説明

放射性同位元素タリウム−201の分離装置

【課題】迅速に鉛−201液体を分離でき、鉛−201液体に対して、減衰とイオン交換を行って放射性同位元素タリウム−201が得られる放射性同位元素タリウム−201の分離装置を提供する。
【解決手段】溶解槽と、第1の制御弁と第2の制御弁及び第3の制御弁が連接される真空装置と、第4の制御弁が連接される第1のガラス槽と、三方制御弁が連接される共沈槽と、第5の制御弁が連接される第2のガラス槽と、第6の制御弁が連接されるイオン交換柱と、鉛−201収集瓶と、第7の制御弁が連接される第3のガラス槽と、タリウム−203収集瓶と、から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性同位元素タリウム−201の分離装置に関し、特に、迅速に純度が比較的に高い鉛−201液体を分離でき、そして、当該鉛−201液体に対して、減衰とイオン交換を行って放射性同位元素タリウム−201が得られる分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タリウム−201塩化第一タリウムは、心筋によって素早く吸収されて心筋に集中するため、心臓病を診断するための心筋造影に利用され、また、腫瘍造影等の他の医療診断に利用され、そのため、タリウム−201は、内外の核医学分野において、使用量が最も多い放射性同位元素の一つである。
【0003】
一般の、タリウム−201の製造方法は、文献「Qaim S.M.、Weinreich R. and Ollig H.、Production of Tl−201 and Pb203 via Proton Induced Nuclear Reaction on Natural Thallium、 International Journal of Applied Radiation and Isotopes、30(1979)pp.85−95.」に記載されているように、直接的に清水洗によりタリウム−201を洗い出す。しかし、清水洗によってタリウム−201を洗い出す時、タリウム−201に不純物が存在するため、作造されたタリウム−201の純度が比較的に低いから、実用的とは言えない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、タリウム−203固体ターゲット材料から迅速に鉛−201液体を分離でき、そして、鉛−201液体に対して減衰とイオン交換を行って放射性同位元素タリウム−201が得られる放射性同位元素タリウム−201の分離装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の目的を達成するために、少なくとも、溶解槽と、第1の制御弁と第2の制御弁及び第3の制御弁が連接される真空装置と、第4の制御弁が連接される第1のガラス槽と、三方制御弁が連接される共沈槽と、第5の制御弁が連接される第2のガラス槽と、第6の制御弁が連接されるイオン交換柱と、鉛−201収集瓶と、第7の制御弁が連接される第3のガラス槽と、タリウム−203収集瓶と、から構成される放射性同位元素タリウム−201の分離装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、本発明の基本構造概念図である。図のように、本発明は、放射性同位元素タリウム−201の分離装置であり、少なくとも、溶解槽1と、第1の制御弁21と第2の制御弁22及び第3の制御弁23が連接される真空装置2と、一側に第4の制御弁31が連接され、もう一側に第1の制御弁21が連接される第1のガラス槽3と、三方制御弁41が連接される共沈槽4と、一側に第5の制御弁51が連接され、もう一側に第2の制御弁22が連接される第2のガラス槽5と、一側に第6の制御弁61が連接され、もう一側に第5の制御弁51が連接されるイオン交換柱6と、鉛−201収集瓶7と、一側に第7の制御弁81が連接され、もう一側に第3の制御弁23が連接される第3のガラス槽8と、タリウム−203収集瓶9と、から構成され、当該三方制御弁41は、第8の制御弁42が連接され、上記の構造により、快速的に鉛−201液体を分離できる新規な放射性同位元素タリウム−201の分離装置が構成される。
【0007】
図2は、本発明の一実施例の概念図である。図のように、本発明に係わる分離装置により、タリウム−203固体ターゲット材料を分離して、鉛−201液体が分離され、また、当該鉛−201液体に対して衰退とイオン交換を行うことにより、放射性同位元素タリウム−201が得られる。
【0008】
操作に際して、まず、鉛−201を含有するタリウム−203固体ターゲット材料を当該溶解槽1に入れ込んでから、1.6N硝酸と第二鉄イオン及び注射用水を添加し、当該タリウム−203固体ターゲット材料が溶液に溶解される。
