説明

放出制御組成物

GnRH分子もしくはGnRH類似体の放出を制御する放出制御組成物が与えられる。組成物は、GnRH分子もしくはGnRH類似体を活性物質として含有し、組成物からのGnRH分子もしくはGnRH類似体の放出を制御するために制御放出成分を含有する。組成物は、被験体に投与されたときに少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5ng/mLの活性物質の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える。さらに、GnRH分子もしくはGnRH類似体の放出制御組成物の製造において、放出制御成分の使用が与えられる。放出制御成分は、製造された組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって少なくともおよそ1.5 ng/mLの活性物質の持続性平均定常状態血漿中濃度(Css)を与えることができる。放出制御成分にはポリマー材料および/または非ポリマー材料を含めることができる。組成物が被験体に投与されたとき、たとえば、埋め込まれたときに、組成物は活性物質を制御された様式で放出する。組成物を作製する方法も提供されるが、被験体においてGnRH分子もしくはGnRH類似体の制御された放出をもたらすために組成物を使用する方法も与えられる。好ましいポリマー材料はPLG、またはPLGとPEG誘導体(たとえばメトキシPEG)のコポリマーである。好ましい非ポリマー材料は、SAIBとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、ペプチドもしくはタンパク質の生物製剤、特にGnRHもしくはGnRH類似体の生物製剤を送達するための放出制御組成物の分野に属する。
【背景技術】
【0002】
活性物質の生分解性放出制御システムは当技術分野でよく知られている。薬物送達のための生分解性マトリックスは有用であるが、それは、薬物を放出し終わったデバイスを除去する必要性をあらかじめ回避するからである。
【0003】
放出制御システムに使用されるもっとも一般的なマトリックス材料は、ポリマーである。生分解性ポリマー分野は、ポリ乳酸の合成および生分解性がKulkarniら、(1966) Arch. Surg. 93:839によって報告されて以来、急速に発展した。放出制御システムのためのマトリックス材料として同様に有用であると報告されている他のポリマーの例には、ポリ酸無水物、ポリグリコリドおよびラクチド-グリコリドコポリマーといったポリエステル、ポリリジンのようなポリアミノ酸、ポリエチレンオキシドのポリマーおよびコポリマー、アクリル酸末端ポリエチレンオキシド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリアクリロニトリル、ならびにポリホスファゼンがある。たとえば、Langerの米国特許第4,891,225号および第4,906,474号(ポリ酸無水物);Hutchinsonの第4,767,628号(ポリラクチド、ラクチド-グリコリドコポリマー);Ticeらの第 4,530,840号(ポリラクチド、ポリグリコリド、およびコポリマー);ならびに第5,234,520号(Dunnら、歯周病治療における制御された送達のための生分解性ポリマー)を参照されたい。
【0004】
生体起源の生分解性材料はよく知られており、たとえば、架橋ゼラチンがある。ヒアルロン酸は架橋され、生物医学的応用のために分解可能な膨潤ポリマーとして使用されている(たとえば、米国特許第4,957,744号、およびDella Valleら、(1991) Polym. Mater. Sci . Eng., 62:731-735を参照されたい)。
【0005】
生分解性ヒドロゲルも、制御された送達システムにおいて使用する目的で開発され、ホルモン、酵素、抗生物質、抗腫瘍薬、および細胞懸濁液といった、生物学的に活性のある物質のキャリアとして有用である。たとえば、米国特許第5,149,543号を参照されたい。さらに、分散系も、現在、物質、特に生物学的に活性な化合物のキャリアとして用いられている。医薬品および化粧品製剤に使用される分散系は、懸濁液か乳濁液のいずれかに類別することができる。懸濁液は、懸濁化剤によって液体媒体中に分散した、数ナノメートルから数百ミクロンまでのサイズの固体粒子からなる。固体粒子は、微小粒子、マイクロカプセルなどである。乳濁液は一般に、ある液体が別の液体中に分散したものであり、界面活性剤および脂質といった、乳化剤の界面薄膜によって安定化されている。乳剤には、油中水型および水中油型エマルション、多重エマルション、マイクロエマルション、微小滴、およびリポソームがある。微小滴は、内側に油相のある球形の脂質層からなる単層リン脂質ベシクルであり、たとえば、米国特許第4,622,219号および第4,725,442号に記載されている。リポソームは、水不溶性極性脂質を水溶液と混合することによって調製される、リン脂質ベシクルである。不溶性脂質を水に混入することによって生じる、好ましくないエントロピーが、水溶液を封入した、中心に向かって閉じたリン脂質膜の非常に規則正しいアセンブリーを形成する。
【0006】
in situでインプラントを形成する多くの系が報告されている。たとえば、米国特許第4,938,763号には、非反応性、水不溶性の熱可塑性ポリマーを、生体適合性水溶性溶媒に溶解して液体とし、その液体を体内に入れ、溶媒を分散させて固体インプラントを生じさせることによって、インプラントを形成する方法が記載されている。ポリマー溶液は、注射器によって体内に入れることができる。このインプラントは、その周囲の空洞の形をとることができる。あるいはまた、インプラントは、反応性の液体オリゴマー性ポリマーから形成することができるが、これは溶媒を含有せず、通常、硬化触媒を添加することで、所定の位置で硬化して固体となる。
【発明の開示】
【0007】
GnRH分子もしくはGnRH類似体の放出を制御する放出制御組成物が与えられる。したがって、本発明の目的は、GnRH分子もしくはGnRH類似体、ならびに組成物からのGnRH分子もしくはGnRH類似体の放出を制御する制御放出成分を含んでなる、放出制御組成物を提供することである。この組成物は、被験体に投与されたときに少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5ng/mLの、GnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる。
【0008】
より詳細には、本発明の目的は、組成物投与後の被験体において少なくとも約48時間にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成するのに適した組成物を提供することであって、この血漿中濃度は、現在医療分野において用いられている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値よりかなり高い。これに関して、本発明の組成物は、組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも48時間にわたって少なくともおよそ1.5 ng/mL程度の、GnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができるが、組成物によっては、少なくともおよそ2.0 ng/mL以上の程度のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができ、他の組成物では少なくともおよそ2.5 ng/mL以上、さらに他の組成物では、少なくともおよそ3.0から5.0 ng/mL以上を達成することができる。本発明の新規組成物はすべて、投与後に被験体において少なくとも約48時間にわたって、こうした高い血漿中濃度を与えることができるが、組成物によっては、少なくとも約1週間以上、または少なくとも約2週間以上の期間にわたって上記濃度を達成することができ、さらに他の組成物においては、こうした血漿中濃度が少なくとも約1か月以上の期間にわたって達成される。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、GnRH分子もしくはGnRH類似体の放出制御組成物の製造において、放出制御成分の使用をもたらすことである。放出制御成分は、組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって少なくともおよそ1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常状態血漿中濃度(Css)を与えることができる。
【0010】
繰り返しになるが、本発明の目的は、より詳細には、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を、組成物投与後の被験体において少なくとも約48時間にわたって達成するのに適した組成物の製造において、放出制御成分の使用を提供することであって、この血漿中濃度は、現在医療分野において用いられている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値よりかなり高い。したがって、放出制御成分を用いて、組成物が被験体に投与されたときに少なくとも48時間にわたって少なくともおよそ1.5 ng/mL程度の、GnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができる組成物を作製することができるが、使用法によっては、そうして作製された組成物を用いて、少なくともおよそ2.0 ng/mL以上の程度の、GnRH分子もしくはGnRH類似体の持続する平均Cssを達成することができ、他の使用では、その組成物を用いて、少なくともおよそ2.5 ng/mL以上の平均Cssを達成することができ、またさらに他の組成物を、少なくともおよそ3.0から5.0 ng/mL以上の平均Cssを達成するよう作製することができる。本発明の実施に際して、放出制御成分を使用して、投与後に被験体において少なくとも約48時間にわたって、こうした高い血漿中濃度を与えることができる組成物を作製することができるが、他の組成物において、少なくとも約1週間以上、または少なくとも約2週間以上の期間にわたって上記濃度を達成することができ、さらに他の組成物においては、こうした血漿中濃度が少なくとも約1か月以上の期間にわたって達成される。
【0011】
本発明の組成物は、その投与方法に応じて、任意の適切な剤形で提供される。この点について、本発明の組成物は、経口剤形として提供され、経口経路で投与することができる(たとえば、硬カプセル剤および軟カプセル剤を含めたカプセル剤;顆粒剤、錠剤、丸剤、トローチ剤もしくは薬用キャンディー、カシェ剤、ペレット剤、散剤、粒子、微粒子(およびその他の任意の粒子形態)といった固形製剤として投与される)。あるいはまた、本発明の組成物は、非経口経路による投与に適した剤形で与えられることもある(たとえば、任意の腸管外経路、たとえば、IM(筋肉内)、皮下、経皮、内臓、IV (静脈内)、IP (腹腔内)、動脈内、莢膜内、腫瘍内、血管周囲、頭蓋内、眼周囲、膀胱内、膣内、尿道内、直腸内、および外膜経路、ならびに他の適当な剤形)。
【0012】
本発明のある態様において、組成物は埋め込みによる投与を目的とし、したがって、成形された固形の剤形、たとえば、球状、ロッド状、平板状、フィルム状、繊維状、針状、円筒状、シート状、チューブ状、粒子状、または他の適当な形状(微粒子、マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルを含む)で提供されることも可能である。組成物はさらに、特定の部位に適した任意の大きさ、および形状を有する埋込型デバイスとして与えられ、たとえば、(組成物から形成された、組成物を含有する、または組成物でコーティングされた)子宮インプラント、子宮周囲インプラント、スプリント、もしくはステントとして提供することができる。
【0013】
埋め込みに適した固形剤形として与えられた組成物を、望ましい部位に、外科的に、またはトロッカー、カテーテルなどを用いた侵襲の少ない方法によって、埋め込むことができる。したがって埋め込み可能な剤形を、皮内、真皮下、皮下、腹腔内、筋肉内、または管腔内に(たとえば、動脈内、静脈内、膣内、または直腸内にも)埋め込むといった、標準的な技法を用いて、こうした剤形を適当な組織内に埋め込むことができる。あるいはまた、固形剤形を、マトリックス、移植片、人工装具またはコーティングの一部として加工することができる。埋込型剤形が、粒子の形で、たとえば、微粒子、マイクロスフェアもしくはマイクロカプセルとして作製されれば、次にそれを、カニューレ、針付き注射器、または粒子懸濁液を注入できる同様の器具を用いて、適当な組織中に埋め込むことができる。
【0014】
本発明の他のある態様において、組成物は埋め込みによる投与を目的とするが、注射可能な剤形で、投与時または投与後にin situで、デポー、または固体もしくは半固体インプラントを形成するのに適した剤形として提供される。その際、剤形は流体もしくは液体組成物として与えられるが、適当な溶媒および/または流動化剤の添加によって流体もしくは液体状となることができる、固体もしくは半固体組成物として提供されることもある。これらの埋め込み型剤形は、乳濁液、ペースト、ゲル、スラリーもしくは液体として提供することができる。ある組成物において、組成物に添加された、または組成物中に存在する、1つもしくは複数の溶媒/流動化剤は、生体系に入って留置されると、組成物から離れて分散、拡散もしくは浸出することが可能であって、それによって残った組成物はその後、凝集または沈澱して、in sisuでデポー、半固体もしくは固体インプラントを形成することができる。
【0015】
埋め込みによる投与に適した剤形で提供される、本発明の組成物のいずれに関しても、活性物質(GnRH分子もしくはGnRH類似体)は一般に、放出制御成分と混合されて、ほぼ均一な組成物を与えることができる(たとえば、GnRH分子もしくはGnRH類似体は、たとえばモノリシックインプラント剤形において、放出制御成分内部に均一に分布する)が、活性成分を放出制御成分でコーティングし、コーティングされた固形剤形(たとえばロッド、同軸ロッド、粒子、球もしくはマイクロスフェア剤形)として提供することもできる。
【0016】
本発明のある態様において、組成物は1つの剤形として与えられ、投与される。たとえば、組成物はロッドもしくは繊維といった埋め込み型固形剤形として与えられる。他の態様において、組成物は複数の剤形として与えられ、投与される。たとえば、本発明の組成物は、埋め込み型固形剤形および注射用デポーの組み合わせとして与えられることがある。ある態様において、組成物は、単回投与単位として投与される単一の剤形として与えられるが、すなわち、1つの剤形を用いて、前記のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性定常血漿中濃度が与えられる。たとえば、ロッドもしくは繊維のような単一の埋め込み型固形剤形を被験体に投与して、本発明の望ましい薬物動態を与えることができる。別の場合には、単一剤形の複数の投与単位を投与して、前記のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性定常血漿中濃度が与えられるが、たとえば、複数(2以上)の埋め込み型固形剤形を同時投与、併用投与、または順次投与して、本発明の望ましい薬物動態を与える。本発明のまた別の態様において、複数の剤形(それぞれ単回投与単位に相当する)を同時に、併用して、または順次投与して、本発明の望ましい薬物動態を与えることができる。複数の剤形および/または単位を投与するたびに、それぞれの剤形もしくは単位に含まれるGnRH分子もしくはGnRH類似体の実際の用量は、同じであることも、異なることもある。このようにして、どのような、GnRH分子もしくはGnRH類似体の望ましい持続性定常血漿中濃度も、所定の被験体において、十分な用量の単一剤形および/または投与単位を投与することによって、または同一用量もしくは異なる用量のGnRH分子もしくはGnRH類似体を含有する複数の剤形および/または単位を組み合わせることによって、達成することができ、当該被験体において望ましい血漿中濃度を達成するのに十分な個別の用量に合わせて調整することができる。
