説明

改良型高架鉄道輸送システム

外部支持構造体によって地上に担持される高架型空気圧式パワー・チューブに沿って車両を推進させるためのシステム。第1および第2の山形材は車両用のトラックを画定し、パワー・チューブに並行して延在する。山形材トラックの脚部に対して傾斜した軸を中心に回転自在な車両の支持および誘導車輪を含む車両に固定された車台は、車両の重量がトラックおよび支持構造体のみによって支持されるように、山形材トラックの脚部に係合する外周を有する。空気圧式推進ユニットは、パワー・チューブ内部に移動可能なように配置され、パワー・チューブ内部のレールに沿って誘導される。第1および第2の協働する磁気素子を有する磁気結合器は、相互に動作可能なように位置合わせされた状態で車両および推進ユニットに取り付けられる。磁気素子間に位置するパワー・チューブの一部は、非磁気および非導電性材料によって構築され、パワー・チューブの長さにわたって延在する。推進ユニットは、パワー・チューブ内に同心に配置された複数の重なり合う角度をなして傾斜したブレードによって形成される折りたたみ可能なfrusto円錐形の壁を形成する、推力バルブを備えた推力キャリッジを有する。アクチュエータは、壁を越えてチューブを介して空気が流れるのを防ぐためにその自由端がパワー・チューブの内部表面に接触するまでブレードの角度を選択的に増加させるため、およびその自由端とパワー・チューブの内部表面との間隔を空けるようにブレードを引き込むために、ブレードに結合され、バルブは、バルブ・ブレードの自由端が内部表面と係合した場合はパワー・チューブの長手方向に作用する力を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、優先権を主張する、2003年6月5日出願の米国仮特許出願第60/476,486号の継続出願である。
【背景技術】
【0002】
高速大量陸上輸送システムは、特に、深刻な交通渋滞や公害の問題を経験している大都市圏では、自動車の利用などの非大量輸送手段に勝る多くの特典を与える。大量陸上輸送は、短距離ならびに長距離の飛行機旅行に代わる望ましいものである。信頼できる安全な高速輸送システムの必要性が広く認められてきたが、高速輸送システムの利用は、建設および運転コストが高いこと、ならびに効率的かつ多用途の軽便鉄道システムの開発における技術的な問題によって妨げられてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の手法では、非大量輸送および飛行機旅行の代替手段の実現可能な代用となる十分に多用途、効率的、およびコスト・パフォーマンスの高い軽便鉄道輸送システムを製造していない。例えば、いわゆる軽便鉄道システムの中には、重い車台または大電力(power)システム、高い牽引力要件、高い搭載燃料要件などの使用により、むしろ重い輸送モジュールを有するものがある。牽引駆動装置に依拠するシステムは、急勾配が障害となる傾向にある。さらに、厳しい天候条件および汚染などの外部要素が、軽便鉄道システムの運転および保守にかなりの問題を引き起こす可能性がある。加えて、車輪を採用している牽引駆動機構は、多くの騒音ならびに磨耗を生じる傾向にある。
【0004】
参照により本明細書に組み込むものとする本発明者の米国特許第6,360,670 B1号(特許文献1)は、移動のための牽引に依存しないガイドウェイ・システムを使用する効率的かつコスト・パフォーマンスの高い軽便鉄道輸送システムにおいて、これらの問題および欠点の一部を克服する。当該特許で開示された特定の実施形態では、ポッド・アセンブリがガイド・チューブ内に配置され、好ましくは、その外部が、車両がチューブに沿って移動する際にこれを支持および誘導する。ポッド・アセンブリの上流領域と下流領域の間にチューブ内部の圧力差を与えることによって動きが生成される。この圧力差は、下流領域に真空を発生させるかまたは上流領域に圧力を発生させる、あるいはその両方を発生させる固定パワー・システムによって生成することができる。ポッド・アセンブリの速度は、ポッドを通る、すなわちポッドの上流側から下流側への気体流量を調節することによって制御される。ポッド・アセンブリの速度は、ポッド・アセンブリを通る気体流量を減らし、それによってこれにかかる推力を増すことによって上がり、推力を減らすためにポッド・アセンブリを通ってより大量の気体が流れるようにすることによって下がる。
【0005】
ポッド・アセンブリを移動させるために必要な推力は固定パワー・システムによって生成されるため、車両は重い搭載エンジンまたはドライブ・トレインを必要としない。ポッド・アセンブリおよびガイド・チューブは比較的重量が軽く、軽便鉄道システムでの使用に適している。ガイド・チューブは、システム全体の重量が軽いために高架化が可能であり、敷設権料を安くすることができる。高架化される場合、勾配緩和(grading)コストおよび要件が大幅に減少する。
【0006】
この初期の特許では、磁気結合装置を使用して、ガイド・チューブ内部のポッド・アセンブリとガイド・チューブ外部の輸送モジュールとを結合する。磁気結合装置を使用することによって、そうでなければガイド・チューブ壁内の長手方向の開口部を通さなければならない支材を用いて、ポッド・アセンブリと輸送モジュールとを機械的に接続する必要がなくなる。これにより、ガイド・チューブ内部を閉じたシステムとすることが可能であり、支材がガイド・チューブの長手方向の開口部を通って移動する際にガイド・チューブ内で所望の圧力差を維持するための密封アセンブリの必要がなくなり、それによって、システムの機械的完全性および圧力完全性が向上する。さらに、機械的結合デバイスの代わりに磁気結合装置を使用することにより、ガイド・チューブおよび結合装置外部の清掃、または氷および雪の除去などのそれらの領域からの堆積物の排除が容易になる。磁気結合は、いかなる機械的な連動または解放(disengagement)もなしに、ポッド・アセンブリおよび輸送モジュールを解放することもできる。輸送モジュールはガイド・チューブの外部表面によって支持されるため、輸送モジュールの重量はポッド・アセンブリによって担持されない。
【0007】
特許文献1、ならびに同じく参照により本明細書に組み込むものとする関連する米国特許第6,279,485号(特許文献2)および米国特許第6,267,058号(特許文献3)で開示された輸送システムは、高架鉄道輸送技術に重要な進歩を与えているが、実際のテストおよび理論的評価により、これらの初期の米国特許の主題であるシステムのいくつかの構成要素に、例えば、過度の磨耗または摩擦、保守の問題などのある種の欠点があることがわかっている。本発明はこれらの欠点の克服を追求し、以下で論じる改良点を提供する。
【特許文献1】米国特許第6,360,670 B1号
