説明

改良したシール性を示すポリオレフィン組成物

改良したシール性を有するポリオレフィン組成物であって、(総ての%は重量基準で)A) プロピレンと、エチレン、C−Cα−オレフィンおよびその組み合わせから選択される1種以上のコモノマーとからなり、(A)中のコモノマーまたはコモノマー類の含量が5〜25%である1種以上のコポリマーを70〜95%と;B)曲げ弾性率が60MPa以下を示す、ブテン−1(コ)ポリマーを5〜30%とを含む、前記ポリオレフィン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱シール性の製造に有用な、プロピレンコポリマーとブテン−1ポリマーとを含むポリオレフィン組成物、ならびに当該組成物からなるシートおよびフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレンとその他のオレフィン類(主に、エチレン、ブテン−1もしくはその双方)とを含む結晶性コポリマーまたはこのようなコポリマーとその他のオレフィンポリマー類の混合物は、熱シール性物質として、従来技術で知られている。これらの結晶性コポリマーは、プロピレンと少量のその他のオレフィンコモノマーとを配位触媒の共存下で重合させることにより得られる。重合されたコモノマー単位は、統計上、得られたコポリマー中に分配され、前記コポリマーの融点は、結晶性プロピレンホモポリマーの融点よりも低くなる。さらに、前記コポリマーのシール開始温度(詳細は後述する)も、低いのが好ましい。
【0003】
熱シート性(低シール開始温度により示される)とその他の有用な特性、例えば、有機溶媒中での溶解性、光学特性(曇り度および光沢)やレオロジー特性のような特性との間の良好なバランスを見出すために、多くの技術的解決法が従来技術に開示されている。
【0004】
特に、公開された欧州特許出願第483523号公報は、重合プロセスで直接製造され、低シール開始温度および室温のキシレンまたは50℃のn−ヘキサン中の可溶性画分の低含量を示す組成物を開示する。これらの組成物は、(重量基準で)
− 80〜98%のプロピレンを含有する、プロピレンおよびC−Cα−オレフィンからなるコポリマー30〜60%;
− プロピレンとエチレンと、場合により、1〜10%のC−Cα−オレフィンからなるコポリマー35〜70%、ここで、C−Cα−オレフィンが存在しないときエチレンの含量は5〜10%であり、C−Cα−オレフィンが存在するとき、エチレンの含量は0.5〜5%である;
を含む。
【0005】
公開欧州特許出願第674991号公報は、重合プロセスで直接製造され、低シール開始温度および有機溶媒に可溶性のポリマー画分の低含量を示すその他の組成物を開示する。これらの組成物は(重量基準で)
−1〜5%のエチレンを含有する、プロピレンおよびエチレンからなるコポリマー20〜60%;
−エチレン含量が1〜5%であり、C−Cα−オレフィン含量が6〜15%である、プロピレンとエチレンおよびC−Cα−オレフィンとからなるコポリマー40〜80%;
を含み、組成物中のエチレンの総含量が1〜5%であり、組成物中のC−Cα−オレフィン総含量が2.4〜12%である。
【0006】
プロピレンとより高級のα−オレフィン類からなる2種類の異なるコポリマーを含む、その他のヒートシール性組成物が、公開欧州特許出願第560326号公報および米国特許第5948547号明細書に開示されている。
【0007】
WO00/11076号公報に、改良特性を示すヒートシール性組成物が記載されている。当該組成物は、逐次重合により典型的に製造される前駆体の分解により得られ、(重量%基準で)
− (i)1〜7%のエチレンを含有する、プロピレン/エチレンコポリマー;(ii)2〜10%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンと1種以上のC−Cα−オレフィン類とからなるコポリマー;(iii)0.5〜4.5%のエチレンおよび2〜6%のC−Cα−オレフィン類を含有するプロピレンとエチレンおよび1種以上のC−Cα−オレフィン類とからなるコポリマー(ただし、エチレンおよびC−Cα−オレフィン類の総含量が6.5%に等しいかまたはそれより低い)からなる群から選択される1種以上のプロピレンコポリマー20〜80%;
− 10%〜30%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンと1種以上のC−Cα−オレフィン類とからなるコポリマー、および1〜7%のエチレンおよび6〜15%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンとエチレンおよび1種以上のC−Cα−オレフィン類とからなるコポリマーからなる群から選択される1種以上のプロピレンコポリマー20〜80%
を含む。
【0008】
WO03031514号公報には、ヒートシール性、有機溶媒に可溶性画分の低含量および光学特性(特に、非常に低い曇り度および高光沢)の特に価値のあるバランスを示すプロピレンポリマー組成物を記載し、当該組成物は、
A) 10%を超えるが14%未満のC−Cα−オレフィン(類)を含有する、プロピレンとC−Cα−オレフィン(類)(好ましくは、ブテン)とからなるコポリマー15〜60%;