【0017】
本発明の特定の態様において、放出制御組成物を作製するために使用される放出制御成分はポリマー材料を含んでなり、すなわち、放出制御成分は、ポリマー材料を含有する、もしくは実質的にポリマー材料から構成される。ある特定の組成物において、放出制御成分は、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-co-グリコール酸);ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、ならびにそれらのコポリマーからなる一群から選択されるポリマーを含んでなる。特定の組成物において、放出制御成分は、ABコポリマーであるポリマーを含んでなるが、このA成分はラクチド、グリコリド、もしくはカプロラクトンのコポリマーであり、B成分はポリアルキレングリコールである。
【0018】
本発明の他のある態様において、放出制御組成物を作製するために使用される放出制御成分は非ポリマー材料を含んでなり、すなわち、放出制御成分は、非ポリマー材料を含有する、もしくは実質的に非ポリマー材料から構成される。ある特定の組成物において、放出制御成分は、水に、または水性の生体系において、実質的に不溶性の非ポリマー材料を含んでなる。このような場合、組成物はさらに、水中で、または水性の系において、分散性、溶解性、もしくは混和性である溶媒を含有することができる。したがって、溶媒は、生体系に入って留置されると、組成物から離れて分散、拡散もしくは浸出することが可能な有機溶媒であってもよく、それによってキャリアはその後、凝集または沈澱して、in sisuで固形インプラントを形成することができる。
【0019】
本発明のまた別の態様において、非ポリマー材料は、液体キャリア材料、好ましくは高粘性液体キャリア材料("HVLCM")であって、これは37℃で少なくとも約5,000 cPの粘度を有し、外界条件または生理的条件下でそのままでは結晶化しない。こうした液体キャリア材料は、そのキャリア材料が溶解する溶媒と混合することができる。HVLCMを使用するならば、溶媒がHVLCMの粘度を低下させるのに十分であることが好ましい。ある組成物において、たとえばその組成物が乳濁液である場合、非ポリマー材料と混和しない追加の材料が含まれる。このような組成物において、非ポリマー材料は乳濁液の分散相または連続相のいずれかに存在しうる。
【0020】
本発明の各組成物中に、GnRH分子もしくはGnRH類似体活性物質は、組成物の総重量に対して少なくとも約10 wt%の量で存在することができる。他の組成物において、活性物質が存在する量は、組成物の総重量に対して少なくとも約15 wt%、20 wt%、25 wt%、もしくは30 wt%、またはそれ以上である。本発明のある態様において、組成物中のGnRH分子もしくはGnRH類似体の総量は(単一剤形および/または投薬単位としてであれ、複数の剤形および/または投薬単位としてであっても)、約1〜50 mgであり、他の組成物では約1.5〜40 mgであり、また別の組成物では約2〜40 mg、3〜35 mg、または5〜20 mgである。ある組成物において、活性物質は、GnRH類似体、たとえば、デスロレリン、トリプトレリン、ゴセレリン、およびロイプロリドである。
【0021】
本発明のある態様において、放出制御組成物は、GnRH分子もしくはGnRH類似体活性物質が、有意な、もしくは多大な初期バーストなしに組成物から放出されるように、構築されることが望ましいと思われる。この点に関して、活性物質の初期投与量の約50%未満が被験体への投与の約24-48時間以内に組成物から放出されるような、ある特定の組成物を提供することができるが、他の組成物では、この最初の期間に約40%未満が放出され、さらに別の組成物では約30%未満が放出される。本発明の別のある態様において、GnRH分子もしくはGnRH類似体活性物質は、実質的な遅延期間なしに、または最小限の遅延時間で組成物から放出される。上記の同じ組成物において、または他の組成物において、活性物質は、ゼロ次の、または一次の放出速度を与えるのに適した、制御された様式で放出される。
【0022】
本発明のもう一つの目的は、被験体において約48時間以上にわたって、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成する方法を与えることである。その方法は、必然的に上記放出制御組成物のうちいずれか1つを被験体に投与することを伴い、投与後に組成物は、被験体において少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える。
【0023】
より詳細には本発明の目的は、組成物を投与後に被験体において少なくとも約48時間にわたって、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成するのに適した方法を与えることであって、この血漿中濃度は、医療分野において現在用いられている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値より相当高い。したがって、本発明の方法を用いて、被験体に組成物を投与した後、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mL程度のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができるが、ある特定の方法では、少なくとも約2.0 ng/mL程度またはそれ以上のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができ、他の方法では少なくとも約2.5 ng/mL以上、そしてさらに別の方法では少なくとも約3.0-5.0 ng/mLまたはそれ以上を達成することができる。本発明の新規方法はすべて、被験体において投与後に少なくとも約48時間にわたって、上記の高い血漿中濃度を与えることができる。ある組成物において、上記濃度は少なくとも約1週間もしくはそれ以上、または少なくとも約2週間もしくはそれ以上の期間にわたって、達成可能であり、さらに別の組成物では、上記血漿中濃度は少なくとも約1か月もしくはそれ以上の期間にわたって達成される。
【0024】
本発明の方法において、任意の適当な手順で放出制御組成物を投与することができる。選択された剤形(1つもしくは複数)および選択された投与部位(1つもしくは複数)に応じて、低侵襲の手順を用いて、放出が求められる部位に組成物を送達し、または埋め込むことができる。こうした手順は、トロッカーもしくはカテーテルを用いた埋め込み、(たとえば、粉末、粒子、微粒子、マイクロスフェア、マイクロカプセルの)標準的な針付き注射器による注入、(たとえば、マトリックス、移植片、人工装具(器官)、もしくはコーティングの)植え込み、または外科的もしくは非外科的留置などを含めることができる。組成物は、GnRH分子もしくはGnRH類似体活性物質が一定の期間にわたって望ましい投薬量で放出され、目的とする期間にわたって求められる持続性平均Cssを達成するようにデザインされる。ある方法において、活性物質の放出が行われている間に、および/または完了した後に組成物が分解するように、適当な放出制御成分を用いて組成物を製造することができる。
【0025】
ある好ましい方法において、組成物は固形インプラントの形でGnRH分子もしくはGnRH類似体を含むように製剤される。組成物はその後、目的とする定常血漿中濃度を達成するために被験体に投与され、それによって被験体における性腺刺激ホルモン(LHもしくはFSH)の産生、機能、または活性に対して影響を及ぼす。
【0026】
本発明の利点は、放出制御組成物が、被験体への組成物の投与後、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mL程度のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができる点である。本発明のもう一つの利点は、異なる製剤形態をいくつでも提供し、さらに目的とする投与部位および医学的用途に応じて、幅広くさまざまな薬理学的放出特性を与えられるよう、その組成物が容易に構成されることである。
【0027】
本件開示、明細書および特許請求の範囲を読めば、上記および他の本発明の目的、態様および利点は、容易に当業者に想起されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明を詳細に説明する前に、当然のことながら本発明は、特定の例示された放出制御成分もしくはプロセスパラメータに(これらは当然変化しうるので)限定されない。これも当然のことながら、本明細書で使用される専門用語は、本発明の特定の実施形態を説明することだけを目的としており、限定するものではない。
【0029】
本明細書に引用されたすべての刊行物、特許および特許出願は、上記もしくは下記のいずれも参考としてその全体を本明細書に含めるものとする。
【0030】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形"a"、"an"および"the"は、内容から特に明確に指示されない限り、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。したがって、たとえば、「放出制御成分(単数)」への言及は、2つ以上のそうした成分の混合物を包含し、「作用物質(単数)」または「GnRH活性物質(単数)」への言及は、2つ以上のそうした物質の混合物を含んでおり、他も同様である。それに加えて、本明細書および特許請求の範囲において、指定された範囲が与えられる場合はいずれも、修飾語"about(約)"の使用が、その範囲によって指定されるすべての値もしくは量に適用される。したがって、「約1〜50 mg」という語句は、「約1から約50 mg」を意味し、「約3.0-5.0 ng/mL」は、「約3.0から約5.0 ng/mL」を意味するといったようなことである。
【0031】
本発明の目的は、活性物質としてGnRH分子もしくはGnRH類似体を含んでなり、加えて、組成物からの活性物質の放出を制御する放出制御成分を含んでなる、放出制御組成物を提供することである。この組成物は、被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる。
【0032】
より詳細には、本発明の目的は、組成物を投与後に被験体において少なくとも約48時間にわたって、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成するのに適した組成物を与えることであって、この血漿中濃度は、医療分野において現在用いられている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値より相当高い。
【0033】
本発明のもう一つの目的は、GnRH分子もしくはGnRH類似体の放出制御組成物の製造において、放出制御成分の使用を提供することである。放出制御成分は、組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも48時間にわたって少なくともおよそ1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常状態血漿中濃度(Css)を与えることができる。
【0034】
繰り返しになるが、本発明の目的は、より詳細には、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を、組成物投与後の被験体において少なくとも約48時間にわたって達成するのに適した組成物の製造において、放出制御成分の使用を提供することであって、この血漿中濃度は、現在医療分野において用いられている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値よりかなり高い。
【0035】
本発明のもう一つの目的は、被験体において約48時間以上にわたって、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成する方法を与えることである。その方法は、投与後に、投与された組成物が被験体において少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えるように、上記放出制御組成物のうちいずれか1つを被験体に投与することを必要とする。
【0036】
さらに、より詳細には本発明の目的は、組成物を投与後に被験体において少なくとも約48時間にわたって、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成するのに適した方法を与えることであって、この血漿中濃度は、医療分野において現在用いられている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値より相当高い。
【0037】
GnRH分子もしくはGnRH類似体(「GnRH活性物質」)の長期送達もしくは制御された送達に用いる放出制御組成物は現在、数多く利用することができる。このような組成物の大部分は、放出制御成分として生分解性の埋め込み型ポリマーシステムを使用し、こうした組成物は成形されたインプラント、もしくは粒子のデポーといった、固形製剤である。
【0038】
GnRHは受精能力の調節に非常に重要である。雄および雌において、GnRHは、視床下部から血流中に放出され、血液によって運ばれて下垂体に至り、そこで、性腺刺激ホルモン分泌細胞による、性腺刺激ホルモン、黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を引き起こし、さらにアンドロゲン、エストロゲン、およびプロゲスチンを調節する。GnRH分泌の重要な特徴はパルス放出であり、GnRHパルスの周波数(頻度)もしくは振幅(大きさ)がFSHおよび/またはLHを分泌するかどうかを制御し、分泌される相対量を制御する。GnRH類似体(アゴニスト)の作用の重要なメカニズムは、性腺刺激ホルモン分泌細胞の原形質膜における(脱感作による)GnRH受容体の減少、およびGnRHアゴニストによる長期にわたる受容体の占有に対応した、自然なダウンレギュレーションである。
【0039】
GnRHアゴニスト薬剤を用いて、さまざまな疾病が治療されてきた:たとえば、(前立腺癌のような)ホルモン依存性癌の治療、子宮内膜症の治療、早熟の治療、エストロゲン産生のコントロール、不妊治療などである。市販のGnRHアゴニスト製品の一般名および商標名の一部として、ロイプロリド(商標名:ルプロン(Lupron)(登録商標), Abbott/TAP; Viadur(登録商標), Alza)、ゴセレリン(商標名:ゾラデックス(Zoladex)(登録商標); Zeneca)、ブセレリン(Hoechst)、トリプトレリン(Decapeptylとしても知られている、D-Trp-6-LHRH およびDebiopharm.RTM.; Ipsen/Beaufour)、ナファレリン(商標名:Synarel(登録商標); Syntex)、ルトレリン(Wyeth)、シストレリン(Hoechst)、ゴナドレリン(Ayerst)およびヒストレリン(Ortho)、ルリベリン、desorelin、avorelin、cetrrelix、teverelix、ramorelix、ガニレリックス、antide、nictide、およびazalineが挙げられる。
【0040】
