説明

改装サッシの縦枠装置

【課題】 カバー工法によって既設段窓サッシを新設段窓サッシに改装するについて無目を新設無目で被覆することによる開口の狭小化を防止する。
【解決手段】 既設無目4を,既設縦枠2の面内方向突出の突出フィン22から面内方向に非突出状態とするように切断撤去し,既設縦枠2に残存した既設無目4の中空基部41や既設縦枠2間等にシーリング剤を充填して密封措置を施す一方,新設段窓サッシの新設無目9を架設した新設縦枠7を,既設縦枠2に固定した上記切断した既設無目4の上下に一対のチャンネル材75に連結金具76によって固定してその設置を行う。簡易な構造によって高度な気密性と水密性を確保した縦枠とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改装サッシに関し,特にその縦枠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前の鋼製サッシのアルミ製サッシへの改装に代えて,近時長年月を経たアルミ製の既設サッシを同じくアルミ製のサッシに改装するアルミ対アルミの改装サッシが求められており,本出願人は,これに沿って,例えば該アルミ対アルミの改装を行うについて,騒音や塵埃の発生を抑制しつつ可及的効率よく改装工事をなし得る長所を有する所謂カバー工法を採用しつつ,その欠点である開口部高さ寸法の狭小化を可及的に防止し得るようにした改装サッシを提案済みであり,これによると,既設下枠に対する新設下枠による被覆を,新設下枠の突出高さ吸収措置を施すことによって,該新設下枠の上端を,既設下枠を設置した室内側額縁,即ち下側の既設額縁と同等乃至これより低位に位置するようにしたものとされ,このとき該新設下枠の突出高さ吸収措置は,該新設下枠を下枠本体とブラケットの2部材構成とするとともに下枠本体を水平の基板と該基板に突出フィン,即ち突出レールと障子との間で気密性を確保するように起立した気密フィンを同一高さに備える一方,ブラケットを断面S字状とし,上記額縁に上端を載置固定することによって額縁より低位に位置したブラケットの支持条に上記下枠本体の室内端を載置固定し,該下枠本体の下枠基板から室外側に傾斜突出した支承条の下端を,既設下枠の,例えば網戸レールに固定するか,既設下枠を設置した躯体に固定することによって,上記新設下枠の2部材構成とその設置構造によって行うようにしたものとされる。
【0003】
【特許文献1】特願2005−334147号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合,既設下枠に加工を施すことなく,カバー工法によって新設下枠を設置しながら,カバー工法の欠点を解消して,窓開口部の狭小化を防止することができるが,既設サッシには,その開口部を上下方向複数に分割するように既設縦枠の長手方向中間にアルミ製の既設無目を架設固定した,所謂段窓サッシがあり,この段窓サッシの改装には,窓開口部を拡大するように開口を単一のスパンとして単窓サッシとし又は従前と同様に無目を配置した段窓サッシとすることが求められる。新設単窓サッシとする場合には既設無目を撤去する必要が生じる一方,新設段窓サッシとする場合にも,既設無目を残して該既設無目にカバー工法を適用することによって新設無目の上下幅が拡大して外観を損なうとともに開口部を狭小化するのを避けるために,同じく既設無目を撤去して新設無目を設置することが求められる。しかし乍ら,既設段窓サッシにおける既設無目は,既設縦枠の裏面,即ちその縦枠基板の面外側に補強金具を設置して該補強金具からのネジを既設無目のタッピングホールに螺入して,その架設固定がなされているために,該既設無目は既設縦枠を外さないとその撤去をなし得ず,該既設無目を撤去するには煩雑な作業を必要とするし,また既設縦枠及び既設無目は,既設縦枠の突出フィン,既設無目の突出レール等の突出フィンを備えて複雑形状とされたアルミ押出材によって形成されるから,既設無目の架設固定は,既設縦枠の突出フィンを部分的に切欠いて,該切欠部分に既設無目の端部を嵌合して行ってあるのが一般であり,従って該既設無目を撤去すると,既設縦枠側の切り欠いた撤去跡が開放されて残ることになり,これにカバー工法による新設単窓サッシの新設縦枠を配置し又は新設段窓サッシの,新設無目を架設した新設縦枠を配置しても,該撤去跡の気密性や水密性が損なわれる結果,改装サッシとしてのサッシ性能を確保し得ないという結果を招く。