説明

改善された錠剤コーティング

【課題】錠剤コーティング特性が改善された錠剤コーティングを提供する。
【解決手段】セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物を含む錠剤コーティング組成物を用いる。粉末香味組成物は、固体担体と関連した香味物質を含む。本発明は、また、活性剤を含有するコアと錠剤コーティング組成物から形成されたコーティングを含む医薬錠剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際特許出願は、2007年11月1日に出願されたオーストラリア特許仮出願第2007906008号に基づく優先権を主張し、その内容は本願明細書に含まれるものとする。
分野
本発明は、医薬品、栄養補給食品、及び/又は動物への使用のための錠剤用コーティングに関する。より詳細には、本発明は、心地よい口当たりを有する香味コーティングに関する。本発明は、また、被覆された医薬品及び/又は栄養補給食品の錠剤及び/又は動物用錠剤を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な目的のために、活性剤を個体に与えることが知られている。医薬品又は薬剤のような医薬活性剤を病気を治療するために又は予防の目的のために用いることができる。食事摂取を補うこと、性能を高めること等を含む医学的及び非医学的な様々な目的のために、栄養補給活性剤を用いることができる。
活性剤の経口投与は、最も一般的な投与方法である。多くの場合、安定性、経済性、簡単さ、及び投与の便宜の理由のため、圧縮(固体)錠剤として活性剤を投与するのが望ましい。錠剤は、典型的には、投与されたヒト又は動物の胃腸管に薬理的に有効な量の活性剤を送達する。
錠剤は、不愉快な香味又は臭いを覆い隠す、不安定な錠剤組成物を保護する、錠剤を嚥下する容易さを向上させる、腸溶コーティングによって胃を通る錠剤を保護する、錠剤の外観を向上させる、錠剤の口当たりを向上させる、錠剤に着色する等を含む様々な利益を与える1つ以上のコーティングをもつことができる。
1つ以上のコーティングで錠剤を被覆する多数の方法が知られている。これらには、糖衣技術、溶媒膜コーティング技術、水性膜コーティング技術、遅延放出コーティング技術、及び顆粒コーティング技術が含まれる。
現在最も一般的に用いられているコーティングのいくつかは、ポリマー膜コーティング剤である。ポリマーコーティングの利点は、コーティングの質量が5%未満である錠剤を製造することができること、粉砕に対する抵抗性、及び増大した錠剤強度を含む。ポリマーは、水性及び非水性の溶媒の双方を用いて錠剤に適用してきた。多くの錠剤コーティングは、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と適当な可塑剤から形成される。コーティングは、典型的には、コーティングプロセスにおいて噴霧システム又はデバイスによって錠剤に施される。
光沢、口当たり、嚥下性、おいしさ等の錠剤コーティング特性の1つ以上が改善された錠剤が継続して求められている。コーティング組成物及びこのような改善された錠剤コーティングの新規な調製方法が経済的に且つ効率的に関心があり続けている。
本明細書全体に、本発明の様々な態様を記載するために文献が参照される。しかしながら、本明細書に引用されたいかなる参照文献も従来技術を構成するということを認めるものではない。特に、本明細書で文献について述べることは、これらの文献のいずれもがいかなる国においても当該技術において共通の一般知識の一部を形成するものであることを認めるものではないことは理解されるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、例えば、香味物質をマルトデキストリンのような担体で噴霧乾燥することによって、得ることができる粉末香味(powdered flavour)組成物の使用が、香味コーティングを有する医薬品、栄養補給食品、及び/又は動物用の錠剤のある製造効率と製品利益を与えるという知見によるものである。香味組成物は、1つ以上の有益な特性を有するコーティング錠剤に適した錠剤コーティング組成物に用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物を含む錠剤コーティング組成物を提供し、粉末香味組成物は、固体担体と関連した香味物質(flavourant)を含んでいる。
香味物質は、少なくとも部分的に被覆しているか、香味組成物中の担体粒子のいくつかで凝固するか、それに吸収されるか、又はそれに吸着されるという点で、固体担体と“関連”している。このことは、香味物質を粉末担体で噴霧乾燥することにより達成することができる。このようにして、ある実施態様において、粉末香味組成物は、本質的に香味物質と担体からなるということができる。
担体は、デキストリンを含む場合がある。ある実施態様において、デキストリンは、マルトデキストリンである。
粉末香味組成物は、また、他の成分を含む場合がある。例えば、担体は、グルコースのようなサッカリドを含む場合がある。或いは、又は更に、担体は、天然又は人工甘味料のような甘味剤を含有する場合がある。或いは、又は更に、担体は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、又はキサンタンゴムのようなゴムを含有する場合がある。
錠剤コーティング組成物に用いられるセルロースポリマーは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC又はヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、及びこれらの2つ以上のいかなる組み合わせもからなる群より選ばれてもよい。ある実施態様において、セルロールポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ある範囲の粘度で利用できる。用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、個々の用途に左右される。4.5センチポワズ(cps)、5cps、6cps、15cps、又は50cpsもの粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースが適切であり得る。ある実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの粘度は、約4cps〜約6cpsである。ある実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、4.5cpsの粘度を有する。ある実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、5cpsの粘度を有する。ある実施態様において、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、6cpsの粘度を有する。