B) 14%〜30%のC−Cα−オレフィン(類)を含有する、プロピレンとC−Cα−オレフィン(類)と、場合により、0.5%〜3%のエチレンとからなるコポリマー40%〜85%;を含み、ただし、プロピレンポリマー組成物中のC−Cα−オレフィン(類)の総含量が10%より高い。
【0009】
このような組成物は分解処理に付すことができ、さらに、所望のレオロジー特性、特に、充分に高い値のMFR(溶融流量)達することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第483523号公報
【特許文献2】欧州特許出願第674991号公報
【特許文献3】欧州特許出願第560326号公報
【特許文献4】米国特許第5948547号明細書
【特許文献5】WO00/11076号公報
【特許文献6】WO03031514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
今、驚いたことに、曲げ弾性率の低値を示す特定のプロピレンコポリマーの多量をブレンドすることにより、ヒートシール性および光学特性(特に、低曇り度および高光沢)の改良したバランスをさらに得られることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明はポリオレフィン組成物を提供し、当該組成物は(重量基準で)
A) プロピレンと、エチレン、C−Cα−オレフィンおよびその組み合わせから選択される1種以上のコモノマーとからなり、(A)中のコモノマーまたはコモノマー類の含量が5〜25%、好ましくは、7〜20%である1種以上のコポリマーを70〜95%、好ましくは、75〜90%、より好ましくは、80〜90%;
B)− ブテン−1誘導単位の含量が75重量%以上、好ましくは、80重量%以上、より好ましくは、84重量%以上、さらにより好ましくは、90重量%以上;
− 曲げ弾性率が60MPa以下、好ましくは、40MPa以下、より好ましくは、30MPa以下
を示す、ブテン−1(コ)ポリマーを5〜30%、好ましくは、10〜25%、より好ましくは、10〜20%
を含む。
【0013】
A)およびB)の量は、A)+B)の総重量に言及する。前述したように、本発明の組成物は、低シール開始温度(好ましくは、100℃未満、より好ましくは、90℃未満)、低曇り度値(実施例に記載した方法にしたがって、フィルムについて測定して、好ましくは、1%未満、より好ましくは、0.5%以下)、および高光沢値(実施例に記載した方法にしたがって、フィルムについて測定して、好ましくは、85%を超える)を示す。前記減少させたヒートシール性および良好な光学特性のバランスに加えて、本発明の組成物は、実質的にゲル(「フィッシュアイ」とも呼ぶ)がなく、それは改良した均質性および増強した加工性の尺度である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の組成物中、特に好適なものは、MFR値が2g/10分以上、より好ましくは、6g/10分以上、最も好ましくは、7g/10分を示すものであり、上限は15g/10分である。すなわち、当該組成物は、事実上、二軸延伸ポリプロピレン(bioriented polypropylene: BOPP)フィルムの製造のためのダブルバブルプロセスに典型的に使用されるような、溶融プロセス条件を要求するのに使用するのに特に適している。
【0015】
上述定義のプロピレンコポリマー(類)(A)から、「コポリマー」という定義は、二種類以上のコモノマーを含有するポリマーを含むことは明らかである。C−Cα−オレフィン類、ならびにオレフィンコポリマー類中のコモノマーとして以降報告する総てのα−オレフィン類は、式CH=CHR(式中、Rは、適切な炭素数を有する;したがって、例えば、C−C10α−オレフィン類について1〜8個の炭素原子、あるいはC−C10α−オレフィン類について2〜8個の炭素原子を有する、線状もしくは分岐状アルキルまたはアリール基である)を有するオレフィン類から選択される。C−C10α−オレフィン類の具体例は、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1およびオクテン−1である。
【0016】
成分(A)の好適例は、(重量基準で)
)(A1)1〜7%のエチレンを含有する、プロピレン/エチレンコポリマー類;(A2)2〜14%未満のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンと1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類;(A3)0.5〜4.5%のエチレンおよび2〜6%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンとエチレンおよび1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類(ただし、(A3)中のエチレンおよびC−Cα−オレフィン類の総含量が6.5%以下である)からなる群から選択される1種以上のプロピレンコポリマーを15〜80%、好ましくは、20〜60%、より好ましくは、20〜50%;