もっとも一般的なGnRH類似体薬剤は、ロイプロリドもしくはゴセレリンを基本とする埋め込み型放出制御製剤であり、前立腺癌または子宮内膜症の治療において、このインプラントが使用され、1か月から3か月間 GnRH活性物質の治療に有効な濃度をもたらす。ロイプロリドはジェネリック薬である。ルプロンは、生分解性ポリマーキャリア(ポリ乳酸”PLA")でカプセル化された、水溶性塩型のGnRH活性物質(酢酸ロイプロリド)を含有し、マイクロスフェアを形成している。このマイクロスフェアは凍結乾燥された後、IMで投与され、放出制御デポーインプラントを与える。ゾラデックスも水溶性塩型のGnRH活性物質(酢酸ゴセレリン)を含有するが、この活性物質は生分解性ポリマーマトリックス(D, L-乳酸グリコール酸コポリマー”PLGA")内に分散し、押出成形されて固形の放出制御インプラントとなる。
【0041】
ルプロンまたはゾラデックス放出制御組成物の投与は、結果的に下記の一般的な薬物動態をもたらす:投与時に、典型的には初期バースト期があり、ここで大量のGnRH活性物質が放出されて、投与の最初の24-48時間以内に最大血漿中濃度(Cmax)を与える;これに続く定常期には、GnRH活性物質の放出は少なくともある程度は一定となり、数週間から数ヶ月間にわたって定常血漿中濃度(Css)をもたらすのに十分である;その後血漿中濃度は徐々に低下して無くなる。ルプロンの投与によって約2〜16週間にわたって達成される、GnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)は、典型的には約0.2から1.0 ng/mLまでであるが、7.5, 22.5および30 mg用量で投与される市販の剤形からは典型的にはおよそ0.5 ng/mLの範囲である。初期バーストの間にルプロンインプラントから失われるGnRH活性物質の量はかなりのもので、場合によっては最初に与えられた全GnRH活性物質投与量の最大で50%に迫る。ゾラデックスの投与によって同じ期間にわたって達成される、GnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)も、約0.5 ng/mLである。このような低い定常血漿中濃度は概して、前立腺癌の治療といった一般的な治療に適していると考えられる。
【0042】
上記の市販の放出制御組成物からのGnRH活性物質の放出は、遅延、バーストおよび他の特徴を伴って起こる可能性があり、このためにこうした剤形は、実質的に一定の、ゼロ次もしくは一次放出特性を達成できない。これは、GnRH活性物質が一般に、DL-ポリラクチド-co-グリコリド("DL-PLG")のような、通常の疎水性ポリマー溶出制御材料に溶解しにくいためであり、そういったものとしてどうしても二相の組成物として与えられることになるが、こうした組成物において、量的に少ない成分(たとえばGnRH活性物質)は、大量の成分(たとえばDL-PLG)中に分散相として存在する。放出制御成分のさまざまな物理的および化学的性質のため、DL-PLGからのGnRH活性物質の放出は、ポリマーマトリックスを通した単純拡散によって起こるわけではない。むしろ放出は、組成物が水性環境におかれたときに形成される水性チャネルを通した拡散によって生じる。
【0043】
このように放出制御組成物からのGnRH活性物質の放出は、ポリマーの含水によって形成される水性チャネルを通した拡散によって生じることが最も多い。その結果得られた放出特性は、どちらかといえば二相性であって、2つの放出期間の間に、ペプチド放出がほとんど、または全くない期間がある。2つの放出期の間にある"dead"期は、治療上の目的が一般に1つもしくは複数の性腺刺激ホルモンの継続的抑制である場合、GnRH活性物質にとって特に問題である。
【0044】
"dead"期間を最小限にする、またはなくすためのアプローチには、組成物のペプチド含量を上げることがある。組成物のペプチド含量を増加させると、ペプチド粒子間の粒子間接触が増加して、孔隙ネットワークを広げることができるが、最初期(いわゆる初期バースト期)に放出されるペプチドの割合が増加して、もともと組成物中に与えられたGnRHのすべてではないにしても、結局かなりの量が消費される。放出は、典型的には、薬物分散モノリシックデバイスからの放出に関する周知のHigutiモデルに従い、時間平方根の速度論を示す。
【0045】
dead期間を最小限とし、より一定の薬物放出を達成するもう一つのアプローチには、比較的急速に分解するポリマー組成物の使用が挙げられる。たとえば、Hutchinsonの米国特許第4,767,628号、第5,004,602号、第5,366,734号は、GnRH活性物質の継続的放出組成物を記載するが、ここで、単量体比およびDL-PLGの分子量を慎重に選択することによって、最初の拡散制御放出期および次の分解制御放出期が部分的に重なるようにする。
【0046】
さらに別のアプローチとしては、生分解性ヒドロゲルの使用があるが、それによってポリマーマトリックスにおけるペプチド(たとえば、GnRH活性物質)透過性は有意に増加する。たとえば、Churchillの米国特許第4,526,938号および第4,942,035号は、GnRH活性物質および両親媒性ブロックコポリマーを含んでなる継続的放出組成物を記載するが、この場合、疎水性成分は生分解性であり、親水性成分は生分解性であってもなくてもよい。一般にこうした組成物は、結果として得られるポリマーが大量の水を吸収できるヒドロゲルとなるように比較的大量の親水性成分を含有する。
【0047】
Deghenghiの米国特許第6,159,490号は、1-12か月までの期間にわたって、ラクチドおよびグリコリドのコポリマーからGnRH活性物質(すなわち、GnRH類似体ロイプロリド)を送達するインプラントを作製する方法を記載する。Deghenghiの方法は、GnRH活性物質をポリマー放出制御成分と混合する湿式造粒法に関する。Pelletらの米国特許第6,217,893号は、ポリマーもしくはコポリマー放出制御成分(親水性を有するラクチドおよびグリコリド)を使用した、GnRH活性物質を含有する放出制御組成物を記載する。インプラントの調製についても、インプラントからの放出についても、実施例は与えられない。
【0048】
GnRH活性物質の放出制御組成物を作製するための上記および他のアプローチは、一定しない、もしくは大幅に変動しやすい放出動態を低下させるには十分であったかもしれないが、当技術分野はこれまで、本発明の組成物、すなわち本発明の組成物の範囲に含まれる、GnRH分子もしくはGnRH類似体の相当高い持続性平均定常血漿中濃度(CSS)を与えることができる組成物を、いかに作製すべきかについて考慮していない。この場合、被験体において少なくとも48時間の期間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLの定常血漿中濃度を達成することが望ましいが、場合によっては、少なくとも約2.0 ng/mL程度またはそれ以上、他の場合には少なくとも約2.5 ng/mL以上、さらに別の場合には約3.0-5.0 ng/mLが望ましい。その上、当技術分野はこれまで、次のような本発明の組成物を作製する方法について考慮していないが、その組成物は、上記の新規性のある高い血漿中濃度を、被験体において投与後少なくとも約48時間にわたって、場合によっては少なくとも約1週間以上、または少なくとも2週間以上、与えることができ、さらに別の場合には、こうした新規性のある高い血漿中濃度を、少なくとも約1か月以上にわたって達成することができる。
【0049】
それに加えて、当技術分野はこれまで、(上記の新規性のある高い血漿中濃度を列挙された期間にわたって与えることができる)本発明の組成物を作製する方法について考慮してこなかったが、この組成物はさらに、定常状態の期間に大きく変動しうる放出動態を少なくする、もしくはなくすように機能するものであって、たとえば組成物はGnRH活性物質を、長期間にわたって高濃度に放出し、二相性の放出動態ではなく、よりよく制御されたゼロ次もしくは一次放出動態を与える。
【0050】
この関連で、本発明に基づいて作製される組成物は、GnRH分子もしくはGnRH類似体の高い持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができるが、さらに、活性物質の、より一定した、または直線的な放出速度を可能にする。こうした組成物は、加水分解により生分解される疎水性ポリマー、たとえば、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、DL-PLGとともに製剤されるモノリシックインプラントとして与えられ、これらは少量の親水性ポリマーを組み込んでいる。疎水性ポリマー骨格に、少量の親水性ポリマー、たとえばポリ(エチレングリコール)、PEG、を好ましくは共有結合で組み込んだ、PLGのような疎水性ポリマーの使用は、特に有利な放出特性を与える。加えて、こうした材料の選定を、たとえばドライブレンディング、コンパウンディング(初回通過押出)、粉砕および再押出を含む単純なプロセスと組み合わせると、有利な放出特性をさらに与えることができる。モノリシックインプラント組成物は、ロッド状、針状、フィルム状、球状、円筒状、シート状、または他の形(微粒子、マイクロスフェア、および/またはマイクロカプセルなど)といった任意の形状とすることができる。好ましい製造プロセスは、ポリマー放出制御成分とGnRH活性物質を混合するために溶媒の使用を回避する。典型的な組成物は、一相性放出を与えるようにデザインされ、すなわち放出は典型的には直線的もしくはゼロ次であるが、初期”バースト”または”遅延”の影響が小さい、または影響のない、継続的な放出を含めることができる。
【0051】
「初期バーストなしで」という語句は、本明細書で使用される場合、言及されている特定の放出制御組成物が、通常の投与時に、組成物から、所定の最初の期間に大量に薬理学的に利用可能となる相当量のGnRH活性物質を放出しないことを意味する。当業者は、所定の組成物からの、GnRH活性物質の初期バーストの存在およびレベルを、当技術分野でよく知られている標準的な薬理試験法を用いて、容易に測定することができる。適当なin vitroバースト放出評価法には、標準的なバッファー、混合および加熱条件を用いたUSP II Paddle法がある。当該組成物のバースト放出特性はまた、標準的なin vivo試験法、たとえば動物被験体におけるGnRH活性物質の血漿中濃度を一定の期間にわたってモニターすることによって、容易に測定することができる。本発明の組成物において、好ましくはGnRH活性物質の約40-60%未満が、投与後最初の24-48時間以内に放出されるが、より好ましくは約30-50%未満であり、なおいっそう好ましくは約20-40%未満がこの最初の期間のうちに放出される。
【0052】
1.材料および組成物
A. GnRH活性物質
本明細書に記載の方法を含む従来のプロセスを用いて、基本的に任意のGnRH活性物質を適当な放出制御成分と混合して、組成物(およびそれに続く製剤)を形成することができる。したがって、本明細書で使用される場合、「GnRH活性物質」は、生物(ヒトもしくは動物被験体)に投与されたとき、局所および/または全身性作用によって、望ましい薬理学的および/または生理的効果を生じる、任意のGnRH分子もしくはGnRH類似体を包含するといえる。GnRH活性物質は、一般にペプチドもしくはタンパク質バイオ医薬品と称される。本明細書で使用される場合、「タンパク質」という用語は、ペプチド、ポリペプチド、コンセンサス分子、類似体、誘導体もしくはそれらの組み合わせを包含する。したがって、この用語は、ヒト起源であれ、動物起源であれ、組換え分子もしくは天然に存在する分子を包含し、天然、合成、半合成、または組換え作製のGnRH分子またはGnRH類似体を含む。
【0053】
本明細書で使用される場合、"GnRH類似体"という用語は、黄体形成ホルモン放出ホルモンの構造に類似したペプチド化合物を包含するものとする。GnRH類似体は、GnRHアゴニストであってもよい。
【0054】
本明細書で使用される場合、「GnRHアゴニスト」は、GnRH受容体を刺激して、黄体形成ホルモンおよび/またはFSHの放出が刺激されるようにする化合物を指すものである。GnRHアゴニストの例には、ロイプロリド(商標名:ルプロン(Lupron)(登録商標), Abbott/TAP; Viadur(登録商標), Alza)、ゴセレリン(商標名:ゾラデックス(Zoladex)(登録商標); Zeneca)、ブセレリン(Hoechst)、トリプトレリン(Decapeptylとしても知られている、D-Trp-6-LHRH およびDebiopharm.RTM.; Ipsen/Beaufour)、ナファレリン(商標名:Synarel(登録商標); Syntex)、ルトレリン(Wyeth)、シストレリン(Hoechst)、ゴナドレリン(Ayerst)およびヒストレリン(Ortho)、ルリベリン、desorelin、avorelin、cetrrelix、teverelix、ramorelix、ガニレリックス、antide、nictide、およびazalineがある。ロイプロリドアゴニストは、本発明の組成物に使用するのに特に好ましい。
【0055】
本発明の実施に際して、GnRH活性物質は、放出制御成分と組み合わせて、放出制御組成物を形成する。
【0056】
B.ポリマー放出制御成分
本明細書に記載の組成物は、さまざまな生体適合性、生分解性ポリマー放出制御成分を用いて作製することができる。本明細書に記載の「生分解性」は、ポリマーがin vivoで分解もしくは浸食されて、より小さな化学種となることを意味し、この分解は、たとえば、酵素的、化学的、および物理的プロセスの結果生じると考えられる。ある好ましい実施形態において、ポリマー放出制御成分は実質的に疎水性であって、加水分解によって分解する。「生体適合性」という用語は本明細書では、レシピエントすなわち被験体の身体に対して、有意な、有害な、もしくは不都合な影響を及ぼさない、ポリマーおよびポリマーの任意の分解産物を示すために使用される。
【0057】
本発明の組成物および方法において、使用に適した、生分解性ポリマーおよびオリゴマーの例には下記が含まれるが、それらに限定されない:ポリ(ラクチド);ポリ(グリコリド);ポリ(ラクチド-co-グリコリド);ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);およびポリ(乳酸-co-グリコール酸);ポリ(カプロラクトン);ポリ(リンゴ酸);ポリアミド;ポリ酸無水物;ポリアミノ酸;ポリオルトエステル;ポリエーテルエステル;ポリシアノアクリレート;ポリホスファジン;ポリホスホエステル;ポリエステルアミド;ポリジオキサノン;ポリアセタール;ポリケタール;ポリカーボネート;ポリオルトカーボネート;分解性ポリウレタン;ポリヒドロキシブチレート;ポリヒドロキシバレレート;ポリアルキレン オキザレート;ポリアルキレン スクシネート;キチン;キトサン;酸化セルロース;ならびに上記材料のいずれかからなるコポリマー、ターポリマー、ブレンド、組み合わせ、もしくは混合物。
【0058】
本明細書で使用される場合、「疎水性」は、実質的に水に溶解しにくいポリマーを指す。本明細書で使用される場合、「親水性」は、水溶性と考えられるポリマー、または水を吸収するための親和性を示すポリマーを指すが、コポリマーとして疎水性成分と共有結合している場合には、一般にそうではなくて、水を吸引する。
【0059】
本発明で使用するのに適した親水性ポリマーは、当技術分野でよく知られた、さまざまな市販品、天然起源もしくは合成起源から得ることができる。適当な親水性ポリマーにはポリアニオンがあるがそれに限定されない:ポリアニオンには、アルギン酸、アガロース、ヘパリンといったアニオン性多糖類;ポリアクリル酸塩;ポリメタクリル酸塩;エチレン無水マレイン酸コポリマー(半エステル);カルボキシメチルアミロース;カルボキシメチルセルロース;カルボキシメチルデキストラン;カルボキシメチルデンプン;カルボキシメチルキチン/キトサン;カルボキシセルロース;2,3-ジカルボキシセルロース;トリカルボキシセルロース;カルボキシ アラビアゴム;カルボキシ カラギーナン;カルボキシ ペクチン;カルボキシ トラガカントゴム;カルボキシ キサンタンガム;カルボキシ グアーガム;カルボキシ デンプン;ペントサンポリサルフェート;カードラン;イノシトール六硫酸;硫酸βシクロデキストリン;ヒアルロン酸;コンドロイチン6-硫酸;デルマタン硫酸;デキストラン硫酸;ヘパリン硫酸;カラギーナン;ポリガラクツロン酸;ポリリン酸;ポリアルデヒド-炭酸;ポリ-1-ヒドロキシ-1-スルホナート-プロペン-2;ポリスチレン・マレイン酸コポリマー;メソグリカン;スルホプロピル化ポリビニルアルコール;硫酸セルロース;硫酸プロタミン;リン酸化グアーガム;ポリグルタミン酸;ポリアスパラギン酸;ポリアミノ酸;およびこれらの任意の誘導体もしくは組み合わせが含まれる。当業者は、同様に本発明の範囲に含まれる他の親水性ポリマーを正しく評価することができる。
