説明

放射性同位体の直接投与による腫瘍治療のための組成物

本発明は、所望でない組織塊、特に骨癌及び軟組織腫瘍のより安全でより効果的な治療法を提供する。この方法は、治療放射性同位体製剤を組織塊の近傍又は直接的に直接投与する組成物を含む。骨癌への投薬は、ミニチュアドリルを用いて形成された骨内の孔を通して行ってもよい。腫瘍への直接投薬は、物質をマイクロリットルの量で正確に送れるマイクロシリンジやミニチュアポンプを用いて達成してもよい。血流から活性を除去できるキレート剤も本発明の態様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスレファレンス
本願は、2007年10月5日に出願された米国仮特許出願第60/997,856及び第60/997,873に基づく優先権を主張する。本願は2007年2月20日に出願された米国仮特許出願第60/890,831号(発明の名称:傾斜骨穿孔術及び治療方法(Directional Bone Drilling and Methods of Treatment))及び2007年2月22日に出願された米国仮特許出願第60/891,183(発明の名称:傾斜骨穿孔術及び治療方法(Directional Bone Drilling and Methods of Treatment))に関する。
【0002】
本発明は、放射性同位体製剤の、哺乳類及びヒトの骨癌や軟組織腫瘍等の所望でない組織塊の領域への直接投与による、すなわち、腫瘍内、髄内又は骨内への注入を介した投与による、当該組織塊の治療に関する。
【背景技術】
【0003】
長年にわたって、癌腫瘍や所望でない組織塊の治療法が注目され、哺乳類又はヒトのクオリティ・オブ・ライフを持続するための効果的な治療について様々な試みがなされてきた。様々な組成物が試されており、骨癌及び軟組織腫瘍について以下に述べる。
【0004】
骨癌
米国整形外科学会によれば、「米国において毎年、120万人超の人々が新たに癌と診断され、そのうち約50%の腫瘍が骨格に広がる、即ち、転移可能である」とされている。そのため、米国内だけでも転移性骨癌を罹患する患者が50万人超いる。骨は、3番目に転移性疾患が起こりやすい場所である。骨に最も転移しやすい癌として、乳癌、肺癌、前立腺癌、甲状腺癌及び腎臓癌が挙げられる。多くの場合、複数の骨転移部位があり、治療をより困難なものとしている。骨転移に関連した病的状態の主なものとして、疼痛、病的骨折及び高カルシウム血症がある。疼痛が最も一般的な症状であり、患者の70%に見られる。
【0005】
原発性骨癌はそれほど多く見られないが(2007年米国において、新患者約2370人及び死亡者約1330人)、はるかに攻撃的である。この種の癌は、若年患者においてより起こりやすい。ヒトとは対照的に、イヌにおいては、転移性骨癌よりも原発性骨癌の方がより多く見られる。大きなイヌにおいては、頻繁に原発性骨癌が見られる。この疾患の攻撃的性質から、多くの場合、原発性骨癌の治療において冒された部分を切除して癌が広がるのを予防する。そして更に、特に肺への転移率を下げるために、化学療法剤が用いられる。
【0006】
特に転移性骨癌等の骨癌に関連した疼痛については、多くの場合、麻酔薬を用いた治療が行われる。しかし、疼痛を制御するにあたって、患者に対する麻酔薬の量を多くする必要がある。その結果、麻酔薬の副作用により、患者のクオリティ・オブ・ライフが著しく低減されてしまう。
【0007】
他の治療法として、骨転移部位の外照射法や、より最近では定位的放射線療法がある。しかし、高エネルギー電磁放射を用いた現在の治療では、腫瘍のみを照射することはできない。その結果、この治療では、約一週間にわたって照射する必要があり、周囲組織を著しく損傷することなく、高放射線量を腫瘍に与えるのは難しい。
【0008】
術中放射線療法(IORT)で局在化した腫瘍を破壊することができるが、高価であり、手術による大きな損傷につながる。
【0009】
本発明に用いることができる特定の骨親和性放射性医薬品は、キレート剤の使用を要しない。例えば、キレート剤がなくても、P−32を単独で骨親和性放射性医薬品として用いることができる。また、塩化物としてSr−89を用いることができる(Robinson R G, Spicer J A, Preston D F, et al., “Treatment of Metastatic Bone Pain With Strontium−89,” Nucl. Med. Biol 14:219−222 (1987))。
【0010】
長年にわたって、放射性医薬品の分野おいて骨腫瘍を標的にできることが開発されている。骨腫瘍を標的にできる診断用及び治療用の放射性医薬品において、ホスホン酸官能基を標的部分として用いる。例えば、ガンマ線放射診断用放射性同位体であるTc−99mを骨に運ぶピロリン酸が用いられていたが、この技術は、in vivoで安定性が向上するビスホスホネートに取って代わられた。更に、骨腫瘍の治療用放射性医薬品の開発が1980年代及び1990年代に行われた。これらの中で、一連のアミノメチレンホスホン酸系のキレート剤が、骨腫瘍を標的とするのに有用な他の種類の官能基を提供する。このため、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)が、Sm、Gd、Ho及びY等の金属を骨に運ぶキレート剤として非常に良好であることが分かっている。
