説明

改装サッシユニット及び改装サッシユニットの取付方法

【課題】部品点数が少なく施工性及び意匠性に優れた改装サッシユニット等を提供する。
【解決手段】室内外を連通する開口に設けられている既設サッシの既設枠に設けられる改装サッシユニットであって、新たに設けられる改装サッシと、前記既設枠と前記改装サッシとの間に介在される下地枠と、前記下地枠に固定され、前記改装サッシの改装枠と前記開口が設けられている壁との間を室外側から覆うカバー部材と、を有し、前記カバー部材は、当該カバー部材と前記改装サッシとの間に設けられた止水材の最も室外側の縁より室内側にて固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設サッシの既設枠に設けられる改装サッシユニット及び改装サッシユニットの取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
改装サッシユニットとしては、建物の開口部に設けられた既設サッシの既設枠の内周側にベース材を介して取り付けられるリフォームサッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなリフォームサッシは、既設枠が有する上枠、下枠、左右の縦枠にベース材を取り付けることにより新設するリフォームサッシが固定される取付壁を形成し、リフォームサッシが有する、枠組みされた枠体を取付壁にビスにて固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−223286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなリフォームサッシは、ベース材とリフォームサッシの枠体とを固定するビスを覆うカバー材を取り付けるためのアタッチメントがベース材にビスにて固定され、このアタッチメントにカバー材が嵌合されている。このため、リフォームサッシの意匠性を向上させるために、カバー材と、カバー材を取り付けるためのアタッチメントとが必要であり、部品点数が増えて管理が煩雑となり、作業工数も増加するという課題があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数が少なく施工性及び意匠性に優れた改装サッシユニット及び改装サッシユニットの取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために本発明の改装サッシユニットは、室内外を連通する開口に設けられている既設サッシの既設枠に設けられる改装サッシユニットであって、新たに設けられる改装サッシと、前記既設枠と前記改装サッシとの間に介在される下地枠と、前記下地枠に固定され、前記改装サッシの改装枠と前記開口が設けられている壁との間を室外側から覆うカバー部材と、を有し、前記カバー部材は、当該カバー部材と前記改装サッシとの間に設けられた止水材の最も室外側の縁より室内側にて固定されていることを特徴とする改装サッシユニットである。
このような改装サッシユニットによれば、改装枠と壁との間を室外側から覆うカバー部材は、下地枠に直接固定されているので、部品点数を低減することが可能であるとともにカバー部材の取り付けが容易である。また、カバー部材が、既設枠と改装サッシとの間に介在される下地枠に固定されている位置は、カバー部材と改装サッシとの間に設けられた止水材の最も室外側の縁より室内側なので、改装サッシが取り付けられた後には、カバー部材が固定されている部位は止水材に隠されて室外側に露出しない。このため、カバー部材を下地枠に固定する簡単な構成としつつ部品点数を削減し、固定部が外部に露出しない、施工性及び意匠性に優れた改装サッシユニットを提供することが可能である。
【0008】
かかる改装サッシユニットであって、前記カバー部材は、前記壁とともに前記改装サッシ側に窪む凹部を形成し、前記凹部に前記止水材が設けられていることが望ましい。
このような改装サッシユニットによれば、カバー部材と壁とともに形成された凹部に止水材が設けられているので止水性に優れた改装サッシユニットを提供することが可能である。また、止水材が設けられている凹部は、カバー部材と壁との間にて改装サッシ側に窪んでいるので、室外側から改装サッシを見た際には止水材は見え難い。このため、より意匠性に優れた改装サッシユニットを提供することが可能である。
【0009】
かかる改装サッシユニットであって、前記下地枠は、前記改装枠が挿入される挿入開口を形成する平坦な内周面を有し、前記内周面には前記カバー部材が取り付けられて当該カバー部材の表面と前記内周面とが平坦になるような段部が設けられていることが望ましい。
