説明

改善策選定装置、改善策選定方法および改善策選定プログラム

【課題】顧客に好適な改善策を選定すること。
【解決手段】改善策選定装置10は、記憶部16と、評価値算出部167bと、改善策選定部167cとを備える。記憶部16は、導入されている設備に適用される改善策に関する改善策情報161を記憶する。評価値算出部167bは、改善策情報161に基づいて、改善策の適用による複数の効果値を算出する。そして、評価値算出部167bは、算出された各効果値を提案対象の顧客に設定される重みによって補正することによって、改善策の評価値を算出する。改善策選定部167cは、算出された評価値に基づいて、顧客に提案すべき改善策を選定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善策選定装置、改善策選定方法および改善策選定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン等の設備は、性能向上や環境負荷低減等を目的とする改修工事を受けることがある。各種設備には、改修工事に関して多数の選択肢があり、さらに、設備の運用状況および設備を運用する顧客の経営環境等はそれぞれ異なる。このため、従来、営業担当者は、各種の状況を踏まえた上で、自らの経験および知見を生かして、改修工事の提案を行っていた。
【0003】
このような個人の経験および知見に依存した提案ではなく、定量的な評価に基づいた提案を行うため、例えば、特許文献1では、サービスにとって重要と考えられる3要素を赤、緑、青の3色の鮮明度を示す3軸に対応させ、サービスの3要素のバランスを3色の混合色で表示させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−290022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する技術のように、定量的な評価を可能とすることにより、担当者によって評価がばらつくことを抑止できる。しかしながら、単に定量的な評価を行うだけでは各顧客の特性に合わせて改善策を評価することができないため、顧客にとって好適な改善策が選定されるとは限らない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、顧客に好適な改善策を選定することができる改善策選定装置、改善策選定方法および改善策選定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る改善策選定装置は、導入されている設備に適用される改善策に関する改善策情報を記憶する記憶部と、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による複数の効果値を算出し、算出された各効果値を提案対象の顧客に設定される重みによって補正することによって、改善策の評価値を算出する評価値算出部と、前記評価値算出部によって算出された前記評価値に基づいて、前記顧客に提案すべき改善策を選定する改善策選定部とを備える。
【0008】
ここで、本発明の望ましい態様として、前記記憶部は、顧客の特性に関する情報を含む顧客情報をさらに記憶し、前記評価値算出部は、前記顧客情報に基づいて、前記提案対象の顧客に設定される重みを決定する。
【0009】
また、本発明の望ましい態様として、前記顧客の特性に関する情報は、前記顧客の環境問題への取り組み、事業計画、または平均稼働率のうち、少なくとも一つを含む。
【0010】
また、本発明の望ましい態様として、前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による出力増加に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出する。
【0011】
また、本発明の望ましい態様として、前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による燃料コストの削減に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出する。
【0012】
また、本発明の望ましい態様として、前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による環境負荷の低減に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出する。
【0013】
また、本発明の望ましい態様として、前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による保守費用の低減に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出する。
【0014】
また、本発明の望ましい態様として、前記記憶部は、改善策を提案された顧客によって評価された改善策の好評度を含む実績情報をさらに記憶し、前記評価値算出部は、前記改善策の評価値を、当該改善策の前記好評度に基づいてさらに補正する。
【0015】
また、本発明の望ましい態様として、前記記憶部は、改善策を提案された顧客によって評価された改善策の好評度を含む実績情報をさらに記憶し、前記評価値算出部は、前記改善策の評価値を、当該改善策の前記好評度のうち、改善案が提案される設備と類似度が高い設備を運用している顧客による前記好評度に基づいてさらに補正する。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る改善策選定方法は、情報処理装置によって実行される改善策選定方法であって、導入されている設備に適用される改善策に関する改善策情報に基づいて、改善策の適用による複数の効果値を算出するステップと、算出された各効果値を提案対象の顧客に設定される重みによって補正することによって、改善策の評価値を算出するステップと、算出された前記評価値に基づいて、前記顧客に提案すべき改善策を選定するステップとを含む。