【0009】
第1の制御弁21を開放して、当該真空装置2により全部の鉛−201溶液とタリウム−203溶液を当該第1のガラス槽3に吸い込み、その後、当該第1の制御弁21を締めてから、アンモニアを添加して混合し、そして、第4の制御弁31を開放して、当該第1のガラス槽3内においてアンモニアと混合した鉛−201溶液とタリウム−203溶液が当該共沈槽4に滴入し、そして、水を添加して共沈させ、これにより、当該鉛−201溶液とタリウム−203溶液が、タリウム−203液体と鉛−201液体に分離される。
【0010】
第2の制御弁22を開放して、真空装置2により、当該共沈槽4から、全部の鉛−201液体を第2のガラス槽5内に吸い込み、その後、当該第2の制御弁22を締めてから、8N塩酸を添加して混合し、そして、第5の制御弁51を開放して、当該鉛−201液体が当該イオン交換柱6に滴入し、そして、樹脂によりイオン交換を行い、これにより、鉛−201液体中の鉄を濾過分離し、続いて、第6の制御弁61を開放し、純粋な鉛−201液体が鉛−201収集瓶7に滴入する。
【0011】
そして、共沈槽4に連接される三方制御弁41と第3の制御弁23を開放し、真空装置2により、当該共沈槽4にあるタリウム−203液体を、当該第3のガラス槽8に吸い込んでから、当該第3の制御弁23を締めるとともに第7の制御弁81を開放し、これにより、当該第3のガラス槽8内のタリウム−203液体が、当該タリウム−203収集瓶9に滴入する。
【0012】
その後、鉛−201収集瓶7から鉛−201液体を取り出して減衰させ、鉛−201液体が、タリウム−201液体に減衰されてから、イオン交換により、放射性同位元素タリウム−201が得られる。また、当該三方制御弁41は、第8の制御弁42が連接され、窒素ガスの供給を制御できる。
【0013】
以上のように、本発明に係わる放射性同位元素タリウム−201の分離装置は、有効的に従来の様々の欠点を改善でき、迅速にタリウム−203固体ターゲット材料から鉛−201液体が分離され、そして、当該鉛−201液体に対して減衰とイオン交換を行うことにより、放射性同位元素タリウム−201が得られ、そのため、本発明は、より実用的なものであるから、法に従って特許出願する。
【0014】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることがなく、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に従って行った等価の変更や修正は、全てが、本発明に係わる特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の基本構造概念図
【図2】本発明の実施例の概念図
【符号の説明】
【0016】
1 溶解槽
2 真空装置
21 第1の制御弁
22 第2の制御弁
23 第3の制御弁
3 第1のガラス槽
31 第4の制御弁
4 共沈槽
41 三方制御弁
42 第8の制御弁
5 第2のガラス槽
51 第5の制御弁
6 イオン交換柱
61 第6の制御弁
7 鉛−201収集瓶
8 第3のガラス槽
81 第7の制御弁
9 タリウム−201収集瓶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、溶解槽と、それぞれ、第1の制御弁と第2の制御弁及び第3の制御弁が連接される真空装置と、
一側に第4の制御弁が連接され、もう一側に当該第1の制御弁が連接される第1のガラス槽と、
三方制御弁が連接される共沈槽と、
一側に第5の制御弁が連接され、もう一側に当該第2の制御弁が連接される第2のガラス槽と、
一側に当該第5の制御弁が連接され、もう一側に第6の制御弁が連接されるイオン交換柱と、
鉛−201収集瓶と、
一側に第7の制御弁が連接され、もう一側に当該第3の制御弁が連接される第3のガラス槽と、
タリウム−203収集瓶と、が含有される、ことを特徴とする放射性同位元素タリウム−201の分離装置。
【請求項2】
当該三方制御弁は、第8の制御弁が連接されることを特徴とする請求項1に記載の放射性同位元素タリウム−201の分離装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−104988(P2008−104988A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292079(P2006−292079)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(595165656)行政院原子能委員会核能研究所 (51)
【Fターム(参考)】