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,可及的簡易な構造にして改装工事を効率的になし得るとともに高度の気密性及び水密性を確保しつつ,アルミ製の既設段窓サッシを同じくアルミ製の新設単窓サッシ又は新設段窓サッシに改装し得るようにした改装サッシの縦枠装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は,既設無目を撤去するについて,既設縦枠の面内方向突出の突出フィンから面内方向に非突出状態とするように切断撤去して,既設縦枠にその縦枠側の端部を残存するとともに該残存した既設無目端部に密封措置を施し且つ該既設無目端部を一連の新設縦枠によって被覆することにより,上記密封措置と新設縦枠による一連の被覆の簡易な構造によって高度な気密性と水密性を確保した改装サッシとし得るようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,アルミ製の既設段窓サッシにおける既設無目を撤去して該既設段窓サッシにカバー工法によって同じくアルミ製の新設単窓サッシを設置した改装サッシにおいて,上記既設無目を該既設無目を設置した既設縦枠における面内方向突出の突出フィンの先端から非突出状態に切断撤去して該既設縦枠に残存した既設無目端部に密封措置を施すとともに該密封措置を施した既設縦枠を新設単窓サッシの新設上枠と新設下枠間一体の新設縦枠によって一連に被覆してなることを特徴とする改装サッシの縦枠装置とし,また請求項2に記載の発明を,アルミ製の既設段窓サッシにおける既設無目を撤去して該既設段窓サッシにカバー工法によって同じくアルミ製の新設段窓サッシを設置した改装サッシにおいて,上記既設無目を該既設無目を設置した既設縦枠における面内方向突出の突出フィンの先端から非突出状態に切断撤去して該既設縦枠に残存した既設無目端部に密封措置を施すとともに該密封措置を施した既設縦枠を新設段窓サッシの新設上枠と新設下枠間一体にして既設無目位置に新設無目を固定した新設縦枠によって一連に被覆してなることを特徴とする改装サッシの縦枠装置としたものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は,上記に加えて,改装現場での作業を可及的簡易にして確実になし得て改装サッシの縦枠に高度な気密性及び水密性を確保したものとするように,これを,上記既設無目端部に施した密封措置を,シーリング剤を該既設無目の外周,中空部内に充填塗布することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の改装サッシの縦枠装置としたものである。
【0008】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,バックアップ材とシーリング剤を用いながら,同様に改装現場での作業を可及的簡易にして確実になし得て改装サッシの縦枠に更に高度な気密性及び水密性を確保したものとするように,これを,上記既設無目端部に施した密封措置を,バックアップ材を該既設無目端部の外周,中空部内の空隙に嵌挿するとともに該バックアップ材と既設無目端部間にシーリング剤を充填塗布することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の改装サッシの縦枠装置としたものである。
【0009】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,バックアップ材,シーリング剤及び被覆プレートを用いながら,同様に改装現場での作業を可及的簡易にして確実になし得て改装サッシの縦枠に更に高度な気密性及び水密性を確保したものとするように,これを,上記既設無目端部に施した密封措置を,該既設無目端部より上下に長寸の被覆プレートによって被覆するともに該被覆プレート又は上記既設縦枠と該被覆プレート間に形成された既設無目の高さ方向又はこれと幅方向の空隙にバックアップ材を嵌挿配置し且つ該バックアップ材上にシーリング剤を充填塗布することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の改装サッシの縦枠装置としたものである。
【0010】