このような改装サッシユニットによれば、カバー部材が下地枠の段部に設けられることにより、改装枠が挿入される挿入開口を形成する下地枠の内周面と、内周面に取り付けられたカバー部材の表面とが平坦になるので、改装枠が挿入開口に挿入される際には、障害となるものがないので、容易に改装枠を挿入することが可能である。
【0010】
かかる改装サッシユニットであって、前記改装枠は、開口に直接取り付けられる際に躯体に固定される固定ヒレ部を有し、前記下地枠を介して取り付けられる際には、前記固定ヒレ部が切除されることが望ましい。
このような改装サッシユニットによれば、改装サッシが、固定ヒレ部を躯体に直接固定して開口に取り付けられるサッシであっても、固定ヒレ部を切除することにより取り付けることが可能である。このため、改装用の専用サッシでなくとも、躯体に直接取り付けられるようなサッシを改装サッシとして用いることが可能である。
【0011】
かかる改装サッシユニットであって、前記下地枠は、室内側の端部が開口の内側に向かって見付け方向に延出された延出部を有し、前記延出部の室内側は、室内側に露出される意匠性を有する意匠面を備えていることが望ましい。
このような改装サッシユニットによれば、下地枠の室内側に設けられ、開口の内側に向かって見付け方向に延出された延出部は、室内側に露出される意匠性を有する意匠面を備えているので、下地枠を取り付けるだけで、意匠面が室内側に露出される。このため、意匠性を有する他の部材を別途用いることなく室内側からの意匠性に優れた改装サッシユニットを提供することが可能である。
【0012】
また、室内外を連通する開口に設けられている既設サッシの既設枠に設けられる改装サッシユニットの取付方法であって、前記既設枠と新たに設けられる改装サッシとの間に介在される下地枠に、前記改装サッシの改装枠と前記開口が設けられている壁との間を室外側から覆うカバー部材を固定具にて取り付けるカバー部材取付工程と、前記カバー部材が取り付けられた前記下地枠を前記既設枠に取り付ける下地枠取付工程と、前記下地枠に前記改装サッシの前記改装枠を取り付ける改装枠取付工程と、前記カバー部材と前記改装サッシとの間に、最も室外側の縁が前記固定具より室外側に位置する止水材を備える止水材配設工程と、を有することを特徴とする改装サッシユニットの取付方法である。
【0013】
このような改装サッシユニットの取付方法によれば、改装枠と壁との間を室外側から覆うカバー部材を下地枠に直接固定するので、部品点数を低減することが可能であるとともにカバー部材を容易に取り付けることが可能である。また、カバー部材が固定された下地枠を既設枠に取り付け、下地枠に改装枠を取り付けて、カバー部材と改装サッシとの間に止水材を設けるので、改装枠と壁との間を覆いつつ、止水性に優れた改装サッシを取り付けることが可能である。このとき、止水材の最も室外側の縁は、カバー部材が下地枠に固定されている位置より室外側に位置しているので、止水材を設けるだけで固定具の室外側への露出を防止することが可能である。このため、カバー部材を下地枠に固定する簡単な構成としつつ部品点数を削減して、固定具を外部に露出させないように改装サッシユニットを取り付けることが可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、部品点数が少なく施工性及び意匠性に優れた改装サッシユニット及び改装サッシユニットの取付方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る改装サッシユニットを説明するための水平断面図である。
【図2】本実施形態に係る改装サッシユニットを説明するための縦断面図である。
【図3】本実施形態に係る改装枠の固定ヒレ部の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る改装サッシユニット及び改装サッシユニットの取付方法について図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の改装サッシユニット1は、例えば、建物の室内外を連通する開口に設けられている既設サッシの既設枠50の既設下枠52に固定される支持部材5と、支持部材5に載置されて既設枠50の内周側に取り付けられる下地枠30と、下地枠30の内周側に取り付けられる改装サッシ10と、下地枠30に固定されるカバー部材27と、を有している。本実施形態では、図1、図2に示すように、屋内外を連通する開口に既設枠50が設けられている。