II)(AII1)14%〜30%、好ましくは、14.5%〜25%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンと1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類;(AII2)0.5〜5%のエチレンおよび9〜30%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンとエチレンおよび1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類からなる群から選択される1種以上のプロピレンコポリマーを20〜85%、好ましくは、40〜80%、より好ましくは50〜80%;
を含む。
【0017】
成分(A)の特に好適な例は、(重量基準で)
)10%を超え、好ましくは、11%以上であるが、14%未満、より好ましくは、13%〜13.5%までのC−Cα−オレフィン(類)を含有する、プロピレンとC−Cα−オレフィン(類)(好ましくは、ブテン)とからなるコポリマーを15%〜60%、好ましくは、20%〜60%、より好ましくは、20%〜50%;
II)14%〜30%、好ましくは、14.5%〜25%、より好ましくは、14.5%〜22%のC−Cα−オレフィン(類)、そして、場合により、0.5〜3%のエチレンを含有する、プロピレンとC−Cα−オレフィン(類)(好ましくは、ブテン)とからなるコポリマーを40%〜85%、好ましくは、40%〜80%、より好ましくは、50%〜80%;
を含む組成物(ただし、プロピレンポリマー組成物中のC−Cα−オレフィン(類)の総含量が10%を超える)。
【0018】
前記組成物およびその製造法は、WO03/031514号公報に開示されている。前記コポリマー中のまたはプロピレンの好適なコモノマーはエチレンおよびブテン−1である。
【0019】
成分(A)および(AII)を含む前記プロピレンポリマー組成物中のC−Cα−オレフィン(類)の総含量は、好ましくは、13%以上であり、より好ましくは、14.5%を超え、20〜50%までである。
【0020】
好ましくは、コポリマー(A)は、実質的に、エチレンを含まない。
プロピレンコポリマー類またはプロピレンコポリマー組成物(A)の好適なMFR値は、230℃、2.16kg荷重で測定して、2〜15g/分、より好ましくは、2.5〜10g/10分の範囲である。該MFR値は、重合反応で直接得ることができ、または、より低いMFR値の前駆体ポリマー若しくはポリマー組成物を分解させることにより得ることができる。
【0021】
前記プロピレンコポリマー総てが、重合プロセスにおいてチグラー・ナッタ触媒またはメタロセン系触媒系を使用することにより製造できる。これらの触媒および重合プロセスは当業界で公知である。
【0022】
連鎖移動剤(例:水素やZnEt)のような当業界で公知の慣用分子量調整剤を使用することができる。
チグラー・ナッタ触媒の好適例は、トリアルキルアルミニウム化合物、場合により電子供与体、および固体触媒成分を含む担持触媒系であり、前記固体触媒成分はTiのハロゲン化物もしくはハロゲン−アルコラートおよび場合により電子供与体化合物を含み、無水塩化マグネシウムに担持されている。上述特性を有する触媒および該触媒を使用する重合プロセスは、特許文献で周知であり;米国特許第4,399,054号明細書および欧州特許出願公開EP−A−45977号公報に記載されている触媒や重合プロセスが特に好適である。その他の例は米国特許第4,472,524号明細書中に見出すことができる。
【0023】
メタロセン系触媒系の好適例は、米国特許出願2006/0020096号公報およぼWO98/040419号公報に開示されている。
一般に、重合条件は、チグラー・ナッタ触媒で使用した条件と異なる必要はない。
【0024】
こうして得られたプロピレンコポリマーは、上記組成物を得るために、慣用装置および技術を用いて、溶融状態でブレンドできる。あるいは、少なくとも2段階の逐次重合工程を行うことにより、前記組成物を重合において直接得ることができ、ここで、コポリマー成分を、別の後続工程で、前工程で形成したポリマーおよび使用した触媒の存在下で各工程を操作して製造する。
【0025】
分解処理は、使用するとき、オレフィンポリマーの分子量を減少させるのに有効な、当業界で公知のいずれかの手段よりおよび条件下で行うことができる。特に、オレフィンポリマーの分子量を、熱の適用(熱分解)により、好ましくは、電離線や化学開始剤のようなフリーラジカル開始剤の存在下で減少させることができることが知られている。
【0026】
化学開始剤のうち特に好適なものは有機過酸化物であり、その特定例は、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキサンおよびジクミル−ペロキシドである。化学開始剤を用いる分解処理は、特に、一軸もしくは二軸スクリュー押出機のような、溶融状態でポリマーを処理するのに一般的に使用される慣用装置で行うことができる。例えば、窒素条件のような不活性雰囲気下で操作するのが好適である。
【0027】
オレフィン組成物に添加する化学開始剤の量は、開始時のMFR値および所望の最終MFR値に基づいて、当業者により容易に決定できる。通常、100〜700ppmの範囲に入るような量である。分解温度は、180〜300℃が好ましい。
【0028】