【特許文献2】米国特許第6,279,485号
【特許文献3】米国特許第6,267,058号
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、時にはオッター(otter)アセンブリとも呼ばれるメイン推力または推進ユニットに内部レールを提供することによって、高架型のチューブ誘導部(guidance)およびパワー・トラックを改良する。好ましくは、内部レールは、ユニットの溝付車輪によって係合されたパワー・チューブの水平中心線とほぼ一直線に配列され、それによってパワー・チューブ底部の障害物がなくなるようにした丸い金属、例えば鋼鉄の棒である。これにより、必要に応じて、その底部に蓄積する可能性のある水、潤滑油、および/または堆積物のような物質の周期的除去を含むパワー・チューブ内部の清掃が容易となる。さらに、チューブ外部から内部への必要とされる真空および/または圧力の接続、絶縁バルブの取り付けおよび保守なども容易となる。さらに、チューブ内部の車輪上に推力ユニットを取り付けることにより、前述の特許に記載されたシステムで採用されたチューブ状の推力ポッドと遭遇した場合の磨耗が、解消されないまでも大幅に削減される。加えて、内部レールがパワー・チューブを強化しさらに剛体化するため、チューブをより軽量化することが可能であり、それによってコストが削減される。
【0009】
外部では、パワー・チューブが、誘導部を担持し、パワー・チューブ用の地上支持構造体に直接取り付けられた鋼鉄製または同様の高強度材料製の従来の90°金属製山形材(metal angle)の形の客車または貨車などの輸送モジュール用のトラックを支持する。その結果、パワー・チューブは輸送モジュールの重量を担持する必要がない。さらに、以下でより詳細に説明するように、直角のトラックはモジュールがパワー・チューブに沿って移動する際にこれを誘導するのを簡単にする。
【0010】
本発明の他の態様は、推進ユニットの構成および機能に関する。この態様は、パワー・チューブの水平方向の中央部に配置され、誘導および重量支持のためにパワー・チューブの内部レールに係合し、これに沿って走行する水平なV型溝付車輪を含む全体的に水平に方向付けられた推力キャリッジを採用する。好ましい実施形態では、この推力キャリッジは、内部レールのうちの1つと係合する2つの車輪と、2つの車輪の中間に配置され、パワー・チューブの他方の内部レールとの係合にスプリング・バイアスされた1つの車輪とを有する。この配置構成は好ましいが、必要に応じて、2つのスプリング・バイアスされた車輪を提供することも可能である。その扇形の構成から「ターキー・バルブ」と呼ばれることもある傘状の形に配置構成された多数の推力ブレードによって画定された、一般に扇形の推力バルブが、推進ユニットのキャリッジに取り付けられ、そこからユニットの移動方向に延在する。こうした扇形の推力バルブは一方向で他方向よりもかなり効果的であるため、以下でさらに詳細に説明するように、好ましくは、内部キャリッジはこうしたバルブを2つ有し、どちらの方向でも推進ユニットに全推力を提供するためにキャリッジからそれぞれの移動方向に延在する。
【0011】
加えて、キャリッジは、輸送モジュールによって搬送される対応する磁気結合器と連動するための磁気結合器を搭載する。キャリッジ・アセンブリの溝付車輪によって係合された内部レールがキャリッジに対してかなり正確な誘導を提供することから、停止ならびに移動中にこれをチューブに対して所望の位置に維持するため、磁気結合器の活動中の構成要素とパワー・チューブとの間のスタンドオフまたは間隔を最小限にすることができる。これが磁気結合器の効果を拡大することにもなる。
【0012】
前述のターキー・バルブの構成は、本発明の他の態様である。これは、複数の扇形で先細の細長い羽または推力ブレードを有し、その小さい端部が、推進ユニットのキャリッジに接続されたバルブの剛性のカップ形ボディに取り付けられるため、ブレードの自由端はカップの開口端を通って延在する。油圧、空気、磁気、または機械式(例えば、ギア)アクチュエータなどの適当なリニア・アクチュエータは、推力ブレードをカップ形ボディから外に引き伸ばすか、またはそれらをカップ形ボディ内に引き込む。この様式では、ブレードの自由端はパワー・チューブの内部表面内へと放射状に延在するか、またはこれと接触しないことができる。延在し、パワー・チューブ壁と係合している場合、延在するブレードはパワー・チューブの全直径を横切って(凹形および凸形の壁面を画定する)傘形の壁を形成する。その結果、この壁の凹形側上の空気圧が凸形側よりも大きい場合、推力キャリッジおよび磁気結合器を介してパワー・チューブの外側上にある輸送車両に伝送される推力が生成される。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、推力ブレードは可撓性のある弾力的な金属製、例えばワイヤのフレームで作られ、これにプラスチック製、例えばネオプレンのシートが印加される。ブレードがバルブ・ボディから外側に延在している場合、ブレードの自由端はパワー・チューブの内部と接触するようになり、一方、ブレードはまとめてバルブの推力方向に全体的に凹形のfrusto円錐表面を形成する。こうしたブレードは、最大のパワーおよび/または速度で順方向に車両を移動させるのに十分な力を生成する、約30psiおよびそれ以上までの圧力差で動作可能である。パワー・チューブの直径および/または推力バルブの一方の側に印加される空気圧を増加または減少させることにより、予期される動作条件に対して到達可能な全体のパワーおよび/または速度を調整することができる。パワーおよび速度は、バルブ用のリニア・アクティベータを励磁し、パワー・チューブ内部に接触しているブレードをわずかに引き込むことによって調節し、パワー・チューブと推力ブレードの自由(および部分的に伸長された)端との間に結果として生じる環状ギャップに空気を通してバルブを迂回させることにより、および/または、パワー・チューブ内部に印加される空気圧を変更することにより、パワーおよび/または速度を低下させることができる。
【0014】
ターキー・バルブの推力ブレードがいかなる重量も担持する必要がないため、およびそれらが内部トラックに沿って動くキャリッジによってパワー・チューブを通って誘導されるため、推力ブレードとパワー・チューブとの間の摩擦の少ない密封が形成され、車両がチューブに沿って移動する際に維持される。これにより、推力ブレードおよびパワー・チューブの両方の磨耗が減少する。加えて、バルブのパワー側と下流側との間の圧力差に起因するパワー伝送の効率を最大限にするために所望の密封を維持しながら、個々の推力ブレードの提供により、ブレードが、推力チューブの寸法の不規則さに適合しこれに従うことが容易となる。個々のブレードの弾力的な可撓性により、バルブ・ブレードとチューブとの間の所望の密封を維持しながら、パワー・チューブの長さにわたってそれら自体をわずかな寸法および/または形状の変化に適合させることができる。
