説明

改良された浴槽

浴槽100は、実質的に柔軟で、水、又は衛生目的を意図した他の液体で満たすために適した容積を画定するのに適した、発泡高分子素材の支持材1を備え、少なくとも部分的に前記支持材1を覆うための被覆物2を更に備え、前記被覆物2が複数のブロック21によってモザイク状に作られており、前記ブロックが前記支持材1より高い構造的剛性を示す、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生分野で、詳細には家庭において、さまざまな形状、寸法及び特徴を備えた複数のタイプの浴槽が知られている。
【0003】
しかし、たとえこの数年にわたり、多少とも複雑な技術的項目の使用、まず第一にはさまざまな水流マッサージのシステムを使用することが普及し、且つ従来の長方形の設計のものとは多少とも異なった形状が使用されているとしても、周知の浴槽は、常に簡易な従来の使用に限られており、同じ素材、ほとんどはガラス繊維又はせいぜい陶器を使用して作られている。
【0004】
このような素材の選択には、多少とも明らかに感じられるいくらかの限界と問題を伴う。
【0005】
容易に推測されるように、このような浴槽が原因で起こる第1の問題は、周知の浴槽の表面が特に固く、同時に濡れた場合は滑りやすいために起こる事故の問題に関連している。結果として、転倒した場合、衝撃は特に強く、ユーザにとっては深刻な結果を伴うことさえあり得る。
【0006】
同じ理由から、確かにあまり深刻な問題ではないが、触れた時に固くて、冷たくさえもあるという、素材の快適さが劣っている点に関連している。
【0007】
上記2つの問題を少なくとも部分的に解決するために、柔軟な素材の詰め物で覆われた浴槽が考案されているが、このような解決策から生じている主な問題は、素材の大きな消耗に関連し、その結果生じる洗浄の困難さに関連している。
【0008】
このような問題に加えて、従来の技術によって製造された浴槽の更に不便な点は、加工して輸送することが困難であるという事実に関連している。
【0009】
実際、浴槽が成型加工で製造され、従って型自体の製造に相当の投資が必要であることに注目されたい。
【0010】
結果として、浴槽の形状を高度にカスタム化することは可能ではなく、或いは、少なくとも、経済的に有利ではない。
【0011】
一方、輸送に関して、主な問題は、浴槽の輸送及び据え付けができなくなる程の質量を示す浴槽の重量に関連している。
【0012】
最後に、些細ではあるが依然として感じる問題は、従来技術の浴槽の非常に貧弱な断熱及び防音特性に関連している。防音については、たいてい、浴槽を満たす激しい水音を隣人たちが好まない点に注意が必要であり、一方、熱の観点については、ガラス繊維は断熱効果が貧弱又は皆無であり、従って、湯の熱を外的環境に放散することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、本発明の根底にある技術的問題は、従来技術に関する上記の短所を解決できる浴槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような問題は、請求項1に記載の浴槽によって解決される。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、いくつかの重要な利点を提供する。主な利点は、本発明による浴槽が、事故からの強い保護を可能にし、更に、接触した時に特に身体に快適であるという事実にある。更に、高い比重量の素材、又は複雑な成形作業を必要としないので、輸送と形状のカスタム化とが容易に行える。
【0016】
最後に、使用された素材はまた、最適な断熱及び防音を可能にする。
【0017】
本発明のさらなる利点、特徴、及び使用方法は、下記の発明を実施するための形態から明らかになるが、これは例示的なものであり、本発明をこれに限定するものではない。添付図面の諸図を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による浴槽の部分的に破断した斜視図である。
【図2】図1の浴槽の断面図である。
【図2A】図1の浴槽の断面の詳細図である。
【図3】図1の浴槽及び個々の振動手段の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
最初に図1を参照すると、本発明による浴槽は、全体として参照番号100で示されている。
【0020】
浴槽は、例えばスポンジゴムなどの発泡高分子素材でできた支持材1を備える。いかなる場合も、一般にこのような素材は、一定の柔軟性と低い比重量によって特徴づけられる。
【0021】