【0017】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る改善策選定プログラムは、情報処理装置に、導入されている設備に適用される改善策に関する改善策情報に基づいて、改善策の適用による複数の効果値を算出するステップと、算出された各効果値を提案対象の顧客に設定される重みによって補正することによって、改善策の評価値を算出するステップと、算出された前記評価値に基づいて、前記顧客に提案すべき改善策を選定するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る改善策選定装置、改善策選定方法および改善策選定プログラムは、顧客に好適な改善策を選定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、実施例1に係る改善策選定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、改善策情報の一例を示す図である。
【図3】図3は、顧客情報の一例を示す図である。
【図4】図4は、プラント情報の一例を示す図である。
【図5】図5は、実績情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、実施例1における改善策選定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、実施例2に係る改善策選定装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、実施例2における改善策選定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、実施例3に係る改善策選定装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、実施例3における改善策選定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、好評度算出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係る改善策選定装置、改善策選定方法および改善策選定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施例では、本発明をガスタービンに関する改善策の選定に適用する例について説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されない。また、この実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【実施例1】
【0021】
まず、実施例1に係る改善策選定装置の構成について説明する。図1は、実施例1に係る改善策選定装置の構成を示すブロック図である。図1に示す改善策選定装置10は、ガスタービンに関する多くの改善策の中から好適な改善策を選定するために用いられる情報処理装置である。改善策選定装置10は、表示部11と、入力部12と、通信部13と、媒体読取部14と、制御部15と、記憶部16とを備える。
【0022】
表示部11は、液晶パネルや有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネル等の表示装置を有し、制御部15から送信される制御信号に基づいて、文字や図形等の各種情報を表示する。入力部12は、キーボード等の入力装置を有し、利用者が入力装置に対して行った操作に対応する信号を制御部15へ出力する。通信部13は、所定の通信プロトコルに基づいて、他の装置との間での情報の送受信を制御する。媒体読取部14は、CD−ROM等の記憶媒体からプログラムやデータを読み取る。
【0023】
制御部15は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)151と、記憶手段であるメモリ152とを備え、これらのハードウェア資源を用いてプログラムを実行することによって各種の機能を実現する。具体的には、制御部15は、記憶部16に記憶されているプログラムを読み出してメモリ152に展開し、メモリ152に展開されたプログラムに含まれる命令をCPU151に実行させる。そして、制御部15は、CPU151による命令の実行結果に応じて、メモリ152および記憶部16に対してデータの読み書きを行ったり、通信部13等の動作を制御したりする。
【0024】
記憶部16は、磁気記憶装置や半導体記憶装置等の不揮発性を有する記憶装置からなり、各種のプログラムおよびデータを記憶する。記憶部16に記憶されるデータには、改善策情報161と、顧客情報162と、プラント情報163と、実績情報164と、定期検査予定165と、パラメータ情報166とが含まれる。また、記憶部16に記憶されるプログラムには、改善策選定プログラム167が含まれる。
【0025】
なお、図1において記憶部16が記憶していることとしたプログラムおよびデータの全体または一部は、媒体読取部14が読み取り可能な記憶媒体に記憶されていてもよい。また、図1において記憶部16が記憶していることとしたプログラムおよびデータの全体または一部は、通信部13による通信によって他の装置から取得されてもよい。
【0026】
改善策情報161は、ガスタービンに関して選択可能な改善策に関する情報を保持する。改善策情報161の内容は、新たな改善策が考え出されたり、既存の改善策が修正されたりするたびに更新される。図2は、改善策情報161の一例を示す図である。図2に示すように、改善策情報161は、改善策ID、型式、改善箇所、導入コスト、出力向上量、消費燃料削減量、二酸化炭素削減量、保守費用削減額といった項目を有し、改善策毎にデータが格納される。
【0027】