請求項6に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記既設無目端部を残存し乍ら,新設縦枠による既設縦枠の一連の被覆を,簡易且つ確実になし得るものとするように,これを,上記新設縦枠による既設縦枠の被覆を,上記既設無目端部位置を除き該既設無目端部の既設縦枠上下に設置した上下一対のチャンネル材に新設縦枠を固定することによって行ってなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の改装サッシの縦枠装置としたものである。
【0011】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,既設無目を撤去するについて,既設縦枠の面内方向突出の突出フィンから面内方向に非突出状態とするように切断撤去して,既設縦枠にその縦枠側の端部を残存するとともに該残存した既設無目端部に密封措置を施し且つ該既設無目端部を一連の新設縦枠によって被覆することにより,上記密封措置と新設縦枠による一連の被覆の簡易な構造によって高度な気密性と水密性を確保した改装サッシとし得るようにして,簡易な構造によって,既設段窓サッシを新設単窓サッシに改装するようにした改装サッシの縦枠装置を提供することができ,また請求項2に記載の発明は,同じく既設段窓サッシを新設段窓サッシに改装するようにした改装サッシの縦枠装置を提供することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は,上記に加えて,改装現場での作業を可及的簡易にして確実になし得て改装サッシの縦枠に高度な気密性及び水密性を確保したものとすることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は,同じく上記に加えて,バックアップ材とシーリング剤を用いながら,同様に改装現場での作業を可及的簡易にして確実になし得て改装サッシの縦枠に更に高度な気密性及び水密性を確保したものとすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は,同じく上記に加えて,バックアップ材,シーリング剤及び被覆プレートを用いながら,同様に改装現場での作業を可及的簡易にして確実になし得て改装サッシの縦枠に更に高度な気密性及び水密性を確保したものとすることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は,同じく上記に加えて,上記既設無目端部を残存し乍ら,新設縦枠による既設縦枠の一連の被覆を,簡易且つ確実になし得るものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,図1乃至図4においてAは改装サッシであり,該改装サッシAは,例えばアルミ製にして既設上枠1,既設縦枠2,既設下枠3を枠組みするとともに該枠組内に同じくアルミ製の既設無目4を備えた既設サッシ,即ち本例にあって段窓サッシを,その既設無目を撤去しカバー工法によって同じくアルミ製の新設サッシ,本例にあっては新設上枠6,新設縦枠7,新設下枠8を枠組みするとともに新設無目9を備えた新設段窓サッシを設置したものとしてある。
【0018】
このとき上記既設無目4は,これを,該既設無目4を設置した既設縦枠2における面内方向突出の突出フィン12の先端から非突出状態に切断撤去して該既設縦枠2に残存した既設無目4端部に密封措置を施すとともに該密封措置を施した既設縦枠2を新設段窓サッシの新設上枠6と新設下枠8間一体にして既設無目4位置に新設無目9を固定した新設縦枠8によって一連に被覆したものとしてあり,本例にあって上記既設無目4端部に施した密封措置は,これを,シーリング剤10を該既設無目4の外周,中空部内に充填塗布することによって行ったものとしてある。
【0019】
即ち既設縦枠2は,縦枠基板21と,面内方向に向けて該縦枠基板21に起立した複数,本例にあっては,縦枠基板から同長の長さに起立した室内外一対の外側フィンと,該室内外一対の外側フィン間にして,室内側で図示省略の障子縦框に形成した気密溝に障子閉成状態で嵌合する位置に起立した上記外側フィンより短寸の嵌合用フィンと,その室外側の障子仕切をなす位置に起立した上記外側フィンより短寸にして且つ上記嵌合用フィンより長寸の中間フィンとした合計4条の突出フィン22とを備えたものとしてある。
【0020】