【0018】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の既設枠50及び改装サッシ10を屋内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、改装サッシユニットが備える各部材は、単体の状態であっても開口に取り付けられた状態で上下方向、見付け方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0019】
また、本実施形態においては、建物に既に設けられている既存の既設枠50と、既設枠50を覆うように改装される改装サッシ10とが登場するが、同じ名称を有する部位、部材には、各名称の前に「既設」または「改装」を付して説明する。例えば、既設枠が有する下枠や縦枠等は、既設下枠、既設縦枠等とし、改装サッシ10が有する縦枠や障子等は、改装枠体、改装障子等として説明する。
【0020】
既設サッシの既設枠50は、引き違い障子用の枠体であり、既設サッシの既設障子(不図示)が案内される既設レール51a、51b、52a、52bを有する既設上枠51及び既設下枠52と、既設障子の既設戸先框(不図示)と係合する既設係合片53aを有する左右の既設縦枠53とが矩形状に枠組みされて開口に設けられている。尚、既設上枠51、既設下枠52、及び、左右の既設縦枠53は押出成形部材であり、左右の既設縦枠は互いに左右対称の形状をなしている。
【0021】
既設上枠51は、既設内障子(不図示)を案内するための既設内上レール51aと、既設外障子(不図示)を案内するための既設外上レール51bと、既設網戸(不図示)を案内するための既設網戸上レール51cとが、見込み方向に互いに間隔を隔てて設けられている。既設内上レール51aと、既設外上レール51bと、既設網戸上レール51cとは、既設上枠51の見付け方向の全域に渡って鉛直方向に下方に垂設されている。また、既設網戸上レール51cは、既設上枠51の最も屋外側に設けられ、屋内外の境界となる建物の外壁2の壁面より屋外側に突出させた位置に配置されている。
【0022】
既設内上レール51aより屋内側には、既設上枠51の屋内側に設けられる額縁60において、開口の中央側に臨む内面60aと対向して重ねられる既設額縁対向部51dが設けられており、既設内上レール51aと既設外上レール51bとの間を繋ぐ部位からは上方に延びて躯体3に固定される上固定ヒレ部51eが設けられている。
【0023】
そして、既設額縁対向部51dは、額縁60の屋外側の部位の下面、すなわち、開口の中央側に臨む内面60aに形成され上方に窪む段部に配置され、既設額縁対向部51dの下面と額縁の内面60aとがほぼ面一になるように構成されている。また、既設内上レール51aの先端と既設外上レール51bの先端とは、同じ高さに形成され、既設網戸上レール51c及び既設額縁対向部51dより低い位置に位置している。
【0024】
既設上枠51は、既設額縁対向部51dが額縁60にビス64にて固定され、上固定ヒレ部51e及び既設額縁対向部51dと既設内上レール51aを繋ぐ部位が躯体3にビス64にて固定されている。
【0025】
既設下枠52は、既設内障子(不図示)を案内するための既設内レール52aと、既設外障子(不図示)を案内するための既設外レール52bと、既設網戸(不図示)を案内するための既設網戸レール52cとが、見込み方向に互いに間隔を隔てて設けられている。既設内レール52aと、既設外レール52bと、既設網戸レール52cとは、既設下枠52の見付け方向の全域に渡って設けられている。また、既設網戸レール52cは、既設下枠52の最も屋外側に設けられ、屋内外の境界となる建物の外壁2の壁面より屋外側に突出させた位置に配置されている。
【0026】
既設内レール52aより屋内側には、既設下枠52の屋内側に設けられる額縁60において、開口の中央側に臨む内面60aと対向して重ねられる既設額縁対向部52dが設けられており、既設内レール52aと既設外レール52bとの間を繋ぐ部位からは下方に延びて躯体3に固定される固定ヒレ部52eが設けられている。
【0027】
そして、既設額縁対向部52dは、額縁60の屋外側の部位の上面に形成され下方に窪む段部に配置され、既設額縁対向部52dの上面と額縁60の上面、すなわち、開口の中央側に臨む内面60aとがほぼ面一になるように構成されている。また、既設内レール52aは、その上端が既設額縁対向部52dの上面より低く、既設外レール52bは、その上端が既設内レール52aの上端より低く、既設網戸レール52cは、その上端が既設外レール52bより低く形成されている。
【0028】