改善策IDは、改善策を識別するための識別コードである。型式は、改善策の実施対象のガスタービンのタイプを識別するための識別コードである。基本的な設計が共通するガスタービンには、同一の型式が割り当てられる。改善箇所は、改善策が施されるガスタービンの部位である。
【0028】
導入コストは、改善策を実施するために必要なコストである。出力向上量は、改善策によって増大する所定期間(単位期間)当たりの電力量である。消費燃料削減量は、改善策によって減少する所定期間当たりの燃料の消費量である。二酸化炭素削減量は、改善策によって減少する所定期間当たりの二酸化炭素の排出量である。保守費用削減額は、改善策によって削減される所定期間当たりの保守費用である。
【0029】
顧客情報162は、ガスタービンを導入している顧客に関する情報を保持する。図3は、顧客情報162の一例を示す図である。図3に示すように、顧客情報162は、顧客番号、環境問題への取り組み、事業計画、平均稼働率といった項目を有し、顧客毎にデータが格納される。
【0030】
顧客番号は、顧客を識別するための識別コードである。環境問題への取り組みは、地球温暖化等の環境問題への取り組みに対する顧客の積極性を示す。事業計画には、顧客の事業計画の傾向を示す「売り上げ重視」、「利益重視」、「安定重視」等の値が設定される。平均稼働率は、顧客が有しているガスタービンの稼働率の平均値である。
【0031】
プラント情報163は、導入済みのガスタービンに関する情報を保持する。図4は、プラント情報163の一例を示す図である。図4に示すように、プラント情報163は、プラント番号、顧客番号、型式、バイパス弁、燃焼ノズル、燃焼筒、燃焼方式、運転条件、稼働率、燃料単価、売電制限といった項目を有し、導入されているガスタービン毎にデータが格納される。
【0032】
プラント番号は、導入済みの個々のガスタービンを識別するための識別コードである。顧客番号は、顧客を識別するための識別コードである。型式は、ガスタービンのタイプを識別するための識別コードである。バイパス弁は、ガスタービンが備えるバイパス弁のタイプを識別するための識別コードである。燃焼ノズルは、ガスタービンが備える燃焼ノズルのタイプを識別するための識別コードである。燃焼筒は、ガスタービンが備える燃焼筒のタイプを識別するための識別コードである。
【0033】
燃焼方式は、採用されている燃焼方式を示す。運転条件は、ガスタービンの起動頻度(停止頻度)を示す。稼働率は、ガスタービンの稼働率である。燃料単価は、顧客がガスタービンを運用するために用いている燃料の単価である。売電制限は、ガスタービンによって発電された電力の電力会社への売買に関して制限があるか否かを示す。
【0034】
実績情報164は、改善策の提案結果に関する情報を保持する。図5は、実績情報164の一例を示す図である。図5に示すように、実績情報164は、プラント番号、改善策ID、提案結果、好評度といった項目を有し、提案結果が逐次追加されていく。
【0035】
プラント番号は、改善策の提案対象のガスタービンを識別するための識別コードである。改善策IDは、提案された改善策を識別するための識別コードである。提案結果は、提案された改善策が採用されたか否かを示す。好評度は、提案された改善策が顧客にどの程度好評であったかを示す。好評度には、例えば、採用された場合には「1.0」が設定され、今回はされなかったが次回以降に採用される見込みの場合には「0.8」が設定され、顧客は好意的に評価していたがコスト等の問題から採用されなかった場合には「0.6」が設定される。また、好評度には、顧客から好意的な評価が得られなかった場合には「0.4」が設定され、顧客が全く関心を示さなかった場合には「0.2」が設定される。
【0036】
定期検査予定165は、導入済みのガスタービンに対して行う定期検査の実施スケジュールと、実施予定部位とに関する情報を保持する。改善策は、定期検査時に実施されることが多いため、定期検査予定165は、改善策の実施可能時期および実施可能部位を判定するために用いられる。パラメータ情報166は、改善策を選定するために用いられるその他の各種パラメータ(各種の単価等)を保持する。パラメータ情報166の内容は、最新の状況を反映するように適宜更新される。
【0037】
改善策選定プログラム167は、好適な改善策を選定するための機能を提供する。改善策選定プログラム167は、候補抽出部167aと、評価値算出部167bと、改善策選定部167cとを含む。候補抽出部167aは、改善策情報161に登録されている改善策の中から、指定されたガスタービンに適用可能な改善策を抽出する機能を提供する。評価値算出部167bは、抽出された各改善策を複数の観点から総合的に評価する評価値を算出する機能を提供する。改善策選定部167cは、算出された評価値に基づいて提案すべき改善策を選定する機能を提供する。
【0038】
評価値算出部167bは、例えば、以下の式(1)を用いることにより、改善策の評価値を算出する。
【0039】
【数1】

【0040】
式(1)において、V1は、算出される評価値である。V1は、評価期間における改善策の経済効果と改善策の導入コストとの比率を示す。A1は、評価期間における出力増大による効果値、具体的には、評価期間における売電収入の増加額である。w1は、顧客が出力増大による効果を重視する度合いを評価値に反映させるための重み係数である。A2は、評価期間における燃料コストの低減額である。w2は、顧客が燃料コストを重視する度合いを評価値に反映させるための重み係数である。
【0041】
A3は、評価期間における環境負荷の低減の効果値、具体的には、評価期間における二酸化炭素排出量の削減量を金額に換算した値である。w3は、顧客が環境問題を重視する度合いを評価値に反映させるための重み係数である。A4は、評価期間における保守費用の低減額である。w4は、顧客が保守費用を重視する度合いを評価値に反映させるための重み係数である。Ciは、改善策の導入コストである。Ciは、改善策情報161から取得される。
【0042】
