい方の表面8は、平坦な構成、又は好適にはEP-1.150.889で請求され及び図5(部分DE)に示すアーチ状の構成を有し、該アーチ状の構成は、大きな表面7に対面する湾曲した凸部を有しており、該大きな表面7に対して潰れることになる。表面7,8は、位置Dで先丸縁部を介して互いに接続され、該位置Dは、ボトルが潰れる際のベロー6のヒンジ位置を表している。
【0018】
本発明の更なる特徴によれば、折り目6は、該折り目自体の下部におけるシェル形状の輪郭を有する環状部10によって互いに離隔している。ボトルに一層高い横方向の剛性を与えるという本質的に既知の機能のみならず、環状部10は、ボトル1が潰れるのを助けると共に該ボトルをその潰れた形態に一層安定させるような形状を有している。
【0019】
既知のタイプの環状補剛部は、実際には、2つの隣接する折り目の表面に直接接続された垂直方向、副垂直方向(sub-vertical)、又はアーチ状の壁から単純に構成される。これに対し、本発明によれば、各環状部は、図5の断面に最もよく見ることができるように、隣接する折り目の表面(ED,AB)に対し、水平方向又は副水平方向(sub-horizontal)の壁(EF,AG)を介して接続された、垂直方向、副垂直方向、又はアーチ状の壁(FG)から構成される。更に、かかる接続用の壁の方向及び/又は湾曲は、隣接する折り目の対応する表面について、ボトルが潰れた形態にあるときにとられる湾曲とは逆の湾曲を有する角度付き領域DEF,BAGを形成するようなものとなる。
【0020】
このため、潰れているとき、角度付き領域DEF,BAGは、中間位置の高い不安定性のため、スナップ動作により、図5に示す当初の平衡位置から図6に示す極めて安定した最終的な平衡位置へと移動する。2つの平衡した形態の一方から他方へのスナップ動作は、潰れるのを助けることに加えて、潰されたボトルの形態に特に高いレベルの安定性を与えるのに積極的に貢献するものとなる。
【0021】
初期の形態から潰れた形態へと変化すると、折り目6の横方向の表面7,8(すなわち、より正確には、円形の角度付き領域DEF,BAG)は、一時的な変形を受け、該領域の初期条件及び最終条件にわたり大きな度合いへと湾曲を高める。これは、折り目6の半径方向の幅(すなわち、頂点とその底部との間の幾何学的な距離)が、ボトルが潰れる際に実質的に不変に維持され、このため、それに従って、上述の円形の角度付き領域DEF,BAGの幅が、折り目が潰れる際に小さくならなければならない、という事実によるものである。
【0022】
横方向の表面7,8の変形は、周方向の非対称性を画定する可能性があり、すなわち、かかる変形は、該変形が生じる周方向に沿った異なる場所に従って異なる可能性があり、これは次いで折り目の非均等な潰れを画定する可能性があり、これにより楕円化又は垂直方向のそりが生じることになる。本発明のもう1つの特徴によれば、この問題は、折り目6の横方向の表面間の接続領域に対応して、特に前記折り目の頂点Dに対応して、周方向に対称的な態様で配置された複数の微細な切れ目(micro-incision)を設けることにより、回避することが可能である。例えば、前記微細な切れ目は、ボトルの周囲に沿って45°毎に対称的に配設された8つの半球状の微細な凹部という形状にすることが可能である。かかる微細な切れ目の機能は、潰れる際の応力分布に不均質点(unhomogeneity point)を生じさせることにあり、これにより、前記折り目の横方向の表面の変形が、上述した微細な切れ目と同じ対称的な配置を有する一種の波状パターンとなる。ボトルの潰れは、結果的に一層一様なものとなり、且つ楕円化領域の形成又は垂直方向の変形が防止される。
【0023】
本発明をその好適な実施形態に関連して説明してきたが、本発明の保護範囲は、かかる実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲において詳述する定義に含まれる、当業者の範囲内の、全ての考え得る変形例を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による下向きのベローを有するボトルを折り畳んでいない構成で示す正面図である。
【図2】図1のボトルを折り畳んだ構成で示す正面図である。
【図3】本発明による上向きのベローを有するボトルを折り畳んでいない構成で示す正面図である。
【図4】図3のボトルを折り畳んだ構成で示す正面図である。
【図5】図1及び図2(又は図3及び図4の逆さま)のボトルの側壁を折り畳んでいない構成で高度に拡大して示す断面図である。
【図6】図1及び図2(又は図3及び図4の逆さま)のボトルの側壁を折り畳んだ構成で高度に拡大して示す断面図である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
漸進的に潰すことが可能な使い捨て式の容器であって、該容器の横方向の表面の少なくとも一部が、複数の隣接する折り目を有するベロー構造からなり、その各折り目が、異なる幅を有する2つの逆方向の表面により形成されており、その幅の広い方の表面が幅の狭い方の表面よりも剛性が高いことを特徴とする、漸進的に潰すことが可能な使い捨て式の容器。
【請求項2】
前記折り目の幅の広い方の表面の一層高い剛性が形状的な剛性である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記折り目の幅の広い方の表面が、該容器の外方に突出する補剛リブを形成するような形状を有する、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記リブの形状が縁部の丸い階段状に形成される、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記階段状のリブの最大高さが、該リブが形成される前記折り目の幅の広い方の表面の全体的な幅の20〜50%に構成される、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記階段状のリブの範囲が、好適には、該リブが形成される前記折り目の幅の広い方の表面の全体的な幅の60〜80%に構成される、請求項4に記載の容器。
【請求項7】
前記幅の狭い方の表面が、アーチ状をなし、その凸面が前記幅の広い方の表面に向いている、請求項1ないし請求項6の何れか一項に記載の容器。
【請求項8】
前記隣接する折り目が、それらの底部にシェル形状の輪郭を有する環状部により互いに離隔している、請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記環状部が、前記隣接する折り目の表面に対し、水平方向又は副水平方向の接続用の壁を介して接続された、垂直方向、副垂直方向、又はアーチ状の壁から構成される、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
かかる接続用の壁の方向及び/又は湾曲が、前記隣接する折り目の対応する表面について、ボトルが潰れた際にとられる湾曲とは逆の湾曲を有する角度付き領域を形成するようなものである、請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記隣接する折り目の横方向の表面間の接続領域の一方又は両方に対応して、周方向に対称的な態様で配置された複数の微細な切れ目を設ける、請求項1ないし請求項10の何れか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記微細な切れ目の形状が半球状の微細な凹部として形成される、請求項11に記載の容器。
【請求項13】
該容器が、液体を収容するのに適したボトルであることを特徴とする、請求項1ないし請求項12の何れか一項に記載の容器。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−527146(P2006−527146A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516542(P2006−516542)
【出願日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001956
【国際公開番号】WO2004/110878
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505458452)コンコーディア デベロップメント ソシエタ レスポンサビリタ リミタータ (3)
【出願人】(505458474)
【Fターム(参考)】