錠剤コーティング組成物に用いられる可塑剤は、ポリエチレングリコールである場合がある。ポリエチレングリコールは、約4000〜約20000の分子量を有する場合がある。ある実施態様において、ポリエチレングリコールは、約6000の分子量を有する。
【0005】
錠剤コーティング組成物に用いられる甘味剤は、スクロースの甘味よりも大きい甘味を有する甘味剤である場合がある。このことは、要求される甘味を有する適切ないかなる天然或いは人工甘味料であってもよい。ある実施態様において、甘味剤は、スクラロースである。
錠剤コーティング組成物は、錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、40-80%のセルロースポリマー、5-30%の可塑剤、0.1-5%の甘味剤、及び5-33%の粉末香味組成物を含む場合がある。ある実施態様において、錠剤コーティング組成物は、また、錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、5-25%の色素を含む。ある実施態様において、錠剤コーティング組成物は、錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、40-60%のセルロースポリマー、10-30%の可塑剤、0.1-2%の甘味剤、及び10-30%の粉末香味組成物を含む。
錠剤コーティング組成物は、また、接着剤、滑沢剤、乳化剤、消泡剤、着色剤、コーティングポリマー、香料、及び活性剤を含むがこれらに限定されない他の成分を含有してもよい。
ある実施態様において、錠剤コーティング組成物は、錠剤に施すことができるように液体中に溶解又は懸濁される。従って、本発明は、更に、前記錠剤コーティング組成物及び液体を含む錠剤コーティング液を提供する。
ある実施態様において、錠剤コーティング液の液体は、溶媒である。溶媒は、有機溶媒、水性溶媒又は水であってもよい。ある実施態様において、溶媒は、エタノールと水を含む水性溶媒である。ある実施態様において、溶媒は、約20%〜約80%のエタノール/水である。ある実施態様において、溶媒は、60%のエタノール/水である。
ある実施態様において、コーティング液は、質量比で、6-7%のセルロースポリマー、1-2%の可塑剤、0.1-0.3%の甘味剤、1-3%の粉末香味組成物、52-53%のエタノール、及び35-36%の水を含む。ある実施態様において、コーティング液は、また、1-2%の色素を含む。ある実施態様において、コーティング液は、6-7%の5又は6cpsのヒプロメロース、1-2%のポリエチレングリコール6000(可塑剤)、1-2%の精製タルク/二酸化チタン/色素、1-3%の香味/マルトデキストリン粉末(香味が弱いほど、より多くの量が必要である)、0.1-0.2%のスクラロース(消費者がどの程度の甘さを好むかによる)、約53%のエタノール、96%のBP、及び約35%の水(精製)を含む。
【0006】
本発明は、また、
-活性剤を含有するコア; 及び
-コーティング;
を含む医薬錠剤であって、
錠剤コーティング組成物から形成されたコーティングが、セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物を含み、粉末香味組成物が、固体担体と関連した香味物質を含む、前記医薬錠剤を提供する。
セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤及び粉末香味組成物は、前述のようであってもよい。
活性剤は、医薬活性剤、栄養補給活性剤又は動物用活性剤であってもよい。
ある実施態様において、コーティングは、液体として噴霧コーティングによってコアに施される。コーティングは、錠剤の総質量の質量で約1%〜約6%である場合がある。
本発明は、また、被覆錠剤の調製方法であって、
-セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、粉末香味組成物及び液体を合わせて、錠剤コーティング液を形成する工程であって、粉末香味組成物が、固体担体と関連した香味物質を含む、前記工程;
-錠剤コーティング液を活性剤を含有するコアに施す工程; 及び
-液体の大部分を除去して、被覆錠剤を得る工程
を含む、前記方法を提供する。
本発明は、また、被覆錠剤の調製方法であって、
-セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物を含む錠剤コーティング組成物を準備する工程であって、粉末香味組成物が、固体担体と関連した香味物質を含み、前記工程;
-錠剤コーティング組成物と液体を合わせて、錠剤コーティング液を形成する工程;
-錠剤コーティング液を活性剤を含有するコアに施す工程; 及び
-液体の大部分を除去して、被覆錠剤を得る工程
を含む、前記方法を提供する。
【0007】
本発明は、また、被覆錠剤の調製方法であって、
-錠剤コーティング液を準備する工程であって、錠剤コーティング液が、セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物であって、固体担体と関連した香味物質を含む、前記粉末香味組成物を含む錠剤コーティング組成物、及び液体から形成された、前記工程;
-錠剤コーティング液を活性剤を含有するコアに施す工程; 及び
-液体の大部分を除去して、被覆錠剤を提供する工程
を含む、前記方法を提供する。