【0011】
アメリカ合衆国において、放射性金属系である2種類の放射性医薬品が骨転移治療用に販売されている。Metastron(商標登録)とは、塩化物塩として与えられるストロンチウム−89(Sr−89)の注入可能な溶液である。Quadramet(商標登録)とは、サマリウム−153(Sm−153)のホスホン酸(EDTMP)キレート剤である。これらの薬品は両方とも、正常の骨と共に転移病巣に集中してしまう。これによって、骨髄に放射線量が発生し、一時的なものではあるものの、免疫系が顕著に抑制されてしまう。この理由により、化学療法剤が予定されている場合に、これらの薬品は禁忌を示す。よって、患者が原発性骨癌の化学療法を待っている間に、骨疼痛を罹患する可能性がある。
【0012】
これら販売されているキレート剤を静脈注入した場合、約50%の注入量が骨に集中する。残りは腎臓により効率的に除去され、膀胱に排出される。しかしながら、この除去により、骨親和性放射性医薬品の多治療量を投与すると、これらの器官内で毒素が観察されてしまう。骨腫瘍部位に蓄積された放射性金属の量は、正常の骨に比べて顕著に高い。腫瘍部位のキレート濃度は正常の骨より20倍程高いが、顕著な量の放射能が正常の骨に吸収されてしまう。骨から骨髄への量は、骨髄を抑制してしまう。この効果は通常一時的なものであり、骨髄細胞は回復するが、骨髄を抑制する化学療法剤と共に使用した場合にはこれらの薬品の使用は禁忌を示す。よって、治療骨薬品は、通常、化学療法剤と同時に使用されることはない。また、放射線量のほんの少ししか腫瘍に関連していない。腎臓での急速な除去及び正常の骨での吸収により、約0.1%の量しか腫瘍部位に行かない。骨薬品をさらに投与することは、骨髄への投薬によって制限される。
【0013】
ビスホスホネートキレート剤の例として、メチレンジホスホン酸(MDP)の構造を以下に示す。
【化1】

【0014】
エチレンジアミンテトラ−メチレンホスホン酸(EDTMP)及び1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−テトラ(メチレンホスホン酸)(DOTMP)の2つのアミノメチレンホスホン酸キレート剤の構造を以下に示す。
【化2】

【0015】
併用治療は骨腫瘍の治癒に効果的でない。このため、骨癌が広がるのを防ぐのに、今だに慣例として肢を切断することが行われる。転移骨癌の場合、腫瘍の治癒ではなく、疼痛緩和及びクオリティ・オブ・ライフを維持することが目的であることが多い。骨癌を治療する、より効果的な療法の必要性があることは明らかである。
【0016】
近接照射療法
治療領域に外部放射線ビームを向ける外部ビーム放射線療法(例えば、上述した骨癌について)とは異なり、近接照射療法は治療を必要とする領域中又はその隣接に放射性源を入れる放射線治療の一種である。また、近接照射療法は、密封線源治療又はエンドキュリー療法(Endocurietherapy)としても知られており、通常、局在化した前立腺癌及び頭や首の癌を治療するのに用いられる。放射性源を皮膚の近くに入れることにより、表在腫瘍を治療することができる。間隙近接照射療法では、放射性源が組織に挿入される。腔内近接照射療法では、放射性源を既存の体腔に入れる。脈管内近接照射療法では、カテーテルと共に放射性源を血管内に入れる。
【0017】
これらの多くの場合、放射性物質が金属ケーシングにカプセル化されている。このケーシングにより、多くの放射性源は、電磁気放射線(X線及びガンマフォトン)放出放射性核種であり、放射線がケーシングの外側を貫通し、放射線が周囲組織に送達される。このカプセル化をしないと、放射性同位体の投与によって、放射性同位体が身体の他の領域に移動し、患者が副作用を引き起こしてしまう可能性がある。ベータ(β)及びアルファ(α)放射体のような放射性核種を放出する粒子は、顕著な量が同位体を含むケーシングを貫通しないため、この用途に使用することは稀である。しかし、多くの場合、ガンマフォトンが所望の治療領域を超えて貫通してしまい、顕著な副作用が生じてしまう。このため、放射線を送達するより特別な方法が必要とされる。
【0018】
前立腺とは男性生殖器系の腺であって、膀胱に下で直腸の前にある。クルミ程度の大きさであって、尿道を囲んでいる。米国がん協会によれば、2007年に米国内において前立腺癌の新患者約218,890人及び死亡者約27,050人がいる。治療の選択肢として、手術、外部放射線治療及び近接照射療法が挙げられる。多くの場合、周囲組織への損傷がより少ないことから、近接照射療法が好ましい選択となっている。しかしながら、この用途において選択された放射性同位体はガンマ(γ)放射体であるため、所望でない放射線を周囲組織に送ってしまうという問題がある。
【0019】