【0015】
本発明のさらに他の態様は、輸送車両の支持部および誘導部に関する。過去に示唆されたようなパワー・チューブ外部での支持および誘導に代わって、従来の90°の金属製、例えば鋼鉄製の山形材で形成された間隔が空けられた並行する2つのトラックが、パワー・チューブ用の地上支持部に取り付けられ、これによって担持される。その結果、パワー・チューブが輸送モジュールの重量を担持する必要がなく、推進ユニットによる推力生成に悪影響を及ぼす可能性のある車両下でのパワー・チューブのたわみを防ぐ。
【0016】
好ましくは、山形材トラックの垂直脚部の上端は、車両の車輪と接触するトラックの側面に向かって延在するキーパー・レールを有する。これは、傾斜車輪を従来型のリム付き(例えば、鉄道用)車輪と遭遇した際に、摩擦を生成することなくトラック内に保持する保持装置として働く。
【0017】
車両の車輪は、好ましい45°の角度で傾斜する。この様式では、車輪は山形材トラックの側面に対して対称である。結果として、車輪は円滑に動くことが可能であり、従来型のレールに必要なリムは不要である。これにより、車輪の様々な部分とトラックとの間で速度が異なることがなくなり、それにより磨耗ならびに動作騒音が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
初めに図1Aを参照すると、本発明に従って構築された軽便鉄道輸送システムには、以下でより詳細に説明するように地上で好適に支持される細長いパワー・チューブ2が含まれる。その側面のチューブ頂部近くには、間隔を空けて並行する一対の山形材トラック4があり、本発明の好ましい実施形態ではその挟角(included angle)部はパワー・チューブに対して外側を向いており、このパワー・チューブは、例えば前方および後方に間隔が空けられた車台6、8上に載せられた車輪(図1Aでは別々に図示せず)を受け入れ、支持し、誘導し、この車台は図示された客車または貨車(図示せず)などの輸送車両10を支持、搬送、および誘導する。
【0019】
パワー・チューブ内部および好ましくはチューブの水平軸と一直線上に、その長さ方向に延在する、パワー・チューブに取り付けられた細長い丸棒の形の相反する内部レール12がある。第1および第2の推進ユニット15、17がパワー・チューブ内部に配置される。車輪38および40(図1Aには図示せず)は内部レールを係合し、パワー・チューブの中心付近に浮遊した位置でキャリッジを支持し、車輪がチューブに沿って移動する際にそれらを誘導する。
【0020】
推力バルブ18が、各キャリッジに取り付けられ、それぞれパワー・キャリッジ14、16から移動方向に対して前方および後方に突出する。推力バルブは、その伸長位置にある場合(図1Aでは左側の推進ユニット)、パワー・チューブの内部全体を横切るバルブ壁30を形成する。壁30の凹形内面(関連するパワー・キャリッジに面する)と凸形外面(パワー・キャリッジとは反対の移動方向に面する)との間の正の圧力差によって、推力、すなわち前方向にパワー・キャリッジを推進させる力が与えられる。この段階では、バルブ18がキャリッジの前方への動きを阻止しないように、後方のパワー・キャリッジ16に取り付けられた第2の推力バルブ20は引き込まれている。
【0021】
乗客を搬送するキャビンとして図示された車両10は、それぞれのキャリッジによって搬送される内部磁気素子24と、キャビン用の対応する車台6、8に固定され内部磁気素子と位置合わせされた外部磁気素子26とによって画定される磁気結合器22によって、前方向および後方向の推力キャリッジ14、16に偶力結合(force−coupled)される。磁気結合器に好適に電力が印加され、その結果、磁気素子間で生成された磁力がパワー・キャリッジをキャビンの車台に偶力結合する。このため、非磁気ウィンドウ・ストリップ28はパワー・チューブの一部であり、この長さ方向に延在してチューブの頂部を画定する。
【0022】
使用中、キャビン10および推力キャリッジ14、16は位置合わせされ、磁気結合器22はキャリッジおよびキャビンを互いに磁気的にロックするために励磁され、それによってパワー・チューブの水平および傾斜部分に沿って移動可能な単一の輸送モジュールが形成される。前方(図1Aでは左方向)への動きを開始するために、推力バルブの個々のブレード86(以下で詳細に説明)を広げることによって前方推力バルブ18が開かれ、その結果、ブレードは自由な外側縁部がパワー・チューブの内部壁と係合するまで外側に張り出す。その後、ソース32からパワー・チューブ内部に印加された空気圧が、開かれた前方推力バルブの壁30の後方に面した表面に作用する。結果として生じるバルブの上流側と下流側の間の圧力差が、輸送モジュールを前方向に推進させる力を生成する。チューブの内部に印加される圧力を上げることによって、パワー・バルブによって生成される力を増加させ、それによって、パワー・モジュールがパワー・チューブに沿って移動する際の速度を上昇させること、および/またはパワー・チューブの上方に傾斜した部分にそって移動可能にすることができる。
【0023】
推力バルブによって生成される力は、パワー・バルブ前方のチューブ内部に真空を印加することによって強化することができる。このような場合、バルブがパワー・チューブに沿って移動するに従って圧力源および真空源を逐次活動化および非活動化させるために、適切な遠隔制御された切り替えが提供される。さらに速度は、これによって空気の一部にパワー・バルブを迂回させ、バルブによって生成される前方に作用する力を減少させることが可能なパワー・バルブの壁30をわずかに引っ込ませることによっても調整可能である。
【0024】
輸送モジュールの動きは、後方推力バルブ20を伸長すること、およびそれに応じて前方推力バルブ18を引き込むことによって、逆にすることができる。また、後方推力バルブの活動化を使用して、圧力源および真空源の効果的な位置ならびにそれらのパワー・チューブへの接続を逆にすることを含み、モジュールの速度を下げるためおよび/または前方向に移動する場合に停止させるために、即時制動を支援することもできる。
【0025】
図1、図2、図5A、および図5Bを参照すると、推進ユニット15、17のパワー・キャリッジ14、16はそれぞれ、例えば、ボルトで止められるなどまとめて好適に固定され、パワー・チューブの水平中心で水平の幅の大部分にわたるが、パワー・チューブの壁からは依然として間隔が空くように寸法設定された、間隔が空けられた一対の平板36によって形成される。間隔が空けられ水平に方向付けられた一対のV溝付車輪38が、平板36の間で一方の側面上を回転自在に移動する。第3の水平V溝付車輪40が、キャリッジ板36の車輪38とは反対側のレバー42上に回転自在に取り付けられ、その一方の端はピボット・ピン44を中心に旋回可能であり、他方の端はパワー・チューブの内壁に向かって好ましくはスプリング46によって外方向にバイアスされるが、必要に応じて、空気圧または磁気によって駆動する加圧デバイスなどの他のバイアス・デバイスも使用可能である。