本発明は、また、錠剤コーティング組成物の調製における粉末香味組成物の使用であって、錠剤コーティング組成物が、セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物を含み、ここで、粉末香味組成物が、固体担体と関連した香味物質を含む、前記使用を提供する。
本発明は、また、ヒト又は動物の疾患、症状、又は障害の治療のための被覆錠剤の調製において本明細書に記載される錠剤コーティング組成物の使用を提供する。
本発明は、また、ヒト又は動物の疾患、症状、又は障害の治療方法であって、本明細書に記載される被覆錠剤をヒト又は動物に投与することを含み、ここで、活性剤が、疾患、症状又は障害の治療に適している、前記方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明、及びその実施態様の記載を進める前に、より詳細には、本明細書全体に用いられる様々の用語が当業者によって十分理解される意味を有することに留意することは重要である。しかしながら、言及の容易のために、これらの用語の一部をここで定義する。
本明細書に用いられる用語“活性剤”及びその変形は、ヒト又は動物に投与されたときに、生理学的反応を起こす物質或いは物質群を意味する。この用語は、ヒト又は動物において望ましくない状態の診断、治癒、緩和、治療或いは予防に用いられることが意図された物質或いは物質群を含む。活性剤は、医薬的活性剤、栄養補給活性剤又は動物用活性剤である場合がある。例えば、活性剤は、ヒト又は動物において病状を治療又は予防するために治療的に治療或いは予防する薬剤である場合がある。活性剤の例としては、医薬活性剤、治療活性剤、ビタミン、ミネラル、栄養補助食品、健康補助食品、化粧品活性剤、動物用活性剤、栄養補給食品、成長調整剤、滅菌剤、フェロモン、栄養素、タンパク性物質、遺伝子、染色体、DNA及び他の生物学的物質が挙げられる。
本明細書に用いられる用語“活性医薬剤”、“医薬活性剤”、“活性薬剤”、“薬剤”は、いかなる活性医薬成分(“API”)も、その医薬的に許容され得る塩だけでなく、無水、水和、及び溶媒和の形、プロドラッグの形、及びAPIの個々に光学的に活性なエナンチオマーだけでなくAPIの多形を含むものを意味する。
本明細書に用いられる用語“活性栄養補給剤”、及び“栄養補給活性剤”は、病気の予防及び治療を含む、薬効或いは健康上の利益を与えることができるいかなる食品或いは栄養素ベースの物質を意味する。
本明細書に用いられる用語“医薬的に許容され得る”は、配合剤を含む他の物質、及び/又は治療されている哺乳動物と化学的に及び/又は毒物学的に適合する物質或いは組成物を意味する。
本明細書に用いられる用語“錠剤”は、単一剤形、即ち、被検者に投与される活性剤を含有する単一物質を意味する。用語“錠剤”は、また、1つ以上の“ミニ錠剤”或いは“コア”の組み合わせであってもよい錠剤を含む。ミニ錠剤或いはコアは、(約3mmよりも小さい場合には)カプセルに或いはサシェにさえも用いることができる。
【0009】
本明細書に用いられる用語“医薬錠剤”は、1つ以上の活性剤を含有し、且つ医薬品、栄養補給食品又は動物への使用の錠剤を含む。
本明細書に用いられる用語“コア”は、壁、メンブラン、或いはコーティングによって(部分的或いは全体的に)包囲されるいかなる構造をも意味する。壁、メンブラン、或いはコーティングは、機能的な或いは非機能的なコーティングであり得る。
本明細書に用いられる用語“粉末”及び“粉末の”は、微細な固体粒子の緩い集合からなる粒子材料を意味する。
用語“治療している”、“治療する”、或いは“治療”は、一般的には、一旦発症した疾患、症状又は障害の改善或いは排除を意味する。用語“予防”は、一般的には、疾患、症状又は障害の罹患、疾患、症状又は障害をもたらす過程の罹患(“一次”予防)、又は疾患、症状又は障害の症状の再発を予防する治療を意味する。
用語“有効量”及び“治療的に有効な量”は、一般的には、(i)具体的な疾患、症状、又は障害を治療するか、(ii)具体的な疾患、症状、又は障害の1つ以上の症状を軽減し、改善し、或いは排除するか、又は(iii)具体的な疾患、症状、又は障害の1つ以上の症状の罹患を予防するか或いは遅らせる量の化合物或いは組成物を意味する。
本明細書に用いられる用語“被検者”及び“患者”は、ヒトを含む動物界の全ての構成員を意味する。
本発明は、セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物を含む錠剤コーティング組成物を提供する。粉末香味組成物は、固体担体と関連した香味物質を含む。
粉末香味組成物は、香味物質を担体で噴霧乾燥することによって調製することができ、それによって香味物質が、担体の顆粒或いは粒子の一部を少なくとも部分的に被覆し、或いはそれと関連している香味組成物が得られる。
【0010】
香味物質は、医薬的に、栄養補給的に、又は動物用に許容され得る天然、人工或いは合成の化合物又は化合物の混合物であり得る。医薬品及び栄養補給食品のための香味物質の例示的なリストとしては、揮発性油、合成香味油、香味芳香族化合物、油、液体、含油樹脂、及び植物、葉、花、果実、茎、根、及びこれらの組み合わせ由来のエキスが挙げられる。香味油の限定されない例としては、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーン油(メチルサリチル酸)、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、オールスパイス、セージ油、メース、苦扁桃油、カッシア油、及びこれらの組み合わせが挙げられる。適切な香味物質としては、また、例えば、シトラス油(例えば、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ)、果実精(例えば、リンゴ、西洋ナシ、桃、葡萄、苺、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、杏又は他の果実香味)のような人工、天然、及び合成果実香味が挙げられる。他の有効な人工、天然、及び合成香味物質としては、チョコレート、コーヒー、バニラ、粉末はち蜜、及びこれらの組み合わせが挙げられる。他の有効な香味物質としては、ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、シトラール(レモン、ライム)、ネラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8(かんきつ果実)、アルデヒドC-9(かんきつ果実)、アルデヒドC-12(かんきつ果実)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、2,6-ジメチルオクタナール(熟していない(green)果実)、2-ドデナール(シトラスマンダリン)、及びこれらの組み合わせのようなアルデヒド及びエステルが挙げられる。