なお、出力増大による効果を、売電収入の増加額としてではなく、電力会社から購入する電力のコストの削減額として算出してもよい。また、環境負荷の低減量を、二酸化炭素排出量の削減量だけなく、一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物等の他の排出ガス成分の削減量を用いて算出してもよい。また、上記のA1からA4以外の効果値をさらに用いて評価値を算出してもよい。
【0043】
上記のA1は、例えば、以下の式(2)を用いて算出される。
【0044】
【数2】

【0045】
式(2)において、Puは、評価対象の改善策によって増大する所定期間当たりの電力量である。Puは、改善策情報161の出力向上量の項目から取得される。Ceは、売電単価である。Ceは、パラメータ情報166から取得される。Roは、改善策を適用する対象のガスタービンの稼働率である。Roは、プラント情報163から取得される。Tは、評価期間であり、tは、所定期間(単位期間)である。なお、出力の増大にともなって燃料消費が増大する場合は、増大する分の燃料コストをA1から控除してもよい。
【0046】
上記のA2は、例えば、以下の式(3)を用いて算出される。
【0047】
【数3】

【0048】
式(3)において、Fdは、評価対象の改善策によって減少する所定期間当たりの燃料の消費量である。Fdは、改善策情報161の消費燃料削減量の項目から取得される。Cfは、燃料単価である。Cfは、パラメータ情報166から取得される。
【0049】
上記のA3は、例えば、以下の式(4)を用いて算出される。
【0050】
【数4】

【0051】
式(4)において、Cdは、評価対象の改善策によって減少する所定期間当たりの二酸化炭素の排出量である。Cdは、改善策情報161の二酸化炭素削減量の項目から取得される。Rcは、二酸化炭素排出量を、その量の二酸化炭素を排出する際に消費される燃料の量に換算する係数である。Rcは、パラメータ情報166から取得される。
【0052】
上記のA4は、例えば、以下の式(5)を用いて算出される。
【0053】
【数5】

【0054】
式(5)において、Mdは、評価対象の改善策によって削減される所定期間当たりの保守費用である。Mdは、改善策情報161の保守費用削減額の項目から取得される。
【0055】
なお、評価値算出部167bは、上記の式(1)に代えて、以下の式(6)を用いて改善策の評価値を算出してもよい。
【0056】
【数6】

【0057】
式(2)において、V2は、算出される評価値である。V2は、評価期間における改善策の経済効果と改善策の導入コストとの差、すなわち、評価期間における改善策の効果額を示す。
【0058】
このように、複数の観点から改善策を評価することにより、評価を実施する個人の経験や知見が乏しい場合でも、改善策を適切に評価することができる。
【0059】
次に、図6を参照しながら、改善策選定装置10が実行する改善策選定処理の処理手順について説明する。図6は、改善策選定処理の処理手順を示すフローチャートである。図6に示す処理手順は、制御部15が改善策選定プログラム167を実行することによって実現される。なお、改善策選定処理の実行に先立って、入力部12の操作または通信部13の通信によって、提案対象のガスタービン、評価値の評価期間、改善策の実施時期等の評価条件が改善策選定装置10に入力される。
【0060】
図6に示すように、制御部15は、まず、改善策情報161から実施可能な改善策を抽出する(ステップS101)。具体的には、制御部15は、指定されたガスタービンの型式をプラント情報163から取得し、取得した型式のガスタービンが実施対象の改善策を改善策情報161から抽出する。
【0061】
また、改善策の実施時期が指定された場合、制御部15は、指定されたガスタービンに対してその時期に実施予定の定期検査に関する情報を定期検査予定165から取得し、定期検査中に実施可能な改善策を抽出結果の中から抽出する。例えば、定期検査の実施箇所が圧縮機の場合、制御部15は、圧縮機以外の部位に対する改善策を抽出結果の中から抽出する。なお、ガスタービンの導入時期をプラント情報163に格納しておき、改善策選定装置10が、指定されたガスタービンの導入時期から定期検査の実施時期と実施箇所を判定することとしてもよい。
【0062】
続いて、制御部15は、抽出された改善策の集合から、指定されたガスタービンに対して既に実施済の改善策を除外する(ステップS102)。具体的には、制御部15は、指定されたガスタービンに対して既に実施済の改善策に関する情報を実績情報164から取得し、取得された情報に対応する改善策が抽出結果に含まれる場合、その改善策を抽出結果から除外する。
【0063】
以上の、ステップS101およびステップS102は、候補抽出部167aが提供する機能によって実現される。なお、上記の説明では、指定されたガスタービンの型式を抽出条件として改善策を抽出した後に実施不能な改善策および実施済の改善策を除外することとしたが、抽出条件を変更して、実施不能な改善策および実施済の改善策が予め除外された改善策を抽出してもよい。
【0064】
続いて、制御部15は、評価値を算出するための重み係数を決定する(ステップS103)。具体的には、制御部15は、指定されたガスタービンを導入している顧客の顧客番号をプラント情報163から取得し、取得した顧客番号に対応するデータを顧客情報162から取得する。そして、取得した顧客のデータに基づいて各重み係数を決定する。
【0065】
制御部15が上記の式(1)または式(6)を用いて評価値を算出するものとする。この場合、例えば、制御部15は、顧客の事業計画が「売り上げ重視」であれば、顧客が強く関心をもつと思われる売電収入の増加額が高く評価されるように、w1を既定値よりも大きくする。また、制御部15は、顧客の事業計画が「利益重視」であれば、顧客が強く関心をもつと思われる燃料コストの低減額が高く評価されるように、w2を既定値よりも大きくする。
【0066】