【0060】
本発明で使用するのに適したさまざまな水溶性ポリマーには、下記があるが、それらに限定されない:ポリ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリコール(PEG);プロピレングリコール;エチレングリコール/プロピレングリコール コポリマー;カルボキシルメチルセルロース;デキストラン;ポリビニルアルコール(PVOH);ポリビニルピロリドン;ポリ(アルキレンアミン);ポリ(アルキレンオキシド);ポリ-1, 3-ジオキソラン;ポリ-1,3,6-トリオキサン;エチレン/無水マレイン酸コポリマー;ポリアミノ酸;ポリ(n-ビニルピロリドン);ポリプロピレン オキシド/エチレン オキシド コポリマー;ポリオキシエチル化ポリオール;ポリビニルアルコール スクシナート;グリセリン;エチレン オキシド;プロピレン オキシド;ポロキサマー;アルコキシル化コポリマー;水溶性ポリアニオン;およびこれらの任意の誘導体もしくは組み合わせ。さらに、水溶性ポリマーは任意の適当な分子量を有し、分枝でも非分枝でもよい。
【0061】
本発明のある熟慮された組成物において、疎水性ポリマー成分は、親水性ポリマーもしくはモノマーとともにコポリマー化され、ポリマー放出制御システム、もっとも好ましくはブロックコポリマーを生じ、または親水性ポリマーとブレンドされて、ブレンドポリマー放出制御システムを生じる。これらの結果生じたポリマーシステムは、わずかに親水性を有すると特徴付けられるが、水性の系に浸漬した後にヒドロゲルを形成することはない。たとえば、本発明の組成物に用いるポリマーシステムは、ポリエチレングリコール(PEG)のような水溶性ポリマーを、典型的には重量比で25から30%までの量含有することができるが、Churchillによって記述されたヒドロゲルの特性は付与されず、一相性、もしくはゼロ次、もしくはほぼゼロ次の放出動態を示すデバイスをもたらす。そのシステムでPEGが使用される場合、好ましい分子量は、約700 Daから約500 kDaの間とすることができる。本発明のポリマー放出制御システムで使用する、他の特に好ましい親水性ポリマーには、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ(アルキレンアミン)、およびポリ(アルキレンオキシド)が含まれる。
【0062】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」および「ポリマーシステム」は、他に特に明記しない限りコポリマーおよびブレンドを包含する。こうしたポリマー材料は、グラフト共重合、縮重合、および重付加といった標準的な共重合技術によって、状況に応じて適当な触媒を用いて、作製することができる。上記の技法は、時間および温度に関しては、ポリマー技術分野でよく知られている従来の方法で実施することができる。あるいはまた、ポリマー放出制御成分は、ポリマーの標準的なブレンド技術、もしくはコポリマーのブレンド技術を用いて作製することができ、同様に時間および温度に関しては、ポリマー技術分野でよく知られている従来の方法で、実施することができる。
【0063】
ポリマー放出制御成分、製造方法、およびGnRH活性物質ローディングは、組成物が水性の系に接触し、もしくは浸漬されたとき、たとえば、固形剤形の放出制御組成物がin vivoで動物もしくはヒト被験体に埋め込まれたときに、ヒドロゲルを形成しないように選択される。放出制御成分として使用されるポリマーシステムは、親水性成分を含むことによって、純粋な疎水性ポリマー成分と比べて疎水性の低下を特徴とする。このことは、組成物による水の取り込み、ならびに組み込まれたGnRH活性物質の溶解および放出を促進し、遅延期間を回避して、直線的もしくはゼロ次の放出動態をもたらす。
【0064】
本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」という用語は、当技術分野での通常の用法で使用され、たとえば、水もしくは他の水性の系の存在下で膨潤し、水のない状態、もしくは水の量の減少した状態で縮み、その構造内部に有意な水の部分を保持することができ、しかも、一般に水に溶解しないポリマー材料もしくはポリマーシステムを指す。当業者には当然のことであるが、in vivoで動物もしくはヒトの被験体に埋め込まれる場合のように、水性の系に浸漬されたとき、ポリマーもしくはポリマーシステムがヒドロゲルとして機能するかどうか、たとえばヒドロゲルを形成するかどうかを決定するために使用することができる、いくつかの標準試験法がある。
【0065】
ポリマー放出制御成分およびGnRH活性物質は1つまたは複数の追加成分、たとえば、分散剤、充填剤、結合剤、担体、安定化剤、流動性改善剤、酸化防止剤、pH調整剤、抗刺激剤などとして機能することができる、製薬上許容される添加剤と組み合わせることができる。当業者には当然のことであるが、ある種の添加剤は、任意の特定の製剤において上記機能のうちの複数を果たすことができる。したがって、任意の数の適当な添加剤を本発明の組成物と混合し、もしくは組成物に組み込んで、増量性を与え、GnRH活性物質の放出速度を変化させ、水の取り込みを増加もしくは遅延させ、pHを制御し、構造的な支えを供与し、製造プロセスを容易にし、さらに当業者に知られている他の効用を促進することができる。「添加剤」という用語は、一般に、毒性が無く、組成物の他の成分と有害な形で相互作用しない、実質的に不活性の材料を指す。特定の添加剤が組成物中に存在する割合は、その添加剤を提供する目的、および添加剤自体の性質によって左右される。
【0066】
たとえば、GnRH分子およびGnRH類似体といったペプチドの安定化剤としても機能しうる適当な添加剤には、医薬品等級の右旋性グルコース、ショ糖、乳糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが含まれる。したがって、このような材料は、単糖類、二糖類、多糖類または糖アルコールのような炭水化物とすることができる。他に適当な添加剤としては、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムまたはカルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸、酒石酸、グリシン、およびそれらの組み合わせがある。水和および分解速度を遅らせるために放出制御組成物に加えることができる疎水性添加剤の例としては、脂肪酸、およびその製薬上許容される塩がある(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸およびパルミチン酸ナトリウム)。
【0067】
また、本発明の組成物において、荷電した脂質、および/または界面活性剤添加物を使用することも有用であると考えられる。適当な荷電脂質には、限定はしないが、ホスファチジルコリン(レシチン)などが含まれる。界面活性剤は、一般に、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤である。適当な界面活性剤の例は、例えば、Tergitol(登録商標)およびTriton(登録商標)界面活性剤(Union Carbide Chemicals and Plastics);ポリオキシエチレンソルビタン、例えば、TWEEN(登録商標)界面活性剤(Atlas Chemical Industries);ポリソルベート;ポリオキシエチレンエーテル、例えばBrij;製薬上許容される脂肪酸エステル、例えば、ラウリル硫酸およびその塩;両親媒性界面活性剤(グリセリド、など);ならびに同様の材料を包含する。
【0068】
他の添加剤を、孔隙率を変化させるために組成物に加えることができるが、これはたとえば、ショ糖、右旋性グルコース、塩化ナトリウム、ソルビトール、乳糖、ポリエチレングリコール、マンニトール、果糖、ポリビニルピロリドンまたはそれらの適切な組合せである。さらに、GnRH活性物質を、油(たとえば、ゴマ油、コーン油、植物油)、もしくはこれらとリン脂質(たとば、レシチン)との混合物、または中鎖脂肪酸トリグリセリド(たとえば、Miglyol 812)を用いて分散させ、油性懸濁液を与えることができる。
【0069】
本発明の組成物に組み込むことができる、さらに別の添加剤には、さまざまなバッファー成分からなる希釈剤(たとえば、Tris-HCl、酢酸塩);pHおよびイオン強度を変化させる物質;酸化防止剤(たとえば、アスコルビン酸、グルタチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム)のような添加物;防腐剤(たとえば、チメロサール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン);ならびに、水溶性多糖類(たとえば、マンニトール、乳糖、ブドウ糖、デンプン)、ヒアルロン酸、グリシン、フィブリン、コラーゲンおよび無機塩(たとえば、塩化ナトリウム)といった分散剤がある。
【0070】
C. 非ポリマー放出制御成分
本発明の放出制御組成物は、別法として、さまざまな生体適合性、生分解性非ポリマー放出制御成分を用いて作製することができる。本明細書に記載の「生分解性」は、非ポリマー材料が、in vivoで分解もしくは浸食されて、小さな化学種となることを意味し、こうした分解は、たとえば、酵素的、化学的、および物理的プロセスの結果生じるものである。「生体適合性」という用語は本明細書では、レシピエントすなわち被験体の、身体に対して、有意な、有害な、もしくは不都合な影響を及ぼさない、非ポリマー材料およびその任意の分解産物を示すために使用される。
【0071】
適当な非ポリマー放出制御成分の選択は、本開示および明細書により与えられる教示および指針を使用して、当技術分野の一般技術の範囲に含まれる。たとえば、液体、スプレー、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、スラリー、油、エマルション、マイクロエマルション、固体、硬膏、フィルム、粒子、微粒子、粉末、または他の適当な形態の医薬製剤を作製するために、多くの製薬上許容される非ポリマーキャリアシステムが、当業者に利用可能である。上記および他のキャリアシステムは、たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、1980、および第17版、1985、いずれもMack Publishing Company, Easton, PAより刊行、に記載されている。
【0072】
本発明の放出制御組成物は、1つまたは複数の追加成分、たとえば、分散剤、充填剤、結合剤、担体、安定化剤、流動性改善剤、酸化防止剤、pH調整剤、抗刺激剤などとして機能しうる製薬上許容される添加剤をさらに包含することができる。当業者には当然のことであるが、ある特定の添加剤は、任意の個別製剤において上記機能のうちの複数を果たすことができる。したがって、任意の数の適当な添加剤を本発明の放出制御組成物と混合し、もしくは放出制御組成物に組み込んで、増量性を与え、GnRH活性物質の放出速度を変化させ、水の取り込みを増加もしくは遅延させ、pHを制御し、構造的な支えを与え、製造プロセスを容易にし、さらに他の既知の効用を促進することができる。特定の添加剤が組成物中に存在する割合は、その添加剤を提供する目的、および添加剤自体の性質によって左右される。
【0073】
たとえば、GnRH活性物質の安定化剤としても機能しうる適当な添加剤には、医薬品等級の右旋性グルコース、ショ糖、乳糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、デキストランなどが含まれる。したがって、このような安定化剤は、単糖類、二糖類、多糖類または糖アルコールのような炭水化物とすることができる。他の適当な添加剤としては、デンプン、セルロース、リン酸ナトリウムまたはカルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸、酒石酸、グリシン、およびそれらの組み合わせがある。水和および分解速度を遅らせるために放出制御組成物に加えることができる疎水性添加剤の例としては、脂肪酸、およびその製薬上許容される塩がある(たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、パルミチン酸およびパルミチン酸ナトリウム)。
【0074】
また、非ポリマー放出制御成分に加えて、荷電した脂質、および/または界面活性剤添加物を使用することも有用であると考えられる。適当な荷電脂質には、限定はしないが、ホスファチジルコリン(レシチン)などが含まれる。界面活性剤は、一般に、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性界面活性剤である。適当な界面活性剤の例は、例えば、Tergitol(登録商標)およびTriton(登録商標)界面活性剤(Union Carbide Chemicals and Plastics);ポリオキシエチレンソルビタン、例えば、TWEEN(登録商標)界面活性剤(Atlas Chemical Industries);ポリソルベート;ポリオキシエチレンエーテル、例えばBrij;製薬上許容される脂肪酸エステル、例えば、ラウリル硫酸およびその塩;両親媒性界面活性剤(グリセリド、など);ならびに同様の材料を包含する。
【0075】
他の添加剤を、非ポリマー放出制御成分の孔隙率を変化させるために加えることができるが、これはたとえば、ショ糖、右旋性グルコース、塩化ナトリウム、ソルビトール、乳糖、ポリエチレングリコール、マンニトール、果糖、ポリビニルピロリドンまたはそれらの適切な組合せである。さらに、GnRH活性物質を、油(たとえば、ゴマ油、コーン油、植物油)、もしくはこれらとリン脂質(たとば、レシチン)との混合物、または中鎖脂肪酸トリグリセリド(たとえば、Miglyol 812)を用いて分散させ、油性懸濁液を与えることができる。
【0076】
本発明の組成物に組み込むことができる、さらに別の添加剤には、さまざまなバッファー成分からなる希釈剤(たとえば、Tris-HCl、酢酸塩);pHおよびイオン強度を変化させる物質;酸化防止剤(たとえば、アスコルビン酸、グルタチオン、メタ重亜硫酸ナトリウム)のような添加物;防腐剤(たとえば、チメロサール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン);ならびに、水溶性多糖類(たとえば、マンニトール、乳糖、ブドウ糖、デンプン)、ヒアルロン酸、グリシン、フィブリン、コラーゲンおよび無機塩(たとえば、塩化ナトリウム)といった分散剤がある。
【0077】