動物への適用のための香味物質の例示的なリストとしては、揮発性油、合成香味油、香味芳香族化合物、油、液体、含油樹脂、及び動物、植物、葉、花、果実、茎、根、及びこれらの組み合わせ由来のエキスが挙げられる。香味物質の限定しない例としては、肉エキス、魚のエキス、及び野菜抽出物が挙げられる。
担体には、デキストリンが含まれてもよい。ある実施態様において、デキストリンはマルトデキストリンである。マルトデキストリンは、食品添加剤、及び医薬賦形剤として広く用いられている多糖であり、広く市販されている。マルトデキストリンは、理想的には、約15〜約20のデキストロース当量(DE)を有する。マルトデキストリンのDEが増加するにつれて、甘味と溶解性が増加する。しかしながら、約20を超えるDEを有する材料は、より吸湿性であるコーンシロップ固形物及びデキストロースである。デキストロースは、また、糖尿病患者に好ましくなく、消費者もまた、より少ないカロリーを有する“シュガーレス”製品を好むことになる。
【0011】
粉末香味組成物は、質量で、約1%〜約20%の量の香味物質を含有する場合があり、残りは、担体であり、場合により、他の成分であってもよい。ある実施態様において、粉末香味組成物は、質量で、約10%の香味物質と、質量で、約90%のマルトデキストリンを含む。
述べたように、粉末香味組成物は、担体に加えて他の成分を含有してもよい。例えば、粉末香味組成物は、グルコース又はデキストロースのような他の単糖或いは多糖を含有してもよい。或いは、又は更に、粉末香味組成物は、天然又は人工甘味料のような甘味剤を含有してもよい。或いは、又は更に、粉末香味組成物は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム又はキサンタンゴム(例えば、ケルトロールF)のようなゴムを含有してもよい。ゴムは、口に入れたときに素早く膨張し、それを破壊することによってコーティングから香味を素早く放出するので、口当たりを向上させるために添加し得る。
粉末香味組成物を用い、続いて、他の成分と混合して、錠剤コーティング組成物を形成する利点は、香味と機能成分の双方になること、量り分ける成分が少なくなること、及び粉末香味組成物が、通常は、液体香味物質が用いられる場合よりも揮発性が少なく、安定性及び製造性に有効であることである。実際に、液体香味物質の揮発性は、通常の製造条件下で、香味物質の正確な投与を困難にする。また、液体香味物質の溶媒(又は1つ又は複数の他の揮発性成分)は、錠剤が被覆されるときに香味が錠剤から浸出し得る傾向があることから錠剤コアに有害な影響を与え得る。更に、粉末香味組成物を含有するコーティング液を製造するときに、コーティング液の粘度が、液体香味物質を用いる場合よりも大きくなり、コーティング液の膜形成反応が向上することを我々は見出した。粉末香味組成物を含むことにより、良好な強度と接着を有する膜が得られる。
驚くべきことに、錠剤コーティング組成物を配合するのに粉末香味組成物を用いることによって、液体香味物質を用いたコーティング組成物から形成された被覆錠剤と比べて、改善された光沢及び/又は口当たりを有し得る被覆錠剤を生じることを我々は見出した。更に、錠剤コーティング組成物に用いられる担体は、最終製品の改善された光沢と口当たりを与えることになる。
【0012】
錠剤コーティング組成物に用いられる粉末香味組成物のパーセントが大きくなるほど、コーティングがますます滑らかな感触となり且つますます光沢が強くなることを我々は見出した。しかしながら、多すぎる粉末香味組成物が用いられる場合には、コーティングは白く見えることがあり得る(真っ白なコートはこれを隠す)。
粉末香味組成物は、セルロースポリマー、可塑剤、及び甘味剤と合わせて、錠剤コーティング組成物を形成する。錠剤コーティング組成物は、錠剤をコーティングして、心地よい味と口当たりを有し且つ嚥下が容易である被覆錠剤を製造するのに適している。
コーティングされるべき錠剤は、いかなる活性剤の1つ以上をも含んでもよい。実際に、効率的に被覆することができる活性剤は、限定されず、錠剤剤形で典型的に送達されるもののような医薬活性剤、栄養補給活性剤、及び動物用活性剤を含む。香味コーティング組成物は、不快な味の医薬活性剤、栄養補給活性剤又は動物用活性剤を含有するコーティング錠剤に特に適している。例としては、アスピリン、アセトアミノフェン、フェナセチンのような鎮痛薬及び消炎剤、抗炎症ステロイドを含むステロイド; 酵素、タンパク質、抗生物質又はペニシリン及びその誘導体を含む抗真菌剤; 麻酔剤、ニトログリセリンのような血管拡張剤、抗発癌物質、スルファミド剤、鎮静剤、精神安定剤、催眠剤、気管支拡張剤、塩化カリウム、これらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
医薬活性剤又は動物用活性剤は、例えば、薬剤又は医薬品、例えば、鎮痛剤、抗炎症剤、駆虫剤、不整脈治療剤、抗生物質、抗凝血剤、抗鬱剤、抗糖尿病剤、下痢止め剤、制吐剤、抗癲癇剤、抗ヒスタミン剤、降圧剤、抗ムスカリン様作用剤、抗抗酸菌剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤、抗甲状腺剤、抗咳剤、抗ウイルス剤、抗不安鎮静剤、収斂剤、βアドレナリン受容体遮断薬、強心イオンチャンネル剤、コルチコステロイド、鎮咳剤、診断用剤、画像診断用剤、利尿薬、ドーパミン作動剤、止血剤、免疫薬、脂質調整剤、筋肉弛緩剤、副交感神経興奮薬、副甲状腺カルシトニン、副甲状腺ビスホスホネート、プロスタグランジン、放射線薬剤、ステロイド、抗アレルギー剤、覚醒剤、食欲抑制剤、交感神経刺激薬、甲状腺製剤、血管拡張剤、キサンチン、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0013】