また、制御部15は、顧客の環境問題への取り組みの積極性が高ければ、顧客が強く関心をもつと思われる二酸化炭素排出量の削減量が高く評価されるように、w3を既定値よりも大きくする。また、制御部15は、平均稼働率が低ければ、顧客が強く関心をもつと思われる保守費用の低減額が高く評価されるように、w4を既定値よりも大きく設定する。
【0067】
このように、環境問題への取り組み等の任意の要員が顧客に関して客観的に判断可能な特性に基づいて重み係数を決定することにより、特定の個人の経験および知見に頼ることなく、顧客に適した重み係数を設定することができる。その結果、顧客に好適な改善策を選定することが可能になる。
【0068】
続いて、制御部15は、抽出された改善策の中から未選択の改善策を1つ選択する(ステップS104)。未選択の改善策を選択できた場合(ステップS105,Yes)、制御部15は、選択した改善策の評価値を算出する(ステップS106)。評価値の算出には、例えば、上記の式(1)または式(6)が用いられる。そして、制御部15は、抽出された全ての改善策の評価値を算出するまで、ステップS104からステップS106を繰り返して実行する。以上の、ステップS103からステップS106は、評価値算出部167bが提供する機能によって実現される。
【0069】
未選択の改善策を選択できない場合、すなわち、抽出された全ての改善策の評価値を算出し終えた場合(ステップS105,No)、制御部15は、算出された評価値に基づいて、提案すべき改善策を選定する(ステップS107)。例えば、制御部15は、評価値が閾値よりも高い改善策を提案すべき改善策として選定してもよい。また、制御部15は、評価値が高い順に所定の個数または所定の割合の改善策を提案すべき改善策として選定してもよい。以上のステップS107は、改善策選定部167cが提供する機能によって実現される。
【0070】
こうして選定された改善策は、そのまま提案書等の形式で出力されてもよいし、表示部11に表示され、利用者による精査(選別)を受けることとしてもよい。
【0071】
上述してきたように、実施例1では、改善策選定装置10が、複数の観点から改善策の評価値を算出することとしたので、評価を実施する個人の経験や知見の程度に関わらず、改善策を適切に評価することができる。また、本実施例では、改善策選定装置10が、顧客に関して客観的に判断可能な特徴に基づいて重み係数を決定することとしたので、特定の個人の経験および知見に頼ることなく、顧客の特性に適応した評価値を算出することができる。
【実施例2】
【0072】
実施例1では評価値を算出することによって改善策を選定することとしたが、既に改善策を実施した顧客の実際の評価に基づいて改善策を選定することとしてもよい。以下の実施例2では、顧客の実際の評価に基づいて改善策を選定する例について説明する。
【0073】
まず、実施例2に係る改善策選定装置の構成について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分には、既に説明した部分と同一の符号を付す。また、重複する説明は省略することがある。図7は、実施例2に係る改善策選定装置の構成を示すブロック図である。図7に示す改善策選定装置20は、表示部11と、入力部12と、通信部13と、媒体読取部14と、制御部15と、記憶部16とを備える。
【0074】
記憶部16に記憶されるプログラムには、改善策選定プログラム267が含まれる。改善策選定プログラム267は、好適な改善策を選定するための機能を提供する。改善策選定プログラム267は、類似度算出部267aと、候補抽出部267bと、改善策選定部267cとを含む。
【0075】
類似度算出部267aは、改善案を提案する対象のガスタービン(設備)と他のガスタービン(設備)との類似度を算出する機能を提供する。候補抽出部267bは、改善案を提案する対象のガスタービンとの類似度が高いガスタービンに実施済みの改善策の中から顧客の評価の高い改善策を抽出する機能を提供する。改善策選定部267cは、顧客の評価に基づいて提案すべき改善策を選定する機能を提供する。
【0076】
次に、図8を参照しながら、改善策選定装置20が実行する改善策選定処理の処理手順について説明する。図8は、改善策選定処理の処理手順を示すフローチャートである。図8に示す処理手順は、制御部15が改善策選定プログラム267を実行することによって実現される。なお、改善策選定処理の実行に先立って、入力部12の操作または通信部13の通信によって、提案対象のガスタービン、改善策の実施時期等の評価条件が改善策選定装置20に入力される。
【0077】
図8に示すように、制御部15は、まず、プラント情報163に登録されている導入済みのガスタービンの中から、指定されたガスタービン以外の未選択のガスタービンを1つ選択する(ステップS201)。未選択のガスタービンを選択できた場合(ステップS202,Yes)、制御部15は、選択したガスタービンと指定されたガスタービンとの同一性の有無を判定する(ステップS203)。
【0078】
同一性の有無の判定は、それらのガスタービンに同一の改善策を実施可能か否かを判定するために行われる。ガスタービンは、型式が同一であっても、バイパス弁、燃焼ノズル、燃焼筒等の部品が異なったり、燃焼方式が異なったりすると、同一の改善策を適用できないことがある。このため、制御部15は、プラント情報163に登録されている型式に加えて、バイパス弁、燃焼ノズル、燃焼筒等の部品が同一であり、かつ、燃焼方式が同一である場合に、同一性があると判定する。
【0079】
同一性があると判定した場合(ステップS204,Yes)、制御部15は、選択したガスタービンと指定されたガスタービンとの類似度を算出する(ステップS205)。制御部15は、ガスタービンの運用状況とガスタービンを導入している顧客の特性とに基づいて類似度を算出する。
【0080】