【0026】
パワー・キャリッジは、初めにV溝付車輪40を引っ込ませるようにスプリング46を圧縮することによって、パワー・チューブ内部に取り付けられる。車輪38、40は、パワー・チューブの内部レール12と水平に位置合わせされる。次に、スプリング46が解放され、3つの車輪すべてが内部壁12と係合するまで、ピボット・レバー42上に載せられた車輪40にパワー・チューブの壁に向かって外側にバイアスをかける。車輪は、いったん取り付けられるとキャリッジを内部レール上で支持し、キャリッジは内部レールに沿って自由に移動することができる。第3の車輪40は内部レールに対してスプリング・バイアスされているため、スプリング46およびレバー42が車輪をレールに対して外側に弾力的に押すことで、内部レール間の間隔におけるわずかな寸法の変動または変化が容易に対処される。
【0027】
図1および図2で最もよくわかるように、パワー・チューブ2は、例えば、基礎を地面に組み込む従来の方法で地面に固定された、断続的に間隔が空けられ上方に開いた一般にU字型のフレーム50の形の支持構造体48によって、地上を搬送される。このフレームは、パワー・チューブ頂部の手前、すなわち頂部より下であり、かつ、パワー・チューブの水平中心線までまたはこれよりわずかに上まで延在し、パワー・チューブ2の外周の一部を固定および支持する、隔壁に似た架台51より上で終わる、垂直材52を有する。
【0028】
内部レール12は、例えば溶接によってチューブ内部に直接取り付けることが可能である。しかしながら好ましい実施形態では、内部レールは、垂直材からブッシングまたはスペーサ56を越えてパワー・チューブの穴を通って延在するボルト45によって、支持フレームの垂直材52に直接固定されるため、ボルトは内部レールのねじ山が切られたボア58に直接ねじ込むことができる。内部レールの取り付けを容易にし、その安定性を強化するために、パワー・チューブの内部壁と向き合うレールの側面は、図2に示されたような形でチューブ壁の湾曲と一致するように平坦化または輪郭化される。チューブの密封ワッシャ内の穴からの空気漏れを防ぐために、封止用コンパウンドなどが穴に好適に印加される。
【0029】
したがって好ましい実施形態では、内部レール12はフレーム垂直材52に確実に固定され、推力キャリッジ14、16がチューブの長さにわたって移動する際にこれらの溝付車輪38、40を支持および誘導する、剛性内部レールを提供する。
【0030】
図1A、図4A、図4B、および図5A、図5Bを参照すると、推力バルブ18、20はそれぞれ推力キャリッジ14、16に取り付けられる。そのため、取り付け溝60がキャリッジの下部板36の下側に好適に固定され、キャリッジ14の前方に(またはキャリッジ16の後方に)突出する。油圧アクチュエータ62がキャリッジに固定され、例えば取り付け溝にボルトで固定される。アクチュエータのピストン・ロッド64は前方に延在し、テーパー端部72で終わる壁を有する円筒カップ70の底板68にある穴を通って延在するねじ山付端部66を有する。カップ70は、ナット74でピストン・ロッド64に固定される。キャビン10から遠隔制御される油圧送りラインおよび戻りライン76、78がアクチュエータに油圧動作液を提供するため、ピストンを前方に伸長させる(図4A)か、または後方に引き込む(図4B)ことができる。油圧シリンダおよびカップ70はパワー・チューブの中心線80と同軸であるため、バルブはパワー・チューブの内部表面と均一に接触するように広げることができる。
【0031】
円形保持板82は油圧アクチュエータ62と同心であり、ボルト84はこれをアクチュエータに、または推力キャリッジ14の任意の他の使用可能な構成要素に、好適に固定する。保持板の周辺表面83は中心線80に対して傾斜し、前方向に収束する。複数の扇形ブレードまたは羽86が、好ましくはボルトで保持板の周辺表面に取り付けられるが、必要に応じて、リベットを使用してそれらを保持板に溶接するか、または例えば接着剤を含む他の適当な固定デバイスを使用することができる。
【0032】
図3および図3Aで最もよくわかるように、各ブレード86は弾力的に可撓性のある、例えば金属のワイヤまたはロッド・フレーム88によって画定され、これに、金属に対して比較的摩擦係数の低い、プラスチック、ネオプレン、または他の材料などの空気を通さない材料のシート90が、例えば接着、溶接、またはクランピングによって好適に固定される。ブレード・フレーム88ならびにブレード全体86は、狭い(前方)端部92から他方の自由(後方)端部94に向かって広がり、自由端部は前方端部よりもかなり幅広い。ブレードとパワー・チューブとの間の封止の形成を強化するために、ブレードの自由端部94を湾曲させ、チューブの湾曲と一致させることができる。
【0033】
非常に多くのブレード88が保持板82に固定されるため、ブレードは合わせて、推進ユニットの移動方向に向かった凸形の前面と、反対方向に向かった対応する凹形の後面とを有する弾力のある外側に広がるfrusto円錐壁30を画定する。
【0034】
油圧アクチュエータ62がその引き込まれた位置(図4B)にある場合、カップ70の円筒壁71は、ブレードを(パワー・チューブの中心線80に向かって)放射状に内側に弾力的に圧縮する。その結果、カップ70とその周囲のパワー・チューブ2との間にバイパス・チャネル97が形成され、これを通じて空気(または任意の他の流体媒体)が自由に通過可能であり、そのためバルブによってかなり大きな力を生成することはできない。
【0035】
油圧アクチュエータ62が伸長される場合(図4A)、カップ70は前方向(前方向の推力キャリッジ14に関して)に移動される。その結果ブレード86は、ブレード・フレーム88に弾力性があるため、ブレードの自由で幅広の端部94が傾斜角度で十分に放射状に外側に伸長し、パワー・チューブ2の内部と係合するまで、外側に自由に広がる。それによって、パワー・チューブの断面内部全体にわたって延在し、frusto円錐壁の前側と後ろ側とを分離するfrusto円錐および多少弾力性のある壁96が形成される。frusto円錐壁の前側と後ろ側との間に正の圧力差がある場合、壁に対して前方向(図4Aでは左方向)に力が働き、これが保持板82を介して推力キャリッジ14に伝達され、キャリッジ(およびこれに取り付けられたキャビン)を前方向に移動させるための所望の前方向推力を提供する。これによって生成される力の大きさ、および結果として生じるキャリッジが前方向に移動する速度は、frusto円錐壁の両側間の圧力差と、あるとすればパワー・チューブの傾斜との関数である。圧力差を調整し、必要に応じて力を増減することができる。