栄養補給活性剤は、例えば、栄養補助食品、ミネラル、ビタミン等、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。栄養補給活性剤の例としては、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(例えば、d-αトコフェロール、d-α酢酸トコフェロール、dl-αトコフェロール、dl-α酢酸トコフェロール)、ビタミンB1及びその誘導体、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB6及びその誘導体(例えば、塩酸ピリドキシン)、ビタミンC及びその誘導体(例えば、アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム等)、ビタミンB12及びその誘導体、フッ化物(例えば、フッ化ナトリウム)、カルシウム、マグネシウム、鉄、タンパク質、アミノ酸、アミノサッカリド(アミノ糖)、オリゴサッカリド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。医薬活性剤が栄養補給活性剤としても機能する場合、また、栄養補給活性剤が医薬活性剤としても機能する場合があってもよい。
錠剤は、それ自体に1つ以上の活性剤を含有してもよく、或いは、より一般的には、1つ以上の錠剤用賦形剤、担体、結合剤等と混合された活性剤を含有してもよい。錠剤を製造するために、活性剤を含有する粒子を、あるならば1つ以上の望ましい賦形剤と慣用の手順を用いて混合或いは混和し、得られた混合物を、適切なサイズの錠剤用ツールを用いて慣用の錠剤用手順により圧縮する。
錠剤コーティング組成物は、粉末香味組成物、セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び場合により、他の医薬的に許容され得る賦形剤を含有する。錠剤コーティング組成物は、典型的には、錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、40-80%のセルロースポリマー、5-30%の可塑剤、0.1-5%の甘味剤、及び5-33%の粉末香味組成物を含む。ある実施態様において、錠剤コーティング組成物は、また、錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、5-25%の色素を含む。ある実施態様において、錠剤コーティング組成物は、錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、40-60%のセルロースポリマー、10-30%の可塑剤、0.1-2%の甘味剤、及び10-30%の粉末香味組成物を含む。ある実施態様において、錠剤コーティング組成物は、錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、約52%のセルロースポリマー、約13%の可塑剤、約0.5%の甘味剤、及び約21%の香味組成物を含み、残りは色素である。
【0014】
セルロースポリマーは、いかなる膜形成セルロースポリマーであってもよい。例えば、セルロースポリマーは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC又はヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、及びこれらのいかなる2つ以上の組み合わせからなる群より選ばれてもよい。ある実施態様において、セルロールポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。適切なHPMCは、約1〜約100センチポワズ(cps)、特に約3〜約15cpsの粘度を有するものを含む。低粘度、即ち、約4〜6cpsを有するHPMCが有効である。4.5、5又は6cpsの粘度を有するHPMCが、市販されている。
可塑剤は、形成されたときにコーティングの塑性特性を向上させるいかなる物質であってもよい。例えば、可塑剤は、グリセリン、クエン酸トリエチル、1,2-プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールからなる群より選ばれる場合がある。
ある実施態様において、可塑剤は、ポリエチレングリコール(欧州薬局方ではマクロゴールとして知られている)である。ポリエチレングリコール(PEG)は、エチレンオキシドの可撓性水溶性ポリマーである。PEGポリマーは、鎖長効果により、異なる分子量及び異なる物理的性質(例えば、粘度)を有する。高分子量PEGポリマーは、いくつかの他のより低分子量可塑剤のよりも吸湿性がなく、錠剤中に浸出しにくい。錠剤コーティング組成物に用いられるPEGは、約4000〜約20000の分子量を有する場合がある(即ち、PEG 4000〜PEG 20000)。個々のPEGとしては、PEG 6000及びPEG 8000が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施態様において、ポリエチレングリコールは、約6000の分子量を有する(即ち、PEG 6000)。CarbowaxTM、LutrolTM、又はPolyGlicolTM6000 PFとして市販されているPEG 6000は、錠剤コーティング組成物に用いるのに適している。
【0015】
錠剤コーティング組成物に用いられる甘味剤は、典型的には、スクロースの甘味よりも大きい甘味を有する甘味剤である。換言すれば、甘味剤の甘味は、スクロースの甘味に対して1.0を超える場合がある。錠剤コーティング組成物に用いることができる甘味剤の例としては、サッカリン及びナトリウム塩のようなその様々な塩; アスパルテームやアリタームのようなジペプチド甘味剤、ジヒドロカルコン化合物、グリシルリジン; ステビア・リバウディアナ(Stevia Rebaudiana)(ステビア)のエキス; スクラロースのようなスクロースのクロロ誘導体; 3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1-1,2,3-オキサチアジン-4-1-2,2-ジオキシド、特に、そのカリウム塩(アセスルファム-K)、ナトリウム塩、カルシウム塩のような合成甘味料; ネオヘスペリジン、タウマチン、及びチクロが挙げられるが、これらに限定されない。甘味剤は、単一の甘味剤或いは甘味剤の組み合わせであってもよい。錠剤コーティング組成物に用いるのにスクラロースが特に適している。