本明細書中で使用する「ブテン−1(コ)ポリマー」という用語は、エラストマー挙動からプラストマー挙動(そして、一般に「プラストマーとも呼ばれる)を示す、ブテン−1ホモポリマー類、コポリマー類およびその組成物を意味する。「ブテン−1(コ)ポリマー」成分(B)は低曲げ弾性率を示し、好ましくは、低結晶性(X線により測定して、40%未満、好ましくは、35%未満)も示す。
【0029】
好適なα−オレフィン類は(本発明の組成物の成分(B)中のコモノマーとして存在するか存在できる)、エチレン、プロピレンおよび式HCH=CHR(式中、RはC3−6線状もしくは分岐状アルキル、例えば、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテンおよびオクテン−1等である)である。コモノマーとして特に好適なものはプロピレンおよびエチレンである。
【0030】
成分(B)は、好ましくは、ショアA硬度(ISO868)が90ポイント以下である。成分(B)は、好ましくは、下記に示すポリマー(B1)〜(B3)から選択される。すなわち、
(B1)は、ブテン−1ホモポリマーまたはブテン−1と少なくとも別のα−オレフィン、好ましくは、コモノマーとしてプロピレンとのコポリマーであり、アイソタクチックペンタド(mmmm%)が25〜55%であり、場合により、少なくとも次の特性
− 135℃においてテトラリン中で測定された固有粘度[η]が0.6〜3dL/g;
− 0℃におけるキシレン不溶性画分の量が3〜60重量%。
【0031】
(B2)は、ブテン−1/エチレンのコポリマーであって、アイソタクチックペンタドの割合(mmmm%)が96%以上であり、そしてエチレン単位の総含量が10〜25%モルの範囲(これは約5〜15重量%に相当する)である。
【0032】
ブテン−1/エチレンのポリマー(B2)は下記の成分からなる組成物であるのが有利である:
10%モル未満(好ましくは1〜9%モル)のエチレン誘導単位を有する第1コポリマー、および
10%モルよりも高い(例えば15〜40%モルの範囲の)エチレン誘導単位の含有量を有する第2コポリマー、
ただし、上記の範囲において、エチレン誘導単位の総含量は10〜25%モルである。高度に改質された成分(第2コポリマー)は典型的にエラストマー挙動を示し、そしてその結果、成分(B2)はヘテロ相組成物であることができる。
【0033】
(B3)は、GPCで測定して3未満の分子量分布(Mw/Mn)を有するブテン−1のポリマーであり、以下の性質のうちの少なくとも一つを有する:
− 後述するDSC法にしたがって測定して、DSCにおいて検出可能な融点(TmII)が存在しない;
− エージング後に測定可能な融解エンタルピー(ΔHf)。特に、室温において10日間のエージングを行った後に測定した(B3)の融解エンタルピーは、それが存在する場合、25J/g未満、好ましくは4〜20J/gである。
【0034】
熱的特性の定義
熱的特性(融解温度とエンタルピー)は、パーキン・エルマーDSC−7装置での示差走査熱量測定(DSC)によって決定する。ブテン−1のホモポリマーとコポリマーの融解温度は、以下で詳述する方法に従って決定する。
TmI(結晶形Iの融解温度)は、TmII(結晶形IIの融解温度のピーク)の後に低温側から開始するDSCサーモグラムにおいて見いだされる第2ピーク温度である。TmIは、それが存在する場合、試料を室温で10日間貯蔵して結晶形IおよびIIを安定化させた後に測定する。ブテン−1系ポリマーを製造する場合、それらは通常、正方晶形IIにおけるそれらの溶液から結晶化し、次いでそれが、熱力学的に安定な三方晶形Iへ自然発生的に変換する、ということが実際に知られている(これについては、J.Appl.Phys.1964,35,3241およびMacromolecules 1998,31において報告されている)。
TmII(第2加熱試験において測定される):重合から得られ、秤量した試料(5〜10mg)をアルミニウムパン中に密封し、そして20℃/分に相当する走査速度で200℃に加熱する。試料を200℃に5分間保持し、結晶質の部分の全てを完全に融解させる。続いて、10℃/分に相当する走査速度で−20℃まで冷却した後、ピーク温度を結晶化温度(Tc)とする。−20℃に5分間置いた後、試料を10℃/分に相当する走査速度で200℃に二回目の加熱に付す。この二回目の加熱試験において、低温側から開始して見いだされる最初のピーク温度を融解温度(TmII)とみなし、そして(存在する場合)面積を結晶形IIの融解エンタルピー(ΔHfII)とみなし、それはまた、この測定条件における全体的な融解エンタルピーでもある。
【0035】
10日後の融解エンタルピー:重合から得られ、秤量した試料(5〜10mg)をアルミニウムパン中に密封し、そして20℃/分に相当する走査速度で200℃に加熱する。試料を200℃に5分間保持し、結晶質の部分の全てを完全に融解させる。次いで、試料を室温で10日間貯蔵する。10日後に試料はDSCに付し、それは−20℃まで冷却し、次いで、10℃/分に相当する走査速度で200℃に加熱する。この加熱試験において、低温側から開始して見いだされる最初のピーク温度を融解温度(Tm:実質的にTmIIに等しい)とし、そして面積を10日後の全体的な融解エンタルピー(ΔHf)とする。
【0036】