また既設無目4は,中空基部41と,その上下面を下枠基板及び上枠基板とするようにその上下方向に突出した上下各障子の開閉案内用突出レール及び室内側に起立し且つ垂下した室内側仕切条との突出フィン42を備えるとともに本例にあって,同様に既設縦枠2の室外側の突出フィン22の切欠部分に嵌合して,既設無目4の室外端に配置した同じく上下各網戸の開閉案内用網戸レールの突出フィン42とを備えたものとしてあり,該既設無目4は,上記既設縦枠2の複数の突出フィン22をその長手方向中間位置でそれぞれ部分的に切欠いて,該切欠部分に長手方向端部の中空基部41と突出フィン42,特にその室内側仕切条を嵌め込むように嵌合して既設縦枠2の長手方向中間の所定位置に架設固定したものとしてある。
【0021】
該既設無目4は,その長手方向端部を既設縦枠2に残存するようにこれを切断撤去してあり,このとき該切断撤去は,例えばアルミ切断用のカッターを用い,該カッターを,既設縦枠2の突出フィン22,即ち同長に起立して面内方向に突出した室内側及び室外側の外側の突出フィン22に対接するように配置し,該突出フィン22の先端を切断ガイドとすることによって,該突出フィン22から面内方向に突出しないように,既設縦枠2の各突出フィン22の突出長さ,例えば15mmに合せて,既設無目4端部を既設縦枠2に15mm長さに残して,これを行ってあり,従って,既設縦枠2の既設無目4架設位置は,該既設縦枠2の上記切欠部分が露出することなく,該切欠部分が既設段窓サッシにおけると同様に既設無目端部によって塞がれた状態にその切断撤去を行ったものとしてある。
【0022】
既設無目4を切断撤去して残存した既設無目4端部には,その外周,中空部内にシーリング剤10を充填塗布して,該既設無目4を切断撤去したことによる気密性及び水密性の低下を防止してあり,本例にあって該シーリング剤10は,既設無目端部の中空基部41,該中空基部41と上記突出レール,室内側仕切条との突出フィン22,42間,上記切欠部分を含む既設無目4端部と既設縦枠2の対接部分について,これを行ってあり,該シーリング剤10によって,これらを密封するように封止して新設段窓サッシの縦枠における,特に既設無目4切断撤去後の高度な気密性及び水密性を確保したものとしてある。
【0023】
このように既設無目4切断撤去後に密封措置を施した既設縦枠2は,これを新設縦枠7によって被覆してあるところ,本例にあって該新設縦枠7による既設縦枠2の被覆は,上記既設無目4端部位置を除き該既設無目4端部の既設縦枠2上下に設置した上下一対のチャンネル材75に新設縦枠7を固定することによって行ったものとしてある。
【0024】
本例のチャンネル材75は,例えば断面C字状,断面T字状等の適宜形状のアルミ押出材製にして,既設上枠1から既設無目4端部位置に至る上位チャンネル材と該既設無目位置から既設下枠3位置に至る下位チャンネル材との上下に一対のものとしてあり,該チャンネル材75は,例えば既設下枠3の突出フィン32,即ち室内外の外側フィン間に嵌合する一方,室内側の突出フィン22に連結金具76の幅方向一端を重合し該連結金具76側から該外側の突出フィン22に対してネジを螺入することによって,所定間隔に配置した連結金具76を用いて既設縦枠2に固定したものとしてある。
【0025】
該チャンネル材75を介した新設縦枠7の設置は,該チャンネル材75を既設縦枠2に固定した連結金具76によって既設縦枠2に対して行ったものとしてある。即ち新設縦枠2は,縦枠基板71と,面内方向に向けて該縦枠基板71に起立した複数の突出フィン72,本例にあっては上記既設縦枠2と同様に室内外一対の外側フィンと,該室内外一対の外側フィン間の短寸の嵌合用フィンと,中間フィンとした合計4条の突出フィン72とを備えるとともに縦枠基板71の室外側中間位置に面外方向に突出して室内側に向けて気密材を設置した気密突条73と,室内側端部に断面T字状に室外側に突出して面外方向に突出する固定部を形成した固定突条74とを備えたものとしてあり,該新設縦枠7は,その固定突条74を,上記それぞれ上下位のチャンネル材75を固定した連結金具76に重合して該固定突条74側から該連結金具76にネジを螺入することによって,該新設縦枠7を室内側に引寄せ,上記気密突条73の気密材を既設縦枠2の室外側の突出フィン72に対接するようにして,そのチャンネル材76を介した既設縦枠2に対する固定を行ったものとしてある。
【0026】