近接照射療法に用いられる放射性源は、「シード(seed)」又はワイヤに密封される。永久前立腺近接照射療法において、前立腺に60〜120個の米粒の大きさの放射性シードを埋没する。放射性シードの一種は、半減期が59.4日であるI−125系であり、約30KeVの複数のX線を放射する。最近では、より半減期が短い代替物として、半減期が9.7日であって、約30KeVのX線を放射するCs−131が提案されている。また、半減期が17日であって、約20KeVのX線を放出するPd−103が用いられている。他の選択肢として、半減期が73.8日であって、468KeVでガンマ放出するIr−192がある。Ir−192を用いて、異なる放射線量を異なる部位の前立腺に与えることができる。これら全ての同位体は、前立腺を超えて貫通し正常の組織まで電磁放射線を放出し、性交不能症、排尿障害及び腸管障害等の問題を引き起こしてしまう。多くの場合シードは定位置に留まるものの、一部の患者ではシードが移動してしまう。通常、シードは尿道や膀胱に移動する。
【0020】
手術後に残ってしまった癌細胞を破壊するために、近接照射療法が用いられることがある。例えば、MammoSite(商標登録)Radiation Therapy Systemという名の技術を用いて、乳癌患者を治療することができる。この技術においては、腫瘍が除去された胸部の領域にバルーンカテーテルを挿入する。バルーンが膨張し、ワイヤについた小さなビーズを介して放射線が送達される。同様に、I−125の放射性溶液で充満させたバルーンカテーテルを用いて、切除された脳腫瘍の周囲空間を治療することができる。この技術をGliaSite(商標登録) Radiation Therapy System(例えば、米国特許第6,315,979号)という。このような場合、バルーンによって全身に放射能が行き渡るのを防ぐ。また、用いられる放射性同位体は、X線又はガンマ線等の電磁放射線を放出し、貫通するものである。
【0021】
現在、ベータ放出放射性同位体は、近接照射療法に分類される分野で用いられている。例えば、肝癌は近接照射療法の形で治療されてきた。選択的内部照射療法(SIRT)と呼ばれるこの技術において、血液供給を介して腫瘍に放射性分子が送達される。放射性分子はカテーテルを介して肝動脈、門脈又はこれらいずれかの分岐に位置される。腫瘍に供給している血管の分岐までカテーテルを誘導し、そしてミクロスフェアを注入する。放射性ミクロスフェアが腫瘍及び周辺組織の毛細管床に捕捉され、腫瘍に放射線量がより標的性高く発生する。現在、このような手法を取り入れているのは、TheraSphere (商標登録)(MDS Nordion, Inc.)及びSIR−Spheres(商標登録)(SIRTeX(商標登録) Medical)の2つの製品であり、両方ともY−90で標識されたミクロスフェアである。TheraSpheresは、直径25±10μmのガラスミクロスフェアであって、主に直径約8〜10μmの腫瘍末端小動脈に捕捉される。SIR−Spheresは、直径約32μmの樹脂系ミクロスフェアである。これら両方の製品の問題として、放射性ミクロスフェアの一部が肺等の他の組織に移動してしまい、所望でない副作用が生じる可能性がある。
【0022】
癌細胞を治療するため、キトサンに結合したHo−166も提案されている。よって、J. Nucl. Med. 1988 Dec; 39(12):2161−6において、肝動脈を介してその化合物を投与して肝癌を治療する方法が記載されている。しかしながら、肺への放射能の「分岐」がまた問題となる。更にこれは、腫瘍への血液供給を決定し、選択した血管で分子を運ぶ煩わしい技術である。
【0023】
米国特許第5,320,824号において、関節リウマチ治療のための、ヒドロキシアパタイトに結合したSm−153及びHo−166等の希土類同位体の使用について記載されている。この方法において、ヒドロキシアパタイトに結合した多くの放射性同位体が、注入された関節に留まり又は関節周囲の滑膜に吸収される。標的組織への局在化は、滑膜へのヒドロキシアパタイト分子の食作用に依存する。この手法における大きな問題の一つは、放射性同位体が滑液腔から身体の他の場所に漏れてしまうことである。
【0024】
上記議論から明らかなように、所望でない細胞を切除する改良した技術が必要である。近接照射療法の分野において、非標的細胞に少しだけ又は一切漏れないように治療領域へ放射線を特定的に与える、腫瘍に放射性同位体を運ぶより効果的な方法が必要である。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、所望でない組織塊を死滅させる目的で、最小量の放射性同位体から軟組織及び骨の両方にある感染部位及び癌腫瘍等の所望でない組織塊の部位へ、比較的多量の放射線を照射することができる療法を提供することにある。本発明の更なる目的は、副作用を最小限に抑えるために、非標的組織への放射線量を最小限にすることにある。
【0026】
本発明の一態様は、治療が必要な動物又はヒトにおける所望でない組織塊の当該治療のための、約7超のpHを有する治療有効量の放射性同位体製剤と、医薬として許容される液体キャリアとを含む組成物であって、当該組成物が当該組織塊に直接又は近傍に投与され、当該組成物が放射性崩壊の2半減期以内に約15%未満の当該放射性同位体が投与部位から移動するようになっている組成物に関する。
【0027】
本発明の第2の態様は、放射性同位体製剤を治療有効量で直接投与するための組成物であって、治療が必要な動物又はヒトの所望でない組織塊の当該治療のために、当該放射性同位体がバインダーに結合し、放射性崩壊の2半減期以内に約5%超の当該放射性同位体が投与部位に残留する組成物に関する。
【0028】