【0036】
図4Aで最もよくわかるように、円筒型カップ壁71の端部にあるテーパー端部72は、伸長されたバルブ・ブレードに対して支持を提供し、圧力差の下でそれらに屈曲または他の変形が生じるのを防ぐ。良好な支持を提供するために、カップ壁71の直径はパワー・チューブの直径の約3分の2である。
【0037】
個々のブレード86は、内側端部92から外側端部94へと外側に向かって広くなっており、伸長位置(図4A)にある場合、互いに重なり合ってそれらの間の隙間から空気が逃げるのを防ぐような形状である。
【0038】
伸長位置にある場合に重なり合うブレード86からの空気漏れをさらに防ぐために、ネオプレンまたは他の可撓性プラスチックなどの可撓性のある材料で作られたfrusto円錐スカート100は、例えば重なり合うブレードの少なくとも一部に取り付けることによって、図3Aに示されるようにブレードの凹形内部に適切にはめ込んで取り付けることができる。ブレードがその引き込み位置にある場合、スカートは図3Aに示されるように折りたたまれる。これに対して、ブレードが完全に伸長された場合、スカートはこうしたブレードの伸長を可能にするだけの十分な材料を有する。同時にスカートは、重なり合うブレード間の空気漏れをより確実に防ぐために追加の封止を提供する。
【0039】
使用時に、パワー・キャリッジを前方向(図4Aでは左方向)に移動させたい場合、ブレード86の自由端94がパワー・チューブ2の内部壁に封止するように接触するまで、ピストン・ロッド64が伸びる。次に、ブレードによって形成されたfrusto円錐壁の後ろ側に空気圧が印加され、推力バルブと、それに取り付けられた推力キャリッジ14と、キャリッジに結合されたキャビン10とを、前方向に推進させる力を生成する。パワー・チューブは、規則正しい間隔でパワー・チューブ2の内部に結合され、frusto円錐バルブ壁96を横切って圧力差を維持するため、および推力キャリッジを前方向に移動させる力の生成を続行するために、推力バルブの伸長されたブレード86が吸気口を通過すると大気または圧縮空気をパワー・チューブ内部に印加するように好適に遠隔制御および調整される、バルブで適切に調節される吸気口(図1Aに示される吸気口98など)を有する。
【0040】
後方推力キャリッジ16に取り付けられた推力バルブ20は、前方キャリッジに取り付けられた推力バルブ18と同じ様式で構築されるが、前方キャリッジのバルブと反対向きに配向される。その結果、後方キャリッジならびにキャビンおよびそれに結合された前方キャリッジは、前方キャリッジのピストン・ロッドを引き込むこと、および後方キャリッジ上にあるアクチュエータのピストン・ロッドをそのブレードがパワー・チューブの内部と係合するまで伸長することによって、反対方向(図4Aでは右側)に移動することができる。
【0041】
本発明の推力バルブで達成される特定の利点は、ブレードの自由端94が弾力的で可撓性があるため、伸長されたブレードを通ってかなりの漏れが生じることなく、パワー・チューブの内部の表面および/または形状の不規則性に容易に一致させられることである。加えて、使用時には、望ましくない空気漏れがブレードを通過しないように良好な封止を維持しながら、チューブと伸長されたバルブ・ブレードとの間の磨耗および摩擦を減らすために、摩擦の少ない表面コーティング、潤滑油などをパワー・チューブの内部表面に印加することができる。
【0042】
前述のように、推力キャリッジ14、16は磁気結合器22によってキャビン6に結合される。パワー・キャリッジのV溝付車輪38、40によって係合された内部レール12が、磁気素子の頂部表面と非磁気ウィンドウ・ストリップの内側との間の間隔またはスタンドオフを小さく維持できるように、非常に正確で寸法の安定した誘導部を推力キャリッジに提供するため、推力キャリッジ14、16に取り付けられた結合器の磁気素子24を、パワー・チューブ2内の非磁気ウィンドウ・ストリップ28に物理的に近づけることができる。これによって、キャビン10の車台6、8によって搬送される磁気素子26への磁気結合の効果が強化される。
【0043】
図1、図7、および図8A、図8Bを参照すると、キャビン10は、例えば図8A、図8Bで最もよくわかる、アルミニウムまたはチタニウムなどの非磁気材料で構築された前方および後方車台6、8によって搬送され、この上を走行する。各車台は、複数のタイ・ロッド108で互いに連結された前方および後方の端板104、118によって画定されるフレーム102を有する。キャリッジの長手方向中心線と一直線となるのが、パワー・チューブ2内の非磁気ウィンドウ・ストリップ28の外周近くに隣接するように位置決めするために、キャビンの磁気素子26が配置される非金属材料で構築されるポケット110である。
【0044】
シャフト112(図8Bを参照)は、前方および後方のそれぞれの端板104、106の各側面端部から45°の角度で突き出し、キャビン搬送および誘導車輪114を回転自在に取り付ける。この車輪は水平より45°傾斜した軸を中心に回転し、その周囲は山形材トラック4の開放側に乗せられ、これと係合する。山形材トラックの垂直脚部に取り付け可能な、またはこれと一体型にすることが可能なキーパー・バー116は、車輪をトラック内で傾斜した位置に維持し、トラック内で持ち上がるのを防ぐ。言い換えれば、キーパー・バーは、車輪が山形材トラック上に常時適切に配置された状態を維持することを保証するものである。車輪はキャビンを支持および誘導するだけであり、パワー・チューブに沿ってキャビンを推進させるために必要でないため、摩擦を最小限にするように構築することができる。好ましい実施形態では、車輪周囲は、山形材トラックの各脚部の表面の一部と同時に係合するように丸くなっている。
【0045】
これにはいくつかの利点がある。通常の鉄道用の車輪とは異なり、フランジ付である必要はない。さらに、山形材トラックのそれぞれの脚部と接触する車輪の周辺部分間の相対速度は同じであり、回転以外の摩擦をすべて除去する。特にカーブを乗り越える場合に車輪によって生成される摩擦、磨耗、および騒音は、特に、従来のフランジ付の鉄道用車輪で生じる騒音、摩擦、および磨耗と比べて少ない。加えて車輪は、金属、プラスチック、および空気タイヤまでも含む、様々な材料で構築することができる。さらに車輪は、パワー・チューブのまっすぐな部分に沿って移動する場合、またはカーブを乗り越える場合に、等しく効果的である。最終的に、必要に応じて、車輪の代わりに、トラックと滑りながら係合する低摩擦のスライディング・シューズ(図示せず)上で車台を支持することもできる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、例えば端板106によって担持されている車輪114のセットのうちの1つを、適当なピボット接続120によって旋回するように取り付け板118(図8Aを参照)に取り付けることができる。結果として生じる関節接合(articulation)によって、個々のレールの平面的な変化(例えば、レールの勾配がつけられた部分に入った場合)、あるいはレール内の他の寸法および/または形状の不規則さが生じても、すべての車輪をトラックと接触させていることができる。