このような発泡高分子素材は必ずしも完全に撥水性であるとは限らないので、支持材が作られる素材により撥水性を持たせるために、この支持材は、例えば、2層のうちの1層はアラミドを含む、2層のポリウレタン製被覆物で作った撥水性の外被膜14で有利に覆われる。
【0022】
このような被膜は、更に任意選択で支持材の表面硬度を向上させて、浴槽の正常な使用に関して支持材の消耗を減少させることもできる。
【0023】
図1に示すように、支持材は、浴槽が使用される衛生使用を意図し、従って、ユーザが中に浸かることができる水、又はその他の液体が受け入れられる、容積101を画定するのに適している。
【0024】
この点について、本発明による浴槽は、家庭での用途に加えて、例えば、病院又は福祉センターでも使用することができ、従って、単純水以外の液体でさえも容れることができることに注目されたい。
【0025】
ユーザが浸かることができる液体を受け入れるのに有用な容積を画定することに加えて、支持材1はまた、床、又は他の支持表面上に浴槽を位置させる浴槽の特別な支持部分を画定することができる。
【0026】
好ましい一実施例によれば、支持材は、常に発泡高分子素材であるが機械的に異なった特徴を有した、2つの異なった素材の層を更に備えることができ、例えば、容積を画定するのに適した層は、支持部分の層よりも柔軟であり得る。
【0027】
他の組み合わせでもこのような層が提供できることは明らかであり、任意選択では2層よりも大きい数の組み合わせも存在する。実際、図2を参照すると、以下に見られるように、縁部の追加された層13が、底部に対して90°未満の傾きを有する壁面を備えた浴槽を作るために提供されることも可能である。
【0028】
従って、再び図1を参照すると、本発明による浴槽は、更に支持材1の被覆物2を備え、その被覆物は浴槽の内側の側壁及び底部の少なくとも一部を覆っている。
【0029】
図1及び図2を参照すると、更に、被覆物は、複数のブロック21で、モザイク状になっていて、実質的に互いに隣接して構成されている。ブロック21は更に、前記支持材1より高い構造的剛性を示し、構造のより大きな全面的強度を保証し、実質的に連続した被覆物を作るように互いに隣接して配置されている。
【0030】
結果として、支持材と被覆物の組み合わせは、一方では容積101に液体を収容するのに十分に強度があり、他方では、各ブロック21が支持材1にわずかに中へ沈み込むことができ、従って、転倒に起因するどんな衝突も緩和することができるので、事故の問題によって影響を受けることはないであろう。
【0031】
好ましい一実施例によれば、ブロック21は、特別に撥水及び耐火処理を施された、多層の木材で作られている。
【0032】
実際、木材が美観上の最適の品質と共に、十分な表面強度及び制限重量を達成できることは注目されている。
【0033】
いかなる場合も、例えばプラスチック又はセラミック素材などの、更に他の素材が使用されてもよいことは明らかである。
【0034】
図2Aに示すように、ブロック21は、一般に構造の柔軟性を損なわずにブロックの接着を可能にする、例えばシリコン・ベースの接着剤によって、任意選択で被膜で被覆した支持材に固定することができる。
【0035】
図1及び図2を再び参照すると、本発明による浴槽が、美観上の理由と、既に説明したように、支持材を形成する構造全体の機械的特性を全体として改良するための両方で、支持材の外側の表面すべてに被覆物2を有利に施すことができることにも注目されたい。
【0036】
この浴槽は、更に、支持材が作られている柔軟な素材に適した、排水装置及び蛇口(図示せず)への特別な接続を提供する。
【0037】
このような接続は、いかなる場合も、排水装置への接続部分で支持材に特別な補強を施すことで、従来の浴槽に実質的に似た方法で実施できる。
【0038】
いかなる場合も、本発明による浴槽に有効に適合するために特に考案されたシステムを提供することができる。
【0039】
従って、事故防止の観点から見て優れた特性を示すことに加えて、本発明による浴槽が特に簡易で安価な加工を可能にし、更に形状と寸法の高度なカスタム化を可能にすることに注目されたい。
【0040】
実際、その支持材は、単に発泡高分子素材のブロックを削ることで製造できて、極端に経費を増加させずに、非連続加工を実施することもできる。
【0041】
常に、使用される組み合わせのおかげで、本発明による浴槽は、使用される素材の限られた比重量のおかげで、輸送を最高に容易にもする。
【0042】
更に、このような特徴は、小さな寸法の浴槽を作るのにも適していて、家庭の給排水系統に接続しなくてもよく、使用した後に片付けることができる。この場合、浴槽は、特別の排水手段を有利には備える。
【0043】
次に図3を参照すると、本発明による浴槽は、例えば偏心回転質量によって作られて、支持材1の中で、被覆物2の下に配置された、少なくとも1つの振動要素3を有利に備えることができる。