これら両方の態様は、所望部位へ非常に少量の液体製剤混合物を直接注入することにより達成される。その部位に送られた放射能は、その領域を治療する放射線量を与える十分な時間、投与部位に残留する。全身投与する手段と比較すると、投与した全放射能量が非常に少なく、治療領域から漏れる放射性同位体量が最小限に収まる。このため、正常の組織に少量又は全くの放射線量を与えないことが実現できる。
【0029】
マイクロシリンジ又は小型ポンプ等の流体を少量で遅れる他の機器を介して、放射性同位体製剤の投与を行うことができる。骨腫瘍を治療する本発明の一の実施形態において、ミニチュアドリルを用いて孔を形成し、その孔を通してカテーテルを挿入することができ、流体を少量で運べる機器を用いて投量を運ぶことができる。他の実施形態においては、マイクロシリンジを用いて送達することができる。
【0030】
本発明は、非常に少量の治療放射性同位体を直接的に治療する組織に投与することによって癌を治療するより良い治療手法に関する。本発明の放射性同位体として、組織部位にイオン化放射線を治療量蓄積できるアルファ(α)放射体又はベータ(β)放射体等の粒子放出同位体が挙げられる。放射性同位体はそれ自体で用いたり、ホスホン酸キレート剤(石灰性組織に親和性がある)等のバインダー又はヒドロキシアパタイトのような固体担体等の他のバインダーに結合させることができる。
【0031】
身体の非標的領域に浸出した放射能を捕捉するキレート剤の全身投与は、本発明の他の態様である。本発明の組成物によって、より少ない放射性同位体の全量を用いて、高標的対非標的比を可能にする。これにより、正常の組織に投薬することなく、顕著に高い量の放射能を標的組織部位に送れる確率が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、軟部組織及び骨の両方において、感染部位(例えば、骨髄炎)及び癌腫瘍、特に手術不能な癌腫瘍等の所望でない組織塊に直接、配合した放射性同位体組成物を治療量送達することを含む。これらの製剤は非常に少量であり、投与する放射能量は効果的に所望部位に方向づけられることから、投与には他の身体の領域が含まれず、例えば全身投与(I.V.投与等)は意図されていない。非常に少量の放射性同位体が投与され、放射性同位体混合物の多くが投与部位に固定されるため、非標的で正常の組織は使われない。このため、顕著な量の放射性同位体が崩壊する前に、少量の放射能しか注入部位から浸出せず、同位体の放射性崩壊の多くが注入部位で起きる。これにより、標的領域で高放射線量が、非標的組織で非常に少しの線量が生じる。様々な症例、特に癌腫瘍を治療するのにこの組成物を用いることができる。
【0033】
本発明に用いられる放射性同位体は、粒子放射体(ベータ(β)放射体又はアルファ(α)放射体)である。好ましい放射性同位体として、Pm、Sm、Gd、Dy、Ho、Yb、Lu及びY等の希土類系金属のイオンが挙げられる。特に好ましくは、Sm、Ho、Lu及びYが挙げられる。好ましい放射性同位体として、Sm−153、Ho−166、Y−90、Pm−149、Gd−159、Lu−177、Yb−175、Pb−212、Bi−212、Bi−213及びAc−225が挙げられる。特に好ましくは、Sm−153、Ho−166、Y−90、Bi−213、Ac−225及びLu−177が挙げられる。最も好ましくは、約3日未満の比較的短い半減期を有し、エネルギーベータ粒子を放出する同位体が挙げられる。例として、Y−90、Ho−166及びSm−153が挙げられる。非放射性キャリア同位体が混合物として頻繁に放射性同位体に含有されることが理解される。
【0034】
本発明の一態様において、溶液のpHを上昇させた後、キレート剤又は他のバインダーを用いないで放射性同位体が水性製剤として投与される。製剤の好ましいpHは、通常懸濁液中で金属放射性同位体を水酸化物の形態にできるものである。このpHは金属によって異なり、当業者に知られている。好ましいpH製剤として、約7超のpHが挙げられる。より好ましい製剤として、約8超のpHが挙げられる。これら多くの放射性金属のpHは約8から約14が望ましい。好ましくは、約8から約11である。水酸化ナトリウム等の好適な塩基を加えることにより、このpHが得られる。理論に拘束されることを意図するものではないが、金属放射性同位体は、中性又は酸性溶液(約7未満のpH)で投薬された場合又はキレート剤等の可溶性バインダーに放射性同位体が結合した場合に比べ、組織に沈殿し長く残留する不溶性水酸化物を形成する。沈殿を容易にするために、放射性同位体と共沈することができる鉄等の他の非放射性金属を加えることができる。
【0035】
本発明の他の態様において、放射性同位体は、注入部位に滞留することを助長するホスホン酸キレート剤(骨と親和性がある)又はヒドロキシアパタイト等の他のバインダーと結合する。バインダーが用いられると、放射性崩壊の2半減期以内に約75%超の放射性同位体が投与部位に残留する。
【0036】
上文で考察した様々な放射性同位体は、水、生理的食塩水、又はゴマ油、コーン油等の油など、医薬として許容される液体中の製剤として投与される。配合液は懸濁液、スラリー又は乳濁液でもよい。任意に、賦形剤、懸濁剤、防腐剤、pH調整のための塩基又はバッファー及びその他通常用いられる成分があってもよい。
【0037】