このとき該新設縦枠7は,その上記既設段窓サッシの既設無目4の対応位置に新設無目9を固定して,幅方向に対向する新設縦枠2間で新設無目9を架設し,該新設無目9によって新設段窓サッシを上下に2区分するようにしてあり,本例にあって該新設無目9は,その長手方向端部を新設縦枠7に対接し,該新設縦枠7の裏面から新設無目9のタッピングホールにタッピングネジを螺入して,サッシ枠における枠組みの常法に従ってその固定を行ったものとしてあり,このとき該新設無目9はその中空基部91の下面を引違障子用として突出フィン92,即ち障子開閉案内用の突出レールを,また上面を,同じく引違障子用の突出レールを備えるか又は図示省略の嵌殺用のガラス嵌着溝を備えたものとしてある。
【0027】
該新設縦枠7による上記既設縦枠2の被覆は,該新設無目9を架設固定した左右の新設縦枠7の上端に新設上枠6を,下端に新設下枠8をそれぞれネジ止めして新設段窓サッシの枠として枠組みしたサッシ枠を,既設段窓サッシのサッシ枠に嵌め込み固定することによって,同様にカバー工法の常法に従ってこれを行い,新設上枠6による既設上枠1の被覆,新設下枠8による既設下枠3の被覆とともに左右の新設縦枠7による左右の既設縦枠2の被覆,更に新設無目4の架設配置を,該枠組みしたサッシ枠を嵌め込み固定することによって同時に行ったものとしてある。
【0028】
このように既設無目4を,既設縦枠2の面内方向突出の突出フィン22から面内方向に非突出状態とするように切断撤去して,既設縦枠2に残存した既設無目4端部に密封措置を施し且つ該既設無目4端部を一連の新設縦枠7によって被覆することにより,可及的簡易な構造にして改装工事を効率的になし得て高度の気密性及び水密性を確保しつつ,アルミ製の既設段窓サッシを同じくアルミ製の新設段窓サッシに改装することができ,また既設無目にカバー工法による新設無目を被覆するのに対して開口部の狭小化を防止することができるとともに上記密封措置は,これを,既設無目4の外周,中空部内にシーリング剤を充填塗布することによって,その現場で施す密封措置の現場作業を可及的簡易としながら,改装サッシの縦枠に高度な気密性及び水密性を確保したものとすることができる。
【0029】
このとき本例にあって上記新設サッシは,その新設上枠6による既設サッシにおける既設上枠1の被覆は,上記既設縦枠2におけると同様のチャンネル材66と連結金具67を用いて,該チャンネル材66を既設上枠1における上枠基板11から下向きに突出した突出フィン11,特に室内側フィンに連結金具67の一端を固定し,新設上枠6の室内側に設けた新設縦枠7と同様な固定突条63を固定するとともに室外側に設けた気密条64の気密材を既設上枠6の突出フィン62,特に室外側フィンに対接することによって,その上枠基板61からの突出フィン62,即ち突出レール及び網戸レールが下向きに突出するか又は新設無目9が嵌殺用であるときはガラス嵌着溝を下向きに開口するように行ってある。また新設下枠8による既設下枠3の被覆は,該新設下枠8を下枠本体81とブラケット85の2部材構成とし,その下枠本体81を水平の下枠基板82と,該下枠基板82に突出フィン83,即ち突出レールと障子との間で気密性を確保するように起立した気密フィンを同一高さに備える一方,ブラケット85を断面S字状とし,室内側下部の既設額縁33に上端を載置固定することによって該既設額縁33より低位に位置したブラケット85の支持条86に上記下枠本体81の室内端を載置固定し,該下枠本体81の下枠基板82から室外側に傾斜突出した傾斜支承条84の下端を,既設下枠3の,例えば室外端の突出フィン32,即ち網戸レールに固定するか,既設下枠3を設置した躯体に固定して,下枠基板82からの突出フィン83,即ち突出レール及び網戸レールが上向きに突出するように行ったものとしてある。これによって該新設下枠8の上端が,既設下枠3を設置した既存額縁33と同等乃至これより低位に位置するようにその設置を行って,特に上記新設下枠8の2部材構成とその設置構造によって新設下枠8の突出高さ吸収措置を施したものとし,該措置によって,上記新設無目9の設置による開口部の狭小化の防止とともに新設下枠8の設置による開口部の狭小化を防止して,該開口部を可及的に大きく確保するようにしたものとしてある。
【0030】
図5乃至図10は,例えば既設サッシが開口部を幅方向に区分する既設方立5を有する連窓サッシ又は更に既設方立5を有する連段窓サッシであるときに,該既設サッシを単窓サッシ,段窓サッシ又は連段窓サッシの新設サッシに改装するについて,上記既設無目4と同様な切断撤去と密封措置を施して,アルミ対アルミのサッシ改装を該切断撤去と密封措置を可及的共通に施すことによって,既設サッシの種類を問わずに高度な気密性と水密性を確保し得るようにした例を示したもので,本例にあって上記既設方立5を有する既設サッシの改装は,これを,該既設方立5を切断撤去して,その既設上枠1及び既設下枠3にそれぞれ一連の新設上枠6及び新設下枠8を設置し,あるいは上記新設無目4と同様に図示省略の新設方立を起立固定した新設上枠6及び新設下枠8を被覆配置するために,該既設方立5の切断撤去と上記と同様にその密封措置を施したものとしてある。