場合により、錠剤コーティング組成物には、粘着剤、滑沢剤、乳化剤、消泡剤、着色剤、コーティングポリマー、香料(fragrance)、活性剤等の1つ以上の医薬的に許容され得る賦形剤が含まれてもよい。
ある実施態様において、錠剤コーティング組成物は、1つ以上の着色剤を含有する。適切な着色剤は、色素、染料、レーキ、色素を含む。例としては、タルク、二酸化チタン、酸化鉄、FD & C及びD & Cレーキ、炭酸マグネシウム、焼成シリカ、チャンネルブラック、不溶性染料、及びこれらの2つ以上のいかなる組み合わせをも挙げられるが、これらに限定されない。着色剤は、また、リボフラビン、カルミン40、コチニール、クルクミン、アンナット、及びこれらの組み合わせのような天然着色剤であり得る。着色剤或いは着色剤の組み合わせは、コーティング作業時に必要に基づいて当業者によって選ばれることになる。着色剤のないとき、錠剤コーティング組成物は、被覆錠剤上で糖衣コーティングを生じることがあるが、糖衣コーティングは、白/白っぽい背景色で目立たなくなる傾向にある。
【0016】
被覆錠剤は、適切な液体中で粉末錠剤コーティング組成物から錠剤コーティング液を形成し、錠剤コーティング液を錠剤に施すことによって形成される。次いで、液体の大部分が除去されて、被覆錠剤が得られる。液体は、錠剤コーティング液を形成するように錠剤コーティング組成物の成分が可溶である溶媒であってもよい。或いは、液体は、錠剤コーティン懸濁液を形成するように、錠剤コーティング組成物の一部又は全部が不溶であるか又は部分的に可溶である液体であってもよい。
溶媒は、有機溶媒、水性溶媒又は水であってもよい。ある実施態様において、溶媒は、エタノールと水を含有する水性溶媒である。ある実施態様において、溶媒は約20%〜約80%のエタノール/水である。ある実施態様において、溶媒は60%のエタノール/水である。この溶媒は、特に、低温で湿気に感受性のある錠剤を被覆するのに有効である。
ある実施態様において、錠剤コーティング液は、質量で、6-7%のセルロースポリマー、1-2%の可塑剤、0.1-0.3%の甘味剤、1-3%の粉末香味組成物、及び88%の液体を含む。ある実施態様において、液体は、質量で、約53%のエタノール及び約35%の水を含む。ある実施態様において、コーティング液は、また、1-2%の色素を含む。ある特定の実施態様において、コーティング液は、質量で、6-7%の5又は6cpsのヒプロメロース、1-2%のポリエチレングリコール6000(可塑剤)、1-2%の精製タルク/二酸化チタン/呈色、1-3%の香味/マルトデキストリン粉末(香味が弱いほど、より多くの量が必要である)、0.1-0.2%のスクラロース(消費者がどの程度の甘さを好むかによる)、約53%のエタノール、96%のBP、及び約35%の水(精製)を含む。
【0017】
均一に被覆された満足な錠剤を製造する方法のバッチ、半連続又は連続プロセス、又はこれらのいくつかの組み合わせで錠剤に錠剤コーティング組成物を施すことができる。回転パン法、流動床法、噴流床法、コアセルベーションタンク法、及びプレス法を含む、コーティング組成物の溶液或いは懸濁液で錠剤を被覆する様々な方法が知られている。殆どのコーティング法において、コーティング溶液は、錠剤がパン、流体床等で撹拌されているときに、錠剤上に噴霧される。液体が噴霧されるにつれて、各錠剤に直接付着する薄膜が形成される。コーティングは、単一適用によって形成されてもよく、複数の噴霧サイクルの使用によって層に作られてもよい。次いで、例えば、タンブリング錠剤の表面の上に空気を通すことにより溶媒を蒸発させることによって、溶媒の大部分が除去される。当業者は、安定な被覆錠剤を提供するために、溶媒の全てが除去される必要がなく、それ故、小さいパーセントの溶媒がコーティング中に“捕捉”されていてもよいことが企図されることを理解するであろう。しかしながら、錠剤の表面上に膜或いはコーティングを得るために溶媒の大部分が除去される。
ある実施態様において、コーティング組成物は、最初は、含水アルコール組成物であるが、錠剤コーティングは、典型的には、コーティング適用システムから出るか又は取り除かれる前に、その際に、又は被服錠剤を調製するあるときに、乾燥されるか又は実質的に乾燥される。被覆錠剤は、所望される場合には適切な包装に配置されてもよい。
錠剤の表面に設けられたコーティングの量は、有効量であり且つ典型的には錠剤の外部表面積を最低限効果的に覆う量であるが、これは必ずしもそうであるとは限らず、外部表面の部分的に覆うことも適切であり得る。ある実施態様において、錠剤上に被覆される錠剤コーティング組成物の量は、総質量の約1質量%〜約6質量%を有する被覆錠剤を与える量である。錠剤が非常に小さいある実施態様において、コーティングは、総質量の約30質量%までである場合がある。
錠剤コーティング組成物は、被覆されていない錠剤上に又は1つ以上の以前のコーティングで被覆された錠剤上にコーティングされてもよい(オーバーコーティング)。最初のコーティングは、セルロース誘導体、デキストリン、アクリル、いかなる着色剤も又は他の医薬コーティング材料のような1つ以上のポリマーを含んでもよい。
【0018】
コーティングは、プラセボ或いはブランクである錠剤上に形成することができる。錠剤は、ヒト又は動物が錠剤を効率的に消費することのできるいかなる形状或いはサイズであってもよい。錠剤は、いかなる錠剤、粒子、微粉化粒子、微粒子、ペレット、丸薬、コア、粉末、顆粒、粒状、小塊、種、小片、球、結晶、ビーズ、集塊、及びこれらの混合物であってもよい。典型的には、錠剤は、流動床ドライヤ或いは有孔パン或いはアクセラ型コーターのような、例えば流動床におけるように、錠剤のある動きを含むシステムで効果的に被覆される物理的及び化学的に充分安定な形態である。
錠剤コーティング組成物は、ヒト又は動物の疾患、症状、又は障害の治療のための被覆錠剤の調製に用いることができる。更に、本発明は、ヒト又は動物における疾患、症状、又は障害を治療する方法であって、本明細書に記載される被覆錠剤をヒト又は動物に投与することを含み、ここで、活性剤が、疾患、症状、又は障害の治療に適している、前記方法を提供する。