本発明の更に他の態様において、放射性同位体の投与量は非常に少ない。好ましい放射線同位体の投与量は、組織の立方センチメーターにつき約50マイクロリッター未満である(50μL/cm3)。より好ましい量は、組織の立方センチメーターにつき20マイクロリッター未満である(20μL/cm3)。かかる投与量の送達は、治療する組織内又は近傍に置かれるカテーテルのほぼ末端に流動を提供するために、マイクロシリンジ又は正確にマイクロリッター量を運搬できるポンプを用いて行うことができる(例えば、Valco Instrument Company, Inc. model CP−DSM)。放射性同位体による組織塊の完全な貫通を高めるためであれば、流動は連続的でも断続的もよい。
【0038】
本発明の他の態様において、放射性物質の投与前及び投与後にキレート剤が患者の全身に投与される。好ましいキレート剤としてEDTA及びDTPA等が挙げられ、全身の放射能を捕捉し、腎臓を介して膀胱に対して身体からそれを除去する。注入部位から移動した可能性がある、投与した放射性同位体の除去を更に完全に確実にするため、これらの薬剤は所望の際に用いられる。通常、このような移動は少量でしか起きないため、この治療は任意である。
【0039】
本発明の一形態において、ミニチュアポンプを用いて放射性同位体を骨腫瘍に運搬してもよい。骨生検ツールあるいは曲線又は角のある孔を骨を通して腫瘍の上流(カテーテルをその方向に向けるため)又は直接的に骨に又は骨中の腫瘍に形成できるミニチュアドリルの使用により、腫瘍へアクセスしてもよい。当該技術分野で知られている蛍光透視法を用いてカテーテルを挿入することにより、腫瘍に接近した場所にカテーテルの遠心端を位置させることが容易になる可能性がある。腫瘍の上流に放射性同位体を運搬することにより、腫瘍に直接的に又血流の下流に近づくことにより増強された癌細胞が広がるリスクを下げることができる。
【0040】
本実施例で用いるドリルについて、2007年2月20日に出願された米国仮特許出願第60/890,831号(発明の名称:指向性骨穿孔術及び治療方法)及び2007年2月22日に出願された米国仮特許出願第60/891,183(発明の名称:指向性骨穿孔術及び治療方法)に記載されているが、本発明はこのドリルの使用に限定されるものではなく、シリンジ針や生検ツール等、好適な孔を骨に形成できるのであればどのような機器でも用いることができる。
【0041】
本発明の他の態様において、放射性同位体とヒドロキシアパタイト等の固体担体であるバインダーとを結合させることができる。このような形態のリン酸カルシウムは、放射性希土類金属等の金属と結合可能である。ヒドロキシアパタイト/メタルイオン結合を組織に投与することができ、治療的に顕著な量の放射性同位体が注入部位に滞留する。
【0042】
本発明の他の態様において、ホスホン酸キレート剤等の骨に親和性であるバインダー分子を放射性同位体が有していてもよい。好ましいキレート剤として、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、ジエチレン−トリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン−トリメチレンホスホン酸(HEEDTMP)、ニトリロトリメチレンホスホン酸(NTMP)、トリス(2−アミノエチル)アミンヘキサメレンホスホン酸(TTHMP)、1−カルボキシエチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(CEDTMP)、ビス(アミノ−エチルピペパラジン)テトラメチレンホスホン酸(AEPTMP)、エチレンジアミンテトラ−酢酸(EDTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N”,N’”−テトラメチレン−ホスホン酸(DOTMP)、ヒドロキシエチルジホスホン酸(HEDP)、メチレン−ジホスホン酸(MDP)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチル−エチレンジアミントリ酢酸(HEDTA)、及びニトリロトリ酢酸(NTA)等のアミノメチレンホスホン酸から選ばれたものが挙げられる。より好ましいキレート剤として、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N”,N’”−テトラメチレン−ホスホン酸(DOTMP)が挙げられる。
【0043】
本発明の一態様において、骨親和性放射性医薬品複合体は、Sm−153−EDTMP、Sm−153−DOTMP、Ho−166−EDTMP、Ho−166−DOTMP、Gd−159−EDTMP、Gd−159−DOTMP、Dy−165−EDTMP、Dy−165−DOTMP、Lu−177−EDTMP及びLu−177−DOTMPからなる群より選ばれる。本発明に用いられる最も好ましい放射性医薬品複合体として、Sm−153−DOTMP、Ho−166−DOTMP、Lu−177−DOTMP及びGd−159−DOTMPが挙げられる。これら複合体とその調製例は、米国特許第4,976,950号、第4,882,142号、第5,059,412号、第5,066,478号、第5,064,633号、第4,897,254号、第4,898,724号及び第5,300,279号に記載されており、本願明細書に参照により引用したものとする。
【0044】