【0047】
車台6、8は、当分野でよく知られた方法でキャビン10に好適に接続されるため、本明細書ではこれ以上説明しない。言うまでもなく、車台とキャビンとの間は、カーブ、特に比較的半径の短い急なカーブを乗り越えるために、車台とキャビンとの間に何らかの相対的な旋回運動が可能なように接続される。
【0048】
次に、本発明の改良型高架鉄道システムの全体的な動作では、前方および後方の車台6、8を前述の方法でキャビン10の下側に取り付けることで、完全な輸送モジュールが組み立てられる。キャリッジを含むキャビンは、車輪がキャリッジを支持し、これが山形材トラックに沿って移動することができるように、山形材トラック4に車台車輪114を係合させることにより、持ち上げられて動作可能な位置に配置することができる。山形材トラックはパワー・チューブ用の支持構造体48によって担持されており、パワー・チューブそれ自体には負荷がかからないため、パワー・チューブはペイロードを担持する必要がなく、相対的に軽量構造とすることができる。さらにパワー・チューブは、キャビンがその上を通過しても、その重量によって変形することがない。その結果パワー・チューブは、必要に応じて、チューブ用に他の断面形状も選択可能であるが、通常は環状の円形である、その断面形状および寸法をおおむね保持する。
【0049】
次に、少なくとも2つのパワー・キャリッジ14、16が、丸い内部レール12を推力キャリッジ14、16のV溝付車輪38、40に係合させることにより、例えば、オープン・エンドの取り付けチューブ(図面には図示せず)を介して、パワー・チューブの内部に挿入される。推力キャリッジは、推力キャリッジ上のそれぞれの磁気素子24、26およびキャビンが相互に整列するように、パワー・チューブの外部上にあるキャビンと位置合わせされる。現在では、磁石の強度が高いことにより、重量およびスペースの両方を節約するために、磁気素子24、26に永久磁石を使用することが好ましい。しかしながら、必要に応じて、電磁素子も使用可能である。このような場合、磁気素子に電流を供給するためおよび電流を制御するための電気ケーブルおよびコントロールが、当業者に良く知られたように取り付けおよび接続される。いかなる場合にも、推力キャリッジ14、16は磁気的にロックされ、キャビン10の車台6、8に固定される。
【0050】
次に、パワー・チューブ2内の磁気素子24、26と非磁気ウィンドウ・ストリップ28との間の相対的な間隔は、パワー・チューブの方を向いたそれらの表面が、非磁気ウィンドウに実際に触れることなくできる限り近くなるように、それぞれ素子を適当な調整デバイス(図示せず)によって上下させることによって調整される。パワー・チューブは通過するキャビンの重量によって変形することがなく、パワー・キャリッジ14、16はパワー・キャリッジのV溝付車輪によって内部トラック12に沿って正確に誘導されるため、磁気素子と非磁気ウィンドウ・ストリップとの間の実際の間隔における予期される変化は小さなものとなる。その結果、磁気表面とパワー・チューブの非磁気ウィンドウとの間の調整済み間隔は、磁気結合の有効性を強化するために、通常は数ミリメートルを超えない程度で小さく保持することができる。
【0051】
輸送モジュールを前方向(または後方向)に移動させるために、ソース32からの圧縮空気が吸気口98を通じてパワー・チューブに導入される。所望の運動方向に向かうキャリッジ上に配置された推力バルブは、それらの端部がパワー・チューブの内部表面に接触するまでバルブ・ブレード86を開くために、関連する油圧アクチュエータ62に通電することによって伸長される。その結果、開かれた推力バルブの凹側で圧力が大きくなり、前方向の推力が生成され、バルブならびにバルブに取り付けられた推力キャリッジを前方向に移動させる。この推力キャリッジの前方への運動が、磁気結合器22を介してキャビン10に伝達される。したがって、輸送モジュール全体が前方向に移動を開始する。
【0052】
パワー・キャリッジの最大推力および/または速度は、推力バルブが完全に開き、壁30、96を形成した時点で達成される。必要に応じて、本明細書では別々に記載されていない適当なバルブおよびコントロールを介した、ソース32からの空気の圧力を増加させることによって、推力を増加させることができる。好ましい実施形態では、バルブの凹側と凸側との間の圧力差を増加させるために、推力バルブの前にソース34によって生成される真空を増加させることによって、より大きな推力が生成される。
【0053】
パワー・バルブによって生成される速度または推力を減少させるために、ソース32からの空気圧を減少させることができる。しかしながら好ましくは、ピストン・ロッド64を部分的に引き込み、それによりバルブ・ブレード86とパワー・チューブ2の内部表面との間にふさがれることのないバイパス・チャネル97を形成するために、それに応じて油圧アクチュエータ62に通電することにより、伸長された推力バルブを部分的に引き込むことによって、推力がより迅速に低下し、その結果、バルブによって生成される推力ならびにパワー・モジュールが前方に移動する力および速度が低下する。
【0054】
輸送モジュールの動きをより迅速に減速または停止するために、前方推力バルブ10を開くこと、すなわち、前述のように、そのブレード86をカップ70の中に引き込んで前方推力を終わらせることが可能である。同時に、後方推力キャリッジ16の推力バルブ20を伸長することができる。これにより、輸送モジュールの移動方向とは逆の方向の推力が生成され、これによって制動動作を強化し、これを使って輸送を迅速に完全停止させることができる。
【0055】
図5A、図5B、および図6を簡単に参照すると、推力キャリッジを相互に結合し、それらの間のおよびキャビン10の車台6、8に対する間隔を一定に維持することが好ましい。これは、推力キャリッジをタイ・ロッド122で直列に接続することによって達成可能である。そのために、キャリッジには、好ましくは推力キャリッジの平板36に水平軸を中心に旋回可能なように取り付けられた接続板124が提供され、タイ・ロッドによって係合されるボア126が提供される。
【0056】