本発明のある実施形態において、非ポリマー放出制御成分は、実質的に、水もしくは水性の生体系に不溶性である。こうした非ポリマーキャリア材料の例には下記が含まれるが、それらに限定されない:ステロール類、たとえばコレステロール、スチグマステロール、β-シトステロールおよびエストラジオール;コレステリルエステル類、たとえばステアリン酸コレステリル;C12-C24脂肪酸、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、およびリグノセリン酸;C18-C36モノ-、ジ-、およびトリ-アシルグリセリド、たとえば、モノオレイン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノドコサン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノデセン酸グリセリル、ジパルミチン酸グリセリル、ジドコサン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジデセン酸グリセリル、トリドコサン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリデセン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリン、およびそれらの混合物;ショ糖脂肪酸エステル、たとえば、ジステアリン酸スクロースおよびパルミチン酸スクロース;ソルビタン脂肪酸エステル、たとえば、 モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、およびトリステアリン酸ソルビタン;C16-C18脂肪アルコール、たとえば、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、およびセトステアリルアルコール;脂肪アルコールと脂肪酸のエステル、たとえば、パルミチン酸セチルおよびパルミチン酸セテアリル;脂肪酸の無水物、たとえば無水ステアリン酸;リン脂質、たとえばホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、およびそのリゾ誘導体; スフィンゴシンおよびその誘導体;スフィンゴミエリン、たとえば、ステアリル、パルミトイル、およびトリコサノイル スフィンゴミエリン;セラミド、たとえば、ステアリルおよびパルミトイルセラミド;スフィンゴ糖脂質;ラノリンおよびラノリンアルコール;ならびに、それらの組み合わせ、および混合物。特定の好ましい非ポリマーキャリアとしては、コレステロール、モノステアリン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリン、ステアリン酸、無水ステアリン酸、モノオレイン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、およびアセチル化モノグリセリドが挙げられる。
【0078】
本発明の組成物に使用するために、上記の非ポリマー放出制御成分の1つまたは複数が選択されれば、それを、典型的には非ポリマー材料に適合した適切な有機溶媒と混合し、水様から粘稠まで多様な粘稠度を有する組成物を形成して、広げることのできるパテもしくはペーストとすることができる。組成物の粘稠度は、溶媒中の非ポリマー材料の溶解性、非ポリマー材料の濃度、GnRH活性物質の濃度、ならびに/または、添加物および添加剤といった要因によってさまざまとなる。特定の溶媒中の非ポリマー材料の溶解性は、その結晶性、親水性、イオン性、および親油性といった要因に応じて変化する。したがって、溶媒中の非ポリマー材料のイオン性および濃度を、望ましい溶解性を達成するように調整することができる。放出制御成分として使用するのに好ましい非ポリマー材料は、結晶性が低く、非極性であって、疎水性の比較的高いものである。
【0079】
組成物に使用するのに適した有機溶媒は、概して、生体適合性で、製薬上許容され、選択された非ポリマー材料を少なくともある程度は溶解することができる溶媒である。この有機溶媒は、さらに、混和性から、可溶性、分散性までさまざまな水に対する溶解性を示す。ある実施形態において、溶媒は、水性の系においてin situで組成物から離れて、投与部位に存在する液体中に、拡散、分散、もしくは浸出することができるように選択され、それによって固形インプラントを形成する。好ましくは、非ポリマー材料は、投与(埋め込み)後約1-5日以内に、好ましくは約1-3日以内に、好ましくは約2時間以内に、in situで凝固して固形マトリックスとなる。それに加えて溶媒は、好ましくは約9-13(cal/cm3)1/2のヒルデブラント(HLB)溶解比を有し、溶媒の極性度は、少なくとも約5%の水に対する溶解度を与えるのに有効である。
【0080】
したがって、適当な有機溶媒には下記が含まれるがそれに限定されない:置換複素環式化合物、たとえば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)および2-ピロリドン (2-ピロール);炭酸とアルキルアルコールのエステル、たとえば、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、および炭酸ジメチル;脂肪酸、たとえば、酢酸、乳酸およびヘプタン酸;モノ-、ジ-、およびトリ-カルボン酸のアルキルエステル、たとえば、酢酸2-エトキシエチル、酢酸エチル、酢酸メチル、乳酸エチル、酪酸エチル、マロン酸ジエチル、グルコン酸ジエチル、クエン酸トリブチル、コハク酸ジエチル、トリブチリン、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジメチル、コハク酸ジメチル、シュウ酸ジメチル、クエン酸ジメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、三酢酸グリセリル;アルキルケトン類、たとえば、アセトンおよびメチルエチルケトン;エーテルアルコール類、たとえば、2-エトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテル、グリコフロールおよびグリセリンホルマール;アルコール類、たとえばエタノールおよびプロパノール;ポリヒドロキシアルコール類、たとえば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール (PEG)、グリセリン(グリセロール)、1,3-ブチレングリコール、およびイソプロピリデングリコール;Solketal(ソルケタール)(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソロン-4-メタノール);ジアルキルアミド類、たとえば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド;ジメチルスルホキシド(DMSO)およびジメチルスルホン;テトラヒドロフラン;ラクトン類、たとえば、ε-カプロラクトンおよびブチロラクトン;環状アルキルアミド類、たとえば、カプロラクタム;芳香族アミド類、たとえば、N,N-ジメチル-m-トルアミド、および1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン;など;ならびにこれらの混合物および組み合わせ。好ましい溶媒には、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、炭酸プロピレン、グリコフロール、グリセリンホルマール、およびイソプロピリデングリコールがある。
【0081】
有機溶媒は、組成物の総重量に対する重量比(wt%)で約99.5から約1パーセント、約95-10 %、約75-25 %、または約60-40 %の量として組成物中に与えられるが、それは組成物に使用されている、選択された非ポリマー放出制御成分、有機溶媒、GnRH活性物質、添加物および/または添加剤によって決まる。
【0082】
選択された特性を組成物に付与するために、非ポリマー放出制御成分とともに、いくつかの適当な添加物を組成物に含めることができる。たとえば、組成物は、より凝集性の高い固形インプラントを与えるために、または、凝固する間適切な位置に保持できるよう、より粘性の高い組成物を与えるために、少量の生分解性、熱可塑性ポリマー、たとえば、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリグリコリド、またはこれらのコポリマーを含有することができる。こうした熱可塑性ポリマーは、Dunnらの米国特許第4,938,763号に記載されている。
【0083】
状況に応じて、孔形成剤を組成物中に含めることができる。孔形成剤は、実質的に水もしくは体液に溶解する、有機もしくは無機の製薬上許容される任意の物質とすることができ、インプラント部位の周囲の体液中に、非ポリマー放出制御成分材料および/またはインプラントの固形マトリックスから拡散するものである。孔形成剤は、好ましくは、有機溶媒に不溶性で、非ポリマー材料と均一な混合物を形成することができる。孔形成剤はまた、速やかに分解して水溶性物質となる水非混和性物質であってもよい。ある組成物において、孔形成剤は、混合した状態で非ポリマー材料および有機溶媒と組み合わされる。組成物に使用することができる、適当な孔形成剤には、たとえば、ショ糖およびデキストロースといった糖類、塩化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムといった塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドンといったポリマーなどが含まれる。決まった孔径を与える固体結晶、たとえば、塩もしくは糖が好ましい。
【0084】
本発明の他の実施形態において、非ポリマー放出制御成分が液体であるような組成物が与えられる。液体非ポリマー材料は、好ましくは、非水溶性で、37℃で少なくとも5,000 cP(状況に応じて少なくとも10,000, 15,000; 20,000; 25,000もしくは50,000 cP)の粘度を有し、外界条件もしくは生理的条件下でそのままでは結晶化しない、高粘性液体キャリア材料("HVLCM")である。「非水溶性」という用語は、外界条件下で重量比1%未満程度まで、水に溶解する物質を意味する。「非ポリマー」という用語は、エステルの酸部分に、基本的に繰り返しユニットのないエステルもしくは混合エステル、ならびに、酸部分の機能ユニットが少数回反復される(すなわち、オリゴマー)ような、酸部分を有するエステルもしくは混合エステルを意味する。一般に、エステルの酸部分に、6以上の同一で隣接する繰り返しユニットもしくは単位(mer)を有する液体材料は、本明細書で使用される「非ポリマー」という用語から除外されるが、二量体、三量体、四量体、または五量体はこの用語の範囲に含まれる。エステルが、乳酸もしくはグリコール酸のように、さらにエステル化することができる、ヒドロキシル基を有するカルボン酸から形成される場合、繰り返しユニットの数は、乳酸もしくはグリコール酸部分の数ではなく、ラクチドもしくはグリコリド部分に基づいて算出され、この場合、1つのラクチド繰り返しユニットは、それぞれのヒドロキシおよびカルボキシ部分によってエステル化された2つの乳酸部分を含有し、1つのグリコリド繰り返しユニットは、それぞれのヒドロキシおよびカルボキシ部分によってエステル化された2つのグリコール酸部分を含有する。エステルのアルコール部分に1から約20個のエーテル化されたポリオールを有する、またはそのアルコール部分に1から約10個のグリセロール部分を有するエステルは、本明細書で使用される場合、非ポリマーと見なされる。
【0085】
本発明の特定の実施形態において、HVLCMは、溶媒と混合すると場合によってはかなり粘性が低下し、標準的な医療用具で投与することができる低粘性液体キャリア材料("LVLCM)となる。LVLCM組成物は、一般に、注射器もしくは他の注入装置に、より容易に流入および流出するため、HVLCM組成物よりも体内に入れやすい。またこれは乳濁液として容易に調剤することができる。LVLCMは、望ましいどのような粘性を有することもできるが、その粘性は一般に、対応するHVLCMより低い。一例として、約6,000 cP未満、約4,000 cP未満、約1,000 cP未満、もしくは200 cP未満のLVLCMの粘度範囲が、典型的にはin vivo適用に有用である。
【0086】
本発明の組成物に使用される特定の非ポリマーHVLCM放出制御組成物は、1つもしくは複数のさまざまな材料とすることができる。適当な材料としては、1つもしくは複数のカルボン酸の非ポリマー性エステルもしくは混合エステルがある。特定の実施形態において、エステルはカルボン酸から形成されるが、このカルボン酸は約2から約20個のヒドロキシ部分を有するポリオールでエステル化され、1から20個のエーテル化されたポリオールを有することができる。HVLCMのエステルの酸部分を形成するのに特に適したカルボン酸には、1つもしくは複数のヒドロキシ基を有するカルボン酸、たとえば、ラクトンもしくは環状カーボネートの開環アルコリシスによって、またはカルボン酸無水物のアルコリシスによって得られるカルボン酸が含まれる。ポリオールを有するエステルを形成するために、アミノ酸も適している。特定の実施形態において、エステルもしくは混合エステルは、環状無水物のようなカルボン酸無水物のアルコリシスによって得られる、1つもしくは複数のカルボン酸でエステル化された、1つもしくは複数の末端ヒドロキシ部分を有するアルコール部分を含有する。
【0087】
エステル化してHVLCM非ポリマー放出制御成分を形成することができる適当なカルボン酸の限定的でない例としては、グリコール酸、乳酸、ε-ヒドロキシカプロン酸、セリン、および任意の対応するラクトンもしくはラクタム、トリメチレンカーボネート、ならびにジオキサノンが挙げられる。ヒドロキシル基を有する酸は、それ自体、そのヒドロキシ部分と追加のカルボン酸との反応によってさらにエステル化することができるが、このカルボン酸は当該材料の他のカルボン酸部分と同一でも、異なっていてもよい。適当なラクトンには、グリコリド、ラクチド、ε-カプロラクトン、ブチロラクトン、およびバレロラクトンが含まれるがそれに限定されない。適当なカーボネートには、トリメチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネートがあるがそれに限定されない。
【0088】
ある特定の実施形態において、HVLCM非ポリマー放出制御成分は、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、または、1つもしくは複数のアルカン酸部分を有する糖アルコール部分の他のエステルとすることができる。
【0089】
HVLCM非ポリマー放出制御成分に、粘性を低下させる溶媒を混合して、LVLCMとなった組成物において、溶媒は、水溶性、非水溶性、または水混和性とすることができ、アセトン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、N-(β-ヒドロキシエチル)ラクトアミドブチレングリコール、カプロラクタム、カプロラクトン、コーン油、デシルメチルスルホキシド、ジメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オン、エタノール、酢酸エチル、乳酸エチル、オレイン酸エチル、グリセロール、グリコフロール(テトラグリコール)、ミリスチン酸イソプロピル、酢酸メチル、メチルエチルケトン、N-メチル-2-ピロリドン、MIGLYOL(登録商標)(カプリル酸および/またはカプリン酸と、グリセロールもしくはアルキレングリコールとのエステル、たとえば、MIGLYOL(登録商標)810もしくは812 (カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、MIGLYOL(登録商標)818 (カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド)、MIGLYOL(登録商標)829 (カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド)、MIGLYOL(登録商標)840 (ジカプリル/カプリン酸プロピレングリコール))、オレイン酸、ピーナッツ油、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、2-ピロリドン、ゴマ油、SOLKETAL ([±]-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール)、テトラヒドロフラン、TRANSCUTOL(登録商標)(ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カービトール)、トリアセチン、クエン酸トリエチル、フタル酸ジフェニル、およびこれらの組み合わせを含めることができる。さらに、組成物が、たとえば局所適用のために、エアロゾルとして使用されるならば、溶媒は、1つもしくは複数の噴射剤、たとえば、トリクロロフルオロメタンおよびジクロロフルオロメタンのようなCFC噴射剤、テトラフルオロエタン(R-134a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(R-227)、ジメチルエーテル、プロパン、およびブタンといった非CFC噴射剤であってもよく、またはそれらを含有することができる。