被覆錠剤は、通例の方法で、ヒト及び動物によって内服的に使用することができる。投与される活性剤の量は、典型的には、症状を治療及び低減又は軽減する。治療的に有効な量は、従来の技術を用いることによって、また、類似の状況下で得られた結果を観察することによって、主治診断医によって容易に決定できる。治療的に有効な量を決定する際に、動物の種、大きさ、年齢及び健康状態、含まれる個々の状態、症状の程度、治療に対する患者の反応、投与される具体的な化合物、投与方法、投与される製剤のバイオアベイラビリティ、選ばれた投与法、他の薬剤の使用及び他の関連する状況が挙げられるがこれらに限定されない多数の要因が考慮にされなければならない。
好ましい用量は、約0.01〜300mg/kg体重/日の範囲にある。適切な一回分は、一日複数回下位投与量で投与され得る。
本発明の被覆錠剤は、典型的には、より強い光沢、より良好な口当たり、良好なコーティング接着、非粘着性(湿潤時の滑りやすさ)、液体をほとんど或いは全く添えずに嚥下し得る、より良好な味等の1つ以上の改善された特性を有する。これらの特性のいずれもが、人々に錠剤を摂取したことを忘れないように援助することになる。即ち、服薬順守が改善される。
【実施例】
【0019】
本発明の組成物及び方法と用いられる材料及び方法の実施例をここに示す。これらの実施例を示すのにあたり、以下の説明の個々の種類が上述の説明の一般性を限定するものでないことは理解されるべきである。
【0020】
実施例1 - バニラ香味コーティングを有する被覆錠剤の形成
錠剤コーティング液を、以下の成分を合わせることによって形成した。
【0021】

【0022】
次いで、錠剤コーティング液をノズルを介して動いている錠剤の床上に噴霧した。典型的には、摂氏約40度の排気温度が用いられる。典型的には、3-4%のコーティング質量が施される。
例示的な錠剤組成物は、以下の通りであった。
【0023】

【0024】
マルトデキストリン(粉末香味由来の)/ヒプロメロース、ポリエチレングリコール/スクラロースの組み合わせは、良好な口当たり、味、光沢及びコーティング接着を示すことを我々は見出した。
【0025】
実施例2 - 非常に甘いベリー香味コーティングを有する被覆錠剤の形成
ベリー香味を有する被覆錠剤を、以下の成分で形成された錠剤コーティング液を用いて実施例1に記載した方法により形成した。
【0026】

【0027】
実施例3 - ベリー香味のコーティングを有する被覆錠剤の形成
ベリー香味を有する被覆錠剤を、以下の物質で形成された錠剤コーティング液を用いて実施例1に記載した方法により形成した。このコーティングは、実施例2のコーティングよりも香味が少なく、甘みが少ない。
【0028】

【0029】
実施例4 - かんきつ香味のコーティングを有する被覆錠剤の形成
かんきつ香味を有する被覆錠剤を、以下の成分で形成された錠剤コーティング液を用いて実施例1に記載した方法により形成した。
【0030】

【0031】
最後に、本発明の範囲及び精神から逸脱することなしに本明細書に記載された本発明の方法及び組成物の様々な修正及び変更が当業者に明らかであることが理解される。本発明を個々の好ましい実施態様に関して記載してきたが、特許請求の範囲に記載された本発明は、このような個々の実施態様に不当に限定されるものではないことが理解されるべきである。実際に、当業者に明らかである本発明を実施するために記載された方法の様々な修正が、本発明の範囲内で意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、及び粉末香味組成物を含む錠剤コーティング組成物であって、粉末香味組成物が、固体担体と関連した香味物質を含むことを特徴とする錠剤コーティング組成物。
【請求項2】
前記セルロースポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC又はヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項3】
前記セルロールポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項2に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、約4〜約6センチポワズの粘度を有する、請求項3に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースが、4.5センチポワズ、5センチポワズ、及び6センチポワズからなる群より選ばれる粘度を有する、請求項4に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項6】
前記錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、約40〜約80%のセルロースポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項7】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコールが、約6000の分子量を有する、請求項7に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項9】
前記錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、約5%〜約30%の可塑剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項10】
前記甘味剤が、スクロースの甘味よりも大きい甘味を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項11】
前記甘味剤が、サッカリン及びその塩; ジペプチド甘味剤; ジヒドロカルコン化合物; グリシルリジン; ステビア・リバウディアナ(ステビア)のエキス; スクロースのクロロ誘導体; 合成甘味料; 及びチクロからなる群より選ばれる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項12】
前記甘味剤が、スクラロースである、請求項11に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項13】