加えて、複数の車両12(客車および/または貨車)を、推進ユニットが提供された前方および後方車両に結合することができる。こうした配置構成では、前方車両と後方車両との間の車両は、推力ユニットを備える必要がなく、車両を支持および誘導するため、ならびにタイ・ロッドを取り付けるためにパワー・チューブ内部にキャリッジを結合するための、前述の車台のみを備えた車両を含むことが可能であり、タイ・ロッドは前述の方法で関連する車両に磁気的に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に従って構築されたパワー・チューブを採用し、本発明に従って構築された内部支持レールおよび外部車両トラックが提供された高架鉄道輸送システムを示す断面立面図である。
【図1A】本発明の高架鉄道輸送システム全体の配置構成および構造を示す、部分的には断面図の部分断片図である。
【図2】システムのパワー・チューブ内部への内部レールの取り付けを示す部分拡大断面図である。
【図3】本発明の推力バルブ内で採用される扇形推力ブレードを示す平面図である。
【図3A】本発明の推力またはターキー・バルブの一部を示す部分断面立面図である。
【図4A】完全に引き伸ばされた位置での本発明の推力バルブを示す図である。
【図4B】完全に引き伸ばされた位置での本発明の推力バルブを示す図である。
【図5A】パワー・チューブの内部レールに沿って誘導される推進ユニットを示すパワー・チューブを通る断面平面図である。
【図5B】図5Aに示された推進ユニットを示す側面図である。
【図6】パワー・チューブに沿って走行する、長いおよび/または複数のセクションを有する車両で使用するための、パワー・チューブ内部に配置された追加のキャリッジに接続された、反対方向への移動時に効果的な2つの推進ユニットを示す概略図である。
【図7】車両を誘導するための外部トラックを示す部分断面図である。
【図8A】図7に示された外部トラックに係合し、これに沿って走行する車両用の車台を示す平面図である。
【図8B】車両用の車台の構造ならびに外部トラックによるその支持および誘導部をさらに示すパワー・チューブ上部の部分正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に加圧することができる内部と、車両がそれに沿って移動する外部とを有する、細長いパワー・チューブに沿って車両を移動させるための推進ユニットであって、前記推進ユニットが、前記パワー・チューブ内部に取り付けられたまったく正反対の第1および第2の内部レールと、前記第1および第2のレール間に配置されたメイン・ボディを備える推力キャリッジとを備え、前記推力キャリッジが、前記第1のレールに隣接する前記ボディの第1の側に回転自在に取り付けられた第1および第2の車輪と、前記第2のレールに隣接する前記ボディの第2の側のボディに回転自在に取り付けられた少なくとも1つの第3の車輪と、前記第2のレールに向かって前記第3の車輪に弾力的にバイアスをかけるためのデバイスとを備え、前記車輪が、前記デバイスによって生成されるバイアス力の結果として、前記第1のレールが前記第1および第2の車輪の溝付外周内に延在し、前記第2のレールが前記第3の車輪の溝付外周内に延在するように、外周に溝が付けられた形であり、さらに前記推力キャリッジが、前記推力アセンブリを前記車両に結合するための結合器を備える推進ユニット。
【請求項2】
前記車輪の溝付外周内に延在する前記第1および第2の内部レールの少なくとも一部が、ほぼ円形の丸い断面を有する、請求項1に記載の推進ユニット。
【請求項3】
前記第1および第2のレールが前記パワー・チューブの水平中心面内に配置される、請求項1に記載の推進ユニット。
【請求項4】
前記第1および第2の車輪が前記ボディの長手方向端部近くに配置され、前記第3の車輪が前記ボディの長手方向の前記第1および第2の車輪のほぼ中間に配置される、請求項1に記載の推進ユニット。
【請求項5】
前記デバイスがスプリングを備える、請求項1に記載の推進ユニット。
【請求項6】
前記第3の車輪が、前記ボディに旋回するように取り付けられた第1の端部と、前記デバイスによって係合された第2の端部とを有するアーム上に取り付けられ、前記デバイスは前記アームを推進させ、前記第3の車輪を前記第2のレールと係合させる、請求項1に記載の推進ユニット。
【請求項7】
前記ボディの長手方向端部に取り付けられた折りたたみ可能な推力バルブを含み、前記推力バルブは、前記パワー・チューブの長さ方向に対して角度をなすように傾斜し、前記ブレードの自由端が前記パワー・チューブの内側表面に係合するように、ならびに、前記ブレードの前側と後ろ側の間の圧力差が、前記バルブおよびそれに取り付けられた前記推力キャリッジとを前記内部レールに沿って前記パワー・チューブの長手方向に移動させる力を生成するように、伸長可能であるバルブ・ブレードを有する、請求項1に記載の推進ユニット。
【請求項8】
前記パワー・チューブを地上で支持する支持フレームを含み、前記パワー・チューブの外部近くに配置された間隔が空けられた垂直部と、前記パワー・チューブにストレスをかけることなく前記推進ユニットの重みが前記垂直部によって担持されるように、前記第1および第2のレールを前記支持部の前記垂直部に固定する留め具とを含む、請求項1に記載の推進ユニット。
【請求項9】
長さに沿った推力を生成する圧力差を受ける細長いパワー・チューブに沿って移動することができる車両用の推力キャリッジと共に使用するための、折りたたみ可能な推力バルブであって、前記推力キャリッジは、前記パワー・チューブの内部に支持され、前記パワー・チューブの内部に沿って前記推力キャリッジを移動させるための内部トラックを係合しており、前記推力バルブは、前記推力キャリッジに固定することができ、前記パワー・チューブ内に同心となるように形成された複数の重なり合う角度をなすように傾斜したブレードによって形成される折りたたみ可能なfrusto円錐形の壁と、前記壁を越えて前記チューブを介して空気が流れるのを防ぐためにその自由端が前記パワー・チューブの内部表面に接触するまで前記ブレードの角度を選択的に増加させるため、および前記自由端と前記パワー・チューブの前記内部表面との間隔を空けるように前記ブレードを引き込むために、前記ブレードに動作可能なように結合されたアクチュエータとを備え、前記バルブは、前記バルブ・ブレードの自由端が前記内部表面と係合した場合は前記パワー・チューブの長手方向に作用する力を生成し、前記バルブ・ブレードと前記内部壁との間隔が空けられた場合は、実質上低下した力を生成するかまたはまったく力を生成しないかのうちの1つである折りたたみ可能な推力バルブ。
【請求項10】
各ブレードが、弾力性フレームと、前記フレームに取り付けられ、前記フレームの主要部分を覆って延在する空気を通さないカバーとを備える、請求項9に記載のバルブ。
【請求項11】