【0090】
特に好適な溶媒、および/または噴射剤には、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、グリセロール、グリコフロール(テトラグリコール)、N-メチル-2-ピロリドン、MIGLYOL(登録商標)810、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、2-ピロリドン、およびテトラフルオロエタンがある。他に考えられる溶媒としては、パーフルオロデカリン、パーフルオロトリブチルアミン、メトキシフルラン、グリセロールホルマール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジグリム、およびジメチルイソソルバイドが挙げられる。
【0091】
ある組成物において、選択された溶媒は少なくとも水溶性であって、その結果溶媒は、投与時に体液または他の水性環境中に速やかに拡散し、組成物の凝固、および/または粘稠化を引き起こす。別の実施形態において、溶媒は水もしくは体液と完全には混和せず、その結果、組成物からの溶媒の拡散、およびそれに対応する組成物の粘性増加は遅くなる。
【0092】
本発明のさらに別の組成物において、組成物はHVLCMと混和しない材料を含有し、HVLCMと単独で混合したとき、またはHVLCM用の溶媒と併せて混合したときに、結果として得られる組成物は乳濁液となる。このような乳濁液は、水中もしくはグリセロール中で乳化されたSAIB/MIGLYOL混合物の場合のように、HVLCMを分散相に含有することができるが、HVLCM中で乳化された水溶液、もしくは水混和性溶媒中のHVLCM溶液の場合のように、HVLCMを連続相の成分として含有してもよい。
【0093】
D. 剤形
本発明の放出制御組成物は、一般的な意味では、上記のように、GnRH活性物質を適当な放出制御成分と組み合わせて形成されるが、得られた組成物はGnRH活性物質の制御された放出をもたらし、この組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5ng/mLの活性物質の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を達成する。
【0094】
本発明の組成物の個別の処方は、本明細書および請求の範囲の記載を用いて応用すれば、医薬品分野の一般的な技術の範囲内である。したがって、組成物投与後の被験体において少なくとも約48時間にわたってGnRH活性物質の治療上有効な血漿中濃度を達成する、適切な剤形を提供することが可能であり、この血漿中濃度は、現在医療分野において用いられている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値よりかなり高い。そこで、こうした剤形を使用して、この剤形が被験体に投与されたとき、少なくともおよそ48時間にわたって少なくともおよそ1.5 ng/mL程度の、GnRH活性物質の持続性平均Cssを達成することができるが、剤形によっては、少なくともおよそ2.0 ng/mL以上の程度の、GnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができ、他の剤形では少なくともおよそ2.5 ng/mL以上、さらに他の剤形では、少なくともおよそ3.0から5.0 ng/mL以上を達成することができる。本発明の新規組成物を含んでなる剤形のすべてが、投与後に被験体において少なくとも約48時間にわたって、こうした高い血漿中濃度を与えることができるが、場合によってはこうした濃度は、少なくとも約1週間以上、または少なくとも約2週間以上の期間にわたって達成可能であり、さらに他の場合には、こうした血漿中濃度が少なくとも約1か月以上の期間にわたって達成される。
【0095】
本発明のある好ましい実施形態において、剤形はGnRH活性物質とポリマー放出制御成分とを組み合わせることによって作られる。したがって、適当な剤形は、疎水性ポリマー放出制御成分が親水性ポリマーもしくはモノマーと共重合して、適当なコポリマーシステム、もっとも好ましくはブロックコポリマーを生成したときに、または疎水性ポリマー成分が親水性ポリマーとブレンドされて適当なブレンドポリマーシステムを生じたときに、製造することができる。ポリマーシステムは、グラフト共重合、縮重合、および重付加といった標準的な共重合技術によって、状況に応じて適当な触媒を用いて、作製することができる。こうした技術は、時間および温度に関しては、ポリマー技術分野でよく知られている従来の方法で実施することができる。あるいはまた、ポリマーシステムは、ポリマーの標準的なブレンド技術、もしくはコポリマーのブレンド技術を用いて作製可能であり、同様に手順の時間および温度に関しては、従来の方法で実施することができる。
【0096】
ポリマーシステムそれ自体の中に、疎水性および親水性成分が任意の適当な比率で存在することができるが、各成分の具体的な量は、それぞれ、各成分の疎水性もしくは親水性の相対的な程度に基づいて選択される。GnRH活性物質の一相性の、あるいはゼロ次の、あるいはほとんどゼロ次の放出動態を示す、こうした剤形を作製することができる。
【0097】
ある好ましい組成物において、放出制御成分として使用されるポリマーシステムは、コポリマーもしくはポリマーブレンドであって、これは、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、およびそれらの任意のコポリマーからなる一群から選択される疎水性成分を含んでなる。
【0098】
他のある好ましい組成物において、放出制御成分として使用されるポリマーシステムはコポリマーもしくはポリマーブレンドであって、これは、ポリ(アルキレングリコール)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ(アルキレンアミン)、ポリ(アルキレンオキシド)またはそれらの任意のコポリマーから選択される親水性成分を含んでなる。これに関して、親水性成分は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)とすることができるが、ある特定の場合には、親水性成分は、約700 Daから約500 kDaまでの分子量を有するPEGである。
【0099】
ある具体的な実施形態において、放出制御成分として使用されるポリマーシステムは、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、および分子量750のPEGから形成されるABブロックコポリマーであり、このPEGはポリマーシステム中に重量比で約1.25%存在する。
【0100】
ひとたび適当なポリマーシステムが選択されたならば、GnRH活性物質をポリマーシステムに組み込む前に、またはそれと同時に、共重合またはポリマーブレンディングステップを実施することができる。このように、GnRH活性物質は、標準的な技法によって、ポリマー放出制御成分と組み合わされて剤形を形成する。GnRH活性物質は、本発明の組成物中に、重量比約0.1%から約80%以上までの範囲の量含まれるように、放出制御成分と組み合わされるが、ただし、GnRH活性物質は典型的には、重量比で約0.3%から約70%までの量、たとえば、約10%から約60%まで、または約20%から約55%までの量存在することができる。実際の量は、選択されたGnRH活性物質の活性、求められる用量、求められる放出持続期間、投与頻度、および他の変数によって決まる。当業者は、選択されたGnRH活性物質の有効な量を、組成物の投与、ならびに望ましい治療効果、薬理効果または診断効果の観察によって確認することができる。したがって、剤形(組成物)中の活性物質の正確な量は、in vivoで、所定の期間にわたって、活性物質の有効濃度を達成するのに必要な量とすることができる。この量は、使用するGnRH薬剤のタイプ、望ましい放出持続期間、標的疾患、望ましい投与頻度、被験動物の種類および他の要因によって変化する。好ましくは、剤形は十分な量のGnRH活性物質を含有し、約0.10 ug/kg/dayから100 mg/kg/dayまでの放出が望ましい効果をもたらす。上記パラメーターは、本明細書を読めば容易に、当業者は正しく認識することができるであろう。
【0101】
GnRH活性物質を放出制御成分に組み込み、したがって本発明の剤形を形成するために使用される技術に応じて、GnRH活性物質は放出制御成分(たとえば、ポリマーシステム)内部に均一に分布し、あるいは放出制御成分によって実質的に封入されることになる。水性もしくは非水性のいずれかの適当な溶媒系を用いて、GnRH活性物質を追加して組成物に組み込むことができるが、GnRH活性物質を非溶媒プロセスによって組成物に組み込むこともできる。
【0102】
GnRH活性物質を放出制御成分に組み込むことに加えて、剤形はさらに、製薬上許容される添加剤、たとえば希釈剤、防腐剤、可溶化剤、乳化剤および/または投与に必要なキャリアを包含することができる。個々の添加剤が剤形中に存在する割合は、その添加剤が与えられる目的、および添加剤自体の性質によって決まる。目的のGnRH活性物質に最適な、最終的な製剤処方は、投与経路および望ましい投薬量に応じて、当業者により決定される。医薬組成物の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences (1990) Mack Publishing Co., 第18版、Easton, Pa.に記載されている。
【0103】
本発明の特定の実施形態において、上記のポリマーおよび非ポリマー放出制御成分が、GnRH分子もしくはGnRH類似体を制御放出するための、1つもしくは複数の組成物の製造に使用されるが、これはGnRH活性物質が治療することを目的とする病気の治療もしくは改善に有用である。
【0104】
本発明の組成物は、組成物が投与される方法に応じて、任意の適当な剤形として提供することができる。この点に関して、本発明の組成物を含んでなる剤形は、経口経路(たとえば、ハードカプセルおよびソフトカプセルといったカプセル、顆粒剤、錠剤、丸剤、トローチ、カシェ剤、ペレット剤、散剤、細粒剤、微粒子(およびその他の粒子形態)といった固形製剤)ならびに非経口経路(たとえば、IM(筋肉内)、SC(皮下)、経皮、内臓、IV (静脈内)、IP (腹腔内)、動脈内、髄腔内、関節包内、腫瘍内、血管周囲、頭蓋内、鼻内、洞内、膀胱内、膣内、尿道内、直腸内、外膜、注射可能、肺、吸入可能、経粘膜、および他の適当な形態)で、投与することができる。好ましい実施形態において、剤形は埋め込みによって投与され、したがって成形品、たとえば、球状、ロッド状、平板状、フィルム状、繊維状、針状、円筒状、シート状、管状、または他の適当な形状(微粒子、マイクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルを含む)として形作られる。こうした剤形は、任意の、特定の部位に適した大きさと形を有する埋込型デバイスとして、たとえば、カテーテル、シャント、くも膜下持続注入用デバイス、栄養チューブ、固形インプラント、子宮インプラント、尿道周囲インプラント、スプリント、もしくは、ステント(組成物から形作られた、もしくは組成物でコーティングされた)として提供されることがある。この剤形は、望ましい部位に、外科的に、またはトロッカー、カテーテルなどを使用する侵襲の少ない方法を用いて埋め込むことができる。このインプラントは、皮内、真皮下、皮下、腹腔内、筋肉内、または管腔内(たとえば、動脈内、静脈内、膣内など)に埋め込むような、標準的な技法を用いて、任意の組織中に埋め込むことができる。剤形はまた別に、マトリックス、グラフト、人工装具またはコーティングの一部として加工することもできる。埋込型剤形が粒子として、たとえば、微粒子、マイクロスフェアもしくはマイクロカプセルとして作製されるならば、その後、カニューレ、針付き注射器、または粒子懸濁液を注入できる同様の器具を用いて、適当な組織中にこれを埋め込むことができる。
【0105】
II.製造方法
錠剤化の手法、ならびに溶液、懸濁液、乳濁液、粒子、微粒子、球、マイクロスフェア、フィルムなどの形成はいずれも、医薬品分野でよく知られている技術であり、当業者の技術の範囲内である。
【0106】
活性物質を送達するための繊維状ポリマー剤形を作製する方法も、当技術分野でよく知られている。たとえば、CowsarおよびDunn、第12章 “Biodegradable and Nonbiodegradable Delivery Systems” 145-162ページ; Gibsonら、第31章 “Development of a Fibrous IUD Delivery System for Estradiol/Progesterone” 215-226ページ; Dunnら、“Fibrous Polymers for the Delivery of Contraceptive Steroids to the Female Reproductive Tract” 125-146ページ; Dunnら、(1985) “Fibrous Delivery Systems for Antimicrobial Agents”、Polymeric Materials in Medication、C.G. GebeleinおよびCarraher編、Plenum Publishing Corporationより、47-59ページを参照されたい。上記の既知の方法のいずれか、および当技術分野で知られている多くの他の方法を、本発明の実施に際して、本明細書に記載のユニークな特徴を有する本発明の組成物を含んでなる、繊維状剤形を作製するために使用することができる。
【0107】
それに加えて、押出成形によってポリマー組成物を加工する様々な方法が、Chris Rauwendaal (1994) “Polymer Extusion” 改訂第3版、Carl Hanser Vertag, Munichに記載されているが、たとえば、可塑化押出では、ポリマー組成物は固体として押出機に送り込まれ、溶融押出では、溶融ポリマーが押出機に送り込まれる。本明細書で使用される場合、「押出(成形)」または「溶融紡糸」は、これらの製造方法のすべてを包含する。溶融紡糸において、熱可塑性ポリマーは融点より高く加熱し、開口部を通して押し出し、冷却して単繊維とする。本発明の組成物を含有する剤形を作製する、ある好ましい実施形態において、選択されたGnRH活性物質は、均一な混合を保証するために、押出成形前にポリマー放出制御成分と混合され、次にその混合物は粉砕されて、混合物を再度押し出すための供給原料となる。一般に横断面が円であるような形に形作られるが、そうした剤形は、たとえば、楕円、ローブ型、四角形もしくは三角形といった他のいかなる断面形状で調製されてもよい。組成物はまた、標準的な加工技術を用いて、微粒子、シート、フィルムまたはコーティングに形成することもできる。
【0108】
適当な剤形は、GnRH活性物質の総投与量、ならびに想定される投与法および投与部位に応じて、さまざまな大きさに調製することができる。ある組成物において、剤形は、全径が0.05から5.0 mmの一体化ロッド型である。ヒトの皮下投与用には、全径1.0から4.0 mmまでがより好ましい。デバイスの長さは、典型的には約0.3 cmから10 cmの間である。皮下埋め込みのために、より好ましい長さは、約0.3から3.0 cmの間である。
【0109】