既設下枠52は、既設額縁対向部52dが額縁60にビス64にて固定され、固定ヒレ部52eが躯体3にビス64にて固定されている。
【0029】
既設縦枠53は、見込み方向に沿う平面でなる既設縦枠本体部53bと、既設縦枠本体部53bの屋内側に設けられる額縁60において、開口の中央側に臨む内面60aと対向して重ねられる既設額縁対向部53cと、既設縦枠本体部53bから開口の中央側に突出され既設障子の既設戸先框が係合される既設係合片53aと、既設枠50の最も屋外側に配置され既設縦枠本体部53bから開口の中央側に突出され既設網戸の既設縦框に挿入される既設挿入片53dと、既設枠50の最も屋外側に配置され既設挿入片53dと見付け方向において反対側に突出された縁部53eと、を有している。
【0030】
既設縦枠53の最も屋外側に配置された既設挿入片53dと縁部53eとは、屋外側に臨む外向平面53fを形成しており、外向平面53fは、屋内外に境界となる建物の外壁2の壁面より屋外側に突出させた位置に配置されている。
【0031】
改装サッシ10は、建物等の開口に直接新設可能な一般的なサッシである。すなわち、改装専用のサッシではない。改装サッシ10の改装枠20も引き違い障子用の枠体であり、改装サッシ10の改装障子12が案内される改装レール21a、21b、22a、22bを有する改装上枠21及び改装下枠22と、左右の改装縦枠23が矩形状に枠組みされている。枠組みされた改装枠20は、後述する下地枠30に囲まれた挿入空間内に挿入される。尚、改装上枠21、改装下枠22、及び、左右の改装縦枠は押出成形部材であり、左右の改装縦枠23は改装障子12a、12bとの改装係合片23aを除いて互いに左右対称の形状をなしている。
【0032】
改装上枠21は、改装内障子12aを案内するための改装内上レール21aと、改装外障子12bを案内するための改装外上レール21bと、改装網戸14を案内するための改装網戸上レール21cとが、見込み方向に互いに間隔を隔てて設けられている。改装内上レール21aと、改装外上レール21bと、改装網戸上レール21cとは、改装上枠21の見付け方向の全域に渡って鉛直方向に下方に垂設されている。また、改装網戸上レール21cは、改装上枠21の最も屋外側に設けられ、屋内外の境界となる建物の外壁2の壁面より屋外側に突出させた位置に配置されている。
【0033】
改装上枠21の室内側の端部は、下地枠30に当接される平面を有する下地当接部21dが設けられている。また、改装上枠21の改装内上レール21aと改装外上レール21bとの間にて分断されており、屋外側の部位と屋内側の部位とが樹脂24を介して接合されて断熱性が確保されている。
【0034】
改装上枠21は、下地当接部21dと改装内上レール21aとを繋ぐ部位が、後述する下地枠30の室内側の部位を覆う覆い部材25とともに下地枠30にビス64にて固定されている。
【0035】
改装下枠22は、改装内障子12aを案内するための改装内レール22aと、改装外障子12bを案内するための改装外レール22bと、改装網戸14を案内するための改装網戸レール22cとが、見込み方向に互いに間隔を隔てて設けられている。改装下枠22の室内側の端部は、下地枠30に当接される平面を有する下地当接部22dが設けられている。下地当接部22dと改装内レール22aとを繋ぐ部位のほぼ中央には、下方に延出されて下地枠30に支持される屋内側脚部22eと、改装内レール22aの下方に延出されて下地枠30に支持される中央脚部22fと、改装外レール22bの下方に延出されて下地枠30に支持される屋外側脚部22gと、を有し、中央脚部22fと屋外側脚部22gとが下端側にて連結された連結部22hを有している。また、連結部22hから屋外側に、改装網戸レール22cとほぼ同じ位置まで延出された延出部22iが形成されている。
【0036】
改装縦枠23は、見込み方向に沿う平面を有する改装縦枠本体部23bと、改装縦枠本体部23bから開口の中央側に突出され改装障子12a、12bの改装戸先框12cが係合される改装係合片23aと、改装枠20の最も屋外側に配置され改装縦枠本体部23bから開口の中央側に突出され改装網戸14の改装縦框14aに挿入される改装挿入片23dと、改装枠20の最も屋外側に配置され改装挿入片23dと見付け方向において反対側に突出された縁部23eと、を有している。
【0037】
また、改装縦枠23の室内側の端部は、下地枠30に当接される平面を有する下地当接部23cが設けられ、下地当接部23cは改装縦枠本体部23bより外周側に突出している。改装縦枠本体部23bより外周側には、下地当接部23cと見込み方向に間隔を隔てて改装縦枠本体部23bから外周側に下地当接部23cと同じ長さだけ延出された中央延出部23hが設けられている。下地当接部23cと中央延出部23hとは、改装枠20が下地枠30の内周側に挿入された際に下地縦枠33の改装枠当接面33dに先端が当接される。