前記フレームが弾力性の金属ワイヤ・フレームであり、前記カバーがプラスチック・シートである、請求項10に記載のバルブ。
【請求項12】
前記パワー・チューブに沿って前記車両を移動させるための力を空気圧によって生成するための細長いパワー・チューブと、前記パワー・チューブを地上で支持するための外部支持構造体と、前記チューブとほぼ平行に配置構成され、前記第1および第2のレールによって支持および誘導される前記車両の重量が前記支持構造体によって担持され、前記パワー・チューブにおけるストレスおよび前記パワー・チューブの変形を発生させないように前記支持構造体に固定された第1および第2のレールとを備える車両を搬送および誘導するためのトラック。
【請求項13】
前記第1および第2のレールが、第1および第2のほぼ垂直の脚部によって形成されるほぼ直角の断面を有し、各レールの前記脚部のうちの少なくとも1つが、前記車両の車輪が前記トラックから解放されるのを防ぐために、前記1つの脚部の表面から突出したキーパー・レールを含む、請求項12に記載のトラック。
【請求項14】
前記レールの前記脚部間の直角な挟角が前記パワー・チューブに対して反対の方向を向く、請求項13に記載のトラック。
【請求項15】
前記パワー・チューブを地上で支持するための外部支持構造体と、前記車両用の支持および誘導トラックを画定し、前記パワー・チューブと平行に延在し、前記支持構造体によって支持される第1および第2の山形材と、重量が前記山形材トラックおよび前記支持構造体のみによって支持され、前記山形材トラックが前記パワー・チューブと並行して前記車両を誘導するように、前記山形材トラックの脚部に対して傾斜した軸を中心に回転自在であり、前記山形材トラックの前記脚部を係合する外周を有する車両の支持および誘導車輪を含む前記車両に固定される第1および第2の車台と、前記パワー・チューブ内部に移動可能なように配置され、前記パワー・チューブに沿って移動するように誘導される空気圧式推進ユニットと、動作可能なように相互に位置合わせされた状態で前記車両および前記推進ユニットにそれぞれ取り付けられた第1および第2の協働する磁気素子を有する磁気結合器とを備え、前記磁気素子間に位置する前記パワー・チューブの一部が非磁気材料によって構築され、前記パワー・チューブの長さにわたって延在する空気圧式パワー・チューブに沿って車両を推進させるための装置。
【請求項16】
前記脚部のうちの1つが垂直に配置され、前記トラックの前記脚部間の傾斜角度が90°であり、前記パワー・チューブに対して反対の方向を向いており、前記車輪が前記トラックの前記脚部に対して45°に傾斜した軸を中心に回転する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記車輪が、一般に前記山形材トラックの前記脚部を係合する円形の外周を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記車輪が前記垂直脚部に対して上方に持ち上がるのを防ぐように成形および配置構成された前記垂直脚部上の突起部を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記パワー・チューブを地上で支持するための外部支持構造体と、前記車両用の支持および誘導トラックを画定し、前記パワー・チューブと平行に延在し、前記支持構造体によって支持される第1および第2の山形材と、前記車両の重量が前記山形材トラックおよび前記支持構造体のみによって支持され、前記山形材が前記パワー・チューブと並行して前記車両を誘導するように、山形材トラックの脚部に対して傾斜した軸を中心に回転自在であり、前記山形材トラックの前記脚部を係合する外周を有する車両の支持および誘導車輪を含む前記車両に固定される第1および第2の車台と、前記パワー・チューブ内部に移動可能なように配置され、前記パワー・チューブに沿って移動する空気圧式推進ユニットと、動作可能なように相互に位置合わせされた状態で前記車両および前記推進ユニットにそれぞれ取り付けられた第1および第2の協働する磁気素子を有する磁気結合器と、非磁気材料によって構築され、前記パワー・チューブの長さにわたって延在する前記磁気素子間に位置する前記パワー・チューブの一部と、前記パワー・チューブ内部に取り付けられたまったく正反対の第1および第2の内部レールとを備える空気圧式パワー・チューブに沿って車両を推進させるための装置であって、前記推進ユニットは、前記第1および第2のレール間に配置されたメイン・ボディと、前記第1のレールに隣接する前記ボディの第1の側に回転自在に取り付けられた第1および第2の車輪と、前記第2のレールに隣接する前記ボディの第2の側のボディに回転自在に取り付けられた第3の車輪と、前記第2のレールに向かって前記第3の車輪に弾力的にバイアスをかけるためのデバイスとを備える推力キャリッジであって、前記車輪が、前記デバイスによって生成されるバイアス力の結果として、前記第1のレールが前記第1および第2の車輪の溝付外周内に延在し、前記第2のレールが前記第3の車輪の溝付外周内に延在するように、外周に溝が付けられた形である推力キャリッジと、前記パワー・チューブ内に同心となるように形成された複数の重なり合う角度をなすように傾斜したブレードによって形成される折りたたみ可能なfrusto円錐形の壁と、前記壁を越えて前記チューブを介して空気が流れるのを防ぐためにその自由端が前記パワー・チューブの内部表面に接触するまで前記ブレードの角度を選択的に増加させるため、および前記自由端と前記パワー・チューブの前記内部表面との間隔を空けるように前記ブレードを引き込むために、前記ブレードに動作可能なように結合されたアクチュエータとを備える前記推力キャリッジに結合された折りたたみ可能な推力バルブであって、前記バルブは、前記バルブ・ブレードの自由端が前記内部表面と係合した場合は前記パワー・チューブの長手方向に作用する力を生成し、前記バルブ・ブレードと前記内部壁との間隔が空けられた場合は実質上低下した力を生成するかまたはまったく力を生成しないかのうちの1つである推力バルブとを含む装置。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−526541(P2006−526541A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515160(P2006−515160)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/017608
【国際公開番号】WO2004/108498
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505444695)フライト レール コーポレーション (2)