具体的には、制御部15は、ガスタービンの運用状況に関する情報として、プラント情報163に登録されている運転条件、稼働率、燃料コスト、売電制限等の項目の値を取得する。また、制御部15は、顧客の特性に関する情報として、顧客情報162に登録されている環境問題への取り組み、事業計画、平均稼働率等の項目の値を取得する。そして、制御部15は、取得した情報に基づいて、選択したガスタービンと指定されたガスタービンとの類似度を算出する。
【0081】
類似度は、既知の手法を用いて算出してよい。例えば、制御部15は、ユーグリッド距離を用いる事例データベース推論等の手法を用いてもよい。また、制御部15は、レコメンデーション等に用いられる協調フィルタリングの手法を用いてもよい。
【0082】
このように、ガスタービンの運用状況とガスタービンを導入している顧客の特性とに基づいて類似度を算出することにより、提案を行おうとしている顧客と同様の見解をもつ可能性が高い顧客の実際の評価に基づいて改善策を選定することが可能になる。
【0083】
同一性がないと判定した場合(ステップS204,No)、制御部15は、類似度を算出しない(類似度が最小であると判定する)。そして、制御部15は、全ての他のガスタービンとの類似度を算出するまで、ステップS201からステップS205を繰り返して実行する。以上の、ステップS201からステップS205は、類似度算出部267aが提供する機能によって実現される。
【0084】
未選択のガスタービンを選択できない場合、すなわち、全ての他のガスタービンとの類似度を算出し終えた場合(ステップS202,No)、制御部15は、他のガスタービンの中から、指定されたガスタービンとの類似度が高いガスタービンを選定する(ステップS206)。制御部15は、例えば、類似度が閾値よりも高いガスタービンを選定してもよい。また、制御部15は、類似度が高い順に所定の個数または所定の割合のガスタービンを選定してもよい。
【0085】
続いて、制御部15は、選定したガスタービンを対象として提案済みの改善策の改善策IDと好評度の組み合わせの集合を実績情報164から取得する(ステップS207)。そして、制御部15は、取得した組み合わせの集合から、指定されたガスタービンに対して既に実施済の改善策の改善策IDを含むものを除外する(ステップS208)。さらに、制御部15は、改善策の実施時期が指定された場合、指定されたガスタービンに対してその時期に実施予定の定期検査に関する情報を定期検査予定165から取得し、定期検査中に実施不能な改善策の改善策IDを含む組み合わせを集合から除外する(ステップS209)。以上の、ステップS206からステップS209は、候補抽出部267bが提供する機能によって実現される。
【0086】
続いて、制御部15は、集合に含まれる改善策毎に好評度の代表値を算出する(ステップS210)。例えば、制御部15は、同一の改善策IDを含む組み合わせ毎に算出した好評度の平均値を好評度の代表値とする。制御部15は、同一の改善策IDを含む組み合わせ毎に算出した好評度の最大値、最小値、または中央値等を好評度の代表値としてもよい。
【0087】
そして制御部15は、算出された好評度の代表値に基づいて、提案すべき改善策を選定する(ステップS211)。例えば、制御部15は、好評度の代表値が閾値よりも高い改善策を提案すべき改善策として選定してもよい。また、制御部15は、好評度の代表値が高い順に所定の個数または所定の割合の改善策を提案すべき改善策として選定してもよい。以上の、ステップS210からステップS211は、改善策選定部267cが提供する機能によって実現される。
【0088】
上述してきたように、実施例2では、提案先と同様にプラントを運用している顧客の実際の評価に基づいて改善策を選定することとしたので、特定の個人の経験および知見に頼ることなく、提案先の顧客から高い評価を得ることを期待できる改善策を選定することができる。
【0089】
なお、上述した実施例では、ガスタービンの同一性があることを判定した後にガスタービンの類似度を算出することとしたが、ガスタービンの同一性を判定せずに、ガスタービンの同一性を判定するのに用いた情報を更に用いてガスタービンの類似度を算出してもよい。すなわち、ガスタービン自体の特性(仕様)と、ガスタービンの運用状況と、ガスタービンを導入している顧客の特性とに基づいて類似度を算出してもよい。この場合、改善策選定装置20は、提案対象のガスタービンに改善策を適用できるか否かを別途判定すればよい。
【0090】
また、上記の実施例では、好評度の代表値に基づいて提案すべき改善策を選定することとしたが、改善策選定装置20は、実際に改善策が導入されたか否かに基づいて提案すべき改善策を選定することとしてもよい。
【実施例3】
【0091】
実施例1では評価値に基づいて改善策を選定する例を示し、実施例2では顧客の実際の評価に基づいて改善策を選定する例を示したが、評価値と顧客の実際の評価とを併用して改善策を選定することとしてもよい。以下の実施例3では、評価値と顧客の実際の評価とを併用して改善策を選定する例について説明する。
【0092】
まず、実施例3に係る改善策選定装置の構成について説明する。図9は、実施例3に係る改善策選定装置の構成を示すブロック図である。図9に示す改善策選定装置30は、表示部11と、入力部12と、通信部13と、媒体読取部14と、制御部15と、記憶部16とを備える。
【0093】
記憶部16に記憶されるプログラムには、改善策選定プログラム367が含まれる。改善策選定プログラム367は、好適な改善策を選定するための機能を提供する。改善策選定プログラム367は、好評度算出部367aと、候補抽出部367bと、評価値算出部367cと、改善策選定部367dとを含む。
【0094】
好評度算出部367aは、改善案を提案する対象のガスタービンと類似する他のガスタービンを対象として提案された改善案に関する顧客の実際の評価を取得する機能を提供する。候補抽出部367bは、改善策情報161に登録されている改善策の中から、指定されたガスタービンに適用可能な改善策を抽出する機能を提供する。評価値算出部367cは、抽出された各改善策を、顧客の実際の評価を考慮して、複数の観点から総合的に評価する評価値を算出する機能を提供する。改善策選定部367dは、算出された評価値に基づいて提案すべき改善策を選定する機能を提供する。