【0038】
ここで、改装サッシ10は改装専用サッシではないので、改装サッシ10を直接躯体に取り付けるための固定ヒレ部23jが設けられている場合があるが、この場合には、図3に示すように、固定ヒレ部23jを下地当接部23cの延出量に合わせて切除して使用する。
【0039】
改装縦枠23の最も屋外側に配置された改装挿入片23dと縁部23eとは、屋外側に臨む外向平面23fを形成しており、外向平面23fは、屋内外に境界となる建物の外壁2の壁面より屋外側に突出させた位置に配置されている。
【0040】
下地枠30は、下地上枠31、下地下枠32、左右に配置される下地縦枠33が矩形状に枠組みされて構成されている。枠組みされた下地枠30にて形成される開口が、改装枠20が挿入される挿入開口に相当する。下地上枠31、下地下枠32、左右の下地縦枠33は、木製である。
【0041】
下地上枠31の縦断面と左右の下地縦枠33の水平断面はほぼ同一形状をなし、断面形状において見込み方向に沿って配置される見込み壁部31a、33aと、見込み壁部31a、33aの屋内側の端部が内周側に延出された内側見付け壁部31b、33bと、見込み壁部31a、33aの屋外側の端部が外周側に延出された外側見付け壁部31c、33cと、を有している。ここで、内側見付け壁部31b、33bが、下地枠30の屋内側の端部が開口の内側に向かって見付け方向に延出された延出部に相当する。
【0042】
見込み壁部31a、33aは、矩形状の下地枠30の内周面であって内側見付け壁部31b、33bより屋外側に改装枠20が当接される、平坦な改装枠当接面31d、33dを有している。また、改装枠当接面31d、33dより屋外側、すなわち見込み壁部31a、33aの屋外側に、外周方向に窪む段部31e、33eを有している。段部31e、33eには、後述するカバー部材27が取り付けられる。ここで、平坦な改装枠当接面31d、33dが、挿入開口を形成する平坦な内周面に相当する。見込み壁部31a、33aの外周面は、外側見付け壁部31c、33cより屋内側に、平坦な既設枠当接面31f、33fを有している。既設枠当接面31f、33fには、既設枠50が当接される。
【0043】
下地下枠32は、下面が平坦に形成され、改装枠20の改装下枠22が当接される上面側は改装下枠22の下地当接部22d、屋内側脚部22e、中央脚部22fの下端が当接される面が、屋内側から屋外側に向かって低くなるような階段状に形成され、屋外側にはカバー部材27が取り付けられ外周方向に窪む段部32eが形成されている。
【0044】
下地上枠31と下地下枠32とに設けられた段部31e、32eは、内周面において段部31e、32eが隣接する部位との段差が、左右の下地縦枠33に設けられた段部33eと改装枠当接面31d、33dとの段差より大きく形成されている。具体的には、左右の下地縦枠33に設けられた段部33eは、改装枠当接面31d、33dとの段差が、段部33eに取り付けられるカバー部材27の厚みと同等であるのに対し、下地上枠31と下地下枠32とに設けられた段部31e、32eは、隣接する部位との段差にて形成される空間により改装枠20との間に目地が形成できる程度の空間ができるように構成されている。また、下地枠30の屋内に臨む面は、屋内に露出できるような意匠性を備えるべく、仕上げ加工等が施された意匠面34をなしている。
【0045】
カバー部材27は、下地上枠31、下地下枠32、左右の下地縦枠33の屋外側に設けられた段部31e、32e、33eにそれぞれ取り付けられる部材である。
【0046】
カバー部材27は、下地上枠31、下地下枠32、左右の下地縦枠33の段部31e、32e、33eに固定され下地上枠31、下地下枠32、左右の下地縦枠33より屋外側に突出される固定板部27aと、固定板部27aの屋外側の縁から下地枠30の外周方向に延出されて屋外に臨む面を形成する屋外板部27bと、屋外板部27bの外周側の縁から屋内側に延出された外周板部27cと、外周板部27cの屋内側の端部に設けられカバー部材27が取り付けられた下地枠30が既設枠50に取り付けられた際に外壁2とともに外周側に開放された凹部28を形成する凹部形成部27dとを有している。外壁2と凹部形成部27dとにて形成される凹部28は、改装サッシ10側に窪んでいる。
【0047】