本発明の単なる代表例を意図したにすぎない以下の実施例を考慮に入れることにより、本発明は更に明らかになるであろう。以下の番号が付された実施例は本発明を説明するものであり、文字が付された実施例は比較例を説明するものである。
【実施例】
【0045】
一般情報
特に記載がない限り、全てのパーセンテージは重量/重量(W/W)である。
MURRとはUniversity of Missouri Research Reactor (Columbia, MO)のことであり、放射性同位体を提供するサービスを有する
多くの場合、放射性同位体が非放射性キャリア同位体を混合物として含んでいることが理解されよう。
【0046】
実施例1:高pHなLu−177混合物
2.0μLの50%w/wNaOHを10μLのLu−177溶液(MURRから得たもの。0.05MのHCL中1.09Ci/mL)に加え、その後8.0μLの水を加えて、高pHなLu−177溶液を調製した。当該混合物を注入前に30分間放置した。混合物のpHは約10超であった。
【0047】
実施例A:低pHなLu−177溶液(比較例)
0.05MのHCL中Lu−177溶液は約1.09Ci/mLを含有し、MURRから得た。同量のLu−177溶液及び0.05MのHCLを混合することにより、注入液を調製した。pHは約2未満であった。
【0048】
実施例2:in vivoの異種移植片試験−高pHなLu−177
HT−29異種移植片を有する無胸腺マウスに麻酔をかけ、実施例1の2〜3μLの混合物を約20μLの水で希釈し、腫瘍に直接投与した。腫瘍周囲の幾つかの異なる部位において複数の注入を行い、また腫瘍塊にも直接行った。注入した放射能量が0.924mCiのLu−177であることを決定した。治療から13日後のガンマカメラ画像から、注入部位での多くの放射能が残っていることが分かった。注入13日後のいかなるマウスの尿又は糞において、Lu−177は1μCi未満であった。腫瘍の大きさを測定し、生理食塩水を注入した同様のコントロールマウスと比較した。生理食塩水コントロールマウスの腫瘍は大きくなり、この実施例2のマウスの腫瘍は小さくなった。これらの結果を以下の表1に示す。
【表1】

【0049】
実施例B:in vivoの異種移植片試験−低pHなLu−177(比較例)
HT−29(ヒト大腸癌)異種移植片を有する無胸腺マウスに麻酔をかけ、実施例Aの2〜3μLの溶液を腫瘍に直接投与した。ドーズキャリブレータを用いて注入した放射能量が1.08mCiのLu−177であることを決定した。
【0050】
ガンマカメラを用いて、マウス体内のLu−177の運命を決定した。更に、時間の関数として尿中から回収された放射能量を測定するために、ドーズキャリブレータを用いた。1日後、回収された尿及び糞に50μCiのLu−177があった。更に、腫瘍領域から放射性同位体が顕著に移動していることが観察された。時間が経過するにつれて、マウスの罹患率の上昇サインが見られた。罹患率の理由から、注入9日後で体重が20%減った後に、マウスを安楽死させた。
【0051】
実施例3:in vivoの前立腺試験
実施例1の約6〜8μLの溶液量を、麻酔下の正常のスプラーグドーリ−ラットの前立腺の左葉に投与した。0.924mCiのLu−177をラットが受け取った。
【0052】
ラットの尿及び糞中のLu−177を毎日モニターした。いかなる日も、最低限測定できるLu−177(〜1.0μCi)しか検出できなかった。ガンマ画像から、7日間を通してLu−177が注入部位に滞留しており、全身的には非常に少ない量の放射能しかなかった。治療7日後にラットを安楽死させ、器官及び組織を切除して、各部におけるLu−177の存在を決定した。7日後において、10%未満の投与量が前立腺外にあった。前立腺の検査によって、注入した前立腺小葉が前立腺の反対の小葉に比べて萎縮していたことが分かった。
【0053】
実施例4:Lu−177の注入物調製
MURRから得たLu−177は、到着時に0.1MのHCL中で0.71mCi/μLであった。CapintecTM CRC−15ドーズキャリブレータを用いて放射能量を測定した。3.0 μLのこの溶液に3.0μLの1.0N NaOH (Fisher)を加えた。水を加えて最終量を10.0μL とした。
【0054】
実施例5:肺試験−スプラーグダウリーラット(オス)へのLu−177注入
麻酔下の364gのスプラーグダウリーラット(オス)の肺に、インスリンシリンジを用いて実施例4の3〜5μL(〜1.0mCi)の調製物を直接注入した。針を挿入して皮膚を貫通させることによって投与量が肺の左葉に堆積した。
【0055】
注入30分後、18時間後、注入2,5,7及び9日後に、ガンマカメラを用いてラットの画像を撮影した。糞及び尿排泄物を毎日回収し、放射能の存在を分析した。9日後に、ラットを安楽死させ、器官/組織をガンマ計測のために得た。
【0056】
全てのガンマ画像において、注入部位にたった1つのスポットがあったのみで、身体の他の部分において検出できる放射能はなかった。
【0057】
低放射能組織のガンマ計測は、WizardTM 1480 gamma counter (Packard)を用いて行うことができる。尿及び肺の、最大放射能サンプルをCapintecTM CRC−15ドーズキャリブレータで評価した。
【0058】