【0095】
次に、図10および図11を参照しながら、改善策選定装置30が実行する改善策選定処理の処理手順について説明する。図10は、改善策選定処理の処理手順を示すフローチャートである。図11は、好評度算出処理の処理手順を示すフローチャートである。図10及び図11に示す処理手順は、制御部15が改善策選定プログラム367を実行することによって実現される。なお、改善策選定処理の実行に先立って、入力部12の操作または通信部13の通信によって、提案対象のガスタービン、評価値の評価期間、改善策の実施時期等の評価条件が改善策選定装置30に入力される。
【0096】
図10に示すように、制御部15は、まず、好評度算出部367aが提供する機能に基づいて、好評度算出処理を実行する(ステップS301)。具体的には、制御部15は、図11に示すように、プラント情報163に登録されている導入済みのガスタービンの中から、指定されたガスタービン以外の未選択のガスタービンを1つ選択する(ステップS401)。未選択のガスタービンを選択できた場合(ステップS402,Yes)、制御部15は、選択したガスタービンと指定されたガスタービンとの同一性の有無を判定する(ステップS403)。
【0097】
同一性があると判定した場合(ステップS404,Yes)、制御部15は、選択したガスタービンと指定されたガスタービンとの類似度を算出する(ステップS405)。類似度の算出の仕方は、実施例2と同様でよい。
【0098】
同一性がないと判定した場合(ステップS404,No)、制御部15は、類似度を算出しない(類似度が最小であると判定する)。そして、制御部15は、全ての他のガスタービンとの類似度を算出するまで、ステップS401からステップS405を繰り返して実行する。
【0099】
なお、改善策選定装置30は、ガスタービンの同一性を判定せずに、ガスタービンの同一性を判定するのに用いた情報を更に用いてガスタービンの類似度を算出してもよい。すなわち、ガスタービン自体の特性と、ガスタービンの運用状況と、ガスタービンを導入している顧客の特性とに基づいて類似度を算出してもよい。
【0100】
未選択のガスタービンを選択できない場合、すなわち、全ての他のガスタービンとの類似度を算出し終えた場合(ステップS402,No)、制御部15は、他のガスタービンの中から、指定されたガスタービンとの類似度が高いガスタービンを選定する(ステップS406)。制御部15は、例えば、類似度が閾値よりも高いガスタービンを選定してもよい。また、制御部15は、類似度が高い順に所定の個数または所定の割合のガスタービンを選定してもよい。
【0101】
続いて、制御部15は、選定したガスタービンを対象として提案済みの改善策の改善策IDと好評度の組み合わせの集合を実績情報164から取得する(ステップS407)。そして、制御部15は、集合に含まれる改善策毎に好評度の代表値を算出する(ステップS408)。例えば、制御部15は、同一の改善策IDを含む組み合わせ毎に算出した好評度の平均値を好評度の代表値とする。制御部15は、同一の改善策IDを含む組み合わせ毎に算出した好評度の最大値、最小値、または中央値等を好評度の代表値としてもよい。
【0102】
こうして好評度算出処理を完了すると、制御部15は、図10に示すように、改善策情報161から実施可能な改善策を抽出する(ステップS302)。実施可能な改善策の抽出の仕方は、実施例1と同様である。そして、制御部15は、抽出された改善策の集合から、指定されたガスタービンに対して既に実施済の改善策を除外する(ステップS303)。以上の、ステップS302およびステップS303は、候補抽出部367bが提供する機能によって実現される。
【0103】
続いて、制御部15は、評価値を算出するための重み係数を決定する(ステップS304)。重み係数の決定の仕方は、実施例1と同様である。
【0104】
続いて、制御部15は、抽出された改善策の中から未選択の改善策を1つ選択する(ステップS305)。未選択の改善策を選択できた場合(ステップS306,Yes)、制御部15は、選択した改善策の評価値を算出する(ステップS307)。評価値の算出には、例えば、上記の式(1)または式(6)が用いられる。
【0105】
評価値を算出した後、制御部15は、選択した改善策に対応する好評度の代表値を好評度算出処理の処理結果から取得する(ステップS308)。選択した改善策に対応する好評度の代表値を取得できた場合(ステップS309,Yes)、制御部15は、選択した改善策の評価値を好評度の代表値で補正する(ステップS310)。例えば、制御部15は、評価値に好評度の代表値を乗じることにより、評価値を補正する。
【0106】
このように、同じ改善策を類似度の高いプラントに提案して得られた実際の評価に基づいて評価値を補正することにより、改善策を選定するための指標として、評価値をより好適な値にすることができる。選択した改善策に対応する好評度の代表値を取得できない場合(ステップS309,No)、評価値の補正は行われない。
【0107】
そして、制御部15は、抽出された全ての改善策の評価値を決定するまで、ステップS305からステップS310を繰り返して実行する。以上の、ステップS305からステップS310は、評価値算出部367cが提供する機能によって実現される。
【0108】
未選択の改善策を選択できない場合、すなわち、抽出された全ての改善策の評価値を決定し終えた場合(ステップS306,No)、制御部15は、算出された評価値に基づいて、提案すべき改善策を選定する(ステップS311)。例えば、制御部15は、評価値が閾値よりも高い改善策を提案すべき改善策として選定してもよい。また、制御部15は、評価値が高い順に所定の個数または所定の割合の改善策を提案すべき改善策として選定してもよい。以上のステップS311は、改善策選定部367dが提供する機能によって実現される。
【0109】