カバー部材27は、下地上枠31、下地下枠32、左右の下地縦枠33の長手方向に沿って、既設枠50及び下地枠30の屋外側の部位を覆うとともに、屋外板部27bの外周側の部位は、下地枠30より外周側に延出されている。下地上枠31、下地下枠32、左右の下地縦枠33に取り付けられる各カバー部材27は両端部が45度に切断され、隣接するカバー部材27同士が突き合わされる。隣接するカバー部材27の固定板部27a同士、屋外板部27b同士、外周板部27c同士、凹部形成部27d同士がそれぞれ突き合わされて、下地枠30より外周側の部位が繋がったカバー部材27に覆われる。このとき、繋がったカバー部材27の屋外板部27bは同一平面を形成し、カバー部材27の外周側には外壁2との間に外壁2と凹部形成部27dとにて空隙が形成される。
【0048】
支持部材5は、下地下枠32の平坦な下面が当接される当接部5aと、当接部5aの屋外側の縁が下方に延出されて既設枠50に固定される脚部5bと、脚部5bと同一面を形成し当接部5aより上方に突出されて下地下枠32の屋外側の部位が当接される突出部5cとを有している。支持部材5は、下地枠30に取り付けられて、当接部5aの屋内側の部位が既設下枠52の既設額縁対向部52dに載置された後、当接部5aの上面が水平をなすように、脚部5bの取り付け位置を調節しつつ既設網戸レール52cに固定される。
【0049】
本実施形態の改装サッシユニット1の取付方法は、まず、下地枠30及び改装枠20を各々予め矩形状に枠組みしておく。その後、下地枠30の下地下枠32に支持部材5を取り付ける。このとき、支持部材5の当接部5aの上面を下地下枠32の下面に当接させるとともに、突出部5cの屋内側の面に下地下枠32の最も屋外側の面を当接させて固定する。また、下地枠30の下地上枠31と左右の下地縦枠33には、各々カバー部材27をそれぞれ段部31e、33eに取り付けておく(カバー部材取付工程)。このとき、下地上枠31及び左右の下地縦枠33と各カバー部材27とを固定する固定具としてのビス64は、下地上枠31及び左右の下地縦枠33の屋外側の縁部より十分屋内側、具体的には、カバー部材27を固定したビス64が、改装枠20との間に充填される止水材としてのシーリング剤66により屋外側に露出しないだけの距離を確保した屋内側の位置に固定する。
【0050】
次に、カバー部材27及び支持部材5を取り付けた下地枠30を既設枠50に取り付ける(下地枠取付工程)。このとき、まず、支持部材5の当接部5aの屋内側の部位を、既設下枠52の既設額縁対向部52dに載置して既設下枠52に支持させる。その後、支持部材5の脚部5bを既設下枠52の既設網戸レール52cにビス64にて固定し、下地上枠31と左右の下地縦枠33は、下地枠30の内周側から外周側に貫通するビス64にて躯体3に固定する。このとき、下地上枠31の既設枠当接面31fには、既設内レール52a及び既設外レール52bの下端を当接させる。また、左右の下地縦枠33には、既設縦枠53の既設額縁対向部53c、既設係合片53a、及び、既設挿入片53dの先端を当接させる。
【0051】
次に、下地下枠32の段部32eにカバー部材27をビス64にて固定する。このとき、下地縦枠33に固定されているカバー部材27の固定板部27a、屋外板部27b、外周板部27c、凹部形成部27dがそれぞれ突き合わされるように配置する。下地下枠32にカバー部材27を取り付けることにより、下地枠30より外周側の部位が繋がったカバー部材27にて覆われる。このとき、繋がったカバー部材27の屋外板部27bは同一平面を形成し、カバー部材27の外周側には外壁2と凹部形成部27dとにて全周に亘って空隙が形成される。
【0052】
次に、下地枠30の内周側に改装枠20を挿入し、下地下枠32の階段状に形成された部位に改装下枠22の下地当接部22d、屋内側脚部22e、中央脚部22fの下端が当接されるように配置する。このとき、中央脚部22fと屋外側脚部22gとの下端側が連結された連結部22h及び連結部22hと繋がって屋外側に延出された延出部22iと、下地下枠32に取り付けられたカバー部材27との間には、空隙が形成される。改装下枠22は、下地下枠32に屋内側からビス64にて固定する(改装枠取付工程)。
【0053】
また、改装上枠21の屋内側の下地当接部21dを下地上枠31の内側見付け壁部31bの屋外側の面に当接させるとともに、内側見付け壁部31bの内周側の面を覆う覆い部材25とともに改装上枠21をビス64にて固定する。また、下地当接部21dと改装内上レール21aとを繋ぐ部位においても内周側から外周側に進入するビス64にて改装上枠21を下地上枠31に固定する。このとき、改装内上レール21a側から改装網戸上レール21cの上端を繋ぐ部位の平坦な上面が、下地上枠31の改装枠当接面31dに当接されて、下地上枠31の段部31eに取り付けられたカバー部材27との間に空隙が形成される。