データ評価から、注入したLu−177の76.2%が注入後9日の肺に滞留していたことが分かった。約15%が糞/尿に排出された。ラットの骨格(骨)には3.6%、肝臓には約0.4%あった。他の全ての器官及び組織においては、注入した放射能が1%未満であった。
【0059】
実施例6:水酸化物として骨に投与したHo−166
ホルミウム−166(Ho−166)をMURRから得た。この溶液は350μL中52.4mCiであって、比活性は0.1MのHCl中0.15mCi/μLであった。Ho−166溶液(10μL)をバイアルに入れ、0.5μLの0.1MのNaOHを加えた。pH紙でpHを測定し、約10のpHであった。
【0060】
ミニチュアドリルを用いて、麻酔したスプラーグダーリーラットの大腿骨に孔を形成した。3μLのこの高pHなHo−166溶液をドリルで形成した孔に運搬するのに、ミニチュアポンプを用いた。
【0061】
投与量注入2時間後に、ラットを犠牲にして解剖した。切除及び計測した組織/器官には、骨(反対側の大腿骨)、肝臓、腎臓、脾臓、筋肉、血液、心臓、肺、膵臓及び注入した大腿骨が含まれる。NaIガンマ検出器を用いて計測を行い、放射能の存在を決定した。
【0062】
注入部位で見出された放射能量は注入量の92%であった。量の2%未満が肝臓及び残りの骨で見出された。全骨格量は、反対側の大腿骨における投与量(%)に25を乗じることにより決定した。尿中に放射能がないことは明らかであった。
【0063】
実施例C(比較例):塩化物として骨に投与したHo−166
0.1MのHCl中のHo−166をMURRから得た。pHをpH紙で測定し、約1のpHであった。実施例6に記載の上記ミニチュアドリルを用いて、麻酔したスプラーグダーリーラットの大腿骨に孔を形成した。上記ミニチュアポンプを用いて、ドリルで形成された孔に3μLのHo−166溶液を運搬した。放射線量を注入した2時間後に、ラットを屠殺し解剖した。注入部位における放射能量は、注入した量の5%であった。しかし、52%の量は肝臓にあり、23%の投与量は残りの骨にあった。全骨格量は、反対側の大腿骨の投与量(%)に25を乗じることにより決定した。非標的領域における高投与量は、この形態のHo−166は患者に投薬する有効な方法でないことを示す。
【0064】
実施例7:ヒドロキシアパタイトと共に骨に投与したHo−166
ヒドロキシアパタイト(6mg)をバイアルに入れ、600μLの水を加えた。混合物を振とうしてスラリーを形成し、15μLのスラリーをとって他のチューブに入れた。これに0.1MのHCl中の3μLのHo−166を加えた。実施例6に記載されたミニチュアドリルを用いて、麻酔したスプラーグダーリーラットの大腿骨に孔を形成した。実施例6に記載されたミニチュアポンプを用いて、ドリルで形成した孔に3μLのHo−166で標識したヒドロキシアパタイト溶液を運搬した。投与量を注入した3時間後に、ラットを屠殺して解剖した。注入部位又はその直接的周辺の放射放射能量は、注入した投与量の94%であった。肝臓又は他の骨では投与量の1%未満であった。全骨格量は、反対側大腿骨の投与量(%)に25を乗じることにより決定した。
【0065】
実施例8:Sm−153−DOTMP
0.1M HCl中のSm−153をMURRから得た。5.6μLの13mg/mLのDOTMP(先にpH7〜8に調製した)を含有する溶液及び4μLの水と5μLのSm−153を合わせることにより、Sm−153及びDOTMPの間に形成した複合体を調製した。更に5μLのDOTMP溶液を加えて、高複合体収率を得た。複合体としてのSm量は、イオン交換クロマトグラフィーにより99%であった。既知の合成技術でDOTMPを調製及び精製した。キレート剤は99%超の精製度であった。実施例6に記載されたミニチュアドリルを用いて、麻酔したスプラーグダーリーラットの大腿骨に孔を形成した。実施例6に記載されたミニチュアポンプを用いて、2μLのSm−153−DOTMP溶液を、ドリルで形成した孔に運搬した。投与量を注入してから2時間後に、ラットを屠殺して解剖した。注入部位の放射能量は、注入した投与量の9%であった。肝臓において放射能はなく、残りの骨において20%であった。全骨格量は、反対側大腿骨の投与量(%)に25を乗じることによって決定した。尿においては、平均で注入した投与量の65%であった。
【0066】
まとめ
上記実施例は本発明を説明するものである。高pHな放射性同位体の組成物溶液が少量で投与されると、放射能の顕著な量が投与部位から移動してしまう低pHな放射性同位体の同様の投与(例えば、実施例B)と比較すると、注入後13日を経過しても大部分の同位体が投与部位に残留する(例えば、実施例2)。骨腫瘍に約0.1%の放射能しか吸収されない骨親和性放射性医薬品のI.V.投与と比較すると、骨に対して同位体の直接注入を直接行うと顕著に高いパーセントの放射能が骨に運ばれる。これにより、かなり低量の放射能を注入して、標的組織にはるかに大量の放射線量を運搬することができる。
【0067】
本発明の組成物の使用によって、90%超の放射能が所望部位にあり、非標的器官又は組織において活性が少しから全くみられなかった。上述したように、非標的組織及び器官への投薬を実際に排除する以外にも、非常に少ない量の放射性同位体ですむ。最後に、腫瘍により多くの活性を運搬できることから、腫瘍の治癒は可能である。実施例2と実施例Bの腫瘍成長率を比較すると、治療効果が明らかに実証された。