(二回目の加熱試験において)TmIIが検出されない(nd)場合、ΔHfを測定し、そしてそれは、室温(25℃)における貯蔵(10日間)を行った後の場合にだけ示される、低い結晶化度の特徴であると考えられる。
【0037】
ブテン−1(コ)ポリマー(B1)および(B2)は、(a)MgCl上に担持されたTi化合物と内部電子供与体化合物とを含む固体成分と、(b)アルキルアルミニウム化合物と、そして場合により(c)外部電子供与体化合物とを含む立体特異性の低いチーグラー・ナッタ触媒の存在下でのモノマーの重合によって調製することができる。(コ)ポリマー(B1)を調製するためのプロセスの好ましい態様においては、触媒の立体規則化能力を増大させないために、外部電子供与体化合物は用いられない。外部電子供与体が用いられる場合、それを使用する量と様相は、高度に立体規則性のポリマーを過剰な量で生成させないようなものであるべきであり、このことは、国際出願WO2006/042815号公報に記載されている。このようにして得られるブテン−1(コ)ポリマーは典型的に、アイソタクチックペンタド(mmmm%)を25〜55%の含有量で有している。ブテン−1(コ)ポリマー(B2)は、立体特異性のチーグラー・ナッタ触媒の存在下でのモノマーの重合によって調製することができて、このとき外部電子供与体化合物(c)は、国際出願WO2004/048424号公報に記載された方法に従う量で選択され、そして使用される。
【0038】
ブテン−1(コ)ポリマー(B1)および(B2)のための重合プロセスは、公知の技術に従って実施することができて、例えば、希釈剤として液体の不活性な炭化水素を用いるスラリー重合や、例えば液体のブテン−1を反応媒体として用いる溶液重合によって実施することができる。さらに、重合プロセスを、一つ以上の流動床反応器または機械的攪拌床反応器の中で操作される気相において実施することもできる。反応媒体としての液体のブテン−1の中で行われる重合は、非常に好ましい。重合は一般に、20〜120℃の温度、好ましくは40〜90℃の温度において行われる。重合は、分子量調整剤の濃度、コモノマーの濃度、外部電子供与体の濃度、温度、圧力などのような、同じかまたは異なる反応条件の下で運転することのできる一つ以上の反応器の中で実施することができる。
【0039】
ブテン−1ポリマー(B3)は、重合条件の下で、メタロセン触媒系の存在下でブテン−1とエチレンと(任意の)プロピレンを接触させることによって得られるブテン−1/エチレンのコポリマーまたはブテン−1/エチレン/プロピレンのコポリマーであることができ、前記のメタロセン触媒系は、立体硬直性の(stereorigid)メタロセン化合物と、アルモキサンまたはアルキルメタロセンカチオンを形成することのできる化合物と、(場合により)有機アルミニウム化合物とを接触させることによって得ることができる。そのようなブテン−1・メタロセンコポリマー(B3)、触媒、およびプロセスの例は、WO2004/099269号およびWO2009/000637号各公報において見いだすことができる。
【0040】
本発明のブテン−1ポリマー(B3)の製造のための重合プロセスは、不活性な炭化水素の溶媒の存在下の(あるいは存在しない状態の)液相中で(例えばスラリー中で)、あるいは気相中で実施することができる。炭化水素溶媒は、トルエンのような芳香族化合物、またはプロパン、ヘキサン、ヘプタン、イソブタンまたはシクロヘキサンのような脂肪族化合物のいずれかとすることができる。好ましくは、本発明のポリマー(B3)は溶液法によって、すなわち、液相中で実施されるプロセスによって得られ、この場合、ポリマーは反応媒体中に完全に、または部分的に可溶性である。
【0041】
一般に、重合温度は通常、−100℃と+200℃の間からなり、好ましくは40℃と90℃の間、より好ましくは50℃と80℃の間からなる。重合圧力は通常、0.5〜100バールである。重合温度が低いほど、得られるポリマーの最終的な分子量は高くなる。
【0042】
ブテン−1ポリマー(B3)は、次の成分からなる組成物であることも有利であることができる:
i)(B3)についての上述の特性を有する80重量%以上のブテン−1ポリマー;
ii)20重量%以下の結晶性プロピレンポリマー;
ただし、組成物(i)+(ii)におけるエチレンおよび/またはプロピレンの誘導単位の総含量は25重量%以下である。
【0043】
20重量%以下の前記結晶性プロピレンポリマー成分(ii)をインライン配合することによって、他の機械的性質を実質的に劣化させることなく、(i)の全体的な扱い易さを有利に向上させることができる。結晶性プロピレンポリマーは典型的に、230℃、2.16kgにおいて2〜10g/10分のメルトフローレート(MFR)の値を有し、DSC融解温度は130℃〜160℃である。
【0044】
本発明の組成物は、成分を溶融して混合することによって得ることができ、その混合は混合装置において通常180〜310℃、好ましくは190〜280℃、より好ましくは200〜250℃の温度で行われる。この目的のために、任意の公知の装置と技術を用いることができる。
【0045】
この点で有用な溶融物混合装置は、特に、押出機または混練機であり、そして特に好ましいのは二軸スクリュー押出機である。成分を混合装置中室温で予備混合することもできる。