【0044】
支持材1が柔軟な素材で作られているので、振動要素は、振動運動を自由に実行し、それを被覆物へ、従ってユーザの身体に伝えることができる。
【0045】
このような態様によって、簡易な方法でマッサージ・バスを製造することができ、このマッサージ・バスは、家庭及び治療の両方の用途に都合よく使用できる。
【0046】
この目的のために、この浴槽は、複数の振動要素及びその制御装置を有利に備えることができ、これにより、異なった振動数と強度に従ってプログラミングすることが可能になり、ユーザのニーズにできるだけ適応させられる。
【0047】
振動要素に加えて、更にモータも予見でき、このモータは、より多くの局所的なマッサージ運動を実行するために、常に支持材1を介して、ブロックの動きを制御する特別のカムを備える。
【0048】
常に、ブロック21の存在のおかげで、本発明による浴槽は、2つの隣接したブロックの間を通過し、従って水の中で光を拡散する、光ファイバーの作用を使用して色彩セラピー療法に都合よく使用することができる。
【0049】
好ましい実施例を参照して本発明をこれまで説明してきた。同じ発明範囲に関するその他の実施例も存在し、それらはすべて添付の特許請求の範囲の保護範囲内にあると理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に柔軟で、水、又は衛生目的を意図した他の液体で満たすために適した容積を画定するのに適した、発泡高分子素材の支持材(1)を備える浴槽(100)であって、少なくとも部分的に前記支持材(1)を覆うための被覆物(2)を更に備え、前記被覆物(2)が複数のブロック(21)によってモザイク状に作られており、前記ブロックが前記支持材(1)より高い構造的剛性を示す、ことを特徴とする浴槽(100)。
【請求項2】
前記ブロック(21)が実質的に互いに隣接するように配置され、それにより、前記被覆物(2)が前記支持材(1)の実質的に連続する被覆表面を画定するのに適している、請求項1に記載の浴槽(100)。
【請求項3】
前記被覆物(2)が前記浴槽(100)の側壁及び底部を覆うように配置され、前記側壁及び底部が、水、又は他の液体で満たされるのに適した前記容積を画定するのに適している、請求項2に記載の浴槽(100)。
【請求項4】
前記ブロック(21)が木材で作られている、請求項3に記載の浴槽(100)。
【請求項5】
前記支持材(1)が異なる層(11、12、13)を重ね合わせることによって作られている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の浴槽(100)。
【請求項6】
前記層(1)が撥水素材の外被膜(14)を備える、請求項1から5までのいずれか一項に記載の浴槽(100)。
【請求項7】
前記被膜(14)が2層のポリウレタン製被覆物を備え、前記層のうちの1層はアラミドを含む、請求項6に記載の浴槽(100)。
【請求項8】
前記ブロック(21)が接着剤によって前記支持材(2)に固定されている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の浴槽(100)。
【請求項9】
少なくとも1つの振動要素(3)を備え、前記振動要素(3)が前記支持材(1)に埋設されており、前記ブロック(21)を振動するように配置するのに適した、請求項1から8までのいずれか一項に記載の浴槽(100)。
【請求項10】
前記振動要素(3)が少なくとも2に等しい数で存在し、制御装置によって相互に調和した振動運動を実行するのに適している、請求項9に記載の浴槽(100)。
【請求項11】
少なくとも1つのカム要素を備え、前記カム要素が前記支持材(1)に埋設されており、ユーザの体にマッサージ運動を実施するために、回転するように配置されるのに適している、請求項1から10までのいずれか一項に記載の浴槽(100)。
【請求項12】
前記ブロック(21)の間で光を生じさせるのに適した光ファイバーを備える、請求項1から11までのいずれか一項に記載の浴槽(100)。


【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−543651(P2009−543651A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−520115(P2009−520115)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052879
【国際公開番号】WO2008/010192
【国際公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(509018797)
【Fターム(参考)】