【0054】
また、左右の改装縦枠23は、下地当接部23cの外周側に延出された部位と中央延出部23hとを、下地縦枠33に設けられたカバー部材27の固定板部27aと下地縦枠33の改装枠当接面33dとに沿わせて挿入させる。このとき、固定板部27aと改装枠当接面33dとは、いずれも平坦でありほぼ同一平面を形成されているので、下地当接部23cと中央延出部23hとが案内されるように挿入される。左右の改装縦枠23を下地枠30の内周側に挿入して、下地当接部23cの屋内側の面を内側見付け壁部33bの屋外側の面に当接させるとともに、下地当接部23cを内側見付け壁部33bの内周側の面に当接させる。そして、内側見付け壁部33bの内周側の面を覆う覆い部材25とともに下地枠30にビス64にて固定する。
【0055】
改装枠20が下地枠30に固定された状態では、改装枠20の屋外側の部位とカバー部材27の固定板部27aとの間、及び、カバー部材27の凹部形成部27dと外壁2との間に全周に亘って空隙が形成されている。このため、最後に、空隙の奥側にバックアップ材65を備え、バックアップ材65の外側にシーリング剤66を充填して防水目地70を形成する(止水材配設工程)。
【0056】
上記実施形態の改装サッシユニット1によれば、改装枠20と外壁2との間を屋外側から覆うカバー部材27は、下地枠30に直接固定されているので、部品点数を低減することが可能であるとともにカバー部材27の取り付けが容易である。また、カバー部材27が、既設枠50と改装サッシ10との間に介在される下地枠30に固定されている位置は、カバー部材27と改装サッシ10の改装枠20との間に設けられた止水材の最も屋外側の縁としての防水目地70の表面70aより屋内側なので、改装サッシ10が取り付けられた後には、カバー部材27が固定されている部位は屋外側に露出しない。このため、カバー部材27を下地枠30に固定する簡単な構成として部品点数を削減するとともに、固定部が外部に露出しない、施工性及び意匠性に優れた改装サッシユニット1を提供することが可能である。
【0057】
また、カバー部材27と外壁2との間に防水目地70が形成されているので止水性に優れた改装サッシユニット1を提供することが可能である。また、防水目地70は、カバー部材27と外壁2との間にて改装サッシ10側に窪む凹部28に形成されているので、屋外側から改装サッシ10を見た際には防水目地70は見えにくい。このため、より意匠性に優れた改装サッシユニット1を提供することが可能である。
【0058】
また、カバー部材27が下地縦枠33の段部33eに設けられることにより、改装枠20が挿入される挿入開口を形成する下地縦枠33の改装枠当接面33dと、改装枠当接面33dに取り付けられたカバー部材27の固定板部27aの表面とが平坦になる。このため、改装枠20が挿入開口に挿入される際には、障害をなるものがないので、容易に改装枠20を挿入することが可能である。
【0059】
また、既設枠50に支持部材5及び下地枠30を介して取り付けられる改装サッシ10は、改装用の専用サッシでなくとも、固定ヒレ部27jを切除することにより、たとえば躯体3に直接取り付けられるような改装サッシであっても改装サッシとして用いることが可能である。
【0060】
また、下地枠30の屋内側に設けられ、開口の内側に向かって見付け方向に延出された延出部としての内側見付け壁部31b、33b及び下地下枠32の屋内側に露出する部位が、意匠性を有する意匠面34を備えているので、下地枠30を取り付けるだけで、意匠面34を屋内側に露出させることが可能である。このため、意匠性を有する他の部材を用いることなくとも屋内側からの意匠性に優れた改装サッシユニット1を提供することが可能である。
【0061】
また、上記改装サッシユニット1の取付方法によれば、改装枠20と外壁2との間を屋外側から覆うカバー部材27を下地枠30に直接固定するので、部品点数を低減することが可能であるとともにカバー部材27の取付工数を削減することが可能である。また、カバー部材27が固定された下地枠30を既設枠50に取り付け、下地枠30に改装枠20を取り付けて、カバー部材27と改装サッシ10との間に防水目地70を形成するので、改装枠20と外壁2との間を覆いつつ、止水性に優れた改装サッシ10を取り付けることが可能である。このとき、防水目地70は、最も屋外側の縁が、カバー部材27が下地枠30に固定されている位置より屋外側なので、防水目地70を形成するだけで固定部の屋外側への露出を防止することが可能である。このため、カバー部材27を下地枠30に固定する簡単な構成として部品点数を削減するとともに、固定部を外部に露出させないように改装サッシユニット1を取り付けることが可能である。