【0046】
本発明の組成物は、当業界で慣用的に使用される添加剤、例えば、抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤、着色剤、充填剤等を含有させることもできる。
前述した特性により可能性のある様々な用途のうち、本発明の組成物は、フィルムやシートの製造に特に有用である。
【0047】
フィルムは、一般に、100μm未満の厚さによることを特徴とするが、シートは、一般に、100μm以上の厚さである。
フィルムおよびシートの双方とも単層または多層であることができる。多層フィルムまたはシートの場合、少なくとも一層は本発明の組成物を含む。本発明の組成物を含まない各層は、ポリプロピレンやポリエチレンのようなその他のオレフィンポリマーから構成できる。
【0048】
一般的に言って、本発明のフィルムおよびシートを、押出やカレンダーリングのような、公知の技術により、製造できる。本発明の組成物を含有する特定の例は、以降、シール開始温度(S.I.T)を決定するための試験で開示する。
【0049】
以下の実施例において詳細な事項が提示されるが、それらは例証のために提示されるのであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0050】
別記しない限り、下記の試験方法は、詳細な説明および実施例中で報告する特性を決定するために使用する。
ポリマーのエチレンおよびブテン−1含量
I.R.スペクトロスコピーにより決定。
溶融流量MFR
プロピレン(コ)ポリマーについて、230℃、2.16kg荷重、ブテン−1(コ)ポリマーについて、190℃、2.16kg荷重で、ISO 1133にしたがって測定。
固有粘度[η]
テトラリン中135℃で測定。
曲げ弾性率
ISO 178にしたがって、測定。
ブテン−1ポリマー:キシレン中での0℃における可溶性の決定(重量%での)
2.5gのポリマーを、250mlのキシレン中に135℃において攪拌しながら溶解する。20分後に、溶液を攪拌しながら0℃まで冷却し、次いで30分間静置する。沈殿物をろ紙を用いてろ過し、溶液を窒素流下で蒸発し、そして残留物を減圧下で140℃において恒量になるまで乾燥する。次いで、0℃においてキシレン中に溶解できるポリマーの重量パーセントを計算する。室温においてキシレン中に不溶性のポリマーの重量パーセントを、ポリマーのアイソタクチック指数とする。
プロピレンポリマー:キシレン中での室温における可溶性の測定(重量%での)
2.5gのポリマーを、250mlのキシレン中に135℃において攪拌しながら溶解する。20分後に、溶液を攪拌しながら25℃まで冷却し、次いで30分間静置する。沈殿物をろ紙を用いてろ過し、溶液を窒素流下で蒸発し、そして残留物を減圧下で80℃において恒量になるまで乾燥させる。次いで、室温においてキシレン中に溶解できるポリマーの重量パーセントを計算する。室温においてキシレン中に不溶性のポリマーの重量パーセントを、ポリマーのアイソタクチック指数とする。この値は実質的に、沸騰するn−ヘプタンを用いて抽出することによって決定されるアイソタクチック指数に相当し、これは、定義上、ポリプロピレンのアイソタクチック指数である。
融解温度と溶融エンタルピー
ISO11357、パート3に従って、20K/分の加熱速度を用いてDSCによって測定される。

【0051】
MWD、
【0052】
【数1】

【0053】
TSKカラムセット(タイプGMHXL−HT)を備えたウォータース(Waters)150−C ALC/GPC装置を用いて測定し、これは、135℃において溶剤として1,2−ジクロロベンゼン(ODCB)(0.1容量の2,6−ジ−t−ブチルp−クレゾール(BHT)で安定化されたもの)を用いて1ml/分の流量において操作する。試料は、140℃の温度において1時間連続して攪拌することによってODCB中に溶解させる。
【0054】
溶液は、0.45μmのテフロン(登録商標)膜を通してろ過する。ろ液(濃度0.08〜1.2g/l、注入量300μl)をGPCに付す。ポリスチレン(Polymer Laboratoriesにより提供される)の単分散画分が標準として用いる。ブテン−1ポリマーについての汎用較正が、PS(K=7.11×10−5dl/g;a=0.743)およびPB(K=1.18×10−4dl/g;a=0.725)についてのマーク−ホーウィンク定数の線形結合を用いることによって実施する。
X線結晶化度の測定
固定したスリットと収集スペクトルとともにCu−Kα1放射線を用いるX線回折粉末回折計を使用して、回折角2θ=5度と2θ=35度の間で6秒毎に0.1度の間隔で、X線結晶化度を測定する。
【0055】
およそ1.5〜2.5mmの厚さと2.5〜4.0cmの直径の円板状の圧縮成形した試験片について、測定を行う。圧縮成形プレスにおいて200℃±5℃の温度で、感知できるほどの圧力を加えずに10分間にわたって、次いで、約10Kg/cmの圧力を加えながらおよそ数秒間にわたって、そしてこの後者の操作を三回繰り返して、これらの試験片を得る。
【0056】
全てのスペクトルについて適当な直線のベースラインを定め、そしてスペクトルのプロフィールとベースラインとの間でカウント/秒・2θで示される総面積(Ta)を計算することによって結晶化度の程度を求めるのに必要な全ての要素を得るために、回折パターンが用いられる。