前記錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、約0.1〜約5%の甘味剤を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項14】
前記固体担体が、デキストリンを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項15】
前記デキストリンが、マルトデキストリンである、請求項14に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項16】
前記マルトデキストリンが、約15〜約20のデキストロース当量を有する、請求項15に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項17】
前記香味物質が、スペアミント油、シナモン油、ウィンターグリーン油(メチルサリチル酸)、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、オールスパイス、セージ油、メース、苦扁桃油、カッシア油、バニラ、シトラス油(例えば、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ)、果実精(例えば、リンゴ、西洋ナシ、桃、葡萄、苺、ラズベリー、サクランボ、プラム、パイナップル、杏又は他の果実香味)、はち蜜粉末、ベンズアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、シトラール(レモン、ライム)、ネラール(レモン、ライム)、デカナール(オレンジ、レモン)、アルデヒドC-8(かんきつ果実)、アルデヒドC-9(かんきつ果実)、アルデヒドC-12(かんきつ果実)、トリルアルデヒド(サクランボ、アーモンド)、2,6-ジメチルオクタナール(熟していない果実)、2-ドデナール(シトラスマンダリン)からなる群の1種以上より選ばれる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項18】
前記粉末香味組成物が、更に、ゴムを含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項19】
前記ゴムが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、及びキサンタンゴムからなる群の1つ以上より選ばれる、請求項18に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項20】
前記粉末香味組成物が、質量で、約1%〜約20%の香味物質を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項21】
前記錠剤コーティング組成物の乾燥質量で、約5〜約33%の粉末香味組成物を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項22】
粘着剤、滑沢剤、乳化剤、消泡剤、着色剤、コーティングポリマー、香料、及び活性剤からなる群より選ばれる1つ以上の他の成分を含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項23】
1種以上の着色剤を含む、請求項22に記載の錠剤コーティング組成物。
【請求項24】
請求項1〜23のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物、及び液体を含むことを特徴とする錠剤コーティング液。
【請求項25】
液体が、溶媒である、請求項24に記載の錠剤コーティング液。
【請求項26】
前記溶媒が、有機溶媒、水性溶媒又は水である、請求項25に記載の錠剤コーティング液。
【請求項27】
前記溶媒が、エタノールと水を含有する水性溶媒である、請求項26に記載の錠剤コーティング液。
【請求項28】
前記溶媒が、約20%〜約80%のエタノール/水である、請求項27に記載の錠剤コーティング液。
【請求項29】
前記溶媒が、60%のエタノール/水である、請求項28に記載の錠剤コーティング液。
【請求項30】
-活性剤を含有するコア; 及び
-コーティング、
を含み、前記コーティングが、請求項1〜23のいずれか1項に記載の錠剤コーティング組成物から形成されることを特徴とする医薬錠剤。
【請求項31】
前記活性剤が、医薬活性剤、栄養補給活性剤、動物用活性剤、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群より選ばれる、請求項30に記載の医薬錠剤。
【請求項32】
前記コーティングが、錠剤の総質量の質量で1〜6%である、請求項30又は31に記載の医薬錠剤。
【請求項33】
被覆錠剤を調製する方法であって、
-セルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、粉末香味組成物、及び液体を合わせて、錠剤コーティング液を形成する工程であって、粉末香味組成物が、固体担体と関連した香味物質を含む、前記工程、
-錠剤コーティング液を活性剤を含有するコアに施す工程、 及び
-液体の大部分を除去して、被覆錠剤を得る工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項30に記載の医薬錠剤を調製する方法であって、前記錠剤コーティング液をコアに噴霧コーティングによって施す工程を含む、前記方法。

【公表番号】特表2011−502132(P2011−502132A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531376(P2010−531376)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001596
【国際公開番号】WO2009/055846
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510121961)サノフィ−アヴェンティス ヘルスケア プロプライエタリー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】