【0031】
即ちこの場合,該既設方立5は,これを既設上枠1及び既設下枠3の突出レール,気密条等の突出フィン12,32からそれぞれ下方又は上方に非突出状態に切断撤去したものとしてあり,該既設方立9の切断撤去は,これを上記既設無目4の切断撤去と同じく,これら既設上枠1及び既設下枠3の上記突出フィン12,32の先端を切断ガイドとして,これに対接するように配置したカッターを用いてその切断撤去を行ったものとしてある。
【0032】
これら既設上枠1及び既設下枠3は,これらに残存した既設方立5端部に密封措置を施して,気密性及び水密性を確保するとともに該密封措置を施した既設上枠1及び既設下枠3を,上記単窓,段窓又は連段窓サッシの新設サッシにおける新設上枠6及び新設下枠8で一連に被覆したものとしてある。
【0033】
このとき一般に,上枠に対する雨水の影響は比較的少ないので,切断撤去のままで,その密封措置を省略することも可能であるが,該既設上枠1に密封措置を施す場合,例えば上記既設縦枠2におけると同様にシーリング剤10の充填を行う如くに他の密封措置と同様になし得るが,本例にあっては切断撤去して残存した既設方立5端部を閉塞する塞ぎ材65を,例えば既設上枠1にネジ止めすることによって該塞ぎ材65を設置し,該塞ぎ材65設置による密封措置を施した既設方立5端部下方を被覆してその新設上枠6の設置を行ったものとしてある。
【0034】
一方,既設下枠3における上記密封措置は,雨水の影響を受け易いので,切断撤去して残存した既設方立5端部に対して密封措置を施すことが不可欠であり,このため本例にあっては,その高度な気密性と水密性を確保し得るように,上記残存した既設方立5端部の上向き開口の中空部にその開口上端を残して,例えば独立気泡にして水浸透性がなく一方で弾性を有する発泡樹脂製のバックアップ材87を嵌挿配置し且つ該バックアップ材87上に開口上端からシーリング剤10を充填することによって行ったものとしてあり,該バックアップ材87とシーリング剤10による密封措置を施した既設方立4端部上を被覆してその新設下枠8の設置を行ったものとしてある。この場合,例えば台風等の強風や該強風下で雨水を受けてもその気密性と水密性を高度に確保することができる。
【0035】
従って上記既設無目4と同様に既設方立5を切断撤去して,これに上記新設単窓サッシを設置し,新設無目9を架設した新設段窓サッシ,新設無目9に加えて上記新設上枠6及び新設下枠8間に新設方立を起立した新設連段窓サッシを設置することによって,該新設サッシは高度な気密性と水密性を確保したものとすることができる。
【0036】
図示した例は以上のとおりとしたが,上記密封措置を施した既設縦枠を新設単窓サッシの新設上枠と新設下枠間一体の新設縦枠によって一連に被覆するようにして,既設段窓サッシを新設単窓サッシに改装するようにすること,上記既設無目端部に施した密封措置を,バックアップ材を該既設無目端部の外周,中空部内の空隙に嵌挿するとともに該バックアップ材と既設無目端部間にシーリング剤を充填塗布することによって行ったものとすること,また該密封措置を,該既設無目端部より上下に長寸の被覆プレートによって被覆するともに該被覆プレート又は上記既設縦枠と該被覆プレート間に形成された既設無目の高さ方向又はこれと幅方向の空隙にバックアップ材を嵌挿配置し且つ該バックアップ材上にシーリング剤を充填塗布することによって行ったものとすること,既設連窓サッシにおける設方立の撤去跡の既設上枠又は既設下枠に密封措置を施すとき,シーリング剤をその外周,中空部内の空隙に充填するようにすること等を含めて,本発明の実施に当って,既設段窓サッシ,既設無目,新設単窓サッシ,新設段窓サッシ,既設縦枠,新設縦枠,密封措置,新設縦枠とともに用いる新設上枠,新設下枠,必要に応じて使用するバックアップ材,シーリング剤,被覆プレート,チャンネル材,新設方立等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加,その改装の具体的方法等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】改装サッシの構造を示す縦断面図である。