【0057】
次いで、全スペクトルに沿って適当な非晶質のプロフィールを定め、これは、二つの相のモデルに従って、非晶質の領域を結晶質の領域から分離するものである。従って、カウント/秒・2θで示される非晶質の領域(Aa)を、非晶質のプロフィールとベースラインとの間の面積として計算し、そしてカウント/秒・2θで示される結晶質の領域(Ca)を、Ca=Ta−Aaとして計算することができる。次いで、試料の結晶化度の程度が、式:%Cr=100×Ca/Taに従って計算する。
シール開始温度(S.I.T.)
次のようにして決定。
フィルム試験標本の製造
50μm厚さの数フィルムを、フィルム延伸速度7m/分および溶融温度210〜250℃で一軸スクリューCollin押出機(スクリューの長さ/直径比:25)中で各試験組成物を押し出すことにより調製する。得られた各フィルムを、アイソタクチック指数97およびMFR L 2g/10分を示すプロピレンホモポリマーからなる1000μm厚さフィルム上に重ね合わせる。重ね合わせたフィルムを、9000kg荷重下200℃でCarverプレスにおいて互いに接合し、5分間維持する。得られたラミネートを、TM Long フィルム延伸機を用い、150℃でファクター6により、縦方向および横方向に延伸、すなわち、二軸延伸し、こうして20μ厚さフィルム(18μmホモポリマー+2μm試験組成物)を得る。得られたフィルムから2×5cm試験標本を切断する。
S.I.T.の決定
各試験について、二枚の上記試験標本を直線状に重ね合わせ、隣接層が特定の試験組成物層である。重ね合わせた試験標本を、Brugger Feinmechanik Sealer、モデルHSG-ETK 745を用いて、5cm側の一方に沿って剥がす。0.1N/mmの圧力で、シール時間は5秒間である。各シールについて、試験組成物の溶融温度より約10℃低い温度から開始してシール温度を上昇させた。シールした試料を冷却し、次いで、シールしていない端部をインストロン機に取り付け、試料を50mm/分の牽引速度で試験する。少なくとも2ニュートンの荷重を前記試験条件で適用するとき、シールが破壊/開くことのない最小シール温度がS.I.Tである。
フィルムの曇り度
S.I.T.試験について記載したようにして調製した、試験組成物の50μm厚さのフィルムで決定した。フィルムの中心領域から50×50mm部分切断して測定を行う。試験に使用する装置は、G.E. 1209ランプおよびフィルターCを備えたHaze-meter UX-10を有するGardner光度計である。装置較正を、試料なしでの測定(0%曇り度)および光ビームを遮って測定(100%曇り度)で行った。
フィルムの光沢
曇り度と同じ試験標本で測定した。試験に使用した装置は、入射測定にモデル1020 Zehntner光度計である。較正を、96.2%の標準光沢を示す黒色ガラスについて入射角60°で測定および55.4%の標準光沢を示す黒色ガラスについて入射角45°で測定を行うことにより行う。
【0058】
(実施例1)
下記の物質を成分A)およびB)として使用する。
成分A)
WO03/031514号公報の例6にしたがって調製した、5g/10分のMFRを示すプロピレンコポリマー組成物であり、重量を基準に:
)12重量%のブテン−1を含有する、プロピレンとブテン−1とからなるコポリマー30%;
II)1重量%のエチレンおよび16重量%のブテン−1を含有する、プロピレンとエチレンおよびブテン−1とからなるコポリマー70%
を含む。5g/10分のMFRは、約1g/10分の出発MFRを示す、重合したばかりの組成物の過酸化物を用いる熱処理により得る。
成分B
4重量%のプロピレンを含有するブテン−1/プロピレンコポリマーであり、下記の特性:
− 曲げ弾性率45.9MPa;
− MFR38g/10分;
− アイソタクチックペンタド率(mmmm%)約50%;
− 135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]0.87dL/g;
− 0℃のキシレン不溶性画分の量43wt%;
− ショアA硬度87.5
を示す。
【0059】
このポリマーは、WO2006/042815号公報に記載された通りの触媒および重合プロセスを使用し、次いで、有機過酸化物を用いて熱処理により調製して、約0.5g/10分の重合したばかりのMFR値から38g/10分の前記最終値に増加させる。
【0060】
溶融ブレンドによる最終組成物の製造
組成物(A)および(B)を、表1に示した量で溶融ブレンドし、試験する。フィルム試験標本は実質的にゲルがない。試験結果を同様に表1に示す。溶融ブレンドは、二軸スクリュー押出機(回転速度250rpmおよび溶融温度200〜250℃)中窒素雰囲気下で行う。
【0061】
比較例1
比較目的のため、純粋状態の組成物(A)の特性を表1に示す。
【0062】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン組成物であって、(総ての%は重量基準で)
A) プロピレンと、エチレン、C−Cα−オレフィンおよびその組み合わせから選択される1種以上のコモノマーとからなり、(A)中のコモノマーまたはコモノマー類の含量が5〜25%、好ましくは、7〜20%である1種以上のコポリマーを70〜95%と;