【0062】
本実施形態においては、下地枠30を木製としたが、必ずしも木製でなくても良く、例えば、合成木や合成樹脂であっても構わない。
【0063】
上記実施形態においては、止水材としてシーリング剤66を凹部28に充填して防水目地70を形成する例について説明したが、防水目地は、例えば成形された樹脂製のシール材を凹部に嵌合して形成しても良い。また、シーリング剤またはシール材が設けられた部位は、カバー部材27と外壁2との間に位置するため説明の便宜上「目地」としたが、カバー部材27と外壁2との間にて止水性が確保される構成であれば構わない。
【0064】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0065】
1 改装サッシユニット、2 外壁、10 改装サッシ、20 改装枠、
23j 固定ヒレ部、27 カバー部材、28 凹部、30 下地枠、31 下地上枠、
31b 内側見付け壁部、31d 改装枠当接面、31e 段部、32 下地下枠、
32e 段部、33 下地縦枠、33b 内側見付け壁部壁部、33d 改装枠当接面、
33e 段部、34 意匠面、50 既設枠、64 ビス、66 シーリング剤、
70 防水目地、70a 防水目地の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内外を連通する開口に設けられている既設サッシの既設枠に設けられる改装サッシユニットであって、
新たに設けられる改装サッシと、
前記既設枠と前記改装サッシとの間に介在される下地枠と、
前記下地枠に固定され、前記改装サッシの改装枠と前記開口が設けられている壁との間を室外側から覆うカバー部材と、を有し、
前記カバー部材は、当該カバー部材と前記改装サッシとの間に設けられた止水材の最も室外側の縁より室内側にて固定されていることを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の改装サッシユニットであって、
前記カバー部材は、前記壁とともに前記改装サッシ側に窪む凹部を形成し、
前記凹部に前記止水材が設けられていることを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の改装サッシユニットであって、
前記下地枠は、前記改装枠が挿入される挿入開口を形成する平坦な内周面を有し、
前記内周面には前記カバー部材が取り付けられて当該カバー部材の表面と前記内周面とが平坦になるような段部が設けられていることを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の改装サッシユニットであって、
前記改装枠は、開口に直接取り付けられる際に躯体に固定される固定ヒレ部を有し、
前記下地枠を介して取り付けられる際には、前記固定ヒレ部が切除されることを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の改装サッシユニットであって、
前記下地枠は、室内側の端部が開口の内側に向かって見付け方向に延出された延出部を有し、
前記延出部の室内側は、室内側に露出される意匠性を有する意匠面を備えていることを特徴とする改装サッシユニット。
【請求項6】
室内外を連通する開口に設けられている既設サッシの既設枠に設けられる改装サッシユニットの取付方法であって、
前記既設枠と新たに設けられる改装サッシとの間に介在される下地枠に、前記改装サッシの改装枠と前記開口が設けられている壁との間を室外側から覆うカバー部材を固定具にて取り付けるカバー部材取付工程と、
前記カバー部材が取り付けられた前記下地枠を前記既設枠に取り付ける下地枠取付工程と、
前記下地枠に前記改装サッシの前記改装枠を取り付ける改装枠取付工程と、
前記カバー部材と前記改装サッシとの間に、最も室外側の縁が前記固定具より室外側に位置する止水材を設ける止水材配設工程と、
を有することを特徴とする改装サッシユニットの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−12405(P2011−12405A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155414(P2009−155414)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】