【図2】改装サッシの構造を示す横断面図である。
【図3】既設段窓サッシの既設無目の関係を示す部分斜視図である。
【図4】既設段窓サッシの既設無目を切断撤去した状態を示す部分斜視図である。
【図5】既設連窓サッシの既設連窓方立を切断撤去した状態を示す部分斜視図である。
【図6】図5の切断撤去跡に塞ぎ材を設置した状態を示す部分斜視図である。
【図7】既設連窓サッシの既設下枠と連窓方立の関係を示す部分斜視図である。
【図8】既設下枠の既設連窓方立を切断撤去した状態を示す部分斜視図である。
【図9】図8の既設連窓方立下端部とバックアップ材との関係を示す部分斜視図である。
【図10】バックアップ材とシーリング剤の関係を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 既設上枠
11 上枠基板
12 突出フィン
2 既設縦枠
21 縦枠基板
22 突出フィン
3 既設下枠
31 下枠基板
32 突出フィン
33 既設額縁
4 既設無目
41 中空基部
42 突出フィン
5 既設方立
6 新設上枠
61 上枠基板
62 突出フィン
63 固定突条
64 気密条
65 塞ぎ材
66 チャンネル材
67 連結金具
7 新設縦枠
71 縦枠基板
72 突出フィン
73 気密突条
74 固定突条
75 チャンネル材
76 連結金具
8 新設下枠
81 下枠本体
82 下枠基板
83 突出フィン
84 傾斜支承条
85 ブラケット
86 支持条
87 バックアップ材
9 新設無目
91 中空基部
92 突出フィン
10 シーリング剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミ製の既設段窓サッシにおける既設無目を撤去して該既設段窓サッシにカバー工法によって同じくアルミ製の新設単窓サッシを設置した改装サッシにおいて,上記既設無目を該既設無目を設置した既設縦枠における面内方向突出の突出フィンの先端から非突出状態に切断撤去して該既設縦枠に残存した既設無目端部に密封措置を施すとともに該密封措置を施した既設縦枠を新設単窓サッシの新設上枠と新設下枠間一体の新設縦枠によって一連に被覆してなることを特徴とする改装サッシの縦枠装置。
【請求項2】
アルミ製の既設段窓サッシにおける既設無目を撤去して該既設段窓サッシにカバー工法によって同じくアルミ製の新設段窓サッシを設置した改装サッシにおいて,上記既設無目を該既設無目を設置した既設縦枠における面内方向突出の突出フィンの先端から非突出状態に切断撤去して該既設縦枠に残存した既設無目端部に密封措置を施すとともに該密封措置を施した既設縦枠を新設段窓サッシの新設上枠と新設下枠間一体にして既設無目位置に新設無目を固定した新設縦枠によって一連に被覆してなることを特徴とする改装サッシの縦枠装置。
【請求項3】
上記既設無目端部に施した密封措置を,シーリング剤を該既設無目端部の外周,中空部内に充填塗布することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の改装サッシの縦枠装置。
【請求項4】
上記既設無目端部に施した密封措置を,バックアップ材を該既設無目端部の外周,中空部内の空隙に嵌挿するとともに該バックアップ材と既設無目端部間にシーリング剤を充填塗布することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の改装サッシの縦枠装置。
【請求項5】
上記既設無目端部に施した密封措置を,該既設無目端部より上下に長寸の被覆プレートによって被覆するともに該被覆プレート又は上記既設縦枠と該被覆プレート間に形成された既設無目の高さ方向又はこれと幅方向の空隙にバックアップ材を嵌挿配置し且つ該バックアップ材上にシーリング剤を充填塗布することによって行ってなることを特徴とする請求項1又は2に記載の改装サッシの縦枠装置。
【請求項6】
上記新設縦枠による既設縦枠の一連の被覆を,上記既設無目端部位置を除き該既設無目端部の既設縦枠上下に設置した上下一対のチャンネル材に新設縦枠を固定することによって行ってなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の改装サッシの縦枠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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