上述してきたように、実施例3では、評価値と顧客の実際の評価とを併用して改善策を選定することとしたので、特定の個人の経験および知見に頼ることなく、提案先の顧客から高い評価を得ることを期待できる改善策を選定することができる。
【0110】
なお、上記の各実施例で示した本発明の態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、上記の実施例で示した各プログラムは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと統合されていてもよい。また、上記の各実施例では、本発明を、ガスタービンの改善策の選定に適用する例について説明したが、本発明は、蒸気タービン、加工機械、印刷機等の各種設備や産業機械の改善策の選定に適用することができる。
【符号の説明】
【0111】
10、20、30 改善策選定装置
11 表示部
12 入力部
13 通信部
14 媒体読取部
15 制御部
151 CPU
152 メモリ
16 記憶部
161 改善策情報
162 顧客情報
163 プラント情報
164 実績情報
165 定期検査予定
166 パラメータ情報
167、267、367 改善策選定プログラム
167a、267b、367b 候補抽出部
167b、367c 評価値算出部
167c、267c、367d 改善策選定部
267a 類似度算出部
367a 好評度算出部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導入されている設備に適用される改善策に関する改善策情報を記憶する記憶部と、
前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による複数の効果値を算出し、算出された各効果値を提案対象の顧客に設定される重みによって補正することによって、改善策の評価値を算出する評価値算出部と、
前記評価値算出部によって算出された前記評価値に基づいて、前記顧客に提案すべき改善策を選定する改善策選定部と
を備えることを特徴とする改善策選定装置。
【請求項2】
前記記憶部は、顧客の特性に関する情報を含む顧客情報をさらに記憶し、
前記評価値算出部は、前記顧客情報に基づいて、前記提案対象の顧客に設定される重みを決定することを特徴とする請求項1に記載の改善策選定装置。
【請求項3】
前記顧客の特性に関する情報は、前記顧客の環境問題への取り組み、事業計画、または平均稼働率のうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項2に記載の改善策選定装置。
【請求項4】
前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による出力増加に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の改善策選定装置。
【請求項5】
前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による燃料コストの削減に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の改善策選定装置。
【請求項6】
前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による環境負荷の低減に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の改善策選定装置。
【請求項7】
前記評価値算出部は、前記改善策情報に基づいて、改善策の適用による保守費用の低減に基づく効果値を含む前記複数の効果値を算出することを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の改善策選定装置。
【請求項8】
前記記憶部は、改善策を提案された顧客によって評価された改善策の好評度を含む実績情報をさらに記憶し、
前記評価値算出部は、前記改善策の評価値を、当該改善策の前記好評度に基づいてさらに補正することを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の改善策選定装置。
【請求項9】
前記記憶部は、改善策を提案された顧客によって評価された改善策の好評度を含む実績情報をさらに記憶し、
前記評価値算出部は、前記改善策の評価値を、当該改善策の前記好評度のうち、改善案が提案される設備と類似度が高い設備を運用している顧客による前記好評度に基づいてさらに補正することを特徴とする請求項8に記載の改善策選定装置。
【請求項10】
情報処理装置によって実行される改善策選定方法であって、
導入されている設備に適用される改善策に関する改善策情報に基づいて、改善策の適用による複数の効果値を算出するステップと、
算出された各効果値を提案対象の顧客に設定される重みによって補正することによって、改善策の評価値を算出するステップと、
算出された前記評価値に基づいて、前記顧客に提案すべき改善策を選定するステップと
を含むことを特徴とする改善策選定方法。
【請求項11】
情報処理装置に、
導入されている設備に適用される改善策に関する改善策情報に基づいて、改善策の適用による複数の効果値を算出するステップと、
算出された各効果値を提案対象の顧客に設定される重みによって補正することによって、改善策の評価値を算出するステップと、
算出された前記評価値に基づいて、前記顧客に提案すべき改善策を選定するステップと
を実行させることを特徴とする改善策選定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−12085(P2013−12085A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144940(P2011−144940)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】