延伸によって押出剤形を作製することができるが、この方法では、組成物がさらに先へ進むとき、次第に速い速度で作動する2組以上のゴデットの周囲に組成物を通す。組成物はゴデットとゴデットの間で加熱炉を通過するが、そこで温度を慎重に制御することができ、任意の放出制御成分および添加剤の結晶化度にさらに影響を与えることができる。また、延伸を用いて剤形の最終的な直径を制御することができる。
【0110】
剤形の基本構造は連続的な押出プロセスによって調製されるため、剤形は扱いやすい任意の長さで提供することができる。組成物が十分に柔軟であるならば、それをスプールに巻き付け、またはコイル状に巻いて、切断前にこの状態で保持することができる。別の方法として、押出成形組成物を、できれば数センチメートルもしくは数メートルの比較的短い長さとして回収し、切断前に保持することができる。金型のすぐ下流にあるフライホイール型カッターを用いて、押出成形組成物を製造しながら、完成品の剤形の長さに切断することもできる。
【0111】
組み込まれるべきGnRH活性物質の量、およびプロセスで使用される量は、個別の活性物質、予定放出レベルでの活性物質の望ましい効果、ならびに活性物質が放出されるべきタイムスパンに応じてさまざまである。上記プロセスのうちいずれかを用いて、放出制御組成物中に2つ以上のGnRH活性物質を組み込むことができる。
【0112】
III. 使用方法
被験体において約48時間以上にわたって、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成する方法を与えることが、本発明の目的である。その方法は、一般に、投与後に、投与された組成物が、被験体において少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えるように、上記放出制御組成物のうち任意の1つを(適当な剤形として)被験体に投与することを必要とする。
【0113】
より詳細には本発明の目的は、組成物を投与後に被験体において少なくとも約48時間にわたって、GnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を達成するのに適した方法を与えることであって、この血漿中濃度は、医療分野において現在使用されている市販のGnRHもしくはGnRH類似体薬剤の使用によって達成される値より相当高い。したがって、本発明の方法を用いて、被験体に組成物を投与した後、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mL程度のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができるが、ある特定の方法では、少なくとも約2.0 ng/mL程度またはそれ以上のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを達成することができ、他の方法では少なくとも約2.5 ng/mL以上、そしてさらに別の方法では少なくとも約3.0-5.0 ng/mLまたはそれ以上を達成することができる。本発明の新規方法はすべて、被験体において投与後に少なくとも約48時間にわたって、上記の高い血漿中濃度を与えることができる。ある組成物において、上記濃度は少なくとも約1週間もしくはそれ以上、または少なくとも約2週間もしくはそれ以上の期間にわたって、達成可能であり、さらに別の組成物では、上記血漿中濃度は少なくとも約1か月もしくはそれ以上の期間にわたって達成される。
【0114】
本発明にしたがって1つもしくは複数の剤形として与えられる放出制御組成物は、任意の適当な手順によって投与することができる。投与されるべき特定のGnRH活性物質、選択された剤形(大きさ、形など)、および選択された投与部位に応じて、低侵襲の手順を用いて、送達が求められる部位に放出制御組成物を投与し、または埋め込むことができる。こうした手順は、トロッカーもしくはカテーテルを用いた埋め込み、(たとえば、粉末、粒子、微粒子、マイクロスフェア、マイクロカプセルの)標準的な針付き注射器による注入、(たとえば、マトリックス、グラフト、人工装具、もしくはコーティングの)植え込み、または外科的もしくは非外科的留置、(たとえば粉末もしくは粒子の)吸入などを含めることができる。組成物は、GnRH活性物質が一定の期間にわたって望ましい投薬量で放出されるようにデザインされる。組成物はさらに、活性物質の制御放出が行われている間に、および完了した後にそれが分解するように、デザインすることができる。
【0115】
本発明のある態様において、放出制御組成物は1つの剤形として与えられ、投与される。たとえば、組成物はロッドのような埋め込み型固形剤形として与えられる。他の態様において、組成物は複数の剤形として与えられ、投与される。たとえば、本発明の組成物は、埋め込み型固形剤形および注射用デポーの組み合わせとして与えられることがある。ある態様において、組成物は、単回投与単位として投与される単一の剤形として与えられるが、すなわち、1つの剤形を用いて、前記のGnRH活性物質の持続性定常血漿中濃度が与えられる。たとえば、ロッドのような単一の埋め込み型固形剤形を被験体に投与して、本発明の望ましい薬物動態を与えることができる。他の場合には、単一剤形の複数の投与単位を投与して、前記のGnRH活性物質の持続性定常血漿中濃度が与えられるが、たとえば、複数(2以上)の埋め込み型固形剤形を同時に、併用して、または順次投与して、本発明の望ましい薬物動態が与えられる。
【0116】
本発明のまた別の態様において、複数の剤形(それぞれ単回投与単位に相当する)を同時に、併用して、または順次投与して、本発明の望ましい薬物動態を与えることができる。複数の剤形および/または単位を投与するごとに、それぞれの剤形もしくは単位に含まれるGnRH活性物質の実際の用量は、同じであることも、異なることもある。このようにして、どのような、GnRH活性物質の望ましい持続性定常血漿中濃度も、所定の被験体において、十分な用量の単一剤形および/または投与単位を投与することによって、または同一用量もしくは異なる用量のGnRH活性物質を含有する複数の剤形および/または単位を組み合わせることによって、達成することができ、当該被験体において望ましい血漿中濃度を達成するのに十分な特定の用量を調整することができる。
【0117】
ある特定の実施形態において、放出制御組成物は、複数の、押出成形された固形インプラントロッドとして与えられ、これは組成物の全重量に対して約30%のGnRH活性物質充填量を有する。このインプラントは、トロッカー型投与装置を用いて被験体の実質的に同一の部位に、または異なる部位に投与される。インプラントは留置され、インプラントが被験体に投与された後、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを与える。一部の被験体では、この方法は、少なくとも約2.0 ng/mL程度またはそれ以上のGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均Cssを与えるように実施されるが、他の被験体では少なくとも約2.5 ng/mL以上、そしてさらに別の被験体では少なくとも約3.0-5.0 ng/mLまたはそれ以上のCssを与えるように実施される。こうした方法を実施して、被験体において投与後少なくとも約48時間にわたって高い血漿中濃度を与えることができるが、場合によっては、上記濃度は少なくとも約1週間もしくはそれ以上、または少なくとも約2週間もしくはそれ以上の期間にわたって、達成可能であり、さらに別の場合には、上記血漿中濃度は少なくとも約1か月もしくはそれ以上、少なくとも2か月もしくはそれ以上、または少なくとも3か月もしくはそれ以上の期間にわたっても達成される。
【0118】
本発明の方法のいずれかを実施して、さまざまな疾患を治療することができるが、たとえば、(前立腺癌のような)ホルモン依存性癌の治療、子宮内膜症の治療、早熟の治療、エストロゲン産生のコントロール、不妊治療などを行うことができる。
【0119】
ある実施形態において、GnRH活性物質を含む放出制御組成物は、1つもしくは複数の固形インプラント剤形として調剤される。この組成物はその後、被験体において生殖機能が最大の時期、もしくはそれに近い時期に生じる、性腺刺激ホルモンLHもしくはFSHの目標血中濃度、産生、機能もしくは活性を達成するために被験体に投与されるが、前記の時期はヒトでは18から35歳に当たる。たとえば、この時期のLHの正常血中濃度は、男性ではおよそ0-10.0 mIU/mL、女性については0.4-92.9mIU/mLである(生殖周期で変動する)。この時期のFSHの正常血中濃度は、男性ではおよそ2.0-22.6 mIU/mL、女性については2.9-29.5 mIU/mLである(やはり生殖周期で変動する)。GnRH活性物質インプラントの投与は、性腺刺激ホルモンLHもしくはFSHの血中濃度、産生、機能もしくは活性を変化させ、望ましいレベルを達成するのに適している。
【0120】
別の実施形態において、GnRH活性物質を含む放出制御組成物は、1つもしくは複数の固形インプラント剤形として調剤される。この組成物は、性腺刺激ホルモンLHもしくはFSHの目標血中濃度、産生、機能もしくは活性を、検出不可能、もしくはほとんど検出不可能なレベルにするために被験体に投与される。たとえば、LHおよびFSHのいずれについても、0.7 mIU/mLの血中濃度は、現在、臨床検査では検出できない。
【0121】
本発明のもう一つの実施形態において、GnRH活性物質を含む放出制御組成物は、1つもしくは複数の固形インプラント剤形として調剤される。この組成物はその後、性腺刺激ホルモンLHもしくはFSHの目標血中濃度、産生、機能もしくは活性を、容認できない有害な副作用なしに、可能な限り低いレベルとするために、被験体に投与される。容認できない有害な副作用とは、当業者の合理的な判断において、治療の利益を上回る損失のある有害な副作用である。
【0122】
上記および他の関連する方法の実施に際して、被験体のLHもしくはFSHの血中濃度、産生、機能もしくは活性を定期的にモニターし、LHおよびFSHの目標血中濃度、目標産生量、目標機能または目標活性を達成するために、LH/FSH阻害剤の組み合わせ、量、および用法を、漸増もしくは変更することができる。特に好ましい実施形態において、GnRH活性物質、たとえば酢酸ロイプロリド、の投与量は、およそ0.01 mcg/kg/時間からおよそ100 mg/kg/日の間とすることができるが、本明細書に照らして当業者には明らかな他のスケジュールであってもよい。こうした方法では、被験体は最初に低用量、たとえば、約0.01 mcg/kg/時間の投与を受けることもある。およそ2週間後、LHおよびFSH血中濃度が測定される。LHおよびFSH血中濃度が目標よりまだ高いならば、そこで用量を(たとえば0.1 mcg/kg/時間だけ)増やすことができる。LHもしくはFSHの血中濃度、産生、機能もしくは活性が、上記のように望ましいLHおよびFSHの目標血中濃度、目標産生量、目標機能または目標活性に達するまで、こうした漸増を繰り返すことができる。
【0123】
たとえば、30 mgの酢酸ロイプロリド持続放出型投与分を成体雄被験体に投与することができる。酢酸ロイプロリド活性物質は、生分解性ポリマー放出制御成分中に与えられ、GnRH活性物質の放出制御のためのポリマー剤形を提供する。ポリマー成分は、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーもしくはポリマーブレンドであって、そのポリマー系は、水性の系と接触したとき、もしくは水性の系に浸漬されたとき、たとえば、組成物が被験体に埋め込まれたときに、ヒドロゲルを形成しない。酢酸ロイプロリド活性物質は、ポリマー放出制御成分の内部に組み込まれ、組成物からの活性物質の制御された放出をもたらす。組成物が被験体に投与されたとき、たとえば、埋め込まれたときに、組成物はGnRH活性物質を、制御された様式で放出し、組成物が被験体に投与された後少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mL程度の活性物質の持続性平均Cssを与える。GnRH活性物質の放出は、遅延期間なしに、もしくは最小の遅延期間で、生じることが好ましい。このようにして、ロイプロリドは、数ヶ月の期間にわたって徐々に放出されることが可能である。2週間後、被験体のLH血中濃度は検出不能となり、被験体のFSH血中濃度は約5 mIU/mLとなる可能性がある。
【0124】
別の例において、酢酸ロイプロリドの1.88 mg持続放出用量の1回分を被験体に投与することができる。酢酸ロイプロリド活性物質は、生分解性ポリマー放出制御成分とともに形成された組成物中に存在し、GnRH活性物質の放出制御を提供する。ポリマー成分は、疎水性成分および親水性成分を含んでなるコポリマーもしくはポリマーブレンドであって、そのポリマー系は、水性の系と接触したとき、もしくは水性の系に浸漬されたとき、たとえば、組成物が被験体に埋め込まれたときに、ヒドロゲルを形成しない。組成物が被験体に投与されたとき、たとえば、埋め込まれたときに、GnRH活性物質は、組成物が被験体に投与された後少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mL程度の活性物質の持続性平均Cssを与える制御された様式で放出される。GnRH活性物質の放出は、遅延期間なしに、もしくは最小の遅延期間で、生じることが好ましい。このようにして、ロイプロリドは、約1ヶ月にわたって徐々に放出されることが可能であるが、被験体においてLHもしくはFSH血中濃度を検出不能なレベルに低下させることが予想される。本明細書に照らして、上記目標を達成するためにロイプロリド活性物質の投与量は、年齢、性別、体重、食習慣、治療中の病気、病気の進行度、および投与中の他の薬剤といった要因を考慮して、被験体ごとに異なるものとなることは、当業者には明白であろう。
【0125】
本発明の修正および変更は当業者には明白であり、添付の請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)GnRH分子もしくはGnRH類似体;ならびに
(b)組成物からのGnRH分子もしくはGnRH類似体の放出を制御する放出制御成分、
を含んでなる放出制御組成物であって、
この組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、前記組成物。
【請求項2】
前記組成物が単一剤形で与えられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、さらに単一投薬単位として与えられる、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、さらに複数の投薬単位として与えられる、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が複数の剤形で与えられる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が、少なくとも1つのインプラント剤形として与えられる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項7】
インプラント剤形が固体である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
インプラント剤形が、繊維状、針状、ロッド状、シート状、フィルム状、粒子状、または微粒子状である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記インプラントがモノリシックである、請求項6〜8のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項10】
インプラント剤形が注射可能である、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
インプラント剤形が注射可能で、デポーを形成する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