【0068】
本発明及びその方法についてこれらの実施形態を参照しながら説明したが、本出願を読むと、上記本発明及び後記特許請求の範囲及び精神から逸脱しないで、当業者が変更及び改良ができることについて理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療が必要な動物又はヒトにおける所望でない組織塊の当該治療のための、約7超のpHを有する治療有効量の放射性同位体製剤と、医薬として許容される液体キャリアとを含む組成物であって、当該組成物が当該組織塊に直接又は近傍に投与され、放射性崩壊の2半減期以内に約15%未満の当該放射性同位体が投与部位から移動する組成物。
【請求項2】
pHが約8超である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
他の非放射性金属が加えられると前記放射性同位体と共沈する、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記所望でない組織塊が癌である請求項1記載の組成物。
【請求項5】
投与する製剤の量が治療する組織塊の約50μL/cm3未満である請求項1記載の組成物。
【請求項6】
投与する製剤の量が治療する組織塊の約20μL/cm3未満である請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記癌が骨癌であり、骨に孔を形成するためにミニチュアドリルを用い、当該孔を通して針又はカテーテルを挿入することができ、少量の流体を送達することができる装置を用いて前記製剤を送達する請求項4又は5記載の組成物。
【請求項8】
ポンプ又はシリンジを介して前記量が送達される請求項1又は5記載の組成物。
【請求項9】
前記放射性同位体がSm−153、Ho−166、Y−90、Pm−149、Gd−159、Lu−177、Yb−175、Pb−212、Bi−212、Bi−213、Ac−225である請求項1記載の組成物。
【請求項10】
前記放射性同位体がSm−153、Ho−166、Y−90、Bi−213、Ac−225又はLu−177である請求項9記載の組成物。
【請求項11】
治療有効量の放射性同位体製剤を直接投与するための組成物であって、治療が必要な動物又はヒトの所望でない組織塊の当該治療のために、当該放射性同位体がバインダーに結合し、放射性崩壊の2半減期以内に約5%超の当該放射性同位体が投与部位に残留する組成物。
【請求項12】
前記バインダーがホスホン酸キレート剤である請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記放射性同位体がDOTMPにキレート化され、前記放射性同位体がSm−153、Lu−177、Ho−166又はAc−225である請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記バインダーが固体担体であり、放射性崩壊の2半減期以内に約75%超の前記放射性同位体が投与部位に残留する請求項11記載の組成物。
【請求項15】
前記固体担体がヒドロキシアパタイトである請求項14記載の組成物。
【請求項16】
前記製剤が、溶液、懸濁液、スラリー又は乳濁液の形態の液体である請求項1又は11記載の組成物。
【請求項17】
全身的になる放射能を捕捉及び除去するために、アミノメチレンカルボン酸の静脈投与が用いられる請求項1又は11記載の組成物。
【請求項18】
前記アミノメチレンカルボン酸がEDTA又はDTPAである請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記製剤をマイクロリットルの量で正確に送れるマイクロポンプによって、前記放射性同位体を投与する請求項1又は11記載の組成物。
【請求項20】
治療が必要な動物又はヒトの骨癌又は軟組織腫瘍の所望でない組織塊に、請求項1記載の放射性同位体製剤を治療有効量で直接投与するための方法であって、当該組成物が、放射性崩壊の2半減期以内に約15%未満の当該放射性同位体が投与部位から移動するようになっている方法。
【請求項21】
治療が必要な動物又はヒトの骨癌又は軟組織腫瘍の所望でない組織塊に、請求項11記載の放射性同位体製剤を治療有効量で直接投与するための方法であって、当該放射性同位体がバインダーに結合し、放射性崩壊の2半減期以内に約5%超の当該放射性同位体が投与部位に残留する方法。

【公表番号】特表2010−540627(P2010−540627A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527928(P2010−527928)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/002026
【国際公開番号】WO2009/045230
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(510093037)アイエスオー テラピューティクス グループ リミティド ライアビリティー カンパニー (1)
【出願人】(510093048)ガブリエル インスティテュート,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】