B)− ブテン−1誘導単位の含量が75重量%以上、好ましくは、80重量%以上、より好ましくは、84重量%以上、さらにより好ましくは、90重量%以上;
− 曲げ弾性率が60MPa以下、好ましくは、40MPa以下、より好ましくは、30MPa以下
を示す、ブテン−1(コ)ポリマーを5〜30%と
を含む、前記ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
2g/10分以上のMFRを示す、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項3】
成分A)が、(総ての%は重量基準で)
)(A1)1〜7%のエチレンを含有する、プロピレン/エチレンコポリマー類;(A2)2〜14%未満のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンと1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類;(A3)0.5〜4.5%のエチレンおよび2〜6%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンとエチレンおよび1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類(ただし、(A3)中のエチレンおよびC−Cα−オレフィン類の総含量が6.5%以下である)からなる群から選択される1種以上のプロピレンコポリマーを15〜80%、好ましくは、20〜60%、より好ましくは、20〜50%;
II)(AII1)14%〜30%、好ましくは、14.5%〜25%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンと1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類;(AII2)0.5〜5%のエチレンおよび9〜30%のC−Cα−オレフィン類を含有する、プロピレンとエチレンおよび1種以上のC−Cα−オレフィン類とのコポリマー類からなる群から選択される1種以上のプロピレンコポリマーを20〜85%、好ましくは、40〜80%、より好ましくは50〜80%;
を含む、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項4】
成分A)が、(総ての%は重量基準で)
)10%を超え、好ましくは、11%以上であるが、14%未満、より好ましくは、13%〜13.5%までのC−Cα−オレフィン(類)を含有する、プロピレンとC−Cα−オレフィン(類)(好ましくは、ブテン)とからなるコポリマーを15%〜60%、好ましくは、20%〜60%、より好ましくは、20%〜50%;
II)14%〜30%、好ましくは、14.5%〜25%、より好ましくは、14.5%〜22%のC−Cα−オレフィン(類)、そして、場合により、0.5〜3%のエチレンを含有する、プロピレンとC−Cα−オレフィン(類)(好ましくは、ブテン)とからなるコポリマーを40%〜85%、好ましくは、40%〜80%、より好ましくは、50%〜80%;
を含む組成物であり、ただし、プロピレンポリマー組成物中のC−Cα−オレフィン(類)の総含量が10%を超える、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項5】
前記成分A)のMFR値が、2.5〜10g/分である、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項6】
成分(B)が、
B1)ブテン−1ホモポリマーまたはブテン−1と少なくとも別のα−オレフィン、好ましくは、コモノマーとしてプロピレンとのコポリマーであり、アイソタクチックペンタド(mmmm%)が25〜55%である;
B2)ブテン−1/エチレンのコポリマーであって、アイソタクチックペンタドの割合(mmmm%)が96%以上であり、そしてエチレン単位の総含量が10〜25%モルである;
B3)GPCで測定して3未満の分子量分布(Mw/Mn)を有するブテン−1のポリマーであり、以下の性質のうちの少なくとも一つを有する:
− DSCにおいて検出可能な融点(TmII)が存在しない;
− エージング後に測定可能な融解エンタルピー(ΔHf)である;
から選択される、請求項1に記載のポリオレフィン組成物。
【請求項7】
少なくとも一層が請求項1に記載のポリオレフィン組成物を含む、一層または多層フィルムまたはシート。

【公表番号】特表2013−511609(P2013−511609A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540363(P2012−540363)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067720
【国際公開番号】WO2011/064131
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(506126071)バーゼル・ポリオレフィン・イタリア・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ (138)
【Fターム(参考)】