インプラント剤形が注射可能で、固体もしくは半固体インプラントを形成する、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
インプラント剤形が、球状もしくはマイクロスフェアである、請求項10〜12のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項14】
放出制御成分がポリマー材料を含んでなる、請求項1〜13のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項15】
GnRH分子もしくはGnRH類似体がポリマー材料内部に均一に分布する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
GnRH分子もしくはGnRH類似体がポリマー材料でコーティングされている、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
放出制御成分のポリマー材料が、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-co-グリコール酸);ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、ならびにそれらのコポリマーからなる一群から選択される少なくとも1つの材料を含んでなる、請求項14〜16のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項18】
放出制御成分が非ポリマー材料を含んでなる、請求項1〜13のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項19】
放出制御成分が、直線的もしくはほぼゼロ次の放出動態を有するGnRH分子もしくはGnRH類似体の放出をもたらす、請求項1〜18のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項20】
GnRH分子もしくはGnRH類似体が、有意な初期バーストなしに組成物から放出される、請求項1〜19のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項21】
GnRH分子もしくはGnRH類似体の約30%未満が、被験体への投与の約24-48時間以内に組成物から放出される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
GnRH分子もしくはGnRH類似体が、組成物の総重量に対して少なくとも約20 wt%の量で組成物中に存在する、請求項1〜21のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項23】
GnRH分子もしくはGnRH類似体が、組成物の総重量に対して少なくとも約30 wt%の量で組成物中に存在する、請求項1〜21のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項24】
組成物中のGnRH分子もしくはGnRH類似体の総量が、約5から20mgの間である、請求項1〜23のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項25】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約1週間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項1〜24のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項26】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約2週間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項1〜24のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項27】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約1か月にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項1〜24のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項28】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約2.0 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項1〜27のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項29】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約2.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項1〜27のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項30】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約5.0 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項1〜27のいずれか1つに記載の組成物。
【請求項31】
GnRH分子もしくはGnRH類似体の放出制御組成物の製造における、放出制御成分の使用であって、前記放出制御成分が、組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)をもたらすことができる、前記使用。
【請求項32】
前記組成物が単一剤形で与えられる、請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記組成物が、さらに単一投薬単位として与えられる、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記組成物が、さらに複数の投薬単位として与えられる、請求項32に記載の使用。
【請求項35】
前記組成物が複数の剤形で与えられる、請求項31に記載の使用。
【請求項36】
組成物が、少なくとも1つのインプラント剤形として与えられる、請求項31〜35のいずれか1つに記載の使用。
【請求項37】
インプラント剤形が固体である、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
インプラント剤形が、繊維状、針状、ロッド状、シート状、フィルム状、粒子状、または微粒子状である、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記インプラントがモノリシックである、請求項36〜38のいずれか1つに記載の使用。
【請求項40】
インプラント剤形が注射可能である、請求項36に記載の使用。
【請求項41】
インプラント剤形が注射可能で、デポーを形成する、請求項40に記載の使用。
【請求項42】
インプラント剤形が注射可能で、固体もしくは半固体インプラントを形成する、請求項40に記載の使用。
【請求項43】
インプラント剤形が、球状もしくはマイクロスフェアである、請求項40〜42のいずれか1つに記載の使用。
【請求項44】
放出制御成分がポリマー材料を含んでなる、請求項31〜43のいずれか1つに記載の使用。
【請求項45】
GnRH分子もしくはGnRH類似体がポリマー材料内部に均一に分布する、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
GnRH分子もしくはGnRH類似体がポリマー材料でコーティングされている、請求項44に記載の使用。
【請求項47】
放出制御成分のポリマー材料が、ポリヒドロキシ酸、たとえば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-co-グリコール酸);ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリホスファジン、ポリカーボネート、ポリアミド、ならびにそれらのコポリマーからなる一群から選択される少なくとも1つの材料を含んでなる、請求項44〜46のいずれか1つに記載の使用。
【請求項48】
放出制御成分が非ポリマー材料を含んでなる、請求項31〜43のいずれか1つに記載の使用。
【請求項49】
放出制御成分が、直線的もしくはほぼゼロ次の放出動態を有するGnRH分子もしくはGnRH類似体の放出をもたらす、請求項31〜48のいずれか1つに記載の使用。
【請求項50】
GnRH分子もしくはGnRH類似体が、有意な初期バーストなしに組成物から放出される、請求項31〜49のいずれか1つに記載の使用。
【請求項51】
GnRH分子もしくはGnRH類似体の約30%未満が、被験体への投与の約24-48時間以内に組成物から放出される、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
GnRH分子もしくはGnRH類似体が、組成物の総重量に対して少なくとも約20 wt%の量で組成物中に存在する、請求項31〜51のいずれか1つに記載の使用。
【請求項53】
GnRH分子もしくはGnRH類似体が、組成物の総重量に対して少なくとも約30 wt%の量で組成物中に存在する、請求項31〜51のいずれか1つに記載の使用。
【請求項54】
組成物中のGnRH分子もしくはGnRH類似体の総量が、約5から20mgの間である、請求項31〜53のいずれか1つに記載の使用。
【請求項55】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約1週間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項31〜54のいずれか1つに記載の使用。
【請求項56】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約2週間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項31〜54のいずれか1つに記載の使用。
【請求項57】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約1か月にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項31〜54のいずれか1つに記載の使用。
【請求項58】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約2.0 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項31〜57のいずれか1つに記載の使用。
【請求項59】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約2.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項31〜57のいずれか1つに記載の使用。
【請求項60】
組成物が被験体に投与されたとき、少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約5.0 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与えることができる、請求項31〜57のいずれか1つに記載の使用。
【請求項61】
被験体において約48時間以上にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を与える方法であって、その方法は、請求項1〜24のいずれか1つに記載の放出制御組成物を被験体に投与することを含んでなり、それにより投与後に、前記組成物が、被験体において少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える、前記方法。
【請求項62】
被験体において約1週間以上にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を与える方法であって、その方法は、請求項25に記載の放出制御組成物を被験体に投与することを含んでなり、それにより投与後に、前記組成物が、被験体において少なくとも約1週間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える、前記方法。
【請求項63】
被験体において約2週間以上にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を与える方法であって、その方法は、請求項26に記載の放出制御組成物を被験体に投与することを含んでなり、それにより投与後に、前記組成物が、被験体において少なくとも約2週間にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える、前記方法。
【請求項64】
被験体において約1か月以上にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を与える方法であって、その方法は、請求項27に記載の放出制御組成物を被験体に投与することを含んでなり、それにより投与後に、前記組成物が、被験体において少なくとも約1か月にわたって、少なくとも約1.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える、前記方法。
【請求項65】
被験体において約48時間以上にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を与える方法であって、その方法は、請求項28に記載の放出制御組成物を被験体に投与することを含んでなり、それにより投与後に、前記組成物が、被験体において少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約2.0 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える、前記方法。
【請求項66】
被験体において約48時間以上にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を与える方法であって、その方法は、請求項29に記載の放出制御組成物を被験体に投与することを含んでなり、それにより投与後に、前記組成物が、被験体において少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約2.5 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える、前記方法。
【請求項67】
被験体において約48時間以上にわたってGnRH分子もしくはGnRH類似体の治療上有効な血漿中濃度を与える方法であって、その方法は、請求項29に記載の放出制御組成物を被験体に投与することを含んでなり、それにより投与後に、前記組成物が、被験体において少なくとも約48時間にわたって、少なくとも約5.0 ng/mLのGnRH分子もしくはGnRH類似体の持続性平均定常血漿中濃度(Css)を与える、前記方法。

【公表番号】特表2008−525436(P2008−525436A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548164(P2007−548164)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/043079
【国際公開番号】WO2006/071208
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(505080839)デュレクト コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】